霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第九章 (かへる)(はらわた)〔一三七二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第53巻 真善美愛 辰の巻 篇:第1篇 毘丘取颪 よみ(新仮名遣い):びくとりおろし
章:第9章 蛙の腸 よみ(新仮名遣い):かえるのはらわた 通し章番号:1372
口述日:1923(大正12)年02月13日(旧12月28日) 口述場所:竜宮館 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年3月8日
概要: 舞台:ビクトリヤ城 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ビクトリヤ王の奥殿には、王妃ヒルナ姫、内事の司兼宣伝使タルマン、左守キュービット、右守ベルツ、ハルナ、カルナ姫の七人が王に招かれて、和睦の祝宴に列席した。
ビクトリヤ王は刹帝利の権利を持って右守家に渡した兵馬の権をいったん取り上げ、左守家と右守家双方に渡し、文武両方の統治について、左守家と右守家が力を合わせて取り組むようにと言い渡した。
右守は気色ばんで、祖先から代々受け継いできた兵馬の権を返す理由はない、と刹帝利の前をも顧みずに傍若無人に言ってのけた。
タルマン、左守、ヒルナ姫も右守をなだめたが、右守は逆に左守に野心があって自分から兵馬の権を削り取ろうとするのだとわめいた。右守の妹・カルナ姫がいさめると、右守は妹に離縁を言い渡す始末であった。
そこへライオン川の関守長があわただしくやってきて、バラモンの大軍が攻め寄せてきたことを注進した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-03-06 22:02:18 OBC :rm5309
愛善世界社版:85頁 八幡書店版:第9輯 534頁 修補版: 校定版:90頁 普及版:42頁 初版: ページ備考:
001 ビクトリヤ(わう)奥殿(おくでん)には、002(わう)(はじ)めヒルナ(ひめ)003(ならび)内事(ないじ)(つかさ)(けん)宣伝使(せんでんし)たるタルマン(および)左守(さもり)のキユービツト、004右守(うもり)のベルツ、005ハルナ、006カルナ(ひめ)(しち)(にん)(れつ)(ただ)し、007左守(さもり)右守(うもり)両家(りやうけ)結婚(けつこん)()つて、008和睦(わぼく)曙光(しよくわう)(みと)めたる祝意(しゆくい)(へう)する(ため)009(わう)(まね)かれて、010(この)異数(いすう)酒宴(しゆえん)(れつ)したのである。011左守司(さもりのかみ)()(わう)一礼(いちれい)し、012(じゆん)()うて叮嚀(ていねい)挨拶(あいさつ)をした。
013左守(さもり)(わが)君様(きみさま)(はじ)め、014ヒルナ(ひめ)(さま)深厚(しんこう)なる()仁慈(じんじ)()りまして、015(おろか)なる(せがれ)名声(めいせい)(たか)右守殿(うもりどの)(いもうと)カルナ(ひめ)めあは(くだ)さいまして、016(じつ)左守(さもり)(まを)すに(およ)ばず(せがれ)()つても無上(むじやう)光栄(くわうえい)(ござ)います。017それにも(かか)はらず、018今日(こんにち)(また)盛大(せいだい)なる宴会(えんくわい)(ひら)いて、019(われ)()(ため)にお(こころ)をお(つく)(くだ)さいまする、020(その)()仁慈(じんじ)021終生(しうせい)(わす)れは(いた)しませぬ。022(この)(うへ)身命(しんめい)(なげう)つても、023君国(くんこく)(ため)赤心(せきしん)(つく)し、024万分一(まんぶいち)御恩(ごおん)(むく)(たてまつ)所存(しよぞん)(ござ)います』
