霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二二章 凱旋(がいせん)〔一四〇八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第54巻 真善美愛 巳の巻 篇:第5篇 神光増進 よみ:しんこうぞうしん
章:第22章 凱旋 よみ:がいせん 通し章番号:1408
口述日:1923(大正12)年02月23日(旧01月8日) 口述場所:竜宮館 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年3月26日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:276頁 八幡書店版:第9輯 718頁 修補版: 校定版:282頁 普及版:123頁 初版: ページ備考:
001 (しき)りに門戸(もんこ)(たた)(こゑ)にテームスの(しもべ)二人(ふたり)(また)バラモンの雑兵(ざふひやう)が、002(なに)徴発(ちようはつ)()よつたに(ちが)ひない、003うつかり()けてはならぬと、004()()見合(みあは)せ、005何程(なにほど)(たた)いてもウンともスンとも()はずに、006(かんぬき)のした大門(おほもん)御叮嚀(ごていねい)(なか)から(ささ)へて()る。007治国別(はるくにわけ)()むを()邸内(ていない)(きこ)ゆる大音声(だいおんじやう)にて宣伝歌(せんでんか)(うた)()した。
008治国別(はるくにわけ)高天原(たかあまはら)()れませる
009皇大神(すめおほかみ)御心(みこころ)
010千々(ちぢ)(なや)ませたまひつつ
011天地(てんち)(つく)りたまひしが
012天足(あだる)(ひこ)胞場姫(えばひめ)
013(かみ)(をしへ)(そむ)きしゆ
014(その)罪咎(つみとが)邪気(じやき)となり
015()(かた)まりて(おに)となり
016八岐大蛇(やまたをろち)醜狐(しこぎつね)
017(もも)魔物(まもの)となり()てて
018地上(ちじやう)()める人々(ひとびと)
019(みたま)(くも)らせ(けが)しつつ
020(かみ)御子(おんこ)(うま)れたる
021(たふと)(ひと)(からだ)をば
022曲津(まがつ)住処(すみか)となしにけり
023バラモン(けう)神柱(かむばしら)
024大黒主(おほくろぬし)曲神(まがかみ)
025頤使(いし)(したが)産土(うぶすな)
026(うづ)聖地(せいち)()(きた)
027バラモン(けう)大軍(たいぐん)
028河鹿峠(かじかたうげ)要害(えうがい)
029三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
030治国別(はるくにわけ)言霊(ことたま)
031()ちやぶられて遁走(とんそう)
032浮木(うきき)(もり)やビクトルの
033(やま)(ふもと)(ぢん)をはり
034悪虐(あくぎやく)無道(ぶだう)のありだけを
035(つく)しゐたりし(をり)もあれ
036(かみ)使(つかひ)宣伝使(せんでんし)
037治国別(はるくにわけ)一行(いつかう)
038(また)もや此処(ここ)(あら)はれて
039(しこ)(いくさ)()()らし
040ビクの国家(こくか)(すく)ひたり
041鬼春別(おにはるわけ)久米彦(くめひこ)
042三千余騎(さんぜんよき)(したが)へて
043(くも)(かすみ)()()りて
044猪倉山(ゐのくらやま)岩窟(がんくつ)
045住所(すみか)(かま)遠近(をちこち)
046人家(じんか)(かす)(ひと)()
047悪虐(あくぎやく)無道(ぶだう)振舞(ふるまひ)
048()せしと()くより吾々(われわれ)
049世人(よびと)(がい)(のぞ)かむと
