霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一二章 敵愾心(てきがいしん)〔一三〇六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第50巻 真善美愛 丑の巻 篇:第3篇 神意と人情 よみ:しんいとにんじょう
章:第12章 敵愾心 よみ:てきがいしん 通し章番号:1306
口述日:1923(大正12)年01月21日(旧12月5日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年12月7日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
楓の叫び声を聞いて、酔った五人はその場へやってきた。楓の頼みでイルが高姫を引き離そうとしたが、高姫に突かれて倒されてしまった。残りの者は高姫めがけて武者ぶりつこうとしたが、酔っていたので皆高姫に放り出されてしまった。
高姫は一人、座敷の真中で大声で見栄を切っていい気になっている。そのすきに楓が後ろから高姫の両足をすくったので、高姫は転回して五人の上にひっくり返ってしまった。高姫は膝頭とむこうずねをしたたか縁板に打ち付けて呻いている。楓はそのすきに両親にこのことを知らせようと裏口から神殿に駆けて行った。
五人は高姫が上に倒れかかってきたので、それぞれ悪態をついた。高姫は怒って五人に打ってかかろうとしたが、そこにスマートが現れて、高姫が怪我をしないように、しかし怪力にまかせて後ろ向きに森の方へ引きずっていってしまった。
高姫は五人に助けを求めたが、一同はただ高姫を見送るだけであった。そこへ楓が戻ってきて、高姫の行方を尋ねた。イルは、スマートが森に高姫を引きずって行ったので、大方喰われてしまったのだろうと答えた。
楓は呑気なことを言っていないで高姫を助けるように五人に指示した。そこへ初稚姫が、珍彦と静子を連れて現れた。珍彦と静子は、楓が高姫に食って掛かったことを注意するが、楓は、高姫が両親を毒殺しようとした、と抗弁する。
イルたち五人はそれを聞いて憤慨するが、初稚姫がとんちを利かせて、楓が夢を見たことにして五人をなだめた。初稚姫は、五人に高姫の救出に行かせた。
楓は、自分の言うことは夢でも嘘でもないと駄々をこねるが、初稚姫は何事も神様にお任せするようにと楓をなだめた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm5012
愛善世界社版:162頁 八幡書店版:第9輯 209頁 修補版: 校定版:168頁 普及版:83頁 初版: ページ備考:
001 (かへで)(さけ)(ごゑ)()(もの)()()へず、002ヅブ(ろく)連中(れんちう)(この)()へバラバラツとやつて()た。003高姫(たかひめ)五人(ごにん)(よひ)どれをグツと(にら)み、004(こゑ)(あら)らげて、
005『コリヤ、006老耄(もうろく)()007(さわ)がしい、008ドヤドヤと、009(なに)しにうせたのだ。010不都合(ふつがふ)(こと)(まを)すによつて、011義理天上(ぎりてんじやう)日出神(ひのでのかみ)折檻(せつかん)(いた)してをるのだ。012いらざるチヨツカイを()し、013(かま)()てを(いた)すと了簡(れうけん)ならぬぞや』
014『コレ、015イルさま、016イクさま、017(はや)天上(てんじやう)さまを(はな)して(くだ)さいなア』
018イル『ハイ(よろ)しい、019(まへ)さまを(たす)けに()たのだ』
020座敷(ざしき)へかけ(あが)る。021高姫(たかひめ)は、
022『イーイ、023小癪(こしやく)老耄(もうろく)()
024胸倉(むなぐら)をドンと()いた。025イルはヨロヨロとヨロめき、026縁側(えんがは)から(まへ)仰向(あふむ)けにひつくり(かへ)つた。027(この)(てい)()て、028イク、029サール、030ハル、031テルの四人(よにん)はヒヨロヒヨロしながらも、032()ばかりは()つてゐるので、033高姫(たかひめ)()がけて武者振(むしやぶ)りつかうとする。034高姫(たかひめ)(かへで)(はな)しおき、035両手(りやうて)(ひろ)げて、036()()(やつ)(ちから)(まか)せ、037ウンとつく。038(いづ)れもヘベレケに()うてゐるのだからたまらない、039高姫(たかひめ)非力(ひりき)にも(てき)(がた)く、040将棋倒(しやうぎだふ)しに()()されて(しま)つた。041そして五人(ごにん)()がマクマクとしたと()え、042(あわ)をふいて(くる)しんでゐる。043高姫(たかひめ)座敷(ざしき)中央(まんなか)(だい)字形(じがた)()ちはだかり、044大音声(だいおんじやう)
