霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第八章 愛米(あいまい)〔一四三八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第56巻 真善美愛 未の巻 篇:第2篇 宿縁妄執 よみ:しゅくえんもうしゅう
章:第8章 愛米 よみ:あいまい 通し章番号:1438
口述日:1923(大正12)年03月16日(旧01月29日) 口述場所:竜宮館 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年5月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:93頁 八幡書店版:第10輯 179頁 修補版: 校定版:99頁 普及版:42頁 初版: ページ備考:
派生[?]この文献を底本として書かれたと思われる文献です。[×閉じる]出口王仁三郎全集 > 第一巻 皇道編 > 第七篇 高天原 > 第十三章 神愛と自愛
001()んでから語呂(ごろ)つき()した法螺(ほら)(かひ)
002(こゑ)高姫(たかひめ)(しづ)伏家(ふせや)に』
003内外(うちそと)にうなり()したる法螺(ほら)(かひ)
004おどろきケリナ、ベル、シャル、ヘル』
005法螺(ほら)()()いて高姫(たかひめ)立上(たちあが)
006(むね)(とどろ)かす茅屋(あばらや)戸口(とぐち)
007法螺(ほら)()(ちか)くに(きこ)(また)(とほ)
008(きこ)えぬわいなと(かみ)(うら)めつ』
009『あの(こゑ)矢張(やつぱ)(ゆめ)(まぼろし)
010高姫司(たかひめつかさ)法螺吹(ほらふき)()か』
011口々(くちぐち)(うた)(なが)ら、012四人(よにん)(かほ)見合(みあ)はして、013不審(ふしん)(くも)(つつ)まれてゐる。014高姫(たかひめ)法螺(ほら)(こゑ)(ふたたび)()まつたので、015(また)(もと)()引返(ひきかへ)(きた)り、
016高姫(たかひめ)『あああ皆々(みなみな)017()たしました。018(しか)(なが)らシャルは(わたし)知己(ちき)だ。019(これ)から大事(だいじ)にして(わたし)片腕(かたうで)使(つか)うて()げますぞや。020四人(よにん)(かた)はモウ、021トツトと(かへ)つて(もら)ひませう。022結構(けつこう)日出神(ひのでのかみ)御託宣(ごたくせん)を、023ツベコベと小理窟(こりくつ)(ばか)りひねるやうなお(かた)は、024到底(たうてい)(たす)けやうが()りませぬ。025第一(だいいち)霊魂(みたま)位置(ゐち)天地(てんち)相違(さうゐ)があるのだから、026(この)高姫(たかひめ)(あい)徹底(てつてい)しないと()えます、027(まこと)()(どく)なものだ。028(これ)自業自得(じごうじとく)(あきら)めて(かへ)つて(もら)ひませう。029エーエ(けが)らはしい、030(いま)(きこ)えた法螺貝(ほらがひ)(やう)(はら)(なか)空洞(うつろ)のクセに、031(おほ)きな法螺(ほら)()(ばか)りで、032仕方(しかた)のないカラ霊魂(みたま)だ。033サアサア、034(この)(やかた)()()えても矢張(やつぱ)高姫(たかひめ)御殿(ごてん)だ。035(まへ)(ちひ)さい(くす)ぼつた茅屋(あばらや)(おも)つてゐるだらうが、036(これ)でも活眼(くわつがん)(ひら)いて()()れば、037金殿玉楼(きんでんぎよくろう)038精霊(みたま)(くもり)()れぬと、039こんな立派(りつぱ)御殿(ごてん)が、040(まへ)には茅屋(ばうをく)()えませうがな、041心次第(こころしだい)何事(なにごと)(うつ)るのだから()(どく)なものだよ。042イツヒヒヒヒヒ』
043ベル『(なん)とマア、044自我心(じがしん)(つよ)(ばば)アだなア。045(めう)なインクリネーションを()つてゐるスフヰンクスだ。046どつか精神上(せいしんじやう)大変(たいへん)なラシャナリストがあると()えるワイ。047オイ、048ヘル、049ケリナ、050モウ(かへ)らうぢやないか。051何時(いつ)(まで)()つた(ところ)面白(おもしろ)くも(なん)ともない、052諄々(じゆんじゆん)口角(こうかく)(あわ)()ばし、053仰有(おつしや)つて(くだ)さつても、054(こころ)(まこと)がないのだから、055サツパリ無味乾燥(むみかんさう)で、056ドライアスダストの(やう)だ。057サア、058シャルの馬鹿者(ばかもの)(だけ)(あと)(のこ)して出立々々(しゆつたつしゆつたつ)059(いち)060()061(さん)
062高姫(たかひめ)『エー、063ツベコベとベルの()うに(さへづ)(をとこ)だなア。064(しか)(なが)らここへ()以上(いじやう)()ねと()つたものの、065中々(なかなか)066(じつ)(ところ)()なす()はないぞや。067()にたけりや()なしてやるが、068(まへ)肝玉(きもだま)(えぐ)()し、069結構(けつこう)結構(けつこう)(みたま)()()へた(うへ)解放(かいはう)してやる。070此処(ここ)出刃(でば)用意(ようい)してあるから、071暫時(しばらく)()つたがよからう、072(うご)かうと()つたつて、073ビクとも出来(でき)ぬやうに、074曲輪(まがわ)(はふ)使(つか)うてあるから(うご)いてみなさい。075(まへ)たちは余程(よつぼど)よい野呂作(のろさく)だから、076()らぬ()霊縛(れいばく)をかけておいたのだよ。077イツヒヒヒヒ』
078ベル『ナアニッ、079チヨン猪口才(ちよこざい)な、080汝等(きさまら)(きも)(わた)してたまるかい。081()るなら()つてみよ』
082高姫(たかひめ)()らいでかい。083(なん)でも(かん)でもスツカリ取上(とりあ)()アさまだよ』
084ヘル『コレ、085もし、086高姫(たかひめ)さま、087(わたし)(こら)へて()れるでせうな。088(じつ)(ところ)はベルよりもお(まへ)さまの(はう)がどこともなしに(かみ)さまらしい(ところ)がある(やう)(おも)ひます、089(おな)(もの)()るにも肝玉(きもだま)()るとは(ふる)つてゐる。090(わたし)(その)一言(いちごん)にサツパリ共鳴(きようめい)して(しま)ひました』
091高姫(たかひめ)『ウン、092(まへ)(この)ベルからみれば、093チツと(ばか)りホロましな人足(にんそく)だ。094(しか)(なが)底津岩根(そこついはね)大神様(おほかみさま)生宮(いきみや)(たい)し、095共鳴(きようめい)するなんて、096(なん)()傲慢不遜(がふまんふそん)()(かた)だい、097チツとは言霊(ことたま)(つつし)みなさい』
