霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一九章 婆口露(ばくろ)〔一一八八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第44巻 舎身活躍 未の巻 篇:第3篇 珍聞万怪 よみ:ちんぶんばんかい
章:第19章 婆口露 よみ:ばくろ 通し章番号:1188
口述日:1922(大正11)年12月09日(旧10月21日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年8月18日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
松彦は山道の傍らの大岩のそばに五人の従者を集めて話にふけっていた。そこへお寅とお菊がやってきた。お寅は万公が自分の長女をたぶらかして夫婦となり、子供を産ませたが母子は出産がもとで死んでしまった話を一同に話して聞かせた。
松彦は、万公は今は治国別という立派な先生の弟子だから、万公の改心については心配しないようにと諭した。お寅とお菊は帰って行った。
万公は一同にからかわれる。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4419
愛善世界社版:256頁 八幡書店版:第8輯 230頁 修補版: 校定版:268頁 普及版:113頁 初版: ページ備考:
001 松彦(まつひこ)山道(やまみち)(かたはら)屹立(きつりつ)せる大岩(おほいは)(そば)に、002五人(ごにん)従者(じゆうしや)(あつ)(いき)(やす)めて(はなし)(ふけ)つてゐる。
003『アクさま、004随分(ずゐぶん)(あぶ)ない(こと)だつたな。005マア結構(けつこう)だつたよ』
006(ばば)におどかされて(はし)途端(とたん)(あし)をふみ(はづ)し、007随分(ずゐぶん)(ひや)こい()()ひました。008(しか)(なが)水泳(すゐえい)得意(とくい)(わたし)ですから(たす)かつたのですよ。009タク、010テクの両人(りやうにん)だつたら、011サツパリ駄目(だめ)ですわ』
012『そらさうぢや。013マアよかつた。014万公(まんこう)さま、015(まへ)(えら)親子(おやこ)(をんな)にやられて()つたぢやないか。016随分(ずゐぶん)(よわ)(をとこ)だなア』
017『ヘーヘ、018(あく)(よわ)い、019(ぜん)(つよ)万公(まんこう)ですもの、020無抵抗主義(むていかうしゆぎ)三五教(あななひけう)でなかつたら、021(ばば)(かは)へほりこンで(しま)とこでしたけれども、022()()直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)して、023無抵抗主義(むていかうしゆぎ)(かた)(まも)つてをつたのですよ。024さうしたところ(ばば)(むすめ)とが按摩(あんま)をしてくれました。025(かた)をうつやら(こし)をもむやら、026(あし)(ひつ)ぱるやら、027おかげで(からだ)(らく)になりましたよ』
028 五三公(いそこう)はふき()し、
029『アハヽヽヽ負惜(まけをし)みのつよい(をとこ)だな。030キヤアキヤア()つて()いて()つたぢやないか』
031『ナーニあれはこそばいとこ()むものだから(わら)つてゐたのだよ。032貴様(きさま)には()いた(やう)(きこ)えるか』
033『それでも人殺(ひとごろし)034(たす)けてくれと()つたぢやないか』
035『ウン一寸(ちよつと)テンゴに()つて()たのだ。036その証拠(しようこ)には(ばあ)さまと(むすめ)とが()いてをつたぢやろ。037(おれ)一寸(ちよつと)()きはせぬよ、038大丈夫(だいぢやうぶ)たるもの(をんな)(ぐらゐ)()かされてたまるかい』
039 五三公(いそこう)は、
