霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 乱痴将軍(らんちしやうぐん)〔一二三七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第47巻 舎身活躍 戌の巻 篇:第1篇 浮木の盲亀 よみ:うききのもうき
章:第4章 第47巻 よみ:らんちしょうぐん 通し章番号:1237
口述日:1923(大正12)年01月08日(旧11月22日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年10月6日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ランチ将軍は、治国別を陣中に迎え入れてこの強敵を滅ぼそうと煩悶苦悩している最中であった。宣伝使の危難にも、部下たちはお祭り気分で喜楽に相撲を取ってさざめきあっていた。
陣屋の奥でランチ将軍、片彦将軍、治国別が酒を酌み交わして宴の最中、あわただしくエキスがやってきた。そして、竜公が三五教に寝返ったことを奏上し、彼を捕えたいと願い出た。
ランチ将軍は、すでに三五教とは和睦がなったと言って治国別を紹介し、竜公にも酒をふるまったらよいと鷹揚なところを見せた。竜公の様子を尋ねられたエキスは、相撲を取って実は竜公に負けたことを遠回しに白状した。そこへ竜公がやってきた。
ランチ将軍と片彦将軍は、竜公を宴に招き入れた。酒に酔った治国別と竜公は、奥の間で休むようにとランチ将軍と片彦将軍に誘われ、奥座敷に案内された。しかしこの居間は罠であり、二人は地下の水牢に落ち込んでしまった。
二人は岩窟に頭を打って気絶してしまう。ランチ将軍、片彦将軍、エキスは手を打って愉快気に笑い散らした。ランチ将軍、片彦将軍はエキスに命じて怪しの森に張り込ませ、ひとつには三五教の宣伝使の通過を見張り、ひとつには美人を捕えて陣中に連れてくるように言いつけた。
ランチ将軍と片彦将軍は、宿敵治国別を捕えることができたのもアークとタールの功績だと、奨励のために二人を昇進させ、一切万事の相談をする幹部に抜擢した。しかしこのとき、二人はすでに心機一転して内心三五教の信者となっていたのであった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4704
愛善世界社版:60頁 八幡書店版:第8輯 493頁 修補版: 校定版:62頁 普及版:28頁 初版: ページ備考:
001 (うま)(きみ)危急(ききふ)()らず、002(たか)悪人(あくにん)頭上(づじやう)()ぶとかや、003ランチ将軍(しやうぐん)004片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)は、005イソ(やかた)攻撃戦(こうげきせん)容易(ようい)ならざるに(あたま)(なや)まし、006反間苦肉(はんかんくにく)(さく)(ろう)して(やうや)治国別(はるくにわけ)陣中(ぢんちう)(むか)()れ、007如何(いか)にもして(この)強敵(きやうてき)(ほろ)ぼさむかと煩悶(はんもん)苦悩(くなう)最中(さいちう)にも(かか)はらず、008部下(ぶか)木端武者(こつぱむしや)(ども)は、009(まつ)気分(きぶん)になつて気楽(きらく)(さう)相撲(すまふ)をとり、010さざめき()うて()る。
011 陣屋(ぢんや)(おく)()にはランチ将軍(しやうぐん)012片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)(はじ)治国別(はるくにわけ)三人(さんにん)013和気(わき)靄々(あいあい)として(さけ)()(かは)し、014和睦(わぼく)(えん)(ふけ)つてゐる。015そこへ(あわただ)しくやつて()たのは力強(ちからづよ)相撲(すもう)()きのエキスであつた。
