霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二三章 黄金華(わうごんくわ)〔一二三三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第46巻 舎身活躍 酉の巻 篇:第4篇 謎の黄板 よみ:なぞのおうばん
章:第23章 第46巻 よみ:おうごんか 通し章番号:1233
口述日:1922(大正11)年12月16日(旧10月28日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年9月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
お寅は怪しの森が本街道と間道の分かれ道になっていることを知っており、バラモン軍が見張りを立てているに違いないと一同に気を付けた。またお寅は自分は年寄りだからちょっとここで休息させてほしいと言って休みを取った。
お寅が腰をかけると、湯津爪櫛が落ちていた。自分が侠客時代にお金をかけて作った鼈甲のもので、長らく紛失していたものであった。
お寅は失くしたと思っていたこの櫛は、蠑螈別がくすねてお民に与えていたものだと気が付いた。そしてお民が逃げる時にここに落としていったのだろうと推測した。しかしすでに神の光に照らされて執着心を捨てていたお寅は、顔色一つ変えなかった。
万公はお寅が櫛を拾ってみている様を見て話しかけ、お民が落としていった櫛だと悟った。お寅は人が欲しいと思って盗んだこの櫛には霊が宿っているから、万公にあげようとするが万公は断った。
再び一行は怪しの森を指して歩いていく。コー、ワク、エムは三五教がやってきたことを知り、恐れて相談し合っている。その間に松彦たちは早くもやってきて、蠑螈別とお民の行方を尋ねた。
バラモン教の捕り手たちは蠑螈別のときのように、三五教の一行からもわいろを取ろうとするが、松彦と話しているうちに、ゆすり取ったお金を懐に持っていると不安にさいなまれることに気が付き、明かした。
コー、ワク、エムはもともとはお寅の金を蠑螈別が盗み取ったと聞いて、金をお寅に返そうとする。しかしお寅はもうお金に執着がなかった。かえって、自分の罪障を取ると思って使ってくれとバラモンの目付たちに頼み込んだ。
松彦は、お寅が許可した以上は喜んでその金を使用するがよいとコー、ワク、エムたちに言い渡した。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4623
愛善世界社版:282頁 八幡書店版:第8輯 459頁 修補版: 校定版:297頁 普及版:115頁 初版: ページ備考:
001 お(とら)途中(とちう)立止(たちど)まり、002一行(いつかう)(かへり)みて、
003『モシ(みな)さま、004あの向方(むかふ)にスンと()つて()える野中(のなか)(もり)は、005(あや)しの(もり)といつて、006(この)(ごろ)はランチ将軍(しやうぐん)部下(ぶか)見張(みはり)をしてゐるさうです。007あの(もり)(かど)から(ひだり)へとれば本街道(ほんかいだう)008(いま)(この)(みち)間道(かんだう)となつてゐるのですから、009あの人字街頭(じんじがいとう)往来(ゆきき)(ひと)を、010どうせ(しら)べてゐるに(ちが)ひありませぬ。011(ひと)此処(ここ)相談(さうだん)をして無事(ぶじ)突破(とつぱ)する用意(ようい)をいたしませうか』
012松彦(まつひこ)吾々(われわれ)天下(てんか)()れての三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)候補者(こうほしや)だ。013たとへ幾十人(いくじふにん)(てき)()つて()らうとも、014(べつ)(おそ)れる必要(ひつえう)はないぢやないか』