040『モシモシ松彦(まつひこ)さま、041此奴(こいつ)秘密(ひみつ)(さぐ)つて()ました。042仕方(しかた)のない(やつ)ですでー』
043『ナニツ、044秘密(ひみつ)をさぐつたと、045そりや面白(おもしろ)い。046どンな(こと)だ、047差支(さしつかへ)なくば()かしてくれ』
048『コリヤコリヤ五三公(いそこう)049他人(ひと)秘密(ひみつ)をあばくやうな不道徳(ふだうとく)はないぞ、050(つつし)まぬかい』
051『それなら仕方(しかた)がない、052五三公(いそこう)沈黙(ちんもく)しようかな、053(さと)がわかると()(どく)だからなア』
054『コリヤお(さと)(こと)()はぬやうにしてくれ。055さう親友(しんいう)(こと)公衆(こうしう)(まへ)にさらけ()すものぢやないわ』
056松彦(まつひこ)さま、057あー()つて(たの)みますから、058五三公(いそこう)友情(いうじやう)(もつ)て、059(ある)時期(じき)まで保留(ほりう)しておきませう。060その(かは)りに、061万公(まんこう)(わたし)命令(めいれい)(ほう)じない(とき)には、062さらけ()します。063なア万公(まんこう)064その条件附(でうけんつき)(しばら)沈黙(ちんもく)(まも)ることにしようかい』
065『どうぞ(たの)む、066万公末代(まんこうまつだい)()はぬやうに』
067『ヨシヨシその(かは)りに(おれ)(しり)()けといつても()くのだぞ。068滅多(めつた)違背(ゐはい)はあるまいなア』
069『ヘン馬鹿(ばか)らしい。070(たれ)貴様(きさま)(けつ)をアタ(きたな)()(やつ)があるかい。071(からだ)ばかりか(こころ)(まで)(きたな)代物(しろもの)だからなア。072(けち)(ばう)悪口(わるくち)()ひで(あな)さがしで、073奸黠(かんきつ)で、074狡猾(かうくわつ)で、075不道徳(ふだうとく)で、076権謀術数家(けんぼうじゆつすうか)で、077強欲(がうよく)(まる)旃陀羅(せんだら)けつ醤油(しやうゆ)()をつけて(ねぶ)つてるやうな(やつ)だ。078こンな(やつ)秘密(ひみつ)(にぎ)られて()ると一生(いつしやう)(あたま)(あが)らぬから、079イツソの(こと)(おれ)(はう)から松彦(まつひこ)さまの(まへ)公開(こうかい)をするから(かま)うて()れな。080オイ五三公(いそこう)さま、081えらい御心配(ごしんぱい)をかけました。082(べつ)(ひと)のものをチヨロマカシたのでも()し、083()いたら(よだれ)()るよなボロイ面白(おもしろ)(はなし)だから、084(べつ)(はぢ)にもなるまい。085(たれ)だつて多少(たせう)のローマンスはあるのだからなア。086(をんな)なンか(むね)(わる)いと()ふやうな(かほ)をしてゐ(なが)ら、087(ひと)()ぬところでは、088(をんな)湯巻(ゆまき)(ひぼ)でしばかれて(よだれ)()つて()(やつ)(おほ)いのだから、089多少(たせう)恋物語(こひものがたり)があるのは(むし)(ほこ)りだ。090貴様(きさま)(やう)唐変木(たうへんぼく)では、091(はる)()ても(はな)()きはせぬぞ』
092()うなと勝手(かつて)にほざいたが()いわい。093(おれ)やもう干渉(かんせう)せぬわ。094その(かは)貴様(きさま)失敗(しつぱい)しても五三公(いそこう)高見(たかみ)から見物(けんぶつ)するから、095さう(おも)つたがよからう』
096『なンだか様子(やうす)ありげな口振(くちぶり)だな。097そのローマンスとやらをアクも(きき)たいものだよ』
098 万公(まんこう)(ひぢ)()り、
099『きかしてやらう、100謹聴(きんちやう)せい』
101(いま)(はなし)糸口(いとぐち)(ほど)かむとしてゐる(ところ)へ、102以前(いぜん)のお(とら)103(きく)はスタスタとやつて()た。
