霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一九章 兵舎(へいしや)(ささやき)〔一二七三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第48巻 舎身活躍 亥の巻 篇:第4篇 福音輝陣 よみ:ふくいんきじん
章:第19章 兵舎の囁 よみ:へいしゃのささやき 通し章番号:1273
口述日:1923(大正12)年01月14日(旧11月28日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年10月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
コー、ワク、エムの三人の守衛たちは一室に集まって、ランチ将軍たちの蘇生の祝い酒に舌鼓をうちながら雑談にふけっている。
ランチ将軍と片彦将軍が幽冥旅行の末、三五教に改心して軍隊を解散するという噂について、コーは憤慨し自分がバラモン軍を指揮して三五教を攻撃すると息巻くが、エムがなだめている。そこへ上官のテルンスがやってきて、三人の噂は本当かと問いただした。三人は、余計な疑いを抱かれてはと心配し、あいまいな返事をした。
テルンスは、必ず真実を白状させると言い残して去って行った。エムとワクは、コーが余計なことをいうからだと責め立てた。コーは二人に自分が言ったことを言いつけられてはたいへんと剣を取って二人に切りつけた。
コーは雪の中、石につまずいて転んだところをエムとワクは必死に逃げ、テルンスの官舎に逃げ込んだ。そして、コーがランチ・片彦が三五教に転身した後は自分がバラモン軍を指揮してあくまで斎苑館に攻めこむと息巻いていることを注進した。
それを聞くとテルンスはコーを褒め、武士は人殺しと戦利品収納が商売だと説き始めた。それを聞いてエムとワクは疑問を呈した。テルンスはやにわに刀を抜くと二人を切り殺した。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:271頁 八幡書店版:第8輯 688頁 修補版: 校定版:283頁 普及版:135頁 初版: ページ備考:
001 コー、002ワク、003エム三人(さんにん)守衛連(しゆゑいれん)陣営(ぢんえい)一室(いつしつ)(あつ)まつて、004ランチ将軍(しやうぐん)以下(いか)蘇生(そせい)祝酒(いはひざけ)舌鼓(したつづみ)をうちながら雑談(ざつだん)(ふけ)つて()る。
005コー『オイ、006チツと怪体(けたい)ぢやないか。007エヽーン、008本当(ほんたう)馬鹿(ばか)にしてゐよる。009(おれ)やモウこんな(こと)()つたら、010こんな(ところ)までついて()るのぢやなかつたに、011えらい番狂(ばんくる)はせだ』
012ワク『オイ、013コー、014(なに)(なん)()ふのぢやい。015テンと貴様(きさま)仰有(おつしや)ることは(みみ)疎通(そつう)せぬぢやないか』
016『きまつた(こと)だ。017テンと意味(いみ)疎通(そつう)せぬ(こと)出来(でき)たのだ。018よう(かんが)へて()よ。019ランチ、020片彦(かたひこ)両将軍(りやうしやうぐん)(をんな)()()ひをして、021(しま)ひにや生命(いのち)のとりあひ(まで)やつたぢやないか。022さうして(その)(をんな)()ふのはドテライお(ばけ)さまだ。023しようもない、024()きたり()んだりしよつて、025亡者(まうじや)ばつかり沢山(たくさん)にモジヤモジヤと本営(ほんえい)(あつ)まり、026亡者会(まうじやくわい)(ひら)(その)(いはひ)ぢやと()つて……糞面白(くそおもしろ)くもない。027俺達(おれたち)(あぢ)なくもない(さけ)滅多(めつた)矢鱈(やたら)()ひよるぢやないか。