霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一三章 (こひ)懸嘴(かけはし)〔一六九五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第66巻 山河草木 巳の巻 篇:第3篇 異燭獣虚 よみ(新仮名遣い):いしょくじゅうきょ
章:第13章 恋の懸嘴 よみ(新仮名遣い):こいのかけはし 通し章番号:1695
口述日:1924(大正13)年12月16日(旧11月20日) 口述場所:祥雲閣 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年6月29日
概要: 舞台:オーラ山の大杉の下の玄真坊の館 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm6613
愛善世界社版:179頁 八幡書店版:第11輯 796頁 修補版: 校定版:180頁 普及版:67頁 初版: ページ備考:
001 サンダーは、002泥棒(どろばう)小頭(こがしら)ショール、003コリ(など)連中(れんちう)手車(てぐるま)()せられ、004(やく)(いち)()(ばか)りの阪道(さかみち)(おく)られて大杉(おほすぎ)(ふもと)玄真坊(げんしんばう)(やかた)(まへ)についた。005玄真坊(げんしんばう)はコリ、006ショールに目配(めくば)せすれば、007(わざ)とに(おどろ)いたやうな(かほ)をして、008屋根(やね)からバラスをぶちあけたやうにバラバラと阪道(さかみち)()けつ(まろ)びつ()げて()く。009玄真坊(げんしんばう)其所(そこ)()つて()るサンダーの美貌(びばう)見惚(みと)れながら(わざ)素知(そし)らぬ(かほ)をして、
010玄真(げんしん)『アハヽヽヽ、011小泥棒(こどろぼう)()012(この)玄真坊(げんしんばう)法力(ほふりき)(おそ)れ、013(にら)みに()うて驚愕(きやうがく)蜘蛛(くも)()()らすが(ごと)くに()げよつた、014アハヽヽヽ。015てもさても(こま)つた(やつ)どもだなア。016や、017そこに(ござ)るお女中(ぢよちう)018其方(そなた)(かれ)()()めに(かどは)かされ此所(ここ)(まで)(かつ)がれて()たやうだが、019()()結構(けつこう)020玄真坊(げんしんばう)威力(ゐりよく)法力(ほふりき)()小盗人(こどろぼう)(ども)其方(そなた)暴力(ばうりよく)(くは)ふることもせず()()つたのは、021(まつた)()法力(ほふりき)のいたす(ところ)022サアサア(おく)へお()りなさい』
023サンダー『(はじ)めてお()にかかります。024(わたし)はサンダーと(まを)すこの(むら)里庄(りしやう)(むすめ)(ござ)いますが、025玄真坊(げんしんばう)(さま)とやら()活神(いきがみ)(さま)当山(たうざん)天降(あまくだ)りたまひ、026所在(あらゆる)万民(ばんみん)困難(こんなん)をお(すく)(くだ)さると()き、027父母(ふぼ)()(しの)信仰(しんかう)()()(みち)をトボトボ(まゐ)りました(ところ)028(なん)(まを)しても病気(びやうき)(なや)()(うへ)029(あし)(はこ)びも(おも)ひにまかせず、030当山(たうざん)(ふもと)(おい)()()けました。031(ふみ)(なら)はぬ孱弱(かよわ)(をんな)足並(あしなみ)032グツタリと(つか)()て、033進退(しんたい)(きは)まつて路傍(ろばう)(いし)(うへ)(いき)(やす)め、034うつらうつらと居眠(ゐねむ)(をり)しも、035盗人(ぬすびと)(むれ)だと()つて(あら)はれた十五六(じふごろく)(にん)(をとこ)036(わたし)(むか)つて()ふやう、037其女(そなた)吾々(われわれ)親分(おやぶん)ヨリコ(ひめ)女帝(によてい)(さま)ぢやないか」とかう(まをし)ましたので、038何事(なにごと)(わか)りませぬがつい(うなづ)いた(ところ)039(わたし)大勢(おほぜい)(もの)()ついで此処(ここ)(まで)()れて()(くだ)さつたのですよ、040どうか玄真坊(げんしんばう)(さま)一目(ひとめ)()はして(くだ)さいませぬか』
