霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一八章 糞奴使(ふんどし)〔一三三三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第51巻 真善美愛 寅の巻 篇:第4篇 夢狸野狸 よみ(新仮名遣い):むりやり
章:第18章 糞奴使 よみ(新仮名遣い):ふんどし 通し章番号:1333
口述日:1923(大正12)年01月27日(旧12月11日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年12月29日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
救世主の詠んだ詩を吟じながら旅装束に身を固めて月夜にやってきたのは、ランチ将軍の副官であったガリヤであった。ガリヤは浮木の森の陣中で、村の美人マリーに慕われ密会を続けていたが、マリーはほどなくして亡くなってしまった。
ガリヤはひそかにマリーの死骸を浮木の森の墓所に葬り、墓の石を目印に立てていつか時を見て立派に祀ってやろうと思っていた。治国別に帰順して三五教の使徒となり、治国別の添書を持ってケースと共に斎苑の館に修業に行く途中、一人で墓所に参るためにケースを先に行かせたのであった。
ガリヤはマリーの墓にて慨嘆久しうし、涙をそそいだ。そしてまた宣伝歌を歌いながら月夜を進んで行った。ガリヤは椿の木蔭までやってくると、石に腰かけて煙草をくすべながら、浮木の森をながめて自分たちの身の上の移り変わりに想いを馳せていた。
ガリヤはいつの間にか大きな城郭が立っていることをいぶかしんでいる。すると人声がするので探り寄ってみれば、三人の男が真っ裸となって萱の茂みに何やら言い合っている。
ガリヤが様子を見れば、初、徳、ケースの三人が狸に化かされたことに気が付き、互いに名乗りあっていた。ガリヤは狸にだまされた三人の目を覚まそうと臍下丹田に息をつめ、ウーと発生した。三人は椿の根元に集まってきた。
一同が確認してみれば、初と徳が泉だと思っていたのは肥壺であった。枝にかけられた糞まみれの着物は異様の臭気を放っている。四人はこれはたまらぬと北へ北へと逃げて行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-09-16 16:48:58 OBC :rm5118
愛善世界社版:260頁 八幡書店版:第9輯 360頁 修補版: 校定版:266頁 普及版:120頁 初版: ページ備考:
001ガリヤ文明(ぶんめいの)(はな)(ひらく)三千国(さんぜんこく)
002 道術(どうじゆつ)(もと)(つうず)九万(きうまんの)(てん)
003 時節(じせつ)(はな)(あきらかなり)三月(さんぐわつの)(あめ)
004 風流(ふうりうの)(さけは)(あらふ)百年(ひやくねんの)(ちり)
005 黙然(もくぜん)(ざして)(つうじ)古今(ここんに)
006 天地人(てんちじん)(ともに)進退(しんたいす)
007 片々(へんぺんの)(れい)()一局(いつきよく)
008 家々(いへいへの)(あかり)天下(てんかの)(はな)
009 (きたの)玄武(げんぶ)(より)()(さり)
010 (ひがしの)青竜(せいりう)(より)()(きたる)
011 去者(さるものは)(さり)来者(きたるものは)(きたる)
012 有限(いうげんの)(とき)万邦(ばんぽうの)(はる)読み下し例:文明の花は三千国に発(ひら)く/道術の元は九万の天に通ず/時節の花は三月の雨に明らかなり/風流の酒は百年の塵に洗ふ/黙然と坐して古今に通じ/天地人 共に進退す/片々の霊 碁一局/家々の灯り 天下の花/北の玄武 亥より去り/東の青竜 子より来たる/去る者は去り来たる者は来たる/有限の時 万邦の春
 
