霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一〇章 宗匠財(そうしやうざい)〔一七三四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第68巻 山河草木 未の巻 篇:第3篇 民声魔声 よみ(新仮名遣い):みんせいませい
章:第10章 宗匠財 よみ(新仮名遣い):そうしょうざい 通し章番号:1734
口述日:1925(大正14)年01月29日(旧01月6日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年9月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
バランス解放を求める民衆の勢いに、ついに大目付頭もバランスを解放する。
大目付頭はバランスの申し立てを調査するため、タルチンを拘引する。
タルチンは逆に理屈で大目付頭を言い負かし、釈放される。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2018-06-28 06:35:00 OBC :rm6810
愛善世界社版:136頁 八幡書店版:第12輯 201頁 修補版: 校定版:137頁 普及版:69頁 初版: ページ備考:
001 取締所(とりしまりしよ)中心(ちうしん)とし附近(ふきん)()ける民衆(みんしう)(さむらひ)との闘争(とうさう)は、002(いち)()(たけなは)となつて()たが003民衆(みんしう)救主(すくひぬし)004貧民(ひんみん)慈母(じぼ)尊敬(そんけい)されて()大頭目(だいとうもく)のバランスを取返(とりかへ)さむとして、005民衆(みんしう)一般(いつぱん)(ぢぢ)(ばば)も、006脛腰(すねこし)()つもの、007(ねこ)杓子(しやくし)刻々(こくこく)(あつ)まり(きた)()(いきほひ)(すさま)じく、008目付隊(めつけたい)(さむらひ)如何(いかん)ともすべからず、009(つひ)大目付頭(おほめつけがしら)()()つてバランスの(なは)()き、010民衆(みんしう)との妥協(だけふ)(はか)011()つ、0111諫言(かんげん)申上(まをしあ)げる(こと)となし、012茶坊主(ちやばうず)召喚(せうくわん)して(こと)実否(じつぴ)調査(てうさ)した(うへ)013左守(さもり)(せがれ)アリナを民衆(みんしう)(まへ)にて重刑(ぢうけい)(しよ)(こと)(ちか)ひ、014(ここ)(やうや)大騒動(おほさうどう)鎮定(ちんてい)するに(いた)つた。015目付頭(めつけがしら)逸早(いちはや)部下(ぶか)(めい)じて茶坊主(ちやばうず)拘引(こういん)せしめた。016茶坊主(ちやばうず)拘引(こういん)されたのを()るや、017スバール(ひめ)(おほい)(おどろ)き、018折柄(をりから)労働服(らうどうふく)姿(すがた)にて(しの)(きた)りし恋人(こひびと)(とも)019(やみ)(まぎ)れて(みやこ)(とほ)姿(すがた)(かく)した。020アリナも(また)形勢(けいせい)容易(ようい)ならざるを(さと)り、021(シノブ)(とも)(やみ)(まぎ)れて城内(じやうない)逸走(いつそう)して(しま)つた。022茶坊主(ちやばうず)のタルチンは(きび)しく(いましめ)られたまま、023大目付頭(おほめつけがしら)(まへ)引出(ひきだ)され訊問(じんもん)()けた。
024大目付役(おほめつけやく)(その)(はう)姓名(せいめい)(なん)(まを)すか』
025 タルチンは(なが)禿頭(はげあたま)(ふた)()()(なが)ら、026やや(こし)をかがめて、