098ヘル『何分(なにぶん)バラモン(ぐん)()つて(すこ)(ばか)青表紙(あをべうし)をかぢつたものだから、099比較的(ひかくてき)スピリットが発達(はつたつ)してゐるものだから、100(まへ)さまのメデヲカチックなお(はなし)直接(ちよくせつ)ハートに(をさ)まりませぬ。101それが(ため)煩悶(はんもん)苦悩(くなう)してゐるのですよ』
102高姫(たかひめ)『スピリットだの、103ハートだの、104メデヲカチックだのと、105そんな()(たい)四足語(よつあしご)使(つか)つたつて(わか)りませぬぞや。106(この)高姫(たかひめ)(かみ)さまだから、107(とり)(けもの)(やう)(こゑ)(みみ)(とほ)りませぬ(わい)108なぜハツキリとしたスパルタ()申上(まをしあ)げぬのかい』
109ヘル『何分(なにぶん)霊魂(みたま)性来(しやうらい)(わる)いものだから、110満足(まんぞく)言霊(ことたま)()ませぬワ。111マア(こら)えて(もら)ひませうかい』
112ベル『コリヤ、113ヘルの大将(たいしやう)114(きさま)(おれ)反対的(はんたいてき)態度(たいど)()(つもり)か。115ヨーシ、116それならそれで(おれ)にも(かんが)へがある』
117ヘル『(かんが)へがあるとは()うすると()ふのだい』
118ベル『当家(たうけ)主人(あるじ)高姫(たかひめ)第一着手(だいいちちやくしゆ)として、119バラモン(けう)とやり、120(その)(つぎ)高姫(たかひめ)のパラドックスに共鳴(きようめい)する(きさま)をバラモンとやり、121ケリナをうまく懐柔(くわいじう)して、122ヘヘヘ、123あとは推量(すいりやう)せい。124それ以上(いじやう)()ふのも野暮(やぼ)だし、125()くのも野暮(やぼ)だから……』
126ヘル『アハハハハ、127ケリナが(さぞ)(よろこ)んで()いて()(こと)だらう、128本当(ほんたう)馬鹿(ばか)だなア』
129高姫(たかひめ)『エー、130(やかま)しい、131サア(これ)からこつちの計画通(けいくわくどほ)実行(じつかう)だ。132オイ、133ヘル、134シャル、135(まへ)表口(おもてぐち)裏口(うらぐち)立番(たちばん)をしてゐなさい。136そしてケリナは(をんな)(こと)でもあり、137反対(はんたい)すると()つた(ところ)で、138(あま)(おほ)きな(こと)()うせうまいから、139ここに()()るがよい、140サア、141ベル、142覚悟(かくご)はよいか』
143()(なが)ら、144懐中(ふところ)から赤錆(あかさび)になつた出刃(でば)をニユツと()()した。
145 ベルはビク(とも)(さわ)がず、
146ベル『アハハハハハ、147そら(なん)だ。148蟷螂(かまきり)(をの)をふり()げたやうな格好(かくかう)しやがつて、149そんな威喝(ゐかつ)()ふベルぢやないぞ。150(これ)でも(もと)はバラモン(ぐん)のサアジャント(さま)だ。151斬合(きりあひ)(ころ)(あひ)はお()(もの)だ。152(みづか)()うた(なは)(みづか)(しば)られるやうなものだぞ』
153 高姫(たかひめ)(なん)(おも)つたか、154出刃(でば)をパタリと投付(なげつ)けた。155ベルは魔法(まはふ)にかかつて(こし)から(した)がビク(とも)(うご)かなくなつてゐた。156(しか)(なが)()(くち)自由自在(じいうじざい)(うご)くので、157自分(じぶん)(まへ)()ちた出刃(でば)手早(てばや)(ひろ)ひ、158逆手(さかて)(にぎ)り、159最早(もはや)大丈夫(だいぢやうぶ)高姫(たかひめ)()()(なが)ら、
160ベル『アハハハハ、161面白(おもしろ)面白(おもしろ)い、162ベルの言霊(ことたま)辟易(へきえき)して(ふる)(をのの)き、163出刃(でば)(おと)しよつたな。164エヘヘヘヘ、165最早(もはや)大丈夫(だいぢやうぶ)だ。166サア(やり)でも鉄砲(てつぱう)でも()つて()い、167(これ)から高姫館(たかひめやかた)道場破(だうぢやうやぶ)りだ。168コリヤ、169ヘル、170シャル、171(きさま)(ついで)にバラしてやらう、172有難(ありがた)(おも)へ』
173高姫(たかひめ)『イヒヒヒヒ、174何程(なにほど)出刃(でば)()()げて、175山蟹(やまがに)のやうなスタイルで目玉(めだま)飛出(とびだ)し、176頑張(ぐわんば)つて()つても駄目(だめ)だ。177こつちには二間(にけん)大身槍(おほみやり)がある。178(とほ)(ところ)からグサリと()いて(きも)をぬいてやるのだ。179オホホホホ。180テモさてもいぢらしいものだな。181(かみ)(そむ)いた天罰(てんばつ)()ふものはこんなものだ。182(いま)にみせしめの(ため)(この)高姫(たかひめ)成敗(せいばい)(いた)すから、183ヘル、184シャル、185ケリナも(これ)()改心(かいしん)なされや』
186ヘル『ハイ、187改心(かいしん)(いた)します、188何卒(どうぞ)(いのち)(ばか)りは(たす)けて(くだ)さいませ。189どんな(こと)でも(いた)しますから』
190高姫(たかひめ)『ウン、191よしよし、192それに間違(まちが)ひなくば、193(いのち)(だけ)(ゆる)してやる。194(その)(かは)高姫(たかひめ)(しり)()けと()つても()くのだよ』
195ヘル『ヘーエ、196(よろ)しあす。197……(なん)とか()つて、198(この)()(のが)れなくちや仕方(しかた)がないからな』
199小声(こごゑ)(つぶや)く。200ベルは依然(いぜん)として出刃(でば)振上(ふりあ)げたまま、201高姫(たかひめ)兇手(きようしゆ)(ふせ)がむと身構(みがま)へしてゐる。202高姫(たかひめ)はツと()つて、203何処(どこ)からか大身槍(おほみやり)をひつさげ(きた)り、204ベルの(むね)目蒐(めが)けて(ただ)一突(ひとつき)につき(ころ)さうと(かま)へてゐる。205ベルは出刃(でば)をふりかざし、206(いき)をこらして()つてゐる。207(たちま)ちブーブーと法螺(ほら)(かひ)間近(まぢか)(きこ)えて()た。208高姫(たかひめ)(この)(こゑ)身体(しんたい)動揺(どうえう)し、209(おのづか)(やり)(その)()にパタリと(おと)した。210そして()()真青(まつさを)(かほ)になつて(しま)つた。211シャルは高姫(たかひめ)(やり)(ひろ)ひ、212手早(てばや)裏口(うらぐち)持出(もちだ)し、213(くさ)(なか)(かく)して(しま)つた。214ベルは依然(いぜん)として出刃(でば)をふりかざした(まま)215(かた)まつてゐる。216(この)(とき)門口(かどぐち)をがらりと()け、
