霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一四章 花曇(はなぐもり)〔一八二〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第64巻下 山河草木 卯の巻下 篇:第3篇 開花落花 よみ:かいからっか
章:第14章 第64巻下 よみ:はなぐもり 通し章番号:1820
口述日:1925(大正14)年08月20日(旧07月1日) 口述場所:丹後由良 秋田別荘 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年11月7日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm64b14
愛善世界社版:188頁 八幡書店版:第11輯 565頁 修補版: 校定版:191頁 普及版:63頁 初版: ページ備考:
001 お(はな)はヤクと(とも)に、002(つぎ)()端坐(たんざ)(なが)ら、003守宮別(やもりわけ)帰館(きくわん)を、004(いま)やおそしと()(かま)()たり。
005『これ、006ヤクさまエ、007旦那(だんな)さまは宗教(しうけう)独立(どくりつ)運動(うんどう)()くと()つて、008ここを()られたきり、009今日(けふ)三日目(みつかめ)になるのに、010まだお姿(すがた)()えないのは、011チト(あや)しいとは(おも)ひませぬか。012もしやお(とら)さまの(ところ)へでも、013あの(かね)(にぎ)つたのを(さいは)ひ、014ズボリ()みてゐるのぢやなからうかな』
015(なに)おつしやいます。016旦那(だんな)さまに(かぎ)つて、017ソンナバカなことなさいますか。018あれ(ほど)(とら)さまに愛想(あいそ)をつかして、019ゲヂゲヂのやうに()つてゐられましたもの』
020『それだつて、021あの旦那(だんな)さまはアーンと欠伸(あくび)をなさつたら険呑(けんのん)だよ。022それを境界線(きやうかいせん)として、023いつも心機一転(しんきいつてん)する(くせ)があるのだもの。024これから旦那(だんな)さまが外出(ぐわいしゆつ)される(とき)は、025ヤクお(まへ)()えかくれにでも、026ついて()つて(もら)はねばならないよ』
027『それまで夫婦間(ふうふかん)(うたが)つちや駄目(だめ)ですよ。028(をつと)(つま)(しん)(つま)(をつと)(しん)じなくちや本当(ほんたう)夫婦(ふうふ)ぢやありませぬよ。029旦那(だんな)さまに(かぎ)つて、030ソンナバカな(こと)はなさりやしませぬ。031(この)ヤクがキツト保証(ほしよう)しておきますわ』
032 かく(あん)じてゐる(ところ)へ、033ボーイの案内(あんない)につれてエルサレム(しよ)警官(けいくわん)が、
034守宮別(やもりわけ)さまは()られますか』
035(たづ)()たりぬ。036(はな)警官(けいくわん)姿(すがた)()て、
037『ハハ守宮別(やもりわけ)運動(うんどう)によつて教会(けうくわい)独立(どくりつ)許可(きよか)になるのだらう。038その報告(はうこく)のため上官庁(じやうくわんちやう)内命(ないめい)をおびて調査(てうさ)()たのだな。039こりや(この)(さい)十分(じふぶん)高尚(かうしやう)(かま)へて()らねばなるまい』
040思案(しあん)(さだ)め、041(にはか)にオチヨボ(ぐち)をし(なが)ら、
042(わらは)こそはシオンの(むすめ)043木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)精霊(せいれい)宿(やど)した大救世主(だいきうせいしゆ)044あやめのお(はな)肉宮(にくみや)(ござ)るぞや。045警官(けいくわん)どの、046サアサア調(しら)べて(くだ)され。047シオンの(むすめ)間違(まちが)ひありませぬぞや。048これ、049ヤク殿(どの)050守宮別(やもりわけ)不在(ふざい)だによつて、051そなた(かは)つて、052警官殿(けいくわんどの)のお相手(あひて)をなさつたが(よろ)しからうぞや』
053『これはこれは警官様(けいくわんさま)054御苦労(ごくらう)(ござ)います。055あの、056(なん)(ござ)いますか。057宗教(しうけう)独立(どくりつ)許可(きよか)になつたので(ござ)いますかな。058小身者(せうしんもの)のヤクも鶴首(かくしゆ)して吉報(きつぱう)()つて()ました』