041玄真(げんしん)貴女(あなた)のお(たづ)ねなさる玄真坊(げんしんばう)(まを)すは拙僧(せつそう)(ござ)る。042(をんな)孱弱(かよわ)()をもつて、043ようまあ一人(ひとり)()参詣(さんけい)出来(でき)ました、044(さぞ)(つか)れでせう。045どうか(わたし)居間(ゐま)にゆつくりと、046おくつろぎなさいませ』
047サンダー『ハア、048貴方(あなた)(さま)(うはさ)(たか)活神(いきがみ)(さま)049あの、050玄真坊(げんしんばう)(さま)(ござ)いましたか。051(えら)失礼(しつれい)(いた)しました』
052玄真(げんしん)『アハヽヽヽ。053やがて沢山(たくさん)老若(ろうにやく)男女(なんによ)参拝(さんぱい)する時刻(じこく)だから、054(わたくし)もこれから(いそが)しいが、055それ(まで)御用(ごよう)(おもむき)()かう。056()(わたくし)居間(ゐま)にお(いで)なさい』
057サンダー『ハイ有難(ありがた)(ござ)います』
058と、059サンダーは立派(りつぱ)岩窟(いはや)(なか)姿(すがた)(ぼつ)した。060室内(しつない)には経机(きやうづくゑ)一脚(いつきやく)きちんと()ゑられ二三冊(にさんさつ)(きん)(へり)()つた経書(きやうしよ)行儀(ぎやうぎ)よく(かざ)られてある。061一方(いつぱう)(すみ)には払子(ほつす)独鈷(どくこ)062金椀(かなわん)などの仏具(ぶつぐ)(かざ)つてあつた。063玄真坊(げんしんばう)一種(いつしゆ)色情狂(しきじやうきやう)である。064(さん)年間(ねんかん)()うて()たヨリコ(ひめ)には見放(みはな)され、065その(なさけ)によつて(わづ)かに()弟子(でし)となり、066(いささ)不平(ふへい)月日(つきひ)(おく)つて()た。067そこで絶世(ぜつせい)美人(びじん)スガコを(うま)誤魔化(ごまくわ)し、068一室(いつしつ)()()めて、069(わが)欲望(よくばう)(たつ)せむと、070(いとま)ある(ごと)口説(くどき)()つれど、071(てこ)でも(ぼう)でも(うご)かばこそ、072いつも肱鉄(ひじてつ)後足砲(あとあしはう)乱射(らんしや)()け、073意気(いき)消沈(せうちん)して()た。074(その)矢先(やさき)ヨリコ(ひめ)よりもスガコよりも幾層倍(いくそうばい)(まし)た、075天稟(てんぴん)美貌(びばう)(いう)するサンダーが(たづ)ねて()たので、076これ(さいは)(てん)(あた)へと雀躍(こをどり)し、077(この)(たび)こそはあらゆる秘術(ひじゆつ)(つく)して(たたか)ひ、078天晴(あつぱれ)勝利(しようり)月桂冠(げつけいくわん)()むものと固唾(かたづ)()んで(りき)みかへり、079(わざ)とやさしき(こゑ)にて、
080玄真(げんしん)其方(そなた)はサンダーとか()つたね。081当山(たうざん)(をんな)()として(ただ)一人(ひとり)物騒(ぶつそう)(よる)(みち)参詣(さんけい)して()るについては(なに)(ふか)仔細(しさい)があるであらう。082三千(さんぜん)世界(せかい)一切(いつさい)(すく)(わたし)救世主(きうせいしゆ)だから、083遠慮(ゑんりよ)会釈(ゑしやく)なく(ねが)(ごと)はお(はな)しなさい。084如何(いか)なる(こと)貴女(あなた)(ねが)ひは()(とど)けてあげるから』
085サンダー『ハイ、086仁慈(じんじ)(こも)つた(その)言葉(ことば)有難(ありがた)(ぞん)じます。087(わたくし)には一人(ひとり)(いもうと)(ござ)いまして、088(その)(いもうと)行方(ゆくへ)不明(ふめい)となりましたので、089いろいろと()(まは)下僕(しもべ)(ども)村人(むらびと)捜索(そうさく)して(もら)ひましたが090()うしても所在(ありか)(わか)りませぬ。091(うけたま)はりますれば、092貴方(あなた)(さま)(てん)からお(くだ)(あそ)ばし、093万民(ばんみん)をお(たす)(くだ)さるとの(こと)094(それ)(ゆゑ)(いもうと)所在(ありか)もお(たづ)(まを)せば(をしへ)(くだ)さると(おも)ひ、095失礼(しつれい)ですけれど096(たづ)ねに(まゐ)つた次第(しだい)(ござ)います』
