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第四章 真異(まちがひ)〔一四一二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第55巻 真善美愛 午の巻 篇:第1篇 奇縁万情 よみ:きえんばんじょう
章:第4章 真異 よみ:まちがい 通し章番号:1412
口述日:1923(大正12)年02月26日(旧01月11日) 口述場所:竜宮館 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年3月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:45頁 八幡書店版:第10輯 49頁 修補版: 校定版:45頁 普及版:17頁 初版: ページ備考:
001バラモン(けう)のゼネラルと
002羽振(はぶり)()かした久米彦(くめひこ)
003鬼春別(おにはるわけ)(はじ)めとし
004スパール、エミシの四人連(よにんづ)
005玉木(たまき)(むら)里庄(りしやう)(いへ)
006四人(よにん)手負(ておひ)(おく)りつけ
007(こころ)(いた)(こゑ)(ひそ)
008悔悟(くわいご)(なみだ)暮果(くれは)てて
009青息吐息(あをいきといき)()きながら
010三五教(あななひけう)宣伝歌(せんでんか)
011(とな)ふる(こゑ)(くち)(うち)
012悄気(せうげ)かへり()(その)席上(せきじやう)
013廊下(らうか)(いた)()(とどろ)かし
014(あら)はれ(きた)るテームスは
015日影(ひかげ)(ほそ)部屋(へや)(うち)
016鬼春別(おにはるわけ)敵将(てきしやう)
017帰順(きじゆん)(きた)るを()らずして
018(むすめ)二人(ふたり)(すく)ひたる
019治国別(はるくにわけ)一行(いつかう)
020(おい)(まなこ)見誤(みあやま)
021四人(よにん)(まへ)()をついて
022いと慇懃(いんぎん)挨拶(あいさつ)
023(はじ)めかけしぞ可笑(をか)しけれ。
024 仄暗(ほのぐら)行灯(あんどう)(ひかり)(あるじ)のテームスは、025鬼春別(おにはるわけ)一行(いつかう)とは()らず、026叮嚀(ていねい)両手(りやうて)(つか)へ、
027テームス『これはこれは皆様(みなさま)よくまア(たす)けてやつて(くだ)さいました。028さうして貴方(あなた)誰人(どなた)(ござ)いましたかなア』
029鬼春別(おにはるわけ)(かほ)をそつと(のぞ)いた。030鬼春別(おにはるわけ)言句(げんく)につまり、031(あたま)()(なが)ら、
032鬼春(おにはる)『ハイ、033(わたし)は……春別(はるわけ)(ござ)いまする。034イヤ、035もう(えら)御心配(ごしんぱい)をかけました』
036テームス『どう(いた)しまして、037此方(こなた)(はう)から(えら)心配(しんぱい)をかけ(なん)とも申訳(まをしわけ)(ござ)いませぬ。038貴方(あなた)治国別(はるくにわけ)さまと(うけたま)はりましたが、039(いま)(うけたま)はれば春別(はるわけ)仰有(おつしや)いました。040アアこれはこれは失礼(しつれい)(いた)しました。041何分(なにぶん)(とし)がよつて記憶(きおく)(わる)いので(ひと)()(まで)(わす)れます。042いやもう(とし)()()くはありませぬ。043(とき)春別(はるわけ)(さま)044随分(ずいぶん)苦心(くしん)(ござ)いましたでせうなア。045骨折(ほねをり)(さつ)(まを)します』
046鬼春(おにはる)『いやもう(その)御挨拶(ごあいさつ)には(いた)()ります』
047テームス『(なん)()つてもバラモン(けう)悪神(あくがみ)048鬼春別(おにはるわけ)049久米彦(くめひこ)()(おに)のやうな悪党(あくたう)(とら)へられたのですから、050(さぞ)(むすめ)もえぐい()()つたで(ござ)いませう。051さうして、052奥眼(おくめ)とか久米彦(くめひこ)とか()狒々(ひひ)のやうな(をとこ)がついて()るのだから(さだ)めし(むすめ)(みさを)(けが)されたで(ござ)いませうなア』