059『いや、060左様(さやう)(こと)()たのぢやありませぬ。061(じつ)は、062一昨日(おととひ)夕方(ゆふがた)063停車場(ステイシヨン)街道(かいだう)此方(こちら)主人(しゆじん)守宮別(やもりわけ)殿(どの)出会(であ)ひ、064挙動(きよどう)不審(ふしん)(みと)めて、065警戒(けいかい)巡査(じゆんさ)取調(とりしら)べた(ところ)066(べつ)(あや)しき(かた)でないと判明(はんめい)し、067(ただち)放免(はうめん)しました。068その(あと)で、069大枚(たいまい)三千円(さんぜんゑん)()りの蟇口(がまぐち)()ちてゐるので、070本署(ほんしよ)(とど)けて()ました。071署長(しよちやう)立会(たちあ)ひの(うへ)調(しら)べて()ると、072僧院(そうゐん)ホテル第一号(だいいちがう)073二号(にがう)074三号室(さんがうしつ)075守宮別(やもりわけ)()いた名刺(めいし)這入(はい)つてゐましたので、076(とく)調(しら)べた(うへ)(かへ)しに(まゐ)りました。077どうか(この)帳面(ちやうめん)(いん)をおして(くだ)さい。078受取書(うけとりしよ)は、079ここに()いて()ましたから』
080 (かみ)さまを(よそほ)つてゐたお(はな)は、081(この)(こと)()いて(にはか)神様(かみさま)形態(ぎやうてい)をくづして(しま)ひ、082ツカツカと警官(けいくわん)(そば)により、
083『これはこれは警官(けいくわん)さま、084よう、085マアおいで(くだ)さいました。086守宮別(やもりわけ)さまとした(こと)が、087大枚(たいまい)三千円(さんぜんゑん)(かね)(おと)し、088言訳(いひわけ)がないと(おも)つて、089どツかへ逐電(ちくでん)なさつたのだらう。090(なん)()つても()()(ひと)だからな。091イヤ(たしか)受取(うけとり)ました。092どうぞ署長(しよちやう)さまに(よろ)しくお(つた)(くだ)さい。093これ、094ヤク、095門口(かどぐち)までお見送(みおく)りせぬかいな』
096 警官(けいくわん)受取書(うけとりしよ)(いん)(もら)ひ、097ヤクの見送(みおく)りを拒絶(きよぜつ)(なが)足早(あしばや)(かへ)()く。
098 お(はな)はヤクをつかまへて()んだり、099くづしたり、100守宮別(やもりわけ)()(うへ)(あん)じてゐると、101そこへ守宮別(やもりわけ)はブラリブラリと(かへ)つて()た。102流石(さすが)のお(はな)守宮別(やもりわけ)姿(すがた)()て、103『どうも白粉(おしろひ)(くさ)(にほひ)がしてゐる、104此奴(こいつ)(はら)(さぐ)つて()ねばなるまい』と(はや)くも覚悟(かくご)()めた。
105女房(にようばう)106(いま)(かへ)つたぞや。107アーア、108(さけ)一本(いつぽん)つけて()れないか』
109『これはこれはよう(かへ)つて(くだ)さつた、110大変(たいへん)(ひま)()りましたな。111(わたし)心配(しんぱい)してゐましたよ。112そして、113タゴール博士(はかせ)(はう)は、114どうなりましたか、115(はや)吉報(きつぱう)()かして(くだ)さいませな』
116『ウン、117大変(たいへん)好都合(かうつがふ)だつたよ、118あの三千円(さんぜんゑん)(かね)は、119随分(ずゐぶん)(はたら)いたものだ。120(なん)()つても世界一(せかいいち)の、121シオン大学(だいがく)教授(けうじゆ)五人(ごにん)(まで)(うご)かし、122(いよいよ)独立(どくりつ)運動(うんどう)許可(きよか)(さが)(ところ)(まで)()ぎつけて()たのだから、123マアお(はな)124(よろこ)びてくれ』
125『これ守宮別(やもりわけ)さま、126(をんな)たらしの後家倒(ごけたふ)しさま、127一体(いつたい)(まへ)は、128どこへ()つてゐたのだい』
129『どこへ()つたつて?大臣(だいじん)博士(はかせ)官宅(くわんたく)歴訪(れきはう)して()つたのだ。130三千円(さんぜんゑん)(ぐらゐ)(つか)つたつて(やす)いものだらう、131目的(もくてき)さへ達成(たつせい)したらいいのだから』