028(おれ)やむかつくの、029むかつかないのつて、030亡者(まうじや)(さけ)(おも)へや、031(この)サケ如何(どう)なるかと(おも)つて、032()()めて仕方(しかた)がないのぢや。033よく(かんが)へて()よ、034あの(かね)()れやがつた蠑螈別(いもりわけ)やお(たみ)治国別(はるくにわけ)035竜公(たつこう)036(その)(ほか)将軍(しやうぐん)副官(ふくくわん)037()めて八人(はちにん)(あめ)八衢(やちまた)とか幽冥界(いうめいかい)とかへ()つて()(にはか)弱気(よわき)になり、038モウ明日(あす)から(けん)()(こと)ならぬとか、039(いくさ)はやめだとか、040(いくさ)するよりも三五教(あななひけう)神様(かみさま)一生懸命(いつしやうけんめい)(をが)めとか、041幽霊(いうれい)みた(やう)(こと)(ぬか)すぢやないか。042(おれ)やモウ、043それがムカムカするのだ。044斎苑(いそ)(やかた)()つて天晴(あつぱれ)功名(こうみやう)手柄(てがら)(あら)はし、045一国(いつこく)宰相(さいしやう)にでもならうと(おも)つて()つたのに、046サツパリ源助(げんすけ)だ。047ワク、048貴様(きさま)(これ)でも(なん)ともないか、049エヽーン』
050智勇(ちゆう)兼備(けんび)のランチ将軍(しやうぐん)さまだ。051それに片彦(かたひこ)さまの(やう)豪傑(がうけつ)がついて(ござ)るのだから、052吾々(われわれ)燕雀(えんじやく)は、053そんな(こと)口嘴(くちばし)()れるものぢやない。054それよりも結構(けつこう)なお(さけ)頂戴(ちやうだい)したのだから、055おとなしう()んで()たがよからうぞ』
056『これが如何(どう)して()られるかい。057武装(ぶさう)撤廃(てつぱい)だとか軍備(ぐんび)廃止(はいし)だとか、058(あま)(むね)のよくない(はなし)()くぢやないか。059吾々(われわれ)一兵卒(いつぺいそつ)(いへど)(これ)黙許(もくきよ)せられるか。060貴様(きさま)余程(よつぽど)腰抜(こしぬ)けだな』
061『さうぢやないよ、062浄海入道(じやうかいにふだう)法衣(ほふえ)みた(やう)なものだ。063表面(うはべ)法衣(ほふい)()裏面(うらべ)甲冑(かつちう)(よそほ)うて()(やう)有様(ありさま)だ。064あゝ()三五教(あななひけう)治国別(はるくにわけ)陥穽(かんせい)()れて(ころ)(そこ)ねたり、065(かへつ)自分(じぶん)()(やう)()にあひ(たま)ひ、066治国別(はるくにわけ)(その)(ほか)(もの)油断(ゆだん)させるために、067軍隊(ぐんたい)一般(いつぱん)にあの(やう)(こと)をお()れになつたのだよ。068貴様(きさま)馬鹿正直(ばかしやうぢき)だからな』
069『それなら()()いてる。070如何(どう)やら、071それらしくないぞ。072最前(さいぜん)もテルンスが()つて()たが、073両将軍(りやうしやうぐん)(ならび)副官(ふくくわん)(まで)一生懸命(いつしやうけんめい)三五(あななひ)のお(きやう)(とな)へ、074(これ)から軍隊(ぐんたい)解散(かいさん)するか、075(ただし)一般(いつぱん)三五教(あななひけう)信者(しんじや)にするかと()了簡(れうけん)らしいぞ』
076『そんな(こと)があつたら(おれ)だつて(この)(まま)にや()ますものか。077(たちま)ちハルナの(みやこ)注進(ちゆうしん)して、078()めを(いただ)き、079マア将軍(しやうぐん)後釜(あとがま)にでもなるのだな。080(その)(とき)貴様(きさま)秘書官(ひしよくわん)(くらゐ)にしてやるわ。081さうして(つき)(くに)相当(さうたう)の、082二三万(にさんまん)人口(じんこう)ある刹帝利(せつていり)使(つか)つてやるから、083マア(たのし)んで()つたがよからう』
