霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一一章 鸚鵡(あうむ)(がへし)〔一三〇五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第50巻 真善美愛 丑の巻 篇:第3篇 神意と人情 よみ(新仮名遣い):しんいとにんじょう
章:第11章 鸚鵡返 よみ(新仮名遣い):おうむがえし 通し章番号:1305
口述日:1923(大正12)年01月21日(旧12月5日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年12月7日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
祠の森に現れた偽杢助の正体は、八岐大蛇の片腕として名も高い、獅子と虎の忠誠を備えた怪しの動物であり、名を妖幻坊といった。
一方、高姫は祠の森の御社を蹂躙せんと出て来た悪霊に魂を奪われてしまった。妖幻坊は高姫をたぶらかして夫婦に成りすまし、生地を隠していた。しかし初稚姫の霊光と、お供の猛犬スマートに恐れて逃げ出し、スマートに眉間をかぶりつかれてひとまず逃げて行った。
妖幻坊と高姫が、珍彦夫婦を亡き者にしようとした毒殺の企みも、楓姫の枕元に現れた文殊菩薩が授けた霊薬によって何事もなく終わった。
スマートに傷つけられた妖幻坊を癒そうと、薬の茸を採ろうと大杉に梯子をかけた高姫も、梟にこつかれて墜落し、寝込んでしまった。高姫は、初稚姫の献身的な看病によって回復した。しかし高姫は初稚姫をねたみ、その神力をおそれて再び奸策を企みはじめた。
高姫は回復すると、一度も見舞いに来なかったと珍彦の館に文句を言いに上り込んできた。しかし対応した楓は逆に高姫の災難を嘲笑い、父母に毒を盛った罰だと非難してかかった。また珍彦と静子が、毒殺未遂の件を斎苑館に報告し行くと高姫を脅して帰そうとした。
高姫と楓は言い争いになり、怒った高姫はこぶしを固めて楓を打ち付けた。楓は大きな声で叫び、人を呼ぶ声が酒盛りをしていたイル、イク、サール、ハル、テルにまで届いて五人はその場にかけつけた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-07-18 19:56:59 OBC :rm5011
愛善世界社版:149頁 八幡書店版:第9輯 204頁 修補版: 校定版:155頁 普及版:77頁 初版: ページ備考:
001(ほこら)(もり)神館(みやかた)
002(あら)はれ(きた)りし杢助(もくすけ)
003(その)正体(しやうたい)(つき)(くに)
004大雲山(たいうんざん)(わだか)まる
005八岐(やまた)大蛇(をろち)片腕(かたうで)
006妖魅(えうみ)世界(せかい)()(たか)
007獅子(しし)(とら)との中性(ちうせい)
008(そな)へし(あや)しの動物(どうぶつ)
009妖幻坊(えうげんばう)(うた)はれて
010彼方(あなた)此方(こなた)出没(しゆつぼつ)
011神出(しんしゆつ)鬼没(きぼつ)妖術(えうじゆつ)
012使(つか)ひて世人(よびと)をなやませつ
013地上(ちじやう)世界(せかい)魔界(まかい)とし
014所有(あらゆる)(ぜん)(ほろ)ぼして
015邪悪(じやあく)虚偽(きよぎ)()にせむと
016(くる)(まは)るぞ由々(ゆゆ)しけれ
017三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
018玉国別(たまくにわけ)丹精(たんせい)
019()らして(つか)へまつりたる
020(いづ)御霊(みたま)瑞御霊(みづみたま)
021(たふと)(かみ)御社(みやしろ)
022蹂躙(じうりん)せむと()(きた)
023悪魔(あくま)御魂(みたま)(うば)はれし
024高姫司(たかひめつかさ)(たぶら)かし
025(ここ)夫婦(ふうふ)となりすまし
026生地(きぢ)(かく)して()たる(をり)
