霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二章 多数尻(たすうけつ)〔一四七七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第58巻 真善美愛 酉の巻 篇:第1篇 玉石混淆 よみ(新仮名遣い):ぎょくせきこんこう
章:第2章 多数尻 よみ(新仮名遣い):たすうけつ 通し章番号:1477
口述日:1923(大正12)年03月28日(旧02月12日) 口述場所:皆生温泉 浜屋 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
奥の一間には小国姫、ニコラス、三千彦ほか一同が打ち解けて神徳話に余念なく、茶をすすりながら懇親を結んでいる。そこへ門前が騒がしくなり、猛犬の叫び声が聞こえた。三千彦は悪酔怪員の暴動と見て、様子を見に表に駆け出した。
ニコラスはハンナを三千彦と共に向かわせた。すると三千彦が昼夜念頭を離れなかった恋しい師の君玉国別が、良友の真純彦、伊太彦とともにニコニコとして門内に入ってくるところに出くわした。
三千彦は声も出ないばかりに驚いた。伊太彦に呼びかけられてようやく三千彦は胸をなでおろし、涙を流しながら、一行に分かれてからバラモン教の聖場に入り込んで種々雑多の苦労をしたことを報告した。
玉国別はバラモン軍と悪酔怪員の同士討ちを鎮めなければと心配したが、ここはスマートに一任することにして、三千彦に案内されて館の奥の間に進んで行った。
バラモン軍の副官ハンナは部下たちが味方と戦闘しているのを見逃すわけにも行かず、驢馬にまたがって混戦の中に入り、声をからして鎮まるように下知を下した。この声に敵味方ともに水を打ったようにぴたっと戦闘は停止した。
スマートは駆けてきてワックス、エキス、ヘルマン、エルの四人を引き倒してハンナの前に引き出し来て、これらを縛れ、とワンワン吠えたてた。ハンナは四人を縛り上げて馬場の前の大杭にしばりつけた。悪酔怪員は弱きをくじき強気に従う会則を順守し、一人も残さずこそこそと家路についた。
トンクは驢馬にまたがり、十字街頭の鐘路に現れ、臆病風に吹かれた数多の男女を集めて一場の訓戒演説をはじめた。そして、三五教は三千彦に加えて三人の宣伝使が加わり、またニコラスも三五教と同盟した上に猛犬スマートが付いている以上、悪酔怪会則にしたがって降参して三五教側につくべきだと説いた。
多数決を取ったトンクに対し、人々を黒い尻をまくって否決の意を表した。そこへタンクが現れて金銀をまき散らし、自分を会長に推挙するよう人々に呼びかけた。タンクが新会長に選ばれ、トンクは副会長になりそこねてすごすとと姿を隠した。
タンクは強きについて三五教に従うのだと滑稽な歌を歌いながら、群衆の先頭に立って門内に進んで行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-04-12 12:55:14 OBC :rm5802
愛善世界社版:18頁 八幡書店版:第10輯 379頁 修補版: 校定版:19頁 普及版:7頁 初版: ページ備考:
001 (おく)一間(ひとま)には小国姫(をくにひめ)002ニコラス、003三千彦(みちひこ)004(その)(ほか)一同(いちどう)打解(うちと)けて神徳話(しんとくばなし)余念(よねん)なく、005(ちや)(すす)(なが)懇親(こんしん)(むす)んでゐる。
006 かかる(ところ)門前(もんぜん)(にはか)(さわ)がしく猛犬(まうけん)(さけ)(ごゑ)007合点(がてん)()かぬと(いづ)れも(みみ)(そばだ)てたが、008三千彦(みちひこ)一同(いちどう)(むか)ひ、
009三千(みち)(みな)さま、010どうやら悪酔怪(あくすゐくわい)(ゐん)暴動(ばうどう)()えます。011(わたし)一寸(ちよつと)調(しら)べて(まゐ)りますから()休息(きうそく)して()(くだ)さいませ』
012といひ()てて(おもて)()()す。