084馬鹿(ばか)()ふな。085(はた)してランチ将軍(しやうぐん)三五教(あななひけう)(とぼ)けよつたなら、086(おれ)全軍(ぜんぐん)指揮官(しきくわん)となり斎苑(いそ)(やかた)蹂躙(じうりん)し、087七千余ケ国(しちせんよかこく)(つき)(くに)(すくな)くも五分(ごぶ)(いち)(くらゐ)頂戴(ちやうだい)し、088貴様(きさま)(その)(なか)一番(いちばん)(ちひ)さい(くに)刹帝利(せつていり)使(つか)はぬ(こと)もない。089それも貴様(きさま)(こころ)()(やう)(ひと)つだ。090アヽ()んな(こと)(おも)ふと腹立(はらだち)何処(どこ)かへ消滅(せうめつ)して(しま)つた。091ランチ将軍(しやうぐん)片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)三五教(あななひけう)沈没(ちんぼつ)すれば、092(かへつ)吾々(われわれ)栄進(えいしん)(みち)(ひら)くと()ふものだ。093かう(おも)へば腹立(はらだち)(どころ)か、094双手(さうしゆ)()げて賛成(さんせい)すべきものだ』
095エム『(なん)(にはか)御機嫌(ごきげん)(なほ)つたぢやないか。096(しか)しさう()(なか)思惑通(おもわくどほ)りに()くものぢやないよ。097あれだけ武名(ぶめい)(たか)片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)だつて、098あの(とほ)治国別(はるくにわけ)敗北(はいぼく)したのだからな。099マア、100そんな空想(くうさう)()めにして、101もう(すこ)しばかりお神酒(みき)(いただ)き、102(はた)して将軍様(しやうぐんさま)三五教(あななひけう)になられるか、103(ただし)治国別(はるくにわけ)一行(いつかう)征伐(せいばつ)なさる御計略(ごけいりやく)か、104トツクリと二三日(にさんにち)()つて調(しら)べた(うへ)でなけりや、105ウツカリした(こと)()つて将軍(しやうぐん)(みみ)にでも這入(はい)つたら大変(たいへん)だぞ』
106 かかる(ところ)見廻(みまは)りに()たのは、107陣中(ぢんちう)にても(やや)相当(さうたう)位置(ゐち)()つてるテルンスであつた。108テルンスはツカツカと()(きた)り、
109『オイ、110前達(まへたち)(いま)(なに)()つてゐたか』
111コー『ハイ、112いえ(べつ)(なん)にも()つた(おぼ)えは(ござ)いませぬ。113治国別(はるくにわけ)(ひと)計略(けいりやく)にかけて()(もの)にすれば結構(けつこう)だと()つたのです。114それより(ほか)(なに)()ひませぬ。115のうワク、116エムさうだろ』
117馬鹿(ばか)()ふな。118貴様(きさま)はハルナの(みやこ)注進(ちゆうしん)するとか、119全軍(ぜんぐん)指揮官(しきくわん)になるとか、120(だい)それた(こと)(まを)したぢやないか』
121『ウン、122そりや(まを)しました。123(しか)(さけ)(うへ)一寸(ちよつと)法螺(ほら)()いてみたのですよ。124よう(かんが)へて御覧(ごらん)なさいませ。125テルンスと()上官(じやうくわん)があるのに、126貴方(あなた)差措(さしお)いてそんな(こと)出来(でき)ますかな。127何卒(なにとぞ)冷静(れいせい)にお(かんが)(くだ)さい』
128『おい、129ワク、130エム、131コーが(いま)()つてる(こと)本当(ほんたう)か、132(うそ)か、133如何(どう)だ』