217御免(ごめん)(くだ)さい、218拙者(せつしや)求道居士(きうだうこじ)()修験者(しうげんじや)(ござ)る。219四人(よにん)男女(なんによ)がお世話(せわ)になつてゐると(うけたま)はり、220(むか)ひに(まゐ)りました』
221 高姫(たかひめ)(とどろ)(むね)(おさ)へ、222ワザと素知(そし)らぬ(かほ)をして()(ひざ)(うへ)()み、
223高姫(たかひめ)『これはこれは、224どこの修験者(しうげんじや)()りませぬが、225マアよい(ところ)()(くだ)さつた。226(しか)(なが)四人(よにん)(もの)世話(せわ)になつてると、227(いま)仰有(おつしや)つたが、228()(しら)べて(くだ)さいませ。229どうにもかうにもならない悪党(あくたう)一人(ひとり)(まじ)つてゐます。230彼奴(あいつ)泥坊(どろばう)とみえまして、231(この)(ばば)一人(ひとり)(やかた)出刃(でば)をふり(かざ)して(をど)()み、232(かね)()せ、233衣類(いるゐ)()せと(まを)して、234(この)(ばば)アの(いのち)()らうと(いた)しました。235それ(ゆゑ)236あの(とほ)魔法(まはふ)……オツトドツコイ霊法(れいはふ)()つて(ふう)じておきました。237(まへ)もチツと、238修験者(しうげんじや)なれば()うて()かしてやつて(くだ)さい。239(かみ)人民(じんみん)一人(ひとり)だつて(くるし)めたい(こと)(ござ)いませぬからな。240日出神(ひのでのかみ)義理天上(ぎりてんじやう)も、241こんな没分暁漢(わからずや)(かか)つては(まこと)迷惑(めいわく)(いた)します、242オホホホホホ』
243自分(じぶん)(こと)(たな)()げ、244(かつ)ベルを脅喝(けふかつ)した(その)非事(ひじ)をあばかれない(さき)に、245うまく予防線(よばうせん)()つてゐる。246求道居士(きうだうこじ)は「(なに)()もあれ御免(ごめん)(かうむ)りませう」と一間(ひとま)(とほ)り、247()れば四人(よにん)とも腰部(えうぶ)以下(いか)はビクとも(うご)かないやうに霊縛(れいばく)されてゐた。248求道居士(きうだうこじ)(たちま)ち、249呪文(じゆもん)(とな)へ、250(あま)数歌(かずうた)奏上(そうじやう)し、251四人(よにん)霊縛(れいばく)()いた。252高姫(たかひめ)()(まる)くし(した)()いて、253(いへ)小隅(こすみ)につツ()つた(まま)254(ふる)ふてゐる。
255求道(きうだう)『お(まへ)はベル、256ヘル、257シャルの三人(さんにん)ぢやないか。258(きた)(もり)でゼネラル(さま)から沢山(たくさん)のお(かね)(いただ)き、259一時(いちじ)(はや)国許(くにもと)(かへ)つて正業(せいげふ)()くと()つたクセに、260まだ斯様(かやう)(ところ)にうろついて泥坊(どろばう)をやつてゐたのか、261(こま)つた代物(しろもの)だなア』
262ベル『ハイ、263申訳(まをしわけ)(ござ)いませぬ、264キツト今後(こんご)(つつし)みます、265何卒(どうぞ)今日(けふ)見逃(みのが)して(くだ)さいませ』
266ヘル『カーネル(さま)267(この)(とほ)りで(ござ)います』
268()(あは)す。269シャルは(だま)つて(かしら)()げたなり、270(やや)微笑(びせう)()び、271高姫(たかひめ)片腕(かたうで)になつたと()(ほこ)りを(はな)(さき)にブラつかしてゐる。
272求道(きうだう)『お前達(まへたち)三人(さんにん)此処(ここ)何処(どこ)だと(おも)ふてゐるのだ』
273ベル『ハイ、274どことも(おも)ふてをりませぬ、275此処(ここ)だと(おも)ふて()ります』
276求道(きうだう)此処(ここ)(わか)つてゐる。277現界(げんかい)幽界(いうかい)かどちらと(かんが)へて()るか』
278ベル『そんな(こと)(わか)(くらゐ)なら、279こんな(ところ)()(まよ)うては(まゐ)りませぬ、280実際(じつさい)何処(どこ)(ござ)いますか』
281求道(きうだう)(こま)つた(やつ)だなア、282ここは冥土(めいど)八衢(やちまた)だ。283(この)高姫(たかひめ)といふ()アさまは、284精霊界(せいれいかい)兇鬼(きようき)になつてゐるのだ。285サア(かへ)らう、286何時(いつ)(まで)もこんな(ところ)()つては()まらないぢやないか』
287 三人(さんにん)()うしても幽界(いうかい)(おも)(こと)出来(でき)なかつた。
288ヘル『モシ、289カーネル(さま)290ここが幽界(いうかい)なれば、291貴方(あなた)もヤツパリ肉体(にくたい)()くなり、292冥土(めいど)(たび)をしてゐるのですか』
293求道(きうだう)『イヤ(おれ)現界(げんかい)にゐるのだ。294(まへ)こそ(ほとん)幽界(いうかい)()てゐるのだよ。295一度(いちど)現界(げんかい)()(こころ)取直(とりなほ)し、296(まこと)人間(にんげん)になつて、297(あらた)めて霊界(れいかい)()るのだ。298(この)(まま)霊界(れいかい)()かうものなら、299どうで地獄(ぢごく)()かねばならぬから(たす)けに()たのだ』
300 『ヘーエ』と()つたきり、301三人(さんにん)求道(きうだう)(かほ)(いぶ)かし()見守(みまも)つてゐる。302高姫(たかひめ)はソロソロと恐怖心(きようふしん)(のぞ)かれたと()え、303求道(きうだう)(まへ)にドツカと(すわ)り、
304高姫(たかひめ)『ホツホホホホ、305(まへ)もヤツパリ気違(きちがひ)だな、306最前(さいぜん)から()いて()れば此処(ここ)幽界(いうかい)ぢやと()つたが、307それがテンで間違(まちが)つて()るぢやないか』
308求道(きうだう)現界(げんかい)なれば太陽(たいやう)(あが)り、309(つき)(かがや)き、310(よる)になれば(ほし)もきらめく(はず)だが、311昼夜(ちうや)区別(くべつ)もなく、312こんなうす(ぐら)()(なか)を、313(まへ)さまは現界(げんかい)(おも)ふてゐるのか、314よく(かんが)へて御覧(ごらん)なさい』