015(とら)『イエ滅相(めつさう)もない、016バラモンは三五教(あななひけう)神館(かむやかた)ウブスナ(やま)目的(もくてき)として進軍(しんぐん)最中(さいちう)ではありませぬか。017三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)018しかもウブスナ(やま)から派遣(はけん)された貴方等(あなたがた)御出(おいで)になるのは、019()んで()()(なつ)(むし)020可惜命(あつたらいのち)(ぼう)にふるやうなものです。021こんな(ところ)()()つちやなりませぬ。022(かは)(かた)ければ(もろ)くして(やぶ)(やす)く、023(こずゑ)(やは)らかなれば(かぜ)()れず、024()如何(いか)(かた)くとも、025(やは)らかき(した)より(さき)(ほろ)ぶといふ(こと)がありますぞ。026(つよ)いばかりが(かみ)(こころ)ぢやありますまい。027()(かく)此処(ここ)一服(いつぷく)(いた)しませう。028(わたし)(なが)らく(あゆ)まなかつたので交通機関(かうつうきくわん)(あや)しくなつて()ました。029何卒(どうぞ)(やす)んで(くだ)さいな』
030松彦(まつひこ)『コレだから()アさまの道伴(みちづれ)(こま)るのだ。031(しか)仕方(しかた)がない。032オイ一同(いちどう)033(とら)さまの提案(ていあん)賛成(さんせい)して(しばら)くコンパスの休養(きうやう)をしようぢやないか』
034五三(いそ)『ハイ、035(よろ)しう(ござ)いませう』
036路傍(ろばう)(くさ)(うへ)(みの)()いて(こし)(おろ)した。037(とら)()アさまの(すわ)つた(まへ)湯津爪櫛(ゆつつまぐし)一本(いつぽん)()ちて()る。038(とら)手早(てばや)(ひろ)()げ、039よくよく()れば見覚(みおぼ)えのある自分(じぶん)(くし)である。040これはお(とら)侠客(けふかく)時代(じだい)(かね)にあかして(こしら)へた鼈甲(べつかふ)(くし)であつた。041(とら)はつくづくと打眺(うちなが)め、
042『ハヽアー、043(この)(くし)(なが)らく小北山(こぎたやま)()てから紛失(ふんしつ)してゐたが、044こんな(ところ)()ちてゐるとは、045(ゆめ)にも()らなかつた。046大方(おほかた)蠑螈別(いもりわけ)がソツと何々(なになに)してお(たみ)(あた)へたのだろ。047さうすれば、048(たみ)此処(ここ)(とほ)(とき)(おと)したのだろ。049(たみ)(とほ)つたとすれば、050矢張(やつぱ)蠑螈別(いもりわけ)(とほ)つたに(ちが)ひない』
051といふ結論(けつろん)()てた。052されど只今(ただいま)のお(とら)最早(もはや)昨日(きのふ)のお(とら)でない。053執着心(しふちやくしん)悋気(りんき)綺麗(きれい)薩張(さつぱり)払拭(ふつしき)され、054青天(せいてん)白日(はくじつ)(みたま)になつてゐた。055昨日(さくじつ)までならば、056この(くし)()(たちま)形相(ぎやうさう)一変(いつぺん)し、057(あたま)無形(むけい)(つの)()やし、058獅子(しし)(ごと)く、059(とら)(ごと)()えたけるのであつたらう。060されどお(とら)は、061(かみ)(ひかり)(てら)されてより、062(こひ)(かたき)なるお(たみ)()つてゐた自分(じぶん)(くし)(ひろ)()げても(すこ)しも嫉妬(しつと)(おこ)さず、063(かつ)顔色(がんしよく)()へず、064平然(へいぜん)として微笑(びせう)することを()たのは、065(まつた)(かみ)(をしへ)(たまもの)である(こと)はいふまでもない。
066 万公(まんこう)はお(とら)(ひろ)()げた(くし)(のぞ)()み、