134ワク『ヘー、135(うそ)らしうもあり、136本当(ほんたう)らしうも(ござ)います。137十分(じふぶん)酩酊(めいてい)して()つたものですから、138(なに)()つたか満足(まんぞく)(きこ)えませず、139(わたくし)だつて(さけ)()つたのだから、140肝腎(かんじん)御本人(ごほんにん)(なに)()りや()りませぬ。141何卒(なにとぞ)大目(おほめ)()てやつて(くだ)さい』
142『コリヤ(その)(はう)(いつは)りを(まを)しちやならないぞ。143本当(ほんたう)(こと)()はないか』
144(さけ)()うて()ましたから、145()うて()つて(なん)(おぼ)えもないと()ふのです。146それが事実(じじつ)ですもの』
147『ヨシ、148()らぬなら()らぬでよい。149明日(あす)締木(しめき)にかけてでも白状(はくじやう)(いた)さす。150何程(なにほど)弁解(べんかい)(いた)しても(この)(はう)はシツカリ証拠(しようこ)(おさ)へてあるのだ』
151()ひながら()をピシヤツと(あら)()め、152(また)(つぎ)兵舎(へいしや)足音(あしおと)(しの)ばせ(すす)()く。
153 (あと)三人(さんにん)小声(こごゑ)になり、
154ワク『それ()よ、155コーの(やつ)め、156仕様(しやう)もない(こと)()かすから(おれ)(まで)(うたが)はれて(しま)ふのだ。157(おれ)とエムとが貴様(きさま)()つてる(こと)本当(ほんたう)証明(しようめい)しようものなら、158(まへ)生命(いのち)はないのだぞ。159なあエム、160(おれ)だとて、161(かく)されるだけは(かく)してやるけど、162(いた)()(つら)()()ふのなら、163本当(ほんたう)(こと)()つてやらう。164それが自利上(じりじやう)165(いな)(わが)()保全(ほぜん)(うへ)(おい)(もつと)利巧(りかう)のやり(かた)だ』
166『さうとも、167(おれ)だとて、168(いた)()(くる)しい()までしてコーの保護(ほご)してやつた(ところ)(べつ)(よろこ)ぶでもなし、169何時(いつ)組頭顔(くみがしらがほ)をしやがつて俺達(おれたち)頭抑(あたまおさ)へに(おさ)へやがるから、170いい敵討(かたきう)ちの(とき)到来(たうらい)したのだよ。171こらコー、172(おそ)()つたか』
173(やや)巻舌(まきじた)になりながら後前(あとさき)()ずに(しやべ)()した。174コーは二人(ふたり)素破抜(すつぱぬ)かれちや大変(たいへん)だと(おも)ひ、175(かたはら)(けん)()るより(はや)二人(ふたり)(むか)つて()りつけた。176二人(ふたり)手早(てばや)()(かは)し、177コーの両足(りやうあし)をグツとさらへて仰向(あふむ)けにドタンと(たふ)した。178コーは(おほ)いに(いか)り、
179(おの)れ、180両人(りやうにん)181もはや了簡(れうけん)はならぬ。182もう()うなる(うへ)死物狂(しにものぐる)ひだ、183覚悟(かくご)をせよ』
184大刀(だいたう)(ひつさ)()つてかかる。185ワク、186エムの両人(りやうにん)(おもて)にバラバラと()()し、187雪道(ゆきみち)()(まど)ふ。188コーは狂気(きやうき)になつて追駆(おつか)(まは)る。189(たちま)ちコーは(ゆき)(つつ)まれた捨石(すていし)膝頭(ひざがしら)()ち、
190『アイタツタ』
191()つたきり()(まは)し、192抜刀(ぬきみ)(まま)(ゆき)(うへ)(たふ)れて(しま)つた。193エム、194ワクの両人(りやうにん)狼狽(うろた)へてテルンスの営舎(えいしや)(はし)()き、195(いき)(はづ)ませながら、
