霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第九章 (かへる)(はらわた)〔一三七二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第53巻 真善美愛 辰の巻 篇:第1篇 毘丘取颪 よみ:びくとりおろし
章:第9章 第53巻 よみ:かえるのはらわた 通し章番号:1372
口述日:1923(大正12)年02月13日(旧12月28日) 口述場所:竜宮館 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年3月8日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ビクトリヤ王の奥殿には、王妃ヒルナ姫、内事の司兼宣伝使タルマン、左守キュービット、右守ベルツ、ハルナ、カルナ姫の七人が王に招かれて、和睦の祝宴に列席した。
ビクトリヤ王は刹帝利の権利を持って右守家に渡した兵馬の権をいったん取り上げ、左守家と右守家双方に渡し、文武両方の統治について、左守家と右守家が力を合わせて取り組むようにと言い渡した。
右守は気色ばんで、祖先から代々受け継いできた兵馬の権を返す理由はない、と刹帝利の前をも顧みずに傍若無人に言ってのけた。
タルマン、左守、ヒルナ姫も右守をなだめたが、右守は逆に左守に野心があって自分から兵馬の権を削り取ろうとするのだとわめいた。右守の妹・カルナ姫がいさめると、右守は妹に離縁を言い渡す始末であった。
そこへライオン川の関守長があわただしくやってきて、バラモンの大軍が攻め寄せてきたことを注進した。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm5309
愛善世界社版:85頁 八幡書店版:第9輯 534頁 修補版: 校定版:90頁 普及版:42頁 初版: ページ備考:
001 ビクトリア(わう)奥殿(おくでん)には、002(わう)(はじ)めヒルナ(ひめ)003(ならび)内事(ないじ)(つかさ)(けん)宣伝使(せんでんし)たるタルマン(および)左守(さもり)のキユービツト、004右守(うもり)のベルツ、005ハルナ、006カルナ(ひめ)七人(しちにん)(れつ)(ただ)し、007左守(さもり)右守(うもり)両家(りやうけ)結婚(けつこん)()つて、008和睦(わぼく)曙光(しよくわう)(みと)めたる祝意(しゆくい)(へう)する(ため)009(わう)(まね)かれて、010(この)異数(いすう)酒宴(しゆえん)(れつ)したのである。011左守司(さもりのかみ)()(わう)一礼(いちれい)し、012(じゆん)()うて叮嚀(ていねい)挨拶(あいさつ)をした。
013左守(さもり)(わが)君様(きみさま)(はじ)め、014ヒルナ(ひめ)(さま)深厚(しんこう)なる御仁慈(ごじんじ)()りまして、015(おろか)なる(せがれ)名声(めいせい)(たか)右守殿(うもりどの)(いもうと)カルナ(ひめ)めあは(くだ)さいまして、016(じつ)左守(さもり)(まを)すに(およ)ばず(せがれ)()つても無上(むじやう)光栄(くわうえい)(ござ)います。017それにも(かか)はらず、018今日(こんにち)(また)盛大(せいだい)なる宴会(えんくわい)(ひら)いて、019吾等(われら)(ため)にお(こころ)をお(つく)(くだ)さいまする、020(その)御仁慈(ごじんじ)021終生(しうせい)(わす)れは(いた)しませぬ。022(この)(うへ)身命(しんめい)(なげう)つても、023君国(くんこく)(ため)赤心(せきしん)(つく)し、024万分一(まんぶいち)御恩(ごおん)(むく)(たてまつ)所存(しよぞん)(ござ)います』