016『エー、017将軍様(しやうぐんさま)(まを)()げます。018只今(ただいま)竜公(たつこう)三五教(あななひけう)寝返(ねがへ)りを()ち、019(その)スパイとなつて、020(わが)陣中(ぢんちう)()()んで(まゐ)りました。021彼奴(あいつ)御存(ごぞん)じの(とほ)中々(なかなか)力強(ちからづよ)(ござ)りますれば、022到底(たうてい)一通(ひととほ)りではとつ(つか)まへる(わけ)には(まゐ)りますまいから、023何卒(どうぞ)貴方(あなた)御秘蔵(ごひざう)曲輪(まがわ)(しばら)くお()(くだ)さいますまいか。024(その)曲輪(まがわ)によつて(かれ)をフン(じば)り、025一伍一什(いちぶしじふ)白状(はくじやう)させねば、026駄目(だめ)ですからな』
027ランチ『(なに)028竜公(たつこう)が……三五教(あななひけう)のスパイになつたとな。029アハヽヽヽ、030(けつ)して(あん)ずるには(およ)ばぬ。031(げん)三五教(あななひけう)御大将(おんたいしやう)032治国別(はるくにわけ)(さま)(この)(とほ)吾々(われわれ)和睦(わぼく)(あそ)ばし、033主客(しゆきやく)()()けて酒宴(しゆえん)最中(さいちう)だ。034それよりも竜公(たつこう)大切(たいせつ)(いた)して、035(さけ)でもふれまつたら()からう』
036『ヤー、037(これ)失礼(しつれい)(いた)しました。038そこに(ござ)るのは、039(うはさ)(たか)治国別(はるくにわけ)(さま)(ござ)りましたか。040これはこれは(ぞん)ぜぬ(こと)とて御無礼(ごぶれい)(まを)しました』
041『アー、042竜公(たつこう)さまは如何(どう)してゐられますかな』
043『ハイ、044大変(たいへん)元気(げんき)相撲(すもう)をとつてゐられます。045(じつ)(ところ)は、046(わたし)今一勝負(いまひとしようぶ)して()たところです』
047貴方(あなた)随分(ずゐぶん)立派(りつぱ)体格(たいかく)だが(つよ)いでせうな。048竜公(たつこう)さまとの勝負(しようぶ)は、049如何(どう)なりましたか』
050『ハイ、051い……いや……もう、052とんと……(なん)(ござ)ります』
053『ハヽア、054(いづ)(おと)らぬ竜虎(りうこ)(あらそ)ひ、055(えう)するに行司(ぎやうじ)(あづか)りと()(ところ)ですかな。056まアまア()けをとつておけば(たがひ)(うら)みが(のこ)らいで結構(けつこう)ですよ。057アハヽヽヽ』
058『ヘー、059その、060……エー、061……(なん)(ござ)ります。062つひ、063(うま)()られまして、064マーケタと()ふのですな』
065うま()ひますね。066二番(にばん)勝負(しようぶ)でしたか、067一番(いちばん)勝負(しようぶ)でしたか』
068『ハイ、069一番(いちばん)()へば一番(いちばん)070二番(にばん)()へば二番(にばん)ですな。071真中(まんなか)(みづ)()れたものですから、072(さき)一番(いちばん)拙者(せつしや)()けました。073(あと)一番(いちばん)先方(むかふ)()ちましたよ』
074 ランチ(ほか)二人(ふたり)は、
075『アハヽヽヽ』
076大口(おほぐち)()けて(わら)ふ。
077ランチ『おい、078エキス、079まア一杯(いつぱい)やつたら如何(どう)だ』
080『(都々逸(どどいつ)相撲(すまふ)にや()けても怪我(けが)さへなけりや
081   ランチ将軍(しやうぐん)(さけ)()ます
