霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 誤霊城(ごれいじやう)〔一八一〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第64巻下 山河草木 卯の巻下 篇:第1篇 復活転活 よみ:ふっかつてんかつ
章:第4章 第64巻下 よみ:ごれいじょう 通し章番号:1810
口述日:1925(大正14)年08月19日(旧06月30日) 口述場所:丹後由良 秋田別荘 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年11月7日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm64b04
愛善世界社版:47頁 八幡書店版:第11輯 513頁 修補版: 校定版:48頁 普及版:63頁 初版: ページ備考:
001 お(はな)(ただ)一人(ひとり)002()(まる)掛軸(かけぢく)(まへ)暗祈黙祷(あんきもくたう)(なが)ら、003両眼(りやうがん)から(あめ)(ごと)(なみだ)をたらし、004聖地(せいち)宣伝(せんでん)予期(よき)した(ごと)くに()かず、005(いま)だに一人(ひとり)信徒(しんと)出来(でき)矢先(やさき)006(とら)007守宮別(やもりわけ)在所(ありか)(わか)らなくなつたので、008(ふと)吐息(といき)()らしてゐると、009そこへ受付(うけつけ)のヤクが(あわた)だしく(かへ)(きた)り、
010『コレもし、011(はな)さま、012(はな)さま』
013何回(なんくわい)矢継早(やつぎばや)()ばはれ(ども)014(はな)はキヨロリとヤクの(かほ)見乍(みなが)ら、015素知(そし)らぬ(かほ)をしてゐる。
016『もしお(はな)さま、017これ(だけ)(わたし)()んでゐるのに、018なぜ返事(へんじ)をして(くだ)さらぬのですか、019(つんぼ)になられたのですか、020(あま)(ひど)いぢやありませぬか』
021『ソンナ(ひと)()ないよ』
022とプリンと(よこ)()く。
023『ハヽヽハア、024コリヤ ヤクが(わる)かつた。025竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)さまの生宮様(いきみやさま)026あやめの花子(はなこ)殿(どの)027一寸(ちよつと)こつちやを()いて(くだ)さい』
028『お(まへ)はヤクかい。029(なん)(よう)だなア』
030とすましてゐる。
031(なん)(よう)もかんの(よう)もありますかいな。032乙姫(おとひめ)さまは()出神(でのかみ)生宮(いきみや)さまの所在(ありか)()れないのに、033(なに)して(ござ)るのですか』
034(なに)もして()ないよ。035おつつけ(かへ)つて(ござ)るといふ御神示(ごしんじ)があつたから、036(あま)(あわ)てるには(およ)びませぬワイ。037チトお(まへ)さまも(おち)つきなさい。038ここの受付(うけつけ)になつてから、039(ほとん)一年(いちねん)にも()りますが、040月給(げつきふ)()(ばか)りで、041一人(ひとり)信者(しんじや)出来(でき)たでなし、042(わたし)だつて(こま)るぢやないか、043(ちつ)活動(くわつどう)して(くだ)さいな。044生宮様(いきみやさま)悪者(わるもの)(さら)はれて()かれるのを()()(なが)ら、045(たす)けにも()かぬといふやうな、046ヤクザ人足(にんそく)のヤクさまには、047もう竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)相手(あひて)にはなりませぬワイな』
