霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一一章 (こし)ぬけ〔一一八〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第44巻 舎身活躍 未の巻 篇:第2篇 月明清楓 よみ:げつめいせいふう
章:第11章 第44巻 よみ:こしぬけ 通し章番号:1180
口述日:1922(大正11)年12月08日(旧10月20日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年8月18日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
晴公、楓の兄妹は久しぶりの再会に積もる話をしようと森の木の間の月影をたよりに二三町ばかり南へ進んで行く。
南方より三人の男が提灯をともしてやってくる。提灯の三つ葉葵のしるしを見て、兄妹はバラモン教の捕り手とわかり、大木の幹に姿を隠した。
三人の男はバラモン教軍の斥候であり、三五教の宣伝使に出会ったらひとたまりもないとびくつきながら、このあたりで最近噂の鬼娘の話に恐れおののいている。
また話の中に、晴公と楓の両親が三五教の杢助・黒姫宣伝使に間違われて捕えられ、人質として駕籠に乗せられて運ばれてくることも漏れ聞こえてきた。
三人の馬鹿話に晴公と楓は思わず吹き出してしまう。バラモン教の三人は、二人はてっきり人目を忍ぶ若夫婦だと思って姿を見せるように呼びかけたが、楓は鬼娘のふりをして、逆に三人を驚かせる。
そこへバラモン軍の後発隊十五六人が、二人の両親を駕籠に乗せてやってきた。一行が斥候隊の三人、アク、タク、テクから様子を聞いていると、森の中から宣伝歌が聞こえてきた。
不意を打たれたバラモン軍の一隊は、人質の駕籠を投げ捨ててバラバラと逃げて行った。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4411
愛善世界社版:147頁 八幡書店版:第8輯 191頁 修補版: 校定版:154頁 普及版:65頁 初版: ページ備考:
001 晴公(はるこう)002(かへで)両人(りやうにん)兄妹(きやうだい)(むつま)じく()をひき(なが)ら、003(もり)木間(こま)()月影(つきかげ)(さいは)ひに枯草(かれくさ)茫々(ばうばう)()(しげ)つた細道(ほそみち)逍遥(せうえう)し、004()らず()らず二三丁(にさんちやう)(ばか)(みなみ)(はう)(すす)むで()く。
005 南方(なんぱう)より二三人(にさんにん)(をとこ)006(いそが)しげに提灯(ちやうちん)をとぼしてやつて()る。007兄妹(きやうだい)(これ)(なが)めて()提灯(ちやうちん)しるし三葉葵(みつばあふひ)がついてゐる。008(まが)(かた)もなきバラモン(けう)捕手(とりて)間違(まちが)ひない、009()つけられては一大事(いちだいじ)大木(たいぼく)(みき)姿(すがた)(かく)した。010三人(さんにん)はツト立止(たちど)まり、
011(かふ)『オイ此辺(ここら)一先(ひとま)一服(いつぷく)して()かうぢやないか。012これから(さき)危険(きけん)区域(くゐき)だ。013何程(なにほど)斥候隊(せきこうたい)だと()つても、014(わづ)かに三人(さんにん)(ぐらゐ)では心細(こころぼそ)いぢやないか。015三五教(あななひけう)言霊(ことたま)宣伝使(せんでんし)とやらに出会(でつくは)したら、016大変(たいへん)()()ふと()(こと)だ。017(ひと)此辺(ここら)団尻(だんじり)()ろして(うま)(みづ)でもかうたら()うだイ』
018(おつ)『オイ何処(どこ)(うま)()るのだ。019貴様(きさま)チツと(とぼ)けてゐやせぬか』