025刹帝利(せつていり)『いかにも、026(なんぢ)()(とほ)り、027今回(こんくわい)(じつ)奇縁(きえん)であつた。028(これ)といふのも(まつた)盤古(ばんこ)神王(しんのう)(さま)思召(おぼしめし)029(かみ)()だビクの(くに)(はじ)め、030ビクトリヤ()見捨(みす)(たま)はざる(おん)証拠(しるし)031(この)(はう)(じつ)満足(まんぞく)であるぞよ。032今日(こんにち)(まで)左守家(さもりけ)右守家(うもりけ)犬猿(けんゑん)(ただ)ならず、033(つね)暗闘(あんとう)(つづ)けて()た。034(これ)()いては(この)(はう)非常(ひじやう)(あたま)(なや)ませてゐたのだ。035かくなる(うへ)文武(ぶんぶ)一途(いつと)()で、036協心(けふしん)戮力(りくりよく)上下(しやうか)一致(いつち)して(もつ)て、037国家(こくか)(まも)り、038(たみ)(やす)からしめ、039五六七(みろく)神政(しんせい)招来(せうらい)することが出来(でき)るであらう』
040非常(ひじやう)(よろこ)んで挨拶(あいさつ)(かへ)した。041左守(さもり)はハツと(ばか)りに差俯(さしうつむ)き、042(うれ)(なみだ)()れて()る。043右守司(うもりのかみ)威丈高(ゐたけだか)になり、
044右守(うもり)只今(ただいま)(わが)(きみ)(おほ)せには、045文武(ぶんぶ)一途(いつと)(いで)よ」と(おほ)せられたやうで(ござ)いますが、046左守家(さもりけ)文学(ぶんがく)(いへ)047右守家(うもりけ)武術(ぶじゆつ)(いへ)(ござ)いますれば、048(その)根底(こんてい)(おい)職掌(しよくしやう)(こと)(いた)し、049到底(たうてい)氷炭(ひようたん)相容(あひい)れざる家柄(いへがら)(ござ)いまする。050(しか)(なが)私的(してき)交際(かうさい)(おい)ては、051()つても()れぬ親戚(しんせき)間柄(あひだがら)052従前(じゆうぜん)()して親密(しんみつ)()(くは)へ、053両家(りやうけ)和合(わがふ)(いた)すで(ござ)らう。054(そもそ)()国家(こくか)(まも)必要(ひつえう)機関(きくわん)にして、055武備(ぶび)なき国家(こくか)は、056(つばさ)なき(とり)同様(どうやう)057到底(たうてい)(くに)としての存立(そんりつ)(のぞ)まれませぬ。058(ゆゑ)()非常(ひじやう)(とき)必要(ひつえう)のもの、059文学(ぶんがく)平時(へいじ)(たみ)(みちび)き、060()(をさ)むる(うへ)(おい)必要(ひつえう)なものたる(こと)は、061賢明(けんめい)なる刹帝利(せつていり)()熟知(じゆくち)さるる(ところ)(ござ)いませう。062文武(ぶんぶ)両家(りやうけ)(しよく)混同(こんどう)して、063内事(ないじ)外交(ぐわいかう)(のぞ)(とき)は、064(かへつ)殺伐(さつばつ)()065天下(てんか)()国家(こくか)擾乱(ぜうらん)(きた)すで(ござ)らう』
066ヒルナ(ひめ)右守殿(うもりどの)()意見(いけん)067一応(いちおう)(もつと)(なが)ら、068今日(こんにち)(ごと)内憂(ないいう)外患(ぐわいくわん)頻到(ひんたう)する(とき)(さい)し、069文武(ぶんぶ)両家(りやうけ)(ちから)(あは)せ、070国家(こくか)(まも)り、071(たみ)(やす)むるは時宜(じぎ)(てき)したる()(かた)(かんが)へます。072右守殿(うもりどの)073()熟考(じゆくかう)(ねが)ひませう』
074右守(うもり)『これはしたり、075ヒルナ(ひめ)(さま)076左守家(さもりけ)万一(まんいち)武術(ぶじゆつ)(けん)(にぎ)らば、077軍学(ぐんがく)経験(けいけん)なき(おん)()なれば軍隊(ぐんたい)統制(とうせい)(よろ)しきを()ず、078(かへつ)内乱(ないらん)(たね)()くやうなものでは(ござ)らぬか。079大工(だいく)(いへ)()て、080左官(さくわん)(かべ)()り、081傘屋(かさや)(かさ)(つく)る、082すべて(おのおの)(しよく)(おう)じて特色(とくしよく)()つてゐるもので(ござ)る。083左官(さくわん)(いへ)(つく)(こと)()らず、084大工(だいく)(また)(かべ)()(こと)()らない、085同様(どうやう)文官(ぶんくわん)武術(ぶじゆつ)(わきま)へず、086()してや三軍(さんぐん)統率(とうそつ)するの権威(けんゐ)(にはか)(そな)はるものでは(ござ)いますまい。087(これ)(はん)して武門(ぶもん)右守(うもり)088如何(いか)文学(ぶんがく)方面(はうめん)(こころ)(そそ)ぐとも、089到底(たうてい)完全(くわんぜん)なる結果(けつくわ)()られますまい。090文武(ぶんぶ)両道(りやうだう)相並(あひなら)んでこそ国家(こくか)安全(あんぜん)保持(ほぢ)されるのでせう』