027(たちま)(きた)三五(あななひ)
028(みち)名高(なだか)宣伝使(せんでんし)
029初稚姫(はつわかひめ)霊光(れいくわう)
030(ともな)(きた)猛犬(まうけん)
031(おそ)れて()()すその途端(とたん)
032(かみ)(つか)ふるスマートが
033(その)正体(しやうたい)看破(みやぶ)りて
034(たちま)勇気(ゆうき)()(おこ)
035幾層倍(いくそうばい)巨体(きよたい)をば
036(いう)する曲津(まがつ)()りついて
037眉間(みけん)のあたりを一噛(ひとか)ぶり
038(もり)(なが)るる谷水(たにみづ)
039(かた)へに(しのぎ)(けづ)りつつ
040妖魅(えうみ)(たちま)驚愕(きやうがく)
041(くも)(かすみ)(やま)()
042()して一先(ひとま)()げて()
043スマートは(あし)(きず)つけて
044チガチガしながら立帰(たちかへ)
045初稚姫(はつわかひめ)居間(ゐま)()
046(しば)痛手(いたで)()めながら
047自分(じぶん)療治(れうぢ)巧妙(かうめう)
048高姫司(たかひめつかさ)杢助(もくすけ)
049兇暴(きようばう)不敵(ふてき)曲神(まががみ)
050()らぬ(かな)しさ(わが)(つま)
051()(した)ひつつひそびそと
052よからぬ(こと)計画(けいくわく)
053まづ第一(だいいち)目上(めうへ)(こぶ)
054(こころ)にかかる珍彦(うづひこ)
055静子(しづこ)(かた)毒殺(どくさつ)
056(かへで)(ひめ)(わが)()ぞと
057(いつは)りすまして聖場(せいぢやう)
058いや永久(とこしへ)(ぢん)()
059斎苑(いそ)(やかた)にましませる
060(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)
061世界(せかい)救治(きうぢ)神策(しんさく)
062妨害(ばうがい)せむと(かうべ)をば
063(あつ)めて(ささや)(おそ)ろしさ。
064
065(かへで)(ひめ)枕辺(まくらべ)
066(あら)はれ(たま)ひしエンゼルは
067言霊別(ことたまわけ)化身(けしん)なる
068文珠(もんじゆ)菩薩(ぼさつ)(いか)めしく
069さしも雄々(をを)しきスマートを
070(ともな)(きた)両親(ふたおや)
071危難(きなん)(すく)(あた)へよと
072百毒(ひやくどく)解散(げさん)神丹(しんたん)
073(あた)へて(くも)()(かく)
074何処(いづく)ともなく()でましぬ
075(かへで)はハツと()()まし
076(わが)()(こぶし)調(しら)ぶれば
077(ゆめ)()けたる霊薬(れいやく)
078(にぎ)()たるぞ不思議(ふしぎ)なれ
079妖幻坊(えうげんばう)杢助(もくすけ)
080意思(いし)(したが)ひスマートを
081一先(ひとま)づここを()(いだ)
082やつと安心(あんしん)する()なく
083杢助司(もくすけつかさ)瘡傷(さうしやう)
084(いや)さむために大杉(おほすぎ)
085(こずゑ)()えし玉茸(たまたけ)
086(ひそか)()らむと高姫(たかひめ)
087人目(ひとめ)をしのび梯子(はしのこ)
088大木(おほき)(みき)()てかけて
089(おも)(からだ)をたわたわと
090さしもに(たか)(いち)(えだ)
091やつと()をかけ蜘蛛(くも)()
092()つかかりつつ右左(みぎひだり)
093(こずゑ)(さが)()たりしが
094(たちま)(ふくろ)両眼(りやうがん)
095(みと)めてこれぞ玉茸(たまたけ)
096(よろこ)(いさ)()()せば
097(ふくろ)(おどろ)高姫(たかひめ)
098(ふた)つの(まなこ)容赦(ようしや)なく
099(かぎ)のやうなる(くちばし)
100(ちから)(かぎ)りについばめば
101不意(ふい)()たれて高姫(たかひめ)
102スツテンドウと高所(かうしよ)より
103(たちま)地上(ちじやう)顛落(てんらく)
