霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一章 榛並樹(はんなみき)〔一二一一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第46巻 舎身活躍 酉の巻 篇:第1篇 仕組の縺糸 よみ:しぐみのれんし
章:第1章 榛並樹 よみ:はんなみき 通し章番号:1211
口述日:1922(大正11)年12月15日(旧10月27日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年9月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
五三公の一行はお民、蠑螈別、お寅、魔我彦の走って行った後を追いかけ、ようやく一本橋を渡り二三町ばかり北進し、榛の樹の道の両方に立ち並ぶ木蔭までやってきた。
お寅と魔我彦は互いにつまづいて重なり合い、唸っていた。五三公たちは二人をみつけてからかい、お寅と魔我彦はののしりあっている。万公とアクは、三五教の神力で逃げた二人が帰ってくるように祈ってやるから、ひとまず小北山へ帰ろうと連れて戻った。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:7頁 八幡書店版:第8輯 363頁 修補版: 校定版:7頁 普及版:3頁 初版: ページ備考:
派生[?]この文献を底本として書かれたと思われる文献です。[×閉じる]出口王仁三郎著作集 > 第三巻「愛と美といのち」 > [2] 人生 > [2-5] 仕事に生きる > [2-5-15] 働くということ
001(すゑ)(つひ)(うみ)となるべき山水(やまみづ)
002()ばし()()(した)(くぐ)るなり。
003(この)()(つく)(かた)めたる
004天地(てんち)御祖(みおや)()れませる
005国治立(くにはるたち)大神(おほかみ)
006世人(よびと)(すく)御教(みをしへ)
007(あま)御空(みそら)青雲(あをくも)
008棚引(たなび)くきはみ白雲(しらくも)
009墜居向伏(おりゐむかふ)(その)(きは)
010平和(へいわ)(かぜ)()きすさみ
011仁慈(じんじ)(あめ)()りしきる
012天地(あめつち)四方(よも)人草(ひとぐさ)
013(くさ)片葉(かきは)(いた)(まで)
014(めぐ)みの(つゆ)(あた)へむと
015豊栄昇(とよさかのぼ)()御影(みかげ)
016大空(おほぞら)(つた)(つき)(かげ)
017きらめく(ほし)数多(かずおほ)
018世人(よびと)(みちび)宣伝使(せんでんし)
019四方(よも)(つか)はし三五(あななひ)
020(をしへ)天下(てんか)()(たま)
021さはさりながら曲津霊(まがつひ)
022(かみ)(おな)じく(かみ)御子(みこ)
023(いん)(やう)との御水火(みいき)より
024(あら)はれ()でしものなれば
025(ひろ)(たふと)皇神(すめかみ)
026御目(みめ)より(これ)見給(みたま)へば
027宇内同胞(うだいどうはう)(かみ)御子(みこ)
028仁慈(じんじ)(こころ)(かは)るべき
029()はゆき(つき)はひた(はし)
030(ほし)(うつ)ろふに(したが)ひて
031八岐大蛇(やまたをろち)醜神(しこがみ)
032彼方(かなた)此方(こなた)(あら)はれて
033軽生重死(けいせいぢゆうし)(をしへ)をば
034四方(よも)(ひら)くぞうたてけれ
035バラモン(けう)やウラル(けう)
036ウラナイ(けう)各自(めいめい)
037体主霊従(たいしゆれいじう)(たましひ)
038(むか)(ところ)(したが)ひて
039あらぬ(をしへ)拡充(くわくじう)
040(かみ)御子(みこ)たる神人(しんじん)
041(まど)はしゆくこそ忌々(ゆゆ)しけれ
042高姫司(たかひめつかさ)(あと)をうけ
043北山村(きたやまむら)立出(たちい)でて
044小北(こぎた)(やま)立籠(たてこも)
045支離(しり)滅裂(めつれつ)教理(けうり)をば
046道理(だうり)()らぬ愚者(ぐしや)(ども)
047有難(ありがた)さうに()きつけて