104『モシモシ、105(まん)其処(そこ)()りますかなア、106あの(あく)たれ(をとこ)は』
107『そーれ、108やつて()たぞ。109万公(まんこう)110(よろこ)べ、111一遍(いつぺん)按摩(あんま)をして(もら)つたら()うだイ』
112『お(ばあ)さま、113モウ沢山(たくさん)(ござ)います、114イヤもうズンと万公(まんこう)改心(かいしん)いたしました。115何卒(どうぞ)(かへ)つて(くだ)さいませ』
116『イヤイヤ()改心(かいしん)出来(でき)()らぬ。117(むすめ)二人(ふたり)よつて折檻(せつかん)をしてやるのに結構(けつこう)按摩(あんま)(かた)(こり)(さが)つたと捨台詞(すてぜりふ)(のこ)して()げて()くよな(をとこ)だからな。118()なねば(なを)らぬカク(やまひ)だ、119エーエ、120(ほね)()れた(こと)だが(おも)()つて荒療治(あられうぢ)をしてやらう。121オイ(まん)122此方(こつち)やへ()い』
123 万公(まんこう)(ちひ)さくなつて(ふる)(をのの)いてゐる。
124『アハヽヽヽ、125やつぱり何処(どこ)(こころ)光明(くわうみやう)があると()えて、126(はぢ)()つて(かほ)(かく)しよる。127マア(たの)もしいものだ。128コレコレお(まへ)さまは(まん)親方(おやかた)()えるが、129こンな厄介物(やくかいもの)()れて(たび)をなさるのは、130(さぞ)(ほね)()れる(こと)でせう。131(この)(ばば)物語(ものがたり)をするのを()いて(くだ)さいませ。132此奴(こいつ)欠点(けつてん)をよく()()ンでおいて(もら)ひませぬと、133貴方(あなた)御迷惑(ごめいわく)になるといけませぬから、134(あと)引返(ひつかへ)して(まゐ)りました』
135何事(なにごと)(ぞん)じませぬが(うけたま)はりませう。136(この)(をとこ)には(ひと)つの秘密(ひみつ)があるさうですなア』
137『お(とら)さま、138殺生(せつしやう)な、139コレお(きく)140どうぞお(まへ)仲裁(ちうさい)して()めてくれぬか。141あンな(こと)()はれちや(かほ)(あか)くなつて、142ついて()(こと)出来(でき)ぬからなア』
143『お(かあ)さま、144(ひと)つか(ふた)(ほど)にして、145みんな()はないやうにして()げて(くだ)さい。146(おし)かけ婿(むこ)(はい)つて()(こと)やら、147(わたし)手込(てごめ)にしかけた(こと)()はないやうにしてねー』
148『コラお(きく)149そンな秘密(ひみつ)何処(どこ)にあるか。150肝腎(かんじん)(こと)(みな)()つて(しま)つたぢやないか、151万公(まんこう)さまを馬鹿(ばか)にするない』
152(わたし)子供上(こどもあが)りだから(なに)()ふかしれないよ。153()にかけずに(ゆる)して頂戴(ちやうだい)ね』
154『アハヽヽヽ、155ウフヽヽヽ到頭(たうとう)(つら)(かは)をむかれよるのか。156イヒヽヽヽ』
157五三公(いそこう)158アク、159タク、160テクの四人(よにん)()()(をど)(あが)つて(よろこ)ぶ。
161松彦(まつひこ)先生様(せんせいさま)162()(ばば)()(こと)一通(ひととほ)()いて(くだ)さい。163()(まん)()(をとこ)()でも菎蒻(こんにやく)でも()かぬ動物(どうぶつ)(ござ)いますよ。164一昨年(おととし)(ふゆ)だつたか、165(こがらし)のピユーピユーと()夕間(ゆふま)ぐれ、166(うち)門前(もんぜん)()すぼらしい乞食(こじき)ふるうてゐると、167(しもべ)(もの)(おく)(しら)しに()たものですから、168(わたし)小北山(こぎたやま)神様(かみさま)信心(しんじん)して()るのだから、169(ひと)(たす)けるのは神様(かみさま)御奉公(ごほうこう)だと(おも)(にぎ)(めし)(ひと)()つて門口(かどぐち)(まで)()()れば、170若布(わかめ)行列(ぎやうれつ)か、171シメシの親分(おやぶん)()ふよなツヅレの(にしき)()て、172(むしろ)をかぶつて(ふる)うて()奴乞食(どこじき)があるぢやありませぬか。