霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一一章 鳥逃(とりにが)し〔一四六一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第57巻 真善美愛 申の巻 篇:第2篇 顕幽両通 よみ(新仮名遣い):けんゆうりょうつう
章:第11章 鳥逃し よみ(新仮名遣い):とりにがし 通し章番号:1461
口述日:1923(大正12)年03月25日(旧02月9日) 口述場所:皆生温泉 浜屋 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年5月24日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高姫は夜叉のように曲冬をおっかけて四つ辻までやってきたが、曲冬は大股に駆けて行ってしまい、高姫も追いつくことはできなかった。高姫はそろそろ、信者候補を逃がしたことをシャルに八つ当たり始めた。高姫とシャルは言い争いになるが、また一人四つ辻にやってくる者がある。高姫は、今度は自分が引っ張り込んでみせると言ってシャルを下がらせた。
向こうからとぼとぼやってくるのは三千彦であった。三千彦は、高姫が東助との昔の縁への執着から道を踏み外し、妖幻坊に魅せられて脱線活動を始めた有様を歌っていたが、遠くであったので、高姫は気が付かなかった。
高姫は三千彦に声をかけた。三千彦は、フサの国のテルモン山館を助けに行く用事があると答えた。三千彦の方が高姫に気が付いて、声をかけた。すると草の中からシャルが顔をだし、三千彦に連れて行ってほしいと頼み込んだ。
シャルは高姫の悪口を言ったので、高姫は胸ぐらをつかんで締め上げようとした。三千彦はみかねて、高姫の頭髪をつかんでその場に引き倒した。シャルは道案内を申し出て、二人はスタスタと行ってしまう。高姫は歯ぎしりしながら恨めし気に見送っていた。
シャルの目には今まで、寒風ふきすさぶ枯れ野が原と見えていたのに、三千彦に遇ってからはそこら一面が春野のようになり、鳥歌い花匂う光景が目に入るようになった。シャルは嬉々として三千彦の後になり先になり、北へ北へと進んで行く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-01-23 21:22:27 OBC :rm5711
愛善世界社版:144頁 八幡書店版:第10輯 312頁 修補版: 校定版:151頁 普及版:69頁 初版: ページ備考:
001 白髪(しらが)(まじ)りの藁箒(わらばうき)のやうな(かみ)をサンバラに(こがらし)(なび)かせ(なが)夜叉(やしや)のやうにペタペタと大地(だいち)()らせつつ四辻(よつつじ)までやつて()た。002()れば、003最前(さいぜん)きた天香教(てんかうけう)曲冬(まがふゆ)尻引(しりひつ)からげトントンと大股(おほまた)夜這星(よばひぼし)のやうに(くろ)(ふんどし)()きずり(なが)(はし)つて()る。004何程(なにほど)高姫(たかひめ)()んでも(さけ)んでも()()かばこそ、005()()(その)(いきほひ)高姫(たかひめ)(おひ)つく(こと)()四辻(よつつじ)歯噛(はが)みをなし地団駄(ぢだんだ)()んで、
006高姫(たかひめ)『エイ残念(ざんねん)やなア、007これシャルお(まへ)鈍馬(とんま)だから折角(せつかく)()てきた(とり)()がして仕舞(しま)つたのだ。008なぜ()らぬ()(つな)でも()けて()かなんだのかい。009(かみ)(つな)さへかけて()けば(なに)(ほど)ヂリヂリ(もだ)へをしても(はな)さんぞよ」とお(ふで)()()るぢやないか』
010シャル『(わたし)人間(にんげん)011貴女(あなた)(かみ)(さま)でせう。012人間(にんげん)(つな)かけたつて(なん)になりませう。013(わたし)不足(ふそく)()ふより、014なぜ()出神(でのかみ)(さま)(つな)かけなかつたのですか。015その不足(ふそく)()きませぬ』