048(やうや)(ここ)神殿(しんでん)
049(をしへ)射場(いば)建並(たてなら)
050蠑螈別(いもりわけ)教主(けうしゆ)とし
051魔我彦(まがひこ)、お(とら)文助(ぶんすけ)
052(その)(ほか)(もも)幹部(かんぶ)たち
053(かみ)(おん)(ため)()(ため)
054(まよ)()つたる(こころ)より
055一心不乱(いつしんふらん)妖言(えうげん)
056コケ徳利(どつくり)のドブドブと
057()()世人(よびと)(たましひ)
058()はせ(にご)らせ(くも)らせつ
059世界(せかい)唯一(ゆゐいつ)御教(みをしへ)
060(みづか)(しん)(また)(まよ)
061(めくら)(つんぼ)同様(どうやう)
062()もたなしらに(すす)()
063蠑螈別(いもりわけ)曲神(まがかみ)
064(たま)(やぶ)られ朝夕(あさゆふ)
065(かみ)出入(でいり)肉宮(にくみや)
066()ひつつ(さけ)()ひくらひ
067呂律(ろれつ)もまはらぬ(した)()
068数多(あまた)男女(だんじよ)()(くに)
069(そこ)(くに)までおとしゆく
070(なん)にも()らぬ信徒(まめひと)
071(めくら)手引(てびき)()らずして
072自分(じぶん)(めくら)となりすまし
073(たふと)(みち)(しん)じつつ
074随喜(ずいき)(なみだ)諸共(もろとも)
075暗黒界(あんこくかい)一心(いつしん)
076()らず()らずに()ちて()
077(その)惨状(さんじやう)(すく)はむと
078(かみ)御言(みこと)(かしこ)みて
079三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
080治国別(はるくにわけ)(つか)へたる
081万公(まんこう)五三公(いそこう)(はじ)めとし
082バラモン(けう)信徒(しんと)なる
083松彦(まつひこ)、アク、タク、テク四人(よにん)
084(かみ)のまにまに河鹿川(かじかがは)
085一本橋(いつぽんばし)(たもと)にて
086不思議(ふしぎ)(つな)にまとはれつ
087小北(こぎた)(やま)神殿(しんでん)
088(のぼ)(きた)れば曲神(まがかみ)
089(なん)とはなしに()(おそ)
090次第々々(しだいしだい)()()りて
091蠑螈別(いもりわけ)魔我彦(まがひこ)
092(とら)()さまを(かざ)りたる
093金箔(きんぱく)(たちま)剥脱(はくだつ)
094(おも)ひもよらぬ醜状(しうじやう)
095演出(えんしゆつ)せしぞ可笑(をか)しけれ
096蠑螈別(いもりわけ)高姫(たかひめ)
097(つか)(あひだ)(わす)()
098(こひ)(ほのほ)(むね)こがし
099(うつ)(さん)ぜむ(その)(ため)
100(どく)()りつつ無理(むり)無体(むたい)
101(さけ)(まぎ)らす果敢(はか)なさよ
102(はし)とる(こと)にまめやかな
103(かれ)(また)もや衣笠(きぬがさ)
104(むら)より(きた)るお(たみ)をば
105此上(こよ)なきナイスと(おも)ひつめ
106(とら)()さまの()(しの)
107(たがひ)秋波(しうは)交換(かうくわん)
108開始(かいし)しゐたる(をり)もあれ
109松彦(まつひこ)さまや熊公(くまこう)
110突然(とつぜん)ここに(あら)はれて
111()置所(おきどころ)なきままに
112(とら)(すき)(うかが)ひて
113(いのち)より大事(だいじ)(たくは)へし
114(かね)懐中(くわいちゆう)(たく)しこみ
115(こひ)しきお(たみ)()をとつて
116(やみ)(まぎ)れて随徳寺(ずゐとくじ)
117あと白浪(しらなみ)()えてゆく
118(とら)()さまは(はら)()
119(かみ)ふり(みだ)阿修羅王(あしゆらわう)
120()れたる(ごと)(いきほひ)
121言霊(ことたま)(にご)るひきがへる
122ガアガア(こゑ)張上(はりあ)げて
123(しり)ひつからげ坂道(さかみち)
124おのれ蠑螈別(いもりわけ)(やつ)
125どこの何処(いづこ)(ひそ)むとも
126(あと)つけねらひ素首(そつくび)
127とつつかまへて(あわ)()かせ
