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第二四章 応対盗(おうたいぬすみ)〔一三六〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第52巻 真善美愛 卯の巻 篇:第5篇 洗判無料 よみ(新仮名遣い):せんばんむりょう
章:第24章 応対盗 よみ(新仮名遣い):おうたいぬすみ 通し章番号:1360
口述日:1923(大正12)年02月10日(旧12月25日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年1月28日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
集まってきた十五六人の精霊たちを前に、高姫は道端の石に腰かけて脱線だらけの宣伝を始めかけた。
群衆の中から文助の娘・お年が高姫の前に進み出て、生前父が世話になったとお礼を述べた。高姫は文助にそんなに大きな娘があるはずがないといぶかるが、お年はここは冥途の八衢で、自分は冥途で成長したのだ、と説明する。高姫はあたりの様子が現界と違うことに気づき、思案する。
八衢の門には、生前に地位と権力を利用して悪事を働いた悪人がやってきた。自分たちは金や武器で地獄でも幅をきかせるのだと言い張るが、三人とも八衢の守衛に武器も金も取り上げられて、門内へ投げ込まれてしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-12-21 19:10:40 OBC :rm5224
愛善世界社版:282頁 八幡書店版:第9輯 481頁 修補版: 校定版:290頁 普及版:126頁 初版: ページ備考:
001 十五六(じふごろく)(にん)精霊(せいれい)(たちま)高姫(たかひめ)周囲(まはり)(あつ)まり(きた)つて、002ワイワイと(わめ)いてゐる。003高姫(たかひめ)(やうや)くにして立上(たちあが)り、004道端(みちばた)方形(はうけい)(いし)(こし)()()け、005十数(じふすう)(にん)(ひと)(まへ)におきながら、006脱線(だつせん)だらけの宣伝(せんでん)(はじ)めかけた。
007高姫『コレコレ(みな)さま、008高姫(たかひめ)大道(だいだう)演説(えんぜつ)(いた)しますから、009よつくお()きなされ。010(この)()(なか)素盞嗚(すさのをの)(みこと)悪神(あくがみ)(ため)に、011(あま)岩戸(いはと)はピツタリとしまつて、012悪魔(あくま)天下(てんか)横行(わうかう)し、013魑魅(ちみ)魍魎(まうりやう)充満(じうまん)する暗黒(あんこく)世界(せかい)ではありませぬか。014(この)()(この)(まま)にしておいたならば、015結構(けつこう)(この)(つち)(うへ)は、016(たちま)餓鬼道(がきだう)017畜生道(ちくしやうだう)018修羅道(しゆらだう)019地獄道(ぢごくだう)(おちい)りますぞや。020(まへ)さま()は、021営々(えいえい)兀々(こつこつ)として、022私利(しり)私欲(しよく)のために日夜(にちや)奔走(ほんそう)し、023(よく)にからまれ、024(つか)()つて顔色(がんしよく)憔悴(せうすゐ)し、025(ほとん)餓鬼(がき)のやうで(ござ)いますぞ。026(この)()からなる地獄道(ぢごくだう)(くる)しみを(いた)しながら、027こんな結構(けつこう)()はないと(まを)して(よろこ)んで(ござ)(その)(あは)れさ。028至仁(しじん)至愛(しあい)大神(おほかみ)(さま)(この)惨状(さんじやう)をみるに(しの)びず、029時節(じせつ)(まゐ)りて、030(なが)らく(うしとら)(すみ)()()められて(ござ)つた(うしとら)金神(こんじん)大国常立(おほくにとこたちの)(みこと)(さま)稚姫君(わかひめぎみの)(みこと)(みたま)(うつ)りた変性(へんじやう)男子(なんし)肉宮(にくみや)をかつて、031三千(さんぜん)世界(せかい)立替(たてかへ)立直(たてなほ)しを(あそ)ばすやうになりましたぞや。