013救世(きうせい)教主(けうしゆ)()んだ()(ぎん)じながら朧月夜(おぼろづきよ)(ひかり)()びて、014草鞋(わらぢ)脚絆(きやはん)()(かた)め、015蓑笠(みのかさ)金剛杖(こんがうづゑ)扮装(いでたち)にてやつて()たのは、016ランチ将軍(しやうぐん)副官(ふくくわん)たりしガリヤであつた。017(みち)(かたはら)(あたら)しき(はか)沢山(たくさん)(なら)んでゐる。018ガリヤは陣中(ぢんちう)(おい)浮木(うきき)(もり)のマリーと()妙齢(めうれい)美人(びじん)(した)はれ、019滞陣中(たいぢんちう)()がな(すき)がな密会(みつくわい)(つづ)けて()た。020マリーとの関係(くわんけい)がついたのは、021ランチ将軍(しやうぐん)命令(めいれい)(くだ)して、022四辺(あたり)(をんな)老幼(らうえう)区別(くべつ)なく(のこ)らず引捕(ひつとら)へて陣中(ぢんちう)()()き、023炊事(すゐじ)(その)(ほか)軍務(ぐんむ)()かしめむためであつた。024(この)(とき)ガリヤは(その)役目(やくめ)(あた)つて、025マリーの(いへ)にふみ()(きた)老人(らうじん)夫婦(ふうふ)に、
026ガリヤ(この)(むら)(をんな)(のこ)らず軍務(ぐんむ)徴集(ちようしふ)さるべし。027()いては炊事(すゐじ)のみならず、028数多(あまた)猛悪(まうあく)なる兵士(へいし)凌辱(りようじよく)()くる(おそれ)あれば、029今宵(こよひ)(うち)(をんな)(のこ)らず()()れ』
030親切(しんせつ)()つて()れた。031マリーの(ちち)(この)(むら)里庄(りしやう)であつた。032(ただ)ちに(むら)(その)(よし)内通(ないつう)し、033勝手(かつて)(おぼ)えし山道(やまみち)辿(たど)り、034(あるひ)小北山(こぎたやま)(また)(おも)(おも)ひにパンを()うて山林(さんりん)()(かく)したのである。035マリーは、036ガリヤの親切(しんせつ)(はか)らひによつて、037村中(むらぢう)(をんな)危難(きなん)(すく)はれたのだ、038自分(じぶん)は、
039(マリー)村中(むらぢう)(をんな)代表(だいへう)人身(ひとみ)御供(ごく)(のぼ)つても(かま)はぬ。040(いは)んやバラモンの軍人(ぐんじん)とは()へ、041(これ)(くらゐ)やさしき武士(ぶし)何処(どこ)にあらうか。042自分(じぶん)(をつと)()つならば斯様(かやう)武士(ぶし)()()いものだ……』
043(めう)(ところ)同情(どうじやう)(おこ)し、044(はや)くバラモン(ぐん)自分(じぶん)捕縛(ほぼく)()てくれまいかと、045両親(りやうしん)()めるのも()かず(ただ)一人(ひとり)(いへ)()つてゐたのである。046そして(さいは)ひに(この)マリーの(いへ)はガリヤの宿所(しゆくしよ)(さだ)められたのである。047ガリヤは()同僚(どうれう)一人(ひとり)(をんな)()れてゐないのに、048自分(じぶん)のみ(をんな)(はべ)らして()つては将軍(しやうぐん)手前(てまへ)如何(いかが)気遣(きづか)ひ、049(くら)(なか)(しの)ばせて(すき)ある(ごと)密会(みつくわい)(つづ)けてゐたのである。050(しか)るにマリーは身体(しんたい)()()痩衰(やせおとろ)へ、051(つひ)には鬼籍(きせき)()つた。052そこでガリヤは(よる)(ひそ)かにマリーの死骸(しがい)(この)墓所(はかしよ)(はうむ)り、053目標(もくへう)()てて()いたのである。054(にはか)適当(てきたう)目標(もくへう)もないので(ほか)(はか)(いし)逆様(さかさま)()て、055何時(いつ)(とき)()立派(りつぱ)(まつ)つてやらうと(おも)つてゐる矢先(やさき)056治国別(はるくにわけ)帰順(きじゆん)したのである。