104(まなこ)(くら)(こし)(いた)
105(いき)()えだえとなりにける
106受付役(うけつけやく)(つか)へたる
107イルは()るより仰天(ぎやうてん)
108(たちま)(やかた)にふれ(まは)
109珍彦(うづひこ)静子(しづこ)(はじ)めとし
110イル、イク、サール、ハル、テルの
111(わか)(をとこ)高姫(たかひめ)
112(かつ)いで居間(ゐま)(はこ)()
113初稚姫(はつわかひめ)熱心(ねつしん)
114(その)介抱(かいはう)高姫(たかひめ)
115(しば)(いき)をばつきながら
116杢助(もくすけ)さまを逸早(いちはや)
117(まね)(きた)れとせきたつる
118(その)心根(こころね)不愍(ふびん)なれ
119顔面(がんめん)(たちま)()(あが)
120二目(ふため)()られぬ醜面(しこづら)
121(かは)()てたる(おそ)ろしさ
122(ほこら)(もり)妖怪(えうくわい)
123(おそ)れて(ちか)づくものもなし
124さはさりながら三五(あななひ)
125(をしへ)(まも)宣伝使(せんでんし)
126初稚姫(はつわかひめ)懇切(こんせつ)
127高姫司(たかひめつかさ)をいたはりて
128介抱(かいはう)なせば七八日(ななやうか)
129月日(つきひ)(かさ)ねて両眼(りやうがん)
130(たちま)ちパツと(もと)(ごと)
131(ひら)けて(いた)みも(とみ)にやみ
132(かほ)(はれ)まで減退(げんたい)
133(よろこ)()もなく高姫(たかひめ)
134初稚姫(はつわかひめ)神力(しんりき)
135(おそ)れて(ふたた)奸策(かんさく)
136(たく)()めしぞうたてけれ。
137 高姫(たかひめ)懇切(こんせつ)なる初稚姫(はつわかひめ)介抱(かいはう)(やうや)(こし)(いた)みも全快(ぜんくわい)し、138(かほ)(はれ)()両眼(りやうがん)(もと)(ごと)(はやぶさ)(ごと)(ひか)()した。139喉元(のどもと)()ぎて(あつ)(わす)るるは小人(せうじん)(つね)とかや、140兇霊(きようれい)憑依(ひようい)されたる高姫(たかひめ)は、141(まへ)(ばい)して悪垂(あくた)(ぐち)をつき(はじ)め、142(さすが)初稚姫(はつわかひめ)143珍彦(うづひこ)()こずらすこと一通(ひととほ)りではなかつた。
144 高姫(たかひめ)病気(びやうき)(なほ)つたのを(さいは)ひ、145いそいそとして珍彦(うづひこ)(やかた)()うた。
146高姫『ハイ御免(ごめん)なさいませ。147珍彦(うづひこ)さまは()機嫌(きげん)宜敷(よろし)(ござ)いますかな。148静子(しづこ)さまも()無事(ぶじ)ですかな。149(わたし)(なが)らく怪我(けが)(いた)しまして(こま)つて()りましたが、150()親切(しんせつ)貴方(あなた)(さま)151あれ(ほど)(わたし)(くる)しんで()るのに、152(ただ)一度(いちど)もお(たづ)(くだ)さいませず、153(まこと)()親切(しんせつ)(ほど)154有難(ありがた)(ぞん)じます。155(さすが)大神(おほかみ)(さま)直々(ぢきぢき)(つか)(あそ)ばす()夫婦(ふうふ)(こと)とて、156(なに)から(なに)(まで)()のつく(こと)(ござ)いますわい。157この()親切(しんせつ)をお(むく)(まを)さねば()みませぬから、158()迷惑(めいわく)ながらちつとばかり、159いなやつとばかりお邪魔(じやま)になるかも()れませぬよ』
160門口(かどぐち)から(しやべ)りながら「お(あが)りなさいませ」とも()はぬに(はや)くも座敷(ざしき)(あが)()み、161火鉢(ひばち)(まへ)にどつかと(すわ)り、162(はしら)()に、163煙草(たばこ)(くゆ)らしながら、164傲然(がうぜん)(かま)へて()るその(にく)らしさ。165楓姫(かへでひめ)(しと)やかに(ふすま)()けて高姫(たかひめ)(まへ)(あら)はれ、