032それに()いては、033()()ちて(ござ)つた八百万(やほよろづ)(かみ)(さま)()にあげて、034それぞれお()をつけ、035(まつ)つて()げねば神国(しんこく)にはなりませぬ。036今度(こんど)のお(やく)にお()(あそ)ばすのは、037(なが)らく竜宮(りうぐう)(うみ)(そこ)にお(すま)ひなされた乙姫(おとひめ)殿(どの)第一番(だいいちばん)改心(かいしん)(あそ)ばして、038義理(ぎり)天上(てんじやう)()出神(でのかみ)引添(ひきそ)うて、039外国(ぐわいこく)での御用(ごよう)(あそ)ばすなり、040金勝要(きんかつかねの)(かみ)大地(だいち)金神(こんじん)(さま)で、041(あま)()(つよ)うて、042(きたな)(ところ)()()まれ、043雪隠(かはや)(かみ)とまで()(さが)り、044今度(こんど)()()げて(もら)うても、045ヤツパリ()(つよ)いので、046()大望(たいまう)邪魔(じやま)になるばかりで、047どうにもかうにも仕方(しかた)がないので、048系統(ひつぽう)(みたま)()(おと)して義理(ぎり)天上(てんじやう)生宮(いきみや)となし、049大将軍(だいしやうぐん)(さま)(うつ)つた肉体(にくたい)(をつと)(あそ)ばして、050三千(さんぜん)世界(せかい)御用(ごよう)にお使(つか)ひなされたなれど、051(この)大将軍(だいしやうぐん)(さま)肉宮(にくみや)はチツとも()()はぬによつて、052三五教(あななひけう)三羽烏(さんばがらす)(きこ)えたる時置師(ときおかしの)(かみ)(さま)を、053(この)肉宮(にくみや)(をつと)(いた)し、054立替(たてかへ)立直(たてなほ)しの御用(ごよう)(あそ)ばす仕組(しぐみ)(ござ)るぞや。055それに()いては大広木(おほひろき)正宗(まさむね)殿(どの)(みたま)御用(ごよう)使(つか)うて、056結構(けつこう)五六七(みろく)()をお()(あそ)ばすのだから、057(この)高姫(たかひめ)三千(さんぜん)世界(せかい)救主(すくひぬし)058(みな)さま(みみ)をさらへて、059よつく()きなされ。060八岐(やまた)大蛇(をろち)金毛(きんまう)九尾(きうび)悪神(あくがみ)も、061グツと(はら)()()んで改心(かいしん)をさせるのが、062()出神(でのかみ)生宮(いきみや)だ。063世界(せかい)人民(じんみん)(みな)(めくら)だから、064(この)結構(けつこう)肉宮(にくみや)(まを)すことが(みみ)には(はい)らうまいがな。065改心(かいしん)するなら、066(いま)(うち)ぢやぞえ。067(あと)改心(かいしん)()()はぬぞや。068(この)(なか)(まこと)(わか)りた人民(じんみん)があるなれば、069()()げてごらんなさい。070(よろこ)んで(この)(はう)眷属(けんぞく)(いた)して結構(けつこう)御用(ごよう)使(つか)ふぞや』
071 群集(ぐんしふ)(なか)よりヌツと(かほ)()したのは、072(とし)であつた。073(とし)高姫(たかひめ)(まへ)(すす)()り、074(その)()をグツと(にぎ)り、
075お年『モシ高姫(たかひめ)(さま)076(ちち)生前(せいぜん)()世話(せわ)になりまして有難(ありがた)(ござ)ります』
077高姫『お(まへ)(たれ)だか()らぬが、078これだけ沢山(たくさん)()(うち)に、079(この)生宮(いきみや)()ふことが(わか)らぬ(めくら)ばかりだとみえて、080()()げと()うても、081一人(ひとり)()()げる餓鬼(がき)やありませぬワイ。082それに(また)(まへ)奇篤(きとく)なことだ。083一体(いつたい)(たれ)()だい』
