霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第八章 孤島(こたう)〔一四八三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第58巻 真善美愛 酉の巻 篇:第2篇 湖上神通 よみ:こじょうじんつう
章:第8章 孤島 よみ:ことう 通し章番号:1483
口述日:1923(大正12)年03月28日(旧02月12日) 口述場所:皆生温泉 浜屋 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:99頁 八幡書店版:第10輯 407頁 修補版: 校定版:107頁 普及版:39頁 初版: ページ備考:
001テルモン湖水(こすい)真中(まんなか)
002(なみ)(ただよ)(ひと)(じま)
003全島(ぜんたう)(いはほ)(つつ)まれて
004(すこ)しばかりの笹草(ささぐさ)
005彼方(あなた)此方(こなた)点々(てんてん)
006(わづ)かに()えしツミの(しま)
007周回(しうくわい)一里(いちり)磯辺(いそばた)
008いつも荒波(あらなみ)()みつきて
009さも凄惨(せいさん)()()ちぬ
010そも(この)(しま)罪人(つみびと)
011(みづか)(いのち)(をは)るまで
012食物(しよくもつ)さへも(あた)へずに
013(なが)()つべき地獄(ぢごく)なり
014(この)鬼島(おにじま)(あら)はれし
015(あは)れな(ひと)磯辺(いそばた)
016逆捲(さかま)(なみ)()()みて
017(かひ)をば(ひろ)(かに)()
018(わづ)かに露命(ろめい)をつなぎつつ
019(ほね)(かは)とになり()てて
020(あたか)餓鬼(がき)(ごと)くなり
021(をり)から(きた)るバラモンの
022四五(しご)勇士(ゆうし)(ふね)()
023(かたへ)(おき)(とほ)(をり)
024(たちま)()()荒風(あらかぜ)
025無慙(むざん)(ふね)暗礁(あんせう)
026()()(たちま)ちパリパリと
027木端微塵(こつぱみぢん)船体(せんたい)
028打挫(うちくだ)きたる(かな)しさに
029五人(ごにん)(をとこ)はツミの(しま)
030目当(めあて)(やうや)(およ)()
031二人(ふたり)(みづ)()まれつつ
032どこともなしに(かく)れける
033(あと)(のこ)りし三人(さんにん)
034ハール、ヤッコス、サボールの
035バラモン(けう)()(たか)
036(あら)くれ(をとこ)のヤンチヤ(もの)
037(やうや)くここに()()れば
038殺人罪(さつじんざい)(かど)により
039(この)ツミ(じま)()てられし
040ダルとメートの両人(りやうにん)
041(いはほ)(あな)()(ひそ)
042(ころも)()けず真裸(まつぱだか)
043(ひげ)蓬々(ばうばう)(さる)(ごと)
044(かみ)(とんび)()(やう)
045(もつ)れからみし穴棲居(あなずまゐ)
046かかる(ところ)(ふね)()
047(ただよ)(きた)りし三人(さんにん)
048()第一(だいいち)食糧(しよくりやう)
049(さぐ)らむものと磯辺(いそばた)
050彼方(かなた)此方(こなた)(さが)せども
051()せては(かへ)荒波(あらなみ)
052(あや)ふき(さま)辟易(へきえき)
053(むな)しき(はら)(かか)へつつ
054(しま)遠近(をちこち)ウロウロと
055(たづ)逍遙(さまよ)(やうや)くに
056(この)岩窟(がんくつ)見付(みつ)()
057二人(ふたり)(をとこ)姿(すがた)をば
058()るより(はや)三人(さんにん)
059(この)罪人(ざいにん)打殺(うちころ)
060当座(たうざ)(ゑじき)にせむものと
061(かほ)見合(みあは)して(いや)らしく
062(ゑみ)(もら)すぞ(おそ)ろしき。