053鬼春(おにはる)『いや(けつ)して(その)御心配(ごしんぱい)()りませぬ。054仲々(なかなか)貴方(あなた)(むすめ)さまだけあつて(しつか)りしたものです。055それは(わたし)保証(ほしよう)(いた)します』
056テームス『仮令(たとへ)()(けが)されても(いのち)さへ()つて(かへ)れば結構(けつこう)だと(おも)うて()りましたが、057少々(せうせう)怪我(けが)をして()りますけれど肝腎(かんじん)のものに別状(べつじやう)さへなくば、058こんな(うれ)しい(こと)(ござ)いませぬ。059何分(なにぶん)養子(やうし)をせねばならぬ(むすめ)ですから、060(おや)としても随分(ずいぶん)心配(しんぱい)(ござ)います』
061鬼春(おにはる)成程(なるほど)御心配(ごしんぱい)(さつ)(いた)します。062(じつ)拙者(せつしや)はあの(なん)(ござ)います……。063やつぱり……春別(はるわけ)(ござ)いました。064()(かく)無事(ぶじ)(をさ)まつたので(ござ)いますから、065これも神様(かみさま)何彼(なにか)思召(おぼしめ)しとお(あきら)めなさるがよろしう(ござ)いませう』
066久米(くめ)(はじ)めてお()にかかります。067貴方(あなた)(この)()主様(あるじさま)(ござ)いますか。068(まこと)申訳(まをしわけ)のない(こと)(いた)しました。069治国別(はるくにわけ)(さま)のお(かげ)により神様(かみさま)(みち)(すく)はれ、070こんな(うれ)しい(こと)(ござ)いませぬ。071貴方(あなた)(さぞ)(よろこ)び、072目出度(めでた)(ござ)います』
073テームス『イヤ貴方(あなた)仰有(おつしや)(とほ)り、074第一(だいいち)春別(はるわけ)(さま)のお骨折(ほねを)り、075(つぎ)には貴方方(あなたがた)のお(たす)けによりて、076あの意地(いぢ)(わる)鬼春別(おにはるわけ)や、077久米彦(くめひこ)の、078泥棒将軍(どろばうしやうぐん)(かどわ)かされた(ところ)(たす)けて(いただ)き、079(てん)にも(のぼ)心持(こころもち)(ござ)います。080もし春別(はるわけ)(さま)081(むすめ)をお(たす)(くだ)さいまして(じつ)にお(れい)(まを)しやうが(ござ)りませぬが、082(また)あの泥棒将軍(どろばうしやうぐん)が、083貴方(あなた)のお(かへ)りになつた(あと)沢山(たくさん)雑兵(ざふひやう)()()れ、084(むすめ)()(かへ)しに()るやうな(こと)(ござ)いますまいか、085それが第一(だいいち)()にかかります』
086久米(くめ)(けつ)して御心配(ごしんぱい)なさいますな。087治国別(はるくにわけ)さま、088松彦(まつひこ)さま、089竜彦(たつひこ)さま、090万公(まんこう)さまが、091すつかり岩窟退治(いはやたいぢ)(あそ)ばし、092二人(ふたり)(かしら)大鉄槌(だいてつつい)(くら)はし、093三千(さんぜん)軍隊(ぐんたい)解散(かいさん)し、094後顧(こうこ)(うれひ)のなきやうにして此処(ここ)にお(かへ)りになりましたから、095御安心(ごあんしん)なさいませ』
096テームス『(さすが)春別(はるわけ)(さま)097(その)(ほか)のお弟子様(でしさま)098(じつ)御神徳(ごしんとく)()ふものは(えら)いもので(ござ)いますな。099(かみ)(おもて)(あら)はれて(ぜん)(あく)とを()()けると仰有(おつしや)いましたが、100やつぱり(ぜん)最後(さいご)までゆけば()つもので(ござ)います。101そして鬼春別(おにはるわけ)や、102久米彦(くめひこ)泥棒人足(どろばうにんそく)は、103(くび)でも()つて()にましたか、104(ただ)しは切腹(せつぷく)でも(いた)しましたか、105それが(ひと)つお土産話(みやげばなし)()かして(いただ)()(ござ)います』
106 鬼春別(おにはるわけ)(かしら)()(なが)ら、