196ワク『テヽヽヽテルンス(さま)197何卒(どうぞ)タヽヽヽ(たす)けて(くだ)さいませ』
198()ひながらエムと(とも)(ころ)()んだ。199テルンスは二人(ふたり)(あわただ)しき(いきほひ)不審(ふしん)(いだ)き、
200(その)(はう)はワク、201エムの両人(りやうにん)ぢやないか。202(なに)騒々(さうざう)しく夜中(よなか)にやつて()るのだ。203(なに)変事(へんじ)突発(とつぱつ)したのか』
204ワク『タヽヽヽヽ大変(たいへん)出来(でき)ました。205コーの(やつ)206(しやべ)つた(こと)貴方(あなた)素破(すつぱ)ぬくと(まを)したら、207(おこ)つて大刀(だいたう)振上(ふりあ)げ、208ソレ…そこに追駆(おつか)けて()ます。209いつもなら(わたし)はあんな(やつ)三人(さんにん)五人(ごにん)(おそ)れはしませぬが、210何分(なにぶん)(あし)充分(じうぶん)(はこ)べぬやうに酩酊(めいてい)してるものですから、211如何(どう)する(こと)出来(でき)ませぬ。212何卒(どうぞ)彼奴(あいつ)(つか)まへて(くだ)さい』
213『アー、214さうか、215コーは(なん)(まを)して()つた』
216エム『ヘー、217ハルナの(みやこ)へランチ将軍(しやうぐん)218片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)三五教(あななひけう)(とぼ)けた(こと)早馬(はやうま)()つて注進(ちゆうしん)し、219自分(じぶん)全軍(ぜんぐん)指揮官(しきくわん)になり、220(つき)(くに)刹帝利(せつていり)になるとか()つて()りましたよ。221(わたくし)とワクとは、222もしもそんな(こと)になつたら、223テルンスさまを将軍(しやうぐん)(あふ)ぐと()ひましたら、224大変(たいへん)(いか)つて大刀(だいたう)()()(わたし)(ころ)しにかかつたのです。225あんな悪人(あくにん)はお(ため)になりませぬ。226何卒(どうぞ)捕手(とりて)()して(つかま)へて(くだ)さい』
227虚実交々(きよじつこもごも)まぜて()()てた。
228(なに)229コーが左様(さやう)(こと)(まを)して()つたか。230中々(なかなか)(もつ)気骨(きこつ)のある(やつ)だ。231(おほい)見込(みこ)みがある。232(その)(はう)(これ)からコーを拙者(せつしや)命令(めいれい)だと()つて()んで()い。233相談(さうだん)()(こと)があるから』
234ワク『オヽヽオイ、235エム、236(まへ)()つて()い。237(おれ)(あし)がチツとも(うご)かないわ』
238(おれ)だつて(さけ)(あし)()られてゐるのだから、239一足(ひとあし)(ある)けぬぢやないか』
240一足(ひとあし)(ある)けぬと(まを)すか、241此処(ここ)まで如何(どう)して()たのだ』
242エム『ハイ、243(ゆき)(なか)(ころ)げて()ました』
244(しか)らば(ころ)げて()んで()い。245それで結構(けつこう)だ』
246『へー、247それだけは何卒(なにとぞ)御免(ごめん)(くだ)さいませな』
248『イヤ、249ならぬ。250上官(じやうくわん)命令(めいれい)だ』
251上官(じやうくわん)命令(めいれい)仰有(おつしや)つても、252あんな危険(きけん)(やつ)(ところ)()かうものなら、253(わたくし)(くび)がなくなります』
254(くび)がなくなつた(ところ)(べつ)(おれ)損害(そんがい)になるでもなし、255(かま)はぬぢやないか。256貴様等(きさまら)小童武者(こわつぱむしや)一人(ひとり)(くらゐ)()んでも(なに)かい。257武士(ぶし)戦場(せんぢやう)(かばね)(さら)すが名誉(めいよ)だ』