050木花姫(このはなひめ)神勅(みこと)もて
051(この)()(むすめ)両人(りやうにん)
052道晴別(みちはるわけ)(すく)はむと
053此処(ここ)(まで)(いそ)()つれども
054間抜(まぬけ)きつたる門番(もんばん)
055吾等(われら)(てき)とあやまりて
056(ちから)(かぎ)りに(こば)みつつ
057開門(かいもん)せざるぞうたてけれ
058(この)()(あるじ)テームスよ
059三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
060治国別(はるくにわけ)相違(さうゐ)ない
061(ただ)一息(ひといき)(すみや)かに
062この(もん)(ひら)(たま)へかし
063ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
064(かみ)(ちか)ひて(いつは)りの
065なき言霊(ことたま)()(つた)ふ』
066 この(うた)二人(ふたり)門番(もんばん)(かほ)見合(みあは)せ、067半信半疑(はんしんはんぎ)(くも)(つつ)まれ(なが)ら、068一人(ひとり)(もん)(まも)らせ()き、069一人(ひとり)はテームスの居間(ゐま)をさして(すす)()く。
070 テームス、071ベリシナ夫婦(ふうふ)三五教(あななひけう)道晴別(みちはるわけ)が、072番頭(ばんとう)のシーナと(とも)二人(ふたり)(むすめ)(すく)()さむと勢込(いきほひこ)んで()つてから今日(けふ)三日目(みつかめ)になるのに、073(なん)音沙汰(おとさた)もないので(しき)りに(かみ)(ねん)じたり、074神籤(みくじ)()いたりして心配(しんぱい)して()た。075其処(そこ)(あわ)ただしく門番(もんばん)のビクが(はし)(きた)り、
076ビク『旦那様(だんなさま)申上(まをしあげ)ます。077表門(をもてもん)(あた)つて(てき)味方(みかた)(ぞん)じませぬが、078三五教(あななひけう)だとか治国別(はるくにわけ)だとか、079此処(ここ)(むすめ)(たす)けに()たとか()つて(おほ)きな(こゑ)(うた)つて()ますが、080如何(いかが)(いた)しませうか。081うつかり()けて(また)もやバラモンの(やつ)だと大変(たいへん)だと(おも)ひ、082(こば)むだけ(こば)むで()ましたが、083(わたし)ではとんと善悪(ぜんあく)(わか)りませぬ。084どうぞ旦那様(だんなさま)085貴方(あなた)御苦労様(ごくらうさま)ながらお調(しら)(くだ)さいますまいか』
086テームス『(なに)087三五教(あななひけう)治国別(はるくにわけ)(さま)()えたと仰有(おつしや)るか、088それは間違(まちが)ひはあるまい。089(なに)()もあれ門口(かどぐち)(まで)()つて(かんが)へて()よう』
090とビクを(さき)()て、091大刀(だいたう)(こし)(はさ)み、092すたすたと(あら)はれ(きた)大音声(だいおんじやう)にて、
093テームス『唯今(ただいま)(わが)門前(もんぜん)(たたず)(うた)はせたまふ御仁(ごじん)はいづくの何人(なにびと)(ござ)いますか。094御名(みな)()かせて(くだ)さらば、095(この)(もん)()けるで(ござ)りませう』
096 万公(まんこう)(この)(こゑ)()きつけ大声(おほごゑ)にて、
097万公(まんこう)(われ)こそは三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)治国別(はるくにわけ)家来(けらい)万公(まんこう)(ござ)る。098一時(いちじ)(はや)(この)(もん)をお()けなされ』