107鬼春(おにはる)『ヘイ将軍(しやうぐん)としての鬼春別(おにはるわけ)108久米彦(くめひこ)最早(もはや)消滅(せうめつ)(いた)しました。109やがて(うま)(かは)つて貴方(あなた)にお()にかかりに()るでせう。110(その)(とき)悪人(あくにん)(にく)まず言葉(ことば)をかけてやつて(くだ)さいませ』
111テームス『貴方(あなた)のお言葉(ことば)なれば(そむ)(わけ)にはゆきませぬが、112()のやうな悪党(あくたう)何程(なにほど)天地(てんち)(かへ)つて、113謝罪(あやま)つて()ましても一口(ひとくち)言葉(ことば)をかける(どころ)か、114門内(もんない)にも()れませぬ。115(にく)(けづ)()(すす)り、116(ほね)をはたいて()つても(むし)(をさま)らない悪党(あくたう)(ござ)いますが、117(なん)とかして神様(かみさま)のお(ちから)痕跡(あとかた)もなく(ほろ)ぼしたいもので(ござ)います』
118 ()(はな)(ところ)治国別(はるくにわけ)119松彦(まつひこ)120竜彦(たつひこ)下女(げぢよ)案内(あんない)によつて(あら)はれ(きた)り、
121治国(はるくに)『イヤ、122テームス殿(どの)123(わたし)治国別(はるくにわけ)(ござ)います。124(ゆつく)りと(やす)まして(いただ)きました。125()うですかな、126四人(よにん)(とも)(すこ)しく気分(きぶん)はよいやうですか』
127テームス『ヤ、128貴方(あなた)治国別(はるくにわけ)(さま)129ハテナ、130(いま)此処(ここ)(ござ)るお(かた)貴方様(あなたさま)(おも)つて御挨拶(ごあいさつ)申上(まをしあ)げた(ところ)(ござ)います。131ハテナ、132どうも合点(がてん)()かぬ(こと)だなア』
133治国(はるくに)(この)(かた)有名(いうめい)鬼春別(おにはるわけ)134久米彦(くめひこ)両将軍(りやうしやうぐん)(および)スパール、135エミシのカーネルさまですよ』
136 テームスは()けぬ(ばか)りに(おどろ)いて、137(かほ)真青(まつさを)にしながら(ふる)(ごゑ)()し、
138テームス『モシ治国別(はるくにわけ)(さま)139(はや)何処(どこ)かへ()なして(くだ)さいませ。140何故(なぜ)こんな(やつ)()らぬ()(はい)つて()たのでせう』
141治国(はるくに)(この)四人(よにん)(かた)が、142すつかり御改心(ごかいしん)結果(けつくわ)143貴方方(あなたがた)のお(ぢやう)さまを背中(せなか)()うて此処(ここ)(まで)(おく)つて()られたのですよ。144もはや(いま)(まで)将軍(しやうぐん)では(ござ)いませぬ、145治国別(はるくにわけ)弟子(でし)ですから御安心(ごあんしん)なさいませ』
146 テームスはやつと(むね)()で、
147テームス『ヤアそれで一寸(ちよつと)安心(あんしん)(いた)しました。148モシ春別(はるわけ)(さま)149随分(ずいぶん)貴方(あなた)(はら)(わる)いですな。150なぜ鬼春別(おにはるわけ)だと仰有(おつしや)つて(くだ)さらぬのです』
151鬼春(おにはる)(あま)りお(はづ)かしうて(あは)(かほ)がありませぬので春別(はるわけ)(まを)しました。152(しか)最早(もはや)(おに)()れましたから矢張(やつぱり)春別(はるわけ)(ござ)います。153随分(ずいぶん)(わたし)(あく)(なら)べられた(とき)には五臓六腑(ござうろつぷ)(えぐ)られるやうに(くる)しう(ござ)いました。154此処(ここ)()るのは久米彦(くめひこ)将軍(しやうぐん)155スパール、156エミシの改心党(かいしんたう)(ござ)います。157何卒(どうぞ)(いま)(まで)(うらみ)()つて、158通常(あたりまへ)人間(にんげん)として御交際(ごかうさい)(ねが)ひます』
159テームス『治国別(はるくにわけ)(さま)(ござ)(あひだ)御交際(ごかうさい)をさして(いただ)きませうが、160(また)何時(なんどき)(ひつ)くりかへらるるやら(わか)りませぬから、161()るべくは(かへ)つて(いただ)()いもので(ござ)います』