097と、098どこ(まで)(をんな)になり()まして()る。099さうして……この生神(いきがみ)自分(じぶん)(をとこ)だと()(こと)看破(かんぱ)せないやうなら山子(やまこ)坊子(ばうず)だ、100売僧(まいす)だ。101これやどこ(まで)(ひと)つ、102(をんな)()けすまして()らねばならぬ……と、103思案(しあん)をして()たのである。104玄真坊(げんしんばう)(ほそ)まぶいやうな()をしてサンダーの(かほ)をヂロリヂロリと()(その)気分(きぶん)(わる)さ。105されどサンダーは……もしや(わが)(こひ)するスガコ(ひめ)がこの坊主(ばうず)()()めに(はか)られて、106どこかに(かく)されて()るのではあるまいか……と()()が、107咄嗟(とつさ)(うち)(おこ)つたので、108飽迄(あくまで)(をんな)でやり(とほ)さうと(かんが)へた。109玄真坊(げんしんばう)(また)110サンダーを天成(てんせい)(をんな)(おも)()み、111(ゆめ)にも(をとこ)などとは気付(きづ)かなかつたのである。
112サンダー『あの修験者(しゆげんじや)(さま)113(わたし)(いもうと)()ひたさにお(ねが)ひに(まゐ)つたので(ござ)いますが114どうでせう、115()はして(いただ)(こと)出来(でき)ますまいか。116(わたし)(いもうと)()はスガコと(まをし)まして(とし)十八(じふはち)117この(いもうと)()はしてさへ(いただ)けば、118(わたし)はどんな御用(ごよう)でも(いな)みませぬ』
119 玄真坊(げんしんばう)は、120スガコがこの(をんな)(いもうと)だと()いて、121(むね)動悸(どうき)()たせ(すこ)しは(おどろ)いたが、122元来(ぐわんらい)曲者(くせもの)123(とどろ)(むね)をグツと(おさ)素知(そし)らぬ(かほ)して、
124玄真(げんしん)『アヽお(まへ)(いもうと)はスガコと()ふのかな。125ウン()はしてやらう。126(しか)(なが)()(いもうと)()はすについて、127(わし)にも交換(かうくわん)(てき)にお(まへ)相談(さうだん)がある。128それを()いてさへ()れれば法力(ほふりき)をもつてスガコ(ひめ)此処(ここ)()()せ、129姉妹(きやうだい)対面(たいめん)をさして()げませう』
130 サンダーは、131弥々(いよいよ)此奴(こいつ)売僧(まいす)()()つたので132益々(ますます)空呆(そらとぼ)け、
133サンダー『()君様(きみさま)134どんな御用(ごよう)(ござ)いますか。135(わたし)()(かな)(こと)ならば、136(なに)なりと(あふ)せつけ(くだ)さいませ』
137玄真(げんしん)『ヨシヨシ、138そんなら(わし)(はう)から提案(ていあん)()()さう。139(ほか)でもない、140拙僧(せつそう)(てん)(めい)()け、141天下(てんか)救済(きうさい)()めに(この)聖地(せいち)(くだ)つた(もの)だ。142(それ)については、143最奥(さいあう)第一(だいいち)霊国(れいごく)(つき)大神(おほかみ)(さま)より、144今朝(こんてう)神勅(しんちよく)(くだ)り、145(いま)より半時(はんとき)(のち)(なんぢ)天成(てんせい)美人(びじん)(あた)ふる。146(その)美人(びじん)こそ最奥(さいあう)第一(だいいち)天国(てんごく)姫神(ひめがみ)147玉野姫(たまのひめ)(さま)()化身(けしん)だ。148(その)(かた)(とき)(うつ)さず夫婦(ふうふ)となり、149神業(しんげふ)参加(さんか)せよとの思召(おぼしめ)しで(ござ)つた。150其方(そなた)()らるる(とほ)り、151拙僧(せつそう)修験者(しゆげんじや)()(うへ)152女房(にようばう)()つとは、153(じつ)古来(こらい)旧慣(きうくわん)(やぶ)るに()たれども、154日進(につしん)月歩(げつぽ)155百度(ひやくど)維新(ゐしん)(いま)()(なか)156神界(しんかい)規則(きそく)(かは)つたと()え、157()拙僧(せつそう)より天下(てんか)模範(もはん)(しめ)すべく、158霊魂(みたま)()うた夫婦(ふうふ)(めい)ぜられたのです。