063 三人(さんにん)(をとこ)(やうや)(この)(しま)(いのち)からがら辿(たど)()いた。064往来(ゆきき)(ふね)(すくな)く、065いつ(まで)()つても大陸(たいりく)(かへ)見込(みこみ)がない。066(やま)一面(いちめん)(いは)だらけで(くさ)()()つて()(こと)もならず、067磯辺(いそばた)(かひ)(かに)(あさ)らむとすれども、068ここは殊更(ことさら)湖中(こちう)(なみ)(あら)(ところ)069到底(たうてい)一匹(いつぴき)(かに)一芥(いつかい)(かひ)()()れる(こと)出来(でき)ぬ。070三人(さんにん)餓死(がし)する(ほか)なき破目(はめ)(おちい)つた。071(なに)獲物(えもの)もがなと、072彼方(あなた)此方(こなた)(ちひ)さき(しま)(くま)なく(さが)(まは)り、073(やうや)(この)岩窟(いはや)(なか)二人(ふたり)罪人(ざいにん)(やせ)こけて(しの)んで()るのに()がついた。074三人(さんにん)空腹(くうふく)()()(この)二人(ふたり)(をとこ)当座(たうざ)(ゑじき)にせむものと(おそ)ろしき(こころ)(おこ)し、075二人(ふたり)(まへ)にツカツカと立寄(たちよ)り、076矢庭(やには)一人(ひとり)引掴(ひつつか)み、077双方(さうはう)より(りやう)(うで)(もつ)てメリメリと(ちから)(かぎ)りにむしり()らうとした。078一人(ひとり)(をとこ)岩窟(いはや)(かく)しあつた鋭利(えいり)石刀(いしがたな)(ふる)つて一人(ひとり)(とも)(すく)はむと立向(たちむか)ふた。079三人(さんにん)(この)権幕(けんまく)(おそ)れてパツと()(はな)した途端(とたん)に、080さしもに険峻(けんしゆん)岩山(いはやま)(うさぎ)(ごと)()(のぼ)り、081頭上(づじやう)より岩石(がんせき)(かけ)(ひろ)つては三人(さんにん)目蒐(めが)けて()げつける。082三人(さんにん)()むを()ず、083(この)危険(きけん)(まぬが)れむために二人(ふたり)(ひそ)んで()岩窟(いはや)(なか)()(かく)した。084二人(ふたり)(をとこ)は、085最早(もはや)三人(さんにん)人喰(ひとく)人種(じんしゆ)()()(おろ)数多(あまた)岩石(がんせき)()たれて一人(ひとり)(のこ)らず(たふ)れたるならむ、086久振(ひさしぶ)りにて人肉(にんにく)(あたたか)(やつ)鱈腹(たらふく)()つて元気(げんき)をつけむものと色々(いろいろ)(まは)(みち)して、087(やや)(ゆる)山腹(さんぷく)(くだ)磯辺(いそばた)(つた)ふて(わが)(すま)ひたる岩窟(いはや)(そば)()つて()た。088()れば三人(さんにん)(すこ)しの怪我(けが)もなく(あな)(なか)鼎坐(かなへざ)となつて胡床(あぐら)をかき、089何事(なにごと)(はなし)して()る。090二人(ふたり)はこれを()るより『やア、091まだピチピチして()る。092こりや大変(たいへん)だ』と磯端(いそばた)(つた)ひ、093一生懸命(いつしやうけんめい)()(いだ)す。094その足音(あしおと)にハツと()がつき三人(さんにん)は『さア、095(いま)(うち)取掴(とつつか)まへて口腹(こうふく)()たさむもの』と一生懸命(いつしやうけんめい)二人(ふたり)(あと)()ふた。096二人(ふたり)小石(こいし)(ひろ)()げつけ(なが)()げて()く。097三人(さんにん)は『(おの)()がしてなるものか、098(やま)()げては大変(たいへん)』と一生懸命(いつしやうけんめい)()ふて()く。099メート、100ダルの両人(りやうにん)磯端(いそばた)(せう)()てた(やう)(いは)(まへ)()(まく)られ、101進退(しんたい)(これ)(きは)まり、102死物狂(しにものぐるひ)となつて三人(さんにん)(むか)()みついた。103ここに三人(さんにん)空腹者(くうふくしや)と、104(やせ)(なが)(かに)(かひ)(はら)(こしら)へ、105饑餓(きが)()れて()二人(ふたり)(をとこ)()んず()まれつ、106磯端(いそばた)餓鬼同士(がきどうし)大活劇(だいくわつげき)(えん)じて()る。
107 玉国別(たまくにわけ)()れる(ふね)四五丁(しごちやう)(ばか)(おき)(はう)白帆(しらほ)(かぜ)(はら)ませ(なが)(はし)つて()る。108(へさき)()つて()伊太彦(いたひこ)不思議(ふしぎ)(しま)湖中(こちう)()かんで()ると、109よくよく()れば磯端(いそばた)四五人(しごにん)(をとこ)明瞭(はつき)(わか)らねど、110(なに)格闘(かくとう)をやつてる(やう)()える。111(ただ)ちに苫葺(とまぶき)(なか)(もぐ)()み、
112伊太(いた)『もし先生(せんせい)113彼処(あそこ)不思議(ふしぎ)(しま)(うか)んで()ます。114そして人間(にんげん)(かげ)らしい(もの)磯端(いそばた)大喧嘩(おほげんくわ)をして()(やう)ですが一寸(ちよつと)御覧(ごらん)なさいませ』