013 ニコラスはハンナに(めい)三千彦(みちひこ)(とも)表門(おもてもん)(むか)はしめた。014表門(おもてもん)()つて()れば三千彦(みちひこ)昼夜(ちうや)念頭(ねんとう)(はな)れざりし(こひ)しき()(きみ)玉国別(たまくにわけ)015良友(りやういう)真純彦(ますみひこ)016伊太彦(いたひこ)莞爾(にこにこ)として門内(もんない)(くぐ)(きた)るにパツと出会(でつくは)した。017三千彦(みちひこ)(たふ)れぬばかりに()(おどろ)きかつ(よろこ)び、018アツと()つたきり(しば)らくは言葉(ことば)()なかつた。
019伊太(いた)『やア、020(まへ)三千彦(みちひこ)ぢやないか。021(おれ)(たち)はお師匠(ししやう)(さま)(とも)に、022どれ()けお(まへ)(さが)して()つたか()れないのだ。023(ところ)もあらうにバラモン(けう)聖場(せいぢやう)(をさ)まりかへつて()るとは合点(がてん)()かぬ。024これは(なに)様子(やうす)があるのだらう。025さア(はや)くお師匠(ししやう)(さま)申上(まをしあ)げぬか』
026 三千彦(みちひこ)(むね)()(おろ)し、027(なみだ)(なが)(なが)ら、
028三千(みち)()師匠(ししやう)(さま)029よう無事(ぶじ)()(くだ)さいました。030貴方(あなた)所在(ありか)(たづ)ねむものと、031バラモン(けう)聖場(せいぢやう)()()み、032種々(しゆじゆ)雑多(ざつた)苦労(くらう)(いた)しました。033斯様(かやう)(ところ)でお()にかかるとは(まつた)(かみ)(さま)()引合(ひきあは)せで(ござ)います。034さア(おく)へお(とほ)(くだ)さいませ』
035玉国(たまくに)『あ、036三千彦(みちひこ)殿(どの)037まア結構(けつこう)だつたな。038随分(ずいぶん)吾々(われわれ)(さん)(にん)はお(まへ)()(うへ)(あん)じて()たのだ。039只今(ただいま)無事(ぶじ)(かほ)()て、040こんな(うれ)しい(こと)はない。041(しか)(この)(とほ)りバラモン(ぐん)無頼漢(ぶらいかん)との同士打(どうしう)ちが(はじ)まつてるが、042もとは吾々(われわれ)一行(いつかう)(たい)しての挑戦(てうせん)であつたが、043何時(いつ)()にか相手(あひて)(かは)つて味方(みかた)同士打(どうしう)ちとなつた。044(じつ)()(どく)だから(これ)一先(ひとま)鎮撫(ちんぶ)せなくてはなるまい。045(ゆつく)(おく)休息(きうそく)する(わけ)にも()かぬぢやないか』
046三千(みち)(けつ)して()心配(しんぱい)なさいますな。047スマートさまに一任(いちにん)して()けば大丈夫(だいぢやうぶ)ですよ。048アハハハハ』
049真純(ますみ)『うん、050そらさうだ。051吾々(われわれ)()(にん)宣伝使(せんでんし)よりも余程(よほど)神力(しんりき)(そな)はつて()るのだからな、052四足(よつあし)だつて(あんま)馬鹿(ばか)出来(でき)ぬぢやないか。053吾々(われわれ)はスマート大明神(だいみやうじん)のお(かげ)(いのち)(たす)かつたのだ。054アハハハハハ』
055(わら)(なが)三千彦(みちひこ)案内(あんない)されて(おく)()()して(すす)()る。
056 ハンナは部下(ぶか)兵士(へいし)無頼漢(ぶらいかん)()(みだ)れて(たたか)つて()るのを見逃(みのが)(わけ)にも()かず、057(ただ)ちに驢馬(ろば)(またが)両方(りやうはう)混戦(こんせん)(なか)()()つて(こゑ)()らし『(しづ)まれ(しづ)まれ』と(きび)しき下知(げち)(つた)へた。
058 (この)(こゑ)()くより敵味方(てきみかた)ともに(みづ)()つたる(ごと)くピタンと戦闘(せんとう)停止(ていし)された。059スマートは(たちま)()(きた)り、060ワックス、061エキス、062ヘルマン、063エルの()(にん)(さが)(もと)めて引倒(ひきたふ)し、064ハンナの(まへ)一々(いちいち)()(きた)りワンワンと(さけ)んで、065(これ)(しば)れよとの()(しめ)した。066ハンナは()(にん)手早(てばや)(ばく)()げ、067馬場(ばんば)(まへ)大杭(おほぐひ)にシカと(しば)りつけた。068(よわ)きを(くじ)(つよ)きに(したが)悪酔怪(あくすゐくわい)(ゐん)は、069会則(くわいそく)遵守(じゆんしゆ)して一人(ひとり)(のこ)さず、070コソコソと(おの)家路(いへぢ)(かへ)()く。071トンクは驢馬(ろば)(またが)つた(まま)072十字(じふじ)街頭(がいとう)鐘路(しようろ)(あら)はれ、073臆病風(おくびやうかぜ)(さそ)はれた数多(あまた)老若(らうにやく)男女(なんによ)(あつ)めて一場(いちぢやう)訓戒(くんかい)演説(えんぜつ)をはじめて()る。