048(わたし)此処(ここ)受付(うけつけ)になつてから、049(あま)(ひま)なので、050これでは(たま)らないと(おも)ひ、051エルサレムの町中(まちぢう)(ある)いて紳士紳商(しんししんしやう)一々(いちいち)訪問(はうもん)し、052ウラナイ(けう)宣伝(せんでん)をやり、053生宮様(いきみやさま)御威徳(ごゐとく)(さか)んに吹聴(ふいちやう)して()ります。054(いづ)れも一旦(いつたん)感心(かんしん)して、055一辺(いつぺん)(はなし)()きたい、056(その)(うへ)信者(しんじや)になり()いなどと、057異口同音(いくどうおん)(わたし)(かほ)(めん)じて賛成(さんせい)しては(くだ)さいますが、058(なに)しろ生宮様(いきみやさま)脱線(だつせん)がひどいので、059何時(いつ)駄目(だめ)になつて(しま)ふのですよ。060神様(かみさま)なら神様(かみさま)らしう、061何時(いつ)もチヤンと霊城(れいじやう)立籠(たてこ)もつて、062(こゑ)なくして(ひと)()ぶといふ態度(たいど)をお()りになつて()れば()いのに、063フンゾ(くら)ひの、064ドブ(ざけ)()みの守宮別(やもりわけ)()れて、065アトラスの(やう)(つら)をして、066徳利(とくり)をブラ()げた(やう)(けつ)をして、067市中(しちう)をブラつかれるものだから、068あのスタイルでは、069どうも尊敬(そんけい)(こころ)(おこ)らない。070そして()(こと)徹底(てつてい)してゐないから、071(えう)するに()出島(でじま)気違(きちがひ)だらうといふ(うはさ)()つて、072(たれ)()くものがありませぬ(わい)073毎日(まいにち)日日(ひにち)074かう受付(うけつけ)にチヨコナンとコマ(いぬ)のやうに(すわ)つて()つても(よう)()し、075ダンジヤコを(なら)べた(やう)筆先(ふでさき)(うつ)さして(もら)うて()つても、076(あま)有難(ありがた)くはありませぬがな。077(まへ)さまも、078ようマア、079あんな生宮(いきみや)さまと一緒(いつしよ)にこんな(ところ)(まで)やつて()て、080()(いや)にならぬ(こと)ですな』
081『コレ、082ヤクさま、083(まへ)(なん)といふ勿体(もつたい)ない(こと)をいふのだい、084どうも(みたま)因縁(いんねん)のない(もの)仕方(しかた)のない(もの)だなア。085あんな立派(りつぱ)救世主(きうせいしゆ)が、086(まへ)さまも矢張(やつぱ)世間並(せけんなみ)(わる)()えるのかいな』
087『ハイ、088何程(なにほど)贔屓目(ひいきめ)にみても、089普通(あたりまへ)人間(にんげん)とより()えませぬわ。090第一(だいいち)仰有(おつしや)(こと)(すぢ)()つてゐませぬもの。091教義(けうぎ)支離(しり)滅裂(めつれつ)(つか)まへ(どころ)()くつて、092既成(きせい)宗教(しうけう)(はう)が、093どれ(だけ)立派(りつぱ)だか()れませぬよ。094(わたし)(この)(あひだ)からいろいろと就職口(しうしよくぐち)(かんが)へて()りましたが、095半気違(はんきちがひ)生宮(いきみや)さま(とこ)()つた(もの)だからといつて、096だアれも使(つか)つてくれないのです。097それで()むを()ず、098不快(ふくわい)不快(ふくわい)でたまらないのを、099辛抱(しんばう)して()るのです。100(しか)(なが)ら、101(つまづ)(いし)(えん)のはしとやら、102(えん)あればこそ生宮様(いきみやさま)のお(そば)御用(ごよう)出来(でき)たものだと(おも)ひ、103昨夜(ゆうべ)昨夜(ゆうべ)とて、104(とら)さまの危難(きなん)(すく)ふべく、105会計(くわいけい)(かね)六十円(ろくじふゑん)()()してお(とら)さまを(たす)ける工夫(くふう)をしたのですよ。106(その)六十円(ろくじふゑん)(かね)()かつて()ろうじ、107生宮(いきみや)さまは(その)()袋叩(ふくろだだ)きに()ひ、108半死半生(はんしはんしやう)になつて()られるかも()れませぬよ。109夜前(やぜん)トツクにお(かへ)りの(はず)だのに、110まだ(かへ)つてゐられぬのは、111チツト不思議(ふしぎ)ですなア』