173そこでアー可愛相(かあいさう)(おな)(やう)神様(かみさま)(いき)から(うま)れた人間(にんげん)だ、174(たす)けてやるのが神様(かみさま)への孝行(かうかう)だと(おも)ひ、175(にぎ)(めし)(ひと)つお(ぼん)にのせて、176アタ(きたな)乞食(こじき)御叮嚀(ごていねい)に、177さア(さぞ)おひもじう(ござ)いませう。178さあ、179これでも()べて(かへ)つて(くだ)さいと()ふと、180その乞食(こじき)(くろ)(くろ)(かほ)から、181()をむき()し、182(ぬか)すことには「アー世界(せかい)(おに)はない、183(まこと)有難(ありがた)(ござ)います。184(この)御恩(ごおん)(わす)れませぬ」と米搗(こめつき)バツタの(やう)(こし)をペコペコ百遍(ひやつぺん)(ばか)りも()げて(をが)むぢやありませぬか、185(わたし)不愍(ふびん)(かさ)なつて(なん)とかして湯巻(ゆまき)古手(ふるて)でも(さが)して(かぶ)せてやりたいと(おも)つて()りました。186(ぼん)(にぎ)(めし)をのせて突出(つきだ)して()るのに()らうともせず、187(こし)ばつかりペコペコさして()る。188辛気(しんき)くさくて仕方(しかた)がないから、189(まへ)190()(にぎ)(めし)()()らぬのかいと()くと、191その乞食(こじき)()ふには(いま)近所(きんじよ)葬式(さうれん)(のこ)りの御馳走(ごちそう)鱈腹(たらふく)(いただ)いて()たところだから、192(にぎ)(めし)()しくはありませぬ、193(あたた)かいお(ちや)一杯(いつぱい)(いただ)きたいと()ふので、194(わたし)浮木(うきき)(むら)のお(とら)()つて仇名(あだな)()つた女侠客(をんなけふかく)だから(ひと)(たす)けてやらぬ(わけ)にも()かず、195(こけ)だらけの()(にぎ)つて(おく)へつれて()き、196たぎつて()つた(ちや)()して、197サア(これ)をお(あが)りなさいと茶椀(ちやわん)()へて()しておきました。198(さう)して(おく)()(はい)つて障子(しやうじ)(やぶ)れから(かんが)へてゐると(うま)れついての乞食(こじき)だと()えて、199アタ行儀(ぎやうぎ)がわるい。200土瓶(どびん)(くち)から()()つた(ちや)をグツと()()み、201(のど)焼傷(やけど)をして()をクルクルとむき、202(あわ)()七転八倒(しちてんはつたう)してゐるぢやありませぬか。203エー怪体(けたい)のわるい、204乞食(こじき)引張(ひつぱり)()ンだものだと(おも)ひ、205(あわて)()つて()れば、206大切(だいじ)にしておいた青土瓶(あをどびん)はポカツと(ふた)つに()れ、207折角(せつかく)()かした(ちや)(たたみ)にこぼれ、208(たたみ)御馳走(ごちそう)とも(なん)とも()はずにけろりとなめて、209(ほそ)()沢山(たくさん)ならべて(にら)ンでゐるぢやありませぬか。210ホヽヽヽヽ、211そのド乞食(こじき)仰向(あふむけ)(たふ)れてゐるとこを()れば、212(すす)煮〆(にしめ)たような(ふんどし)()らし、213吊柿(つるしがき)のよな真黒気(まつくろけ)のものを()して(たふ)れてゐる。214サア大変(たいへん)だと家内中(かないぢう)がよつてたかつて(みづ)をのませ、215いろいろと介抱(かいほう)した結果(けつくわ)216ようよう(いき)()きかへした。