霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二〇章 (かね)(ちから)〔一二三〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第46巻 舎身活躍 酉の巻 篇:第4篇 謎の黄板 よみ:なぞのおうばん
章:第20章 第46巻 よみ:かねのちから 通し章番号:1230
口述日:1922(大正11)年12月16日(旧10月28日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年9月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
バラモン軍の目付、コー、ワク、エムはお民に投げられては起き上がり、投げられては起き上がり戦っている。そこへ蠑螈別が走ってきたが、この様を見るなり腰を抜かして倒れてしまった。
お民は蠑螈別に助けを求めるが、腰を抜かした蠑螈別は、これしきの相手に自分が出る幕ではないと強がりを言う。蠑螈別の異変を察したお民は、バラモンの目付たちに一時休戦を申し入れて、休息を取った。
蠑螈別の様子がおかしいことに気付いた目付たちは、蠑螈別に立ってみろと騒ぎ立てる。蠑螈別は五人の目付たちに四千両の小判を渡して買収した。五人は小判を受け取りホクホクしている。
そこへ大目付のエキスがやってきた。蠑螈別は、残りの五千両をエキスにわいろとして渡し、その代わりにランチ将軍の家来になれるように取り計らってほしいと頼み込んだ。エキスは承諾し、蠑螈別とお民を駕籠に乗せてランチ将軍の陣営に送り届けることになった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4620
愛善世界社版:250頁 八幡書店版:第8輯 448頁 修補版: 校定版:262頁 普及版:103頁 初版: ページ備考:
派生[?]この文献を底本として書かれたと思われる文献です。[×閉じる]出口王仁三郎全集 > 第五巻 言霊解・其他 > 【随筆・其他】 > 三つの問題 > 金の問題
001 コー、002ワク、003エムは一人(ひとり)のお(たみ)相手(あひて)に、004()げられては()き、005()げつけられては()き、006武者振(むしやぶ)りついて(いど)(たたか)うてゐる。007そこへ、008枯草(かれくさ)野道(のぢ)()けて「おーい おーい」と(よば)はりながら近寄(ちかよ)つて()一人(ひとり)(をとこ)009(この)(てい)()て、
010『やあ、011(まへ)はお(たみ)か』
012()つたきり、013ドスンと(こし)()かし(たふ)れて(しま)つた。014(たみ)は、015三人(さんにん)相手(あひて)にしながら、
016『あゝ蠑螈別(いもりわけ)さま、017よう()(くだ)さつた。018(わたし)019野中(のなか)(もり)まで()つた(ところ)020あまり沢山(たくさん)人声(ひとごゑ)がするので、021本街道(ほんかいだう)()ようと(おも)つて此処(ここ)までやつて()(ところ)022泥棒(どろばう)(やう)(やつ)()無体(むたい)(こと)()つて(とほ)そまいとするのよ。023それで此方(こちら)仕方(しかた)がないから(ひと)(おも)()らしてやらうと(おも)つて活劇(くわつげき)をやつてゐる(ところ)だ。024よい(ところ)()(くだ)さつた。025さあ、026(ひと)貴方(あなた)手伝(てつだ)つて(くだ)さい』
027 蠑螈別(いもりわけ)(こし)()かして身体(からだ)自由(じいう)()かなくなつてゐる。028(しか)(てき)弱身(よわみ)()せては一大事(いちだいじ)(こころ)(さだ)め、
029『アツハヽヽヽ、030(たみ)031それしきの蠅虫(はへむし)(おれ)()るまでもないぢやないか。032(おれ)此処(ここ)でゆつくりと、033煙草(たばこ)でも()んで見物(けんぶつ)するから、034(ひと)つお(まへ)活動(くわつどう)()りを()せて(もら)はう』
035最前(さいぜん)から(なが)らく()()つてゐるのだから、036(わたし)(いき)()れさうなのよ。037さあ貴方(あなた)038()(かは)つて(ひと)此奴(こいつ)(こら)してやつて(くだ)さい。039(なに)ゆつくりして()なさるの』