074トンク『()一同(いちどう)(さま)(なか)には悪酔怪(あくすゐくわい)(ゐん)水平怪(すいへいくわい)(ゐん)も、075(その)()町内(ちやうない)有志(いうし)諸君(しよくん)()られますが、076よくまア会則(くわいそく)遵守(じゆんしゆ)し、077(いち)(にん)(のこ)らず退却(たいきやく)して(くだ)さいました。078(じつ)幹部(かんぶ)たる吾々(われわれ)は、079諸君(しよくん)行動(かうどう)(たい)し、080欣幸(きんかう)()(あた)はざる(ところ)(ござ)います。081今日(こんにち)(まで)神館(かむやかた)には(ただ)一人(ひとり)魔法使(まはふづかひ)三千彦(みちひこ)()大先生(だいせんせい)082(なら)びに求道(きうだう)居士(こじ)二人(ふたり)魔法使(まはふづかひ)083それ(ゆゑ)吾々(われわれ)一同(いちどう)比較(ひかく)すれば先方(せんぱう)弱者(じやくしや)(ござ)いました。084(しか)(なが)らもはや今日(こんにち)(あらた)(さん)(にん)魔法使(まはふづかひ)大先生(だいせんせい)()出現(しゆつげん)(あそ)ばされ、085(また)武器(ぶき)(たづさ)へたニコラスキャプテンが五十(ごじふ)兵士(へいし)引率(いんそつ)して(やかた)(かた)くお(まも)りになり、086三五教(あななひけう)魔法使(まはふづかひ)同盟(どうめい)(あそ)ばした(うへ)は、087(たちま)地位(ちゐ)転倒(てんたう)して先方(せんぱう)強者(きやうしや)となり、088吾々(われわれ)弱者(じやくしや)地位(ちゐ)()たねばならなくなりました。089(くは)ふるにスマートと()ふ、090あの猛犬(まうけん)大明神(だいみやうじん)中々(なかなか)強者(きやうしや)(ござ)います。091(しか)(なが)弱者(じやくしや)弱者(じやくしや)として独立(どくりつ)する(わけ)にはゆきませぬ。092会則(くわいそく)にある(とほ)り、093(よわ)きを(くじ)き、094(つよ)きに(したが)ふのが吾々(われわれ)本領(ほんりやう)(ござ)います。095それ(ゆゑ)吾々(われわれ)一同(いちどう)神館(かむやかた)(いた)(こころ)から帰順(きじゆん)(いた)し、096馬場(ばんば)(つな)ぎあるワックス(たち)大痛棒(だいつうぼう)(くは)天晴(あつぱれ)融通(ゆうづう)()かし、097三五教(あななひけう)(およ)びバラモン(ぐん)帰順(きじゆん)(まこと)(あら)はし、098()安全(あんぜん)(はか)るを(もつ)第一(だいいち)心得(こころえ)ます。099(みな)さまの()意見(いけん)如何(いかが)(ござ)いますか』
100(よば)はつた。101悪酔怪(あくすゐくわい)(ゐん)(はじ)め、102その()連中(れんちう)はトンクの詭弁(きべん)(いづ)れも感心(かんしん)し、103(いち)()もなく()()つて賛意(さんい)(へう)した。104トンクは(この)(てい)()威猛高(ゐたけだか)になり、
105トンク『(みな)さま、106早速(さつそく)()承知(しようち)107トンク()にとり満足(まんぞく)(ぞん)じます。108(つい)てはワックスの会長(くわいちやう)皆様(みなさま)より(めん)じ、109(あらた)強者(きやうしや)会長(くわいちやう)任命(にんめい)されむ(こと)希望(きばう)(いた)します。110その強者(きやうしや)とは(まを)(まで)もなく(わたし)はトンクだと(おも)ひます。111トンクに()賛成(さんせい)(かた)()()つて(くだ)さい。112不賛成(ふさんせい)(かた)(せな)()けて(しり)(まく)つて(くだ)さい。113何事(なにごと)多数決(たすうけつ)(ござ)いますから』
114 ()()つもの半分(はんぶん)115(しり)(まく)つて()をそむけるもの半分(はんぶん)116トンクは馬上(ばじやう)より(これ)(なが)めて、