099治国(はるくに)拙者(せつしや)治国別(はるくにわけ)(まを)(もの)100(けつ)して(あや)しき(もの)では(ござ)らぬ。101木花姫(このはなひめ)(さま)御神勅(ごしんちよく)()り、102拙者(せつしや)徒弟(とてい)道晴別(みちはるわけ)が、103当家(たうけ)二人(ふたり)娘御(むすめご)をバラモン(ぐん)(さら)はれ(たま)うたのを()(かへ)さむため猪倉山(ゐのくらやま)(むか)ひし様子(やうす)104拙者(せつしや)一同(いちどう)(いのち)(すく)はむ(ため)105()るものも()(あへ)此処(ここ)(まで)(まゐ)つたもので(ござ)る。106一時(いちじ)(はや)(この)(もん)をお()けなされ』
107 テームスは門内(もんない)より治国別(はるくにわけ)(こゑ)()いて、108どこともなしに威厳(ゐげん)のある言葉(ことば)109さうしてどうしても(いつは)りとは(おも)へないので、110(しづか)(かんぬき)をはづし、111門扉(もんぴ)をパツと(ひら)き、112怖々(こはごは)(のぞ)けば四人(よにん)宣伝使(せんでんし)()つてゐる。113テームスは()(よろこ)叮嚀(ていねい)辞儀(じぎ)をしながら、
114テームス『()れは()れはお(した)(まをし)()りました治国別(はるくにわけ)(さま)(ござ)いますか、115(まこと)失礼(しつれい)(いた)しました。116サア何卒(どうぞ)(はい)(くだ)さいませ』
117治国(はるくに)『ハイ有難(ありがた)う、118(しか)らば御免(ごめん)(かうむ)りませう』
119一行(いつかう)四人(よにん)大門(おほもん)(くぐ)()る。
120テームス『これビク、121何時(なんどき)バラモンの(やつ)()るかも()れぬから(この)(もん)(しつか)()ぢて()くのだ。122さうしてお(まへ)はここを(まも)つて()るのだ』
123()ひつけ一行(いつかう)(さき)()(おく)(みちび)()く。124治国別(はるくにわけ)夫婦(ふうふ)居間(ゐま)(しやう)ぜられ、125(ちや)(すす)められながら挨拶(あいさつ)もそこそこにして、
126治国(はるくに)(うけたま)はれば当家(たうけ)のお嬢様(ぢやうさま)はお二人(ふたり)(まで)猪倉山(ゐのくらやま)のバラモンの巣窟(さうくつ)(かどわか)されてお(いで)になつたさうですな』
127テームス『ハイ有難(ありがた)(ござ)います。128(じつ)(ところ)三日前(みつかまへ)治国別(はるくにわけ)徒弟(とてい)だと仰有(おつしや)つて、129道晴別(みちはるわけ)()立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)がお()(くだ)さつて、130番頭(ばんとう)のシーナと(とも)軍服姿(ぐんぷくすがた)()(やつ)し、131二人(ふたり)()(かへ)して()ると()つてお(いで)なさつたきり、132(いま)(なん)便(たよ)りも(ござ)いませぬので、133夫婦(ふうふ)(もの)心配(しんぱい)(いた)して()ります。134何卒(どうぞ)貴方(あなた)御神力(ごしんりき)によつて(たす)けて(くだ)さるわけには(まゐ)りますまいかな』
135治国(はるくに)『アア(その)(こと)について(いそ)(まゐ)つたので(ござ)います。136(あま)愚図々々(ぐづぐづ)(いた)して()れば、137(なん)だか(ふか)陥穽(おとしあな)()()まれて()るさうですから、138(いのち)(あやふ)(ござ)いませう。139拙者(せつしや)はこれより(とき)(うつ)さず猪倉山(ゐのくらやま)()(むか)ひ、140千騎一騎(せんきいつき)言霊(ことたま)発射(はつしや)(てき)帰順(きじゆん)させ、141四人(よにん)立派(りつぱ)(すく)()して(かへ)心算(つもり)です。142(わたし)確信(かくしん)(ござ)いますれば(かなら)(かなら)御心配(ごしんぱい)なされますな』