315高姫(たかひめ)『ホホホホ、316(なん)とマア(わか)らぬ(めくら)だこと、317(あま)人民(じんみん)精神(せいしん)(くも)()つて()るので、318邪気(じやき)濛々(もうもう)立上(たちのぼ)り、319日月星辰(じつげつせいしん)(かげ)()えない(とこ)まで(くも)つてゐるのだよ。320それだから系統(ひつぽう)(みたま)321義理天上(ぎりてんじやう)生宮(いきみや)底津岩根(そこついはね)(おほ)ミロクさまの神柱(かむばしら)として、322(この)()光明世界(くわうみやうせかい)(いた)さうと苦労(くらう)(いた)して()るのぢやぞえ。323(まへ)修験者(しうげんじや)()えるが、324(なに)修行(しゆげふ)してゐるのだい。325一時(いつとき)(はや)(この)生宮(いきみや)(まを)(こと)()いて、326神様(かみさま)御用(ごよう)(つと)()げ、327天晴(あつぱれ)功名(こうみやう)手柄(てがら)(あら)はして、328()しては(かみ)(まつ)られ、329()きては世界(せかい)太柱(ふとばしら)となり、330()末代(まつだい)(のこ)御用(ごよう)(いた)したら()うだい。331()()えても(この)高姫(たかひめ)天地(てんち)一切(いつさい)(こと)(こころ)(かがみ)(うつ)つてゐるのだから、332(まを)(こと)にチツとも間違(まちが)ひはありませぬぞや』
333求道(きうだう)『ああ(こま)つた(をんな)だなア、334自分(じぶん)冥土(めいど)()八衢(やちまた)彷徨(さまよ)(なが)ら、335まだ()()めぬと()えるワイ。336自愛心(じあいしん)(つよ)(をんな)だなア、337どうかして(すく)ふてやる工夫(くふう)はあるまいか、338惟神(かむながら)(たま)()はひませ惟神(かむながら)(たま)()はひませ』
339高姫(たかひめ)『ホホホホ、340(なん)とまア没分暁漢(わからずや)(ばか)りが(そろ)ふたものだこと、341これでは(かみ)さまの御心(おこころ)がおいとしいワイの。342人間(にんげん)(かみ)分霊(わけみたま)だ。343それにも(かかは)らず現界(げんかい)幽界(いうかい)見当(けんたう)のつかぬ(とこ)(まで)344(みたま)(くも)らし、345どうして(これ)(もと)(かへ)るであらうか、346何程(なにほど)結構(けつこう)神様(かみさま)()(まへ)(あら)はれて()つても、347(こころ)(まなこ)(くら)んだ(もの)仕方(しかた)がないワイ。348ああ何処(どこ)修験者(しうげんじや)()らぬが、349此奴(こいつ)(たす)けてやらねばなるまい。350(また)(ひと)苦労(くらう)()えて()た。351コレ、352シャル、353(まへ)(わし)弟子(でし)になつたのだから、354チツと加勢(かせい)をしておくれ、355何程(なにほど)結構(けつこう)(をしへ)をしても(うつは)(ちひ)さいと這入(はい)らぬとみえる、356(まへ)(ぐらゐ)程度(ていど)丁度(ちやうど)()(ところ)だ。357サア、358高姫(たかひめ)代理権(だいりけん)を、359(この)修験者(しうげんじや)(たい)して委任(ゐにん)する、360(しつか)りやりなされや』
361シャル『モシ、362カーネルさま、363ウラナイ(けう)高姫(たかひめ)先生(せんせい)仰有(おつしや)(こと)を、364よツく()落付(おちつ)けて()いて(くだ)さいませ。365神様(かみさま)信仰(しんかう)理窟(りくつ)があつては駄目(だめ)です。366(すべ)無条件(むでうけん)でなくては信仰(しんかう)出来(でき)るものぢや(ござ)いませぬ』
367求道(きうだう)泥坊(どろばう)改心(かいしん)出来(でき)(うへ)368真人間(まにんげん)になつてから(なん)なと(をしへ)()かしてくれ、369それ(まで)()うも()(わけ)には()かぬからなア。370……コレ高姫(たかひめ)さま、371(まへ)さまは(この)求道居士(きうだうこじ)(はた)()いたとみえるなア。372それでは生宮(いきみや)とは(まを)されますまい』
373 高姫(たかひめ)(この)言葉(ことば)()くや(いな)や、374非常(ひじやう)侮辱(ぶじよく)(あた)へられたやうに(かん)じ、375(まゆ)逆立(さかだ)て、376(また)もや求道(きうだう)(まへ)()めよつて鼻息(はないき)(あら)く、
377高姫(たかひめ)『コレ(しう)チヤン、378(まへ)(もの)(わか)らぬ(ひと)だな。379人間(にんげん)天地(てんち)(はな)380ミクロコスモスノぢやぞえ。381何事(なにごと)宇宙一切(うちういつさい)(はら)()()んで()らなくてはならぬ(はず)人間(にんげん)が、382サツパリ精霊(みたま)(くも)らして、383癲狂(てんきやう)痴呆(ちはう)となり、384日月(じつげつ)(ひかり)()られぬ(とこ)(まで)堕落(だらく)し、385(あはれ)状態(じやうたい)(おちい)つて()るのだから、386せめて(かみ)(みち)目醒(めざ)めた(もの)が、387(この)惨状(さんじやう)(すく)はねばなりますまい。388(まへ)修験者(しうげんじや)だと()つて法螺(ほら)()(まは)つて(ござ)るが、389底津岩根(そこついはね)(おほ)ミロク(さま)一厘(いちりん)仕組(しぐみ)(わか)つて()りますかい。390人間(にんげん)()うしても(かみ)()いでの(もの)だから天晴(あつぱれ)功名(こうみやう)手柄(てがら)(あら)はして、391天下(てんか)国家(こくか)(ため)392(みち)(ため)千騎一騎(せんきいつき)大活動(だいくわつどう)をなし、393芳名(はうめい)天下(てんか)(かがや)かし、394()末代(まつだい)(つた)へるべき(もの)だ。395それが出来(でき)ぬやうな(こと)では人間(にんげん)とは(まを)しませぬぞや。396チツと(むね)()()てて(かんが)へてみなさい』
397求道(きうだう)人間(にんげん)(ただ)神様(かみさま)御道具(おだうぐ)になれば()いのだ。398世間愛(せけんあい)自愛(じあい)(こころ)払拭(ふつしき)し、399何事(なにごと)惟神(かむながら)のまにまに活動(くわつどう)するのが、400人間(にんげん)(うま)れた所以(ゆゑん)だ。401(まへ)さまの()(こと)何処(どこ)とはなしに、402ファラシーがあるやうだ』
403高姫(たかひめ)『お(まへ)義理天上(ぎりてんじやう)生宮(いきみや)(たい)し、404自愛心(じあいしん)だの、405世間愛(せけんあい)だのと(わけ)(わか)らぬ屁理窟(へりくつ)をツベコベ仰有(おつしや)るが、406よく(かんが)へて御覧(ごらん)なさい。407人間(にんげん)(この)()神様(かみさま)御余光(ごよくわう)(いただ)いて生存(せいぞん)する(かぎ)りは自愛心(じあいしん)がなくては、408一日(いちにち)だつて生存(せいぞん)する(こと)出来(でき)ますまい。409(ひと)には肉体維持(にくたいゐぢ)責任(せきにん)がありますよ。410一日(いちにち)でも結構(けつこう)月日(つきひ)(おく)らして(いただ)き、411神様(かみさま)生宮(いきみや)として、412千騎一騎(せんきいつき)活動(くわつどう)をせなくては、413()まぬぢやありませぬか。414どうしても人間(にんげん)天地経綸(てんちけいりん)司宰者(しさいしや)ですよ。415何故(なぜ)自愛心(じあいしん)世間愛(せけんあい)が、416それ(ほど)(まへ)は、417怪悪(くわいあく)なものの(やう)に、418(また)兇鬼(きようき)所作(しよさ)(やう)()ふのですか。419本当(ほんたう)にお(まへ)()(こと)人間界(にんげんかい)には通用(つうよう)せない。420屁理窟(へりくつ)だ』