159(まへ)さまが(にはか)此処(ここ)(まゐ)つて()たくなつたのも、160(まへ)さまに守護(しゆご)して(ござ)る、161玉野姫(たまのひめ)さまの精霊(せいれい)(みちび)いて(ござ)つたのですよ。162(まへ)さまも(わか)()をもつて、163(とし)(ちが)拙僧(せつそう)夫婦(ふうふ)となる(こと)は、164(さぞ)(おどろ)くでせう。165(しか)(なが)(てん)(めい)(こば)むべからず。166サンダーさま、167(わか)りましたかな』
168 サンダーは(あま)りの可笑(をか)しさに、169()()(ばか)(おも)はれるのをグツと(こら)へ、170素知(そし)らぬ(かほ)をして(ゑみ)(ふく)(なが)ら、
171サンダー『何事(なにごと)御用(ごよう)かと(おも)ひましたら(おも)ひもかけぬ神縁(しんえん)()説明(せつめい)172(わらは)(ごと)(けが)れた肉体(にくたい)がどうして、173(たふと)(おん)()(つま)となる(こと)出来(でき)ませう。174そんな()冗談(じやうだん)はやめて(くだ)さい、175()うしても(わらは)(しん)ずる(こと)出来(でき)ませぬ』
176 玄真坊(げんしんばう)はここぞ一生(いつしやう)懸命(けんめい)と、177全身(ぜんしん)智勇(ちゆう)推倒(すゐたう)熱血(ねつけつ)(そそ)いで、178身体(しんたい)(まへ)()りだし179サンダーの()をグツと(にぎ)つて(ふた)()()すり、
180玄真(げんしん)『これこれお(ぢやう)さま、181()不思議(ふしぎ)(もつと)(なが)ら、182(けつ)して(かみ)(いつは)りはありませぬよ。183貴女(あなた)(いもうと)にも()ひ、184(また)神界(しんかい)()ける(まこと)(をつと)()(こと)出来(でき)るのですから、185こんな幸福(かうふく)(あり)ますまい。186貴女(あなた)(てん)(めい)(したが)つて、187(わたくし)(つま)にお()りなさるのなら屹度(きつと)(かみ)(さま)はお(いもうと)()はして(くだ)さらうし、188(また)貴女(あなた)(かみ)(さま)思召(おぼしめ)しに(そむ)き、189拙僧(せつそう)(つま)となるのを(いな)まるるに(おい)ては、190(かみ)(さま)もお妹御(いもうとご)()はしては(くだ)さいますまい。191サア、192(ここ)思案(しあん)仕処(しどころ)だ、193()返事(へんじ)をするがよいぞや』
194サンダー『不束(ふつつか)なる、195繊弱(かよわ)経験(けいけん)なき(わらは)(たい)し、196(かみ)(さま)(なに)()りませぬが、197有難(ありがた)思召(おぼしめ)しをおかけ(くだ)さいますのは冥加(みやうが)(あま)つて有難(ありがた)(ぞん)じます。198(しか)(なが)(わらは)(いもうと)(さき)()はして(もら)はねば、199(なん)仰有(おつしや)つても()命令(めいれい)(したが)(こと)出来(でき)ませぬ。200信仰(しんかう)(あさ)吾々(われわれ)201まだ貴方(あなた)(さま)(たい)して(かみ)(さま)()化身(けしん)とも(しん)ずる(こと)出来(でき)ませぬ。202(それ)(ゆゑ)絶対(ぜつたい)(てき)服従(ふくじゆう)出来(でき)ないので(ござ)います。203(しか)(なが)(いま)()つてお()にかかつた(ばか)りの(わたくし)204不思議(ふしぎ)()神徳(しんとく)()せて(もら)はないのですから、205(うたが)つて()みませぬが、206どうか其所(そこ)大目(おほめ)()(くだ)さいませ』
207玄真(げんしん)(いま)(まで)(かみ)のかの()()らなかつたお(まへ)さまだもの、208早速(さつそく)信用(しんよう)出来(でき)ないのも無理(むり)とは()はぬ。209(しか)(なが)ら、210ここ(まで)大勢(おほぜい)(ひと)()神徳(しんとく)(いただ)き、211随喜(ずゐき)渇仰(かつかう)して()るのだから、212そこはそれ、213(かみ)(かみ)でないか賢明(けんめい)なる其女(そなた)214推察(すゐさつ)したがよからうぞ』