091刹帝利(せつていり)『アイヤ右守殿(うもりどの)092左様(さやう)心配(しんぱい)()(まを)さぬ。093(われ)(これ)より刹帝利(せつていり)として、094(わが)祖先(そせん)(なんぢ)祖先(そせん)(あづ)けておいたる兵馬(へいば)(けん)(あらた)めて受取(うけと)り、095左守(さもり)右守(うもり)をして、096文武(ぶんぶ)両道(りやうだう)管掌(くわんしやう)せしむる(こと)(いた)(かんが)へだ。097ヨモヤ違背(ゐはい)(ござ)るまいなア』
098右守(うもり)祖先(そせん)(あづ)かりましたか、099(あるひ)祖先(そせん)刹帝利(せつていり)(さま)擁立(ようりつ)して(この)国家(こくか)(つく)つたか、100記録(きろく)もなければ、101(とほ)(むかし)(こと)102(わたくし)には(すこ)しも(わか)りませぬ。103(わたくし)右守(うもり)武家(ぶけ)(うま)れ、104(ちち)より兵馬(へいば)(けん)譲渡(ゆづりわた)された(もの)105(おそ)(なが)(わが)(きみ)にお(かへ)(まを)理由(りいう)はチツとも(みと)(まを)さぬ』
106気色(けしき)ばんで(いき)(はづ)ませ、107刹帝利(せつていり)(まへ)をも(かへり)みず、108傍若(ばうじやく)無人(ぶじん)()つてのけた。109流石(さすが)のヒルナ(ひめ)も、110タルマンも呆気(あつけ)()られ、111左守(さもり)右守(うもり)両人(りやうにん)(かほ)()つめゐたり。112タルマンは宣伝使(せんでんし)(けん)内事(ないじ)(つかさ)として、113左守(さもり)右守(うもり)(うへ)()()むる特別(とくべつ)地位(ちゐ)であつた。114(かれ)(はじ)めて(くち)(ひら)き、
115タルマン『ビクの(くに)主権者(しゆけんしや)ビクトリヤ(わう)(さま)のお言葉(ことば)所謂(いはゆる)(かみ)()託宣(たくせん)(ござ)る。116今日(こんにち)(まで)右守家(うもりけ)兵馬(へいば)(けん)(うば)ひ、117(かみ)はビクトリヤ()(なや)ましまつり、118(しも)国民(こくみん)膏血(かうけつ)(しぼ)り、119それが(ため)国内(こくない)には紛擾(ふんぜう)()()なく、120革命(かくめい)機運(きうん)国内(こくない)(ただよ)うてゐる。121(いま)にして(わが)(きみ)(おほ)せを(うけたま)はり、122兵馬(へいば)(けん)()(かへ)(まを)さざるに(おい)ては、123(たみ)怨府(ゑんぷ)となりし右守家(うもりけ)(ただ)ちに覆滅(ふくめつ)悲運(ひうん)(せつ)し、124()いて(がい)王家(わうけ)(およ)ぼすは、125()()るより(あきら)かで(ござ)る。126右守殿(うもりどの)127よく(むね)()()て、128時代(じだい)趨勢(すうせい)(かんが)み、129(その)(はう)聰明(そうめい)なる頭脳(づなう)()つて、130最善(さいぜん)方法(はうはふ)()られむ(こと)忠告(ちうこく)(いた)します。131(これ)(けつ)してタルマンが私言(しげん)では(ござ)らぬ、132盤古(ばんこ)神王(しんわう)塩長彦(しほながひこの)(みこと)(さま)()託宣(たくせん)伝達(でんたつ)(ござ)るぞや』
133(おも)()つて宣示(せんじ)した。
134 右守(うもり)はタルマンをハツタと(にら)み、
