霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第七章 武力鞘(ぶりきざや)〔一七〇九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第67巻 山河草木 午の巻 篇:第2篇 春湖波紋 よみ:しゅんこはもん
章:第7章 第67巻 よみ:ぶりきざや 通し章番号:1709
口述日:1924(大正13)年12月27日(旧12月2日) 口述場所:祥雲閣 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年8月19日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm6707
愛善世界社版: 八幡書店版:第12輯 63頁 修補版: 校定版:90頁 普及版:68頁 初版: ページ備考:
001 ヨリコ(ひめ)甲板(かんばん)()つて、002平和(へいわ)湖面(こめん)(うち)(なが)め、003(こゑ)(すず)しく(うた)ふ。
004久方(ひさかた)大空(おほぞら)(たか)(そび)えたる
005オーラの(やま)(かすみ)けり
006常夜(とこよ)(やみ)もハルの(うみ)
007うつ小波(さざなみ)()(きよ)
008(わが)船舷(ふなばた)(つづみ)うつ
009千波(せんぱ)万波(ばんぱ)(しわ)(うみ)
010()()波切丸(なみきりまる)(うへ)
011(てん)より(たか)()(はな)
012(きよ)御教(みのり)()(なが)
013彼方(あなた)(きし)(すす)()
014(こころ)(くも)りしヨリコ(ひめ)
015村雲(むらくも)はらす時津風(ときつかぜ)
016(こころ)(やみ)(はら)はれて
017(すみ)わたりたる(うみ)(うへ)
018小鳥(ことり)千代(ちよ)(うた)ひつつ
019(つばさ)(ひろ)げてアンボイナ
020(かみ)(かがや)頭上(づじやう)をば
021前後左右(ぜんごさいう)()びかへて
022(わが)行手(ゆくて)をば(まも)(ごと)
023()ゆるも(ゆか)(なみ)(うへ)
024(おほ)(ちひ)さき島々(しまじま)
025パインの木蔭(こかげ)宿(やど)しつつ
026彼方(あなた)此方(こなた)(ただよ)ひて
027(なが)めも(きよ)今日(けふ)(たび)
028(たちま)(きた)夜嵐(よあらし)
029(たけ)びに(ふね)中天(ちうてん)
030()()げられて暗礁(あんせう)
031苦難(くなん)(のが)(たま)()
032(いのち)無事(ぶじ)(たも)ちしも
033三五教(あななひけう)(つか)へたる
034梅公(うめこう)(きみ)御恵(おんめぐみ)
035(かみ)稜威(みいづ)()のあたり
036(あら)はれませし(たふと)さよ
037(ふね)()(なみ)(しづか)(たち)(なら)
038魚鱗(ぎよりん)(しづ)かにまたたきて
039天津日影(あまつひかげ)宿(やど)しつつ
040()太平(たいへい)(うた)ふなり
041(たぐひ)(まれ)なる()(きみ)
042(やさ)しき言葉(ことば)(みちび)かれ
043根底(ねそこ)(くに)(あと)にして
044常磐(とは)(はな)()天津神(あまつかみ)
045(しづ)まりゐます御国(おんくに)
046(すす)みて()かむ心地(ここち)こそ
047(わが)()(この)()(うま)れてゆ
048まだ(ためし)なき(よろこ)びの
049(なみだ)(そで)はうるほひぬ
050あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
051(かみ)(まも)らす(この)(ふね)
052スガの(みなと)(わた)るてふ
053げにスガスガし(あが)(こころ)
054(なに)(たとへ)(もの)もなし
055二八(にはち)(はる)花盛(はなざか)
056(こころ)(あらし)()きすさび
057よからぬ(ひと)()()いて
058(まが)醜業(しこわざ)(たく)らみつ
059オーラの(やま)(とりで)をば
060千代(ちよ)住家(すみか)(さだ)めつつ
061(つみ)(かさ)ねし(くや)しさよ