132『ヘン、133(うそ)ばつかり()つたつて、134ソンナ(こと)(だま)されるお(はな)ぢやありませぬよ。135貴方(あなた)頬辺(ほほべた)白粉(おしろい)がついてるぢやありませぬか。136その白粉(おしろい)はどうしてつけたのですかい。137サアその因縁(いんねん)()かして(くだ)さいな。138(わたし)(かんが)へが(ござ)いますから』
139『アーア、140おしろいへ()をつけたり、141(まへ)()()けたりして舎身活躍(しやしんくわつやく)をやつて、142(いま)()()ての大学(だいがく)白壁(しろかべ)にブツつかつたものだから、143(しろ)くついたのだよ。144(まへ)(ばち)があたるぞや。145コンナ(をつと)()(なが)(なに)をゴテゴテ()ふのだい』
146白壁(しろかべ)(にほひ)と、147白粉(おしろひ)(にほひ)と、148嗅分(かぎわ)けぬやうなお(はな)ぢや(ござ)いませぬよ。149ソンナゴマかしは、150(とら)さまには()くかは()れませぬが、151(この)(はな)には駄目(だめ)ですよ。152サア、153キツパリ白状(はくじやう)しなさい』
154『これは御明察(ごめいさつ)(おそ)()りました。155(じつ)は、156博士(はかせ)大臣(だいじん)をある料亭(れうてい)招待(せうたい)し、157目的(もくてき)貫徹(くわんてつ)(ため)158(こころ)にもない白首(しらくび)()んでな、159杯盤(はいばん)(あひだ)斡旋(あつせん)させたのだよ。160そしたら、161そそつかしいキーチャンの(やつ)162大臣(だいじん)(おれ)間違(まちが)へて(おれ)頬辺(ほほべた)()ひつきよつたのだ。163大方(おほかた)164その(とき)165ついたのだらう』
166(なに)167キーチャンが頬辺(ほほべた)()いついたと?』
168(はや)くもお(はな)(かほ)には低気圧(ていきあつ)襲来(しふらい)したり。
169『これ、170守宮別(やもりわけ)さま、171旦那(だんな)さまと()ひたいが、172今日(けふ)(かぎ)(あらた)めますよ。173その(つも)りでゐて(くだ)さいよ。174色情(いろ)(みち)にかけては、175オーソリチーの(わたし)をバカにしようと(おも)つても、176その()()ひませぬぞや。177大方(おほかた)どつかのスベタ(をんな)と、178くつついて()たのでせう。179これは一体(いつたい)(なん)ですか』
180三千円(さんぜんゑん)蟇口(がまぐち)守宮別(やもりわけ)(まへ)()()して()せる。
181『お(はな)182これや(おれ)紙入(かみいれ)ぢやないか』
183『さうでせうとも、184(なか)をあけて御覧(ごらん)なさい。185()のきれるやうな、186百円札(ひやくゑんさつ)三十枚(さんじふまい)()をむいて()りますよ。187ヨウマア大臣(だいじん)博士(はかせ)招待(せうたい)したなぞと、188ソンナ(うそ)()へたものですな。189ツヒ、190先刻(さつき)191警察(けいさつ)から(とど)けて()てくれたのですよ、192(まへ)さま、193街路(がいろ)警戒(けいかい)警官(けいくわん)につかまへられて身体(しんたい)検査(けんさ)までやられたぢやありませぬか、194これでも抗弁(かうべん)なさいますか、195これ守宮別(やもりわけ)さま、196(はな)(からだ)にや(いき)(かよ)つてゐますよ。197(けつ)して人形(にんぎやう)ぢやありませぬからね。198(まへ)さまの玩弄(おもちや)になつて()まりますかい。199ヘン阿呆(あはう)らしい、200あまりの(こと)で、201アフンが(ちう)(まよ)ひますわ』
202(なに)203(はな)204(たしか)三千円(さんぜんゑん)運動費(うんどうひ)使(つか)つたのだ。205(おれ)がな子母仙(しぼせん)()つて仙人(せんにん)使(つか)(はふ)()つてゐるのだよ。206(この)三千円(さんぜんゑん)一寸(ちよつと)魔法(まはふ)をかけて使(つか)つたのだから、207もとの蟇口(がまぐち)(こひ)しがつて、208(かへ)つて()たのだよ。209(ゆか)(した)不思議(ふしぎ)(むし)親子(おやこ)()んでゐたのだ。210その親子(おやこ)(むし)をな、211(おれ)捕獲(ほくわく)して、212三十枚(さんじふまい)百円札(ひやくゑんさつ)には()()()り、213蟇口(がまぐち)には親血(おやち)をぬつておいたのだ。214それだから、215()()がついてゐる百円札(ひやくゑんさつ)には、216()(れい)がかかつてゐるだらう。217それだから(おや)()(たま)のかかつた蟇口(がまぐち)(した)うて(かへ)つて()たのだ、218つまり三千円(さんぜんゑん)のお(かね)三千円(さんぜんゑん)使(つか)つて、219あとに三千円(さんぜんゑん)(のこ)つてゐるのだから、220コンナ結構(けつこう)仙術(せんじゆつ)はあるまい』