135右守()のみあつて実力(じつりよく)なき(その)(はう)言葉(ことば)(みみ)(はさ)むやうな右守(うもり)では(ござ)らぬぞ。136(さつ)する(ところ)137(なんぢ)左守司(さもりのかみ)()()まれ、138(あるひ)(しめ)(あは)せ、139右守(うもり)兵馬(へいば)(けん)横奪(わうだつ)し、140(つひ)には軍隊(ぐんたい)(ちから)(もつ)て、141国民(こくみん)威圧(ゐあつ)し、142(とき)()つてビクトリヤ()(ほろ)ぼし、143左守(さもり)(なんぢ)()つて(かは)らむとの野心(やしん)包蔵(はうざう)することは、144(この)慧眼(けいがん)なる右守(うもり)前知(ぜんち)する(ところ)(ござ)る。145刹帝利(せつていり)(さま)(わざはひ)(まね)かむとする曲者(くせもの)()146(さが)りおらう』
147反対(あべこべ)呶鳴(どな)りつけた。148左守司(さもりのかみ)(これ)()くより奮然(ふんぜん)として立上(たちあが)り、
149左守(さもり)『こは心得(こころえ)右守(うもり)言葉(ことば)150(なに)証拠(しようこ)左様(さやう)無体(むたい)(こと)(おほ)せらるるや、151証拠(しようこ)があらば(うけたま)はりたい』
152右守(うもり)『アハハハハハ、153悪人(あくにん)威々(たけだけ)しいとは(その)(はう)のこと、154証拠(しようこ)(こころ)にお(たづ)ねなされ。
155(ひと)()はば(おに)はゐぬとも(こた)ふべし
156(こころ)()はばいかに(こた)へむ
157とは、158左守司(さもりのかみ)(および)タルマン(はい)(こころ)情態(じやうたい)(ござ)る。159いかに(かく)さるる(とも)160(その)面貌(めんばう)(および)言語(げんご)(あら)はれて()りますぞ』
161左守(さもり)『これは()しからぬ、162右守(うもり)こそ野心(やしん)包蔵(はうざう)せりと()はれても弁解(べんかい)()はありますまい。163(なん)となれば君命(くんめい)(そむ)き、164兵馬(へいば)(けん)(わたくし)するは、165()(まつた)王家(わうけ)(おびや)かすもの、166右守(うもり)にして一点(いつてん)の、167王家(わうけ)(おも)国家(こくか)(おも)赤心(まごころ)あらば、168国家(こくか)主権者(しゆけんしや)たるビクトリヤ(わう)(さま)になぜ奉還(ほうくわん)なさらぬか』
169右守(うもり)『お(かま)()無用(むよう)(ござ)る。170王家(わうけ)はビクの(くに)(かざ)(もの)171(その)実権(じつけん)はすべて右守家(うもりけ)(にぎ)つてゐるのは()(べか)らざる事実(じじつ)(ござ)る。172いかに王家(わうけ)(いへど)も、173左守家(さもりけ)(いへど)も、174右守家(うもりけ)(たい)地位(ちゐ)こそ(たか)けれ、175国家(こくか)実権(じつけん)(にぎ)るは、176軍隊(ぐんたい)統率(とうそつ)する(もの)手裡(しゆり)にあるは当然(たうぜん)(ござ)る。177右守(うもり)一片(いつぺん)野心(やしん)あらば、178(とき)(うつ)さず、179(わが)軍隊(ぐんたい)指揮(しき)して、180(おそ)(なが)王家(わうけ)(ほろ)ぼし、181左守家(さもりけ)粉砕(ふんさい)し、182(みづか)()つて刹帝利(せつていり)()るは朝飯前(あさめしまへ)(こと)では(ござ)らぬか。183()かる実力(じつりよく)権威(けんゐ)具備(ぐび)する(それがし)(なんぢ)(ごと)老耄(おいぼれ)下位(かゐ)(あま)んじ、184忠実(ちうじつ)(つと)めてゐるのは、185野心(やしん)のなき(しるし)では(ござ)らぬか。186左守(さもり)(ごと)頑迷(ぐわんめい)不霊(ふれい)宰相(さいしやう)兵馬(へいば)(けん)(にぎ)らせようものならそれこそ気違(きちが)ひに松明(たいまつ)()たせたも同様(どうやう)187危険(きけん)千万(せんばん)(ござ)る。188(もち)餅屋(もちや)189(かさ)傘屋(かさや)190下駄(げた)下駄屋(げたや)(ござ)る。191(およ)ばぬ野心(やしん)(おこ)すよりも、192左守家(さもりけ)相当(さうたう)(しよく)(まも)り、193君国(くんこく)(ため)(つく)されたがよからう』