082アハヽヽヽいや有難(ありがた)(ござ)ります。083(この)(ごろ)(なん)()つても政府(せいふ)物価(ぶつか)調節(てうせつ)084下落(げらく)方針(はうしん)()つてゐるのですから、085まけさへすればいいのです。086()けて勝取(かちと)ると()(こと)がありますからな。087吾々(われわれ)(ども)から(はん)(しめ)さなくちや、088如何(どう)しても不良(ふりやう)商人(せうにん)暴利(ばうり)(むさぼ)つて仕方(しかた)がありませぬからな』
089片彦(かたひこ)『アハヽヽヽ、090負惜(まけをし)みの……何処(どこ)までも(つよ)(をとこ)だな』
091将軍(しやうぐん)さま、092貴方(あなた)だつて()けるのは上手(じやうづ)でせう。093治国別(はるくにわけ)さまの言霊戦(ことたません)(むか)つた(とき)()うでしたな。094エヘヽヽヽ』
095和睦(わぼく)()んだ(うへ)河鹿峠(かじかたうげ)(こと)()はない(やう)にして()れ。096勝敗(しようはい)(とき)(うん)だからな』
097 かかる(ところ)竜公(たつこう)とタールは軍扇(ぐんせん)()つたまま(おそ)(おそ)(すす)(きた)り、
098竜公(たつこう)一寸(ちよつと)将軍様(しやうぐんさま)(うかが)ひますが、099治国別(はるくにわけ)宣伝使(せんでんし)はお()えになつて()りますか』
100()(そと)から(たづ)ねて()る。
101片彦(かたひこ)『さう()(こゑ)竜公(たつこう)ぢやないか。102何処(どこ)をうろついてゐたのだ。103まア這入(はい)れ』
104『はい、105御免(ごめん)(かうむ)ります』
106()ひながら()をガラリと()けて、107タールと(とも)につかつかと(すす)()り、
108竜公(たつこう)『まだ新年(しんねん)(はや)(ござ)りますが、109(みな)さま、110まけましてお目出度(めでた)(ござ)ります』
111片彦(かたひこ)馬鹿(ばか)!』
112『いえいえ、113エー……誤解(ごかい)して(もら)つちや(こま)ります。114(じつ)只今(ただいま)馬場(ばんば)(おい)此処(ここ)()ます(この)エキスの関取(せきとり)格闘(かくとう)をやりました(ところ)115(もろ)くもエキスが()けましたので、116エキス(くん)(たい)して御挨拶(ごあいさつ)(まを)()げたので(ござ)ります』
117ランチ『アハヽヽヽ、118片彦(かたひこ)さま、119何事(なにごと)も、120もう(この)(うへ)(みづ)(なが)すのだな』
121仕方(しかた)がありませぬ。122(つね)ならば(ゆる)(がた)代物(しろもの)ですが、123今日(けふ)和睦(わぼく)(いはひ)(わす)れてやりませう。124おい竜公(たつこう)125貴様(きさま)余程(よほど)幸福者(しあはせもの)だ』
126本当(ほんたう)にお(さつ)しの(とほ)(わたし)幸福者(しあはせもの)ですよ。127到頭(たうとう)三五教(あななひけう)言霊(ことたま)(おぼ)えちまつたものですから、128最早(もはや)今日(けふ)となつてはバラモン(けう)百人(ひやくにん)千人(せんにん)(くらゐ)は、129とつて()(くらゐ)(なん)でもありませぬからな。130エツヘヽヽヽ』
131ランチ『竜公(たつこう)132(ひさ)()りだ。133一杯(いつぱい)やらうかい』
134『ハイ、135有難(ありがた)う。136(れい)の○○(さけ)ぢやありませぬかな』
137(けつ)して鴆毒(ちんどく)這入(はい)つて()ないよ。138これ(この)(とほ)(おれ)()んでゐるのだから』
139成程(なるほど)140それなら(おそ)れながら、141将軍様(しやうぐんさま)のお(あが)りになつたのを(いただ)きませう。142余程(よほど)剣呑(けんのん)ですからな』