062(かみ)(めぐみ)(あさ)からず
063(わが)()(うん)()きずして
064かくも目出(めで)たき神教(みをしへ)
065(すす)()りしは天地(あめつち)
066(かみ)(めぐみ)(かしこ)みて
067(あさ)(ゆふ)なに(おこた)らず
068(その)御徳(おんとく)感謝(かんしや)しつ
069(はれ)(わた)りたる(むね)(そら)
070大日(おほひ)(きよ)()(わた)
071月影(つきかげ)(きよ)()みきりて
072(ほし)(またた)きいと(たへ)
073(かぜ)不断(ふだん)音楽(おんがく)
074(かな)でまつりて神々(かみがみ)
075(ふか)稜威(みいづ)(あら)はせり
076(とき)しもあれや大高島(おほたかじま)
077如何(いか)なる(かみ)(はか)らひか
078下津岩根(したついはね)(そこ)(ふか)
079つき()ちたりと(きこ)えしが
080(なん)()もなく()るうちに
081水泡(みなわ)()えて(あと)もなく
082(その)(いただ)きに永久(とこしへ)
083(たち)(なら)びたる夫婦岩(めうといは)
084(にはか)(けもの)()(へん)
085(たか)岩座(いはくら)相放(あひはな)
086屠所(としよ)()かるる(ひつじ)なす
087(あはれ)姿(すがた)トボトボと
088(いは)虚隙(きよげき)(つた)ひつつ
089猿捕荊(さるとりいばら)()(やぶ)
090(あるひ)(ころ)(また)(たふ)
091(かしら)(した)()(うへ)
092(やうや)磯辺(いそべ)(くだ)りつき
093(なみ)(わた)つて(にげ)()せぬ
094あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
095オーラの(やま)永久(とこしへ)
096(かみ)(いつは)()(ひと)
097(あざむ)(なや)(わが)威勢(ゐせい)
098四方(よも)()らむと(おも)ひしを
099(おも)(かへ)せば(おろか)なる
100(たく)みとこそは()られけり
101(とほ)神代(かみよ)(むかし)より
102常磐堅磐(ときはかきは)(この)(うみ)
103(ひかり)ともなり(はな)となり
104湖中(こちう)(わう)(うやま)はれ
105万民(ばんみん)憧憬(どうけい)(まと)となり
106(とき)めき(わた)りし岩島(いはじま)
107(たちま)(てん)(とき)(いた)らば
108かくも無残(むざん)()せにける
109(これ)(おも)へば(ひと)()
110(なほ)(さら)果敢(はか)なきものならむ
111大黒主(おほくろぬし)(いきほひ)
112天地(てんち)(つらぬ)()あり(とも)
113(かみ)(いまし)(くだ)りなば
114(あさひ)(しも)()ゆる(ごと)
115(なつ)(こほり)()くる(ごと)
116はかなく()えむ惟神(かむながら)
117(かみ)(ちから)(おそ)ろしや
118シーゴーの(つかさ)(さいは)ひに
119(かみ)大道(おほぢ)(すす)()
120(まが)関所(せきしよ)(のり)()えて
121(いま)高天(たかま)花苑(はなぞの)
122(かよ)旅路(たびぢ)となりにけり
123(わが)(いもうと)花香姫(はなかひめ)
124(をしへ)(きみ)(ともな)はれ
125千里(せんり)波濤(はたう)(うち)(わた)
126万里(ばんり)広野(くわうや)跋渉(ばつせう)して
127(かみ)(おん)(ため)()(ため)
128(つく)さむ()とはなりにけり
129()れも(いもうと)惟神(かむながら)
130(たふと)(かみ)(すく)はれて
131(あさひ)のただ()神国(かみくに)
132(いさ)()くこそ(うれ)しけれ
133あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
134(かみ)御前(みまへ)(つつし)みて
135吾等(われら)前途(ぜんと)(さち)あれと
136天地(てんち)(むか)つて()(まつ)
137(かしこ)(ゐやま)(ねぎ)(まつ)る』
138花香姫(はなかひめ)(うみ)(おも)()()(とり)(つばさ)こそ