027『ハイ、028(わたし)向日(むかひ)(もり)(かたはら)()(ちや)()宗匠(そうしやう)タルチンと(まを)すもので(ござ)います。029(なん)折入(をりい)つた御用(ごよう)御座(ござ)りますかな。030(つみ)()(わたし)をお役人(やくにん)さまが突然(とつぜん)()つて()て、031()んな(ところ)()れて()られる(おぼ)えは御座(ござ)りませぬ。032(ここ)悪人(あくにん)()(ところ)ぢや御座(ござ)りませぬか、033清浄(しやうじやう)無垢(むく)(わたし)034神妙(しんめう)(ちや)()をお歴々(れきれき)(がた)伝授(でんじゆ)(さび)しく大人(おとな)しく余世(よせい)(おく)つてゐるもので(ござ)います。035それに(さん)(ねん)()()うて()つた大切(だいじ)大切(だいじ)(かか)(にげ)られ、036心配(しんぱい)最中(さいちう)037()んな(ところ)()れて()られては一向(いつかう)038日当(につたう)()られず、039(まこと)貧民(ひんみん)(わたし)040明日(あす)から腮櫃(あご)(あが)つて(しま)ひますがな。041どうか相当(さうたう)日当(につたう)頂戴(ちやうだい)(いた)()(もの)御座(ござ)ります。042そして(つみ)もない(わたし)をお(しば)りに()りましたのだから、043賠償品(ばいしやうひん)(いただ)()御座(ござ)ります。044冤罪者(えんざいしや)賠償法(ばいしやうはふ)が、045発布(はつぷ)されむとする今日(こんにち)046どうか、047其所(そこ)は、048あんまり(たか)(こと)(まを)しませぬから、049(わたし)価値(ねうち)相当(さうたう)()支給(しきふ)(ねが)()いもので御座(ござ)ります』
050大目付(おほめつけ)貴様(きさま)馬鹿(ばか)だな。051歴々(れきれき)家庭(かてい)出入(でいり)(ちや)()伝授(でんじゆ)でもしようと()()であり(なが)ら、052斯様(かやう)(ところ)引連(ひきつ)れられて、053左様(さやう)請求(せいきう)をすると()(こと)があるものか、054エーン』
055タルチン『如何(いか)なる(ところ)(まゐ)りましても、056ヤツパリ日当(につたう)請求(せいきう)(いた)します。057左守(さもり)(かみ)(やしき)(まゐ)つても、058(また)畏多(おそれおほ)くもタラハン城内(じやうない)茶寮(ちやりやう)(まゐ)りましても、059相当(さうたう)のお手当(てあて)(いただ)いて()りますから、060仮令(たとへ)半時(はんとき)でも、061それ()けのお手当(てあて)(いただ)かなくちや渡世(とせい)出来(でき)ませぬ。062(まへ)さまの(やう)沢山(たくさん)子分(こぶん)使(つか)つて063(あさ)()()(ごろ)から出勤(しゆつきん)して、0631椅子(いす)(もた)064面白(おもしろ)さうに新聞(しんぶん)()ながら彼是(かれこれ)する(うち)十二(じふに)()()る、065さうすりや料理屋(れうりや)弁当(べんたう)()つて(した)たかお(あが)りなされ、066(また)(いち)時間(じかん)ばかり食後(しよくご)運動(うんどう)だと()つて面白(おもしろ)(ところ)(まは)り、067(それ)から()(のこ)りの新聞(しんぶん)()み、068盲判(めくらばん)(ふた)()つポンポンと()して、0681サツサと(うち)(かへ)069大小名(だいせうみやう)待遇(たいぐう)()けて、0691沢山(たくさん)月給(げつきふ)()るお(かた)(おな)じに()(もら)つては、070チツと()りが(わる)御座(ござ)ります。071(わたし)のやうに(たか)(すみ)()にくべ、072「ヘーコラ、073ハイコラ」とお辞儀(じぎ)(ばか)りして、074ヤツトの(こと)糊口(ここう)(しの)(ばか)りのものと同日(どうじつ)(かた)(こと)出来(でき)ませぬ』
075大目付(おほめつけ)『その(はう)女房(にようばう)()げられたと(まを)したが、076その女房(にようばう)(なん)(まを)すものか』
077タル『ハイ、078(わたし)女房(にようばう)(おも)ひの(ほか)ドテンバ(ござ)いますが、079どうしても()(まを)しませぬので(ふくろ)(まを)してゐます。080その(ふくろ)(せん)(りやう)(かね)()つて()げられ、081(わたし)(ふくろ)夜食(やしよく)(はづ)れたやうな失望(しつばう)落胆(らくたん)(ふち)(しづ)んでゐます。082貴方(あなた)人民(じんみん)保護(ほご)のお(やく)なら(わたし)女房(にようばう)(さが)して(くだ)さい。083そして女房(にようばう)(かね)とを取返(とりかへ)して(もら)()いものです。084(じつ)保護願(ほごねがひ)をしようと(おも)ひましたが、085何分(なにぶん)珍客(ちんきやく)さまがおいで(あそ)ばすので目放(めばな)しが出来(でき)ず、086其処(そこ)へあの大火事(おほくわじ)()てゐますのでツヒ(おく)れてゐました』