057ガリヤはクルスの(もり)(ひやく)(にち)薫陶(くんたう)()け、058それよりテームス(たうげ)(おい)て、059(また)もや第二回(だいにくわい)薫陶(くんたう)(さづ)かり、060治国別(はるくにわけ)添書(てんしよ)()て、061ケースと(とも)斎苑(いそ)(やかた)修業(しゆげふ)()途中(とちう)であつた。062(かれ)一度(いちど)マリーの(はか)(まゐ)(とむら)つてやらねばならぬ、063それにはケースと同道(どうだう)しては都合(つがふ)(わる)いと(おも)つたので、
064ガリヤ一寸(ちよつと)(その)(へん)まで(いも)()けに()つて()る、065(きみ)一足先(ひとあしさき)()つてくれ、066(いづ)浮木(うきき)(もり)追付(おつつ)くから……』
067とうまくケースをまいて自分(じぶん)谷川(たにがは)()り、068(みづ)をいぢり(あるひ)(かに)()ひかけ(など)して()(くら)し、069(ひがし)(そら)からボンヤリとした(つき)()たのを(さいは)ひ、070此処(ここ)までやつて()たのである。071ガリヤはマリーの(はか)(ちか)づき、072(なみだ)ながら述懐(じゆつくわい)して()ふ。
 
073ガリヤ水色(みづいろ)月光(げつくわう)(なが)
074 真青(まつさを)(はか)(なら)()
075 ああされどマリーの(きみ)
076 (きみ)情焔(じやうえん)人魚(にんぎよ)(あら)
077 ()(ねが)ひつつ(はか)(いだ)
078 (われ)見捨(みす)てて(とほ)()きましぬ
079 (あと)(のこ)りし(わが)()
080 潛々(さめざめ)(なみだ)(そそ)
081 (きみ)(こころ)紅絹(こうけん)
082 ガリヤの(こころ)(めぐ)
083 やがて桃色(ももいろ)雰囲気(ふんゐき)
084 あたりを(つつ)
085 されど(あを)(はか)
086 ()(かげ)さへも(うご)かさず
087 (きみ)姿(すがた)のみ(まぼろし)(ごと)(つき)にふるひぬ
088 ああ(はな)半開(はんかい)にして()りぬ
089 ()しむべきかな桃色(ももいろ)(ほほ)
090 (つき)(まゆ)091(ゆき)(はだ)
092 一度(いちど)()まく()りすれど
093 一度(いちど)(きみ)()はまく()りすれど
094 (いま)(せん)なし諸行(しよぎやう)無常(むじやう)
095 是生(ぜしやう)滅法(めつぼう)生滅(しやうめつ)々已(めつち)
096 寂滅(じやくめつ)為楽(ゐらく)頓生(とんしよう)菩提(ぼだい)
097 (とむら)(われ)
098 (あだ)には()てな桃色(ももいろ)(きみ)よ』
 
099慨歎(がいたん)(ひさ)しうし、100(かたち)ばかりの墓場(はかば)(なみだ)(そそ)ぎ、101(のこ)()しげに墓場(はかば)()し、102(また)もや宣伝歌(せんでんか)(うた)ひながら、103(かぜ)(かを)朧夜(おぼろよ)(つき)()びて(すす)()く。
104ガリヤ四方(よも)山々(やまやま)(はる)めきて
105()()(かぜ)(あたた)かく
106(いま)(さか)りと()(にほ)
107マリーに()たる(もも)(はな)
108三月(さんぐわつ)三日(みつか)今日(けふ)(よひ)
109(みづ)御霊(みたま)御教(みをしへ)
110(うなじ)()けてトボトボと
111天津(あまつ)御空(みそら)()りもせず
112(くも)りもやらぬ(はる)()
113朧月夜(おぼろづきよ)風光(ふうくわう)
114()くものなしと()()うた
115(われ)(こころ)もかき(くも)
116(おぼろ)(つき)(なが)むれば
117千々(ちぢ)(もの)こそ(おも)はるれ