166『ヤ、167(まへ)さまは義理(ぎり)天上(てんじやう)さまぢやな。168(この)(あひだ)(まこと)にお()(どく)さま、169イヒヒヒヒヒ、170貴女(あなた)もあれでよい修業(しゆげふ)をなさつたでせうね。171(とう)さまやお(かあ)さまに大切(たいせつ)毒散(どくさん)()()つて(くだ)さいまして、172(まこと)にお()(どく)さま(ござ)いましたなア。173ホホホホホ』
174 高姫(たかひめ)は、175ぎよつとしながら()あらぬ(てい)にて、
176高姫『これ(かへで)さま、177なんぼ(とし)(わか)いと()つても、178その悪言(あくげん)()()てなりませぬぞや。179(まへ)さまは(この)義理(ぎり)天上(てんじやう)が、180()両親(りやうしん)(どく)()つたと()ひましたな。181(なに)証拠(しようこ)にそんな(こと)仰有(おつしや)る。182この義理(ぎり)天上(てんじやう)に、183あらぬ悪名(あくめい)をつけ、184無実(むじつ)(とが)()はせて()()さうとの(たく)みであらうがな。185何奴(どいつ)此奴(こいつ)悪人(あくにん)ばかりで、186(てこ)にも(ぼう)にもおへた代物(しろもの)ぢやないわい。187これ(ほど)(この)(やかた)悪魔(あくま)(はびこ)以上(いじやう)は、188いつかな いつかな(この)高姫(たかひめ)は、189(まへ)(たち)()()さうと()つたつてびくとも(うご)きはしませぬぞえ。190そして珍彦(うづひこ)さま、191静子(しづこ)さまは(なに)をして(ござ)るのだ。192(どく)()ました」と、193こんな失礼(しつれい)(こと)現在(げんざい)自分(じぶん)(むすめ)()つて()るのに(ことわ)りにも()ず、194(そろ)ひも(そろ)つた()(あし)身魂(みたま)ぢやな。195これだからこの義理(ぎり)天上(てんじやう)(ほね)()れるのだ。196こんな(わか)らずやの悪人(あくにん)結構(けつこう)結構(けつこう)なお(やかた)(けが)して()るものだから、197神力(しんりき)無双(むさう)杢助(もくすけ)さま(まで)198(まへ)(たち)犠牲(ぎせい)となつてあんな深傷(ふかで)()ひ、199(いま)ではお姿(すがた)()えない。200大方(おほかた)(まへ)(たち)(よご)れて()るので、201清浄(せいじやう)無垢(むく)杢助(もくすけ)(さま)はお(きら)(あそ)ばし、202斎苑(いそ)(やかた)へお(かへ)りなさつたのだらう。203エエ仕方(しかた)のない曲津(まがつ)()つたものだなア。204変性(へんじやう)女子(によし)のしようもない(をしへ)にとぼけて()八島主(やしまぬし)(はじ)め、205玉国別(たまくにわけ)206五十子(いそこ)(ひめ)などと()阿婆摺(あばずれ)(をんな)肝腎(かんじん)義理(ぎり)天上(てんじやう)(さま)相談(さうだん)(いた)さず、207(ゆる)しもうけず、208勝手(かつて)気儘(きまま)大神(おほかみ)(さま)のお(しづ)まり(あそ)ばす()聖場(せいぢやう)に、209(たか)(とんび)(たぬき)(いたち)(わか)りもしない御霊(みたま)宿(やど)つた珍彦(うづひこ)夫婦(ふうふ)を、210(だい)それた神司(かむつかさ)(にん)じ、211(その)(うへ)バラモン(けう)落武者(おちむしや)212(はし)にも(ぼう)にもかからないガラクタ人足(にんそく)(はん)ダースも引張(ひつぱ)()み、213聖場(せいぢやう)()(つき)(けが)すものだから、214杢助(もくすけ)(さま)犠牲(ぎせい)ではまだ()らぬと()え、215女房(にようばう)義理(ぎり)天上(てんじやう)(まで)(なが)らくの(くる)しみ、216(これ)もやつぱりお(まへ)(たち)親子(おやこ)(ため)千座(ちくら)置戸(おきど)()うたのだ。217あの病気中(びやうきちう)にせめて一度(いちど)(くらゐ)218義理(ぎり)天上(てんじやう)(さま)219()気分(きぶん)はどうですか、220(くすり)如何(どう)か」と義理(ぎり)一遍(いつぺん)挨拶(あいさつ)にでも()たらよささうなものだなア。221本当(ほんたう)(おん)()らずと()つても、222犬畜生(いぬちくしやう)にも(おと)つたどたほし(もの)だ。223珍彦(うづひこ)224静子(しづこ)夫婦(ふうふ)は、225(わたし)神徳(しんとく)(おそ)れて何処(どこ)潜伏(せんぷく)したのだ。226サア(かへで)さま、227一遍(いつぺん)()意見(いけん)をして()げねばならぬから、228ここへ()れて()なさい』