112『ヘン、113()()へます(わい)114(げん)生宮(いきみや)さまがアラブに()(つか)まへられた(とき)115(まへ)さまはジツとして()()つたぢやないか。116そんな(うそ)()つても、117(わたし)がチヤンと()()りますぞや』
118乙姫(おとひめ)さま……だつて、119ジツとして()(ござ)つたぢやありませぬか。120神様(かみさま)でさへ手出(てだ)しのできぬ乱暴者(らんばうもの)に、121どうしてヤクが手出(てだ)しが出来(でき)ませうぞ。122(その)(とき)事情(じじやう)をマア()いて(くだ)さい。123さうすれば(わたし)忠勤振(ちうきんぶり)がチツトは(わか)るでせう』
124『ヘン、125おいて(もら)ひませうかい、126現在(げんざい)()(まへ)主人(しゆじん)危難(きなん)見乍(みなが)ら、127()(あし)()()さぬクセに、128忠勤振(ちうきんぶる)なぞと(ねづみ)(わら)ひますぞや。129(この)(うへ)文句(もんく)があるなら()つて御覧(ごらん)
130『あります(とも)131真面目(まじめ)()いて(くだ)さい。132今夜(こんや)はキリストの聖日(せいじつ)でもあり、133僧院(そうゐん)ホテルで大演説会(だいえんぜつくわい)があり、134生宮(いきみや)さまも大々的(だいだいてき)獅子吼(ししく)をなさるといふ(こと)()いて()つたので、135万一(まんいち)(おもんばか)り、136警戒(けいかい)(にん)(あた)つて()りますと、137生宮様(いきみやさま)衆人(しうじん)環視(くわんし)(まへ)で、138ブラバーサさまを(ののし)り、139言語道断(ごんごどうだん)(こと)仰有(おつしや)るので、140日頃(ひごろ)ブラバーサさまを信頼(しんらい)してゐる信者連(しんじやれん)(はら)()て、141あの気違婆(きちがひばば)をやツつけてやらうかと、142(わたし)()るとは()らずに、143コソコソ相談(さうだん)をやつてゐますので、144此奴(こいつ)アたまらぬ、145(なん)とかして生宮(いきみや)さまを(たす)()さねばなるまいと、146(かたはら)()ればアラブが三人(さんにん)()つたので、147ソツと(かね)をわたし、148一時(いちじ)どつかへ生宮(いきみや)(かく)してくれと()つた(ところ)149アラブは早速(さつそく)(うなづ)いて、150あの(とほ)りお二人(ふたり)危急(ききふ)(すく)つたのです。151(ゆふ)べの(さわ)ぎで市中(しちう)(やかま)しい(うはさ)()ち、152警察(けいさつ)活動(くわつどう)となつて()(さう)ですから、153一時(いちじ)生宮(いきみや)さまもイキリぬきにどつかへ遊覧(いうらん)()つてゐられるのでせう。154これでも(わたし)忠勤振(ちうきんぶり)(わか)りませぬかなア』
155『ても(さて)も、156()んといふ下手(へた)(こと)をするのぢやいな。157何程(なにほど)ブラバーサの信者(しんじや)手荒(てあら)(こと)をせうと(おも)つても、158生宮様(いきみやさま)御神徳(ごしんとく)には歯節(はぶし)()ちませぬぞや。159それに猶更(なほさら)160立派(りつぱ)警察(けいさつ)もあり、161人目(ひとめ)もあるのだから、162そんな心配(しんぱい)御無用(ごむよう)だ、163(まへ)さまは(なが)らく生宮様(いきみやさま)(そば)()つて、164あれ(だけ)御神徳(ごしんとく)(わか)らないのかな、165ホンに(めくら)(つんぼ)といふ(もの)仕方(しかた)のない(もの)だなア』
166『もし、167(はな)さま、168イヤ、169ドツコイ、170竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)さま、171(あま)盲々(めくらめくら)といふて(くだ)さいますな、172御神徳(ごしんとく)程度(ていど)()つて()ればこそ、173(わたし)(あん)じて、174ああいふ手段(しゆだん)()つたのですよ、175乙姫(おとひめ)さまは()()さまの御神力(ごしんりき)(かひ)かぶつて()りますな』