221『どこの(ゆか)(した)に、222ソンナ(むし)()たのですか』
223『ソンナ(こと)秘密(ひみつ)だ。224子母虫(しぼちう)が、225……どうぞ貴方(あなた)(かぎ)り、226秘密(ひみつ)にして(くだ)さい……、227(ねが)ひよつたからの。228この秘密(ひみつ)()かすと、229これからの仙術(せんじゆつ)()かないから、230発表(はつぺう)見合(みあは)せておかう。231(また)三千円(さんぜんゑん)もうけねばならぬからのう』
232 お(はな)(あご)をつき()(なが)ら、
233子供(こども)か、234(なん)ぞのやうに、235ソンナ(うそ)()ひませぬよ。236それが本当(ほんたう)なら、237蟇口(がまぐち)はお(まへ)さまの懐中(ふところ)にありさうなものだのに、238それが警察(けいさつ)にあるとは不思議(ふしぎ)ぢやありませぬか』
239『きまつた(こと)よ。240三千円(さんぜんゑん)運動費(うんどうひ)使(つか)つた(あと)241(おれ)(ふところ)にある母虫(ぼちう)(れい)()んだので、242仔虫(しちう)(れい)のかかつた(かね)が、243(かへ)つて()たのだ。244それをお(まへ)245警官(けいくわん)真裸(まつぱだか)になつて身体(しんたい)検査(けんさ)をされた(とき)246ツヒ(おと)して(しま)ひ、247警官(けいくわん)(ひろ)はれたのだ』
248『そのお(かね)は、249いつ(おと)したのですか』
250『さうだな、251エー、252昨日(きのふ)253一昨日(おととひ)昨夜(ゆふべ)大臣(だいじん)博士(はかせ)招待(せうたい)して(つか)つて(しま)ひ、254(あさ)になると(おれ)懐中(ふところ)蟇口(がまぐち)へお(かね)(かへ)つて()てゐたのだ。255それを(おと)したのだよ』
256(うそ)(ばか)()ひなさるな、257警官(けいくわん)調(しら)べられたのは、258一昨日(おととひ)夕方(ゆふがた)ぢやありませぬか。259ここを立出(たちで)て、260ステーション街道(かいだう)(はう)()きなさつたでせう』
261『アーア、262もうたまらぬ たまらぬ』
263『これこれ守宮別(やもりわけ)さま、264その、265アーアはまだ(はや)いぢやありませぬか。266本当(ほんたう)(こと)()つて(くだ)さい。267(なん)()つても、268(かね)がここへ(かへ)つて()()るのだから、269少々(せうせう)欠点(けつてん)(ぐらゐ)あつたつて、270不足(ふそく)(まを)しませぬわ』
271『ア、272さう追撃(つゐげき)されては落城(らくじやう)せざるを()ないわ。273(じつ)はブチ()けて()ふがな、274(はな)275タゴールさまのお(たく)(たづ)ねようと(おも)つてホテルを()たものの(なん)()つても、276秘密(ひみつ)運動(うんどう)だから、277(やしき)(はう)(あし)()けては秘密(ひみつ)曝露(ばくろ)すると(おも)ひ、278(まは)(みち)して、279ステーションの(はう)()つた(ところ)280警官(けいくわん)調(しら)べられ、281そこで(おと)したのだ。282博士(はかせ)運動(うんどう)したと()つたのは(みな)(うそ)だよ。283(まへ)申訳(まをしわけ)ないからヨルダン(がは)()()げようかと(おも)つたが、284(みづ)(つめ)たいし、285()(くび)()らうかと(おも)つて枝振(えだぶり)のよい()(さが)したがよい(まつ)()()く、286一層(いつそう)287鉄道(てつだう)往生(わうじやう)しようかとレールを(まくら)()つてゐると、288一里(いちり)二里(にり)(さき)からレールがドンドンと(ひび)くので、289刻一刻(こくいつこく)290()(ちか)づくと(おも)へば(おそ)ろしくなり、291エー、292()ぬのなら何時(いつ)でも()ねる、293一辺(いつぺん)(こひ)しいお(まへ)(かほ)()てから()んでやらうと、294このやうに(おも)つて(かへ)つて()たのだ。295これが(まこと)告白(こくはく)だ。296どうか、297さう、298(いぢ)めずにおいて()れよ、299(たの)みだからな』