040『さあ、041さう(いそ)いだつて仕方(しかた)がないぢやないか』
042 お(たみ)蠑螈別(いもりわけ)吃驚腰(びつくりごし)()けた(こと)直覚(ちよくかく)した。
043(たみ)『こりや三人(さんにん)(をとこ)ども、044大将軍(だいしやうぐん)のお()ましだから(ひと)此処(ここ)(みづ)()れたら如何(どう)だ。045いづれ勝敗(しようはい)はきまつてゐるが、046(まへ)随分(ずゐぶん)(のど)がひつついただらう』
047コー『それなら一寸(ちよつと)一服(いつぷく)しようかな。048おい、049ワク、050エム、051もとから(おや)(かたき)でもなし、052怪我(けが)しちや(たがひ)によい損恥(そんはぢ)だ。053(くに)には妻子(さいし)もあるのだからな』
054ワク『うん、055そりや、056さうだ。057それならまあ、058一寸(ちよつと)休戦(きうせん)かな』
059エム『(おれ)中立国(ちうりつこく)となつて平和(へいわ)調停(てうてい)(つと)むる(こと)としよう』
060(たみ)『ホヽヽヽ、061まあ(みな)さま、062多少(たせう)負傷(ふしやう)をなさつた塩梅(あんばい)だから、063此処(ここ)赤十字(せきじふじ)病院(びやうゐん)として敵味方(てきみかた)区別(くべつ)なく(きず)()えるまで休戦(きうせん)しようかな』
064エム『至極(しごく)妙案(めうあん)だ。065そいつあ面白(おもしろ)い、066(いち)067()068(さん)
069()ひながら三人(さんにん)蠑螈別(いもりわけ)一間(いつけん)ばかり(へだ)たつた(ところ)に、070単縦陣(たんじうぢん)()つて(こし)(おろ)休息(きうそく)しながら(あせ)()いてゐる。
071(たみ)『もし、072蠑螈別(いもりわけ)さま、073貴方(あなた)あまり冷淡(れいたん)ぢやありませぬか。074女房(にようばう)がこれ(ほど)苦戦(くせん)してるのに、075高見(たかみ)から見物(けんぶつ)するとは不人情(ふにんじやう)(きは)まる、076(しか)大方(おほかた)077吃驚腰(びつくりごし)()けたのだらうね。078(てき)(なか)だから、079そんなに(あわ)ててはなりませぬよ』
080(みみ)(はた)(ささや)く。081コーは(はや)くも(この)(こゑ)()きとつた。
082『ハヽヽヽヽ、083(なん)だ、084俺達(おれたち)武勇(ぶゆう)恐縮(きようしゆく)して吃驚腰(びつくりごし)()かしよつたのだよ。085おい、086ワク、087エム、088最早(もはや)大丈夫(だいぢやうぶ)だ。089(おそ)るる(こと)(すこ)しもないぞ。090糞落着(くそおちつ)きに落着(おちつ)いて()やがると(おも)つたら、091アハヽヽヽ()かしよつたのだ』
092 ワク、093エム一度(いちど)に、
094『アツハヽヽヽ』
095蠑螈(いもり)吾々(われわれ)(かみ)(くに)軍人(ぐんじん)だ。096肉体(にくたい)人間(にんげん)(たい)しては門外漢(もんぐわいかん)だ。097これしきの(てき)(たい)して(こし)()かすやうな卑怯者(ひけふもの)何処(どこ)にあるか。098見違(みちが)ひするにも(ほど)があるぞ』
099コー『ヘン、100()れた(をんな)(まへ)だと(おも)つて痩我慢(やせがまん)()つたつて、101チヤンと見抜(みぬ)いてあるのだ。102それが()見違(みちが)つて()るのなら()つて御覧(ごらん)
103蠑螈(いもり)『いや(その)()なら、104たつてお(ことわ)(まを)す。105(こし)()たないが(はら)随分(ずゐぶん)()つてゐる』
106コー『(おれ)(なん)だかナイスの(かほ)()ると()つて()たやうだワイ。107()つて()つて()(むか)ふと()塩梅式(あんばいしき)だ。108武士(もののふ)さちや(ばさ)()(むか)ひ、109いるまとかた()るにさやけし」と()つて、110まとかたと()つて気分(きぶん)のよい名所(めいしよ)だな』
111蠑螈(いもり)『こりやこりや三人(さんにん)(やつ)112こんな(ところ)まとかたがあるか。113そんな地名(ちめい)自凝島(おのころじま)名所(めいしよ)だ』