176『かもうて(くだ)さるな、177(まへ)さま()のやうな子供(こども)(わか)つてたまるかな。178(だい)それた、179大枚(たいまい)六十円(ろくじふゑん)(かね)をアラブにやるなぞと、180(たれ)許可(きよか)()支出(ししゆつ)したのだえ。181生宮(いきみや)さまも乙姫(おとひめ)(ゆる)した(おぼ)えはありませぬぞや。182(その)(かね)こちらへ(かへ)して(くだ)さい、183(かへ)すことが出来(でき)にや(この)月分(つきぶん)来月分(らいげつぶん)とで勘定(かんぢやう)する。184(まへ)さまは受付(うけつけ)だ、185支払(しはら)(やく)(めい)じて()(はず)だ。186委托金費消罪(いたくきんひせうざい)(うつた)へませうか』
187(ふた)()には法律(はふりつ)をかへるとか、188警察(けいさつ)もいらぬよにするとか仰有(おつしや)るクセに、189(ねこ)がクシヤミしたやうな(こと)でも警察(けいさつ)(うつた)へるのですか、190(なん)とマア(えら)神様(かみさま)ですな。191(まへ)さまは最前(さいぜん)雪隠(せつちん)(なか)から()いて()れば、192ブラバーサやマリヤさまに(むか)つて、193世界中(せかいぢう)から数珠(じゆず)つなぎに信者(しんじや)(まゐ)つて()ると、194エライ駄法螺(だぼら)()いて(ござ)つたが、195ここ一年程(いちねんほど)(あひだ)(ねこ)()一疋(いつぴき)訪問(はうもん)した(こと)()いぢやありませぬか。196誠一(まことひと)つで(ひら)くウラナイの(みち)だからと()(なが)ら、197ようマア、198あんな(うそ)()へました。199霊城(れいじやう)なぞと()いて(あき)れます(わい)
200『ホヽヽヽヽ、201マア(なん)(わか)らぬ代物(しろもの)だこと、202これ(ほど)諸国(しよこく)(れい)が、203数珠(じゆず)つなぎになつて、204生宮(いきみや)さまの神徳(しんとく)(した)つて参拝(さんぱい)するのに(わか)らぬのかいな。205それだから、206教会(けうくわい)とも宣伝所(せんでんしよ)ともいはないで、207御霊城(ごれいじやう)()いてあるのだよ』
208『ソンナラ、209(わたし)受付(うけつけ)必要(ひつえう)がないぢやありませぬか。210一体(いつたい)(なん)受付(うけつけ)をするのですか』
211身魂相応(みたまさうおう)()()つて、212悪者(わるもの)()()たり、213詐欺漢(さぎかん)()()たりせぬ(やう)に、214番犬(ばんいぬ)御用(ごよう)がさしてあつたのだよ、215(れい)なんか到底(たうてい)前等(まへたち)にや(わか)らないから、216テンデそんなこた(あて)にしてゐないのだ。217(あたま)から信用(しんよう)のないこた(わか)つて()るのだからな』
218『ソンナラ何故(なぜ)宣伝(せんでん)()()けと(わたし)仰有(おつしや)るのですか』
219現幽一致(げんいういつち)御教(みをしへ)だから、220現界(げんかい)人間(にんげん)宣伝(せんでん)する必要(ひつえう)があるのだ。221けれ(ども)(まへ)(たましひ)がテンで(もの)になつてゐないものだから(もの)にならないのだよ。222無用(むよう)長物(ちやうぶつ)娑婆(しやば)ふさぎ、223穀潰(ごくつぶ)しの糞造器(ふんざうき)とはお(まへ)(こと)だ。224こんな糞造器(ふんざうき)でも神様(かみさま)至仁(しじん)至愛(しあい)だから、225(たす)けてやらうと(おも)つて、226三十円(さんじふゑん)月給(げつきふ)()して()つてやつて()るのだよ。227世間(せけん)()()いた(やつ)があつたら……(なん)神様(かみさま)といふものは(えら)(もの)だ。228エルサレム(ぢう)相手(あひて)にしてのない蚰蜒(げぢげぢ)(やう)(をとこ)でも、229生神(いきがみ)さまならこされ、230三十円(さんじふゑん)月給(げつきふ)をやつておいて()けるのだ。231(かみ)さまといふ(もの)(さて)(さて)感心(かんしん)(もの)だ。232……と(この)(やう)(おも)うて(あを)(とり)(ひつ)かかつて()(やう)に、233つまり、234おとりにおいて()るのだ……オツトドツコイこりや()ふのぢやなかつた。235コレ、236ヤクさま、237こりや(うそ)だよ。238(まへ)副守(ふくしゆ)一寸(ちよつと)(わたし)体内(たいない)()つて()ふのだから、239屹度(きつと)()にさへて(くだ)さるなや、240オホヽヽヽ』