217(しか)(なが)(した)やけどしたものだから、218(した)(くち)()(あが)り、219国所(くにところ)(たづ)ねようにも()()こうにも(もの)()へないので、220()(わけ)にも()かず、221筆紙(ひつし)()つて()()()けと()つても、222此奴(こいつ)()めくら()えて一字(いちじ)もよう()かず、223仕方(しかた)なしに藪医者(やぶいしや)(たの)ンで()裏門(うらもん)から灌腸(くわんちやう)して到頭(たうとう)(もの)()(やう)にしてやりました。224それから(しらみ)だらけの衣物(きもの)(あぶら)をかけて、225()いて(しま)ひ、226()くなつた(ぢい)さまの一番(いちばん)(ふる)衣物(きもの)()せてやつて、227()(ところ)もない代物(しろもの)だと()ふから下僕(しもべ)につかつて野良(のら)仕事(しごと)使(つか)つて()りました』
228 五三公(いそこう)(くび)をかたむけ(なが)ら、
229『そら(たれ)(こと)ですか、230よもや万公(まんこう)さまでは()りますまいナ』
231()はいでも()れたこつちや、232()(まん)のことだよ』
233(なん)マンのわるいとこに出会(でつくは)したものだなア、234万公(まんこう)さま』
235『アハヽヽヽ面白(おもしろ)面白(おもしろ)い、236(ばあ)さま、237しつかり(たの)みますデ。238千両(せんりやう)々々(せんりやう)アクアクするワ』
239『コリヤ、240アクの(やつ)馬鹿(ばか)にすない、241(おれ)(みづ)みたまだ。242アクの(かがみ)(うつ)つとるのだから、243(おれ)(こと)ぢやない、244世間(せけん)(やつ)(わる)(こと)奇麗(きれい)みたま(おれ)にうつつたのだ。245()のつもりでお(ばあ)さまの()(こと)()けよ。246取違(とりちが)ひと慢心(まんしん)大怪我(おほけが)(もと)だから、247(ばあ)さまの()(こと)をよく(あぢ)はうて()くがよいぞよ。248(ひと)(こと)だと(おも)へば(みな)(わが)()(こと)であるぞよ。249世界中(せかいぢう)がかうなつて()ると()(こと)変性女子(へんじやうによし)身魂(みたま)にさして()せてあるぞよ。250…………と()(をしへ)をきいて()るだろ、251それが(おれ)(こと)だからのう』
252『フヽヽヽヽお(ばあ)さま、253その(つぎ)松彦(まつひこ)にお()かせ(ねが)ひます』
254一寸(ちよつと)此処(ここ)中入(なかいり)といたしまして、255(また)(あと)はゆるゆると御清聴(ごせいちやう)(わづら)はします。256オホヽヽ、257万公(まんこう)さま随分(ずゐぶん)(みみ)(いた)からうなア』
258『チヨツ、259万公(まんこう)(まん)がわるいワイ』
260『アーア、261こンな(こと)()ひたい(こと)ないけれど、262これも万公(まんこう)将来(しやうらい)(ため)だから、263モウ一息(ひといき)先生(せんせい)のお(みみ)をわづらはしませうかなア。264コレ万公(まんこう)さま、265(まへ)(けつ)して(にく)うて()ふのぢやない、266たとへ三日(みつか)でも因縁(いんねん)があればこそだ。267(まへ)(ため)()ふのだから、268()いて(くだ)さい。269どうせチツトは(みみ)(いた)いのは請合(うけあひ)だが、270罪亡(つみほろ)ぼしだと(おも)つて辛抱(しんばう)しなさい』
271『ナント御親切(ごしんせつ)なお(ばあ)さまだなア、272五三公(いそこう)もこンな親切(しんせつ)()うて()れるお(ばあ)さまに()ひたいわ。273それからお(ばあ)さま、274(あと)()うなつたのだい』
