霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第五章 独許貧(とくきよひん)〔一六六一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第65巻 山河草木 辰の巻 篇:第1篇 盗風賊雨 よみ:とうふうぞくう
章:第5章 独許貧 よみ:とっきょひん 通し章番号:1661
口述日:1923(大正12)年07月15日(旧06月2日) 口述場所:祥雲閣 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年4月14日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版: 八幡書店版:第11輯 632頁 修補版: 校定版:63頁 普及版:30頁 初版: ページ備考:
001伊太彦(いたひこ)(わが)()(きみ)相別(あひわか)
002ハルセイ(ざん)をスタスタと
003(のぼ)りつめたる(をり)もあれ
004木花姫(このはなひめ)御化身(ごけしん)
005(わが)(たましひ)(ため)されて
006ここに悔悟(くわいご)(はな)(ひら)
007身魂(みたま)芳香(はうかう)(くん)じつつ
008(はちす)(はな)(にほ)()
009あてどもなしに(すす)()
010(やま)(また)(やま)谷間(たにあひ)
011(かみ)御稜威(みいづ)(つゑ)となし
012(ちから)となして(やうや)くに
013ハルセイ(ぬま)(ほとり)まで
014(きた)りて()れば虎熊(とらくま)
015(やま)雲表(うんぺう)(そび)()
016(くも)(おほ)はれ()(なか)
017(おと)名高(なだか)噴火口(ふんくわこう)
018(てん)(こが)せる(すさま)じさ
019(わが)()(きみ)(いま)いづこ
020ブラヷーダ(ひめ)(さぞ)(さぞ)
021()()になやみ(あし)(いた)
022(くる)しみ(なや)(こと)だらう
023魔神(まがみ)(たけ)(つき)(くに)
024もし悪者(わるもの)()らへられ
025()()もあられぬ(くるし)みに
026()ふてゐるのぢやあるまいか
027(こころ)のせいか()らねども
028(なん)だか(むね)(さわ)がしく
029不安(ふあん)空気(くうき)(おそ)ふて()
030あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
031皇大神(すめおほかみ)御威徳(ごゐとく)
032繊弱(かよわ)(をんな)一人旅(ひとりたび)
033いと(やす)らけく(たひら)けく
034(かみ)のあれますエルサレム
035(うづ)(みやこ)(おく)りませ
036(われ)(をとこ)()にしあれば
037如何(いか)なる艱難(なやみ)枉神(まがかみ)
038(すこ)しも(おそ)れず(すす)()
039デビスの(ひめ)やブラヷーダ
040二人(ふたり)身魂(みたま)()にかかり
041(すす)みかねたる膝栗毛(ひざくりげ)
042(かみ)(つかさ)となりし()
043()断腸(だんちやう)(おも)ひをば
044幾度(いくたび)となく()めて()
045()味気(あぢき)なき(ひと)()
046(あさ)(ゆふ)なに愚痴(ぐち)こぼす
047伊太彦(いたひこ)(つかさ)(あやま)ちを
048直日(なほひ)見直(なほ)聞直(ききなほ)
049詔直(のりなほ)しつつ(ゆる)しませ
050雲霧(くもきり)(ふか)虎熊(とらくま)
051(ふもと)(すす)森林地(しんりんち)
052猛獣(まうじう)毒蛇(どくじや)()ふも(さら)
053(こころ)(きたな)盗人(ぬすびと)
054(しき)りに出没(しゆつぼつ)すると()
055(こころ)もとなき(わが)旅路(たびぢ)
056(まも)らせ(たま)三五(あななひ)
057(かみ)(はしら)瑞御霊(みづみたま)
058神素盞嗚(かむすさのを)大御神(おほみかみ)
059(この)()(もと)大御祖(おほみおや)
060国治立(くにはるたち)大神(おほかみ)
061(うづ)御前(みまへ)()(まつ)
062朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
063(つき)()つとも()くるとも
064仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)むとも
065(まこと)(ちから)()(すく)
066(まこと)(ちから)()(すく)
067(まこと)(ひと)つの宣伝使(せんでんし)
068(かみ)(をしへ)(かうむ)りて
069(すす)まむ(みち)枉神(まがかみ)
070妨害(さや)らむ(はず)はなけれども
071どうしたものか近頃(ちかごろ)
072(ひめ)()(うへ)()にかかる
073あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
074御霊(みたま)恩頼(ふゆ)(たま)へかし
075(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
076(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
077直日(なほひ)見直(なほ)詔直(のりなほ)
078勇気(ゆうき)()して虎熊(とらくま)
079魔神(まがみ)(たけ)山坂(やまさか)
080(われ)(さび)しく(すす)()く』
081(うた)(なが)密林(みつりん)(なか)小径(こみち)を、082スタスタ(のぼ)つて()るのは、083伊太彦(いたひこ)(つかさ)であつた。
084 (みち)(かたはら)(また)もや二人(ふたり)(をとこ)が、085ヒソビソ(ばなし)(ふけ)つて()る。
086エム『オイ、087タツ、088(まへ)もいい加減(かげん)に、089トランスを()めたらどうだ』
090タツ『ヘン、091そりや(なに)()ふのだ。092貴様(きさま)だつてトランスぢやないか。093豆腐屋(とうふや)豆腐(とうふ)(つく)つて()り、094酒屋(さかや)(さけ)(つく)つて()り、095泥棒(どろばう)(ひと)(ふところ)(ねら)つて自分(じぶん)(ふところ)()やすのが商売(しやうばい)だ。096(この)()(なか)自分(じぶん)商売(しやうばい)に、097勉強(べんきやう)せなくちやならないよ。098税金(ぜいきん)()らぬ資本(もとで)()らぬ、099こんないい商売(しやうばい)があるか』
100エム『一寸(ちよつと)()くとボロい商売(しやうばい)(やう)だが、101一月(ひとつき)一度(いちど)二度(にど)102収入(しうにふ)があつても、103大部分(だいぶぶん)親方(おやかた)()られ、104()ふや()はずで戦々(せんせん)恟々(きやうきやう)105(この)(ひろ)()(なか)(せま)(くら)すと()(つま)らぬ(こと)はないぢやないか。106(おれ)(たち)(もと)はバラモンの軍人(ぐんじん)だから、1061泥棒(どろばう)面白(おもしろ)いと(おも)107(また)(ひと)(ころ)すのも(なん)とも(おも)はなかつたが、108あの虎熊山(とらくまやま)のセールの、109元親分(もとおやぶん)鬼春別(おにはるわけ)将軍様(しやうぐんさま)比丘(びく)姿(すがた)となり、110法螺(ほら)()いておいで(あそ)ばすのに出会(であ)ひ、111結構(けつこう)(はなし)()いて改心(かいしん)した(ところ)だ。112ところが(おれ)相棒(あいぼう)のタールと()(やつ)113どこ(まで)(あく)立通(たてとほ)すと()ひやがるものだから、114(たもと)(わか)ちてここ(まで)()たのだ。115すると此処(ここ)(まで)()ると、116(まへ)()るので、117(おれ)神様(かみさま)(すく)はれたのだから、118(まへ)善人(ぜんにん)にしてやり()いと(おも)つて意見(いけん)するのだから、119(ちつ)()()れて()いてくれ。120(けつ)して(わる)(こと)()はぬのだからな』