118(かこ)(がほ)なる(わが)(なみだ)
119(かわ)(ひま)なき(よる)(たび)
120(さだ)めなき()()ひながら
121(はな)(あざむ)くマリー(ぢやう)
122(われ)見捨(みす)てて(はか)()
123幽冥界(いうめいかい)旅立(たびだ)ちぬ
124(くや)めど(かへ)らぬ(こひ)(なか)
125(かみ)(ほとけ)()さぬかと
126(おも)はず()らず愚痴(ぐち)()
127(なれ)をば(した)(わが)(こころ)
128(あだ)()くなよマリー(ぢやう)
129(むか)ふに()ゆるは浮木(うきき)(さと)
130印象(いんしやう)益々(ますます)(ふか)くして
131(こひ)(さまよ)益良夫(ますらを)
132(こころ)(そら)烏羽玉(うばたま)
133暗夜(やみよ)とこそはなりにけり
134ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
135御霊(みたま)(さち)はひましまして
136(まど)(きた)りし恋雲(こひぐも)
137()らさせ(たま)三五(あななひ)
138(すめ)大神(おほかみ)(おん)(まへ)
139(つつし)(うやま)()ぎまつる
140朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
141(つき)()つとも()くるとも
142大地(だいち)仮令(たとへ)(しづ)むとも
143(ほし)(そら)より()つるとも
144(かみ)(まか)せし(この)(からだ)
145三五教(あななひけう)(おん)(ため)
146(つく)さにや()かぬ益良夫(ますらを)
147ひきて(かへ)らぬ(くは)(ゆみ)
148弥猛心(やたけごころ)何処(どこ)までも
149(つらぬ)(とほ)(かみ)(みち)
150(すす)ませ(たま)惟神(かむながら)
151(かみ)御前(みまへ)()ぎまつる』
152(うた)ひながら椿(つばき)(はな)()木蔭(こかげ)までスタスタやつて()た。
153 ガリヤは椿(つばき)(もと)天然(てんねん)(いし)のベンチに(こし)打掛(うちか)け、154火打(ひうち)取出(とりだ)煙草(たばこ)(くす)べながら、155浮木(うきき)(もり)彼方(あなた)(なが)感慨(かんがい)無量(むりやう)(いき)()らしてゐる。
156ガリヤ有為(うゐ)転変(てんぺん)()(なら)ひ、157(かは)れば(かは)るものだな。158(わづ)()(げつ)以前(いぜん)にはバラツク(しき)陣営(ぢんえい)沢山(たくさん)()(なら)べられてあつたが、159何時(いつ)()にやら、160(だい)なる城廓(じやうくわく)()つてゐるやうだ。161はて、162何人(なんぴと)住宅(すまゐ)であらうか。163合点(がてん)()かぬ(こと)だな』
164独語(ひとりご)ちつつ()をつぶつて(かんが)()んでゐる。165(なん)だか間近(まぢか)(はう)から人声(ひとごゑ)(きこ)えて()る。166ガリヤはツと()つて人声(ひとごゑ)(あて)(つき)()かしながら(さぐ)()つた。167()れば(さん)(にん)(をとこ)(かや)(しげ)つた(なか)真裸(まつぱだか)となつて四這(よつばひ)となり、168(おも)(おも)ひの(こと)(さへづ)つてゐる。
169ガリヤ『はて不思議(ふしぎ)だ。170(はる)とは()へど夜分(やぶん)はまだ(さむ)い。171それに(なん)ぞや、172斯様(かやう)萱草(かやくさ)(なか)荒男(あらをとこ)(しか)(さん)(にん)173(なに)をして()るのだらう。174ハハア大方(おほかた)175浮木(うきき)(もり)豆狸(まめだぬき)につままれよつたのだらう。176(ひと)()をつけてやらねばなるまい』