128(おも)存分(ぞんぶん)(はな)をねぢ
129(うらみ)()らさにやおくべきか
130それについてもお(たみ)()
131(ゆる)しておいちや()破目(はめ)
132(かね)(こひ)とに村肝(むらきも)
133(こころ)(みだ)しあとさきも
134水音(みなおと)(きよ)河鹿川(かじかがは)
135一本橋(いつぽんばし)()(わた)
136野中(のなか)(もり)()げて()
137二人(ふたり)(あと)()つかける
138(わる)(とき)には(わる)いもの
139蠑螈別(いもりわけ)()げしなに
140(みち)片方(かたへ)()(みき)
141(つな)をしばりて()(きた)
142(とら)()さまの(あし)さらへ
143こかして(あわ)()かせむと
144(たく)みおいたる(その)(わな)
145もろくもかかりステンドと
146こけた拍子(ひやうし)(はな)をうち
147ウンウンウンと(うな)りつつ
148気絶(きぜつ)したるぞ是非(ぜひ)なけれ
149(あと)(のこ)りし松彦(まつひこ)
150(とら)()さまや蠑螈別(いもりわけ)
151()()(あと)打眺(うちなが)
152五三公(いそこう)万公(まんこう)(その)(ほか)
153三人(みたり)(をとこ)(つか)はして
154二人(ふたり)(あと)()はしめぬ
155(また)魔我彦(まがひこ)恋慕(こひした)
156(たみ)姿(すがた)()えしより
157仮令(たとへ)(たみ)(あま)かけり
158地下(ちか)鉄道(てつだう)打乗(うちの)つて
159何処(いづこ)(はて)へかくるとも
160(さが)さにやおかぬと()をいらち
161鼻息(はないき)(あら)くトントンと
162これ(また)(あと)()うてゆく
163かかる怪体(けたい)騒動(さうだう)
164無心(むしん)(つき)(やま)()
165利鎌(とがま)のやうな(ひかり)なげ
166(はるか)地上(ちじやう)瞰下(かんか)して
167ニコニコ(わら)(なが)めゐる
168五三公(いそこう)万公(まんこう)(ほか)三人(みたり)
169松彦(まつひこ)さまの命令(めいれい)
170これ(また)(しり)をひんまくり
171三人(みたり)行衛(ゆくゑ)(さが)さむと
172一生懸命(いつしやうけんめい)(あせ)をかき
173()()(ごと)大地(だいち)をば
174ドンドンドンと威喝(ゐかつ)させ
175一本橋(いつぽんばし)をギクギクと
176弓張月(ゆみはりづき)(たわ)ませつ
177(あやふ)(わた)大野原(おほのはら)
178野中(のなか)(もり)目当(めあて)とし
179(つき)(ひかり)()びながら
180ゲラゲラゲラと(わら)ひつつ
181くり()(すす)むぞ可笑(をか)しけれ
182あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
183(この)面白(おもしろ)物語(ものがたり)
184()らさず(おと)さずまつぶさに
185()べさせ(たま)惟神(かむながら)
186月照彦(つきてるひこ)御前(おんまへ)
187(かしこ)(かしこ)()ぎまつる。
188 五三公(いそこう)一行(いつかう)はお(たみ)189蠑螈別(いもりわけ)190(とら)191魔我彦(まがひこ)遁走(とんそう)した(あと)()つかけ、192(やうや)一本橋(いつぽんばし)(わた)二三町(にさんちやう)ばかり北進(ほくしん)し、193(はん)()(みち)両方(りやうはう)立並(たちなら)樹蔭(こかげ)までやつて()た。194ウンウンと(あや)しき(こゑ)(きこ)えて()た。
195万公(まんこう)『オイ御一同(ごいちどう)196どうやらお(とら)()アさまが(いも)をいけてをるとみえて、197ウンウンと気張(きば)つてゐるぢやないか。198どうもウンの(わる)()アさまと()えるワイ。199一寸(ちよつと)ここらでウン(どう)中止(ちうし)をやらうぢやないか』
200アク『中下先生(ちうげせんせい)のお言葉(ことば)(したが)つて、201ここで一先(ひとま)停車(ていしや)する(こと)にしよう。202(なん)だか(はん)のかげでシツカリ(わか)らないが二人(ふたり)ゐるやうだ』