121タツ『ウン、122さう()けばさうだな。123(おれ)だつて泥棒(どろばう)()きでやつてるのぢやない。124親譲(おやゆづ)りの財産(ざいさん)沢山(たくさん)あつたのだが、125(ひと)新奇(しんき)発明(はつめい)商売(しやうばい)をやつて、126ガラリと失敗(しつぱい)し、127国所(くにところ)にも()れぬので乞食(こじき)となつて、128ここにやつて()(ところ)が、129セールの親分(おやぶん)(ひろ)()げて()れたので(はな)(した)()け、130どうなり、131かうなり、1311()らせる(やう)()つたのだ。132三丁町(さんちやうまち)133五丁町(ごちやうまち)(ある)いて一文(いちもん)(かね)(もら)ひ、134乞食(こじき)々々(こじき)とさげすまれ、135(ひと)(のき)()ては足蹴(あしげ)にされ、136辻堂(つじだう)一夜(いちや)()かしては()()てを()つてゐた(いま)(まで)境遇(きやうぐう)(くら)ぶれば、137余程(よほど)()()いてると(おも)つて泥棒(どろばう)になつたのだ。138(しか)(なに)かいい商売(しやうばい)があれば、139こんな(こと)()()くないのだが、140(これ)因縁(いんねん)だらうかい』
141エム『お(まへ)商売(しやうばい)をしたと()ふが、142どんな商売(しやうばい)して失敗(しつぱい)したのか』
143タツ『ウン、144マア(ひと)()いて()れ。145(おれ)(すべ)(わか)(とき)から発明(はつめい)()きで専売(せんばい)特許(とくきよ)十二三(じふにさん)()つて()るのだ。146(しか)(なが)専売(せんばい)特許(とくきよ)農商務省(のうしやうむしやう)(ゆる)して()れたが、147(しか)(これ)売出(うりだ)(だん)となると(ひと)つも(うご)かぬのだから(こま)つてゐるのだ。148それがために親譲(おやゆづ)りの財産(ざいさん)を、149スツカリすつて(しま)つたのだ』
150エム『どんな(もの)発明(はつめい)したのだい』
151タツ『エー、152ワツトが鉄瓶(てつびん)湯気(ゆげ)()蒸汽(じようき)発明(はつめい)したり、153ニュートンが林檎(りんご)()ちるのを()地球(ちきう)引力説(いんりよくせつ)(とな)へたやうに、154(おれ)(なに)かの動機(どうき)がなくちや、155発明(はつめい)出来(でき)ぬが、156(ある)(とき)ランプのホヤの掃除(さうぢ)してゐたのだ。157あのホヤの(くろ)くなつたのをホヤ掃除器(さうぢき)上下(じやうげ)(こす)ると()ふと、158全然(すつかり)(ほこり)()れる。159真黒(まつくろ)(やつ)(もと)透明体(とうめいたい)のホヤになるだらう』
160エム『ウン(なる)(ほど)161随分(ずいぶん)綺麗(きれい)になるな。162それからどうしたと()ふのだ』
163タツ『それからお(まへ)164百日(ひやくにち)百夜(ひやくや)165(くび)をひねつて(かんが)へた結果(けつくわ)166人身(じんしん)清潔器(せいけつき)()ふのを発明(はつめい)したのだ』
167エム『成程(なるほど)168そりや面白(おもしろ)からう。169(まへ)医学(いがく)でも研究(けんきう)した(こと)があるのか』
170タツ『(なに)171医学(いがく)なんか駄目(だめ)だよ。172今時(いまどき)医者(いしや)本当(ほんたう)(やまひ)(なほ)すものはない。173病気(びやうき)(けつ)して(くすり)なんか()んでも(なほ)るものぢやない。174(なほ)病気(びやうき)はホツといても(なほ)るものだ。175(おれ)はそれよりも病気(びやうき)(おこ)らぬやう人身(じんしん)清潔器(せいけつき)(つく)つたのだ。176(すなは)ちランプのホヤ掃除(さうぢ)するブラシと()器械(きかい)八尺(はつしやく)(ほど)(まで)延長(えんちやう)し、177向上虫(かうじやうむし)()つて()(やう)格好(かくかう)(つく)()げ、178大地(だいち)(なら)べて()(ところ)179大蜈蚣(おほむかで)()ふてる(やう)なものが出来(でき)(あが)つた。180それを人体(じんたい)掃除器(さうぢき)として売出(うりだ)したのだ。