194ヒルナ(ひめ)右守殿(うもりどの)195左守司(さもりのかみ)(けつ)して左様(さやう)野心(やしん)毛頭(まうとう)(ござ)らぬ。196何事(なにごと)善意(ぜんい)(かい)し、197両家(りやうけ)和衷(わちう)協同(けふどう)して、198君国(くんこく)(ため)に、199国家(こくか)危急(ききふ)場合(ばあひ)200(くだ)らぬ(あらそ)ひを()め、201(とも)(とも)(ちから)国家(こくか)(ため)(つく)して(くだ)さい。202()して親密(しんみつ)なる親戚(しんせき)間柄(あひだがら)203()両人(りやうにん)(あらそ)ひをハルナ、204カルナ姫殿(ひめどの)()かれたならば、205さぞ(くる)しい(こと)(ござ)いませう。206そこは賢明(けんめい)なる右守殿(うもりどの)207平静(へいせい)()(かんが)へを(ねが)ひたう(ござ)いますなア』
208右守(うもり)『ハルナ、209カルナの両人(りやうにん)恋愛(れんあい)至上(しじやう)主義(しゆぎ)()(かざ)し、210結婚(けつこん)(いた)した(もの)(ござ)る。211()はば私的(してき)関係(くわんけい)では(ござ)らぬか。212軍職(ぐんしよく)所謂(いはゆる)天下(てんか)公機(こうき)213一夫(いつぷ)一婦(いつぷ)私的(してき)関係(くわんけい)(もつ)公職(こうしよく)混同(こんどう)するは天地(てんち)道理(だうり)背反(はいはん)したる大罪悪(だいざいあく)では(ござ)らぬか。214(この)右守(うもり)暗愚(あんぐ)なりと(いへど)も、215斯様(かやう)道理(だうり)(わか)らぬ(をとこ)では(ござ)らぬ。216親戚(しんせき)親戚(しんせき)217国家(こくか)国家(こくか)218職務(しよくむ)職務(しよくむ)219区劃(くくわく)整然(せいぜん)として(おのづか)法則(はふそく)あり。220(さつ)する(ところ)221左守司(さもりのかみ)やタルマンの野心(やしん)より兵馬(へいば)(けん)右守(うもり)から掠奪(りやくだつ)せむとする計略(けいりやく)()でたる(こと)はよく()()いて()ります。222(ひめ)(さま)223(かなら)()心配(しんぱい)(あそ)ばすな。224(この)右守(うもり)左守(さもり)やタルマンの杞憂(きいう)する(ごと)反逆人(はんぎやくにん)では(ござ)らぬ。225()なづけておいたる軍隊(ぐんたい)(もつ)王家(わうけ)(まも)り、226国家(こくか)保護(ほご)(いた)しますれば、227今日(こんにち)提案(ていあん)刹帝利(せつていり)(さま)のお言葉(ことば)(もつ)て、228(すみや)かに()撤回(てつくわい)あらむことを希望(きばう)(いた)します』
229といつかな(うご)かぬ磐石心(ばんじやくしん)230流石(さすが)刹帝利(せつていり)()(くだ)すべき余地(よち)がなかつた。231右守(うもり)(いもうと)カルナは右守(うもり)(むか)ひ、
232カルナ姫兄上(あにうへ)(さま)233貴方(あなた)何時(いつ)武術(ぶじゆつ)(いへ)(うま)れながら、234(へい)凶器(きやうき)だとか、235殺伐(さつばつ)だとか()つて、236蛇蝎(だかつ)(ごと)()(きら)つて()られるではありませぬか。237文化(ぶんくわ)生活(せいくわつ)といふものは、238武備(ぶび)撤廃(てつぱい)(まで)()かねば到底(たうてい)駄目(だめ)だといつも仰有(おつしや)つたでせう。239それ(ほど)()(きら)ひな軍隊(ぐんたい)なら、240左守殿(さもりどの)(おほ)せに(したが)ひ、241刹帝利(せつていり)(さま)(すみやか)奉還(ほうくわん)なさつたら如何(どう)です』
242右守(うもり)女童(をんなわらべ)容喙(ようかい)する(ところ)でない、243スツ()()らう。244(それがし)理想(りさう)出現(しゆつげん)する(まで)軍隊(ぐんたい)必要(ひつえう)がある。245理想(りさう)世界(せかい)(あら)はれた以上(いじやう)は、246軍備(ぐんび)全廃(ぜんぱい)(ちか)つて(いた)拙者(せつしや)(かんが)へだ。247(なんぢ)(ごと)半可通(はんかつう)のナマ・ハイカラが(なに)()つてゐるか。248ハルナの美貌(びばう)(まよ)ひ、249生家(せいか)(わす)れ、250(あに)(たて)つくとは不都合(ふつがふ)千万(せんばん)251今日(こんにち)より兄妹(きやうだい)(えん)()る。252さう覚悟(かくご)(いた)せ』