203『そりや大方(おほかた)蠑螈別(いもりわけ)さまと此処(ここ)にやつてゐるのだらう、204そりや都合(つがふ)()い、205オイ、206イヤもうし、207ウラナイ(けう)教主様(けうしゆさま)208立派(りつぱ)(いへ)がありながら、209物好(ものずき)な、210こんな(とこ)まで()()安眠(あんみん)するといふ(こと)がありますか、211サア()きたり()きたり』
212(そば)()つてよく(かほ)をのぞいて()れば魔我彦(まがひこ)であつた。213魔我彦(まがひこ)はお(とら)()アさまの(たふ)れた(からだ)(つまづ)いて、214ここに(あし)をひつかけ、215ひつくり(かへ)り、216(ひざ)をしたたか()つて(いた)さをこらへ、217(わづか)にウンウンと(いき)をもらしてゐたのである。218(とら)()アさまも一旦(いつたん)気絶(きぜつ)してゐたが、219魔我彦(まがひこ)()まれてハツとして()がつき、220めしやげた(はな)両手(りやうて)(おさ)地上(ちじやう)(たふ)れて()たので、221魔我彦(まがひこ)(そば)にこけてゐることには()がつかなかつたのである。
222タク『ヤア、223これはこれは(たがひ)(ちが)ひの御夫婦(ごふうふ)だ。224これ魔我彦(まがひこ)さま、225(わし)ぢやからよいが、226蠑螈別(いもりわけ)さまの()についたら、227それこそ大変(たいへん)(おこ)られますよ。228(とら)さまと(まくら)(なら)べて、229(くさ)(しとね)(ほし)夜着(よぎ)230(あま)物好(ものずき)にも(ほど)があるぢやないか、231サア()きたり()きたり』
232 魔我彦(まがひこ)はお(とら)()アさまをお(たみ)だと(おも)ひつめ、233一生懸命(いつしやうけんめい)(すそ)(にぎ)つて、234一方(いつぱう)()(ひざ)()でて()つたが、235(とら)()アさまと()いて、236(やや)落胆失望的(らくたんしつばうてき)(こゑ)をあげ、
237『あゝあ、238(なん)だ、239人違(ひとちが)ひか、240(たみ)(やつ)241どこへ()きやがつた。242大方(おほかた)蠑螈別(いもりわけ)逐電(ちくでん)しやがつたのだろ。243何処(どこ)までも()つかけて、244とつつかまへねば(おれ)(をとこ)()たぬ。245これお(とら)さま、246(まへ)蠑螈別(いもりわけ)を、247とつつかまへて、248十分(じふぶん)(はな)でも()ぢて、249(たみ)(こと)(おも)()らして(くだ)さい。250さうすりや、251(まへ)もよし、252(わし)もよし、253かたみ(うら)みもなし、254こんな上分別(じやうふんべつ)はありませぬ』
255半泣声(はんなきごゑ)(ひざ)(きず)()でながら口説(くど)いてゐる。
256(とら)『エヽ残念(ざんねん)やな、257高姫(たかひめ)にお(たみ)258のつく(やつ)何処(どこ)までも(わし)(たた)ると()える。259仮令(たとへ)他国(たこく)(はし)るとも(たづ)()して(たた)きつけ、260沢山膏(あぶら)()つてやらねば、261ただでは()まされぬ。262エヽ口惜(くちを)しい』
263万公(まんこう)『ハツハヽヽヽ、264失恋党(しつれんたう)秘密会議(ひみつくわいぎ)開催(かいさい)されてゐるワイ。265これお(とら)さま、266みつともないぢやないか、267チツトしつかりせぬかい、268エヽー、269(なに)をメソメソ()いてゐるのだ。270海千山千川千(うみせんやませんかはせん)(した)(ぱら)()のない(ところ)御覧(ごらん)なさいと()(やう)なシタタカ(もの)(くせ)に、271さてもさても戸惑(とまど)うたものだなア。272蠑螈別(いもりわけ)一人(ひとり)(をとこ)ぢやあるまいし、273(なん)ならここにテクが一人(ひとり)274(まへ)さまの(こと)大変(たいへん)()めてゐたから、275(ひと)鞍替(くらがへ)をしたらどうだい。276河鹿川(かじかがは)でサツパリ(あら)()りと()(まく)(ひら)くのだな。277さうすりや(こひ)執着(しふちやく)もスツクリ()れて、278(あたら)しい立派(りつぱ)(わか)(をつと)()てると()ふものだ。279なア、280テク(こう)281(まへ)もお(とら)さまなら満足(まんぞく)だらう』