025刹帝利(せつていり)『いかにも、026(なんぢ)()(とほ)り、027今回(こんくわい)(じつ)奇縁(きえん)であつた。028(これ)といふのも(まつた)盤古神王様(ばんこしんのうさま)思召(おぼしめし)029(かみ)()だビクの(くに)(はじ)め、030ビクトリア()見捨(みす)(たま)はざる御証拠(おんしるし)031(この)(はう)(じつ)満足(まんぞく)であるぞよ。032今日(こんにち)(まで)左守家(さもりけ)右守家(うもりけ)犬猿(けんゑん)(ただ)ならず、033(つね)暗闘(あんとう)(つづ)けて()た。034(これ)()いては(この)(はう)非常(ひじやう)(あたま)(なや)ませてゐたのだ。035かくなる(うへ)文武一途(ぶんぶいつと)()で、036協心戮力(けふしんりくりよく)上下一致(しやうかいつち)して(もつ)て、037国家(こくか)(まも)り、038(たみ)(やす)からしめ、039五六七(みろく)神政(しんせい)招来(せうらい)することが出来(でき)るであらう』
040非常(ひじやう)(よろこ)んで挨拶(あいさつ)(かへ)した。041左守(さもり)はハツと(ばか)りに差俯(さしうつむ)き、042(うれ)(なみだ)()れて()る。043右守司(うもりのかみ)威丈高(ゐたけだか)になり、
044右守(うもり)只今(ただいま)(わが)(きみ)(おほ)せには、045文武一途(ぶんぶいつと)(いで)よ」と(おほ)せられたやうで(ござ)いますが、046左守家(さもりけ)文学(ぶんがく)(いへ)047右守家(うもりけ)武術(ぶじゆつ)(いへ)(ござ)いますれば、048(その)根底(こんてい)(おい)職掌(しよくしやう)(こと)(いた)し、049到底(たうてい)氷炭(ひようたん)相容(あひい)れざる家柄(いへがら)(ござ)いまする。050(しか)(なが)私的交際(してきかうさい)(おい)ては、051()つても()れぬ親戚(しんせき)間柄(あひだがら)052従前(じゆうぜん)()して親密(しんみつ)()(くは)へ、053両家(りやうけ)和合(わがふ)(いた)すで(ござ)らう。054(そもそ)()国家(こくか)(まも)必要(ひつえう)機関(きくわん)にして、055武備(ぶび)なき国家(こくか)は、056(つばさ)なき(とり)同様(どうやう)057到底(たうてい)(くに)としての存立(そんりつ)(のぞ)まれませぬ。058(ゆゑ)()非常(ひじやう)(とき)必要(ひつえう)のもの、059文学(ぶんがく)平時(へいじ)(たみ)(みちび)き、060()(をさ)むる(うへ)(おい)必要(ひつえう)なものたる(こと)は、061賢明(けんめい)なる刹帝利(せつていり)御熟知(ごじゆくち)さるる(ところ)(ござ)いませう。062文武両家(ぶんぶりやうけ)(しよく)混同(こんどう)して、063内事外交(ないじぐわいかう)(のぞ)(とき)は、064(かへつ)殺伐(さつばつ)()065天下(てんか)()国家(こくか)擾乱(ぜうらん)(きた)すで(ござ)らう』
066ヒルナ(ひめ)右守殿(うもりどの)御意見(ごいけん)067一応(いちおう)(もつと)(なが)ら、068今日(こんにち)(ごと)内憂外患(ないいうぐわいくわん)頻到(ひんたう)する(とき)(さい)し、069文武両家(ぶんぶりやうけ)(ちから)(あは)せ、070国家(こくか)(まも)り、071(たみ)(やす)むるは時宜(じぎ)(てき)したる()(かた)(かんが)へます。072右守殿(うもりどの)073御熟考(ごじゆくかう)(ねが)ひませう』
074右守(うもり)『これはしたり、075ヒルナ(ひめ)(さま)076左守家(さもりけ)万一(まんいち)武術(ぶじゆつ)(けん)(にぎ)らば、077軍学(ぐんがく)経験(けいけん)なき御身(おんみ)なれば軍隊(ぐんたい)統制(とうせい)(よろ)しきを()ず、078(かへつ)内乱(ないらん)(たね)()くやうなものでは(ござ)らぬか。079大工(だいく)(いへ)()て、080左官(さくわん)(かべ)()り、081傘屋(かさや)(かさ)(つく)る、082すべて(おのおの)(しよく)(おう)じて特色(とくしよく)()つてゐるもので(ござ)る。083左官(さくわん)(いへ)(つく)(こと)()らず、084大工(だいく)(また)(かべ)()(こと)()らない、085同様(どうやう)文官(ぶんくわん)武術(ぶじゆつ)(わきま)へず、086()してや三軍(さんぐん)統率(とうそつ)するの権威(けんゐ)(にはか)(そな)はるものでは(ござ)いますまい。087(これ)(はん)して武門(ぶもん)右守(うもり)088如何(いか)文学方面(ぶんがくはうめん)(こころ)(そそ)ぐとも、089到底(たうてい)完全(くわんぜん)なる結果(けつくわ)()られますまい。090文武両道(ぶんぶりやうだう)相並(あひなら)んでこそ国家(こくか)安全(あんぜん)保持(ほぢ)されるのでせう』