114エム『(なん)だか()らねえが、115吾々(われわれ)(ひと)つのまとかたがあつて活動(くわつどう)開始(かいし)してるのだ』
116蠑螈(いもり)『そのまと()ふのは一体(いつたい)(なん)だ』
117エム『()はいでも推量(すゐりやう)したが()からうぞ。118軍人(ぐんじん)(けん)泥棒(どろばう)さまだ。119おれさまの要求(えうきう)する(ところ)(けつ)して(いし)でも(かはら)でもない、120(また)(みづ)でも(ちや)でもないのだ』
121蠑螈(いもり)『アハヽヽヽ、122貴様(きさま)(かね)さへ()れば()むのだな。123(かね)()むのなら(やす)(こと)だ。124此処(ここ)にちつとだけれど九千(きうせん)()つてゐる。125如何(どう)だ、126(これ)をちつとばかり貴様(きさま)にやらうか』
127コー『そんな目腐(めくさ)(がね)()をかける泥棒(どろばう)があると(おも)つて()るか』
128蠑螈(いもり)一千(いつせん)ばかり()らうか』
129エム『三人(さんにん)(なか)一銭(いつせん)(くらゐ)(もら)つても三厘三毛(さんりんさんまう)よりならぬぢやないか。130馬鹿(ばか)にしやがるない。131まだ此処(ここ)弱虫(よわむし)二人(ふたり)(ふる)つて()るのだから、132頭割(あたまわ)りにすれば二厘(にりん)にしかならない。133饅頭(まんぢう)半分(はんぶん)()へない(やう)目腐(めくさ)(がね)()ちやがつて、134(かね)だなんて、135あまり(ひと)馬鹿(ばか)にするない』
136蠑螈(いもり)『ハヽヽヽヽ感違(かんちが)へしやがつたのだな。137(おれ)九千(きうせん)()ふのは九千円(きうせんゑん)(こと)だ。138それだからお前達(まへたち)一千円(いつせんゑん)やらうと()ふのだ』
139コー『ヤア、140そいつは結構(けつこう)だ。141頂戴(ちやうだい)する(こと)にしようかな。142強奪(がうだつ)すれば純然(じゆんぜん)たる泥棒(どろばう)だが、143(むか)ふから()らうと()ふのに(もら)ふのは当然(あたりまへ)だ』
144蠑螈(いもり)(もら)つても()つても(おな)(こと)ぢやないか。145名分(めいぶん)のみ(もら)つたにした(ところ)で、146実際(じつさい)脅迫(けうはく)されて()るのだから()られたやうなものだ。147オイ泥棒(どろばう)148それなら千円(せんゑん)此処(ここ)にあるから受取(うけと)れ』
149エム『オイ、150ワク、151コー、152(もら)つても泥棒(どろばう)同様(どうやう)だと()ふぢやないか。153泥棒(どろばう)()はれちや馬鹿(ばか)らしい。154一千円(いつせんゑん)(ぐらゐ)(もら)つても、155つまらぬぢやないか。156九千円(きうせんゑん)全部(ぜんぶ)強奪(がうだつ)してやらうかい。157(おな)泥棒(どろばう)()はれるのなら(ふと)(はう)(とく)だからな』
158蠑螈(いもり)(じつ)(ところ)は、159(おれ)もお寅婆(とらばあ)さまが(たくは)へて()つたのを泥棒(どろばう)して()たのだ。160(この)(たみ)だつて共謀(きようぼう)(うへ)だ。161さうすりや(おれ)もお(たみ)(その)一部分(いちぶぶん)(くは)はるだけの資格(しかく)具備(ぐび)してるのだから、162貴様等(きさまら)三人(さんにん)三千円(さんぜんゑん)やらう。163さうして、164そこに()人足(にんそく)には二人(ふたり)千円(せんゑん)やる(こと)にしよう。165(のこ)五千円(ごせんゑん)はまあ(おれ)所得(しよとく)にして()かうかい。166(おれ)(これ)からまだまだ遠国(ゑんごく)()かなくちやならないからな』
167コー『(なん)比較的(ひかくてき)(よく)のない腰抜(こしぬ)けだな』
168蠑螈(いもり)『ウン、169腰抜(こしぬ)けだ。170(こし)さへ()てば一文(いちもん)だつてやる気遣(きづか)ひはないのだが、171(いづ)貴様等(きさまら)()られて(しま)可能性(かのうせい)があるのだから、172(おれ)(はう)から、173くだけて()たのだ。174一人(ひとり)千円(せんゑん)()銭儲(ぜにまう)けは、175貴様(きさま)一生(いつしやう)(はたら)いたつて出来(でき)やしないぞ。176オイ、177三人(さんにん)(やつ)178按摩賃(あんまちん)だと(おも)つて(おれ)(こし)()んで()れ。179さうすりや。180(また)三円(さんゑん)ばかり(あらた)めて(めぐ)んでやらぬ(こと)もないから』