117トンク『(みな)さま、118()()つて(くだ)さる(かた)半分(はんぶん)119(けつ)(まく)つて反対(はんたい)(へう)する(かた)半分(はんぶん)()えます。120これではハンケツがつきませぬ。121(なん)とか、122一度(いちど)(かんが)(なほ)して(いただ)()(ござ)います』
123 (この)(こゑ)(とも)今度(こんど)一人(ひとり)(のこ)らず(くろ)(しり)(まく)つてトンクの(はう)()けた。124さうして群集(ぐんしふ)(なか)より『(そく)ケツ()ケツ』と(さけ)ぶものがある。125トンクは馬上(ばじやう)より()ぎしりをし(なが)ら、
126トンク『エー、127尻太異(けつたい)(こと)だな』
128 ()かる(ところ)驢馬(ろば)(またが)りチヨク チヨクと(この)()(あら)はれ()たのはタンクであつた。129タンクはトランクの(くち)(ひら)き、130金銀(きんぎん)小玉(こだま)(つか)んでは()げ、131(つか)んでは()げ、
132タンク『(みな)さま、133(わたし)悪酔怪(あくすゐくわい)怪長(くわいちやう)候補者(こうほしや)(ござ)います。134(いま)黄白(くわうはく)()くの(とほ)()()らしますから十分(じふぶん)拾得(しふとく)競争(きやうさう)をやつて(くだ)さい。135拾得(しふとく)された(かた)(その)(かた)所有(しよいう)(ござ)います。136(その)(かは)神聖(しんせい)なる一票(いつぺう)(この)タンクにお(あた)(くだ)されむ(こと)希望(きばう)(いた)します』
137(つか)んでは()げ、138(つか)んでは()げ、139前後(ぜんご)左右(さいう)(こま)(すす)めて(のこ)らず万遍(まんべん)なく()()らして(しま)つた。140トンクも手早(てばや)(うま)から()り、141矢庭(やには)金銀(きんぎん)小玉(こだま)(ひろ)つては懐中(ふところ)につつ()み、142(ふたた)馬上(ばじやう)につつ()選挙(せんきよ)様子(やうす)観望(くわんばう)して()る。143タンクは全部(ぜんぶ)黄白(くわうはく)()()らし、144もはや()けたカンツも()くなつて()た。145タンクは馬上(ばじやう)より雷声(らいせい)()()げ、
146タンク『(みな)さま、147(わたし)怪長(くわいちやう)選挙(せんきよ)して(くだ)さいますまいか。148賛成(さんせい)(かた)()()つて(くだ)さい。149万一(まんいち)不賛成(ふさんせい)のお(かた)(しり)(まく)つて()一発(いつぱつ)手向(たむ)けて(いただ)()い。150何程(なにほど)(しり)(まく)られても、151()()ない(かた)賛成(さんせい)(みと)めます』
152とうまく孫呉(そんご)屁法(へいはふ)予防線(よばうせん)()つて(しま)つた。153ここに半分(はんぶん)()()半分(はんぶん)(しり)(まく)らず、154()()たず、155茫然(ばうぜん)として(ひか)へて()る。156タンクは怪訝(けげん)(かほ)して馬上(ばじやう)より様子(やうす)(うかが)つて()た。157(この)(とき)トンクはタンクの()いた金銀(きんぎん)馬上(ばじやう)より()せびらかし(なが)ら、
158トンク『(みな)さま、159最前(さいぜん)()()つて(くだ)さつたお(かた)(わたし)賛成者(さんせいしや)(みと)めます。160(いま)タンクさまに(たい)して()()たず、161(しり)()けない(かた)中立者(ちうりつしや)(みと)めます。162その(かた)(たい)して(この)黄白(くわうはく)(さん)ずる(かんが)へですから賛成(さんせい)(かた)()()つて(くだ)さい。163(いま)ここで()()らしますと、164二重取(にぢうど)りされると折角(せつかく)賛成者(さんせいしや)()()りませぬから、165(わたし)(たく)でお(わた)ししませう。166(すくな)くとも(せん)(りやう)(かね)はありますから(ひやく)(にん)分配(ぶんぱい)しても(じふ)(りやう)づつは(たしか)(ござ)います。167さア(いち)168()169(さん)(ねが)ひます』