091刹帝利(せつていり)『アイヤ右守殿(うもりどの)092左様(さやう)心配(しんぱい)()(まを)さぬ。093(われ)(これ)より刹帝利(せつていり)として、094(わが)祖先(そせん)(なんぢ)祖先(そせん)(あづ)けておいたる兵馬(へいば)(けん)(あらた)めて受取(うけと)り、095左守(さもり)右守(うもり)をして、096文武(ぶんぶ)両道(りやうだう)管掌(くわんしやう)せしむる(こと)(いた)(かんが)へだ。097ヨモヤ違背(ゐはい)(ござ)るまいなア』
098右守(うもり)祖先(そせん)(あづ)かりましたか、099(あるひ)祖先(そせん)刹帝利様(せつていりさま)擁立(ようりつ)して(この)国家(こくか)(つく)つたか、100記録(きろく)もなければ、101(とほ)(むかし)(こと)102(わたくし)には(すこ)しも(わか)りませぬ。103(わたくし)右守(うもり)武家(ぶけ)(うま)れ、104(ちち)より兵馬(へいば)(けん)譲渡(ゆづりわた)された(もの)105(おそ)(なが)(わが)(きみ)にお(かへ)(まを)理由(りいう)はチツとも(みと)(まを)さぬ』
106気色(けしき)ばんで(いき)(はづ)ませ、107刹帝利(せつていり)(まへ)をも(かへり)みず、108傍若無人(ばうじやくぶじん)()つてのけた。109流石(さすが)のヒルナ(ひめ)も、110タルマンも呆気(あつけ)()られ、111左守(さもり)右守(うもり)両人(りやうにん)(かほ)()つめゐたり。112タルマンは宣伝使(せんでんし)(けん)内事(ないじ)(つかさ)として、113左守(さもり)右守(うもり)(うへ)()()むる特別(とくべつ)地位(ちゐ)であつた。114(かれ)(はじ)めて(くち)(ひら)き、
115タルマン『ビクの(くに)主権者(しゆけんしや)ビクトリア王様(わうさま)のお言葉(ことば)所謂(いはゆる)(かみ)御託宣(ごたくせん)(ござ)る。116今日(こんにち)(まで)右守家(うもりけ)兵馬(へいば)(けん)(うば)ひ、117(かみ)はビクトリア()(なや)ましまつり、118(しも)国民(こくみん)膏血(かうけつ)(しぼ)り、119それが(ため)国内(こくない)には紛擾(ふんぜう)()()なく、120革命(かくめい)機運(きうん)国内(こくない)(ただよ)うてゐる。121(いま)にして(わが)(きみ)(おほ)せを(うけたま)はり、122兵馬(へいば)(けん)御返(おかへ)(まを)さざるに(おい)ては、123(たみ)怨府(ゑんぷ)となりし右守家(うもりけ)(ただ)ちに覆滅(ふくめつ)悲運(ひうん)(せつ)し、124()いて(がい)王家(わうけ)(およ)ぼすは、125()()るより(あきら)かで(ござ)る。126右守殿(うもりどの)127よく(むね)()()て、128時代(じだい)趨勢(すうせい)(かんが)み、129(その)(はう)聰明(そうめい)なる頭脳(づなう)()つて、130最善(さいぜん)方法(はうはふ)()られむ(こと)忠告(ちうこく)(いた)します。131(これ)(けつ)してタルマンが私言(しげん)では(ござ)らぬ、132盤古神王(ばんこしんわう)塩長彦命(しほながひこのみこと)(さま)御託宣(ごたくせん)伝達(でんたつ)(ござ)るぞや』
133(おも)()つて宣示(せんじ)した。
134 右守(うもり)はタルマンをハツタと(にら)み、