143 テームス、144ベリシナの両人(りやうにん)は、
145『ハイ有難(ありがた)(ござ)います』
146両手(りやうて)(あは)(なみだ)(こゑ)()あげず()()して()る。
147 これより治国別(はるくにわけ)一行(いつかう)はテームスの(もん)()(あし)にまかせて、148()西山(せいざん)(うすづ)(たま)(ころ)149(あし)(はや)めて(すす)()く。
150 (たに)()()岩間(いはま)(つた)ひ、151(やうや)くにして、152(ひる)()(くら)森林(しんりん)(かみ)(めぐみ)(まも)られて黒白(あやめ)(わか)(やみ)(みち)153(かへつ)てこれ(さいはひ)(いき)()らしながら(やうや)くにして岩窟(がんくつ)(まへ)辿(たど)りついた。154夜分(やぶん)(こと)とて、155数多(あまた)兵士(へいし)(いづ)れも武装(ぶさう)()きテントの(なか)仮小屋(かりごや)(なか)(ころ)がつて()た。156(うま)彼方此方(あちらこちら)()(つな)がれ(さかん)(いなな)いて()る。157治国別(はるくにわけ)一行(いつかう)其処辺(そこら)()()てある軍服(ぐんぷく)手早(てばや)(やみ)(さいは)()につけ、158素知(そし)らぬ(かほ)をしながら、159足音(あしおと)(しの)ばせ、160四辺(あたり)()をつけ、161(なが)隧道(すいだう)辿(たど)つて()く。162不思議(ふしぎ)にもこの(とき)(ばか)(かみ)御守(おまも)りで暗夜(あんや)(みち)がよく()についたのである。
163 (かたはら)岩窟(がんくつ)(なか)(なん)だか人声(ひとごゑ)がするので、164岩壁(がんぺき)(みみ)()(かんが)へて()ると、165鬼春別(おにはるわけ)久米彦(くめひこ)(その)(ほか)幕僚(ばくれう)(あつ)めて、166ひそびそ相談会(さうだんくわい)(ひら)いて()る。
167鬼春(おにはる)久米彦(くめひこ)殿(どの)168折角(せつかく)美人(びじん)無雑作(むざふさ)にあのやうな(ところ)()()むと()(こと)があるか、169(なん)とかして(たす)けやうが()いものかなア』
170久米(くめ)到底(たうてい)駄目(だめ)でせう。171今日(けふ)二日目(ふつかめ)ですから屹度(きつと)()んでゐるでせう』
172鬼春(おにはる)貴殿(きでん)にも似合(にあは)残酷(ざんこく)(こと)(いた)すぢやないか。173貴殿(きでん)は、174カルナ(ひめ)()()てられ未来(みらい)(おそ)ろしいと()うて、175ビクトリア(わう)(まで)(すく)うて、176()いた()でありながら、177(ひと)(いのち)()るやうな、178なぜ残酷(ざんこく)(こと)(いた)さるるのか』
179久米(くめ)(じつ)(ところ)四人(よにん)(からだ)周囲(ぐるり)鉄板(てつぱん)(まは)して()()みましたから、180怪我(けが)(いた)して()りますまい。181さうしてその鉄板(てつぱん)(をけ)のやうになつて()り、182(ふと)(つな)(とほ)してあります。183何程(なにほど)(ふか)井戸(ゐど)(そこ)でも(つな)さへ手操(たぐ)れば容易(ようい)(すく)()げる(こと)出来(でき)ます。184(さいは)此処(ここ)には(いは)より()()起死回生(きしくわいせい)(くすり)がありますから、185これを(ふく)ますれば二日(ふつか)三日(みつか)(いき)()へて()ても回復(くわいふく)大丈夫(だいぢやうぶ)でせう』
186鬼春(おにはる)(なん)貴殿(きでん)(はら)(わる)いぢやないか。187よもや貴殿(きでん)左様(さやう)殺伐(さつばつ)(こと)(いた)すまいと(にら)んで()いたのだ。188サア一時(いつとき)(はや)四人(よにん)(もの)(すく)()此処(ここ)()れて(ござ)れ』