115玉国(たまくに)『うん、116大方(おほかた)有名(いうめい)なツミの(しま)(そば)近寄(ちかよ)つて()たのだらう、117彼処(あこ)には大罪人(だいざいにん)押込(おしこ)めてあると()(こと)だ、118可憐(かはい)さうなものだな』
119伊太(いた)『どうでせう、120(ひと)(ふね)()せて罪人(ざいにん)ならば(なほ)(こと)121大神様(おほかみさま)(をしへ)()(さと)し、122(たす)けてやらうぢやありませぬか。123現在(げんざい)(ひと)難儀(なんぎ)()(とほ)()すと()(こと)吾々(われわれ)宣伝使(せんでんし)(つと)めでは(ござ)いますまいがな』
124玉国(たまくに)『うん、125さうだ。126(たす)けてやりたいものだ。127おい船頭(せんどう)128どうか()(しま)(ふね)()けて()れまいか』
129船頭(せんどう)一人(ひとり)『はい、130(おほ)せとあれば(ちか)(まで)(ふね)()せて()ませうが、131彼処(あそこ)には大変(たいへん)悪人(あくにん)ばかりで、132うつかり(ふね)でも()せやうものなら()はれて(しま)ひますよ。133先繰(せんぐ)先繰(せんぐ)(おく)られて()(やつ)食物(しよくもつ)がない(ため)134(よわ)(やつ)から()はれて(しま)ひ、135(あと)(のこ)つて()(やつ)()にも(あし)にも()はぬ人鬼(ひとおに)ばかりだと()(こと)です。136上陸(じやうりく)さへなさらねば(ちか)(まで)(ふね)()せて()ませう』
137 伊太彦(いたひこ)(また)もや舷頭(げんとう)()(あら)はれ、
138伊太(いた)『おい、139船頭(せんどう)大変(たいへん)活劇(くわつげき)(えん)ぜられて()(やう)だ。140(ひと)見物(けんぶつ)して()かうぢやないか』
141船頭(せんどう)『そんなら(ちか)くまで()せて()ませう。142随分(ずいぶん)(おそ)ろしい(ところ)ですよ』
143()(なが)八挺櫓(はつちやうろ)()いで()()(ごと)(しま)近辺(きんぺん)まで(ふね)()せた。144(しま)(ちか)四五十間(しごじつけん)(あひだ)は、145どうしたものか非常(ひじやう)(なみ)(たか)()暗礁(あんせう)点綴(てんてつ)して(じつ)危険(きけん)(きは)まる場所(ばしよ)である。146船頭(せんどう)(たくみ)暗礁(あんせう)をくぐり、147(やうや)くにして十間(じつけん)ばかり磯端(いそばた)手前(てまへ)(ちか)づいた。148五人(ごにん)(をとこ)(いづ)れもヘタヘタになつて(いき)()()えに(たふ)れて()る。
149玉国(たまくに)『やア、150船頭(せんどう)151御苦労(ごくらう)だがソツと(ふね)()けて()れ。152どうやら五人(ごにん)(をとこ)(たがひ)(あらそ)ふた結果(けつくわ)153(いき)()()えになつてる(やう)だ。154(なん)とかして(たす)けてやらねばならぬ』
155船頭(せんどう)『もし、156客様(きやくさま)157あの(やう)(もの)(たす)けやうものなら大変(たいへん)158此方(こちら)罪人(ざいにん)になり、159(この)(しま)数多(あまた)兵士(へいし)(おく)られて永遠(えいゑん)()てられねばなりませぬ。160それはお()しになつたが(よろ)しう(ござ)いませう』
161玉国(たまくに)(なに)162(かま)ふものか。163(ひと)難儀(なんぎ)()吾々(われわれ)見逃(みのが)(わけ)には()かぬ。164さア(はや)(ふね)()けて()れ。165万一(まんいち)(まへ)(ふね)()けた(ため)166罪人(ざいにん)になる(やう)(こと)があつたら、167(わし)弁解(べんかい)してやらう。168そして屹度(きつと)(たす)けるから安心(あんしん)して磯端(いそばた)()せて()れ』
169船頭(せんどう)一人(ひとり)『そんなら(おほ)せに(したが)ひ、170()(かく)(ふね)()けて()ませう』
171(やや)湾形(わんけい)になつた(なみ)(ひく)岩蔭(いはかげ)(ふね)()せた。172ここに船頭(せんどう)(ふね)(かた)磯端(いそばた)(いは)(しば)りつけ、173(なみ)(さら)はれて漂流(へうりう)する(うれ)ひなき(やう)174幾筋(いくすぢ)(つな)()いて(つな)ぎつけた。