181ワク『イヤ、182(うま)れてから()(こと)もない千円(せんゑん)(かね)(もら)つて、183(また)(その)(うへ)(いただ)くやうな(こと)をしちや冥加(みやうが)につきます。184もう一厘(いちりん)()りませぬから(こし)()まして(くだ)さいな』
185蠑螈(いもり)『ウン、186差許(さしゆる)す。187さあ、188しつかり()め』
189(たみ)千円(せんゑん)がとこ、190親切(しんせつ)()むのですよ。191(しか)(こし)から(した)()んじやなりませぬよ』
192エム『アハヽヽヽ、193御心配(ごしんぱい)なさいますな。194仮令(たとへ)()んだ(ところ)吾々(われわれ)(をんな)ぢやありませぬから、195何卒(どうぞ)御心配(ごしんぱい)はなさいますな』
196 五人(ごにん)蠑螈別(いもりわけ)より四千両(よんせんりやう)小判(こばん)受取(うけと)りホクホクものである。197そこへやつて()たのは一人(ひとり)大目附(おほめつけ)であつた。
198『こりやこりや、199コー、200ワク、201エム、202(なに)(いた)して()るか』
203ワク『やあ、204これはこれは大目附(おほめつけ)のエキスさまですか。205(いま)吾々(われわれ)この(あや)しの(もり)辻番(つじばん)(いた)して()ります(ところ)へ、206(むか)ふの(はう)より「スタスタスタ」と(いきほ)(すさま)じくやつて()たのは(この)(をんな)207なかなかの強者(したたかもの)(この)関門(くわんもん)(とほ)らうとするので、208(この)(をんな)(えり)()無理(むり)(たた)いてゐました(ところ)へ、209(また)もや(この)(をんな)(をつと)()えて、210()()(ごと)()んで()るものがある。211()ればウラナイ(けう)神力無双(しんりきむさう)蠑螈別(いもりわけ)212エム、213コー(ほか)二人(ふたり)倉皇(さうくわう)ワクワクとして(ちぢ)(あが)つてゐるにも(かかは)らず、214(この)ワクは襟髪(えりがみ)(にぎ)りスツテンドウと()げやれば……流石(さすが)蠑螈別(いもりわけ)も、215()くの(ごと)くクタばつて身動(みうご)きもならぬ(この)浅間(あさま)しさ、216何卒(どうぞ)()(くだ)さいませ』
217エキス『アハヽヽヽ、218うまく芝居(しばゐ)(いた)すのう。219内職(ないしよく)如何(どう)であつたか、220随分(ずゐぶん)(ふところ)(ふく)れただらうな』
221エム『エー、222大切(たいせつ)軍人(ぐんじん)(しよく)にありながら、223内職(ないしよく)(など)とは(おも)ひもよりませぬ。224軍律(ぐんりつ)(きび)しい(この)陣中(ぢんちう)225如何(どう)して左様(さやう)内職(ないしよく)なんか出来(でき)ませう』
226エキス『それでも役徳(やくとく)()ふものがあるだらう。227オイ、228コー、229ワク、230(その)(はう)役徳(やくとく)収入(しうにふ)があつた(はず)だ。231(かく)二分(にぶん)(いち)づつ(この)(はう)(をさ)めたらよからう』
232コー『折角(せつかく)千円(せんゑん)(かね)()()れたと(おも)へば、233二分(にぶん)(いち)()せなんて、234あまりだ、235五百円(ごひやくゑん)になつて(しま)ふわ』
236エキス『コーが五百円(ごひやくゑん)237ワクが五百円(ごひやくゑん)238エムが五百円(ごひやくゑん)239両人(りやうにん)()もなき供人(ともびと)どもは二百五十円(にひやくごじふゑん)づつ(この)大目附(おほめつけ)(たてまつ)るのだ』
240エム『もし、241エキスさま、242貴方(あなた)泥棒(どろばう)上前(うはまへ)をはねる大泥棒(おほどろばう)ですな。243吾々(われわれ)折角(せつかく)244骨折(ほねを)つて五百円(ごひやくゑん)収入(しうにふ)245貴方(あなた)()()らさずに、246しめて二千円(にせんゑん)収入(しうにふ)があるぢやありませぬか。247せめて十分(じふぶん)(いち)(ぐらゐ)にして(もら)ひたいものですな』