139(はな)(てふ)かと()まがひにける。
140大高島(おほたかじま)(おと)さへ()てず湖底(うなそこ)
141(しづ)みしを()()(うつ)るをさとる。
142うつり()御代(みよ)(あふぎ)(すゑ)(ひろ)
143(さか)ゆる(はる)花香(はなか)をぞ()つ』
144シーゴー『島々(しまじま)泰然自若(たいぜんじじやく)(なみ)()くを
145大高島(おほたかじま)(あはれ)はかなさ。
146(ゆき)かひの(ふね)(なや)めし岩島(いはじま)
147あへなく()せて水泡(みなわ)となりぬ。
148(わが)(むね)()ぐひし(まが)岩島(いはじま)
149あはれを()ては水泡(みなわ)ときえぬ。
150天地(あめつち)(なか)はら(わた)(この)(ふね)
151(かみ)(すく)ひの御梯(みはし)とぞ(おも)ふ。
152常世(とこよ)()(やみ)(てら)せし島山(しまやま)
153(いま)根底(ねそこ)(しづ)みけるかな。
154(たか)きより(ひく)きにおつる()のならひ
155(われ)もオーラの(やま)(くだ)りつ。
156水平(すいへい)(なみ)()(わた)(この)(ふね)
157皇大神(すめおほかみ)御姿(みすがた)なるらむ。
158惟神(かむながら)水平線(すいへいせん)(すべ)()
159波切丸(なみきりまる)姿(すがた)(いさ)まし』
160梅公(うめこう)()わたせば波間(なみま)にきらめく御光(みひかり)
161千々(ちぢ)(くだ)くる神影(みかげ)なるらむ。
162四海(しかい)(なみ)いとも(しづか)におさまりて
163大高山(おほたかやま)(かげ)だにもなし。
164大高山(おほたかやま)雲間(くもま)(たか)(なみ)()
165うかびて(ひと)(なや)ませにける。
166()(つき)大高山(おほたかやま)(いただ)きに
167(おほ)はる(なや)みなきぞ(うれ)しき』
168 梅公(うめこう)169ヨリコ(ひめ)170花香姫(はなかひめ)171シーゴーは階段(かいだん)(くだ)り、172各自(かくじ)船室(せんしつ)()つて(ひぢ)(まくら)(よこ)たはつた。173デッキの(うへ)には色々(いろいろ)雑談(ざつだん)(はじ)まつてゐる。174()るからに()のくるりとした(いろ)(くろ)い、175一癖(ひとくせ)(あり)さうな大男(おほをとこ)176十数人(じふすうにん)船客(せんきやく)(なか)胡坐(あぐら)をかき177傍若無人的(ばうじやくぶじんてき)武術(ぶじゆつ)自慢話(じまんばなし)をやつてゐる。
178バラック『もし、179(まへ)さまは一見(いつけん)した(ところ)180中々(なかなか)豪勇(がうゆう)()えるが、181角力(すまう)さまですか、182(ただ)しは武術家(ぶじゆつか)ですか』
183ドラック『(おれ)かい、184(おれ)(わか)(とき)や、185角力(すまう)随分(ずいぶん)()つたものだ。186そして日下開山(ひのしたかいさん)横綱(よこづな)を、187一度(いちど)()つたものだよ。188ハルナの(みやこ)大相撲(おほずまう)(とき)にや随分(ずいぶん)面白(おもしろ)かつたね。189十日(とをか)角力(すまう)十日(とをか)(まで)(つち)つかずで、190大変(たいへん)人気(にんき)だつたよ。191数万(すうまん)見物人(けんぶつにん)()(をど)らせた(こと)といつたら、192前古(ぜんこ)未曽有(みぞう)といふ評判(ひやうばん)だつた。193(まへ)()いて()るだらうが、194日下開山(ひのしたかいさん)ドラック(やま)といふのは(おれ)(こと)だ。195(これ)()(たま)へ、196(おれ)(かひな)(まる)(てつ)のやうだ。197何程(なにほど)(つよ)(をとこ)でも、198グツと(ひと)(にぎ)るが最後(さいご)199(いき)がつまり(むね)がつかへ、200(あを)くなつて(しま)ふのだ。201そして(もの)()へなくなるのだ。202(あま)(ちから)(つよ)いので、203どの力士(りきし)(この)力士(りきし)もドラック(やま)にかかつちや勝目(かちめ)がないといふので、204(しま)ひの(はて)にや相手(あひて)がなくなつたのだ。205相手(あひて)なしに一人角力(ひとりずまう)とる(わけ)にもゆかず、206(やむ)()力士(りきし)廃業(はいげふ)して、207(いま)剣道(けんだう)師範(しはん)(けん)柔術(じうじゆつ)師範(しはん)になつたのだよ』