045日出神(ひのでのかみ)046義理天上(ぎりてんじやう)生宮(いきみや)神力(しんりき)は、047マヅ(この)(とほ)りだ。048仮令(たとへ)百人(ひやくにん)千人(せんにん)一万匹(いちまんびき)たりとも、049(きた)らば(きた)れ、050御神徳(ごしんとく)(いま)(あら)はれ(どき)
051()にのつてホラを吹立(ふきた)てる。052そして(かへで)(うしろ)にゐることは、053(まへ)()()られて、054スツカリ(わす)れてゐた。055(かへで)はソツと(うしろ)から高姫(たかひめ)両足(りやうあし)(すく)つた。056アツと(さけ)んで、057スツテンドウとひつくり(かへ)り、058(いきほひ)(あま)つて(ふたた)転回(てんくわい)し、059五人(ごにん)(うへ)にドスンと(たふ)れた。060(その)(あひだ)(かへで)(きふ)両親(りやうしん)(ほう)ずべく、061真跣足(まつぱだし)となつて裏口(うらぐち)から神殿(しんでん)へとかけて()く。062高姫(たかひめ)膝頭(ひざがしら)向脛(むかふずね)縁板(えんいた)()ちつけ、063(かほ)をしかめて、064(こゑ)さへえ()げず「ウーンウーン」と(ふか)(いき)をついてうめいてゐる。065五人(ごにん)(よひ)どれは(やうや)くにして起上(おきあが)り、066高姫(たかひめ)のそこに(たふ)れたのを()て、
067イル『コココリヤ、068高姫(たかひめ)069(おれ)をどなたぢやと心得(こころえ)てる、070イルさまだぞ。071貴様(きさま)神罰(しんばつ)(あた)つて、072梟鳥(ふくろどり)(やつ)()をコツかれ、073()からバツサリと()ちて、074難儀(なんぎ)をさらしてゐたぢやないか。075(その)(とき)(この)イルさまが介抱(かいほう)してやつたことを(おぼ)えてゐるか。076(あんま)(あく)がすぎると、077(この)(とほ)りだ。078エエー、079オオ(おれ)意中(いちう)愛人(あいじん)たる(かへで)さまを、080何科(なにとが)があつて、081ぶんなぐりやがつたのだ。082ササ貴様(きさま)083そこに(たふ)れてゐやがるのを(さいは)ひ、084愛人(あいじん)(かたき)をうつてやるのだ。085エエー、086コレ(かへで)さま、087(いま)(まへ)(かたき)をうつから()とりなさいや』
088イク『おい、089イル、090(かへで)さまは()げて()つたぢやないか』
091『ウーン、092肝腎(かんじん)御本人(ごほんにん)がゐないと、093(なん)だか変哲(へんてつ)がないワイ。094(うま)(さき)功名(こうみやう)でないと、095(えん)(した)力持(ちからもち)ではつまらぬからのう』
096サール『(この)(ばば)は、097(また)しても(また)しても、098乱暴(らんばう)(こと)ばかりしやがる(やつ)だなア。099()からブチヤだれやがつて、100大変(たいへん)(くる)しみ、101(おれ)たちに厄介(やくかい)をかけておきながら、102チツと病気(びやうき)(なほ)つたと(おも)へば、103(また)もや発動(はつどう)しやがつて、104あんな可愛(かあい)(むすめ)打擲(ちやうちやく)するとは()しからぬ(やつ)だ。105(おほ)いに(かへで)さまの(かた)をもつて、106(この)(ばば)をイヤといふ(ほど)(なぐ)りつけてやりたいものだな。107コリヤ、108高姫(たかひめ)109貴様(きさま)110それ(ほど)111キリキリ(あが)つたり、112おりたり、113魔法(まはふ)使(つか)ひよると、114(おれ)だとて一寸(ちよつと)つかまへにくいわ。115チツと(しづか)にせぬかい。116こりや、117おい、118イク、119ハル、120イル、121テルの(やつ)まで、122(うへ)になつたり(した)になつたり、123まいまいこんこしてゐよる、124オヤ(いへ)までまはり()したぞ。125コリヤ大地震(おほぢしん)だ。126(ちひ)さい喧嘩(けんくわ)をやめて、127(みな)非常組(ひじやうぐみ)()かけななるまい、128コリヤ(みな)(やつ)129そんな(ところ)にキリキリ(まひ)しとる(とき)ぢやないぞよ』