087大目付(おほめつけ)(その)(はう)は、088その()(ぐら)しと(まを)してゐるが、089どうして(その)(せん)(りやう)(かね)所持(しよぢ)(いた)して()つたのだ』
090タル『(これ)(また)(めう)(こと)(おほ)せられます。091(かね)()ふものは人間(にんげん)()つべきものです。092人間(にんげん)(かね)をもつているのが、093どこが不思議(ふしぎ)ですかな』
094大目付(おほめつけ)()つてゐるのが(わる)いとは()はぬ、095どうして(こしら)へたかと()ふのだ』
096タル『(これ)(また)大目付頭(おほめつけがしら)にも似合(にあ)はぬお言葉(ことば)097どうして(こしら)へたかとは(わたし)をも紙幣(しへい)偽造(ぎざう)犯人(はんにん)とお(おも)ひですか。098()紙幣(しへい)兌換(だくわん)だか不換(ふくわん)だか()りませぬが、099貴方(あなた)がたが経営(けいえい)して御座(ござ)印刷局(いんさつきよく)から()()された(もの)ぢや御座(ござ)りませぬか。100キューピーさまや福助(ふくすけ)さまが()いて御座(ござ)()のお(さつ)ですよ。101(わたし)紙幣(しへい)(こしら)へるやうな器用(きよう)なものでは(ござ)いませぬ。102(ちや)()では十二(じふに)手前(てまへ)(もと)とし、103それから(わか)れて三百(さんびやく)十六(じふろく)手前(てまへ)となり、104(また)(ちや)()綱目(かうもく)としては初段(しよだん)から七段(しちだん)(まで)手前(てまへ)(ぞん)じて()ります。105(ちや)()(こと)なら、106いくらでもお(こた)(いた)しますが、107(かね)(こしら)へる(こと)はチツとも(ぞん)じませぬ。108(これ)はお役人(やくにん)さまの、109眼鏡(めがね)(ちが)ひで御座(ござ)りませう、110オツホン』
111大目付(おほめつけ)『エー、112(わか)らぬ(やつ)だな。113その(かね)を、114どうして(まう)けたかと()いてゐるのだ』
115タル『(これ)(また)(めう)なお(たづ)ねで御座(ござ)りますな。116(わたし)(ちや)()宗匠(そうしやう)稼業(かげふ)(ござ)ります。117如何(どう)して(まう)けようと、118商売(しやうばい)(うへ)で、119(まう)けた(こと)をお(とが)めを(かうむ)(わけ)()るまいし、120(また)(それ)貴方(あなた)説明(せつめい)する義務(ぎむ)()し、121(また)貴方(あなた)(ひと)(まう)けた(かね)彼是(かれこれ)()権利(けんり)御座(ござ)りますまい、122そんな(こと)()らぬお節介(せつかい)ですよ。123(わたし)もチヨコチヨコお(まへ)さまの()親類内(しんるゐうち)(ちや)()出入(でい)りを()()ますが、124親類(しんるゐ)(かた)(はなし)()けば、125大目付(おほめつけ)さまは沢山(たくさん)賄賂(わいろ)()つて(まち)真中(まんなか)待合(まちあひ)(ゆる)し、126其所(そこ)(めかけ)(かか)へて御座(ござ)るとの(こと)127(この)(はなし)(けつ)して(ちが)ひますまい。128(なん)()つても、129貴方(あなた)()親類(しんるゐ)130しかも、131貴方(あなた)のお妹御(いもうとご)嫁入先(よめいりさき)()いたのですから』
132大目付(おほめつけ)『こりやこりや、133外聞(ぐわいぶん)(わる)134(なに)()ふのだ。135沢山(たくさん)目付(めつけ)が、136其所(そこ)()いて()るぢや()いか。137(その)(はう)神法(しんぱふ)心得(こころえ)ぬか、138(こと)有無(うむ)(かかは)らず、139(ひと)公衆(こうしう)(まへ)にて誹謗(ひばう)した(もの)知計法(ちけいはふ)第八百(だいはつぴやく)(でう)にて刑鉢(けいばつ)(しよ)す」と()いて()る。140メツタの(こと)()ふものではないぞ』