020(かふ)貴様(きさま)(うま)で、021一人(ひとり)鹿(しか)だ。022大分(だいぶ)最前(さいぜん)からヒイヒイと汽笛(きてき)をならしてゐるぢやないか。023それだから()出水(でみづ)(うま)(みづ)()ませと()ふのだよ』
024(おつ)(なに)(ぬか)すのだ、025(いたち)()が。026(さき)()きよつて(くさ)(くさ)()連発(れんぱつ)しよつて、027コレ()ろ、028(おれ)(はな)(まが)つて(しま)つた。029眉毛(まゆげ)(まで)立枯(たちがれ)出来(でき)てきたワ。030本当(ほんたう)(こま)つた(やつ)(さき)()つたものだな』
031(かふ)(おれ)最後屁(さいごぺ)(はな)(まが)つたのぢやないわ。032貴様(きさま)先天的(せんてんてき)鼻曲(はなまが)りだ。033親譲(おやゆづ)りの片輪(かたわ)(まで)(おれ)()転嫁(てんか)さすとは、034チト(むし)()すぎるぞ。035()うだドツと張込(はりこ)ンで此処(ここ)休息(きうそく)しようぢやないか。036さうすりや、037やがて本隊(ほんたい)がやつて()るのだから、038()斥候(せきこう)だと()つても一丁(いつちやう)(くらゐ)距離(きより)(たも)つて()かなくちやコレから(さき)心細(こころぼそ)いよ』
039(おつ)『それだから貴様(きさま)(いたち)()ふのだ。040(すぐ)(ばば)をたれ屁古垂(へこた)れよつて(なん)(ざま)だイ』
041(かふ)『ヘン(えら)さうに()ふない。042臆病(おくびやう)たれ()043三人(さんにん)真中(まんなか)(はい)らにやヨウ(ある)かぬと()つたぢやないか。044ポンポン(なが)(この)アーちやまは(てき)矢玉(やだま)()ける一番槍(いちばんやり)御先頭(ごせんとう)だぞ。045(なん)なら貴様(きさま)046(さき)()つたら()うだイ。047(おれ)真中(まんなか)から()つてやらうか』
048(おつ)先輩(せんぱい)(さき)()くのは(あた)(まへ)だよ。049(すべ)(もの)には順序(じゆんじよ)がある。050長幼序(ちやうえうじよ)あり夫婦別(ふうふべつ)あり、051といふからなア』
052(かふ)夜道(よみち)()(とき)()貴様(きさま)長幼序(ちやうえうじよ)ありを()(まは)すのだから(たま)らぬワ。053なア丙州(へいしう)054(ひと)此処(ここら)(やす)ンで()かうぢやないか』
055(へい)『モー二三丁(にさんちやう)(きた)()けば古社(ふるやしろ)(あと)がある。056ウン其処(そこ)には大変(たいへん)都合(つがふ)のよい(だん)があつて、057(こし)をかけるに()つて()いだ。058そこ(まで)()かうぢやないか』
059(かふ)『そこ(まで)()くのは()つて()るが、060なンだか(にはか)(あし)(すす)まなくなつたのだ。061()るのぢやないか。062エー』
063(へい)()るとは(なに)()るのだい。064怪体(けたい)(こと)をいふ(やつ)だな』
065(かふ)()るとも()るとも(おほい)()るのだ。066モウ夜明(よあ)けに()もあるまいから、067此処(ここら)一寸(ちよつと)(やす)みて()かうかい』
068(へい)『アハー(この)(あひだ)から(うはさ)()いた鬼娘(おにむすめ)(こと)(おも)()しよつたな。069ソレは貴様(きさま)070(ひと)(はなし)だよ。071幽霊(いうれい)化物(ばけもの)(おに)とは(けつ)して(この)()(なか)にあるものぢやない。072そンな迷信(めいしん)をするな。073さア、074()かう』
075(おつ)『ヨウ其奴(そいつ)一寸(ちよつと)()ものだ。076(しか)(なが)()たところが、077(なん)(やく)にもならないから、078マア此辺(ここら)一層(いつそう)(こと)一服(いつぷく)しようかい。079それの(はう)余程(よほど)安全(あんぜん)だぞ』