067『お(とら)さま、068意味(いみ)ありげな(くし)ぢやありませぬか。069(この)(くし)(つい)ては貴女(あなた)(なに)不可思議(ふかしぎ)因縁(いんねん)がまつはつて()るやうですなア』
070(とら)『さうです。071昨日(きのふ)(まで)ならば(おほい)因縁(いんねん)(いと)がコンがらがつて()つたでせうが、072もはや今日(こんにち)となつては(なん)にもありませぬ。073何処(どこ)かの(をんな)(おと)して()つたのでせう。074(いづ)(この)(さき)()ひつくか、075(あるひ)出会(であ)ふかもしれませぬからネー。076万公(まんこう)さま、077貴方(あなた)何処(どこ)かに()れて落失主(おとしぬし)()ふまで保存(ほぞん)して(くだ)さるまいかなア』
078万公(まんこう)鼈甲(べつかふ)(くし)なんかは(をとこ)()つものぢやありませぬ。079(をんな)貴女(あなた)がお()ちになつて()れば、080似合(にあ)うたり(かな)うたり、081こればつかりは(かる)いものでは(ござ)いますが、082(ひら)御断(おことわ)(まを)したう(ござ)います。083さうして(くし)(ひろ)うのはよくないぢやありませぬか。084(くや)(ごと)出来(でき)るといふ(こと)です。085(なん)でも大変(たいへん)心配(しんぱい)があつてクシクシする(とき)には、086(その)心配(しんぱい)(のが)れるために(くし)(みち)()てるさうです。087それを(ひろ)うたものはクシクシを(ひろ)ふのだから災難(さいなん)()ふに(ちが)ひありませぬよ。088一層(いつそう)(こと)089其処(そこ)打捨(うちす)ててはどうです』
090(とら)(この)(くし)(けつ)してそんなものぢやない。091あまり(うれ)しうて(おと)したのだから、092(よろこ)びを(ひろ)ふやうなものだ。093これは形見(かたみ)だから万公(まんこう)さま、094(まへ)(わか)身体(からだ)で、095(この)(さき)妻帯(さいたい)をせなくてはならぬ()(うへ)だ。096(この)(くし)()つてあやかつたらどうです。097九千両(きうせんりやう)金子(きんす)をもつて(をつと)屹度(きつと)(あと)()うて()てくれますよ、098オホヽヽヽ』
099万公(まんこう)(なん)だ、100(たみ)(くし)だなア、101アーさうすると蠑螈別(いもりわけ)さまが(あと)()うて此処(ここ)(とほ)つた檜舞台(ひのきぶたい)だ。102オイ、103テク、104貴様(きさま)はあやかる(ため)(この)(くし)御預(おあづか)りしたら()うだい』
105テク『イヤだい、106何程(なにほど)(をんな)にかつゑたつて、107(ひと)()れて()(をんな)横取(よこど)りして()げるやうな不人情(ふにんじやう)(こと)にはあやかりたくないワ』
108万公(まんこう)『お(とら)さま、109(この)(とほ)(たれ)(あづか)()がありませぬ。110(もと)貴女(あなた)所有品(しよいうひん)でせう。111貴女(あなた)のものが貴女(あなた)(かへ)るのは当然(たうぜん)だ。112なかなか二百両(にひやくりやう)三百両(さんびやくりやう)()へる(もの)ぢやありませぬデー。113貴女(あなた)114()ちになつたら()うです』
115(とら)一旦(いつたん)()しいと(おも)つて(ぬす)んだ(この)(くし)には(れい)がやどつて()るから、116(この)(とら)()にふれるのも(いや)です。117(あたま)(いた)うなりますからなア』
118万公(まんこう)『ハー、119やつぱりさうするとリーンとキツウ(あたま)()るのだなア。120何程(なにほど)改心(かいしん)しても悋気(りんき)といふものは(また)特別(とくべつ)()えるワイ、121アハヽヽヽ』
122松彦(まつひこ)『くしみたま(かみ)のまにまに(さち)はひて
123(まが)行方(ゆくへ)をさとし(たま)へり』