275『それからお(まへ)さま、276()(まん)野良(のら)仕事(しごと)にやつて()いたところが、277(ねづみ)かなンぞのよに大根(だいこん)(つく)つておけば()ぢつて()ふ。278(かぶら)をひいて()ふ、279サツマ(いも)()からひいて()つて(しま)ふ。280まるで土竜(もぐらもち)()うてをるよなものだ。281こンなものを()うてゐちや百姓(ひやくしやう)をせぬがましだと(おも)つて、282仕方(しかた)なしに(むすめ)見守(みまも)(やく)にしてやつた。283それがサツパリ(わざはひ)(たね)となつたのだ。284()(ばば)熱病(ねつびやう)をわづらつて今日(けふ)明日(あす)(わか)らぬといふやうになつたので、285孝行(かうかう)(むすめ)のお(さと)(この)(まん)をつれて氏神(うぢがみ)(やしろ)参拝(さんぱい)をしたのだ。286ソーすると何時(いつ)()にかお(さと)(はら)がポテレンと(ふと)つて()た。287婿(むこ)(もら)はぬのに(はら)がふくれるといふのは、288コリヤ屹度(きつと)脹満(ちやうまん)(ちが)ひないと藪医(やぶい)先生(せんせい)(たの)ンで()(もら)つたら、289(むすめ)氏神(うぢがみ)(まゐ)りの()かげで(わたし)病気(びやうき)(なほ)つて(しま)うたが(むすめ)脹満(ちやうまん)になつて(しま)つた。290医者(いしや)医者(いしや)だ。291脹満(ちやうまん)脹満(ちやうまん)だといつて矢鱈(やたら)(にが)いものを()ます、292ソレでも十月目(とつきめ)にターンクの(くち)()いてホギヤアと一声(ひとこゑ)293(むすめ)はビツクリして(その)()気絶(きぜつ)して(しま)つたわいのー、294アンアン。295それから(うへ)(した)へと大騒動(おほさうどう)(はじ)め、296朝鮮人蔘(てうせんにんじん)()ましたおかげで、297ヤツトの(こと)()がつき、298おかげで(むすめ)生命(いのち)はとりとめたが、299肝腎(かんじん)(ちち)()ぬものだから、300(うま)れた()(ほね)(かは)とになり、301到頭(とうとう)()ンで(しま)つた。302アーンアーン』
303『ソリヤどうも()(どく)(こと)だなア。304そしてその()一体(いつたい)(たれ)()だい』
305 (ばば)ところまだら(のこ)つた()をかみしめ、306イーンイーンと(あご)をつき()し、307(めう)()つきで万公(まんこう)(かた)をこづくやうな手振(てぶ)りをして、
308此奴(こいつ)此奴(こいつ)だ、309()のガキだよ。310アーンアーン』
311『オイ万公(まんこう)さま、312まンざらでもないのー。313エー、314アクにも一杯(いつぱい)おごつて(もら)はうかい』
315『ウン』
316『それからいろいろと詮議(せんぎ)結果(けつくわ)317(さと)()ふには(まん)さまの()だ。318こうなるのも前生(ぜんしやう)因縁(いんねん)づくぢやから、319何卒(どうぞ)乞食(こじき)(あが)りの(まん)さまでも(わたし)(をつと)(ちが)ひない。320(この)(ひと)()はしてくれなければ()にます()にますと駄々(だだ)をこねるのだ。321(この)(みち)ばかりは(おや)()うする(わけ)にも()かず()()らぬ(をとこ)だと(おも)つたが、322(なに)()うても肝腎(かんじん)(むすめ)がゾツコン(ほれ)こンでゐるのだから、323(この)(ばば)()()つて()寝入(ねい)りにしたのだ。324(ところ)(うん)(わる)いお(さと)産後(さんご)肥立(ひだ)ちが(わる)うて、325(かへ)らぬ(たび)()きました。326アーンアーン』
327(なみだ)(ぬぐ)ふ。
328 五三公(いそこう)はホツと(いき)をつぎ(なが)ら、
329『ナント万公(まんこう)といふ(やつ)(つみ)(こと)をしたものだなア。330刃物(はもの)()たずに二人(ふたり)(ひと)(ころ)しやがつたなア。331道理(だうり)野中(のなか)(もり)(くら)うなるとビリビリふるひよると(おも)つた。332やつぱり()()原因(げんいん)があるのだから、333(おそ)ろしがるのだワイ』
334 万公(まんこう)は、
335『コリヤ五三公(いそこう)336批評(ひひやう)はやめてシツカリきけ。337これからが性念場(しやうねんば)だぞ』
338焼糞(やけくそ)になつて怒鳴(どな)()ててゐる。