208バラ『成程(なるほど)209いかにも(つよ)さうな(うで)(ぷし)ですなア。210(しか)(なが)(それ)(ほど)(つよ)いお(まへ)さまが、211海賊(かいぞく)親分(おやぶん)コーズが襲来(しふらい)した(とき)に、212なぜ彼奴(あいつ)をとつつめて(くだ)さらなかつたのですか。213所謂(いはゆる)(たから)(もち)ぐさりぢやありませぬか』
214ドラ『(その)(とき)にや、215自分(じぶん)船室(せんしつ)安楽(あんらく)(ゆめ)()てゐたものだから、216チツとも()らなかつたよ。217(うで)がなつて、218()()いて、219相手(あひて)がほしくつて、220脾肉(ひにく)(たん)にたえない(おれ)だもの、221海賊(かいぞく)親玉(おやだま)(おそ)うて()たと()きや、222どうして(おれ)見逃(みのが)すものか。223あとから、224本当(ほんたう)(ひと)(うはさ)()いて、225取返(とりかへ)しのつかない末代(まつだい)(そん)をしたものだと、226(こころ)(ひそ)かに(くや)んでゐたのだよ』
227バラ『貴方(あなた)(やう)豪勇(がうゆう)同船(どうせん)して()れば、228(わたし)も、229(この)航海(かうかい)安心(あんしん)(いた)しますワ。230(これ)(まつた)神様(かみさま)御恵(おめぐみ)だと感謝(かんしや)せざるを()ませぬ』
231ドラ『ウン、232(なに)心配(しんぱい)はいらぬ。233剣術(けんじゆつ)世界中(せかいぢう)(おれ)()(もの)は、234マア、235現代(げんだい)では一人(ひとり)もなからうよ。236角力(すまう)では、237雷電(らいでん)為右衛門(ためうゑもん)238小野川(をのがは)239谷風(たにかぜ)240梅ケ谷(うめがたに)241常陸山(ひたちやま)(ぐらゐ)(そく)にゆふて()ても、242てんで、243角力(すまう)にならぬのだからな。244(また)剣道(けんだう)柔術(じうじゆつ)にかけたら、245ゴライヤスに宮本(みやもと)武蔵(むさし)246塚原(つかはら)卜伝(ぼくでん)247野見(のみ)宿弥(すくね)(ばん)団右衛門(だんうゑもん)248岩見(いはみ)重太郎(ぢうたらう)249荒木(あらき)又右衛門(またうゑもん)などが(そく)(ゆふ)()ても足許(あしもと)へもよりつけぬのだから(たい)したものだよ。250(しか)(なが)(あま)(つよ)すぎて相手(あひて)のないのも(さび)しいものだ。251(なん)とかして(つよ)相手(あひて)にブツつかりたいものだが、252タカが海賊(かいぞく)親分(おやぶん)(ぐらゐ)では、253実際(じつさい)(こと)いふと、254()ごたえがしないのだからな』
255 バラックは呆気(あつけ)にとられ、256怪訝(けげん)(かほ)して(した)をまいてゐる。257大勢(おほぜい)船客(せんきやく)はドラックの大法螺(おほぼら)()にうけ、258(かた)をいからし(なが)豪勇談(がうゆうだん)興味(きようみ)()ち、259チクリチクリと(ひざ)をにじりよせ、260何時(いつ)()にか、261ドラックを(とり)()いて貝細工(かひざいく)(つく)つた洋菊(やうぎく)(はな)のやうにして(しま)つた。
262 チエックといふ一人(ひとり)商人風(せうにんふう)(をとこ)(おそ)(おそ)る、263ドラックに(むか)つて、
264『モシ、265先生(せんせい)それ(ほど)(つよ)いお(かた)なら、266()(なか)(おそ)るべき(もの)(ひと)つもないでせうな』