130 高姫(たかひめ)打創(うちきず)大痛(おほいたみ)余程(よほど)軽減(けいげん)したので、131ムクムクと起上(おきあが)り、
132『コリヤ、133五人(ごにん)老耄(もうろく)134貴様(きさま)(この)高姫(たかひめ)義理天上様(ぎりてんじやうさま)(なん)心得(こころえ)とる。135(ゆる)しもなしに(さけ)(くら)()うて、136(その)(うへ)生宮様(いきみやさま)刃向(はむ)かふとは(なん)(こと)だ、137不心得(ふこころえ)にも(ほど)があるぞや』
138テル『ナナナ(なに)(ぬか)しよるのだい、139(あく)張本人(ちやうほんにん)()が。140(おやぢ)行方(ゆくへ)()れぬので、141発狂(はつきやう)しよつたのだな。142オイ、143コラ、144(みな)(やつ)145こんな気違(きちがひ)相手(あひて)になるな』
146『コーリヤ、147モウ了簡(れうけん)せぬぞ、148みせしめの(ため)だ。149日出神(ひのでのかみ)鉄拳(てつけん)をくらへ』
150(にぎ)(こぶし)(かた)めて、151小口(こぐち)から()つて()かうとする。152(この)(とき)(うしろ)(はう)から、
153『ウーツ ウーツ』
154(うな)つてやつて()たのは(れい)のスマートであつた。155そしてスマートは高姫(たかひめ)怪我(けが)せないやうに(すそ)()はへて怪力(くわいりき)(まか)せ、156ドンドンドンと後向(うしろむ)けに()きずつて()く。157高姫(たかひめ)(こし)から(した)丸出(まるだ)しにして、
158『オーイ、159イル、160イク、161サール、162(たす)けに()ぬか、163オーイオーイ』
164()ひながら、165ドンドンドンと(もり)(なか)へと()かれて()く。166五人(ごにん)(この)(おそ)ろしきスマートの(はたら)きに(きも)(つぶ)し、167(さけ)()ひもさめ、168ポカンと(くち)()けて、169高姫(たかひめ)(さけ)びながら引張(ひつぱ)られて()(もり)(はう)背伸(せの)びをしながら、170心地(ここち)よげに見送(みおく)つて()た。
171 (かへで)(あわただ)しく(はし)(かへ)り、
172『ア、173(みな)さま、174よう(たす)けて(くだ)さいました。175(かげ)高姫(たかひめ)毒牙(どくが)(のが)れました。176一番(いちばん)がけに()けつけて(くだ)さいましたのは何方(どなた)(ござ)いましたいなア』
177イル『ヘーエ、178拙者(せつしや)(ござ)います。179吾々(われわれ)五人(ごにん)受付(うけつけ)(おい)(さけ)(よひ)をさます(をり)しも、180芝居(しばゐ)口調(くてう)(たちま)(きこ)ゆる(あや)しの(こゑ)181しかも妙齢(めうれい)美人(びじん)(さけ)(ごゑ)……と()くより、182()狂乱(きやうらん)183(すく)ひ……()さねばなるまいと、184(うしろ)鉢巻(はちまき)リンとしめ、185襷十字(たすきじふじ)にあや()り、186(はかま)股立(ももだち)ヂンと()げ、187此方(こなた)()して、188一目散(いちもくさん)に、189タツタツタツと一散走(いつさんばし)り、190()()れば虎狼(こらう)にも(ひと)しき、191馬鹿(ばか)天上(てんじやう)日出神(ひのでのかみ)生宮(いきみや)192おのれ、193最愛(さいあい)楓姫(かへでひめ)(さま)打擲(ちやうちやく)いたすとは不埒千万(ふらちせんばん)194()つてすてむとかけよる(をり)しも、195(てき)(ちから)やまさりけむ、196グツと(むね)をつかれ、197ヨーロヨロヨロヨロと三間(さんげん)ばかり、198たあちまち、199縁側(えんがは)より仰向(あふむけ)にスツテンドウと顛落(てんらく)し、200頭蓋骨(づがいこつ)をシタタカ(くだ)き、201(こし)(ほね)(いく)らか(いた)めたれど、202(なに)()つても最愛(さいあい)楓姫(かへでひめ)身代(みがは)りと(おも)へば、203()しても(めい)すべし……と覚悟(かくご)をきはめました。204()(いさ)ましき勇士(ゆうし)でげせうがなア』