421求道(きうだう)人間(にんげん)()()(とき)自愛(じあい)(つい)ては(がう)顧慮(こりよ)する(ところ)がない。422(ただ)(その)外分(ぐわいぶん)(あら)はれた矜高(きんかう)(じやう)423所謂(いはゆる)自愛(じあい)なる(もの)が、424何人(なにびと)(いへど)も、425(これ)外面(ぐわいめん)から明瞭(はつきり)(うかが)()らるるが(ゆゑ)に、426(ただ)(これ)(もつ)て、427自愛(じあい)(ねん)としてゐるものだ。428そして(また)自愛(じあい)(ねん)(みぎ)(ごと)判然(はんぜん)(おもて)(あら)はれる(こと)がなければ、429世間(せけん)人間(にんげん)(これ)生命(せいめい)()(しん)じ、430(この)(ねん)()られて種々(いろいろ)職業(しよくげふ)(もと)め、431(また)諸多(しよた)(よう)成就(じやうじゆ)するものと(しん)じてゐる(もの)だ。432(しか)(なが)人間(にんげん)()(その)(うち)(おい)て、433名誉(めいよ)光栄(くわうえい)とを(もと)める(こと)出来(でき)なければ、434(たちま)(こころ)萎靡(いび)(をは)るものと(おも)つてゐる。435(ゆゑ)にかかる自愛心(じあいしん)(ふか)人間(にんげん)他人(たにん)()つて、436(また)他人(たにん)(こころ)(うち)にて尊重(そんちよう)せられ、437賞讃(しやうさん)される(こと)がなければ、438誰人(たれ)()(あたひ)あり(よう)ある行為(かうゐ)をなし、439(みづか)(しう)(すぐ)れむとするものがあらうか。440そして人間(にんげん)をして(かく)(ごと)(はたら)かしむるのは(その)光栄(くわうえい)尊貴(そんき)とを熱望(ねつばう)する(こころ)441所謂(いはゆる)自愛(じあい)()るものではないかと()つてゐる(もの)(ばか)りだ。442かくて世間(せけん)には(もつぱ)地獄(ぢごく)(おこな)はれる(あい)と、443(ひと)をして地獄(ぢごく)(つく)らしむる(もの)愛我(あいが)自体(じたい)なる(こと)()らない(もの)(おほ)いのだ。444(まへ)さまの仰有(おつしや)(こと)(えう)するに、445(いま)()つた(やう)(かんが)へより一歩(いつぽ)(そと)()づる(こと)出来(でき)ないのだから、446ヤツパリお(まへ)さまの仰有(おつしや)(こと)()うしても(かみ)言葉(ことば)とは(きこ)えませぬよ。447第一(だいいち)(かみ)(をしへ)(ほう)ずる(もの)(まを)すに(およ)ばず、448人間(にんげん)(うま)れた以上(いじやう)はどうしても愛我(あいが)(こころ)放擲(はうてき)しなくては天下救済(てんかきうさい)神業(しんげふ)(つと)まりますまい。449自愛心(じあいしん)のある(うち)は、450如何(いか)善事(ぜんじ)(おこな)ふとも、451それはヤツパリ偽善(ぎぜん)ですよ。452(この)求道(きうだう)名利(めいり)(ちまた)奔走(ほんそう)し、453バラモン(けう)のカーネルとして尊貴(そんき)名誉(めいよ)(ゆめ)みて()つた(もの)ですが、454三五教(あななひけう)(をしへ)(さと)ると(とも)に、455自愛(じあい)世間愛(せけんあい)(はな)れ、456()うして(かみ)(ため)(はたら)かして(いただ)いて()ります。457高姫(たかひめ)さまも(かみ)(ため)(つく)して、458出世(しゆつせ)をせうとか、459(あるひ)出世(しゆつせ)をさしてやらうとか、460(おも)つたり仰有(おつしや)(うち)真正(しんせい)信仰(しんかう)とは(まを)せますまい。461(また)(しん)(あい)()(こと)出来(でき)ますまい。462()(むね)()()てて貴女(あなた)(こころ)(かがみ)をマ一度(いちど)(のぞ)いて御覧(ごらん)なさい』
463高姫(たかひめ)『ホホホホ、464(なん)とまア、465ツベコベと理窟(りくつ)(うま)いものですな。466何程(なにほど)(くに)(ため)467()(ため)だと()つても、468自分(じぶん)()てて国家(こくか)のため世人(よびと)(ため)(つく)(もの)は、469実際(じつさい)(とこ)はありますまい、470(また)()()(べか)らざる(こと)でせう。471(この)高姫(たかひめ)(あきら)かな(こころ)(かがみ)には(うそ)(いつは)りは(ひと)つも(うつ)りませぬぞや。472愛我心(あいがしん)がいけないと、473(まへ)さんは(いま)()つたが、474自分(じぶん)(からだ)(けつ)して自分(じぶん)(もの)でない、475(みな)神様(かみさま)御体(おからだ)ぢやありませぬか。476三五教(あななひけう)(をしへ)にも(かみ)(あい)する(ごと)(ひと)(あい)し、477(わが)()敬愛(けいあい)すべしと()()るでせう。478(わが)()(あい)するのは所謂(いはゆる)神様(かみさま)(あい)するのだ。479(この)(こころ)神愛(しんあい)ともなり、480自愛(じあい)ともなり愛我心(あいがしん)ともなるのだ。481それをお(まへ)(ただ)一口(ひとくち)愛我心(あいがしん)(わる)いと仰有(おつしや)るが、482今日(こんにち)()(なか)()(かんが)へて御覧(ごらん)なさい。483日々(にちにち)往復文書(わうふくぶんしよ)にも……気候不順(きこうふじゆん)だから随分(ずいぶん)御自愛(ごじあい)専一(せんいつ)(いの)ります……と()くぢやありませぬか、484天下(てんか)国家(こくか)のために最善(さいぜん)(つく)し、485社会(しやくわい)(ため)努力(どりよく)して(かん)ばしき()万世(ばんせい)(つた)ふるのは、486人間(にんげん)としては最上至善(さいじやうしぜん)(おこな)ひで(ござ)いませう。487(まへ)だつて、488修験者(しうげんじや)(ある)いてゐるのはヤハリ愛我(あいが)(ため)だらう。489(くち)では立派(りつぱ)(こと)()つても、490言心行一致(げんしんかういつち)中々(なかなか)出来(でき)ませぬぞや。491(からだ)資本(しほん)だと()(こと)がある。492如何(いか)なる善事(ぜんじ)をなすにも、493肉体(にくたい)がなくては出来(でき)ますまい、494さすれば(その)肉体(にくたい)をどこ(まで)可愛(かあい)がらねばなりますまい』