181兎角(とかく)(さけ)()()ぎたり、182(めし)()ひすぎたりすると(はら)(わる)うし塵芥(ごもく)がたまるから、183ランプの掃除(さうぢ)する(やう)(くち)から(しり)(あな)(とほ)して、184上下(うへした)へギユーギユーと(こす)ると()ふと、185スツカリ(はら)(なか)垢目(ごもく)()ると()考案(かうあん)だ。186さうした(ところ)人間(にんげん)(くち)(しり)とが(あんま)(ほそ)うて(はら)(ふと)いので、187(くち)(しり)とは掃除(さうぢ)出来(でき)るが肝腎(かんじん)(はら)掃除(さうぢ)駄目(だめ)だ。188それで(たれ)(かれ)使(つか)ひもせずに、189くさして()つて()れぬのだ。190売出(うりだ)(つも)りで一万本(いちまんぼん)(ばか)(つく)つたが駄目(だめ)だつたよ』
191エム『ハヽヽヽ、192そいつア(はなし)にならぬわい。193それからどうしたのだ』
194タツ『それからお(まへ)195今度(こんど)(あま)資本金(しほんきん)()らぬ天造物(てんざうぶつ)売出(うりだ)(こと)発明(はつめい)したのだ。196それはそれは(じつ)奇想天外(きさうてんぐわい)考案(かうあん)だつた』
197エム『その奇想天外(きさうてんぐわい)(ひと)()かしてくれないか』
198タツ『(これ)大々的(だいだいてき)秘密(ひみつ)だ。199口外(こうぐわい)しないと()ふことを(ちか)ふなら(はな)して()らう。200(じつ)華氏(くわし)二十七八度(にじふしちはちど)()(さむ)さの(とき)採取(さいしゆ)するのだ。201当世(たうせい)床屋(とこや)から商売屋(しやうばいや)百姓(ひやくしやう)まで需要(じゆよう)(おほ)いガラスの代用品(だいようひん)発明(はつめい)したのだ。202(いけ)(おも)()つて()(あつ)一分(いちぶ)乃至(ないし)二分(にぶ)(くらゐ)(うす)(こほり)引割(ひきわ)つて(これ)石油(せきゆ)空箱(あきばこ)につめ()(かがみ)障子用(しやうじよう)として売出(うりだ)すのだ。203(なつ)なぞは(こほり)のガラスを障子(しやうじ)にハメ()んで()くと、204自然(しぜん)(こほり)(かぜ)(あた)つて(なつ)最中(さいちう)でも居間(ゐま)(すず)しうなつて()る。205何分(なにぶん)原料(げんれう)(ただ)だから()んなボロい金儲(かねまう)けはないと(おも)つて、206セツセと(さむ)いのに(いけ)(なか)小舟(こぶね)(うか)べて切採(きりと)り、207(いへ)(かへ)つて秘蔵(ひざう)し、208新奇発明(しんきはつめい)の「清涼(せいりやう)ガラス夏知(なつし)らず」と()()けて、209広告料(くわうこくれう)沢山(たくさん)都鄙(とひ)大新聞(だいしんぶん)(はら)つて開業(かいげふ)した(ところ)210世間(せけん)(やつ)馬鹿(ばか)にして一人(ひとり)注文(ちうもん)して()れない。211何故(なぜ)だらうかと(くら)()けて調(しら)べて()たら(くら)(なか)はズクズクに(みづ)(たま)つて()た。212大方(おほかた)(ねずみ)小便(せうべん)でも()れよつたのかと(おも)(なが)(こほり)ガラスを(をさ)めた(はこ)調(しら)べて()ると、213一枚(いちまい)(のこ)らず(みな)()けて()よつたのだ。214そこで氷解防止法(ひようかいばうしはふ)をまだ研究中(けんきうちう)なのだ。215(これ)さへ成功(せいこう)すれば、216馬鹿(ばか)らしい泥棒(どろばう)なんか(かせ)がなくても、217立派(りつぱ)紳士(しんし)として()らされるのだからなア』
218エム『オイ、219(まへ)そんな(こと)真面目(まじめ)(かんが)へて()るのか。220(じつ)感珍(かんちん)(いた)りだ。221古今独歩(ここんどくぽ)だ。222珍奇無類(ちんきむるゐ)飛切(とびき)りの考案(かうあん)だ。223アハヽヽヽ、224(まへ)モウ()れだけの発明(はつめい)でしまひか、225(きみ)(こと)だから、226まだ(ほか)発明品(はつめいひん)があるだらうなア』