016高姫(たかひめ)『エ、017よう小理窟(こりくつ)()(をとこ)だなア。018なぜ絶対(ぜつたい)服従(ふくじゆう)をせないのだ。019一体(いつたい)(わし)誰人(どなた)心得(こころえ)()るのだい』
020シャル『ハイ、021誰人(どなた)さまかと(おも)へば矢張(やつぱり)此方(こなた)さまで(ござ)いました。022此方(こなた)さまかと(おも)へば矢張(やつぱり)高姫(たかひめ)さま、023高姫(たかひめ)さまかと(おも)へば義理(ぎり)天上(てんじやう)()出神(でのかみ)生宮(いきみや)024さうかと(おも)へば底津(そこつ)岩根(いはね)大弥勒(おほみろく)さま、025大弥勒(おほみろく)(さま)かと(おも)へば第一(だいいち)霊国(れいごく)天人(てんにん)(さま)026天人(てんにん)(さま)かと(おも)へば現界(げんかい)027幽界(いうかい)028神界(しんかい)救主(すくひぬし)さま、029救主(すくひぬし)さまかと(おも)へば杢助(もくすけ)さまの奥様(おくさま)030杢助(もくすけ)さまの奥様(おくさま)かと(おも)へば常世姫(とこよひめ)()(みたま)(さま)031常世姫(とこよひめ)のお(みたま)(さま)かと(おも)へば高宮姫(たかみやひめ)(さま)032高宮姫(たかみやひめ)(さま)かと(おも)へば定子姫(さだこひめ)(さま)033誰人(どなた)誰人(どなた)やら、034薩張(さつぱり)見当(けんたう)がつきませぬワイ。035矢張(やつぱり)此方(こなた)さまにして()きませうかい』
036高姫(たかひめ)『エ、037仕様(しやう)もない、038(なん)()(こと)()ふのだい。039沢山(たくさん)()(なら)べて、040(ひと)()つたらよいぢやないか。041繁文(はんぶん)褥礼(じよくれい)流行(はや)りませぬぞや。042そんな複雑(ふくざつ)()()はいでも、043もちつと単純(たんじゆん)生宮(いきみや)さまとなぜ()はんのかい。044法性寺(ほつしやうじ)入道(にふだう)運上取(うんじやうと)りに()るぢやないか』
045シャル『それでもシンプルな名称(めいしよう)では、046前様(まへさま)のお()()りますまい。047(ちつ)とでも(なが)()(ほど)048貴女(あなた)()機嫌(きげん)がよいのですからなア。049足曳(あしびき)山鳥(やまどり)()のしだり()長々(ながなが)しう()ふのが、050どこともなしに価値(ねうち)があるやうですよ。051第一(だいいち)雅味(がみ)がありますからなア』
052高姫(たかひめ)『エエ、053シンプルだの、054複雑(ふくざつ)だの雅味(がみ)だのと(なに)をガミガミ()ふのだい。055そんな毛唐(けたう)のやうな言葉(ことば)()高天原(たかあまはら)では(もち)ひませぬぞや』
056シャル『それでも貴女(あなた)時々(ときどき)英語(えいご)使(つか)ふぢやありませぬか』
057高姫(たかひめ)『あれや英語(えいご)ぢやない神世(かみよ)生粋(きつすゐ)のお言葉(ことば)ぢや、058(この)(いそが)しいのにさう(なが)()()はれると(あま)気分(きぶん)のよいものぢやない。059(まへ)(ひと)()うて()げようか、060さうしたら(あぢ)(わか)るだらう。061何処(どこ)(やつ)かと(おも)へば此処(ここ)(やつ)だ。062バラモン(けう)旗持(はたもち)人足(にんそく)かと(おも)へば小盗人(こぬすと)だ。063小盗人(こぬすと)かと(おも)へば川陥(かははまり)だ。064川陥(かははまり)かと(おも)へば、065死損(しにぞこな)ひの八衢(やちまた)人足(にんそく)だ。066八衢(やちまた)人足(にんそく)かと(おも)へば、067地獄(ぢごく)(せき)をおいた亡者(まうじや)(みたま)だ。068亡者(まうじや)(みたま)かと(おも)へば極道(ごくだう)息子(むすこ)だ。069極道(ごくだう)息子(むすこ)かと(おも)へば腰抜(こしぬ)けだ。070間抜(まぬ)けに歯抜(はぬ)け、071魂抜(たまぬ)野郎(やらう)だ。072魂抜(たまぬ)野郎(やらう)かと(おも)へば高姫(たかひめ)尻拭(しりふ)きだ。073尻拭(しりふ)きかと(おも)へば矢張(やつぱり)シャルだ。074オツホホホホ』