143(こころ)(おに)()()めるのだ。144(その)(はう)余程(よほど)(わる)いことを(たく)んでると()えるな。145(こころ)(あく)あれば(ひと)(おそ)るるとか、146(また)(こころ)(たく)みあれば(ひと)(うたが)ふと()(こと)があるぢやないか。147(なに)貴様(きさま)野心(やしん)包蔵(はうざう)してゐるのだらう』
148野心(やしん)貴方(あなた)(はう)にあるのでせう。149かうして治国別(はるくにわけ)此処(ここ)(みちび)いて()たのは、150うまく(さけ)()はし、151(すき)(ねら)つて○○しようと()(かんが)へだと()(こと)はチヤーンと(この)天眼通(てんがんつう)調(しら)べてあるのですよ。152(この)竜公(たつこう)だつて、153最早(もはや)今日(けふ)となつては(かみ)神力(しんりき)智慧(ちゑ)()たされ、154今迄(いままで)のヒヨツトコ野郎(やらう)とは(いささ)(わけ)(ちが)ふのですから、155斯様(かやう)大胆(だいたん)(こと)()つてゐられるのですよ。156(ひと)言霊(ことたま)発射(はつしや)して御覧(ごらん)()れませうかな。157エヘヽヽヽ』
158『しようもない(こと)(おぼ)えて()たものだな』
159片彦(かたひこ)何程(なにほど)160威張(ゐば)つた(ところ)駄目(だめ)だらうよ。161そりや大方(おほかた)治国別(はるくにわけ)(さま)(こと)()つてゐるのだらう。162(とら)()をかる(きつね)とは貴様(きさま)(こと)だらうよ。163オホヽヽヽ』
164心中(しんちう)にやや(おそ)れながら豪傑(がうけつ)(わら)ひに(まぎ)らしてゐる。
165治国(はるくに)『いや大変(たいへん)頂戴(ちやうだい)(いた)酩酊(めいてい)しました。166エー何処(どつ)かで休息(きうそく)さして(もら)ひたいものですな』
167ランチ『アー、168大変(たいへん)にお(くたぶ)れでせう。169では(おく)()にユルリと御休息(ごきうそく)なさいませ。170やア竜公(たつこう)171貴様(きさま)一緒(いつしよ)にお(とも)して(おく)()(やす)んだら如何(どう)だ』
172『ハイ、173有難(ありがた)う、174治国別(はるくにわけ)(さま)にグツスリと(やす)んで(いただ)きまして、175(この)竜公(たつこう)万一(まんいち)(そな)ふるため、176不寝番(ねずばん)(いた)しませう』
177『おい竜公(たつこう)178まだ(うたが)つてゐるのかな』
179平生(ふだん)のやり(かた)が、180やり(かた)ですから、181何程(なんぼ)和睦(わぼく)をなさつたと()つても、182()うして油断(ゆだん)出来(でき)ませうか。183おい、184タール、185貴様(きさま)(おれ)について()い』
186片彦(かたひこ)『いや、187タールには至急(しきふ)甲付(まをしつ)()(こと)があるから、188竜公(たつこう)一人(ひとり)(おく)()宿直(とのゐ)(いた)したがよからう。189さア治国別(はるくにわけ)さま、190案内(あんない)(いた)しませう』
191(さき)()つて立派(りつぱ)一段(いちだん)(たか)俄造(にはかづく)りの奥座敷(おくざしき)案内(あんない)した。
192 (この)居間(ゐま)燕返(つばめがへ)しになつて()て、193(ひと)針金(はりがね)引張(ひつぱ)ると真暗(まつくら)(ふか)(あな)()()(やう)になつてゐる。194さうして此処(ここ)水牢(みづらう)になつてゐる。195治国別(はるくにわけ)196竜公(たつこう)両人(りやうにん)(この)()(あし)()()むや(いな)や、197(たちま)座敷(ざしき)はクレリと燕返(つばめがへ)しの芸当(げいたう)(えん)じ、198真暗(まつくら)谷底(たにそこ)()()んで(しま)つた。199(みづ)一尺(いつしやく)ばかりより(たま)つてゐないが、200両人(りやうにん)岩窟(がんくつ)にいささか(あたま)()ち、201(あは)れや(たちま)気絶(きぜつ)して(しま)つた。202ランチ将軍(しやうぐん)203片彦(かたひこ)204エキスは(この)()(はし)(きた)り、205()()つて愉快気(ゆくわいげ)(わら)()らした。