495求道(きうだう)(わたし)愛我(あいが)()ふのは自分(じぶん)のみよからむ(こと)希求(ききう)する意思(いし)()すのである。496愛我心(あいがしん)(つよ)人間(にんげん)は、497他人(たにん)のよくなる(こと)(ねが)ふのは(ただ)自分(じぶん)利益(りえき)をもたらす(とき)にのみ(かぎ)つてゐる。498(ゆゑ)自愛(じあい)(もつ)(しゆ)としてゐる(もの)(あるひ)はチヤーチ(あるひ)国家(こくか)499(また)如何(いか)なる人類(じんるゐ)団体(だんたい)(たい)しても、500(これ)(ため)利福(りふく)(ねが)(こと)もなく、501(また)自分(じぶん)名誉(めいよ)502尊貴(そんき)503光栄(くわうえい)(ため)(あら)ざれば、504()(むか)つて(けつ)して仁恵(じんけい)(ほどこ)(こと)をせない。505()(これ)()愛我的(あいがてき)人間(にんげん)()(ため)(よう)()ぐるに(あた)つて、506(その)(なか)以上(いじやう)()べた(ごと)自利(じり)相反(あひはん)するものがあつた(とき)(ただ)ちに失望(しつばう)し、507自暴自棄(じばうじき)して……ああ吾々(われわれ)(これ)(だけ)努力(どりよく)しても、508(はた)して(なん)(えき)があるだらうか、509(なに)(ゆゑ)吾々(われわれ)(この)(やう)(こと)をなす()義務(ぎむ)があるか。510(また)(はた)して()(ため)何等(なんら)利得(りとく)(しやう)ずるであらうか……と()つて、511放棄(はうき)し、512自己利益(じこりえき)以外(いぐわい)には何事(なにごと)もなさない。513()(ゆゑ)愛我(あいが)(ねん)(ふか)()する(もの)神様(かみさま)のチヤーチを(あい)せず、514国家(こくか)社会(しやくわい)(しん)(あい)せず、515(また)御用(ごよう)(あい)する(こと)なく、516(ただ)自己(じこ)のみを(あい)するものである。517(たとへ)自分(じぶん)主張(しゆちやう)する(をしへ)無条件(むでうけん)聴従(ちやうじう)する(もの)(おほ)からむことを(ねが)ひ、518自分(じぶん)尊敬(そんけい)する人間(にんげん)のみを(あつ)め、519(すこ)しにても反抗的(はんかうてき)態度(たいど)()(もの)(たい)し、520()をつり()げ、521顔色(がんしよく)(へん)じて憤怒(ふんぬ)(じやう)(あら)はす(ごと)きは、522自愛(じあい)(もつとも)(はなは)だしいもので(ござ)いませう。523(かく)(ごと)態度(たいど)()(ひと)は、524(いづ)れも()(なが)地獄(ぢごく)(せき)()いてゐる妖怪的(えうくわいてき)人物(じんぶつ)です。525高姫(たかひめ)さまは生宮(いきみや)仰有(おつしや)以上(いじやう)は、526(けつ)して自分(じぶん)尊貴(そんき)しない(もの)威喝(ゐかつ)したり、527自分(じぶん)頤使(いし)盲従(まうじゆう)しない(もの)憎悪(ぞうを)したり嘲罵(てうば)するやうな地獄的(ぢごくてき)行為(かうゐ)はなさいますまいと(しん)じて()ります。528愛我心(あいがしん)(つよ)人間(にんげん)(その)所主(しよしゆ)(あい)より起来(きらい)する歓喜(くわんき)悦楽(えつらく)は、529(すなは)(その)人間(にんげん)生涯(しやうがい)をなす所以(ゆゑん)のものだから、530(かく)(ごと)(もの)生涯(しやうがい)所謂(いはゆる)自愛(じあい)生涯(しやうがい)です。531自愛(じあい)生涯(しやうがい)とは(すなは)(その)人間(にんげん)我執(がしふ)(ねん)から発生(わい)てくる生涯(しやうがい)である。532(ゆゑ)(その)自体(じたい)から()(とき)は、533我執(がしふ)534愛我(あいが)念慮(ねんりよ)(けつ)して(ぜん)()(こと)出来(でき)ぬものだ。535自分(じぶん)盲従(まうじゆう)し、536隷属(れいぞく)する(もの)のみを(あい)する(もの)を、537(また)(とく)自分(じぶん)子孫(しそん)朋友(ほういう)知己(ちき)(かぎ)(あい)せむとする(もの)は、538結局(けつきよく)自愛(じあい)(こころ)です。539自分(じぶん)行動(かうどう)(いつ)にする朋友(ほういう)知己(ちき)意中(いちう)(ひと)のみを偏愛(へんあい)し、540自分(じぶん)行動(かうどう)(とも)にせざる(もの)(および)自分(じぶん)意志(いし)()はざる(もの)(あい)せないのも自愛(じあい)であつて、541(しん)神愛(しんあい)ではありますまい。542自分(じぶん)党派(たうは)(あい)し、543自分(じぶん)部下(ぶか)のみを(あい)する(こと)544(ほとん)自己(じこ)(ごと)くなし、545歓喜(くわんき)するのは、546自分(じぶん)をその(うち)包有(はういう)してゐるが(ゆゑ)である。547自愛心(じあいしん)人間(にんげん)所有(しよいう)(しよう)する(もの)(うち)には、548(すべ)彼等(かれら)賞揚(しやうやう)尊敬(そんけい)阿諛(あゆ)する(もの)をも(ふく)んで()るのだ。549(これ)所謂(いはゆる)地獄愛(ぢごくあい)だ。550高天原(たかあまはら)()ける(しん)(あい)(くら)ぶれば、551(じつ)天地霄壌(てんちせうぜう)差異(さい)がある、552自愛(じあい)世間愛(せけんあい)とは所謂(いはゆる)地獄(ぢごく)(あい)であつて、553高天原(たかあまはら)(あい)天国(てんごく)(あい)である。554天国(てんごく)(おい)ては(よう)(ため)(よう)(あい)し、555(ぜん)(ため)(ぜん)(あい)して聖団(せいだん)(ため)556国家(こくか)(ため)557同胞(どうはう)(ため)(その)()(むな)しうして、558実践(じつせん)躬行(きうかう)するものです。559(これ)(しよう)して(かみ)(あい)し、560隣人(りんじん)(あい)すると()ふのである。561貴女(あなた)(けつ)してさう()(やう)自愛心(じあいしん)をお()ちになつて()らうとは的確(てきかく)には(しん)じませぬが、562()(なか)沢山(たくさん)(あら)はれてゐる神柱(かむばしら)とか、563生宮(いきみや)とか、564予言者(よげんしや)とか(とな)へらるる人間(にんげん)(うち)には、565随分(ずいぶん)自愛心(じあいしん)(つよ)偽善家(ぎぜんか)(おほ)いものです。566(しん)(かみ)生宮(いきみや)567五六七(みろく)太柱(ふとばしら)たるプロパガンデストならば、568一切(いつさい)御用(ごよう)一切(いつさい)(ぜん)(みな)(かみ)より(きた)り、569そして(その)(なか)自分(じぶん)所愛(しよあい)対象(たいしやう)たるべき隣人(りんじん)あるが(ゆゑ)である。