282テク『馬鹿(ばか)にするない、283太平洋(たいへいやう)牛蒡(ごばう)(あら)つてる(やう)(おほ)きな代物(しろもの)御免(ごめん)だ。284(ひと)暴風(ばうふう)()いて()よ、285(たちま)帆柱(ほばしら)まで沈没(ちんぼつ)(やく)()ふからなア』
286万公(まんこう)『イツヒツヒツヒ、287これ魔我(まが)さま、288チツトしつかりせぬかいな、289何時(なんどき)だと(おも)つてゐるのだい、290物好(ものずき)に、291こんな老朽船(らうきうせん)(あと)()うて()るといふ(こと)があるものか、292サア小北山(こぎたやま)(かへ)らうぢやないか』
293魔我(まが)『アイタヽヽ、294(この)魔我彦(まがひこ)(をとこ)だ。295トベラに焼酎(せうちう)をふいたやうな(にほひ)のするやうなお()アさまを、296(なん)(おれ)だつて追跡(つゐせき)するものかい、297(おれ)はこんな梅干婆(うめぼしば)アさまは(もと)より眼中(がんちう)にないのだ』
298 お(とら)はめしやげた(はな)で、299(めう)(こゑ)()しながら、
300『コリヤ、301魔我公(まがこう)302失礼(しつれい)(こと)(まを)すと承知(しようち)せぬぞ、303どこが梅干(うめぼし)だ、304梅干(うめぼし)といふのは皺苦茶婆(しわくちやばば)(こと)だよ。305まだ(この)(とほ)りデツプリと肉付(にくつき)のよい白浪婆(しらなみば)アさま、306元気(げんき)(ざか)りを、307(あま)見下(みさ)げるものぢやない。308そんな失礼(しつれい)(こと)(まを)すと、309蠑螈別(いもりわけ)さまのやうに(はな)(ねぢ)つてやろか』
310魔我(まが)『エヽ滅相(めつさう)な、311梅干(うめぼし)……と()つたのは粋人(すゐじん)()つたのだ、312(うめ)(くらゐ)すいなものはないからな。313さう悪取(わるど)りして(もら)つちや、314魔我彦(まがひこ)もマガ(わる)くて(こま)りますワイ』
315(とら)『お(まへ)()(こと)(いつは)りがなければ、316それでよい、317ヤツパリわたしは粋人(すゐじん)だらうがな、318コラ魔我(まが)319そんな(うま)(こと)()つても、320このお(とら)さまは駄目(だめ)だから(あきら)めたがよからうぞ』
321タク『ウワツハツハツハ、322自惚(うぬぼれ)とカサケのない(もの)はないと()(こと)だが、323本当(ほんたう)(めう)チキ(ちん)だ、324イツヒヽヽ』
325魔我(まが)(この)(とら)さまはエライものだよ、326横根(よこね)疳瘡(かんさう)(ほね)うづきの関門(くわんもん)をとほの(むかし)突破(とつぱ)し、327トベラ(たうげ)打越(うちこ)え、328屏風ケ岳(びやうぶがだけ)進行中(しんかうちう)だからなア、329(なん)せよ両屏風(りやうびやうぶ)豪傑(がうけつ)だからな、330ウツフツフフ、331フツフ』
332タク『両屏風(りやうびやうぶ)つて(なん)だい、333(めう)(こと)()ふぢやないか、334(いへ)(なか)ぢやあるまいし、335こんな(ところ)屏風(びやうぶ)()つて()(なん)にするのだい、336こんな(みち)真中(まんなか)屏風(びやうぶ)()きまはして結婚(けつこん)でもあるまいし』
337魔我(まが)『ハツハヽヽヽ、338余程(よほど)世間見(せけんみ)ずだな、339貴様(きさま)()おぼこいワイ、340両屏風(りやうびやうぶ)()つたら両方(りやうはう)横根(よこね)だ、341(かた)(ぽう)横根(よこね)片屏風(かたびやうぶ)()ふのだ。342そしてなア、343(とら)さまのやうに毎木毒(まいぼくどく)頭髪(とうはつ)のうすくなつたのを、344トヤといふのだ。345(この)(みち)にかけたら魔我(まが)さまもマガなスキがな研究(けんきう)してゐるから随分(ずゐぶん)博士(はかせ)だよ』