135()のみあつて実力(じつりよく)なき(その)(はう)言葉(ことば)(みみ)(はさ)むやうな右守(うもり)では(ござ)らぬぞ。136(さつ)する(ところ)137(なんぢ)左守司(さもりのかみ)()()まれ、138(あるひ)(しめ)(あは)せ、139右守(うもり)兵馬(へいば)(けん)横奪(わうだつ)し、140(つひ)には軍隊(ぐんたい)(ちから)(もつ)て、141国民(こくみん)威圧(ゐあつ)し、142(とき)()つてビクトリア()(ほろ)ぼし、143左守(さもり)(なんぢ)()つて(かは)らむとの野心(やしん)包蔵(はうざう)することは、144(この)慧眼(けいがん)なる右守(うもり)前知(ぜんち)する(ところ)(ござ)る。145刹帝利様(せつていりさま)(わざはひ)(まね)かむとする曲者(くせもの)()146(さが)りおらう』
147反対(あべこべ)呶鳴(どな)りつけた。148左守司(さもりのかみ)(これ)()くより奮然(ふんぜん)として立上(たちあが)り、
149左守(さもり)『こは心得(こころえ)右守(うもり)言葉(ことば)150(なに)証拠(しようこ)左様(さやう)無体(むたい)(こと)(おほ)せらるるや、151証拠(しようこ)があらば(うけたま)はりたい』
152右守(うもり)『アハハハハハ、153悪人(あくにん)威々(たけだけ)しいとは(その)(はう)のこと、154証拠(しようこ)(こころ)にお(たづ)ねなされ。
155(ひと)()はば(おに)はゐぬとも(こた)ふべし
156(こころ)()はばいかに(こた)へむ
157とは、158左守司(さもりのかみ)(および)タルマン(はい)(こころ)情態(じやうたい)(ござ)る。159いかに(かく)さるる(とも)160(その)面貌(めんばう)(および)言語(げんご)(あら)はれて()りますぞ』
161左守(さもり)『これは()しからぬ、162右守(うもり)こそ野心(やしん)包蔵(はうざう)せりと()はれても弁解(べんかい)()はありますまい。163(なん)となれば君命(くんめい)(そむ)き、164兵馬(へいば)(けん)(わたくし)するは、165()(まつた)王家(わうけ)(おびや)かすもの、166右守(うもり)にして一点(いつてん)の、167王家(わうけ)(おも)国家(こくか)(おも)赤心(まごころ)あらば、168国家(こくか)主権者(しゆけんしや)たるビクトリア王様(わうさま)になぜ奉還(ほうくわん)なさらぬか』
169右守(うもり)『お(かま)御無用(ごむよう)(ござ)る。170王家(わうけ)はビクの(くに)(かざ)(もの)171(その)実権(じつけん)はすべて右守家(うもりけ)(にぎ)つてゐるのは()(べか)らざる事実(じじつ)(ござ)る。172いかに王家(わうけ)(いへど)も、173左守家(さもりけ)(いへど)も、174右守家(うもりけ)(たい)地位(ちゐ)こそ(たか)けれ、175国家(こくか)実権(じつけん)(にぎ)るは、176軍隊(ぐんたい)統率(とうそつ)する(もの)手裡(しゆり)にあるは当然(たうぜん)(ござ)る。177右守(うもり)一片(いつぺん)野心(やしん)あらば、178(とき)(うつ)さず、179(わが)軍隊(ぐんたい)指揮(しき)して、180(おそ)(なが)王家(わうけ)(ほろ)ぼし、181左守家(さもりけ)粉砕(ふんさい)し、182(みづか)()つて刹帝利(せつていり)()るは朝飯前(あさめしまへ)(こと)では(ござ)らぬか。183()かる実力(じつりよく)権威(けんゐ)具備(ぐび)する(それがし)(なんぢ)(ごと)老耄(おいぼれ)下位(かゐ)(あま)んじ、184忠実(ちうじつ)(つと)めてゐるのは、185野心(やしん)のなき(しるし)では(ござ)らぬか。186左守(さもり)(ごと)頑迷不霊(ぐわんめいふれい)宰相(さいしやう)兵馬(へいば)(けん)(にぎ)らせようものならそれこそ気違(きちが)ひに松明(たいまつ)()たせたも同様(どうやう)187危険千万(きけんせんばん)(ござ)る。188(もち)餅屋(もちや)189(かさ)傘屋(かさや)190下駄(げた)下駄屋(げたや)(ござ)る。191(およ)ばぬ野心(やしん)(おこ)すよりも、192左守家(さもりけ)相当(さうたう)(しよく)(まも)り、193君国(くんこく)(ため)(つく)されたがよからう』