080(へい)『アハヽヽヽ此奴(こいつ)到頭(たうとう)本音(ほんね)()()つた。081やつぱり鬼娘(おにむすめ)(こは)いと()えるワイ。082(あたま)蝋燭(らふそく)三本(さんぼん)()て、083(つら)青赤(あをあか)()りたて、084(くち)(みみ)(まで)()けたやうにして、085ピカツ ピカツと(やみ)()らし(なが)ら、086(しろ)()(ひき)ずつて()姿(すがた)()たら(あんま)気味(きびた)がよい(こと)ない(こと)ない(こと)ないワ。087(おれ)(なん)だか身柱元(ちりけもと)がぞくぞくして()はせぬワイ。088さア、089何奴(どいつ)此奴(こいつ)もそこ(まで)(すす)めとは()はぬわ』
090(かふ)『アハヽヽヽ、091やつぱり此奴(こいつ)屁古垂(へこた)(ぐみ)だな。092(とき)にランチ将軍(しやうぐん)さまは何故(なぜ)アンナ(ぢい)(ばば)大事(だいじ)(さう)駕籠(かご)()せて河鹿峠(かじかたうげ)()ゆるのだらうかなア。093(ちつ)とも合点(がつてん)()かぬぢやないか。094彼奴(あいつ)三五教(あななひけう)杢助(もくすけ)や、095黒姫(くろひめ)()けてゐるのだと()(うはさ)だが、096(おれ)一寸(ちよつと)(かほ)()たが、097(あま)(こは)さうな(やつ)ぢやなかつたぞ』
098(おつ)『それが化物(ばけもの)だよ。099人殺(ひとごろし)をしたり、100強盗(がうたう)する(やつ)には(けつ)して悪相(あくさう)(やつ)()いものだ。101(むし)(ころ)さぬ(まる)(をんな)(やう)(やさ)しい(かほ)をして()つて、102(かげ)(わる)(こと)をするのだ。103(おれ)(やう)閻魔面(えんまづら)世間(せけん)(やつ)(はじ)めから(こは)がつて油断(ゆだん)をせぬから、104一寸(ちよつと)(わる)(こと)出来(でき)はせない。105外面如菩薩(げめんによぼさつ)106内心如夜叉(ないしんによやしや)()つてな、107(そと)から(よわ)そに()える(やつ)挺子(てこ)でも(ぼう)でも()へぬ(やつ)だよ』
108(へい)『さうすると()杢助(もくすけ)109黒姫(くろひめ)駕籠(かご)()せ、110河鹿峠(かじかたうげ)通過(つうくわ)せうといふ算段(さんだん)だなア』
111(かふ)『ウンさうだ。112(なん)でも治国別(はるくにわけ)とか、113玉国別(たまくにわけ)とか()豪傑(がうけつ)(ほこら)(もり)や、114懐谷(ふところだに)(あたり)(ぢん)(かま)へて(しき)りに言霊(ことたま)とやらを打出(うちだ)しよるものだから、115()うしても(すす)(こと)出来(でき)ない。116そこで三五教(あななひけう)杢助(もくすけ)117黒姫(くろひめ)初稚姫(はつわかひめ)()れてライオン(がは)(ほとり)にバラモン(ぐん)動静(どうせい)(かんが)へて()つたのを(うま)捕獲(ほくわく)し、118河鹿峠(かじかたうげ)無事(ぶじ)通過(つうくわ)しようといふ計略(けいりやく)だ。119もし言霊(ことたま)でも打出(うちだ)()つたら駕籠(かご)()をパツと(ひら)き、120(やり)(ころ)すが()うだ。121コレでも言霊(ことたま)発射(はつしや)するかと両人(りやうにん)胸元(むなもと)()きつけるのだ。122さうすると如何(いか)無謀(むぼう)宣伝使(せんでんし)でも、123三五教(あななひけう)()つての豪傑(がうけつ)杢助(もくすけ)124黒姫(くろひめ)見殺(みごろし)にする(わけ)には()かぬ。125せう(こと)なしに屁古垂(へこた)()つて、126何卒(どうぞ)無事(ぶじ)御通過(ごつうくわ)をして(くだ)さいと反対(あべこべ)(たの)むやうに仕組(しぐ)まれた仕事(しごと)だ。127随分(ずゐぶん)ランチさまも智勇(ちゆう)兼備(けんび)勇将(ゆうしやう)ぢやないか』