084お年『ハイ、085文助(ぶんすけ)(むすめ)(ござ)います』
086高姫『ナニ、087文助(ぶんすけ)(むすめ)に……そんな(おほ)きな(をんな)があるものか、088此奴(こいつ)不思議(ふしぎ)だなア……ハハア、089(わか)つた、090あの(ぢい)091素知(そし)らぬ(かほ)をして()つて、092秘密(ないしよ)(をんな)(こしら)へ、093こんな()()んどきよつたのだな。094(なん)とマア油断(ゆだん)のならぬ(をとこ)だわい、095オホホホホ』
096お年『イエイエ、097(わたし)(みつ)つの(とし)現界(げんかい)(はな)れて、098此処(ここ)()(もの)(ござ)います。099(かげ)(この)(やう)立派(りつぱ)成人(せいじん)(いた)しました』
100高姫『ハハア、101(めう)(こと)()(をんな)だな。102(まへ)(じるし)ぢやないかい。103どこともなしに文助(ぶんすけ)によく()てゐるやうだが、104おとし()なれば、105こんな()があるだらうが、106(みつ)つの(とき)()んだものが、107(この)()()きてる(はず)がない……ハテナア』
108お年高姫(たかひめ)(さま)109此処(ここ)冥土(めいど)八衢(やちまた)(ござ)いますよ。110(けつ)して現界(げんかい)ぢや(ござ)いませぬ。111かうして沢山(たくさん)(ひと)此処(ここ)(あつ)まつてゐるのも、112(みな)現界(げんかい)幽界(いうかい)精霊(せいれい)ばかりですワ』
113高姫一寸(ちよつと)()つておくれ、114(ひと)(かんが)(なほ)さねばなるまい。115さう()くと(なん)だか、116そこらの様子(やうす)(ちが)ふやうだ。117(まへ)(みつ)つの(とし)霊界(れいかい)()て、118こんなに成人(せいじん)したとは、119テモ(さて)不思議(ふしぎ)なことだ、120ウーン』
121(した)をかみ、122(くび)(かたむ)けて思案(しあん)にくれてゐる。123(しろ)(いろ)守衛(しゆゑい)は、124大勢(おほぜい)(もの)一々(いちいち)手招(てまね)きした。125()第一(だいいち)(まね)かれて近寄(ちかよ)つたのは、126八十(はちじふ)ばかりの(つゑ)をついた老爺(ろうや)である。
127白の守衛(その)(はう)(なん)()()だ』
128爺(敬助)『ハイ(わたし)敬助(けいすけ)(まを)します』
129白の守衛『どつか具合(ぐあひ)(わる)いか、130チツと顔色(かほいろ)(わる)いぢやないか』
131敬助(なん)だか、132停車場(ステイシヨン)のやうな(ところ)()つて()つたと(おも)へば、133(わたし)(むね)行当(ゆきあた)つたものがある。134(その)(さい)に、135ハツと(おも)つたと(おも)へば、136いつの()にか斯様(かやう)(ところ)へやつて()ました』
137白の守衛年齢(ねんれい)(いく)つだ』
138敬助『ハイ六十(ろくじつ)(さい)(ござ)います』
139白の守衛(あま)(あたま)(しろ)いので、140八十(はちじふ)ばかりに()えた。141(まへ)余程(よほど)ハラの(わる)(をとこ)だなア、142ヱルサレムの(みや)部下(ぶか)(やつ)(めい)じて(たた)(つぶ)したのは(その)(はう)だらう』
143敬助『イエ滅相(めつさう)な、144(けつ)して(わたし)ぢやありませぬ。145片山(かたやま)(くん)命令(めいれい)(いた)しましたので、146(その)命令(めいれい)()かねば、147到底(たうてい)148泥棒(どろばう)会社(くわいしや)社長(しやちやう)(つと)まりませぬので、149()むを()部下(ぶか)命令(めいれい)(いた)しました。150(けつ)して主犯(しゆはん)では(ござ)いませぬ』