170 今度(こんど)如何(どう)したものか、171一人(ひとり)(のこ)らず(しり)(まく)つて口屁(くちべ)をプウプウと()らして()る。172(なか)には(けつ)から(くろ)湿(しめ)つぽい輪廓(りんくわく)不完全(ふくわんぜん)(けむり)()()(やつ)(すこ)しはあつた。
173トンク『(しか)らば拙者(せつしや)副怪長(ふくくわいちやう)となり、174タンクさまを怪長(くわいちやう)(えら)んで(くだ)さい。175さうすれば双方(さうはう)(とも)(かほ)()ちますから』
176 大勢(おほぜい)(なか)から、
177『オーイ、178トンク、179貴様(きさま)(いま)()つてる(かね)(みんな)タンクさまの()いた(かね)だ。180副怪長(ふくくわいちやう)(にん)じて()しけりや(みな)バラ()くのだ。181そしたら副怪長(ふくくわいちやう)にしてやろう』
182トンク『成程(なるほど)(しか)らば(みな)さまに()()らしますから、183よう(ひろ)はない(ひと)運命(うんめい)だと(あきら)めて(くだ)さい。184()(かく)半数者(はんすうしや)以上(いじやう)賛成(さんせい)があれば()いのです』
185(ふところ)より(ひと)つも(のこ)らず()(いだ)し、186前後(ぜんご)左右(さいう)にまき()らして(しま)つた。187(この)潮時(しほどき)見済(みす)まし、188タンクは大音声(だいおんじやう)
189タンク『(みな)さま、190(わたし)怪長(くわいちやう)(えら)んで(くだ)さつた(こと)有難(ありがた)感謝(かんしや)します。191(なん)()つても運動費(うんどうひ)()くては今日(こんにち)()(なか)駄目(だめ)です。192墓標(ぼへう)議員(ぎゐん)事故(じこ)議員(ぎゐん)193妥協(だけふ)議員(ぎゐん)にならうと(おも)つても、194五万(ごまん)十万(じふまん)(かね)()時節(じせつ)ですから、195無一文(むいちもん)議員(ぎゐん)にならう(など)とは(あま)(むし)()すぎます。196(わたし)副怪長(ふくくわいちやう)なんかは必要(ひつえう)はないと(おも)ひます。197(くわん)(ため)(ひと)(えら)むのではなく、198(ひと)(ため)(くわん)(つく)ると()(こと)(もつと)不利益(ふりえき)()不経済(ふけいざい)199秩序(ちつじよ)紊乱(ぶんらん)端緒(たんちよ)(ひら)くもの(わたし)副怪長(ふくくわいちやう)必要(ひつえう)はないと(おも)ひます。200(みな)さま、201必要(ひつえう)(みと)めた(かた)()()つて(くだ)さい、202不必要(ふひつえう)(みと)めた(かた)は、203一度(いちど)(しり)(まく)つてトンクさまの(はう)()せて(くだ)さい。204それを(もつ)貴方(あなた)(がた)意志(いし)(あきら)かに(いた)します』
205 一同(いちどう)一人(ひとり)(のこ)らず真黒(まつくろ)(しり)(まく)つてトンクの(はう)(しり)をさし()け、206()叮嚀(ていねい)にピシヤ ピシヤと(くろ)臀肉(でんにく)(たた)いて()せた。207トンクはスゴスゴと驢馬(ろば)(しり)無性(むしやう)矢鱈(やたら)(たた)き、208業腹(ごふばら)()やして何処(どこ)ともなく姿(すがた)(かく)した。
209 これよりタンクは大勢(おほぜい)(まへ)()凱旋歌(がいせんか)(うた)(なが)神館(かむやかた)をさして()()んで()く。210大勢(おほぜい)擦鉦(すりがね)(たた)き、211(うた)(あは)せて拍子(ひやうし)をとり()いて()く。
212()ても悪酔怪(あくすゐくわい)(ゐん)
213(よわ)きを(くじ)強者(きやうしや)には
214(おそ)れて(したが)卑怯者(ひけふもの)
215平安(へいあん)無事(ぶじ)第一(だいいち)
216(つよ)(やつ)にはドツと()
217(よわ)(やつ)にはドツと()
218これが(いくさ)駆引(かけひき)
219チヤンチキ チヤンチキ チヤンチキチン
220いやいや(いくさ)のみでない
221万事(ばんじ)万端(ばんたん)その(とほ)
222どんな商売(しやうばい)(いた)しても
223(ちひ)さい(みせ)()(たふ)
224(ちひ)さい資本(しほん)会社(くわいしや)をば
225(かた)(ぱし)から()(たふ)
226(おほ)きな(やつ)には()()いて