162治国(はるくに)(けつ)して御心配(ごしんぱい)なさいますな。163(この)方方(かたがた)(はら)(そこ)(まで)見透(みす)かして()りますから、164最早(もはや)大丈夫(だいぢやうぶ)(ござ)います』
165鬼春別(おにはるわけ)醜神(しこがみ)()()かれたる鬼春別(おにはるわけ)
166(かみ)(めぐみ)(ひと)となりぬる。
167テームスの里庄(りしやう)(きみ)惟神(かむながら)
168(かみ)のまにまに(ゆる)したまはれ』
169久米彦(くめひこ)大神(おほかみ)(めぐみ)(ふか)瑞御霊(みづみたま)
170河瀬(かはせ)(みづ)久米彦(くめひこ)(われ)に。
171()めど()めど()きせぬ(かみ)御恵(みめぐみ)
172(なが)れて(たま)(あら)ひましぬる』
173テームス『有難(ありがた)醜雲(しこぐも)四方(よも)()(わた)
174今日(けふ)(うれ)しき(つき)()るかな。
175三五(あななひ)(つき)(をしへ)(まも)りつつ
176いや永久(とこしへ)(かみ)(つか)へませ』
177鬼春別(おにはるわけ)曲鬼(まがおに)(みたま)(くま)なく()()らし
178空晴別(そらはるわけ)となりし今日(けふ)なり。
179()(くら)(とりで)(ひそ)曲神(まがかみ)
180(かみ)伊吹(いぶき)()()りにけり。
181曲神(まがかみ)()りにし(あと)久米彦(くめひこ)
182(こころ)真澄(ますみ)(そら)(つき)かも』
183スパール『バラモンの(いくさ)(きみ)(したが)ひて
184カーネルとなりし(われ)ぞうたてき。
185大神(おほかみ)(すく)ひの喇叭(らつぱ)(さま)されて
186(いま)(まこと)(みち)()めける』
187テームス『有難(ありがた)(かみ)(めぐみ)醜草(しこぐさ)
188()(はら)はずに(すく)ひますかも』
189エミシ『(われ)こそはエミシの(つかさ)三五(あななひ)
190(ひかり)()びてエミシ(われ)なり。
191姉妹(おとどひ)二人(ふたり)御子(みこ)をいろいろと
192(なや)ませまつりし(われ)ぞうたてき。
193ゼネラルや、スパール(つかさ)(つみ)ならず
194エミシ一人(ひとり)(おか)せし醜業(しこわざ)
195鬼春別(おにはるわけ)友垣(ともがき)(つみ)をかくして一人(ひとり)()
196エミシの(つかさ)真人(まびと)なりけり』
197久米彦(くめひこ)村肝(むらきも)(こころ)(つみ)()められて
198(われ)()ふべき(こと)()もなし』
199治国別(はるくにわけ)()(くら)(やま)黒雲(くろくも)(そら)()れて
200()ちも(およ)ばぬ(たに)川霧(かはぎり)
201松彦(まつひこ)(まつ)()(さきがけ)として()れませる
202木花姫(このはなひめ)(めぐみ)かしこし。
203()花姫(はなひめ)(かみ)(みこと)(まさ)ざらば
204いかで(すく)へむこの姉妹(おとどひ)を』
205竜彦(たつひこ)大神(おほかみ)(のり)のまにまにビクの(くに)
206()竜彦(たつひこ)今日(けふ)(うれ)しさ。
207大空(おほぞら)(かがや)きわたる(つき)()れば
208(わが)()(きみ)御霊(みたま)とぞ(おも)ふ』
209鬼春別(おにはるわけ)許々多久(ここたく)(つみ)(けが)れを委曲(まつぶさ)
210()(なほ)したる治国別(はるくにわけ)(つかさ)
211(あめ)(した)四方(よも)(くに)には(あだ)もなし
212(かみ)(をしへ)(まか)()なれば』
213テームス『治国別(はるくにわけ)(つかさ)(はじ)百人(ももびと)
214今宵(こよひ)(はや)(くつろ)ぎませよ。
215()(むすめ)(ちち)をたづねて()つならむ
216(ゆる)させたまへ()()(われ)を』
217治国別(はるくにわけ)(おや)()(なさけ)(おも)益良雄(ますらを)
218いかでとがめむ(なれ)言葉(ことば)を』
219テームス『有難(ありがた)(もも)(つかさ)よいざさらば
220くつろぎたまへ(こころ)(やす)けく』
221挨拶(あいさつ)しながら、222(あと)(こころ)(のこ)しつつ、223(おく)一間(ひとま)()けて()く。224(たみ)下女(げぢよ)下男(げなん)調理(てうり)せし膳部(ぜんぶ)(はこ)(きた)り、225(さけ)なぞを()へて一同(いちどう)(まへ)()ゑ、