248エキス『それが(かみ)()つものの役徳(やくとく)だ。249人間(にんげん)一段(いちだん)でも(うへ)役人(やくにん)になるに(かぎ)る。250大臣(だいじん)なんかになつて()よ。251()らぬ()何十万円(なんじふまんゑん)252何百万円(なんびやくまんゑん)株券(かぶけん)一文(いちもん)もかけないのに()つて()る。253山林(さんりん)田畑(でんぱた)何時(いつ)()にかチヤンと登記済(とうきずみ)になつてる(やう)なものだ。254それだから大目附役(おほめつけやく)地位(ちゐ)()てられないのだ』
255蠑螈(いもり)『エキスさまとやら、256(わたし)蠑螈別(いもりわけ)()ふウラナイ(けう)教祖(けうそ)ですが、257此処(ここ)五千円(ごせんゑん)ばかり(かね)()つて()ます。258(この)(うち)千円(せんゑん)ばかり献上(けんじやう)(いた)しませうかな。259あまり沢山(たくさん)胴巻(どうまき)()いて()ると、260(おも)くて(こま)つて()ます。261ちと(たす)けて(もら)ひたいものですな』
262エキス『(なに)263(たす)けてほしいと(まを)すか、264よし五千円(ごせんゑん)全部(ぜんぶ)でも(たす)けてやらう』
265(たみ)『オホヽヽヽ、266あの蠑螈別(いもりわけ)さまの綺麗(きれい)(こと)267あたい、268それが()きで()れたのよ』
269蠑螈(いもり)『それならエキスさま、270(まへ)エキス((えき)()ふ)と()()だから、271綺麗(きれい)薩張(さつぱり)()つて()んで(くだ)さい。272(その)(かは)(ひと)つお(たの)みがある。273()いて(もら)へるだらうかな』
274エキス『(たの)みとは(なん)(ござ)るか』
275蠑螈(いもり)(ほか)でも(ござ)らぬ。276(じつ)はランチ将軍(しやうぐん)家来(けらい)にして()しいのだ』
277エキス『そりや大変(たいへん)都合(つがふ)()(こと)だ。278(じつ)(ところ)279吾々(われわれ)軍隊(ぐんたい)三五教(あななひけう)言霊戦(ことたません)に、280もちあぐんで()(ところ)だ。281(まへ)さまはウラナイ(けう)教祖(けうそ)だと()いて()る。282ウラナイ(けう)(ひと)(すく)なくても大変(たいへん)神徳(しんとく)があるさうだ。283素盞嗚尊(すさのをのみこと)さまさへも如何(いかん)ともする(こと)出来(でき)ないと()いた(うへ)(すゑ)(たの)もしい。284屹度(きつと)ランチ将軍(しやうぐん)(ふた)返事(へんじ)でお()()げになるのは請合(うけあ)つて()きます。285さあ蠑螈別(いもりわけ)さま、286陣中(ぢんちう)へは最早(もはや)何程(いくら)もありませぬ。287(しか)らば賓客(ひんきやく)としてバラモン(ぐん)参謀(さんぼう)として御採用(ごさいよう)になるやうに(わたし)(つと)めます』
288蠑螈(いもり)(しか)()(ごし)()けて(うご)けないのだ。289あまり(にはか)(はし)つたものだから、290(こし)蝶番(てふつがひ)如何(どう)かなつたと()える。291何分(なにぶん)(あさ)から(ばん)まで(すわ)(どほ)しで、292(みち)(ある)いた(こと)がないのだから』
293エキス『御心配(ごしんぱい)なさいますな。294(いま)駕籠(かご)()んで()て、295従卒(じゆうそつ)(かつ)がせて御夫婦(ごふうふ)ともランチ将軍(しやうぐん)陣営(ぢんえい)鄭重(ていちよう)(おく)(とど)けます。296そして(この)エキスも(およ)ばずながらお(とも)(いた)し、297将軍様(しやうぐんさま)(もと)()りもち(いた)(かんが)へなれば御安心(ごあんしん)なさい』
298蠑螈(いもり)『ハイ、299有難(ありがた)(ござ)ります。300(たみ)301もう安心(あんしん)せい。302これだけの軍隊(ぐんたい)(なか)(はい)つて()以上(いじやう)は、303(まへ)最早(もはや)大丈夫(だいぢやうぶ)だ』
304(たみ)仮令(たとへ)()んな(ところ)へでも(わたし)をお見捨(みす)てなく()れて()つてさへ(くだ)さいますれば、305()んな(ところ)へでもお(とも)(いた)します』
306大正一一・一二・一六 旧一〇・二八 北村隆光録)