205『ホホホあのマア御元気(おげんき)なこと、206(をとこ)さまはお(さけ)()ふと、207それだから(いや)なのよ』
208サール『アハハハハ、209コリヤ、210イル、211どこに捻鉢巻(ねぢはちまき)をしてるのだい。212襷十文字(たすきじふもんじ)も、213(はかま)股立(ももだち)も、214どこにあるのだ。215あまり馬鹿(ばか)にするない。216そんな(こと)()ふから、217(かへで)さまに(わら)はれるのだ』
218イル『ナアニ、219一寸(ちよつと)芝居(しばゐ)をして()たのだよ。220アツハハハハ』
221(とき)(みな)さま、222高姫(たかひめ)さまは何処(どこ)()かれましたの』
223イル『ナアニ心配(しんぱい)なさいますな。224今頃(いまごろ)にや猛犬(まうけん)()はれて()るに(ちが)ひありませぬワ。225あの(いぬ)だつて、226あんな(おほ)きな(からだ)をスツカリ()うて(しま)(はず)もありますまいから、227(うで)一本(いつぽん)でも(のこ)つて()れば、228其奴(そいつ)(はうむ)つてやればいいのだ。229マア貴女(あなた)強敵(きやうてき)(ほろ)びまして結構(けつこう)ですよ、230御安心(ごあんしん)なさいませ。231かくの(ごと)万夫不当(ばんぷふたう)大丈夫(ますらを)(この)(やかた)立籠(たてこも)以上(いじやう)は、232如何(いか)なる(てき)()しよせ(きた)るとも、233何条(なんでう)ひるむべき、234(たちま)木端微塵(こつぱみぢん)()(くだ)き、235蹴倒(けたふ)()(たふ)し、236天晴(あつぱれ)功名(こうみやう)手柄(てがら)(あら)はし、237勝鬨(かちどき)あぐるは(またた)(うち)238姫君様(ひめぎみさま)239(かなら)(かなら)御煩慮(ごはんりよ)なされますなや』
240芝居(しばゐ)がかりになつてゐる。
241『そんな気楽(きらく)(こと)()つて()らず、242(はや)高姫(たかひめ)さまを(たす)けて()げて(くだ)さいな』
243イル『ハイ、244(わたし)にお(たの)みですか。245(ただし)はイクにですか。246(また)はサール、247ハル、248テル、249(いづ)れに御指定(ごしてい)(くだ)さいますかなア』
250『エーエ、251(さけ)()うて、252(こま)つた(ひと)だなア。253(みな)さま、254(はや)()つて(たす)けて(くだ)さいな。255マゴマゴしてゐちや、256高姫(たかひめ)さまの(いのち)がなくなりますよ』
257イル『ヘヘヘ、258(なに)仰有(おつしや)います。259あんな(やつ)ア、260(いぬ)()はれた(はう)が、261余程(よつぽど)都合(つがふ)(よろ)しいよ。262のう(みな)連中(れんちう)
263サール『それでも女王様(ぢよわうさま)御命令(ごめいれい)だから、264ともかく、265()るだけでもいいから()つて()うぢやないか』
266(くだ)らぬクダを()いてゐる。267そこへ初稚姫(はつわかひめ)珍彦(うづひこ)夫婦(ふうふ)(ともな)ひ、268(あら)はれ(きた)り、
269『あ、270貴女(あなた)(かへで)さま、271怪我(けが)(ござ)いませなんだか、272(あぶ)ない(こと)だつたさうですね』
273『ハイ有難(ありがた)(ござ)います。274チツとばかり(あたま)(いた)みますけれど、275(たい)した(こと)(ござ)いますまい』
276珍彦(うづひこ)(あま)(かへで)(くち)がいいものですから、277義理天上(ぎりてんじやう)さまのお(いか)りに()れたのでせうよ』
278『それだつてお(とう)さま、279毒殺(どくさつ)(たく)んでおいて、280あべこべに(わたし)をとつちめるのですもの、281(わたし)だつて、282(あんま)りで()はぬと()(わけ)には()きませぬワ』
283静子(しづこ)『あの(とほ)りのお転婆(てんば)(ござ)いますから、284本当(ほんたう)(おや)(こま)ります。285初稚姫(はつわかひめ)(さま)286(おや)教育(けういく)(わる)いものですから、287こんな(とき)にアラが()えまして、288(はづか)しう(ござ)います』