226(たみ)皆様(みなさま)227嬢様(ぢやうさま)が、228いかいお世話(せわ)になられまして有難(ありがた)(ぞん)じます。229何分(なにぶん)(わたし)此処(ここ)(やと)はれて(まゐ)りまして、230まだ日日(ひにち)(あさ)(ござ)いまして(いへ)勝手(かつて)(わか)りませず、231不都合(ふつがふ)だらけですが「どうぞ(ゆつく)()(あが)つて(もら)へ」との主人(しゆじん)()ひつけで(ござ)います。232(なに)(ござ)いませぬが何卒(どうぞ)(はら)一杯(いつぱい)()(あが)(くだ)さいませ』
233竜彦(たつひこ)『お()()みの(なか)234御叮嚀(ごていねい)御馳走(ごちそう)235イヤもう大変(たいへん)なお骨折(ほねをり)(ござ)いませう。236(しか)らば遠慮(ゑんりよ)なく頂戴(ちやうだい)(いた)しませう。237サア先生(せんせい)238春別(はるわけ)(さま)239皆様(みなさま)頂戴(ちやうだい)(いた)しませうか』
240治国(はるくに)御叮嚀(ごていねい)有難(ありがた)(ござ)います。241此方(こちら)勝手(かつて)頂戴(ちやうだい)(いた)しますから、242何卒(どうぞ)(たみ)さまとやらお(かま)(くだ)さいますな』
243(たみ)『ハイ不調法者(ぶしようもの)がお給仕(きふじ)(いた)すよりも御自由(ごじいう)にして(くだ)さる(はう)結構(けつこう)(ござ)います』
244挨拶(あいさつ)もそこそこに御馳走(ごちそう)(なら)(をは)炊事場(すゐじば)へさして(いそ)()く。245万公(まんこう)はテームスと交替(かうたい)に、246道晴別(みちはるわけ)247シーナの介抱(かいほう)より(はな)空腹(くうふく)(かか)へて(こゑ)をしるべに(あら)はれ(きた)り、
248万公(まんこう)『ああ先生(せんせい)249大変(たいへん)御馳走(ごちそう)()()りますなア。250(ひと)(ふた)()()(いつ)()(なな)つヤ一膳(いちぜん)()らぬぞ。251万公司(まんこうつかさ)のお(ぜん)はどこにあるのかなア』
252竜彦(たつひこ)『オイ万公(まんこう)253(まへ)(すで)御馳走(ごちそう)頂戴(ちやうだい)しただらう。254スガールさまのお(かほ)さへ()()れば無上(むじやう)御馳走(ごちそう)だ。255(めし)一日(いちにち)二日(ふつか)()はなくても辛抱(しんばう)出来(でき)るだらう』
256万公(まんこう)『ヘン(おほ)きに(はばか)(さま)257木仏(きぶつ)金仏(かなぶつ)でない(かぎ)り、258矢張(やつぱり)食欲(しよくよく)一人前(いちにんまへ)(ござ)いますから、259(なん)ならお(まへ)(ぶん)拙者(せつしや)頂戴(ちやうだい)(いた)しませうかい』
260竜彦(たつひこ)『ヤお(まへ)(べつ)(せき)(こしら)へてあるのだらう、261主人側(しゆじんがは)だからなア。262俺達(おれたち)はお(きやく)さまだ(なん)()つてもテームス()新養子様(しんやうしさま)だから、263(ちつ)俺達(おれたち)にお給仕(きふじ)でもしたらよからう』
264万公(まんこう)『ウンさうだつた。265(まへ)もさう(おも)うて()るか、266さうすると(おれ)(かんが)へもちつとも(ちが)はぬ、267それでは気楽(きらく)にお(きやく)さま(づら)もして()れまい、268下女(げぢよ)()ひつけ沢山(どつさり)御馳走(ごちそう)をして()げる。269………何分(なにぶん)取込(とりこ)んで()るので御馳走(ごちそう)をして()げたいと(おも)ひましたが(にはか)には出来(でき)ませぬ。270(また)明日(あす)になつたら、271(なん)とか小甘(こうま)いものでもして()げませう。272まアお客様(きやくさま)御悠(ごゆつ)くり()(あが)(くだ)さいませ』
273(あわて)(はしら)(ふすま)にゆき(あた)りながら炊事場(すゐじば)さして(すす)()く。
274大正一二・二・二六 旧一・一一 於竜宮館 加藤明子録)