075シャル『どうも(ひど)いですな、076それ(だけ)よう悪口(あくこう)陳列(ちんれつ)出来(でき)たものですワイ。077矢張(やつぱり)(まへ)さまは義理(ぎり)天上(てんじやう)(うそ)だ、078金毛(きんまう)九尾(きうび)容器(いれもの)でせう』
079高姫(たかひめ)(きま)つた(こと)だよ。080金毛(きんまう)九尾(きうび)()守護神(しゆごじん)(はじ)めは(あく)だつたけれど、081今度(こんど)082高姫(たかひめ)(あく)(ぜん)改心(かいしん)して、083(ぜん)()(かへ)つたのだから、084三千(さんぜん)世界(せかい)(こと)(なん)でも()でも(みな)()つて()るのだ』
085シャル『成程(なるほど)086どこともなしに九尾(きゆび)九尾(きゆび)して()ますワイ。087(しか)貴女(あなた)(をんな)だからよもやキン(まう)(ござ)いますまい』
088高姫(たかひめ)『コレお(まへ)此処(ここ)にすつこんで()なさい、089彼方(あつち)から(なん)だか()()るやうだ。090(わし)(ひと)説教(せつけう)を、091(つか)まへてするから、092(まへ)(けつ)して口出(くちだ)しをしてはならぬぞや。093(この)枯草(かれくさ)(なか)()(かく)して()いて()なさい。094(すこ)勉強(べんきやう)せねば今日(けふ)のやうに折角(せつかく)()()(とり)()がしては(なん)にもならぬからなア。095サア(はや)引込(ひつこ)んだり引込(ひつこ)んだり』
096シャル『それでは(しばら)螽斯(きりぎりす)ぢやないが(くさ)(なか)引込(ひつこ)みます。097長話(ながばなし)はおいて(くだ)さい、098(あし)(しび)れますからなア』
099()(なが)ら、100ガサガサと萱草(かやくさ)(なか)(もぐ)()んだ。101(かす)かな(こゑ)宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)一人(ひとり)(をとこ)がやつて()る。
102三千彦(みちひこ)(かみ)(おもて)(あら)はれて
103善神(ぜんしん)邪神(じやしん)()()ける
104(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
105(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
106(ただ)何事(なにごと)(ひと)()
107直日(なほひ)見直(みなほ)()(なほ)
108三五教(あななひけう)神館(かむやかた)
109総務(そうむ)(つかさ)(つか)へたる
110東野別(あづまのわけ)(した)ひつつ
111自転倒(おのころ)(じま)()()でて
112(こひ)(くる)うた高姫(たかひめ)
113(はぢ)人情(にんじやう)()らばこそ
114(まなこ)(くら)(みみ)()
115(こひ)悪魔(あくま)(とら)はれて
116(ところ)もあらうに聖場(せいぢやう)
117あらむ(かぎ)りの醜態(しうたい)
118暴露(ばくろ)せしこそ果敢(はか)なけれ
119(こころ)(みだ)れし高姫(たかひめ)
120金毛(きんまう)九尾(きうび)(たばか)られ
121()()(やかた)()()でて
122河鹿(かじか)(たうげ)急坂(きふはん)
123(かぜ)(すそ)をば(あふ)られつ
124太股(ふともも)(まで)()()して
125スタスタ(くだ)るスタイルは
126地獄(ぢごく)(まち)(かよ)()
127夜叉(やしや)(ごと)くに()えにける
128(ほこら)(もり)()()りて
129妖幻坊(えうげんばう)曲者(まがもの)
130(たま)をぬかれて()にかへり
131所在(あらゆる)醜態(しうたい)演出(えんしゆつ)
132妖幻坊(えうげんばう)杢助(もくすけ)
133()()をとつて小北山(こぎたやま)
134聖場(せいぢやう)横柄面(わうへいづら)さげて