289イル『ナーニ、290高姫婆(たかひめばば)()291毒害(どくがい)をしようと(たく)みよつたのか、292其奴(そいつ)()()てならぬ。293オイ家来(けらい)(ども)294悪人(あくにん)征伐(せいばつ)だ、295サア()いツ。296(うで)をねぢ()(また)()きさき、297(くび)をチヨン()つてこらしめてやらう。298いざ()い、299(きた)れ』
300(しり)ひつからげ(はや)くも()()さうとする。301四人(よにん)も、
302『ヨーシ、303合点(がつてん)だ、304突貫々々(とつくわんとつくわん)
305()ひながら、306(しり)ひつからげ、307かけ()さうとするのを初稚姫(はつわかひめ)(こゑ)(はげ)まし、
308(みな)さま、309()ちなさい』
310制止(せいし)した。
311イル『それぢやと(まを)して、312(かく)(ごと)悪人(あくにん)を、313どうノメノメと()のがす(こと)出来(でき)ませう。314どうぞ(わたし)天上(てんじやう)(いのち)をとらして(くだ)さい。315日頃(ひごろ)(きた)へた武術(ぶじゆつ)手前(てまへ)316二尺八寸(にしやくはつすん)伊達(だて)にはささぬ』
317(また)もや()()さうとする。318初稚姫(はつわかひめ)両手(りやうて)(ひろ)げて五人(ごにん)(まへ)立塞(たちふさ)がり、
319()つた()つた、320()ちなさいませ。321(かへで)さまが(ゆめ)御覧(ごらん)になつたのですよ。322サツパリ(うそ)ですからな、323メツタな(こと)をしては()けませぬ』
324初稚姫(はつわかひめ)早速(さつそく)頓智(とんち)五人(ごにん)張切(はりき)つた(いきほひ)()け、325(たがひ)(かほ)見合(みあは)せ、
326『ナーンダ、327馬鹿(ばか)らしい、328(ゆめ)だつたか』
329手持無沙汰(てもちぶさた)に、330(また)もやしやがんで(しま)つた。
331『それだつて、332(わたし)333チツトも(うそ)()はないワ』
334(かへで)さま、335(ゆめ)浮世(うきよ)といふ(こと)がありますよ。336(まへ)さまは(ゆめ)をみてゐたのですよ。337(ゆめ)(おも)ひさへすりやすむ(こと)ですからね』
338『だつて(あたま)(いた)みますもの、339(ゆめ)になぐられても矢張(やつぱり)こんなに(いた)いでせうかな』
340(あたま)(かか)へて、341(うら)めしさうにしやがんで(しま)つた。
342珍彦(うづひこ)初稚姫(はつわかひめ)(さま)343仕方(しかた)のない(むすめ)でせうがな。344時々(ときどき)(だい)それた、345あんな(うそ)(まを)しましてな、346両親(りやうしん)(こま)りますの』
347『お(とう)さま、348わたえ、349(うそ)(きら)ひといふのに……そんな(こと)()つて(もら)つちや、350(わたし)立瀬(たつせ)がないワ。351アンアンアンアン』
352静子(しづこ)(なん)でもいいぢやないか。353おとなしくしてゐなさい』
354『それでも(いた)くてたまらないワ』
355初稚(はつわか)『サ、356イルさま、357イクさま、358(ほか)三人(さんにん)さま、359(はや)高姫(たかひめ)さまを(すく)()しに()つて(くだ)さいな』
360イル『ハイ、361承知(しようち)(いた)しました。362サ、363四人(よにん)(もの)(ども)364天下無双(てんかむさう)勇士(ゆうし)365イルに(つづ)けツ、366(まへ)(すす)めツ、367(いち)()(さん)ツ』
368軍隊式(ぐんたいしき)にチヨクチヨクと地上(ちじやう)(きざ)みながら、369高姫(たかひめ)()きずられて()つた()(しげ)みを(たづ)ねて(はし)()く。370後見送(あとみおく)つて初稚姫(はつわかひめ)両手(りやうて)(あは)せ、371神界(しんかい)高姫(たかひめ)無事(ぶじ)ならむ(こと)(いの)つた。