175 玉国別(たまくにわけ)一行(いつかう)磯端(いそばた)(つた)(なが)ら、176五人(ごにん)(たふ)れて()(そば)荒石(あらいし)()()()()(すす)()つた。177五人(ごにん)宣伝使(せんでんし)姿(すがた)(なが)めて怪訝(けげん)(かほ)して()る。
178 伊太彦(いたひこ)()五人(ごにん)(そば)()り、
179伊太(いた)『お前達(まへたち)五人(ごにん)()んな(はな)(じま)(なに)をして()るのだ。180()れば各自(めいめい)(かほ)から()()して()るぢやないか。181斯様(かやう)(しま)(つみ)あつて(なが)された(うへ)は、182(たがひ)仲良(なかよ)(くら)したら如何(どう)だ』
183 バラモン(ぐん)のヤッコスはムクムクと()(あが)り、184(かほ)血糊(ちのり)()にて(ぬぐ)(なが)ら、
185ヤッコス『(わたくし)はハルナの(みやこ)大黒主様(おほくろぬしさま)から(ある)使命(しめい)()びて(この)湖水(こすい)(わた)り、186(きた)(むか)つて(すす)(をり)しも暴風(ばうふう)()暗礁(あんせう)衝突(しようとつ)船体(せんたい)木端微塵(こつぱみぢん)となり、187二人(ふたり)同僚(どうれう)逆巻(さかま)(なみ)()まれ行衛不明(ゆくゑふめい)となり、188吾々(われわれ)三人(さんにん)(この)(しま)(やうや)漂着(へうちやく)(いた)しました。189(べつ)(あや)しいものでは(ござ)いませぬから、190何卒(どうぞ)(たす)けを(ねが)ひます』
191メート『貴方(あなた)神様(かみさま)のお使(つかひ)()えますが、192何卒(どうぞ)(わたし)()二人(ふたり)をお(たす)(くだ)さいませ。193(この)三人(さんにん)二時(ふたとき)ばかり以前(いぜん)此処(ここ)漂着(へうちやく)し、194吾々(われわれ)二人(ふたり)(いのち)をとり、195餌食(ゑじき)にせむと()()けますので、196()()(うしな)死物狂(しにものぐるひ)となつて(ふせ)(たたか)ふて()ましたが、197最早(もはや)(ちから)()()(あし)()(こと)()かなくなりました。198何卒(なにとぞ)(あは)れに(おも)(いのち)をお(たす)(ねが)ひます。199そして三人(さんにん)何処(どこ)かへ()れてお(かへ)(くだ)さいませ。200斯様(かやう)人喰人種(ひとくひじんしゆ)(この)(しま)()りましては吾々(われわれ)(たま)りませぬから』
201(いや)らしい()()した()から(なみだ)をハラハラと(なが)水鼻汁(みづばな)()らして(かな)しげに(たの)()る。
202 玉国別(たまくにわけ)船中(せんちう)(たくは)へあるパンを()(いだ)し、203言葉(ことば)(やさ)しく五人(ごにん)()らせ、204()種々(いろいろ)一同(いちどう)(こころ)()めて介抱(かいはう)した。205五人(ごにん)はパンを(あた)へられ、206(また)久振(ひさしぶ)りでダル、207メートは真水(まみづ)(あた)へられ、208(うれ)()きに()(なが)ら、209一生懸命(いつしやうけんめい)()(あは)せて(をが)(たふ)して()る。
210 三千彦(みちひこ)211デビス(ひめ)言葉(ことば)(やさし)五人(ごにん)(いたは)り、212(あし)(よわ)つたものは()()き、213(あるひ)(かた)にかけ(など)して()(きた)りし(ふね)(そば)(ちか)(いざな)(きた)り、214各自(めいめい)五人(ごにん)(からだ)()(やう)にして(ふね)(なか)(すく)()れ、215(よこ)()させ(また)もや()(あげ)(みなみ)(みなみ)へと(すす)()く。
216 真純彦(ますみひこ)舷頭(げんとう)()(うた)(うた)ふ。217三千彦(みちひこ)218伊太彦(いたひこ)(ふなばた)(たた)いて(いさぎよ)拍子(ひやうし)()る。
219真純彦(ますみひこ)『テルモン湖水(こすい)真中(まんなか)
220(なみ)()びつつ()()てる
221()(おそ)ろしきツミの(しま)
222人喰人種(ひとくひじんしゆ)()らねども
223五人(ごにん)姿(すがた)()るよりも
224いとど(あは)れを(もよほ)して
225見捨(みす)()ねたる(わが)一行(いつかう)
226(あやふ)暗礁(あんせう)(くぐ)りぬけ
227(やうや)(ふね)磯端(いそばた)