189久米(くめ)『それに(さき)だつて将軍(しやうぐん)(ひと)相談(さうだん)(ござ)ります。190(ほか)でも(ござ)らぬが、191きつとスガールを拙者(せつしや)にお(わた)(くだ)さるでせうなア』
192鬼春(おにはる)『アハハハハ(また)しても左様(さやう)我慢(がまん)(こと)()ふものではありませぬぞ。193久米彦(くめひこ)殿(どの)はスミエルで(しばら)御辛抱(ごしんばう)なされ、194スガールは拙者(せつしや)世話(せわ)(いた)すで(ござ)らう。195オイ、196スパール(その)(はう)(はや)く、197(をとこ)()(かく)(をんな)二人(ふたり)(すく)()し、198スミエルは久米彦(くめひこ)殿(どの)居間(ゐま)(おく)()き、199スガールの(はう)此方(こなた)()れて()い。200鬼春別(おにはるわけ)()づから気付(きつけ)(つか)はし()()けてやらう』
201 スパールは、
202『ハイ承知(しようち)(いた)しました』
203とドアを()()()さうとするのを久米彦(くめひこ)はグツと(えり)(つか)み、
204久米(くめ)『アハハハハ拙者(せつしや)(かく)して()いたる以上(いじやう)は、205これだけ沢山(たくさん)陥穽(おとしあな)貴殿(きでん)何程(なにほど)気張(きば)つた(ところ)で、206見当(みあた)ることは(ござ)らぬ。207やつぱり拙者(せつしや)()()んだのだから拙者(せつしや)()かねば駄目(だめ)だ。208まづ()落付(おちつ)けなされ、209そのかはり()づスガールは屹度(きつと)拙者(せつしや)がお(あづか)(まを)す』
210 鬼春別(おにはるわけ)()(いら)ち、
211鬼春(おにはる)『オイ、212スパール、213久米彦(くめひこ)言葉(ことば)()くに(およ)ばぬ。214サア(はや)(すく)()して()い。215久米彦(くめひこ)殿(どの)スパールの(えり)(はな)しておやりなさい。216上官(じやうくわん)命令(めいれい)をお(きき)なさらぬか』
217久米(くめ)(しか)らば拙者(せつしや)(すく)()げて(まゐ)りませう。218オイ、219エミシ(それがし)(つづ)け』
220()(なが)ら、221ドアを()()()()した。222隧道(すいだう)所々(しよしよ)には肥松(こえまつ)()(なが)(あかり)をとつてある。223パツと(うつ)つた四人(よにん)(かほ)224久米彦(くめひこ)(こゑ)(とが)らし、
225久米(くめ)『ヤア(その)(はう)番兵(ばんへい)ではないか、226最前(さいぜん)から吾々(われわれ)(はなし)()()(いた)して()つたのだな。227不都合千万(ふつがふせんばん)(やつ)だ。228サア一時(いちじ)(はや)彼方(あちら)立去(たちさ)れ』
229治国(はるくに)拙者(せつしや)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)治国別(はるくにわけ)一行(いつかう)(ござ)る。230拙者(せつしや)徒弟(とてい)道晴別(みちはるわけ)(はじ)めシーナ、231(および)スミエル、232スガールが大変(たいへん)なお世話(せわ)になつたさうだ。233一言(ひとこと)(れい)(まを)さなくてはならないと(おも)ひ、234態々(わざわざ)(たづ)(まを)しましたのだ。235アハハハハハ』
236久米(くめ)『イヤ、237これはこれは治国別(はるくにわけ)(さま)(ござ)いましたか。238何卒(どうぞ)言霊(ことたま)一寸(ちよつと)(しばら)くお見合(みあは)せを(ねが)ひます。239唯今(ただいま)(すぐ)にお(わた)(まを)しますから、240一寸(ちよつと)此処(ここ)()つて()(くだ)さいませ』