128 兄妹(きやうだい)一口々々(ひとくちひとくち)(むね)(とどろ)かせ(なが)()きゐたり。
129(へい)(なん)だか(ひと)くさいぞ。130怪体(けたい)(にほ)ひがするぢやないか』
131(おつ)(ひと)くさいなンて(まる)(おに)のやうな(こと)をいふない。132アタ(いや)らしい、133鬼娘(おにむすめ)()(もり)だと(おも)つて馬鹿(ばか)(こと)()ふものぢや()い。134ナーニ此処(ここ)(ひと)()つて(たま)るかい。135俺様(おれさま)のやうな英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)でも気味(きみ)(わる)山口(やまぐち)(もり)だ。136こンな(ところ)夜夜中(よるよなか)うろついて()ようものなら大蛇(をろち)()まれて(しま)ふワイ』
137(へい)『それでも(なん)だか人間(にんげん)(にほ)ひがするやうだ、138(しか)人間(にんげん)(にほひ)のするのは当然(あたりまへ)だらうよ。139此処(ここ)にも一人(ひとり)人間(にんげん)()るのだからなア』
140(おつ)人間(にんげん)一人(ひとり)とはなンだい。141三人(さんにん)()るぢやないか』
142(へい)(おれ)人間(にんげん)だが(ほか)(いたち)鹿(しか)だ』
143(おつ)『ナニを(ぬか)すのだい。144ドー(たぬき)()が』
145(へい)(たぬき)でも(なん)でもホツチツチだ。146(おれ)人間(にんげん)さまの(はな)には()うも異性(いせい)(にほ)ひがするのだ。147随分(ずゐぶん)威勢(ゐせい)のよい(にほ)ひだよ。148一寸(ちよつと)(をとこ)(にほ)ひもするやうだし』
149(おつ)『ハー、150さうすると貴様(きさま)もやつぱり四足(よつあし)だ。151(いぬ)(うま)(がは)りだな。152さうでなくちや、153それ(だけ)(はな)()気遣(きづか)ひはないわ。154ハナハナ(もつ)奇妙(きめう)奇天烈(きてれつ)動物(どうぶつ)だなア』
155 (かへで)可笑(をか)しさに(こら)えかね、156「ホヽヽヽヽ」と()()せば、
157(おつ)『ソラ鬼娘(おにむすめ)だ。158ホヽヽヽヽだ。159オイ()げろ()げろ』
160(かふ)(へい)()げろといつたつて(にげ)られるものか。161モウあきらめるより仕方(しかた)がないわ。162肝腎(かんじん)(こし)命令権(めいれいけん)服従(ふくじゆう)せぬのだから』
163 (かたはら)木蔭(こかげ)から、
164『アハヽヽヽ、165オホヽヽヽ』
166(へい)『ソレ()たか、167(おれ)(はな)(えら)いものだろ。168(わか)男女(だんぢよ)()()()つて、169ソツと(わが)()()()し、170たとへ()(すゑ)171(やま)(おく)172(とら)(おほかみ)住処(すみか)でも、173などと洒落(しやれ)よつて(こひ)(みち)()きをやつてるのだよ。174()(わか)つた以上(いじやう)矢張(やつぱり)人間(にんげん)だ、175(おどろ)必要(ひつえう)はないわ』
176 (かふ)(おつ)(むね)をなで()ろし、
177(たれ)(おどろ)いてゐるものがあるかい。178貴様(きさま)一人(ひとり)(おどろ)いて()よるのだ。179オイ若夫婦(わかふうふ)180そンな(ところ)(かく)れて()らずに、181御遠慮(ごゑんりよ)なく此処(ここ)(まか)りつン()て、182()ンな面付(つらつ)きをして()るか、183(ひと)御慰(おなぐさ)みに(きよう)したら()うだい』
184 (かへで)はやさしい(こゑ)で、
185(にい)さま、186三人(さんにん)御方(おかた)がアナイ()うてゐやはりますから、187一寸(ちよつと)(かほ)(をが)まして()げませうかなア。188ホヽヽヽヽ』