151白の守衛『さうするとお(まへ)従犯(じうはん)だな。152ヨシヨシ、153此奴(こいつ)容易(ようい)(おれ)()には()はぬ。154伊吹戸主(いぶきどぬしの)(かみ)(さま)に、155厳格(げんかく)なる審判(しんぱん)()(ねが)ひするであらう、156サ、157(この)(もん)(とほ)れ』
158(しろ)守衛(しゆゑい)門内(もんない)へつき()れて(しま)つた。159白髪(しらが)(おやじ)はヒヨロ ヒヨロしながら、160屠所(としよ)(ひつじ)(やう)(あゆ)()く。161(あと)には細長(ほそなが)六十(ろくじふ)(くらゐ)(をとこ)(しろ)審判(しんぱん)()けてゐる。
162白の守衛(その)(はう)何者(なにもの)だ、163ネームを名乗(なの)れ』
164爺(片山狂介)『ハイ(わたし)片山(かたやま)狂介(きやうすけ)(まを)します』
165白の守衛成程(なるほど)166随分(ずいぶん)軍閥(ぐんばつ)でバリついたものだな。167(まへ)(ため)幾万(いくまん)精霊(せいれい)幽界(いうかい)(おく)つたか(わか)らぬ、168幽界(いうかい)にては大変(たいへん)名高(なだか)(をとこ)だ。169これも此処(ここ)審判(さば)(わけ)には()かぬ。170サア、171(おく)()けツ』
172(また)もや門内(もんない)押込(おしこ)んだ。173(つぎ)にやつて()(おやじ)(てつ)(つゑ)をついてゐる。
174白の守衛(その)(はう)高田(たかだ)悪次郎(あくじらう)ではないか』
175高田悪次郎『ハイ、176(わたし)表善(へうぜん)裏悪(りあく)張本人(ちやうほんにん)177世界一(せかいいち)富豪(ふうがう)にならうと(おも)うて、178随分(ずいぶん)活動(くわつどう)(いた)しました。179(しか)しながら不慮(ふりよ)災難(さいなん)によつて、180かやうな(ところ)(まよ)()み、181(まこと)面目(めんぼく)次第(しだい)(ござ)いませぬ』
182白の守衛(その)(つゑ)(てつ)ぢやないか、183左様(さやう)(もの)を、184なぜこんな(ところ)まで()つて()るか』
185高田悪次郎『これは(おに)鉄棒(かなぼう)(まを)しまして、186現界(げんかい)()(とき)から、187(おに)(やく)(つと)めて()りました。188(この)鉄棒(かなぼう)(もつ)て、189(すべ)ての銀行(ぎんかう)会社(くわいしや)(たた)(こは)し、190(みな)(ひと)つに(あつ)めて巨万(きよまん)(とみ)()んだ唯一(ゆゐいつ)武器(ぶき)(ござ)いますから、191こればかりはどこ(まで)(はな)すことは出来(でき)ませぬ』
192白の守衛(この)鉄棒(かなぼう)はこちらに(あづ)かる。193サア、194キリキリ(わた)して()け』
195高田悪次郎滅相(めつさう)もない、196(いのち)より大切(だいじ)鉄棒(かなぼう)197どうしてこれが(わた)されませうかい』
198白の守衛『お(まへ)(これ)()つてゐると、199伊吹戸主(いぶきどぬし)審判(しんぱん)()うた(とき)は、200キツと地獄(ぢごく)(そこ)()ちるぞよ。201それで此処(ここ)(わた)して()けと()ふのだ。202さうすると八衢(やちまた)世界(せかい)へおいて(もら)ふやうになるかも()れぬから』
203高田悪次郎滅相(めつさう)もないこと仰有(おつしや)いませ。204そんな(うま)いことを()つて、205泥棒(どろばう)しようと(おも)うても(その)()には()りませぬぞ。206(この)鉄棒(かなぼう)()うみえても二億(におく)(ゑん)価値(かち)があるのです。207(この)(てつ)(ぼう)から()()した二億(におく)(ゑん)208()はば(この)(ぼう)二億(におく)(ゑん)手形(てがた)のやうなものだ。209何時(なんどき)地獄(ぢごく)へやられても、210これさへあれば大丈夫(だいぢやうぶ)だ。211地獄(ぢごく)沙汰(さた)(かね)次第(しだい)212如何(いか)なる(おに)閻魔(えんま)(これ)にて(たちま)ちやつつけて(しま)ひ、213地獄界(ぢごくかい)王者(わうじや)となる重宝(ちようほう)(たから)だ。214(なん)()つても(これ)ばかりは(わた)しませぬから(あきら)めて(くだ)さい』