346万公(まんこう)何時(いつ)までもこんな(ところ)でグヅグヅしてゐても仕方(しかた)がないぢやないか、347()(かく)348小北山(こぎたやま)まで(かへ)らう、349(おれ)神変(しんぺん)不思議(ふしぎ)神術(かむわざ)で、350(たみ)蠑螈別(いもりわけ)足止(あしど)めをしてやるから、351安心(あんしん)せい』
352アク『三五教(あななひけう)神力(しんりき)足止(あしど)めのみならず、353小北山(こぎたやま)両人(りやうにん)(かへ)つて()(やう)(かみ)さまに(ねが)つて鎮魂(ちんこん)をしてやるワ、354サアお(とら)()アさま、355魔我(まが)さま、356()なう、357小北山(こぎたやま)(たぬき)(あし)(あら)うて()時分(じぶん)だ、358モウ()(こく)だ。359()()いた化物(ばけもの)引込(ひつこ)時分(じぶん)だぞ。360サア下腹(したはら)()のない()アさま、361(かへ)らう(かへ)らう、362偕老同穴(かいらうどうけつ)だ。363アツハツハツハ』
364(とら)(なに)365三五教(あななひけう)神力(しんりき)蠑螈別(いもりわけ)とお(たみ)(かへ)してやらうと()ふのかい。366実際(じつさい)にそんな(こと)出来(でき)るとすれば、367(この)(とら)もこんなに(ほね)()必要(ひつえう)がない、368あ、369それなら一先(ひとま)(かへ)(こと)にしよう。370(しか)しお(たみ)はモウ(かへ)していらないから、371蠑螈別(いもりわけ)だけを此方(こちら)引寄(ひきよ)せて(もら)ひたいものだ。372さうすりや、373(わたし)三五教(あななひけう)にスツパリと帰順(きじゆん)して(しま)ひますワ』
374万公(まんこう)『ハヽヽヽヽ、375随分(ずゐぶん)現金(げんきん)()アさまだな。376モシ先生(せんせい)377どうでせう、378蠑螈別(いもりわけ)引戻(ひきもど)予算(よさん)成立(せいりつ)してゐますかな』
379五三(いそ)(たし)かに成立(せいりつ)してゐる、380(しか)しこれも()アさまの心次第(こころしだい)だ。381ヤアお(とら)さま、382()なう()なう』
383(とら)(なに)()もあれ、384旅装束(たびしやうぞく)もせず、385腹立紛(はらだちまぎ)れにまつ跣足(ぱだし)でやつて()たのだから、386(たび)をしようと()つても(この)(まま)ではいかない、387一遍(いつぺん)(かへ)りませう。388コレ魔我(まが)さま、389(まへ)蠑螈別(いもりわけ)(あと)()うて、390(たみ)()()りドツカの山奥(やまおく)へでも(しばら)(かく)れてゐなさい、391モウ小北山(こぎたやま)(かへ)必要(ひつえう)はないから……』
392魔我(まが)(わし)だつて、393まつ跣足(ぱだし)で、394(この)(とほ)帯取裸(おびとりはだか)だ。395一本橋(いつぽんばし)(わた)(とき)履物(はきもの)をおとし、396(おび)(ふんどし)(かは)(なか)へおち()んで(しま)つた、397懐中物(くわいちうもの)もドコで(おと)したか(わか)らぬ、398()(かく)一遍(いつぺん)(かへ)らな()うする(こと)出来(でき)ない。399(わし)(わし)でウラナイ(けう)副教主(ふくけうしゆ)といふ絶対(ぜつたい)権威(けんゐ)()つてゐるのだから、400是非(ぜひ)(かへ)らなくてはならない、401教祖(けうそ)()(あと)副教祖(ふくけうそ)教権(けうけん)掌握(しやうあく)するのは当然(たうぜん)だ』
402(とら)『それなら仕方(しかた)()い。403魔我(まが)さまもお(かへ)りなさい』
404万公(まんこう)魔我(まが)さまが副教祖(ふくけうそ)で、405(これ)からは全権(ぜんけん)(にぎ)るのだから、406さうするとヤツパリお(とら)さまは、407蠑螈別(いもりわけ)(たい)する同様(どうやう)待遇振(たいぐうぶり)を、408魔我(まが)さまに(たい)して(ささ)ぐるのだな』
409(とら)『ヘン、410阿呆(あはう)らしい、411(たま)(ちが)ひますわいな、412ホツホヽヽヽ』
413 五三公(いそこう)414(とら)(ほか)五人(ごにん)は、415ヤツトの(こと)小北山(こぎたやま)教主館(けうしゆやかた)まで(かへ)つて()た。
416大正一一・一二・一五 旧一〇・二七 松村真澄録)