135(まう)でたところ(つき)(みや)
136(とびら)(なか)より(ほとばし)
137その霊光(れいくわう)(きも)つぶし
138(いのち)辛々(からがら)()げて()
139浮木(うきき)(もり)()()りて
140(きつね)(たぬき)(たばか)られ
141初稚姫(はつわかひめ)やスマートの
142生言霊(いくことたま)()(おそ)
143妖幻坊(えうげんばう)諸共(もろとも)
144(こころ)(くら)黒雲(くろくも)
145()りて()()すその途端(とたん)
146如何(いかが)はしけむ中空(ちうくう)より
147真逆(まつさか)(さま)顛落(てんらく)
148行方(ゆくへ)不明(ふめい)となりにけり
149(さぞ)今頃(いまごろ)高姫(たかひめ)
150(この)()にありて(つく)したる
151驕傲(けうがう)尊大(そんだい)脱線(だつせん)
152(みち)辿(たど)りて中有界(ちううかい)
153どこかの野辺(のべ)潜伏(せんぷく)
154(みち)()精霊(せいれい)相対(あひたい)
155支離(しり)滅裂(めつれつ)教理(けうり)をば
156()()()るに(ちが)ひない
157(われ)三千彦(みちひこ)宣伝使(せんでんし)
158玉国別(たまくにわけ)()(きみ)
159(わか)れて一人(ひとり)テルモンの
160(かみ)(やかた)()(むか)
161悪人輩(あくにんばら)(たく)みをば
162暴露(ばくろ)(やかた)難儀(なんぎ)をば
163(たす)けむために(きた)りけり
164此処(ここ)はいづくぞフサの(くに)
165アンブラック(がは)片傍(かたほとり)
166(くさ)茫々(ばうばう)()(しげ)
167青野(あをの)(はら)(おぼ)えたり
168小鳥(ことり)(うた)(はな)(にほ)
169天国(てんごく)浄土(じやうど)()(あた)
170()にも愉快(ゆくわい)心地(ここち)する
171ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
172(かみ)御霊(みたま)(さち)はひて
173テルモン(ざん)神館(かむやかた)
174(いち)()(はや)(かへ)しませ
175(かみ)のみ(まへ)()ぎまつる』
176(うた)(なが)らやつて()る。177高姫(たかひめ)(あま)(とほ)くて自分(じぶん)(こと)(うた)つて()るのは()がつかなかつたが、178小鳥(ことり)(うた)(はな)(にほ)ひ、179青野(あをの)(はら)云々(うんぬん)()一句(いつく)()いて、
180高姫(たかひめ)『これだけ(しも)(いた)んだ枯野(かれの)(はら)を、181(とり)(うた)ふの(はな)()くのと()ふのは狂人(きちがひ)ではあるまいかな、182うつかり相手(あひて)になつて先方(せんぱう)狂人(きちがひ)だつたら仕末(しまつ)がつかない。183(ここ)(ひと)(やんわ)()様子(やうす)(かんが)へて()よう』
184四辻(よつつじ)()つて()る。185三千彦(みちひこ)(やうや)此処(ここ)(すす)(きた)高姫(たかひめ)()て、186よう()(かほ)だとは(おも)(なが)ら、187自分(じぶん)八衢(やちまた)()()るとは()がつかず、
188三千彦(みちひこ)『モシ一寸(ちよつと)(たづ)(いた)しますが、189波斯(フサ)(くに)のテルモン(ざん)は、190何方(どちら)方面(はうめん)(あた)りますかな』
191高姫(たかひめ)『ヘイ、192あのテルモン(ざん)(ござ)いますか、193此処(ここ)浮木(うきき)(もり)(ござ)いますが、194まだ随分(ずいぶん)(とほ)いと()(こと)(ござ)います。195そして貴方(あなた)196テルモン(ざん)(なに)御用(ごよう)があつてお(いで)になりますか』
197三千彦(みちひこ)『ハイ、198(わたし)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(ござ)いますが、199テルモン(ざん)(やかた)には大騒動(おほさうどう)(おこ)つて()りますので、200(たす)(まをし)()いと(おも)つて(こころ)(くば)つて()ます。201(しか)(なが)ら、202どう(みち)()(まよ)うたか()らないが、203こんな(ところ)()たのですよ』