215 かかる(ところ)へ、216赤面(あかづら)守衛(しゆゑい)がやつて()た。
217赤の守衛『ヤア、218(まへ)高田(たかだ)悪次郎(あくじらう)ぢやな。219よい(ところ)()てうせた。220サア、221(おく)()い、222(その)鉄棒(かなぼう)門内(もんない)一歩(いつぽ)持込(もちこ)むことは(まか)りならぬぞ』
223高田悪次郎『ハハハハハ、224冥土(めいど)八衢(やちまた)(なに)()らぬが、225(てい)のよい泥棒(どろばう)徘徊(はいくわい)するとこだワイ。226(これ)高田(たかだ)唯一(ゆゐいつ)武器(ぶき)だ。227(たれ)(なん)(まを)しても(はな)しは(いた)さぬ、228(はな)せるなら(はな)してみい。229如何(いか)なる権力(けんりよく)神力(しんりき)(かね)(まへ)には屈服(くつぷく)(いた)さねばなるまいぞ』
230赤の守衛馬鹿者(ばかもの)だなア。231霊界(れいかい)(おい)て、232物質(ぶつしつ)(じやう)(たから)がいるものか。233(かね)()()かすのは、234暗黒(あんこく)なる現界(げんかい)(おい)てのみだ』
235高田悪次郎『それでも、236地獄(ぢごく)沙汰(さた)(かね)次第(しだい)といふぢやありませぬか』
237赤の守衛(かね)(もつ)左右(さいう)(いた)すのは、238所謂(いはゆる)地獄(ぢごく)()(かた)だ』
239高田悪次郎『それ御覧(ごらん)240(いづ)(わたし)のやうな(もの)天国(てんごく)()ける気遣(きづか)ひはない。241生前(せいぜん)より地獄行(ぢごくゆき)覚悟(かくご)はしてゐたのだ。242それだから、243地獄(ぢごく)()けば(かね)必要(ひつえう)がある、244(なん)()つても(これ)(はな)しませぬワイ』
245赤の守衛『さうすると、246貴様(きさま)天国(てんごく)よりも地獄(ぢごく)()いのだな』
247高田悪次郎『さうですとも、248地獄(ぢごく)(はう)人間(にんげん)沢山(たくさん)()るだらうし、249(かね)さへあれば()()くのだから、250どうか地獄(ぢごく)へやつて(もら)ひたいものです。251何程(なにほど)地獄(ぢごく)だつて、252二億(におく)(ゑん)(かね)さへあれば(なん)でも出来(でき)ますからな』
253赤の守衛『さう()不心得(ふこころえ)(やつ)に、254(かね)()たして地獄(ぢごく)へやる(こと)(まか)()らぬ。255ここにおいて()け』
256高田悪次郎(なん)()つても、257此奴(こいつ)ばかりは(はな)しませぬよ』
258赤の守衛(しか)らば、259(この)(はう)(ちから)(はな)してみせう』
260 「ウン」と一声(いつせい)霊縛(れいばく)をかけるや(いな)や、261高田(たかだ)()(しび)れて、262(てつ)(ぼう)はガラリと地上(ちじやう)()ちた。263(たちま)高田(たかだ)()(うしろ)(まは)し、
264赤の守衛(この)応対(おうたい)盗人(ぬすびと)()
265()ひながら、266サル(ぐく)りにし、267ポンと(けつ)をけつて門内(もんない)()()んだ。268高姫(たかひめ)群衆(ぐんしう)(なか)から()(あが)つて、269ニコニコしながら(この)光景(くわうけい)(なが)めてゐた。
270大正一二・二・一〇 旧一一・一二・二五 松村真澄録)

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