300『ア、301さうでしたか、302それ()いてチツト(ばか)安心(あんしん)しました。303(ひと)合点(がつてん)()かぬ(こと)がある、304それを()かして(もら)ひませう』
305合点(がつてん)()かぬ(こと)とは(なん)だい』
306『お(まへ)さまの頬辺(ほほべた)についてゐた白粉(おしろい)因縁(いんねん)から()かして(くだ)さいな』
307(なん)()つかしい(こと)だな。308ソンナラ(つぶ)さに言上(ごんじやう)(つか)まつらう。309(じつ)は、310鉄道(てつだう)往生(わうじやう)しようと(おも)つて、311レールの(うへ)をうろついてゐた(とき)312機関車(きくわんしや)にはね()ばされて、313(かたはら)草原(くさはら)気絶(きぜつ)して()つた(とき)314どこの女中(ぢよちう)()らぬが(とほ)(あは)して、315(ほとん)(ひえ)きつた(おれ)身体(からだ)肉体(にくたい)(ぬく)めて、316一旦(いつたん)甦生(よみがへ)らして(くだ)さつたのだ。317それが本当(ほんたう)告白(こくはく)だよ。318アー()むたい()むたい。319(さけ)(ろく)()まして(もら)へず、320白洲(しらす)訊問(じんもん)()けて()つてもつまらぬわい』
321『その(いのち)(たす)けて(くだ)さつた御婦人(ごふじん)(なん)()()ですか。322(れい)()かねがなりますまいからな』
323『ウン、324(なん)でも、325あや()とか、326おや()とか()()だつたよ』
327『お(ところ)()いておいたでせうね』
328『ウン、329(ところ)か。330(ところ)が、331その(ところ)()くのをスツクリ(わす)れて(しま)つたのだ』
332(いま)333旦那(だんな)さまに(うけたま)はれば、334あや()とか仰有(おつしや)いましたね。335この(ひろ)いエルサレムの(まち)に、336あや()()()は、337(わたし)(むすめ)一人(ひとり)ほかありませぬがな。338(なん)とマア、339(かみ)さまの御因縁(ごいんねん)旦那(だんな)さまの(いのち)(たす)けさして(いただ)いたのでせう』
340『これ、341ヤクさま、342(まへ)一人者(ひとりもの)だと(おも)つてゐたのに(むすめ)があるのかいナ』
343『ヘーヘー、344多福娘(たふくむすめ)が、345一人(ひとり)(ござ)いますが、346(いま)では(わたし)(おや)のやうに(いた)しませぬので、347勘当(かんだう)同様(どうやう)(なか)になつて()りますわい』
348『エーエもう、349いい加減(かげん)()たらどうだい、350ヤクの(やつ)351やかましいわい。
352(あや)高天(たかま)聖場(せいじやう)
353 天人(てんにん)天女(てんぢよ)(まひ)()ふ。
354(はな)のやうなよい美人(びじん)
355 あや()(くそ)もあるものか。
356あや()のあやはあやめのあやよ
357 あやと(にしき)機織虫(はたおりむし)
358やつて()たのはエルサレム
359 何程(なにほど)世界(せかい)美人(びじん)でも
360あやの()のつくあやめさま
361 生宮(いきみや)さまには(およ)ばない
362 ドツコイショ ドツコイショ
363あゝ今日(けふ)(あたま)(いた)いから(みな)(そろ)ふて()たり()たり』
364布団(ふとん)(かぶ)つて空鼾(からいびき)をかき、365(はな)形勢(けいせい)如何(いかん)(かんが)へてゐる。366(はな)神前(しんぜん)(ぬかづ)き、367神籤(みくじ)をとつたり、368()()てたりし(なが)ら、369その()はマンジリともせず、370コケコーの()(まで)()きて()た。371アヽ(この)結果(けつくわ)はどう(をさ)まるだらうか。372暴風(ばうふう)怒濤(どたう)襲来(しふらい)か、373地異(ちい)天変(てんぺん)か、374(かみなり)ユサユサ地震(ぢしん)ゴロゴロの大椿事(だいちんじ)突発(とつぱつ)か、375刮目(くわつもく)して次章(じしやう)()たれむことを。
376大正一四・八・二〇 旧七・一 於由良 北村隆光録)