194ヒルナ(ひめ)右守殿(うもりどの)195左守司(さもりのかみ)(けつ)して左様(さやう)野心(やしん)毛頭(まうとう)(ござ)らぬ。196何事(なにごと)善意(ぜんい)(かい)し、197両家(りやうけ)和衷協同(わちうけふどう)して、198君国(くんこく)(ため)に、199国家(こくか)危急(ききふ)場合(ばあひ)200(くだ)らぬ(あらそ)ひを()め、201(とも)(とも)(ちから)国家(こくか)(ため)(つく)して(くだ)さい。202()して親密(しんみつ)なる親戚(しんせき)間柄(あひだがら)203御両人(ごりやうにん)(あらそ)ひをハルナ、204カルナ姫殿(ひめどの)()かれたならば、205さぞ(くる)しい(こと)(ござ)いませう。206そこは賢明(けんめい)なる右守殿(うもりどの)207平静(へいせい)御考(おかんが)へを(ねが)ひたう(ござ)いますなア』
208右守(うもり)『ハルナ、209カルナの両人(りやうにん)恋愛至上主義(れんあいしじやうしゆぎ)()(かざ)し、210結婚(けつこん)(いた)した(もの)(ござ)る。211()はば私的関係(してきくわんけい)では(ござ)らぬか。212軍職(ぐんしよく)所謂(いはゆる)天下(てんか)公機(こうき)213一夫一婦(いつぷいつぷ)私的関係(してきくわんけい)(もつ)公職(こうしよく)混同(こんどう)するは天地(てんち)道理(だうり)背反(はいはん)したる大罪悪(だいざいあく)では(ござ)らぬか。214(この)右守(うもり)暗愚(あんぐ)なりと(いへど)も、215斯様(かやう)道理(だうり)(わか)らぬ(をとこ)では(ござ)らぬ。216親戚(しんせき)親戚(しんせき)217国家(こくか)国家(こくか)218職務(しよくむ)職務(しよくむ)219区劃整然(くくわくせいぜん)として(おのづか)法則(はふそく)あり。220(さつ)する(ところ)221左守司(さもりのかみ)やタルマンの野心(やしん)より兵馬(へいば)(けん)右守(うもり)から掠奪(りやくだつ)せむとする計略(けいりやく)()でたる(こと)はよく()()いて()ります。222(ひめ)(さま)223(かなら)御心配(ごしんぱい)(あそ)ばすな。224(この)右守(うもり)左守(さもり)やタルマンの杞憂(きいう)する(ごと)反逆人(はんぎやくにん)では(ござ)らぬ。225()なづけておいたる軍隊(ぐんたい)(もつ)王家(わうけ)(まも)り、226国家(こくか)保護(ほご)(いた)しますれば、227今日(こんにち)提案(ていあん)刹帝利様(せつていりさま)のお言葉(ことば)(もつ)て、228(すみや)かに御撤回(ごてつくわい)あらむことを希望(きばう)(いた)します』
229といつかな(うご)かぬ磐石心(ばんじやくしん)230流石(さすが)刹帝利(せつていり)()(くだ)すべき余地(よち)がなかつた。231右守(うもり)(いもうと)カルナは右守(うもり)(むか)ひ、
232兄上様(あにうへさま)233貴方(あなた)何時(いつ)武術(ぶじゆつ)(いへ)(うま)れながら、234(へい)凶器(きやうき)だとか、235殺伐(さつばつ)だとか()つて、236蛇蝎(だかつ)(ごと)()(きら)つて()られるではありませぬか。237文化生活(ぶんくわせいくわつ)といふものは、238武備撤廃(ぶびてつぱい)(まで)()かねば到底(たうてい)駄目(だめ)だといつも仰有(おつしや)つたでせう。239それ(ほど)御嫌(おきら)ひな軍隊(ぐんたい)なら、240左守殿(さもりどの)(おほ)せに(したが)ひ、241刹帝利様(せつていりさま)(すみやか)奉還(ほうくわん)なさつたら如何(どう)です』
242右守(うもり)女童(をんなわらべ)容喙(ようかい)する(ところ)でない、243スツ()()らう。244(それがし)理想(りさう)出現(しゆつげん)する(まで)軍隊(ぐんたい)必要(ひつえう)がある。245理想世界(りさうせかい)(あら)はれた以上(いじやう)は、246軍備全廃(ぐんびぜんぱい)(ちか)つて(いた)拙者(せつしや)(かんが)へだ。247(なんぢ)(ごと)半可通(はんかつう)のナマ・ハイカラが(なに)()つてゐるか。248ハルナの美貌(びばう)(まよ)ひ、249生家(せいか)(わす)れ、250(あに)(たて)つくとは不都合千万(ふつがふせんばん)251今日(こんにち)より兄妹(きやうだい)(えん)()る。252さう覚悟(かくご)(いた)せ』