339 お(とら)(ことば)()いで、
340『それから(この)(まん)(おん)()らず()341増長(ぞうちよう)しよつて、342まだ(つぼみ)(はな)のお(きく)手込(てご)めにし、343二代目(にだいめ)女房(にようばう)にしようと(たく)みをつたのだ。344流石(さすが)(えら)(をんな)だからお(きく)はポンと肱鉄(ひぢてつ)をくはした。345すると万公(まんこう)()346(いもうと)肱鉄(ひぢてつ)をくはされて()はす(かほ)がないと遺書(おきがき)()いて(わが)()()()り、347()んだ(はな)が、348つぶれたとも、349河童(かつぱ)()がくさくないとも()つて()ず、350本当(ほんたう)(こま)つたガラクタ(をとこ)だ。351(わたし)今日(けふ)小北山(こぎたやま)神様(かみさま)に、352浮木(うきき)(もり)(むら)一時(いちじ)(はや)軍人(いくさびと)()らぬ(やう)になります(やう)(いの)つて()(ところ)へ、353(むすめ)神憑(かむがかり)があり「(いま)(はや)()けば万公(まんこう)出逢(であ)ふ」との御指図(おさしづ)で、354(じつ)(ところ)万公(まんこう)意見(いけん)をしてやらうと(おも)つて()()たのだ。355(この)(うへ)神様(かみさま)には沢山(たくさん)(ひと)がこもつて()るが、356まだ三人(さんにん)五人(ごにん)()られぬ(はず)はないが、357万公(まんこう)様子(やうす)(さぐ)らうと(おも)つてあンな(こと)()つて()つたのだ。358……松彦(まつひこ)先生(せんせい)さま、359(わたし)(うち)では()ういふ(こと)をやつて()ましたから、360(さぞ)世間(せけん)でも(わる)(こと)をして(ある)くでせう。361何卒(なにとぞ)()をつけて真人間(まにんげん)にして(くだ)さい。362因縁(いんねん)あればこそ(むすめ)(はら)をふくらしたのですから、363(むすめ)(ほれ)()つた(をとこ)(にく)いとは(おも)つて()ませぬ、364何卒(どうぞ)一人前(いちにんまへ)人間(にんげん)にして(もら)ひたいと(おも)つて(ふたた)引返(ひつかへ)して()ました』
365(なみだ)(なが)らに(かた)(をは)る。
366(なに)もかもわかりました。367何卒(なにとぞ)御安心(ごあんしん)なさいませ。368(わたし)ばかりか治国別(はるくにわけ)(さま)といふ立派(りつぱ)先生(せんせい)がついて()られますから、369万公(まんこう)(こと)御案(おあん)(くだ)さいますな』
370『ハイ有難(ありがた)(ござ)います、371何卒(どうぞ)よろしう御願(おねが)ひいたします。372サアお(きく)373失礼(しつれい)して一足(ひとあし)(さき)()きませう。374(たつ)さまが()つてゐられますから』
375(みな)さま御面倒(ごめんだう)いたしました。376(きく)はお(さき)失礼(しつれい)いたします』
377左様(さやう)ならば御機嫌(ごきげん)よう』
378五三(いそ)『アハヽヽヽ』
379アク『オツホヽヽヽ』
380 タク、381テクは()(あが)つて、
382『ワツハヽヽヽ面白(おもしろ)面白(おもしろ)いオツホヽヽヽ』
383『アーア、384(わる)(ゆめ)()たものだ。385薩張(さつぱ)(おれ)(かほ)(だい)なしだ。386ドーレこれから(ひと)花々(はなばな)しい功名(こうみやう)をして万公末代(まんこうまつだい)世界(せかい)()(のこ)し、387(さと)(れい)(なぐさ)めてやらうかなア』
388『アハヽヽヽ、389五三公(いそこう)にまで、390万公(まんこう)391到頭(たうとう)(さと)(わか)つたぢやないか。392イヒヽヽヽ』
393大正一一・一二・九 旧一〇・二一 外山豊二録)
   
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