227(しば)らく(しの)(とき)()
228いつとはなしに(つよ)くなり
229(おほ)きくなつたその(とき)
230(おの)所信(しよしん)貫徹(くわんてつ)
231世界(せかい)強者(きやうしや)(あが)められ
232優勝(いうしよう)劣敗(れつぱい)(たて)となし
233弱肉(じやくにく)強食(きやうしよく)(ぬき)として
234(この)()(わた)るが利口者(りこうもの)
235チヤンチキ チヤンチキ チヤンチキチン
236(かみ)(やかた)(あれ)ませる
237三五教(あななひけう)魔法使(まはふづかひ)
238三千彦(みちひこ)さまは(よわ)いとは
239()へど(その)(じつ)(つよ)(ひと)
240神変(しんぺん)不思議(ふしぎ)魔法(まはふ)をば
241使(つか)つて(われ)()(くる)しめつ
242何処(どこ)々々(どこ)(まで)もやり(とほ)
243こんなお(かた)(さか)らうて
244どうして(わが)()()つものか
245チヤンチキ チヤンチキ チヤンチキチン
246(よわ)きを(くじ)(つよ)きをば
247(たす)ける吾々(われわれ)怪員(くわいゐん)
248ワックス、エキス、ヘルマンや
249エルの(つかさ)(しへた)げて
250悪酔怪(あくすゐくわい)至誠(しせい)をば
251(あら)はし(やかた)立向(たちむか)
252そこはそれそれ都合(つがふ)よく
253(あたま)()げて胡麻(ごま)()
254()安全(あんぜん)(はか)るのだ
255こんな神謀(しんぼう)鬼策(きさく)をば
256もしもトンクが怪長(くわいちやう)なら
257どうして(ひね)()されよか
258智慧(ちゑ)(ふくろ)のタンクさま
259神謀(しんぼう)鬼策(きさく)妙案(めうあん)
260(むね)(ふくろ)にタンク(さん)
261(しま)つて(ござ)るぞ(みな)さまよ
262(こころ)丈夫(ぢやうぶ)()つが()
263チヤンチキ チヤンチキ チヤンチキチン
264(はや)くも馬場(ばんば)(ちか)づいた
265(みな)さま(こゑ)打揃(うちそろ)
266三五教(あななひけう)やバラモンの
267(かみ)(つかさ)万歳(ばんざい)
268ここから(とな)()げませう
269それに(つづ)いてスマートの
270(いぬ)大明神(だいみやうじん)万歳(ばんざい)
271三唱(さんしやう)(なが)(すす)みませう
272チヤンチキ チヤンチキ チヤンチキチン
273ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
274(かな)はぬから(かな)はぬから
275目玉(めだま)()()しましませよ
276朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
277(つき)()つとも()くるとも
278仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)むとも
279(つよ)きを(たす)(よわ)きをば
280(くじ)くが天地(てんち)道理(だうり)ぞや
281大魚(たいぎよ)小魚(せうぎよ)()(くら)
282大獣(たいじう)小獣(せうじう)()(くら)
283強者(きやうしや)弱者(じやくしや)(しへた)げる
284富者(ふうしや)貧者(ひんじや)をこき使(つか)
285役人(やくにん)さまは平民(へいみん)
286奴隷(どれい)(ごと)(あし)にかけ
287(あご)をしやくつて使(つか)ふのだ
288これが天地(てんち)道理(だうり)ぞや
289(かなら)(まよ)ふちやならないぞ
290チヤンチキ チヤンチキ チヤンチキチン』
291勝手(かつて)(ねつ)()悠々(いういう)として驢馬(ろば)(またが)り、292先頭(せんとう)()(はや)くも門内(もんない)(すす)()る。
293大正一二・三・二八 旧二・一二 於皆生温泉浜屋 北村隆光録)

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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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