204高姫(たかひめ)貴方(あなた)三五教(あななひけう)(ござ)いますか、205それはそれは結構(けつこう)(ござ)いますな。206(しか)しテルモン(ざん)にはバラモン(けう)(かみ)(さま)(まつ)つてあるでは(ござ)いませぬか』
207三千彦(みちひこ)『ハイ、208さうです』
209高姫(たかひめ)『テルモン(ざん)210……テルモン(ざん)はバラモン(けう)の、211それバラモン(けう)神館(かむやかた)でせう。212そして小国別(をくにわけ)()ふ、213()でも蒟蒻(こんにやく)でもいかぬ、214(てこ)でも(ぼう)でも(やり)でも鉄砲(てつぽう)でもいかぬと()ふ、215(まこと)(はや)狂暴(きやうばう)無頼(ぶらい)な、216狂暴(きやうばう)無頼(ぶらい)な、217神司(かむつかさ)(ひか)へて()るぢやありませぬか。218そんな(もの)をお(まへ)219そんな(もの)をお(まへ)はどうしてお(まへ)(たす)けに(また)220どうして(たす)けに()くのですかい』この高姫のセリフの中に「バラモン教の、それバラモン教の」とか「誠に早狂暴無頼な、狂暴無頼な」「そんな者をお前、そんな者をお前は」など、文言がダブっている箇所があるが、戦前の版や、戦後の校定版や愛世版でもみなそのようになっている。王仁三郎の意図的なものか、校正ミスなのかは不明。
221三千彦(みちひこ)『ハイ、222つひ(ゆき)がかりで(あと)()くにも()かれぬ(こと)出来(でき)たのです。223貴女(あなた)失礼(しつれい)ですが、224高姫(たかひめ)さまぢや(ござ)いませぬか。225帰幽(くにがへ)になつたと()(こと)()いて()ましたが、226矢張(やつぱり)()壮健(さうけん)でウラナイ(けう)をお(ひら)きで(ござ)いますか』
227高姫(たかひめ)『ハイ、228そんな(うはさ)(ござ)いますかな、229高姫(たかひめ)はこんなに丈夫(ぢやうぶ)でビチビチして()ますから()安心(あんしん)(くだ)さい。230これから義理(ぎり)天上(てんじやう)()出神(でのかみ)説教(せつけう)(いた)しますから、231一寸(ちよつと)立寄(たちよ)つて(くだ)さいますまいか』
232 (くさ)(なか)からシャルは(かほ)()し、
233シャル『駄目(だめ)駄目(だめ)だ』
234()つては(かほ)(かく)す。
235三千彦(みちひこ)『モシ高姫(たかひめ)さま、236貴方(あなた)(うしろ)からデクの(ばう)のやうな(もの)変現(へんげん)出没(しゆつぼつ)して()ますが、237あれは(なん)ですか』
238 (くさ)(なか)から、
239シャル『三千彦(みちひこ)さま(わたし)()れて()つて(くだ)さい』
240()ふ。
241三千彦(みちひこ)『ハテナ、242(なん)だか(めう)なものが(くさ)(なか)から(わたし)()()んで()るやうです』
243高姫(たかひめ)『イエ、244あれは九官鳥(きうくわんてう)ですよ。245()原野(げんや)には鸚鵡(あうむ)九官鳥(きうくわんてう)()んで()ますからチヨコチヨコああ()(こと)()ふのです』
246三千彦(みちひこ)『ヘエ(めう)ですなア。247(この)九官鳥(きうくわんてう)人間(にんげん)姿(すがた)をして()るぢやありませぬか』
248高姫(たかひめ)『そりやさうでせうとも、249化物(ばけもの)()(なか)ですもの。250岩根(いはね)木根(きね)立草(たちくさ)片葉(かきは)(まで)言問(ことと)()(なか)ですから、251(ちつ)とは変化(へぐれ)()るのでせう。252それだから()出神(でのかみ)水晶(すいしやう)()立直(たてなほ)さうと(おも)うて、253高姫(たかひめ)肉宮(にくみや)()り、254()苦労(くらう)(あそ)ばすのです』
255三千彦(みちひこ)成程(なるほど)(めう)(こと)もあるものです』
256 (くさ)(なか)から、