227タツ『ウン、228それからお(まへ)229今度(こんど)はも(ひと)脳味噌(なうみそ)圧搾(あつさく)して用心箱(ようじんばこ)()ふものを(つく)つて()()(こと)(かんが)()したのだ。230(おれ)(もと)はハルナの(うま)れだ。231ハルナの(みやこ)大変(たいへん)(かぜ)(はげ)しうて土埃(つちほこり)()つのだ。232それで(みち)()(ひと)(ふた)つの()(ほこり)這入(はい)り、233その()()()んで(めくら)になるものが沢山(たくさん)()()る。234(めくら)になりや大抵(たいてい)(やつ)三味弾(しやみひき)になつたり、235三味線(しやみせん)師匠(ししやう)になるから(ねこ)(かは)必要(ひつえう)だ。236それでハルナの(みやこ)(ねこ)(たね)(ほとん)()えて(しま)ふだらう。237そしたら(ねずみ)自分(じぶん)天下(てんか)だと()ふやうな(かほ)して家々(いへいへ)()つてゐる着物(きもの)道具(だうぐ)(かぢ)るに(ちが)ひない。238(また)箱類(はこるゐ)(など)(かぢ)りさがすに(ちが)ひないから、239(いま)(うち)(はこ)沢山(たくさん)(つく)つて売出(うりだ)したら(まう)かると(おも)つて240今度(こんど)は、2401()るか()るかで、241ある()けの財産(ざいさん)()()し、242沢山(たくさん)(はこ)(つく)つた(ところ)が、243(ひと)つも()れず、244到頭(たうとう)貧乏(びんばふ)して(しま)ひ、245国所(くにところ)にも()れぬやうになつて乞食(こじき)になつたのだよ。246(おれ)(くらゐ)不運(ふうん)のものは()(なか)にありやせぬわ。247あれ()けの(かね)があればハルナで(しもべ)三人(さんにん)使(つか)ひ、248(めかけ)一人(ひとり)()いて紳士(しんし)(くら)されるのだが、249(こま)つた(こと)をしたわい』
250エム『ハヽヽヽ、251其奴(そいつ)駄目(だめ)だわい。252(まへ)随分(ずいぶん)(かしこ)(わり)とは知恵(ちゑ)がないわい。253(あんま)()()()ぎると()がぬけるからな。254そんな頓馬(とんま)では、255泥棒(どろばう)しても駄目(だめ)だぞ。256矢張(やつぱ)りもとの乞食(こじき)(しやう)()ふとるわ。257それだから、258改心(かいしん)をして泥棒(どろばう)をやめ、259(なに)(おれ)(たち)一所(いつしよ)に、260よい商売(しやうばい)にありつかぬかと()ふのだ』
261タツ『()(かく)262兄貴(あにき)(まか)しておくわ。263ヤア、264(なん)だか宣伝歌(せんでんか)(こゑ)(きこ)えて()るぢやないか、265(なん)(おそ)ろしい(こゑ)だのう』
266エム『ヤア、267ありや三五教(あななひけう)宣伝歌(せんでんか)だ。268マア()落付(おちつ)けて、269ここに()つて()らうぢやないか。270もう泥坊(どろばう)をやめた以上(いじやう)271(べつ)人間(にんげん)(こは)くないからな。272それよりも貴様(きさま)273(この)(あひだ)274岩窟(いはや)(なか)(ひき)()まれた二人(ふたり)美人(びじん)は、275素敵(すてき)(もの)ぢやないか』
276タツ『本当(ほんたう)(すご)いやうな美人(びじん)だつたね。277大方(おほかた)大将(たいしやう)レコにするのだらうよ。278アツハヽヽヽ』
279 かかる(ところ)(ちか)づいて()たのは伊太彦(いたひこ)であつた。
280伊太(いた)一寸(ちよつと)(もの)(たづ)ねますが281(この)山道(やまみち)十六七(じふろくしち)(をんな)(とほ)らなかつたですか』
282エム『ハイ、283二三日前(にさんにちまへ)に、284それはそれは立派(りつぱ)女宣伝使(をんなせんでんし)一人(ひとり)285(また)その翌日(よくじつ)286(いま)貴方(あなた)仰有(おつしや)つた(やう)(わか)(わか)御婦人(ごふじん)一人(ひとり)287ここをお(とほ)りになつた(ところ)288(この)(やま)(はたら)大泥棒(おほどろばう)親分(おやぶん)(とら)へられ、289岩窟(いはや)(なか)()()まれて(しま)ひましたよ。290本当(ほんたう)可憐(かはい)さうでたまりませぬわ』