124(とら)『わがくしにめぐり()ひたる今日(けふ)(そら)
125くしき御神(みかみ)(まも)りなるらむ。
126(もつ)れたる()をときわけるくしみたま
127(かみ)のまにまに(とほ)()(かな)
128()のもつれときわくるてふくしみたま
129(おも)ひもよらず此処(ここ)()るかな』
130松彦(まつひこ)『サア(まゐ)りませう』
131(また)もや宣伝歌(せんでんか)(うた)ひながら(あや)しの(もり)()して(あゆ)みを(いそ)ぐ。132コー、133ワク、134エムの三人(さんにん)(ほそ)(みち)胡床(あぐら)をかき、135シブシブしながら番卒(ばんそつ)をつとめてゐる。
136コー『オイ、137(また)(たれ)かやつて()たぞ。138どうやら今度(こんど)痛手(いたで)らしいやうだ。139あの宣伝歌(せんでんか)屹度(きつと)三五教(あななひけう)だ。140ウラル(けう)(とほ)りよるとボロイんだけどなア』
141ワク『オイ、142そんな陽気(やうき)(こと)をいつて()(どころ)ぢやない。143(もり)木蔭(こかげ)へでも(かく)れたらどうだ』
144コー『(なん)のための番卒(ばんそつ)だ。145仮令(たとへ)(ころ)されたつて此処(ここ)(はな)れる(こと)出来(でき)るものか。146八尺(はつしやく)男子(だんし)がサウ無暗(むやみ)(てき)(おそ)れて()げるといふ(こと)出来(でき)ようかい』
147エム『ソレでも片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)148久米彦(くめひこ)将軍(しやうぐん)数百名(すうひやくめい)騎馬隊(きばたい)引率(ひきつ)れて、149言霊(ことたま)打出(うちだ)されて(もろ)くも敗走(はいそう)したぢやないか。150吾々(われわれ)(ごと)一兵卒(いつぺいそつ)()げたつて(はぢ)にもならねば、151職務(しよくむ)不忠実(ふちうじつ)(つみ)()はれる(はず)がないぢやないか』
152コー『大将(たいしやう)()げても失敗(しつぱい)しても(けつ)して(とが)めはないが、153吾々(われわれ)(ひと)失敗(しつぱい)しようものならソレこそ(くび)だよ。154それだから、155なるのなら(うし)尻尾(しつぽ)になるよりも、156(すずめ)(あたま)になれといふのだ』
157エム『そんな不公平(ふこうへい)(こと)()うしてあるのだらうな。158大将(たいしやう)だつて(おれ)だつて、159生命(いのち)()しいのは同様(どうやう)ぢやないか』
160コー『なアに俺達(おれたち)(いくさ)(のぞ)めば矢受(やう)けに代用(だいよう)されるのだ。161一将(いつしやう)(こう)()らむとすれば万卒(ばんそつ)(ほね)()らさなくてはならぬのだ。162つまり()へば築港(ちくこう)埋草(うめぐさ)()たやうなものだなア』
163エム『そんな(こと)()くと阿呆(あはう)らしくて、164こんな職務(しよくむ)出来(でき)ないぢやないか』
165コー『だつて(ほか)(げい)があるぢやなし、166学問(がくもん)があるぢやなし、167商売(しやうばい)しようにも資本(もとで)はなし、168(また)世間(せけん)(やつ)からはゲジゲジの(やう)(きら)はれ、169()(つま)つたから仕方(しかた)なしに、170こんな(ところ)堕落(だらく)したのぢやないか。171(いま)のポリスだつてさうだろ。172(たれ)相手(あひて)にしてくれないから、173(やす)月給(げつきふ)人民(じんみん)威張(ゐば)るのを役徳(やくとく)として(つか)へてゐるのだ』
174ワク『それだけ信用(しんよう)のないものが、175ポリスになつても人間(にんげん)()(こと)()くだらうかなア』