229『イヤですよ。230(まへ)さまは杢助(もくすけ)妖幻坊(えうげんばう)(はら)(あは)せて、231毒散(どくさん)()(わる)(くすり)をお(とう)さまやお(かあ)さまに()ました(おそ)ろしい大悪魔(だいあくま)だから、232何程(なにほど)(まへ)さまが(くる)しんで()ても、233よい(ばち)だと(おも)つて(たれ)(たづ)ねに()くものがないのよ。234()(どく)ですねえ。235ホホホホホ』
236高姫『これ阿魔(あま)つちよ。237(なん)()ちつぺの(ざま)をして、238毒散(どくさん)()ましたなぞと、239(なに)証拠(しようこ)にそんな(こと)()ふのだ。240(どく)でない証拠(しようこ)には、241(まへ)両親(りやうしん)(たち)(なん)(こと)もないぢやないか。242(ねつ)(ひと)()たと()ふのぢやなし、243(せき)(ひと)つしたと()ふのぢやなし、244そんな無体(むたい)(こと)()ふと、245(この)(やかた)には()つて(もら)ひませぬぞや』
246(おほ)きに(はばか)りさま。247(まへ)さまのやうな(おそ)ろしい(ひと)(かほ)()るのもいやだと()つて、248(とう)さまやお(かあ)さまは、249昨夜(さくや)(うち)斎苑(いそ)(やかた)へ、250そつとお(まゐ)りになりましたよ。251ここは珍彦(うづひこ)監督権(かんとくけん)(ない)252(まへ)さまが義理(ぎり)天上(てんじやう)不義理(ふぎり)天上(てんじやう)()らぬけれど、253まア二三(にさん)(にち)()つて()なされ、254きつと立退(たちの)命令(めいれい)が、255斎苑(いそ)(やかた)から(さが)つて()るのに(ちが)ひありませぬわ、256エヘヘヘヘ、257()(どく)さまねえ』
258高姫『ほんにほんに年歯(としは)()かぬ阿魔(あま)つちよの(くせ)に、259(なん)とした謀叛(むほん)(たく)らむのだらう。260毒害(どくがい)(いた)したなぞと、261(この)生宮(いきみや)(だい)それた斎苑(いそ)(やかた)(まで)讒言(ざんげん)しに()きよつたのだな。262エー、263アタ小面(こづら)(にく)い、264(いま)(おも)()らしてやる(ほど)に、265仮令(たとへ)立退(たちの)命令(めいれい)()たとて、266いつかないつかな日出(ひのでの)(かみ)()命令(めいれい)(くだ)らぬ以上(いじやう)(うご)きは(いた)さぬぞや』
267『オホホホホ、268日出(ひのでの)(かみ)(さま)269(うそ)だよ(うそ)だよ、270あんまりお(まへ)さまが(わる)(こと)(たく)むから、271(とう)さまとお(かあ)さまがとてもやり()れないから、272斎苑(いそ)(やかた)注進(ちゆうしん)()かうかと()つて()たのだよ。273まだ()つて()ないから、274(やしろ)へでも()祈念(きねん)にいらしたのだらう。275(いま)(うち)改心(かいしん)して、276(とう)さまやお(かあ)さまに(どく)()ましたお(わび)をなされば、277(わたし)()()つて斎苑(いそ)(やかた)()きを()めて()げませう。278天上(てんじやう)さま、279どうですな。280この(こと)注進(ちゆうしん)されたら、281何程(なにほど)日出(ひのでの)(かみ)(さま)でもちつとは(こま)るでせう』