189(かふ)『ナーンだ、190馬鹿(ばか)にしやがるない。191(をが)まして()げようなンて、192()ンなナイスかしらぬが、193(をんな)(ぐらゐ)精神(せいしん)をとろかすアーちやまぢやないぞ、194エー。195世間体(せけんてい)をつくりよつて「(にい)さま、196ホヽヽヽヽ」が()いて(あき)れるワイ。197貴様(きさま)(おや)()(しの)ンで()()いてゐるのだろ。198サア此処(ここ)へつン()(なに)()白状(はくじやう)するのだ。199(はや)()()ぬかいグヅグヅしてゐると爺婆(ぢぢばば)駕籠(かご)()()ると迷惑(めいわく)だ。200それ(まで)首実検(くびじつけん)をしておく必要(ひつえう)があるワ』
201(かへで)『ホヽヽヽヽ、202アタイもアンタ(がた)(くび)実検(じつけん)して()必要(ひつえう)があるのよ。203(さいは)ひお月様(つきさま)御照(おて)(あそ)ばし、204よく()えるでせう。205アタイ毎晩(まいばん)(この)(もり)(あら)はれて()鬼娘(おにむすめ)ですわ。206ビツクリなさいますなや』
207(かふ)『エー、208気味(きび)たの(わる)(こと)(ぬか)(やつ)だ。209モウ拝謁(はいえつ)はまかりならぬ。210勝手(かつて)(もり)(おく)へすつこみて、211万劫末代(まんごまつだい)姿(すがた)(あら)はさぬやうにいたせ』
212(かへで)『アタイその(ぢい)さまと(ばあ)さまとが()ひたいのよ。213それで此処(ここ)青鬼(あをおに)(にい)さまと()つてゐるの。214(みな)さま、215御苦労(ごくらう)だね。216(うま)さま、217鹿(しか)さま、218(たぬき)さま。219ホヽヽヽヽ』
220(かふ)『エー鬼娘(おにむすめ)(まで)馬鹿(ばか)にしよる(わい)221コリヤ鬼娘(おにむすめ)222コレでも一人前(いちにんまへ)立派(りつぱ)(にい)さまだぞ。223沢山(たくさん)のナイスにチヤホヤされて(そで)千切(ちぎ)れて(たま)らないから、224浮世(うきよ)のうるささを()けてバラモン(けう)先生(せんせい)になつてゐるのだ。225何程(なにほど)(ほれ)たつて駄目(だめ)だ。226四十八珊(しじふはちサンチ)のクルツプ(はう)発射(はつしや)してやらうか。227貴様(きさま)地獄(ぢごく)から()たのだらうが、228地獄(ぢごく)(かへ)つてアーちやまに肱鉄(ひぢてつ)をかまされたと()つては貴様(きさま)(つら)()つまい。229さア、230(はや)退却(たいきやく)々々(たいきやく)
231 ()かる(ところ)十七八人(じふしちはちにん)同勢(どうぜい)232()()(やり)()りかざし、233二挺(にちやう)駕籠(かご)をかつがせてスタスタとやつて()る。234先頭(せんとう)()つた(をとこ)三人(さんにん)姿(すがた)月影(つきかげ)(なが)め、
235(をとこ)『ヤア此処(ここ)(なん)だか(あや)しいものが()る。236大方(おほかた)三五教(あななひけう)(やつ)だろ。237オイ(みな)(もの)238首途(かどで)血祭(ちまつり)芋刺(いもざ)しにして()け』
239 (かふ)(おつ)(へい)(おどろ)いて両手(りやうて)をひろげ、
240『アーモシモシ アクに、241タクに、242テクだ。243一寸(ちよつと)此処(ここ)鬼娘(おにむすめ)()やがつたから評定(ひやうじやう)をしてゐるのだ。244見違(みちが)へて(もら)つちや(こま)るぞ』
245槍持(やりもち)『ナンダ斥候隊(せきこうたい)のアク、246タク、247テクぢやないか。248何故(なぜ)こンな(ところ)にグヅグヅしてゐるのだ。249敵状(てきじやう)()うなつたか』