176コー『予言者(よげんしや)同様(どうやう)郷里(きやうり)では駄目(だめ)だ。177それだから百里(ひやくり)二百里(にひやくり)(とほ)(ところ)へやつて使(つか)ふのだ。178さうすればドンナ極道(ごくだう)だつて、179戸倒(どたふ)しものだつて、180博奕打(ばくちうち)だつて、181立派(りつぱ)御役人様(おやくにんさま)になれるのだからなア。182(おれ)だつてさうだらう。183チヨイ博奕(ばくち)()ち、184バサンしやていに、185カヽしやてい、186さくい(をんな)のシリを()(まは)して村中(むらぢう)から()(きら)はれ、187(たた)()され、188乞食(こじき)になつてハルナの(みやこ)彷徨(さまよ)ひ、189到頭(たうとう)生命(いのち)(まと)商売(しやうばい)にありつかして(もら)つたのだ。190貴様(きさま)だつて(みな)さうだらう。191(うち)女房(にようばう)()つて()るなんて、192何程(なにほど)(えら)さうにいつても女房(にようばう)のあるやうなものが、193こんな(こと)をするものかい』
194エム『ソレはさうだ。195自分(じぶん)親類(しんるゐ)近所(きんじよ)(こと)をいつてゐるのだよ。196(しか)(おれ)だつて、197ワクだつて、198貴様(きさま)だつて、199人交(ひとまじ)はりもせず、200家庭(かてい)もつくらずに、201(この)(まま)()()つるやうな(こと)滅多(めつた)にあるまい。202(しか)()(なか)几帳面(きちやうめん)(わた)ると(そん)だ。203(いま)彼処(あしこ)にやつて()宣伝使(せんでんし)(たい)しても(うま)(した)から()るのだね』
204 ()(はな)(ところ)へ、205松彦(まつひこ)一隊(いつたい)(はや)くも近付(ちかづ)(きた)三人(さんにん)(むか)つて、
206松彦(まつひこ)一寸(ちよつと)(もの)(うかが)ひます。207貴方(あなた)はバラモンの軍人(ぐんじん)()えますが、208此処(ここ)二十才(はたち)ばかりの(をんな)と、209四十(しじふ)格好(かくかう)(をとこ)(とほ)りは(いた)しませぬか』
210コー『(その)(はう)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)であらう。211(わか)男女(だんぢよ)(みち)()きを(たづ)ねて(なん)といたすか。212それよりも(この)関門(くわんもん)通過(つうくわ)さす(こと)(まか)りならぬぞ。213浮木(うきき)(むら)にはランチ将軍様(しやうぐんさま)軍隊(ぐんたい)宿営(しゆくえい)して仮本営(かりほんえい)出来(でき)()る。214それ(ゆゑ)(なんぢ)(ごと)きものは一歩(いつぽ)たりとも、215これより()()らす(こと)(まか)りならぬのだ。216サア(はや)(かへ)つたがよからうぞ。217召捕(めしとり)へられて本陣(ほんぢん)にひき()くべきところなれど、218(その)(はう)心次第(こころしだい)()つては(ゆる)してやらぬ(こと)もない』
219(べつ)貴方(あなた)(ゆる)しを()けなくとも、220吾々(われわれ)自由(じいう)此処(ここ)通過(つうくわ)いたす権利(けんり)保有(ほいう)してゐるのだ。221(しか)(なに)要求(えうきう)すべき(こと)があらば()いてやらう。222それと交換(かうくわん)(この)関門(くわんもん)をゴテゴテ()はずに(とほ)したがよからう』