282高姫無実(むじつ)(つみ)()せられて(こま)(もの)何処(どこ)にあるか。283無実(むじつ)(とが)でおめおめと親子(おやこ)四方(しはう)(なが)され、284()いて一生(いつしやう)(くら)した未来(みらい)菅公(くわんこう)()たやうな人間(にんげん)とは、285ヘンちつと(ちが)ひますぞや。286誣告(ぶこく)(つみ)で、287此方(こつち)(はう)から(うつた)へてやるのだ。288(なん)()つても承知(しようち)はせないぞや。289さあ(はや)両親(りやうしん)をここへ()きずり()して、290義理(ぎり)天上(てんじやう)(さま)に、291(かしら)()()りつけ、292(しり)花瓶(はなたて)にしてあやまりなさい。293さうしたら都合(つがふ)によつたら、294(むし)(おさ)へこらへてやらぬものでもない』
295『オホホホホ、296オイ馬鹿(ばか)天上(てんじやう)さま、297(あく)天上(てんじやう)さま、298どつこい不義理(ふぎり)天上(てんじやう)さま、299さうは()きませぬぞや。300(まへ)さまが妖幻坊(えうげんばう)相談(さうだん)をして、301印度(ツキ)(くに)から()つて()毒散(どくさん)をお(さけ)(なか)御飯(ごはん)(なか)にまぜて()はしたのだ。302けれど、303(うち)のお(かあ)さまやお(とう)さまは言霊別(ことたまわけの)(みこと)(さま)()化身(けしん)304いやお使(つか)ひ、305文珠(もんじゆ)菩薩(ぼさつ)さまから、306結構(けつこう)結構(けつこう)神丹(しんたん)()霊薬(れいやく)(いただ)いてゐらつしやつたのだから、307(その)毒散(どくさん)()かなかつたのよ。308サアどうですか。309()(かへで)()(こと)(ちが)ふなら、310(いま)文珠(もんじゆ)菩薩(ぼさつ)(さま)(ねん)じて此処(ここ)(あら)はれて(もら)ふから、311さうしたらお(まへ)さまも往生(わうじやう)しなくちやなりますまい』
312高姫『そんな(こと)()らぬわい。313子供(こども)だてらツベコベ()ふものぢやない。314(いやし)くも日出(ひのでの)(かみ)生宮(いきみや)たる善一条(ぜんひとすぢ)高姫(たかひめ)が、315(ゆめ)にもそんな(こと)(いた)すものか。316それはお(まへ)(たち)(ひが)みから、317そんな(ゆめ)()たのだ。318そして(ゆる)(がた)(こと)は、319(わが)(をつと)杢助(もくすけ)(さま)(つか)まへて妖幻坊(えうげんばう)だと()つたらう。320サア(なに)証拠(しようこ)にそんな(こと)()ふのか、321誹謗(ひばう)(つみ)(うつた)へますぞや』
322『ホホホホホ、323未丁(みてい)年者(ねんしや)少女(せうぢよ)言葉(ことば)法律(はふりつ)にはかかりませぬぞや。324(まこと)にお()(どく)さま、325毒散(どくさん)効能(かうのう)も、326神力(しんりき)(まへ)にはサツパリ駄目(だめ)ですなア。327サアサア(はや)(かへ)つて頂戴(ちやうだい)
328 高姫(たかひめ)(おほ)いに(いか)り、329(かへで)胸倉(むなぐら)をグツと()り、330(こぶし)(かた)めて、
331高姫『エエ、332ツベコベとよく(さへづ)(つばくろ)め、333この栄螺(さざえ)壺焼(つぼやき)をお見舞(みま)(まを)すぞ』
334()ひながら、335可憐(かれん)なる少女(せうぢよ)(かしら)()()(つづ)()ちに()つた。
336(楓)『アレー、337人殺(ひとごろし)ー』
338(かへで)(さけ)(こゑ)(みみ)にし、339バラバラと()けつけて()たのはイル、340イク、341サール、342ハル、343テルの()(にん)であつた。
344大正一二・一・二一 旧一一・一二・五 加藤明子録)

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5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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