250(かふ)()うも()うもあつたものぢやない。251(いま)此処(ここ)鬼娘(おにむすめ)(あら)はれたのだ。252(こゑ)ばつかり(きこ)えてチツとも姿(すがた)()えないのだよ』
253 槍持(やりもち)はビクビク(ふる)()した。
254『ナヽヽヽナニ鬼娘(おにむすめ)()たと。255ソヽヽヽそしてそれは()うなつたのだい』
256(かふ)(おれ)(ほれ)よつたと()えて、257どうしても()うしても()かぬのだよ。258大雲山(だいうんざん)のお(ふだ)でもあつたら(かし)()れないか』
259(をとこ)怪体(けたい)(こと)()ふぢやないか。260マアマア此処(ここ)(ひと)駕籠(かご)()ろして調(しら)べて()よう。261全隊(ぜんたい)()まれ!』
262号令(がうれい)する。263十七八人(じふしちはちにん)同勢(どうぜい)(やり)(つゑ)につき(あし)(そろ)へてピタリと()まつた。264二人(ふたり)()せた(かご)手荒(てあら)地上(ちじやう)()ろされた。
265 (もり)(なか)から(あた)りに(ひび)大声(おほごゑ)宣伝歌(せんでんか)さやさやに(きこ)()たる。
266(かみ)(おもて)(あら)はれて
267(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける
268三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
269われは治国別(はるくにわけ)(かみ)
270ランチ将軍(しやうぐん)片彦(かたひこ)
271手下(てした)(やつ)(ども)よつく()
272河鹿峠(かじかたうげ)陣取(ぢんど)りて
273生言霊(いくことたま)(めう)()
274天下無双(てんかむさう)宣伝使(せんでんし)
275汝等(なんぢら)一族(いちぞく)(ことごと)
276生言霊(いくことたま)(はら)はむと
277(いま)此処(ここ)(まで)(むか)うたり
278もはや(にが)れぬ百年目(ひやくねんめ)
279(なんぢ)(うん)(はや)つきぬ
280(ふた)つの(かご)をそこに()
281一時(いちじ)(はや)()(かへ)
282(こば)むに(おい)ては(それがし)
283(また)もやきびしき言霊(ことたま)
284(あられ)(ごと)打出(うちいだ)
285(まが)(したが)(もの)(ども)
286木端微塵(こつぱみぢん)()(くだ)
287(ほろぼ)しくれむは()(あた)
288(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
289(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
290(ただ)何事(なにごと)吾々(われわれ)
291直日(なほひ)見直(みなほ)宣伝使(せんでんし)
292(なんぢ)(つみ)(にく)けれど
293皇大神(すめおほかみ)神習(かむなら)
294仁慈(じんじ)(もつ)(すく)()
295あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
296(かみ)言葉(ことば)(したが)へよ』
297 (この)言霊(ことたま)不意(ふい)()たれて二挺籠(にちやうかご)路上(ろじやう)()てた(まま)298バラバラパツと蜘蛛(くも)()()らすが(ごと)生命(いのち)からがら()げて()く。299アク、300タク、301テクの三人(さんにん)(こし)をぬかして()(おく)れ、302路傍(ろばう)四這(よつば)ひとなつて(ふる)(おのの)いてゐる。303(かへで)(もり)かげを立出(たちい)山駕籠(やまかご)()(ひら)いて、304アツと(ばか)りにおどろき(さけ)ぶ。
305大正一一・一二・八 旧一〇・二〇 外山豊二録)
306(昭和九・一二・二七 王仁校正)