141タル『ヘツヘヽヽ、142()都合(つがふ)(わる)御座(ござ)りますかな。143チツト(ちや)()加減(かげん)()ぎましたので、144(あつ)(あせ)をかかせました。145ハツハヽヽ』
146大目付(おほめつけ)『お(まへ)(うち)に、147エー、148珍客(ちんきやく)()られたと()(こと)だが、149本当(ほんたう)か』
150タル『ヘーヘー、151()られましたとも、152まだ(げん)にゐられるでせう。153(おそ)(おほ)くもスダルマン(さま)が、154(もと)左守(さもり)娘子(むすめご)スバール(ひめ)()ふ、155(それ)(それ)天女(てんによ)のやうな美人(びじん)をかくまつて()れと()(こと)で、156()()なお(かよ)ひで御座(ござ)ります。157本当(ほんたう)素敵(すてき)美人(びじん)ですよ。158(なん)()つてもスダルマン(さま)(おん)()159()意見(いけん)(まを)すも(おそ)(おほ)いと(つつし)んで御意(ぎよい)(おう)じました。160何分(なにぶん)取締所(とりしまりしよ)あたりから()褒美(はうび)でも(いただ)(さう)なものと、161(くび)(なが)うして()つて()りますよ。162妙法(スダルマ)(さま)のお(こころ)(なぐさ)(まつ)り、163無上(むじやう)歓喜(くわんき)をお(あた)(まを)した(この)タルチンは、164(まさ)勲一等(くんいつとう)功一級(こういつきふ)価値(かち)(たしか)にあるでせう。165(それ)にも(かかわ)らず、166タラハン(ごく)(おい)雷名(らいめい)(かく)れなき最大(さいだい)権力者(けんりよくしや)167左守(さもり)のガンヂー(さま)一人(ひとり)息子(むすこ)アリナの君様(きみさま)(たの)まれて、168未来(みらい)のお妃様(ひーさま)のスバール(ぢやう)(さま)に、169(ちや)手前(てまへ)伝授(でんじゆ)(まを)()げて()るのです。170何程(なにほど)(えら)(さう)(まを)してもお(まへ)さまとしては、171妙法(スダルマ)(さま)直接(ちよくせつ)にお世話(せわ)したり、172(ひー)さまに(たふと)茶道(さだう)伝授(でんじゆ)すると()(こと)出来(でき)ますまい。173マアそんな小難(こむつか)しい(かほ)せずにお(かんが)へなさいませ。174(いま)妙法(スダルマ)(さま)が、175大王(だいわう)(あと)()がれましたならば、176(わたし)大王(だいわう)(さま)のお師匠(ししやう)(さま)()つて、177殿内(でんない)(ふか)く、178すまし()み、179殿下(でんか)(みみ)()(やく)抜擢(ばつてき)されますよ。180(それ)だから181(まへ)さまも出世(しゆつせ)仕度(した)くば(いま)(うち)182(この)タルチンを十分(じふぶん)待遇(たいぐう)して()きなさい。183葡萄酒(ぶどうしゆ)一打(いちダース)(ぐらゐ)(おく)つても()し、184金平糖(こんぺいとう)一斤(いつきん)(ぐらゐ)はチヨイチヨイ(おく)つて(くだ)さい。185此方(こちら)茶菓子(ちやぐわし)()しにも()り、186(まこと)好都合(かうつがふ)だ。187(まへ)さまも、188(わたし)()()るのは(いま)(うち)ですよ、189オツホン』
190豪然(がうぜん)としてすまし()んでゐる。
191大目付(おほめつけ)『オイ、192ハルヤ、193タルチンの縄目(なはめ)()いて()れ』
194『ハイ、195承知(しようち)(いた)しました』