241『これで貴女方(あなたがた)(はら)(そこ)はすつかり(わか)りました。242(わたし)()馬鹿(ばか)でした。243月給(げつきふ)(なに)もいりませぬ。244気好(きよ)うお(ひま)(くだ)さい。245(その)(かは)(おぼ)えてゐなさい。246ヒヤツとする(やう)()にあわして()げますから。247(まへ)さま(がた)のカラクリを、248これから、249エルサレムの町中(まちぢう)演説(えんぜつ)して(ある)きますから、250足許(あしもと)(あか)るい(うち)トツトと(かへ)りなさい。251イヒヽヽヽヽ。252ヤアこれで(ひと)(おれ)活気(くわつき)出来(でき)()た。253悪魔(あくま)退治(たいぢ)張本人(ちやうほんにん)となり正々堂々(せいせいだうだう)(ぢん)()り、254日出神(ひのでのかみ)生宮(いきみや)力比(ちからくら)べだ。255此奴(こいつ)面白(おもしろ)い、256ウツフヽヽヽ』
257 お(はな)(かほ)(くも)らせ(なが)ら、
258『コレ、259ヤクさま、260(みな)(うそ)だよ。261(まへ)正直(しやうぢき)だから、262(すぐ)(はら)()てて仕方(しかた)がない。263日出神(ひのでのかみ)生宮(いきみや)(この)乙姫(おとひめ)生宮(いきみや)が、264(てん)にも()にもない大切(たいせつ)(たから)として、265(まへ)重宝(ちようほう)がつてるのだ。266そんな水臭(みづくさ)(こと)をいふものぢやありませぬがな』
267(しわ)()つた(かほ)()(ほそ)うして、268ヤクの背中(せなか)をポンと(たた)く。269(とし)()つて()つても、270浪速(なには)(みづ)(あら)ひさらした(はだ)271まだ何処(どこ)やらに(はな)()(のこ)つてゐる。272(その)()でお釈迦(しやか)顔撫(かほな)でた(しき)に、273(はな)色目(いろめ)につり()まれ、274ヤクはつり(あが)つた眉毛(まゆげ)一寸(いつすん)(ばか)(した)へおろし、275目尻(めじり)(まで)()げて、276時計(とけい)八時(はちじ)二十分(にじふぶん)(やう)(かほ)をし(なが)ら、
277『ヘヽヽヽヽ、278ソンナ(やさ)しいお(こころ)とは()らず、279つい副守(ふくしゆ)があんな(こと)(ささや)きました。280どうぞ生宮(いきみや)さまがお(かへ)りになつても、281(いま)(やう)(こと)()はない(やう)にして(くだ)さいや』
282(なん)ぢやいな、283ヤクさま、284眉毛(まゆげ)目尻(めじり)(ねむ)(ぐさ)(やう)に、285サツパリ(さが)つて(しま)ひ、286七時(しちじ)二十五分(にじふごふん)(かほ)ソツクリぢやないかい』
287乙姫(おとひめ)さまのお(かほ)にも一時(いちじ)低気圧(ていきあつ)襲来(しふらい)し、288眉毛(まゆげ)十一時(じふいちじ)五分(ごふん)になつて()ましたよ』
289『ソンナ時計(とけい)(はなし)()うでもよい、290(ひと)(かほ)時計(とけい)とゴツチヤ()ぜにしられちや(こま)るからなア』
291 ()(はな)して()(ところ)へ、292ドヤドヤ(ひと)()()足音(あしおと)293ヤクは素早(すばや)(おもて)()()し、
294『ヤ、295これはお寅様(とらさま)296()くマアお(かへ)(くだ)さいました。297乙姫(おとひめ)さまが大変(たいへん)なお()ちかねで(ござ)います。298サアサアとつとと(おく)御通(おとほ)りなさいませ』
299『お(まへ)はヤクザ(もの)のヤクぢやないかい。300(わし)がアンナ()()つて()るのに傍観(ばうくわん)してるとは(あんま)りぢやないか。301何程(なにほど)()はヤクでも、302(やく)()たぬ代物(しろもの)だなア』