228(つな)ぎてここに上陸(じやうりく)
229五人(ごにん)(をとこ)相救(あひすく)
230目無堅間(めなしかたま)(ふね)()
231(をり)から()()順風(じゆんぷう)
232()(はら)ませて(なみ)(うへ)
233(ふね)(すべ)らして(すす)()
234如何(いか)なる(つみ)(をか)せしか
235(こと)次第(しだい)()らねども
236(ひと)天地(てんち)分霊(わけみたま)
237ムザムザ(ころ)すものならず
238バラモン(ごく)(おきて)とし
239罪人(ざいにん)なりと(にく)しみて
240(とり)(かよ)はぬ(この)(しま)
241(つれ)なく()てて自滅(じめつ)をば
242()たすと()ふは(なん)(こと)
243(あき)()てたる制度(せいど)なり
244(かみ)(おもて)(あら)はれて
245如何(いか)なる(つみ)()(なほ)
246(あし)(こころ)(おこな)ひを
247(あらた)めしめて天国(てんごく)
248神苑(みその)(すく)三五(あななひ)
249(かみ)(をしへ)宣伝使(せんでんし)
250(こころ)(やす)かれメート、ダル
251二人(ふたり)()()三五(あななひ)
252(かみ)(つかさ)(あづか)りて
253()安全(あんぜん)何処(どこ)(まで)
254(こころ)()めて(まも)るべし
255さはさり(なが)両人(りやうにん)
256今日(けふ)(さかひ)村肝(むらきも)
257(こころ)(そこ)より(あらた)めて
258(あく)虚偽(きよぎ)との(おこな)ひを
259一時(いちじ)(はや)悔悟(くわいご)して
260(まこと)(みち)(かな)へかし
261(かみ)(なんぢ)(とも)にあり
262(かみ)(まか)せし(ひと)()
263()(おそ)るべきものはなし
264ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
265(かみ)(めぐ)みを朝夕(あさゆふ)
266(こころ)(ふか)(きざ)()
267(つか)(あひだ)(わす)れなよ
268朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
269(つき)()つとも()くるとも
270荒波(あらなみ)(たけ)(くる)ふとも
271仮令(たとへ)神船(みふね)(かへ)るとも
272仁慈(じんじ)(かみ)()(かぎ)
273(おそ)るる(こと)はあらざらめ
274(いさ)めよ(いさ)(みな)(いさ)
275バラモン(ぐん)(つか)へたる
276ヤッコス、ハール、サボールよ
277(なんぢ)(いま)より(こころ)をば
278よく(あらた)めて三五(あななひ)
279(まこと)(をしへ)()くがよい
280(なんぢ)()三人(さんにん)(つき)(くに)
281大黒主(おほくろぬし)(めい)()
282これの湖水(こすい)(わた)りしは
283三五教(あななひけう)神軍(しんぐん)
284途中(とちう)()ひとめ進路(しんろ)をば
285(さまた)げせむとの(たく)みぞと
286吾等(われら)(はや)くも(さと)りけり
287さはさりながら()(なか)
288(てき)もなければ(あだ)もない
289天地(てんち)(あひだ)(ひと)となり
290(おな)月日(つきひ)(ひかり)をば
291()びて(この)()にある(かぎ)
292(たがひ)(たす)(むつ)()
293(まこと)(ひと)つを(たて)として
294(たがひ)()()現世(うつしよ)
295(たの)しく(うれ)しく面白(おもしろ)
296(わた)るが(ひと)(つと)めぞや
297(かなら)(あく)(まよ)ふなよ
298三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
299(かみ)(つかさ)真純彦(ますみひこ)
300荒波(あらなみ)(たけ)(うみ)(うへ)
301(かみ)(かは)りて()(さと)
302ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
303御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
304(うた)(なが)船底(せんてい)にコトコトと(つづみ)()たせ(なが)際限(さいげん)なき湖上(こじやう)(すべ)()く。
305大正一二・三・二八 旧二・一二 於皆生温泉浜屋 北村隆光録)