267ドラ『そらさうだ。268(ゆみ)でも鉄砲(てつぱう)でも、269大砲(たいはう)でも(なん)でも(かん)でも、270(おれ)にかかつちや駄目(だめ)だ。271(この)拳骨(げんこつ)で、272(ひと)つグワンと、273(この)帆柱(ほばしら)でもなぐらうものなら、274根元(ねもと)からポクリと()れて(しま)ふよ。275それだから、276天下(てんか)(てき)なしといふのだ。277マア君達(きみたち)安心(あんしん)(たま)へ。278(おれ)(この)(ふね)()つてゐる以上(いじやう)は、279仮令(たとへ)千人(せんにん)万人(まんにん)海賊(かいぞく)()たつて、280()(ひと)つひつたらしまひだ。281ドラックの()()いてさへも(ちぢ)(あが)つて(しま)ふからな』
282チエック『(なん)とマア、283(わたし)(たち)仕合(しあは)せなものでせう。284それ(ほど)(ちから)(つよ)い、285武術(ぶじゆつ)達者(たつしや)なお(きやく)さまと同船(どうせん)するとは、286(まつた)先祖様(せんぞさま)のお手引(てびき)でせう。287安心(あんしん)して国許(くにもと)(かへ)らして(いただ)きます。288本当(ほんたう)貴方(あなた)活神(いきがみ)さまのやうなお(かた)ですな。289(しか)夜前(やぜん)コーズの頭目(とうもく)(この)(ふね)(あが)つて()(とき)290うす(くら)がりの(なか)から、291繊弱(かよわ)(をんな)(あら)はれて、292(おそ)ろしい海賊(かいぞく)を、293(みな)湖中(こちう)投込(なげこ)んで(しま)ひ、294吾々(われわれ)着物(きもの)(とり)(かへ)して(くだ)さつたのは、295本当(ほんたう)有難(ありがた)(こと)でした。296あの(かた)貴方(あなた)のお弟子(でし)ぢや(ござ)いませぬか』
297ドラ『ウン、298(すべ)(すこ)()()いた(やつ)ア、299(みな)(おれ)教育(けういく)をうけてるのだ。300(あま)沢山(たくさん)弟子(でし)だから、301スツカリ、302(かほ)()(おぼ)えてゐないが、303(つき)(くに)七千余国(しちせんよこく)武術家(ぶじゆつか)(みな)(おれ)部下(ぶか)()つても差支(さしつかへ)なからうよ。304各取締所(かくとりしまりしよ)捕手連(とりてれん)全部(ぜんぶ)(おれ)剣術(けんじゆつ)柔術(じうじゆつ)(まな)んだのだからな。305そして(その)(をんな)といふのは何者(なにもの)だか、306(まへ)(たち)()つてゐるだらうな。307()()いておいたか』
308バラック『(なん)でも(てん)から(にはか)(くだ)つて()女神(めがみ)さまが309吾々(われわれ)危難(きなん)(すく)つて(くだ)さつたのだらうと、310一般(いつぱん)(うはさ)だ。311何程(なにほど)武術(ぶじゆつ)達者(たつしや)だと()つても、312人間(にんげん)なれば、313(をんな)分際(ぶんざい)として、314あんな(はな)(わざ)出来(でき)ないからな』
315チエ『それでも、316バラックさま、317(しばら)くすると(やみ)(なか)(あら)はれた美人(びじん)(おな)じやうなスタイルの(をんな)が、318甲板(かんばん)(うへ)へあがつて()て、319ヨリコ(ひめ)だとか(なん)とか()つて、320自分(じぶん)(たす)けたやうな(こと)(うた)つてゐましたよ』
321バラ『ナアニ、322(ひと)手柄(てがら)横取(よこどり)せうと(おも)(やつ)(おほ)時節(じせつ)だから、323あんな(こと)()つて、324(われ)信用(しんよう)をつながうとしよつた奸策(かんさく)だよ。325(いま)()(なか)(やつ)ア、326(くち)では立派(りつぱ)(つよ)さうな(こと)(ぬか)(やつ)(ばか)りで、327サア鎌倉(かまくら)となつたら、328手足(てあし)はガタガタ(むね)はドキドキ(くちびる)ビルビル、329ヘコタレ(ごし)になつて、330()げまわすといふ代物(しろもの)(ばか)りだからな。331()(かく)大言壮語(たいげんさうご)のはやる時節(じせつ)だ。332そして今日(こんにち)(むかし)(ちが)ひ、333……桃季(たうり)(もの)いはざれ(ども)334(おのづか)小径(せうけい)をなす……といふやうな、335まどろしい(こと)(たれ)(かんが)へてゐない。336自家(じか)広告(くわうこく)(さか)んにやる時節(じせつ)だから、337手際(てぎは)拝見(はいけん)しなくちや、338(たれ)だつて信用(しんよう)するこた出来(でき)やしないワ、339アツハヽヽヽ』