303『ハイお(はな)さま……オツトドツコイ乙姫(おとひめ)さまの生宮(いきみや)さまに、304惨々(さんざん)そんな(こと)をいつて(あぶら)(しぼ)られて()つた(ところ)ですから、305どうぞ二重成敗(にぢうせいばい)勘弁(かんべん)して(くだ)さい』
306といひ(なが)(せま)路地(ろぢ)(つた)うて(はい)つて()た。307(はな)(うれ)しさうに()をつかへて、
308『ヤ、309これはこれは、310()(かへ)つて(くだ)さいました。311日出様(ひのでさま)312大変(たいへん)()ちかねて()りました。313(いま)ヤクと心配(しんぱい)して()つた(ところ)(ござ)いますよ』
314『ヘン、315有難(ありがた)う、316(かん)()りました。317貴女方(あなたがた)御親切(ごしんせつ)には……ブラバーサの計略(けいりやく)にかかり、318谷底(たにぞこ)へつれ()まれ、319(いのち)()られ(やう)(いた)しましたが、320(さいはひ)日出神(ひのでのかみ)御神力(ごしんりき)によりまして、321無事(ぶじ)(かへ)つて(まゐ)りました。322乙姫(おとひめ)さま、323さぞ(めん)くらつたでせう。324ヤクと二人(ふたり)()つて、325()出神(でのかみ)()らなくなつたのを(さいは)ひ、326(この)霊城(れいじやう)主人(あるじ)となり、327一大(いちだい)飛躍(ひやく)(こころ)みむとして(ござ)つた(ところ)を、328目的(もくてき)(うし)(しり)がひとは、329(むか)ふから(はづ)れるとか(まを)しましてね……(まこと)にお()(どく)さま。330ヘン巧言令色(かうげんれいしよく)331偽善(ぎぜん)御挨拶(ごあいさつ)()めて(もら)ひませうかい』
332 お(はな)泣声(なきごゑ)()して、
333『コレ、334モウシ、335(とら)さま、336(あま)りぢや(ござ)いませぬか、337(わたし)(こころ)(わか)りませぬか。338(あま)殺生(せつしやう)ぢや(ござ)いませぬかい。339十年(じふねん)(この)(かた)真心(まごころ)(つく)して、340世間(せけん)非難(ひなん)攻撃(こうげき)()(なが)ら、341身命(しんめい)()して、342貴女(あなた)()いて()(わたし)ぢや(ござ)いませぬか。343御冗談(ごじやうだん)仰有(おつしや)るにも(ほど)がありますわ』
344冗談(じやうだん)ぢやありませぬよ。345誠生粋(まこときつすゐ)日出神(ひのでのかみ)言葉(ことば)ですから、346(つつし)んでお()きなさい。347(わたし)(こころ)(わか)らぬか……と仰有(おつしや)つたが、348(わか)つて()らこそ、349(まへ)さまに御礼(おれい)(まを)して()るぢやありませぬか。350第一(だいいち)証拠(しようこ)は……いつも貴女(あなた)()ふて()つたでせう。351仮令(たとへ)地獄(ぢごく)のドン(そこ)へでも、352(いのち)(まと)にお(とも)(いた)しますと、353口癖(くちぐせ)(やう)に、354うるさい(ほど)355百万遍(ひやくまんべん)をくる(やう)に、356()つておき(なが)ら、357(ひと)危難(きなん)()て、358(たす)けようともせず、359ヤクと一緒(いつしよ)に、360ぬつけりことして霊城(れいじやう)にをさまり(かへ)り、361第二(だいに)計画(けいくわく)をやつて()つたのでせう、362それに(ちがひ)ありますまい。363(まへ)さまの(やう)水臭(みづくさ)いお(かた)は、364(しゆ)でもなけら、365家来(けらい)でもない。366(また)師匠(ししやう)でも()ければ弟子(でし)でもありませぬ。367乙姫(おとひめ)さまなぞと、368チヤンチヤラ可笑(をか)しい、369もう(これ)から()ふて(くだ)さるな』