196タル『イヤ、197ならぬならぬ、198(この)縄目(なはめ)(この)(まま)にして()いて()れ。199妙法(スダルマ)(さま)に、200(まへ)()()つて(たか)つて、201()んな()()はしやがつたと()つて、202(つぶ)さに言上(ごんじやう)して()る。203さうすると、204屹度(きつと)タルチンの贔屓(ひいき)をなさつて、205(まへ)()()(さま)免職(めんしよく)だ。206()(どく)(さま)(こと)だ、207愚図(ぐづ)々々(ぐづ)して()ると大目付頭(おほめつけがしら)(さま)飛火(とびひ)(いた)しますよ。208(この)(なわ)(とか)()ければ、209()かして()らう。210幾等(いくら)機密費(きみつひ)()しますかな』
211大目付(おほめつけ)『アツハヽヽヽヽ此奴(こいつ)ア、212どうも、213(じるし)だ。214(じるし)(つか)まへて法律(はふりつ)(ばつ)する(こと)出来(でき)ぬ。215身心(しんしん)喪失者(そうしつしや)(みと)める。216オイ、217タルチン、218唯今(ただいま)より放免(はうめん)する、219有難(ありがた)(おも)へ』
220タル『ヘン、221さう、222うまくは問屋(とひや)(おろ)しませぬよ。223妙法(スダルマ)(さま)(おん)(おぼ)目出度(めでた)寵臣(ちようしん)(しば)()(なが)ら、224放免(はうめん)(くそ)()つたものか、225チツとお(まへ)さまの()(かた)方面(はうめん)間違(まちが)つて()るぢや()いか。226いつかな いつかな此処(ここ)立退(たちの)いて()るものか。227(いま)妙法(スダルマ)(さま)がタルチンの所在(ありか)(たづ)ねて、228最新調(さいしんてう)自動車(じどうしや)(もつ)(むか)へに()られるに(ちが)ひない。229(それ)(まで)(たれ)(なん)()つても、230此処(ここ)一寸(ちよつと)(うご)きませぬぞ』
231大目付(おほめつけ)『アヽ(こま)つたものを引張(ひつぱ)つて()たものだな。232オイ、233ハルヤ、234()(かく)235(この)狂人(きちがひ)(なは)()き、236(かれ)(やかた)(おく)つて()れ。237さうして妙法(スダルマ)(さま)()在宿(ざいしゆく)かいなかと()(こと)を、238よく調(しら)べて()るのだぞ。239(かなら)不都合(ふつがふ)()いやうに()()けて()け』
240()(なが)大目付(おほめつけ)(ふところ)から時計(とけい)()して、
241『ヤア、242もう退出(たいしゆつ)時間(じかん)だ』
243()(なが)()ぐるが(ごと)く、244ドアを()けて妾宅(せふたく)さして(かへ)()く。
245 タルチンは、246大声(おほごゑ)張上(はりあ)(なが)ら、
247タル『コリヤ、248大目付(おほめつけ)(やつ)249(にげ)ると()(こと)があるか。250()て、251貴様(きさま)(ひと)(きう)()ゑて()(こと)()る。252(おれ)()(こと)()かずに(にげ)()けば、253明日(あす)から免職(めんしよく)だぞ』
254呶鳴(どな)()てて()る。
255 (やうや)くにして数多(あまた)目付(めつけ)()(あま)しもののタルチンをいろいろと納得(なつとく)させ、256葡萄酒(ぶだうしゆ)菓子(くわし)(など)(あた)へて機嫌(きげん)をとり、257ヤツとの(こと)(かれ)(いへ)(おく)(とど)ける(こと)となつた。
258 タルチンは目付(めつけ)(れん)護送(ごそう)され(なが)(わが)()(かへ)()道々(みちみち)259葡萄酒(ぶだうしゆ)(よひ)がまはつて、260(うた)()した。
261『あゝ面白(おもしろ)面白(おもしろ)
262この()(なか)(なん)として
263馬鹿(ばか)面白(おもしろ)うなつたのか
264妙法(スダルマ)(きみ)(わが)(いへ)
265タラハン(じやう)間違(まちが)へて
266(きさい)(きみ)諸共(もろとも)
267(あさ)から(ばん)まで意茶(いちや)()いて
268(よだれ)()らしてお()します
269それに左守(さもり)のガンヂーの
270(せがれ)のアリナがチヨコチヨコと
271横目(よこめ)使(つか)つて()つて()
272さう()うする(うち)タラハンの
273(まち)(ひび)いた(かね)(おと)
274(まど)()()けて(なが)むれば
275ドンドンドンと町中(まちなか)
276民家(みんか)()える(ひと)()