570され(ども)自分(じぶん)(ため)(ゆゑ)に、571此等(これら)(こと)(あい)するは、572(これ)をして(おのれ)服従(ふくじゆう)せしめむが(ため)573(すなは)(これ)僕婢(ぼくひ)とし、574(あるひ)部下(ぶか)として(あい)するものである。575(ゆゑ)世間(せけん)沢山(たくさん)ある贋神柱(にせかむばしら)(いづ)れも愛我(あいが)のみに(ぢゆう)するが(ゆゑ)に、576自分(じぶん)のエビスコーバルしてゐるチヤーチの(ため)とか、577国家(こくか)同胞(どうはう)(ため)服事(ふくじ)せむ(こと)(ねが)ひ、578そして自分(じぶん)傲然(がうぜん)として尊貴(そんき)(ほこ)り、579(これ)服事(ふくじ)することを(ねが)はないものです。580(かみ)生宮(いきみや)581太柱(ふとばしら)などを真向(まつかう)(ふり)かざし、582教会(けうくわい)583国家(こくか)584同胞(どうはう)(など)(うへ)卓立(たくりつ)し、585(これ)をして(おの)脚下(きやくか)()らしめむと焦慮(せうりよ)するものです。586それ(ゆゑ)人間(にんげん)愛我心(あいがしん)()れない(かぎ)りは、587(おのづか)高天原(たかあまはら)天国(てんごく)遠離(ゑんり)するものだ。588何故(なにゆゑ)ならば高天原(たかあまはら)(あい)から(とほ)ざかるからである』
589高姫(たかひめ)『そら、590そうです(とも)591()(すゑ)になりますと、592贋予言者(にせよげんしや)593贋救(にせすく)(ぬし)594種々(いろいろ)雑多(ざつた)のスフヰンクスが(あら)はれて、595世界(せかい)(おろか)人間(にんげん)魔道(まだう)引入(ひきい)れようと(いた)すものです。596(めくら)(つんぼ)(ひと)しき人間(にんげん)至粋(しすゐ)至純(しじゆん)なる五六七(みろく)神政(しんせい)太柱(ふとばしら)597義理天上(ぎりてんじやう)日出神(ひのでのかみ)生宮(いきみや)認識(にんしき)する(めい)なく、598玉石混淆(ぎよくせきこんかう)して正邪(せいじや)判別(はんべつ)を、599ようつけないのだから、600(じつ)(この)生宮(いきみや)迷惑(めいわく)(いた)します。601(まこと)(もの)目薬(めぐすり)(ほど)もないと、602(かみ)さまが仰有(おつしや)いますが()うしたものです。603(この)高姫(たかひめ)はお(まへ)眼力(がんりき)御覧(ごらん)になれば(わか)るでせうが、604自我(じが)のやうに()えても(けつ)して自愛(じあい)地獄愛(ぢごくあい)(よろこ)(もの)ぢや(ござ)いませぬ。605(あま)宏遠(くわうゑん)教理(けうり)(はじ)めから没分暁漢(わからずや)(さと)すと、606(かへ)つて取違(とりちが)ひを(いた)すに()つて、607最前(さいぜん)もあの(やう)自我心(じがしん)主張(しゆちやう)したのだが、608(まへ)さまの(やう)比較的(ひかくてき)(わか)つた(ひと)なら、609()上根(じやうこん)()だ、610(いま)(まで)()うたのは小乗部(せうじやうぶ)だ。611(これ)からお(まへ)人格(じんかく)(みと)め、612紳士的(しんしてき)態度(たいど)大乗部(だいじやうぶ)()いて()げませう。613コレ、614其処(そこ)()四人(よにん)連中(れんぢう)615(これ)から第一霊国(だいいちれいごく)(をしへ)()くのだから、616下根(げこん)精霊(みたま)には(かしら)(いた)(むね)(くる)しうなるかも()れないが、617そこを辛抱(しんばう)して()くのだよ。618そすりや結構(けつこう)御神徳(おかげ)(いただ)けますぞや。619底津岩根(そこついはね)大弥勒様(おほみろくさま)御用(ごよう)(いた)してゐる(この)高姫(たかひめ)は、620()(まで)もなく高天原(たかあまはら)愛善(あいぜん)(とく)()るのだから、621(よう)(ため)(よう)(あい)し、622(ぜん)(ため)(ぜん)(あい)して、623(こころ)(そこ)から(これ)(おこな)(こと)唯一(ゆゐいつ)(たのし)みとなし、624聖団(せいだん)のため、625国家(こくか)社会(しやくわい)同胞(どうはう)(ため)日夜(にちや)これを実践(じつせん)躬行(きうかう)してゐるのだ。626それだから五六七大神(みろくのおほかみ)自分(じぶん)至粋(しすゐ)至純(しじゆん)(おこな)ひを御覧(ごらん)(あそ)ばし、627神様(かみさま)(はう)から、628生宮(いきみや)としてお(くだ)(あそ)ばしたのだ。629(しか)(なが)(あま)(れい)光明(くわうみやう)(はげ)しいので、630下根(げこん)人間(にんげん)にはチツと懸隔(けんかく)(とほ)すぎて、631正体(しやうたい)(あらは)さうものなら、632(たちま)栃麺棒(とちめんぼう)()り、633()げて(かへ)るに()つて、634精霊相応(みたまさうおう)変化(へぐれ)て、635説法(せつぱふ)をしてゐるのだよ。636神様(かみさま)霊相応(みたまさうおう)仰有(おつしや)るのだから、637(ぶた)真珠(しんじゆ)(あた)へるやうな馬鹿(ばか)(こと)出来(でき)ませぬからなア。638高姫(たかひめ)所主(しよしゆ)(あい)(すなは)弥勒大神(みろくのおほかみ)所主(しよしゆ)(あい)だ。639前等(まへたち)(やう)()れよしの精神(せいしん)で、640(よう)(おこな)ひ、641(ぜん)をした(ところ)が、642ヤツパリ駄目(だめ)だ。643それは(ある)一方(いつぱう)(なに)条件(でうけん)(もと)めてゐるのだから、644(しん)(あい)無条件(むでうけん)でなくては駄目(だめ)ですよ。645(これ)自愛心(じあいしん)(まを)しますぞや。646自愛心(じあいしん)(もの)(おのづか)大神(おほかみ)御神格(ごしんかく)より(とほ)(はな)れ、647(したが)つて高天原(たかあまはら)神国(しんこく)から(はな)れて(しま)ふものだ。648自分(じぶん)(はう)から(もと)める(ところ)(あい)我執(がしふ)(ねん)(みちび)かれて()るのだ。649(その)我執(がしふ)(ねん)といふのが、650所謂(いはゆる)(あく)といふのだ。651(あく)(また)一名(いちめい)地獄(ぢごく)といひますぞや。652三五教(あななひけう)変性女子(へんじやうによし)(みたま)世間悪(せけんあく)映像(えいざう)だと、653同教(どうけう)幹部(かんぶ)のお歴々(れきれき)主張(しゆちやう)してゐるだらうがな、654つまり(あく)といふのは自愛(じあい)世間愛(せけんあい)(しつ)する(もの)()ふのだよ。655(まへ)(これ)から(この)修験者(しうげんじや)仰有(おつしや)(こと)門口(かどぐち)として(みたま)(みが)き、656(おく)(おく)のドン(おく)(きは)めて天晴(あつぱれ)御用(ごよう)(ため)御用(ごよう)をしなさい。657(およ)ばず(なが)ら、658(この)高姫(たかひめ)(ちから)一杯(いつぱい)659(をし)へて()げるから……、660(しか)(なが)(をし)へて(もら)うてからの改心(かいしん)駄目(だめ)だぞえ、661(こころ)(そこ)から(この)高姫(たかひめ)生宮(いきみや)尊敬(そんけい)し、662(かつ)(ふか)(しん)じ、663大神(おほかみ)(せつ)する態度(たいど)(もつ)(つか)へなくてはお神徳(かげ)取外(とりはづ)しますよ』