206片彦(かたひこ)『ヤア、207ランチ殿(どの)208河鹿峠(かじかたうげ)大物(おほもの)()くの(ごと)計略(けいりやく)にかけて岩窟内(がんくつない)(おと)した以上(いじやう)は、209最早(もはや)天下(てんか)(おそ)るべきものはありますまい。210サア(これ)から一杯(いつぱい)やりませう』
211(また)もとの()引返(ひつかへ)一生懸命(いつしやうけんめい)大乱痴気(だいらんちき)(さわ)ぎを(はじ)()した。
212ランチ『どうも陣中(ぢんちう)(こと)()ひ、213(をとこ)ばかりが(さけ)()んで()つてもはづまぬぢやないか。214片彦(かたひこ)殿(どの)215部下(ぶか)(やつ)(ども)(すこ)渋皮(しぶかは)()けた(をんな)(さが)さして此処(ここ)(みつ)がしたら如何(どう)でせう。216もはや治国別(はるくにわけ)(ころ)した以上(いじやう)大黒主(おほくろぬし)(さま)(たい)しても()(わけ)()つと()ふもの、217(あま)(いそ)ぐにも(およ)びますまい。218まづ此処(ここ)一年(いちねん)ばかり野営(やえい)をして英気(えいき)(やしな)ひ、219河鹿峠(かじかたうげ)()()えてイソ(やかた)()()(こと)(いた)しませう。220()うせ三五教(あななひけう)此処(ここ)(とほ)らなくちや、221ハルナの(みやこ)()(こと)出来(でき)ませぬから、222一年間(いちねんかん)(をんな)なくてはやりきれないでせう』
223成程(なるほど)224(しか)らばエキス、225(その)(はう)御苦労(ごくらう)ながら二三人(にさんにん)部下(ぶか)引率(ひきつ)(あや)しの(もり)陣取(ぢんど)り、226(いつ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)通過(つうくわ)取調(とりしら)べ、227(いつ)美人(びじん)通過(つうくわ)するあらば有無(うむ)()はせず、228ひつ()らへて陣中(ぢんちう)()()(やう)取計(とりはか)らへよ』
229『ハイ、230委細(いさい)承知(しようち)(つかまつ)りました』
231此処(ここ)にエキスはコー、232ワク、233エム(ほか)二人(ふたり)(ひき)ゐ、234(あや)しの(もり)守衛(しゆゑい)(めい)じおき、235自分(じぶん)陣中(ぢんちう)彼方(あちら)此方(こちら)看守(みまも)りする(こと)となつた。
236 (あと)にランチ、237片彦(かたひこ)両将軍(りやうしやうぐん)はクビリクビリと(さけ)(かたむ)けながら雑談(ざつだん)(ふけ)つてゐる。
238ランチ『アー、239都合(つがふ)よくいつたものだな。240鬼春別(おにはるわけ)将軍(しやうぐん)241久米彦(くめひこ)将軍(しやうぐん)今日(けふ)吉報(きつぱう)()いたら(さぞ)(よろこ)ばれるだらう。242(しか)吾々(われわれ)()ながらにして功名(こうみやう)()てたのだから(じつ)幸福(しあはせ)だ。243(これ)()ふのも、244(まつた)大自在天(だいじざいてん)(さま)御神力(ごしんりき)だ』
245成程(なるほど)246(まつた)大自在天(だいじざいてん)御神力(ごしんりき)間違(まちが)ひはありますまい。247(これ)についてアーク、248タールの両人(りやうにん)(これ)から抜擢(ばつてき)してやらねばなりますまい。249(ひと)将軍(しやうぐん)から直接(ちよくせつ)にお(さかづき)(あた)へておやりなされば、250将来(しやうらい)のため奨励(しやうれい)となつて()いでせう』