277(またた)(うち)にタラハンの
278(まち)(なかば)黒土(くろつち)
279()つて(しま)つた()(どく)
280(いま)(まで)贅沢(ぜいたく)三昧(ざんまい)
281(つく)して()よつた富者(ふうしや)()
282今日(けふ)(みじ)めの(さま)()れば
283ホンに愉快(ゆくわい)()(なか)
284大目付頭(おほめつけがしら)()(やつ)
285(おれ)態々(わざわざ)引張(ひつぱ)つて
286(くだ)らぬ(こと)(たづ)()
287理窟(りくつ)()けて(あわ)()
288屁古垂(へこた)れよつてブルブルと
289菎蒻(こんにやく)のやうに(ふる)()
290懐中(くわいちう)時計(どけい)取出(とりだ)して
291もはや退出(たいしゆつ)時間(じかん)だと
292(うま)辞令(じれい)()びせかけ
293コソコソコソと()げよつた
294()んな瓦落多(がらくた)役人(やくにん)
295都大路(みやこおほぢ)真中(まんなか)
296頑張(ぐわんば)つて()るやうな()(なか)
297如何(どう)して吾々(われわれ)人民(じんみん)
298(まくら)(たか)()られよか
299さはさり(なが)(これ)(みな)
300大神(おほかみ)(さま)仕組(しぐみ)だろ
301零落(おちぶ)()てた(わし)さへも
302妙法(スダルマ)(きみ)のお見出(みだ)しに
303(あづか)りよつて(ひめ)(さま)
304()をとつての指南役(しなんやく)
305(ちや)()のお(かげ)でこの(おれ)
306薬鑵頭(やくわんあたま)(うるほ)うた
307エヘヽヽエツヘ エヘヽヽヽ
308さつてもさても()(なか)
309人間(にんげん)万事(ばんじ)一切(いつさい)
310(みな)塞翁(さいをう)(うま)(くそ)
311(くそ)でも(くら)大目付(おほめつけ)
312(わし)がもうツヒ出世(しゆつせ)して
313貴様(きさま)(あたま)(おさ)へたろか
314エヘヽヽエツヘ エヘヽヽヽ
315(かか)(ふくろ)逸早(いちはや)
316(おれ)見捨(みす)てて()げよつた
317(これ)矢張(やつぱ)(かみ)(さま)
318(おれ)(たす)ける思召(おぼしめし)
319(けつ)(おほ)きい(かか)(もら)へや
320(むか)ふの(はう)から()()して
321()つて(しま)つたその(わけ)
322(あと)悶錯(もんさく)なきやうと
323ウラルの(かみ)()(はか)らひ
324天女(てんによ)のやうな(つま)()
325結構(けつこう)結構(けつこう)()(なか)
326面白(おもしろ)可笑(をか)しう(くら)すため
327(これ)ほどボロイ(こと)はない
328エヘヽヽエツヘ葡萄酒(ぶだうしゆ)
329()()()()たよた(すけ)
330()れた(さけ)でも(あぢ)がある
331ほんに浮世(うきよ)()うしたものか
332三分(さんぶ)五厘(ごりん)茶化(ちやくわ)して(とほ)
333(ちや)()師匠(ししやう)のタルチンは
334天下(てんか)無比(むひ)幸福者(しあわせもの)
335(むか)ふに()えるは(わが)()める
336(やかた)(そば)向日(むかひ)(もり)
337オイオイ(みな)()連中(れんちう)
338少時(しばらく)()つてゐるがよい
339(おれ)出世(しゆつせ)(あかつき)
340キツト引立(ひきた)ててやるほどに
341(かなら)(かなら)()(なか)
342悲観(ひくわん)なさるな()(あと)
343(かなら)(わる)(わる)いあとは
344(かなら)()()()くものだ
345エヘヽヽエツヘ エヘヽヽヽ
346これこれ(みな)(しう) 347()苦労(くらう)(ござ)つた。348もう(これ)から()んで(くだ)さい』
349大正一四・一・六 新一・二九 北村隆光録)

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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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