177(おも)つたが、178(また)(おも)(なほ)して、
179ガリヤ()()(かれ)()(さん)(にん)()(ぐさ)()いてから、180何者(なにもの)だと()(こと)の、181(およ)その見当(けんたう)をつけてからでなくては、182如何(いか)なる災難(さいなん)()ふかも()れない。183まづ(すべ)ての掛合(かけあひ)相手(あひて)()るが第一(だいいち)だ』
184(おも)(なほ)して(つゑ)にもたれて(のぞ)(やう)にして(かんが)()んでゐた。
185(はだか)(いち)(裸の男一)『おい、186転田山(こけたやま)187あの摩利支(まりし)(てん)()(やつ)188(くち)ほどにない弱味噌(よわみそ)だな。189(おれ)(そり)にかかりやがつて、190土俵(どへう)のド中央(まんなか)にふん()びた(とき)(ざま)()つたらなかつたぢやないか』
191(はだか)()(裸の男二)貴様(きさま)負田山(まけたやま)だと名乗(なの)つてゐるが(めう)(つよ)かつたぢやないか。192大方(おほかた)(むか)ふが力負(ちからまけ)したのかも()れないのう』
193裸の男一馬鹿(ばか)()へ。194(おれ)(つよ)うて(むか)ふが(よわ)かつたのだ。195(よわ)いものが()けると()ふのは何万(なんまん)(ねん)()つたつてきまつた規則(きそく)だ。196(しか)し、197彼奴(あいつ)吃驚(びつくり)しやがつて(くも)(かすみ)()げたぢやないか』
198裸の男二『ナーニ、199そこに()るぢやないか。200アー、201(くさ)(くさ)貴様(きさま)202()()れやがつたな。203(にはか)(くさ)くなりやがつたぞ』
204裸の男一馬鹿(ばか)()へ、205貴様(きさま)(くさ)いわ。206最前(さいぜん)から(なん)だか(くさ)いと(おも)つたが、207よう(かんが)へりや相撲(すまう)(はう)けて(わす)れて()たが、208古狸(ふるだぬき)(つま)まれて糞壺(くそつぼ)貴様(きさま)(おれ)とが()()み、209椿(つばき)(した)(いづみ)衣服(きもの)(あら)ひ、210()()けて(かわ)かす()に、211(さむ)(しの)ぎに相撲(すまう)(はじ)めたぢやなかつたかね』
212裸の男二『ウン、213さう()ふと、214そんな()も……する(やう)だ。215(この)(からだ)(くさ)いのは(あら)ひが()らなかつたのに(ちが)ひないぞ。216何程(なにほど)雑兵(ざふひやう)だと()つても、217こんなに(くさ)(はず)はないからな』
218(はだか)(さん)(裸の男三)『こりや、219二人(ふたり)(やつ)220貴様(きさま)(たぬき)(だま)されよつたのだな。221馬鹿(ばか)だな』
222(はだか)(いち)(裸の男一)『アハハハハハ、223あれ(ほど)沢山(たくさん)相撲取(すもうとり)見物(けんぶつ)()()つたのは(みな)(たぬき)だ。224オイ何処(どこ)(やつ)()らぬが、225弱相撲(よわずまう)226貴様(きさま)だつてヤツパリ(だま)されて()つたのだよ』
227(はだか)(さん)(裸の男三)馬鹿(ばか)()へ。228(おれ)貴様(きさま)相撲(すまう)とつたのだ。229貴様(きさま)こそ(たぬき)相手(あひて)(いど)()つてゐたのだよ。230あれほど沢山(たくさん)()つたが、231人間(にんげん)はただの(さん)(にん)より()なかつたと()える。232本当(ほんたう)馬鹿(ばか)寄合(よりあ)ひだな。233オイ、234貴様(きさま)本名(ほんみやう)(なん)()ふのか。235負田山(まけたやま)236転田山(こけたやま)では、237テーンと(わか)らぬぢやないか』
238裸の男一(おれ)本名(ほんみやう)()きたくば、239貴様(きさま)から名告(なの)れ、240そしたら()()かしてやらう』