340ドラ『コレコレ、341バラックさま、342(おれ)(まへ)で、343そんな悪口(あくこう)をつくといふ(こと)があるものか。344(まへ)(おれ)最前(さいぜん)いつた(こと)大言壮語(たいげんさうご)だと(おも)つてゐるのだなア。345(おれ)(たち)は、346言心行(げんしんかう)一致(いつち)だから、347(けつ)して(うそ)()はないよ。348(うそ)(おも)ふなら、349一寸(ちよつと)(その)(うで)()(たま)へ、350(ひと)(にぎ)つて()せてやらう』
351バラ『イヤもう、352(おそ)()りました。353(けつ)して(けつ)して、354(まへ)さまを信用(しんよう)せないのぢやありませぬ。355言心行(げんしんかう)一致(いつち)のお(まへ)さまとは(じつ)見上(みあ)げたものだ。356今日(こんにち)()(なか)(くち)(こころ)がスツカリ反対(はんたい)になつて()(もの)(ばか)りだから、357せめて言心(げんしん)一致(いつち)ならまだしもだが、358(いつはり)高慢(かうまん)との流行(りうかう)する悪社会(あくしやくわい)ですからな』
359ドラ『(おれ)豪勇(がうゆう)たる(こと)がお(まへ)(たち)合点(がつてん)がいつたとあらば(ゆる)してやる。360毛筋(けすぢ)横巾(よこはば)(ほど)でも、361疑惑(ぎわく)をさし(はさ)むのなら、362(ろん)より証拠(しようこ)言心行(げんしんかう)一致(いつち)()かけて、363(うで)なり(かた)なり、364一握(ひとにぎ)(にぎ)つてみせてやる(つもり)だつたが、365()(ほね)(くだ)けるのが(たす)かつて、366(まへ)仕合(しあは)せだつたよ、367アツハヽヽヽ』
368傍若無人(ばうじやくぶじん)(わら)ふ。
369 かく(はな)(をり)しも数隻(すうせき)海賊船(かいぞくせん)370島影(しまかげ)より(あら)はれ(きた)り、371波切丸(なみきりまる)前後左右(ぜんごさいう)より取囲(とりかこ)縄梯子(なはばしご)()げかけ、372兇器(きようき)(たづさ)(なが)ら、373コーズが指揮(しき)(もと)に、374数十人(すうじふにん)375バラバラと甲板(デッキ)(のぼ)つて()た。
376チエ『ヤ、377先生(せんせい)378海賊(かいぞく)がやつて()ました。379どうか天下無双(てんかむさう)豪力(がうりき)()して、380海賊(かいぞく)(こら)しめて(くだ)さい』
381バラ『サア、382先生(せんせい)383(いま)先生(せんせい)のお(ちから)(あら)はれ(どき)です。384(わたし)もお手伝(てつだ)ひしますから、385やつて(くだ)さいな』
386ドラ『アイタヽヽヽヽ。387あ、388(にはか)腹痛(ふくつう)(いた)し、389(こし)()たなくなつたワイ。390(うん)(わる)(とき)(わる)いものだ。391エ、392残念(ざんねん)だな。393(はら)さへ(いた)くなくば、394海賊(かいぞく)百疋(ひやつぴき)千疋(せんびき)ひねりつぶしてやるのだけどなア』
395とガタガタと(くちびる)紫色(むらさきいろ)(そめ)(ふる)(をのの)いてゐる。
396 コーズは数十人(すうじふにん)手下(てした)指揮(しき)(なが)ら、397()甲板(デッキ)より()(まど)船客(せんきやく)()つつかまへて赤裸(まつぱだか)となし、398ドラックも(また)同様(どうやう)に、399持物(もちもの)一切(いつさい)掠奪(りやくだつ)され、400赤裸(まつぱだか)にむかれて(しま)つた。401コーズは(いきほひ)(じやう)じ、402階段(かいだん)(くだ)つて、403船室(せんしつ)(すす)()つた。404デッキの(うへ)老若男女(らうにやくなんによ)右往左往(うわうさわう)()けまわり405阿鼻叫喚(あびけうくわん)地獄道(ぢごくだう)現出(げんしゆつ)してゐた。
406大正一三・一二・二 新一二・二七 於祥雲閣 松村真澄録)
   
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