223『オツと御出(おい)でたよ。224流石(さすが)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)225(じつ)(ところ)はランチ将軍(しやうぐん)片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)三五教(あななひけう)ときけばビリビリものです。226(しか)しながら今度(こんど)充分(じうぶん)軍備(ぐんび)(ととの)へ、227手具脛(てぐすね)ひいて()つてゐるのだから、228うつかり御出(おい)でになれば(いのち)がない。229それだから貴方(あなた)出様(でやう)(ひと)つによつては安全(あんぜん)間道(かんだう)(をし)へてやらぬ(こと)もないのだ。230(いま)(とほ)つた(をとこ)蠑螈別(いもりわけ)といふ()()いた(やつ)で、231俺達(おれたち)千円(せんゑん)()づけを()()つた。232三人(さんにん)千円(せんゑん)ぢやないぞ、233一人(ひとり)千円(せんゑん)だぞ。234勘定(かんぢやう)(ちが)ひをせぬやうに(その)(はう)(なん)とか(かんが)へねばいけない』
235『ヤア有難(ありがた)い、236(おも)たいけれど(その)千円(せんゑん)(いただ)いて()かう。237(いま)()(なか)(つよ)いものの(つよ)い、238(よわ)いものの(よわ)()(なか)だ。239(よわ)(やつ)(かね)をやつてたまらうかい。240(その)(はう)三人(さんにん)三千円(さんぜんゑん)()つて()ると()つたな。241其処(そこ)二人(ふたり)(をとこ)()るやうだ。242(その)(はう)二人(ふたり)千円(せんゑん)()つてるのだろ。243さうすれば四千円(よんせんゑん)だ。244(おれ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(けん)大泥棒(おほどろばう)だ。245サア、246サツパリと四千円(よんせんゑん)(みみ)(そろ)へて此処(ここ)へツン()せばよし、247グヅグヅ(ぬか)すと承知(しようち)いたさぬぞ』
248『オイ、249ワク、250エム、251サツパリだ。252エーー、253千円(せんゑん)(まう)けようと(おも)つたに、254サツパリ()せと(ぬか)しやがる。255あんな(こと)をいつて俺達(おれたち)(おど)かすのだらう』
256『アハヽヽヽ、257(おど)してゐるのだ。258(その)(はう)(おど)して()つたのだらう。259(いま)処世(しよせい)上手(じやうづ)(やつ)(うへ)から(した)まで(みな)(おど)してゐるのだ。260弱点(じやくてん)のある人間(にんげん)(おど)さなくて(たれ)(おど)すのだ。261(その)(はう)蠑螈別(いもりわけ)から四千円(よんせんゑん)金子(きんす)()つた泥棒(どろばう)だらう。262(この)(はう)(わた)せばとて(けつ)して(その)(はう)会計(くわいけい)欠損(けつそん)()道理(だうり)はなからう。263()(かね)(いま)此処(ここ)にゐるお(とら)さまの臍繰金(へそくりがね)(ぬす)んで()げた性念(しやうねん)(はい)つた(かね)だ。264サア、265キリキリチヤツと(わた)さぬか』
266『モシ、267(わた)さぬ(こと)はありませぬが、268折角(せつかく)(よろこ)んで()正月(しやうぐわつ)269(こころ)餓辛(がしん)では(たま)りませぬからね。270何卒(どうぞ)百円(ひやくゑん)だけ(わたし)(もら)(わけ)には()きますまいかなア』
271『アハヽヽヽ、272(うそ)だ。273()(やつ)()られる(やつ)因縁(いんねん)があるのだろ。274因縁(いんねん)がなくては()られようと(おも)つたつて()られず、275()らうと(おも)つても()れるものぢやない。276やつぱり貴様(きさま)御蔭(おかげ)(いただ)いたのだろ』
277『ハイ、278(じつ)先方(むかう)(はう)から請求(せいきう)せないのに(くだ)さつたのです。279それで(あぢ)をしめて(また)(まへ)さまに(ひと)(おど)して()たら()れるだらうかと(おも)つたのに、280反対(あべこべ)(おど)かされて(きも)(ひや)しました』
281松彦(まつひこ)『その(かね)(ふところ)にあると愉快(ゆくわい)だらうなア』