241裸の男三(おれ)()()いて(おどろ)くな。242バラモン(ぐん)のランチ将軍(しやうぐん)副官(ふくくわん)ケースの(きみ)だぞ』
243裸の男一(なん)だ、244そんな肩書(かたがき)をふり(まは)したつて今時(いまどき)通用(つうよう)しないぞ。245(それがし)こそは三五教(あななひけう)未来(みらい)宣伝使(せんでんし)初公別(はつこうわけの)(みこと)だ。246もう一人(ひとり)徳公別(とくこうわけの)(みこと)だぞ』
247ケース『お()(うけたま)はりまして(はじ)めて(あき)(かへ)りました。248如何(いか)にも下賤(げせん)愚劣(ぐれつ)のお(かた)(ござ)るな』
249(はつ)『きまつたことだ。250神変(しんぺん)不思議(ふしぎ)(ちから)(いう)する、251()うしても()せぬ(をとこ)だらう。252(さけ)()めばグレツ(こと)天下(てんか)名人(めいじん)だ。253小北山(こぎたやま)初公(はつこう)()ふより下賤(げせん)愚劣(ぐれつ)()つた(はう)が、254よく(とほ)つてるからな、255アハハハハ』
256 ガリヤは、
257ガリヤ『ハハア、258ケースの(やつ)259(たぬき)にチヨロまかされ相撲(すまう)とりよつたのだな。260そして糞壺(くそつぼ)へはまつた(やつ)取組(とりく)みよつたと()える。261(なん)だか(くさ)くなつて()たぞ。262(ひと)大声(おほごゑ)()して呶鳴(どな)り、263()(さま)してやらなくちや駄目(だめ)だ』
264()ひながら臍下(せいか)丹田(たんでん)(いき)をつめ(大声(おほごゑ))『ウー』と発声(はつせい)した。265(さん)(にん)猛獣(まうじう)襲来(しふらい)かと早合点(はやがてん)し、266赤裸(まつぱだか)(まま)ノタノタと()()し、267(いづ)れも()(あは)した(やう)椿(つばき)根元(ねもと)(あつま)つて(しま)つた。
268ガリヤ『オイ、269(まへ)はケースぢやないか。270拙者(せつしや)はガリヤだ。271(なん)だ、272こんな(ところ)赤裸(まつぱだか)になりよつて……』
273ケース『ウン、274兄貴(あにき)か、275もう一足(ひとあし)(はや)()ればよかつたにな。276大変(たいへん)狸相撲(たぬきずまう)がはづんでゐたよ、277アハハハハ』
278(はつ)『エヘヘヘヘ』
279(とく)(くさ)(くさ)(くさ)い、280ウツフフフフ、281糞面白(くそおもしろ)うもない。282(ばば)にされて(しま)つた』
283ケース『(そろ)ひも(そろ)つて(くさ)野郎(やらう)だな』
284ガリヤ『アハハハハ、285ああもう()()けた』
286 (さん)(にん)(どろ)まぶれの(かほ)をして其処(そこ)()()まはした。287(くそ)まぶれの着物(きもの)異様(いやう)臭気(しうき)(はな)ち、288(かたはら)青木(あをき)(えだ)(からす)()んだのを(みづ)()けた(やう)(かたち)になつてブラ(さが)つて()る。289椿(つばき)(もと)清泉(せいせん)は……と(のぞ)いて()れば臭気(しうき)紛々(ふんぷん)たる肥壺(こえつぼ)であつた。290金色(こんじき)(はい)がブンブンと()(にん)(かほ)目標(めあて)襲撃(しふげき)し、291()をせせつたり(はな)(あな)潜伏(せんぷく)したり、292(くち)(かど)などを(しき)りにいぢり()した。
293此奴(こいつ)(たま)らぬ』
294とガリヤ(およ)(さん)(にん)(はだか)一生(いつしやう)懸命(けんめい)(きた)(きた)へと()げて()く。
295大正一二・一・二七 旧一一・一二・一一 北村隆光録)

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