215サンダー『()うしてもスガコ(ひめ)()はしては(くだ)さいませぬか』
216玄真(げんしん)(てん)(めい)()かない其女(そなた)には()はす(こと)絶対(ぜつたい)出来(でき)ない。217(いもうと)()(たく)(かみ)(めい)(ほう)じ、218拙僧(せつそう)夫婦(ふうふ)になりますか。219拙僧(せつそう)だとて、220(とし)()つてから女房(にようばう)なんか()つのは迷惑(めいわく)だが、221(てん)(めい)には(そむ)(がた)く、222国家(こくか)万民(ばんみん)()め、223(いま)(まで)(けが)した(こと)のない清浄(しやうじやう)無垢(むく)(この)(からだ)犠牲(ぎせい)(きよう)するのだ。224未来(みらい)のキリストとやらも十字架(じふじか)(せお)つて万民(ばんみん)(すく)つたぢやないか、225其女(そなた)()()めに犠牲(ぎせい)になる誠心(まごころ)はないか。226(それ)では最奥(さいあう)第一(だいいち)天国(てんごく)玉野姫(たまのひめ)御霊(みたま)とは(まを)されませぬぞ』
227サンダー『(わらは)玉野姫(たまのひめ)御霊(みたま)であらうが、228狸姫(たぬきひめ)御霊(みたま)()らうが、229霊界(れいかい)(こと)(すこ)しも()(かい)しませぬ。230唯々(ただただ)貴方(あなた)(さま)()神徳(しんとく)によつて、231(いもうと)()はして(くだ)さいますれば、232それで満足(まんぞく)(ござ)います。233()うしても()はして(くだ)さらぬなら、234是非(ぜひ)がありませぬ、235(おほせ)(したが)つて貴方(あなた)(つま)になりませう。236(しか)(なが)(わたし)大切(たいせつ)(うみ)(はは)(わか)れてから(わづ)かに(ろく)(げつ)237忌中(きちう)()(ござ)いますから、238(いち)(ねん)結婚式(けつこんしき)をお()ばし(くだ)さい。239それをお(ゆる)(くだ)されば(この)身体(からだ)(かみ)(さま)(さし)()げます。240(いな)貴方(あなた)()自由(じいう)(まか)します』
241玄真(げんしん)『ア早速(さつそく)()承知(しようち)242満足(まんぞく)々々(まんぞく)243(しか)しサンダー(ひめ)(さま)244いや女房(にようばう)殿(どの)245さう固苦(かたくる)しく(いち)(ねん)()たないでも()いぢやないか。246(てん)(かみ)(さま)のお(ゆる)しだもの、247()禁厭(まじなひ)といつて(かた)さへすればよいのだ。248もう(ろく)(げつ)()れたのだから、249そんなにせなくても()からう。250(この)(をつと)(まか)して()いたら(よろ)しからう。251なア、252サンダー(ひめ)
253254(こゑ)(いろ)(まで)かへて()()でる(その)(いや)らしさ。
255サンダー『もし、256玄真坊(げんしんばう)(さま)257貴方(あなた)(つま)になる(こと)(やく)しました以上(いじやう)は、258早晩(さうばん)結婚(けつこん)(いた)さねばなりますまい。259どうか(いち)()(はや)(いもうと)一目(ひとめ)()はして(くだ)さいませぬか、260屹度(きつと)最愛(さいあい)(つま)(ねが)(ごと)261()いて(くだ)さらないやうな(をつと)では(ござ)いますまいなア』
262玄真(げんしん)『ウム、263()はしてやり()いは山々(やまやま)なれど、264(じつ)(ところ)はスガコ(ひめ)は、265一寸(ちよつと)(おれ)関係(くわんけい)があるのだ。266それだから第一(だいいち)夫人(ふじん)と、267第二(だいに)夫人(ふじん)()をむき()胸倉(むなぐら)(つか)()ひをせられては、268(おれ)一寸(ちよつと)(こま)るから()はさないと()ふのだ。269()はしても、270よもや嫉妬(しつと)(いた)すまいな。271嫉妬(しつと)さへ()くば何時(いつ)でも()はしてやらう』