282エム『ヘー不思議(ふしぎ)なものです。283()ても()めても千両(せんりやう)(かね)があつたらあつたらと(おも)うてゐましたが、284(いま)千両(せんりやう)(かね)()()れば、285()(ほど)(うれ)しいかと(おも)つてゐたのに、286どうしたものか(ちつと)(うれ)しうはありませぬ。287(もら)うた(かね)でさへ(この)(とほ)りですから、288()つた(かね)なら尚更(なほさら)(こと)でせう。289只今(ただいま)では(かへ)つて心配(しんぱい)(かさ)なつて()ました。290(いま)貴方(あなた)(おど)かされ、291(この)(かね)()られちやならないと(おも)つて大変(たいへん)()をもみましたよ』
292松彦(まつひこ)『アハヽヽヽ、293(かね)(かたき)()(なか)だなア。294コレお(とら)さま、295(まへ)さまの一万両(いちまんりやう)(かね)九千円(きうせんゑん)まで蠑螈別(いもりわけ)(ぬす)()して此処迄(ここまで)やつて()たのだが、296どうも気分(きぶん)(わる)いと()えて四千円(よんせんゑん)をバラまいて()つたのでせう。297蠑螈別(いもりわけ)(さぞ)(つら)かつたでせう』
298(とら)(わたし)だつて神様(かみさま)御社(おやしろ)(した)一万両(いちまんりやう)(かく)()き、299(さむ)(ばん)にもよう()もせずに、300何遍(なんべん)となくお(かね)(かほ)をあらために()き、301(ひる)(ひる)とて随分(ずゐぶん)()がもめましたが、302蠑螈別(いもりわけ)がもつて()つてくれてからは、303気楽(きらく)(ぬく)炬燵(こたつ)前後(ぜんご)()らず(やす)まして(いただ)きました。304かうなる(うへ)(かね)必要(ひつえう)はありませぬ』
305松彦(まつひこ)(そら)()(とり)も、306野辺(のべ)()山百合(やまゆり)(はな)も、307(かみ)(これ)完全(くわんぜん)(やしな)(たま)ふのですから、308人間(にんげん)物質上(ぶつしつじやう)(よく)()らねばなりませぬ。309禽獣虫魚(きんじうちうぎよ)さへも(なん)貯蓄(ちよちく)もせず、310(その)()(おく)つてゐます。311()して吾々(われわれ)人間(にんげん)(かみ)(めぐみ)(くだ)らない(こと)がありませうか』
312コー『モシモシ(この)千円(せんゑん)(かね)313何卒(どうぞ)(とら)さまとやら(もと)(をさ)めて(くだ)さい、314モウ()りませぬワ。315そんな(はなし)()くと(おそ)ろしくなつて()ました。316なあワク、317エム、318貴様(きさま)同感(どうかん)だらう』
319ワク『(なん)だか(むね)がワクワクして()たやうだ』
320エム『エムに(おそ)はれたやうな()がするよ』
321松彦(まつひこ)(かね)婦女子(ふぢよし)小人(せうじん)()つべきものだ。322聖人君子(せいじんくんし)(かね)はいらない。323(とら)さまも今日(けふ)から聖人(せいじん)になつたのだから(かね)必要(ひつえう)はない。324前達(まへたち)もこれから聖人君子(せいじんくんし)(ゐき)(すす)むには(その)(かね)必要(ひつえう)はあるだろ。325肝腎(かんじん)のお(とら)さまが(ゆる)してくれた以上(いじやう)は、326(よろこ)んで使用(しよう)したがよからう。327ナアお(とら)さま、328貴女(あなた)未練(みれん)はありますまいね』
329(とら)(けつ)して(けつ)して未練(みれん)なんか()()(つゆ)(ほど)()つて()りませぬ。330(みな)さま、331(わたし)(めぐり)をとると(おも)うて御助(おたす)けだ。332(わたし)ばかりか蠑螈別(いもりわけ)さまもそれで安心(あんしん)出来(でき)るだらう』
333大正一一・一二・一六 旧一〇・二八 外山豊二録)
   
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