258『オイ、259ワク、260貴様(きさま)御苦労(ごくらう)だが御用(ごよう)()つて()れないか』
261『アイタヽヽ(にはか)(こし)(いた)くなつた。262オイ、263エム、264(ひと)()でてくれ。265(いき)がつまりさうだ。266アー、267(いた)(いた)(いた)い』
268『アハヽヽヽ、269ナマクラの(やつ)ばつかりだな、270卑怯者(ひけふもの)()が。271(なん)のために貴様(きさま)(やう)(やつ)()うてあるのだ。272マサカの(とき)生命(いのち)()てさす(ため)に、273(たか)いパンを()はしておいてあるぢやないか』
274エム『まるで(にはとり)(ぶた)()(やう)仰有(おつしや)いますな。275そりやあまりです。276チツとは(なさけ)()(こと)(かんが)へて(くだ)さいませ』
277馬鹿申(ばかまを)せ。278慈悲(じひ)(なさけ)(かま)つて()つて、279こんな人殺(ひとごろ)商売(しやうばい)出来(でき)るか。280残忍(ざんにん)(うへ)にも残忍性(ざんにんせい)発揮(はつき)するために、281毎日(まいにち)日日(ひにち)剣術(けんじゆつ)をやつたり柔術(じうじゆつ)稽古(けいこ)してるぢやないか』
282『それは(わが)()保護(ほご)する(ため)稽古(けいこ)ぢやありませぬか』
283馬鹿申(ばかまを)せ、284(わが)()保護(ほご)する(ため)なら、285こんなに沢山(たくさん)軍隊(ぐんたい)がかたまる必要(ひつえう)がないぢやないか。286かく(まで)大部隊(だいぶたい)引率(いんそつ)して将軍(しやうぐん)がお()でたのは(てき)(みなごろ)しにするためだ。287その(ため)(やり)(けん)()たしてあるのだ。288(やり)(けん)(けつ)して(しし)(たぬき)()るためぢやないぞ。289人斬(ひとき)庖丁(ばうちやう)()つて(ひと)()るためだ。290そんな(こと)(わか)らずに武士(ぶし)本分(ほんぶん)(つく)せるものか』
291『それでも、292軍人(ぐんじん)平和(へいわ)(まも)(がみ)()ふぢやありませぬか』
293(ある)(とき)平和(へいわ)(まも)(がみ)となり、294(ある)(とき)天下(てんか)攪乱者(かくらんしや)となり、295血河屍山(けつかしざん)(きづ)き、296(もつ)敵国(てきこく)占領(せんりやう)し、297戦利品(せんりひん)沢山(たくさん)収納(しうなふ)するのが武士(ぶし)本領(ほんりやう)だ』
298『まるで強盗(がうたう)みた(やう)なものですな』
299貴様(きさま)余程(よほど)よい頓馬(とんま)だな。300軍隊(ぐんたい)必要(ひつえう)とならば人家(じんか)()かねばならず、301人命(じんめい)もとらねばならず、302米麦(べいばく)303金銭(きんせん)(まを)すに(およ)ばず、304(ぶた)(とり)305大根(だいこん)(かぶら)306(すべ)必要品(ひつえうひん)無断(むだん)徴集(ちようしふ)するのだ。307それでなくては、308(なん)軍隊(ぐんたい)維持(ゐぢ)(たも)たれるか』
309『おい、310ワク、311テルンスさまの仰有(おつしや)(こと)あ、312チツと道理(だうり)(かな)はぬぢやないか。313(ふた)()には、314()るの、315(ぬす)むのと、316そんな武士(ぶし)があるものだらうかな』
317『そら、318さうだな』
319 テルンスは()()()せず(ゆき)にひらめく(こほり)(やいば)320(たちま)ちエムの(くび)()(おと)し、321(かへ)(かたな)にワクの(かうべ)無残(むざん)にも()(おと)し、322(ゆき)(には)(たちま)(くれなゐ)(くわ)した。
323大正一二・一・一四 旧一一・一一・二八 北村隆光録)