241治国(はるくに)『イヤイヤ(けつ)して(けつ)して左様(さやう)御心配(ごしんぱい)()(まを)さぬ。242拙者(せつしや)(みづか)(すく)()さねばならぬ義務(ぎむ)(ござ)る。243貴方方(あなたがた)はマア(ゆつく)りと御休息(ごきうそく)をなされませ。244四人(よにん)所在(ありか)はビクトル(さん)から(すで)霊眼(れいがん)()()きました』
245久米(くめ)『イヤどうも治国別(はるくにわけ)(さま)慧眼(けいがん)には(おそ)()りました。246今日(けふ)(かぎ)りバラモンの将軍職(しやうぐんしよく)をやめますから、247どうぞ(いのち)(ばか)りは御救助(ごきうじよ)(ねが)ひます』
248万公(まんこう)先生(せんせい)249こんな(こと)()つて(また)計略(けいりやく)にかけるのですよ。250四人(よにん)()()みやがつた(あな)鬼春別(おにはるわけ)久米彦(くめひこ)何奴(どいつ)此奴(こいつ)()()んでやりませうか、251アハハハハ、252面白(おもしろ)面白(おもしろ)い、253エヘン。254どんなものだ、255鬼春別(おにはるわけ)256久米彦(くめひこ)両将軍(りやうしやうぐん)257この万公(まんこう)(あら)はれた以上(いじやう)到底(たうてい)駄目(だめ)だぞ』
258松彦(まつひこ)万公(まんこう)259(なに)()ふのだ。260(まへ)篏口令(かんこうれい)()かれて()るぢやないか』
261万公(まんこう)万公末代(まんこうまつだい)()はない心算(つもり)だつたが、262あまりむかづくのでつい(くち)(すべ)りました。263それよりも(はや)四人(よにん)(すく)()さうぢやありませぬか……これや久米彦(くめひこ)264貴様(きさま)()()んだのだから貴様(きさま)(すく)()して()い。265万一(まんいち)一人(ひとり)でも(いのち)がなくなつて()たら、266先生(せんせい)(なん)仰有(おつしや)つても、267この万公(まんこう)承知(しようち)せぬぞ。268ヘン馬鹿(ばか)にして()やがる、269将軍(しやうぐん)(なに)もあつたものか。270先生(せんせい)(まへ)()たら(ねこ)出会(であ)うた(ねづみ)のやうな塩梅式(あんばいしき)ぢやないか。271醜態(ざま)()やがれ、272イヒヒヒヒ』
273松彦(まつひこ)万公(まんこう)さま(また)(わす)れたのか、274エエ久米彦(くめひこ)殿(どの)(はや)案内(あんない)なされ』
275万公(まんこう)『これや(はや)案内(あんない)(いた)さぬか、276(なに)愚図々々(ぐづぐづ)して()るのか、277そして鬼春別(おにはるわけ)はどこに()るのか』
278(とら)()をかる糞喰(くそくら)ひの(ぎつね)のやうに無暗矢鱈(むやみやたら)(はしや)いで()る。279竜彦(たつひこ)()()天眼通(てんがんつう)により四人(よにん)所在(ありか)()り、280手早(てばや)一人(ひとり)々々(ひとり)(あな)(そこ)から()()げ、281鎮魂(ちんこん)(ほどこ)し、282(やうや)四人(よにん)(とも)(いき)()きかへさせた。
283 (ここ)鬼春別(おにはるわけ)284久米彦(くめひこ)両将軍(りやうしやうぐん)土下座(どげざ)をしながら、285(ふる)(ふる)治国別(はるくにわけ)(つみ)(しや)した。286治国別(はるくにわけ)はいろいろと(まこと)(をしへ)()(さと)し、287()鬼春別(おにはるわけ)288久米彦(くめひこ)289スパール、290エミシの高級武官(かうきふぶくわん)一人(ひとり)づつ(わざ)背負(せお)はしめ、291凱歌(がいか)(そう)しつつ一先(ひとま)玉木村(たまきむら)のテームスの(いへ)をさして神恩(しんおん)感謝(かんしや)しながら(かへ)()く。
292大正一二・二・二三 旧一・八 於竜宮館 加藤明子録)
293(昭和一〇・六・一三 王仁校正)