257シャル『変化(へぐれ)変化(へぐれ)変化(へぐれ)武者(むしや)258変化(へぐれ)神社(じんしや)高姫(たかひめ)さま、259変化(へぐれ)変化(へぐれ)変化(へぐれ)武者(むしや)260変化(へぐれ)神社(じんしや)のシャルさま、261ウツポツポー、262ホーツク、263ホーツクホーホー、264ホホホホー、265ホーホケキヨ ホーホケキヨ、266ケキヨ ケキヨ、267ニヤーン、268モウー、269ヒンヒンヒン、270ワンワンワン、271ウーウーウー、272キヤツ キヤツ キヤツ、273チウチウチウ、274キユツ キユツ キユツ、275ウツポツポ、276アハハハハハ』
277三千彦(みちひこ)(なん)とマア変化(へぐ)れるものですなア、278こんな(ところ)()ると(なに)()()るか()れませぬ。279左様(さやう)なら御免(ごめん)(かうむ)ります』
280とスタスタ()つて()かうとする。281高姫(たかひめ)大手(おほで)(ひろ)げて、
282高姫(たかひめ)()つた()つた、283(この)関所(せきしよ)容易(ようい)(くぐ)(こと)出来(でき)ませぬぞや、284(くぐ)()くば高姫(たかひめ)()(こと)一応(いちおう)(はら)(しつか)りと()めこんで()きなさい、285(あと)後悔(こうくわい)する(こと)出来(でき)ますぞや』
286三千彦(みちひこ)『ヤ有難(ありがた)う。287(しか)(わたし)(すこ)(いそ)ぎますから今度(こんど)(また)(ゆつ)くり()かして(いただ)きませう』
288シャル『モシモシ宣伝使(せんでんし)(さま)289こんな(ばば)相手(あひて)にならず、290トツトと()きなさいませ。291さうして(わたし)何卒(どうぞ)()れて()つて(くだ)さい。292()(つよ)仕方(しかた)のない()さまですよ』
293三千彦(みちひこ)『アアお(まへ)九官鳥(きうくわんてう)だつたか、294そんな(ところ)(なに)をして()るのだ』
295シャル『ハイ、296(たか)命令(めいれい)によつて九官鳥(きうくわんてう)此処(ここ)新聞(しんぶん)きうかん(休刊)して()ました』
297高姫(たかひめ)『こりやシャル、298(なん)()(こと)(まを)すか。299もう了見(れうけん)せぬぞや』
300とグツと胸倉(むなぐら)()り、301喉元(のどもと)をグウグウ(おさ)へつける。302シャルは()白黒(しろくろ)させながら(くる)しさに手足(てあし)をバタバタと藻掻(もが)いて()る。303三千彦(みちひこ)()るに見兼(みか)ね、304高姫(たかひめ)頭髪(とうはつ)をグツと(にぎ)つて()(たふ)した。305同時(どうじ)にシャルは()(あが)り、
306シャル『モシ宣伝使(せんでんし)(さま)307(はや)(まゐ)りませう。308(わたし)何処(どこ)へでも案内(あんない)(いた)します。309こんな(ばば)相手(あひて)になつて()ては(たま)りませぬからなア』
310()(なが)ら、311スタスタと()()す。312三千彦(みちひこ)は、
313高姫(たかひめ)(さま)左様(さやう)なら、314(ゆつ)くり(くさ)(しとね)一休(ひとやす)みなさいませ』
315青草(あをくさ)(しげ)田圃道(たんぼみち)をスタスタと(すす)()く。316高姫(たかひめ)()ぎしりし(なが)(うら)めし()二人(ふたり)姿(すがた)見送(みおく)つて()た。
317 シャルの()には(いま)(まで)寒風(かんぷう)()(すさ)枯野(かれの)(はら)()えて()たのに、318三千彦(みちひこ)()うてから其処(そこ)()一面(いちめん)春野(はるの)のやうになり、319(とり)(うた)ひ、320(はな)(にほ)光景(くわうけい)()()るやうになつた。321シャルは嬉々(きき)として三千彦(みちひこ)(あと)になり(さき)になり、322(きた)(きた)へと(すす)()く。
323大正一二・三・二五 旧二・九 於皆生温泉浜屋 加藤明子録)

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