370(わたし)(もと)よりあやめのお(はな)といつて、371(なに)()らぬ(もの)(ござ)いましたが、372貴女(あなた)竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)生宮(いきみや)だと仰有(おつしや)つて(くだ)さるので、373それを(まこと)(しん)じ、374今日(けふ)(まで)乙姫(おとひめ)(とほ)して()ましたが、375()ふてくれるなと仰有(おつしや)るのなら、376モウ(これ)から()ひませぬ。377さうすると、378(まへ)さまの日出神(ひのでのかみ)さまも()いかげんなものぢや(ござ)いませぬか。379(たれ)阿呆(あはう)らしい、380乙姫(おとひめ)生宮(いきみや)(おも)へばこそ、381(すみ)なれた自転倒島(おのころじま)()つて、382コンナ他国(たこく)で、383不自由(ふじゆう)生活(せいくわつ)辛抱(しんばう)してゐるのですよ』
384 ヤクは鼻息(はないき)あらく、
385『もしもし乙姫(おとひめ)さま、386(いな)(はな)さまにしておきませう。387コンナ糞婆(くそばば)(えん)()りなさいませ。388(わたし)がお(まへ)さまの参謀長(さんぼうちやう)となつて、389(とら)さまの向方(むかふ)()り、390立派(りつぱ)一旗(ひとはた)()げて御覧(ごらん)にいれませう、391(わたし)がお(はな)さまの赤心(まごころ)()()つてゐます。392(そば)から()いてゐても(あま)無体(むたい)(こと)いふ(ばば)だから、393愛想(あいさう)()きた。394(はな)さま、395()(えん)切時(きりどき)だから、396覚悟(かくご)なさいませ』
397 お(はな)は、
398『サア、399それでもナア』
400(くび)(かた)むけてゐる。
401『コリヤ、402ヤク、403(なに)横槍(よこやり)()れるのだ。404師匠様(ししやうさま)弟子(でし)()かつて意見(いけん)をしてるのに、405ヤクザ人足(にんそく)がゴテゴテいふと()(こと)があるものか、406ひつ()んで()なさい、407(まへ)()(まく)ぢやない。408(まへ)とお(はな)さまと()つて、409(わし)をあんな()()はしたのだろがな。410チヤンと此処(ここ)三人(さんにん)証拠人(しようこにん)()れて()てあるのだから……』
411『アヽア、412(わか)らずや(ばか)りの(ところ)()つても仕方(しかた)()いワ。413(はな)さま、414左様(さやう)なら、415(また)()にかかりませう、416(とら)()アさま左様(さやう)なら、417守宮別(やもりわけ)精々(せいぜい)意茶(いちや)つきなさい。418(わたし)(わたし)(かんが)へを(もつ)て、419何処迄(どこまで)もお(まへ)さまの目的(もくてき)妨害(ばうがい)をして()げますから、420イヒヽヽヽヽ』
421(あご)をしやくり、422そこにあつた(はうき)一本(いつぽん)かたげたまま、423(しり)ひんまくり、424何処(どこ)ともなく駆出(かけだ)して(しま)つた。425此奴(こいつ)()がしてなるものかと、426(とら)金切声(かなきりごゑ)張上(はりあ)げ、427でつかいお(しり)をプリンプリンと振廻(ふりまは)(なが)ら、428(ごみ)(よご)れた雑踏(ざつたふ)(まち)人目(ひとめ)()ぢず()つかけて()く。429(とら)はヤツと追付(おつつ)き、430首筋(くびすぢ)(つか)まむとするや、431ヤクは(はうき)大道(だいだう)砂埃(すなほこり)をまぜ(かへ)し、432(とら)(かほ)をポンと(なぐ)(なが)(また)もや()()す、433(とら)両眼(りやうがん)土埃(つちぼこり)()び、434皺枯声(しわがれごゑ)張上(はりあ)げ、
435『オーイオーイ(たれ)でも()いから、436(その)ヤクを(つか)まへて()れ』
437(さけ)んでゐる。438(みち)()(ひと)黒山(くろやま)(ごと)くお(とら)周囲(まはり)(とり)まき、439見世物(みせもの)でも()(やう)口々(くちぐち)(ののし)()たりける。
440大正一四・八・一九 旧六・三〇 於丹後由良秋田別荘 松村真澄録)
   
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