664舌鋒(ぜつぽう)(うま)四人(よにん)(はう)()け、665(にはか)求道(きうだう)深遠(しんゑん)なる教理(けうり)自分(じぶん)(もの)となし、666得々(とくとく)として受売(うけうり)をやつてゐる。667(じつ)当意即妙(たういそくめう)668()でも蒟蒻(こんにやく)でも()かぬ妖婆(えうば)である。
669ベル『オイ高姫(たかひめ)さま、670求道居士(きうだうこじ)の……(おれ)先生(せんせい)がお()でになつてから、671(にはか)心気一転(しんきいつてん)したぢやないか、672随分(ずいぶん)模倣(もはう)(めう)()てゐる()アさまだなア』
673高姫(たかひめ)『そら(なに)()ふのだ、674頑愚(ぐわんぐ)()(がた)代物(しろもの)だな。675(にん)()(ほふ)()けと()つて、676(まへ)(やう)ガラクタには(また)それ相応(さうおう)(をしへ)をするのだ、677(みみ)(いた)からう。678(この)高姫(たかひめ)求道(きうだう)さまに(をし)へてゐるのだ。679前達(まへたち)彼此(かれこれ)()資格(しかく)はない、680スツ()んでゐなさい』
681ベル『ヘン、682馬鹿(ばか)にしてるわい、683イヒヒヒヒ』
684高姫(たかひめ)『コレ求道(きうだう)さま、685(まへ)法螺貝(ほらがひ)()(だけ)686どこ(とも)なしに()()いてる(ところ)がある。687高姫(たかひめ)()(こと)(みみ)(はい)るだらう。688サ、689(これ)から底津岩根(そこついはね)大弥勒様(おほみろくさま)のお言葉(ことば)取次(とりつ)いで()げるから、690(うたが)はずに()きなされや。691第一(だいいち)()(なか)(なに)(わる)いと()つても、692自愛心(じあいしん)(すなは)愛我(あいが)念慮(ねんりよ)(くらゐ)(いや)しいものは(ござ)いませぬぞや。693(おのれ)(あい)すること、694(かみ)(あい)するに(まさ)り、695世間(せけん)(あい)する(こと)高天原(たかあまはら)(あい)するに(まさ)(やう)()(かた)駄目(だめ)ですよ。696何事(なにごと)神第一(かみだいいち)(いた)さねば、697人間(にんげん)(かみ)生宮(いきみや)(まを)(こと)出来(でき)ませぬぞや。698人間(にんげん)(ぜん)()すに(あた)つて、699(その)(なか)仮令(たとへ)毛筋(けすぢ)横巾(よこはば)でも、700自愛(じあい)(こころ)(こん)じてゐたならば、701(たちま)我執(がしふ)(ねん)(おちい)り、702諸悪(しよあく)地獄(ぢごく)突入(とつにふ)(いた)しますぞや。703何故(なぜ)なれば斯様(かやう)人間(にんげん)は、704(この)(とき)(ぜん)(はな)れて自分(じぶん)(むか)うて()(ども)705自分(じぶん)(はな)れて(ぜん)(むか)(こと)がないからだ。706さういふ人間(にんげん)如何(いか)なる(ぜん)をする(とも)707(その)(ぜん)(なか)には自我愛(じがあい)面影(おもかげ)のみを(とど)め、708神格(しんかく)面影(おもかげ)をチツとも(とど)めてゐないものだ。709それだから(この)高姫(たかひめ)(てん)命令(めいれい)()けて、710苦集滅道(くしふめつだう)()き、711道法礼節(だうほふれいせつ)開示(かいじ)してゐるのだから、712(みみ)(あな)()掃除(さうぢ)して真面目(まじめ)()きなさいや。713天地(てんち)(あひだ)(みな)不思議(ふしぎ)なものだ。714到底(たうてい)人間(にんげん)細工(さいく)知恵(ちゑ)解決(かいけつ)がつくものでない。715(ただ)(かみ)()(しん)()(あい)しさへすれば、716それで結構(けつこう)だよ。717求道(きうだう)さま、718どうです、719高姫(たかひめ)(みたま)因縁(いんねん)(これ)でチツと(わか)りましたかな』
720 求道(きうだう)は『アハハハハハ』と(わら)つたきり、721矢庭(やには)法螺(ほら)(くち)(あて)て、722ブウブウと吹立(ふきた)てた。723それと同時(どうじ)高姫(たかひめ)(やかた)次第(しだい)(かげ)うすくなり、724(つひ)陽炎(かげろふ)(ごと)消滅(せうめつ)したりける。
725 ベル、726ヘル、727ケリナの三人(さんにん)はフツと()がつき四辺(あたり)()れば、728エルシナ(がは)川縁(かはべり)一人(ひとり)山伏(やまぶし)(すく)()げられてゐた。729そしてシャルは何程(なにほど)人工呼吸(じんこうこきふ)(ほどこ)したり、730種々(いろいろ)魂返(たまがへ)しをやつてみたが駄目(だめ)であつた。731流石(さすが)悪党(あくたう)のベルも(この)(とき)現界(げんかい)(よみがへ)つたのは、732兇党界(きようたうかい)高姫(たかひめ)籠絡(らうらく)されず精神(せいしん)()られなかつたからである。733シャルはベルに(くら)ぶれば(やや)善人(ぜんにん)であるが、734現界(げんかい)()数十年(すうじふねん)生命(せいめい)(のこ)つてゐるにも(かかは)らず、735蘇生(そせい)せなかつたのは、736()れの精霊(せいれい)(すで)高姫(たかひめ)(をしへ)信従(しんじゆう)し、737固着(こちやく)して(しま)つたからである。738(また)求道居士(きうだうこじ)(ただ)一人(ひとり)法螺貝(ほらがひ)()(なが)ら、739宣伝(せんでん)(ため)(この)川辺(かはべり)にふと(あら)はれ(きた)り、740(あさ)(はや)くから四人(よにん)死体(したい)(みと)めて()(おど)らし(ふち)()()み、741(すく)()げ、742魂返(たまがへ)しの神業(かむわざ)(しう)したのである。743(これ)より求道居士(きうだうこじ)はベル、744ヘルを(したが)へ、745ケリナを(おく)つてテルモン(ざん)小国別(をくにわけ)(やかた)(すす)()(こと)となつた。746ベルは中途(ちうと)にヘルと争論(そうろん)(おこ)し、747一時(いちじ)姿(すがた)山林(さんりん)(かく)したのである。
748大正一二・三・一六 旧一・二九 於竜宮館 松村真澄録)