253カルナ(ひめ)『それは貴方(あなた)()勝手(かつて)になさいませ。254何時(いつ)(まで)兄上(あにうへ)世話(せわ)になる(わけ)には()きませぬ。255(わらは)最早(もはや)(をつと)(うち)大切(たいせつ)(ござ)います』
256右守(うもり)『ヨシツ、257よう()つた、258(その)言葉(ことば)()つてゐたのだ。259今日(こんにち)より左守(さもり)右守(うもり)両家(りやうけ)親戚(しんせき)でない(ほど)に、260(なんぢ)一人(ひとり)(ため)(わが)目的(もくてき)……否々(いないな)……我国(わがくに)国力(こくりよく)発展(はつてん)目的(もくてき)妨害(ばうがい)するには(しの)びない。261キツパリ(ひま)をつかはすツ』
262呶鳴(どな)りつけた。263ハルナは(あわ)てて立上(たちあが)り、
264ハルナ『お(にい)(さま)265カルナ(ひめ)(まを)した(こと)266()(さはり)ませうが、267(なに)()つても(をんな)(まを)した(こと)268(また)兄妹(きやうだい)間柄(あひだがら)だと(おも)つて、269斯様(かやう)気儘(きまま)(こと)(まを)したので(ござ)いませう。270折角(せつかく)刹帝利(せつていり)(さま)271ヒルナ(ひめ)(さま)思召(おぼしめし)()つて、272両家(りやうけ)和合(わがふ)(いた)し、273(その)祝宴(しゆくえん)として、274勿体(もつたい)なくも(わう)(さま)よりお(まね)きに(あづか)つた(この)宴席(えんせき)(おい)て、275左様(さやう)(こと)(おほ)せらるるとは、276(きみ)(たい)して不忠(ふちう)(まを)すもの、277何卒(なにとぞ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)し、278冷静(れいせい)にお(かんが)へを(ねが)ひたう(ござ)います』
279右守(うもり)(だま)れツ青瓢箪(あをべうたん)280(なんぢ)(ごと)木端(こつぱ)武者(むしや)()(ところ)ではない』
281()(なが)ら、282ヒルナ(ひめ)(かほ)一寸(ちよつと)(のぞ)いて()た。283ヒルナ(ひめ)差俯(さしうつむ)き、284両眼(りやうがん)よりハラハラと(なみだ)(おと)し、285()をくひしばつてゐる。286かかる(ところ)(あわ)ただしく()(きた)るは、287ライオン(がは)関守(せきもり)(ちやう)カントであつた。
288カント『ハイ申上(まをしあ)げます、289タタ大変(たいへん)(こと)出来(しゆつたい)(いた)しました』
290刹帝利(せつていり)『カント、291大変(たいへん)とは何事(なにごと)だ、292詳細(つぶさ)言上(ごんじやう)せよ』
293 カントは(むね)()(なが)ら、294息苦(いきぐる)しき(こゑ)()()げて、
295カント『只今(ただいま)ライオン(がは)彼方(かなた)より、296三葉葵(みつばあふひ)のしるされたる(はた)297数百旒(すうひやくりう)押立(おした)て、298数千(すうせん)のナイトは単梯陣(たんていぢん)姿(すがた)(いさ)ましく、299暴虎(ばうこ)(いきほひ)(もつ)て、300旗鼓(きこ)堂々(だうだう)()めよせ(きた)りまする。301如何(いかが)(いた)せば(よろ)しきや、302(こころ)(こころ)ならず一目散(いちもくさん)()(さん)じ、303()注進(ちうしん)(まゐ)りました』
304()くより一同(いちどう)面色(かほいろ)()へ、305(しば)双手(もろて)()んで(おのおの)沈黙(ちんもく)()る。
306大正一二・二・一三 旧一一・一二・二八 於竜宮館 松村真澄録)

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