251成程(なるほど)252貴将軍(あなた)()はるる(とほ)りアーク、253タールの両人(りやうにん)此処(ここ)()()しませう』
254 ランチは()()つて従卒(じゆうそつ)(まね)いた。255従卒(じゆうそつ)ビルは(おそ)(おそ)(すす)()で、
256『お()びになりましたのは(わたし)(ござ)りますか』
257『ウン、258只今(ただいま)アーク、259タールの両人(りやうにん)(これ)()()して()い、260(いな)()()れて(まゐ)れ』
261『ハイ、262承知(しようち)(いた)しました』
263(この)()立出(たちい)で、264肩肱(かたひぢ)(いか)らし屋外(をくぐわい)()でて()く。
265 アーク、266タールの両人(りやうにん)真裸体(まつぱだか)となつて治国別(はるくにわけ)遭難(さうなん)()らず土俵(どへう)四股(しこ)()んで()る。267そこへビルは鼻高々(はなたかだか)勅使(ちよくし)気取(きど)りになつて(あら)はれ(きた)り、
268『アイヤ、269そこに()るアーク、270タールの両人(りやうにん)271申渡(まをしわた)仔細(しさい)がある。272(それがし)についてランチ将軍(しやうぐん)御前(おんまへ)まで(まか)りつん()よ』
273下知(げち)した。274アーク、275タールの両人(りやうにん)はビルの(あや)しきスタイルに()()し、
276アーク『アハヽヽヽ将軍(しやうぐん)従卒(じゆうそつ)だと(おも)つていやに鯱子張(しやちこば)つて()やがるな。277(なん)だ、278(なまり)福助人形(ふくすけにんぎやう)()(やう)なスタイルしやがつて「(まか)りつん()よ」もあつたものかい。279貴様(きさま)のスタイルこそ古物屋(こぶつや)店前(みせさき)()(まる)(あふぎ)()つて(すわ)つてゐる大文字屋福助(だいもんじやふくすけ)ソツクリだ、280アハヽヽヽ(わら)はしやがるわい』
281『こりやこりや両人(りやうにん)282ビルの言葉(ことば)でないぞよ。283勿体(もつたい)なくもランチ将軍様(しやうぐんさま)御仰(おんあふ)せだ。284ビルの言葉(ことば)(すなは)ちランチ将軍(しやうぐん)御言葉(おことば)だ。285さあさあキリキリお()()され』
286『エー、287仕方(しかた)がないなア。288自分(じぶん)より五六段(ごろくだん)(ひく)(やつ)威張(ゐば)()らされて、289(たま)つたものぢやない。290(これ)だから宮仕(みやづか)へは(いや)といふのだ。291本当(ほんたう)()角杭(かくくひ)(やう)代物(しろもの)威張(ゐば)()らされて何処(どこ)(をとこ)()つものか。292なあアーク』
293『ウン、294さうともさうとも、295(しか)しながら主命(しゆめい)はもだし(がた)しだ。296さア()かう』
297 此処(ここ)二人(ふたり)はビルに(みちび)かれ、298ランチ将軍(しやうぐん)居間(ゐま)(すす)んだ。299(しか)しながら(この)両人(りやうにん)(すで)(すで)心機一転(しんきいつてん)して、300内心(ないしん)三五教(あななひけう)信者(しんじや)となつて()た。301二人(ふたり)(こころ)()くも(かは)つて()るとは(かみ)ならぬ()()(よし)もなく、302ランチ、303片彦(かたひこ)両将軍(りやうしやうぐん)二人(ふたり)此上(こよ)なきものと()(いつく)しみ、304一切万事(いつさいばんじ)相談(さうだん)をなすべく幹部(かんぶ)抜擢(ばつてき)して(しま)つたのである。
305大正一二・一・八 旧一一・一一・二二 北村隆光録)