372(かへで)(ひめ)(さま)373本当(ほんたう)義理天上(ぎりてんじやう)といふあの()アさまは、374無茶(むちや)(ひと)ですよ。375(おも)()すと、376(あんま)りの業託(ごふたく)をいふので、377(はら)()つてたまりませぬワ。378貴女様(あなたさま)がお(たす)(くだ)さらなかつたならば、379モウ今頃(いまごろ)はお(とう)さまもお(かあ)さまも()くなつてゐるのですもの。380(わたし)()として、381()うしてこれが(だま)つてゐられませうかねえ。382チツと(いまし)めておいてやらなければ、383何時(なんどき)384(とう)さまやお(かあ)さまを毒害(どくがい)するか(わか)つたものぢやありませぬ。385(わたし)386ここ一週間(いつしうかん)(ほど)といふものは、387夜分(やぶん)もロクに()(こと)はありませぬのよ。388両親(りやうしん)()(うへ)()にかかつて仕方(しかた)がないのですもの』
389『ああそれは御尤(ごもつと)もで(ござ)います。390(しか)しながら何事(なにごと)神様(かみさま)御任(おまか)せなさいませ。391三五教(あななひけう)宣伝歌(せんでんか)にも(ござ)いませうがな……(かみ)(おもて)(あら)はれて、392(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける……とお(しめ)しになつてゐますから、393キツと悪人(あくにん)神様(かみさま)(かたき)()つて(くだ)さいますよ。394人間(にんげん)何事(なにごと)神様(かみさま)にお(まか)せする(はう)安全(あんぜん)ですからね』
395『ハイ、396有難(ありがた)(ござ)います』
397珍彦(うづひこ)(ひめ)(さま)398よう()うて()かして(くだ)さいました。399吾々(われわれ)夫婦(ふうふ)もこれでヤツと安心(あんしん)(いた)しました。400(じつ)(ところ)401吾々(われわれ)夫婦(ふうふ)(この)(あひだ)から一目(ひとめ)()()なかつたのです。402何時(なんどき)(この)(かへで)懐剣(くわいけん)()つて、403(おや)(かたき)だと()つて、404高姫(たかひめ)(さま)()りかけるやら(わか)らない形勢(けいせい)(ござ)いましたので、405(ここ)七八日(ななやうか)といふものは、406夫婦(ふうふ)(もの)夜分(やぶん)になれば一睡(いつすゐ)もせなかつたのです。407どうぞ不調法(ぶてうはふ)がないやうと大神様(おほかみさま)(いの)つてゐました。408()()づそのお(かげ)無事(ぶじ)今日(けふ)(まで)()れました。409(まこと)有難(ありがた)(ござ)います。410高姫(たかひめ)(さま)御大病中(ごたいびやうちう)にも夫婦(ふうふ)(もの)がお(たづ)ねせなくちやなりませぬのだが、411(むすめ)()きませぬので、412(こころ)ならずも、413いかい失礼(しつれい)(いた)しました。414(また)(むすめ)(むすめ)として、415高姫(たかひめ)さまにお見舞(みまひ)にやつてくれと(まを)しましたが、416どうも懐剣(くわいけん)(はな)さないので、417剣呑(けんのん)でたまりませず、418(むすめ)見舞(みまひ)にやらず、419吾々(われわれ)夫婦(ふうふ)もお見舞(みまひ)にゆかず、420高姫(たかひめ)(さま)がお不足(ふそく)仰有(おつしや)るのも無理(むり)(ござ)いませぬ。421(なん)()つても(おや)(かたき)()つと()つて、422あのイヤらしい山口(やまぐち)(もり)(うし)(とき)(まゐ)りをするといふ(むすめ)(ござ)いますからな。423本当(ほんたう)敵愾心(てきがいしん)(つよ)い、424女子(をなご)だてら仕方(しかた)のない難物(なんぶつ)(ござ)います。425どうぞ貴女様(あなたさま)のお(ちから)で、426トツクリと()()かしてやつて(くだ)さいませ』
427(かへで)さま、428(はら)()ちませうが、429どうぞ(わたし)居間(ゐま)(まで)御遊(おあそ)びに()(くだ)さいませ。430(また)面白(おもしろ)(うた)でも(うた)つて(あそ)びませう。431サ、432()でなさいませ』
433(やさ)しく(かへで)()()いて、434十七才(じふしちさい)(をんな)同士(どうし)初稚姫(はつわかひめ)居間(ゐま)()して(すす)()く。
435大正一二・一・二一 旧一一・一二・五 松村真澄録)
   
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