253カルナ(ひめ)『それは貴方(あなた)御勝手(ごかつて)になさいませ。254何時(いつ)(まで)兄上(あにうへ)世話(せわ)になる(わけ)には()きませぬ。255(わらは)最早(もはや)(をつと)(うち)大切(たいせつ)(ござ)います』
256右守(うもり)『ヨシツ、257よう()つた、258(その)言葉(ことば)()つてゐたのだ。259今日(こんにち)より左守(さもり)右守(うもり)両家(りやうけ)親戚(しんせき)でない(ほど)に、260(なんぢ)一人(ひとり)(ため)(わが)目的(もくてき)……否々(いないな)……我国(わがくに)国力(こくりよく)発展(はつてん)目的(もくてき)妨害(ばうがい)するには(しの)びない。261キツパリ(ひま)をつかはすツ』
262呶鳴(どな)りつけた。263ハルナは(あわ)てて立上(たちあが)り、
264ハルナ『お兄様(にいさま)265カルナ(ひめ)(まを)した(こと)266()(さはり)ませうが、267(なに)()つても(をんな)(まを)した(こと)268(また)兄妹(きやうだい)間柄(あひだがら)だと(おも)つて、269斯様(かやう)気儘(きまま)(こと)(まを)したので(ござ)いませう。270折角(せつかく)刹帝利様(せつていりさま)271ヒルナ(ひめ)(さま)思召(おぼしめし)()つて、272両家(りやうけ)和合(わがふ)(いた)し、273(その)祝宴(しゆくえん)として、274勿体(もつたい)なくも王様(わうさま)よりお(まね)きに(あづか)つた(この)宴席(えんせき)(おい)て、275左様(さやう)(こと)(おほ)せらるるとは、276(きみ)(たい)して不忠(ふちう)(まを)すもの、277何卒(なにとぞ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)し、278冷静(れいせい)にお(かんが)へを(ねが)ひたう(ござ)います』
279右守(うもり)(だま)れツ青瓢箪(あをべうたん)280(なんぢ)(ごと)木端武者(こつぱむしや)()(ところ)ではない』
281()(なが)ら、282ヒルナ(ひめ)(かほ)一寸(ちよつと)(のぞ)いて()た。283ヒルナ(ひめ)差俯(さしうつむ)き、284両眼(りやうがん)よりハラハラと(なみだ)(おと)し、285()をくひしばつてゐる。286かかる(ところ)(あわ)ただしく()(きた)るは、287ライオン(がは)関守(せきもり)(ちやう)カントであつた。
288カント『ハイ申上(まをしあ)げます、289タタ大変(たいへん)(こと)出来(しゆつたい)(いた)しました』
290刹帝利(せつていり)『カント、291大変(たいへん)とは何事(なにごと)だ、292詳細(つぶさ)言上(ごんじやう)せよ』
293 カントは(むね)()(なが)ら、294息苦(いきぐる)しき(こゑ)()()げて、
295カント『只今(ただいま)ライオン(がは)彼方(かなた)より、296三葉葵(みつばあふひ)のしるされたる(はた)297数百旒(すうひやくりう)押立(おした)て、298数千(すうせん)のナイトは単梯陣(たんていぢん)姿(すがた)(いさ)ましく、299暴虎(ばうこ)(いきほひ)(もつ)て、300旗鼓(きこ)堂々(だうだう)()めよせ(きた)りまする。301如何(いかが)(いた)せば(よろ)しきや、302(こころ)(こころ)ならず一目散(いちもくさん)()(さん)じ、303御注進(ごちうしん)(まゐ)りました』
304()くより一同(いちどう)面色(かほいろ)()へ、305(しば)双手(もろて)()んで(おのおの)沈黙(ちんもく)()る。
306大正一二・二・一三 旧一一・一二・二八 於竜宮館 松村真澄録)
   
オニド関連サイト最新更新情報
9/21【霊界物語ネット】藤沼庄平「大本検挙」を掲載(詳細はページ冒頭のインフォメーション参照)。