291伊太(いた)『その(をんな)はデビス(ひめ)292ブラヷーダと()()ではなかつたか』
293エム『ハイ、294エベスだとか、295ブラブラ()アだとか()(こと)ですが、296仲々(なかなか)どうしてどうして297()(どころ)ですか、298(みづ)()るやうな別嬪(べつぴん)でした。299(いま)はセール親方(おやかた)居間(ゐま)(ちか)くの牢獄(らうごく)()()んで(ござ)います』
300伊太(いた)『コリヤ、301その(はう)泥棒(どろばう)だな』
302エム『いえ、303滅相(めつさう)もない。304(わたし)真人間(まにんげん)(ござ)います』
305伊太(いた)馬鹿(ばか)(まを)せ、306真人間(まにんげん)岩窟(いはや)(なか)(ひめ)(かく)してある(こと)が、307どうして(わか)らうか。308大方(おほかた)貴様(きさま)乾児(こぶん)だらう』
309エム『ハイ、310今日(けふ)(まで)泥棒(どろばう)乾児(こぶん)(ござ)いましたが、311(じつ)(ところ)鬼春別(おにはるわけ)将軍(しやうぐん)(さま)比丘(びく)となつて、312ここをお(とほ)(あそ)ばし、313結構(けつこう)なお(みち)(をし)へて(くだ)さつたので、314(やうや)改心(かいしん)しまして、315仲間(なかま)()(しの)び、316ここ(まで)()げて()ました(ところ)317ここに(また)一人(ひとり)小泥棒(こどろぼう)(やす)んで()ましたので、318(はや)改心(かいしん)したらどうだ、319(いま)(いま)とて意見(いけん)をして()つた(ところ)(ござ)います』
320伊太(いた)『お(まへ)ももはや善心(ぜんしん)(たち)(かへ)つたのか。321それに間違(まちがひ)はないのかな』
322 両人(りやうにん)(ふる)(なが)(くち)(そろ)へて、
323両人(りやうにん)『ハイ、324間違(まちがひ)(ござ)いませぬ』
325伊太(いた)(しか)らばその岩窟(いはや)とやらへ案内(あんない)してくれ。326二人(ふたり)(ひめ)(すく)()さねばならぬから』
327エム『どうも沢山(たくさん)泥棒(どろばう)()りますので、328貴方(あなた)一人(ひとり)では(あぶ)なう(ござ)いますから、329()めになつたらどうです。330(げん)鬼春別(おにはるわけ)(さま)親分(おやぶん)改心(かいしん)さすと()つて六人(ろくにん)子分(こぶん)をつれて御出(おい)でになりました。331やがて一件(いつけん)落着(らくちやく)して無事(ぶじ)にお(かへ)りになるでせうからな』
332伊太(いた)(なに)333あの比丘姿(びくすがた)将軍様(しやうぐんさま)がおいでになつたと()ふのか。334それなれば(なほ)(こと)だ。335(これ)()いた以上(いじやう)見逃(みのが)(わけ)には()かぬ。336サア案内(あんない)をせい』
337エム『ハイ、338案内(あんない)をせいと仰有(おつしや)れば、339せぬ(こと)はありませぬが、340(わたし)最早(もはや)泥棒(どろばう)改心(かいしん)したのですから、341彼奴(あいつ)()見付(みつ)けられたら(いのち)(ござ)いませぬ。342何卒(どうぞ)(これ)(ばか)りは御堪弁(ごかんべん)(ねが)()(ござ)います』
343伊太(いた)『ナニ、344心配(しんぱい)()らぬ。345(わし)(この)(とほ)神変不思議(しんぺんふしぎ)のウバナンダ竜王(りうわう)から(いただ)いた夜光(やくわう)(たま)がある。346(これ)があれば百万(ひやくまん)(てき)(おそ)るるに(およ)ばないのだ。347サア案内(あんない)せい』
348 (この)言葉(ことば)二人(ふたり)不安(ふあん)(ねん)にかられ(なが)ら、349伊太彦(いたひこ)(こは)さに、350屠所(としよ)(ひつじ)(ごと)くスゴスゴと(さき)()つて、351岩窟(がんくつ)()がけて(すす)()く。
352大正一二・七・一五 旧六・二 於祥雲閣 北村隆光録)