272サンダー『ハイ、273有難(ありがた)(ござ)います。274(なん)()つても(もと)姉妹(きやうだい)ですもの、275(なに)276嫉妬(しつと)なんかしますものか。277仮令(たとへ)(いもうと)気儘(きまま)(こと)(まを)しましても、278(わたし)仲裁(ちうさい)(いた)貴方(あなた)(さま)()(こころ)()ふやう、279取計(とりはか)らつて()げますわ』
280玄真(げんしん)『エヘヽヽヽ、281(なん)でもお(まへ)(あね)権力(けんりよく)をもつて、282(いもうと)()()けて()れると()ふのか、283それは結構(けつこう)だ。284(じつ)(ところ)(わが)女房(にようばう)とは()ふものの、285スガコは、286(すべ)つたの、287(ころ)んだのと()うて、288まだ(わが)要求(えうきう)(おう)ぜないのだ。289しかし其方(そなた)はスガコに(くら)ぶれば幾層倍(いくそうばい)美人(びじん)だ、290其方(そなた)(かほ)()てから、291スガコに(たい)する恋着心(れんちやくしん)もどこかへ()つて仕舞(しま)つたやうだ』
292サンダー『可愛(かあい)さうに、293そんな水臭(みづくさ)(こと)(おほ)せられますと(いもうと)()きますよ。294ほんに水臭(みづくさ)旦那(だんな)(さま)だこと。295(わらは)だつて(また)(わらは)(まさ)美人(びじん)()つかつた(とき)は、296キツト(また)さう仰有(おつしや)るでせう。297そんなことを(おも)うと(にく)らしくなつて()ましたわ』
298と、299玄真坊(げんしんばう)(はな)(おも)ふざま()()げた。300玄真坊(げんしんばう)(うつつ)になつて()るのだから、301()から(なみだ)()(ところ)(まで)(はな)(ねぢ)()げられながら、302サンダーが()れて()るのだと(おも)垂涎(よだれ)(なみだ)一緒(いつしよ)()らし、
303玄真(げんしん)『オイ、304サンダー(ひめ)305(なに)をするのだ。306ほんに(いた)()()はすぢやないか』
307サンダー『それやさうですとも、308可愛(かあい)(あま)つて(にく)さが百倍(ひやくばい)ですよ。309(はや)(いもうと)()()いものだなア。310(いもうと)()つて(おも)存分(ぞんぶん)(はな)(つめ)つて()たいわ』
311玄真(げんしん)『スガコだつて、312さう(はな)(つま)んでは可愛(かあい)さうだよ。313どうか可愛(かあい)がつてやつて()れ。314さうして悋気(りんき)をしないやうにのう』
315サンダー『(なに)316貴方(あなた)悋気(りんき)をしてなりますものか。317一方(いつぱう)可愛(かあい)可愛(かあい)(をつと)318一方(いつぱう)可愛(かあい)可愛(かあい)(いもうと)ですもの、319その可愛(かあい)(いもうと)(なぐさ)めて(くだ)さる(をつと)猶更(なほさら)可愛(かあい)いなり、320(また)可愛(かあい)(をつと)(なぐさ)めて()れる(いもうと)猶々(なほなほ)可愛(かあい)いぢやありませぬか』
321玄真(げんしん)成程(なるほど)貴女(そなた)(ひら)けたものだ。322天晴(あつぱれ)女丈夫(ぢよぢやうぶ)だ。323(あい)三角(さんかく)関係(くわんけい)()へば三方(さんぽう)(かど)()つて()るものだが、324(まへ)のやうに()()れれば三角(さんかく)関係(くわんけい)円満(ゑんまん)具足(ぐそく)325望月(もちづき)のやうな立派(りつぱ)家庭(かてい)(いとな)まれるであらう。326ヤ、327目出度(めでた)目出度(めでた)い』
328サンダー『(きね)一本(いつぽん)(うす)二挺(にちやう)329これさへあれや立派(りつぱ)(もち)()けませう。
330(この)よをば(わが)()ぞと(おも)望月(もちづき)
331()げたる(こと)のなしと(おも)へば
332とか()(うた)(とほ)り、333円満(ゑんまん)なホームを(つく)つて(たの)しみませうよ。334あゝ(はや)(いもうと)()ひたいものだなア』
335大正一三・一二・一六 旧一一・二〇 於祥雲閣 加藤明子録)

王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!

目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→