霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一二章 妻狼(さいらう)(ささやき)〔一七三六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第68巻 山河草木 未の巻 篇:第3篇 民声魔声 よみ(新仮名遣い):みんせいませい
章:第12章 妻狼の囁 よみ(新仮名遣い):さいろうのささやき 通し章番号:1736
口述日:1925(大正14)年01月30日(旧01月7日) 口述場所:月光閣 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年9月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
この事態を尻目に、右守のサクレンスはタラハン国を乗っ取ろうと妻のサクラン姫と策略を練っていた。
太子の行方不明にかこつけて、王女バンナに自分の弟を娶わせて女王に立て、自分たちは外戚として権力を振るおうとしていた。
サクラン姫は、この計画の邪魔になる太子とアリナを探し出して亡き者にしようと計画する。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm6812
愛善世界社版:160頁 八幡書店版:第12輯 210頁 修補版: 校定版:161頁 普及版:69頁 初版: ページ備考:
001若葉(わかば)はそよぐ初夏(しよか)(かぜ)
002山時鳥(やまほととぎす)四方(よも)八方(やも)
003密樹(みつじゆ)(かげ)にひそみつつ
004(かな)しき(こゑ)(はり)()げて
005(かみ)(つく)りしタラハンの
006(くに)行末(ゆくすゑ)(かこ)つなり
007(すもも)(あんず)(うめ)()
008(いろ)づき()めて遠近(をちこち)
009()()数多(あまた)首陀(しゆだ)たちが
010生命(いのち)(なへ)(うゑ)つける
011(その)有様(ありさま)(なが)むれば
012()五月雨(さみだれ)蓑笠(みのかさ)
013おのもおのもにつけ(なが)
014三々(さんさん)伍々(ごご)(たい)をなし
015()()(うた)(いさ)ましさ
016(いち)(ねん)三百(さんびやく)五十(ごじふ)(にち)
017たつた一度(いちど)植付(うゑつけ)
018(かう)シーズンのめぐり()
019(ひと)(こころ)もせいぜいと
020希望(きばう)()てる(をり)もあれ
021タラハン市街(しがい)大火災(だいくわさい)
022(たちま)暴徒(ばうと)蜂起(ほうき)して
023特権(とくけん)階級(かいきふ)富有者(ふいうしや)(ども)
024大邸宅(だいていたく)()(はな)
025婦女(ふぢよ)をば(かん)金銭(きんせん)
026不逞(ふてい)首陀団(しゆだだん)掠奪(りやくだつ)
027諸種(しよしゆ)主義者(しゆぎしや)一時(いちどき)
028()(つばき)して立上(たちあが)
029(われ)()日頃(ひごろ)鬱憤(うつぷん)
030()らすは(いま)(この)(とき)
031警戒(けいかい)(きび)しき警察(けいさつ)
032向方(むかふ)(まは)して(たたか)ひし
033(その)(いきほひ)枯野(かれの)をば
034()えゆく(ほのほ)(ごと)くなり
035(ここ)軍隊(ぐんたい)出動(しゆつどう)
036(やうや)(いち)()暴徒(ばうと)
037鎮圧(ちんあつ)したれど何時(いつ)(また)
038大騒動(おほさうどう)(おこ)らむと
039期待(きたい)されたるタラハンの
040城下(じやうか)人心(じんしん)恟々(きようきよう)
041(やす)(こころ)もなかりけり
042左守(さもり)右守(うもり)神司(かむつかさ)
043(わが)権勢(けんせい)(たちま)ちに
044おち()(おそれ)ありとなし
045所在(あらゆる)手段(しゆだん)をめぐらして
046軍隊(ぐんたい)警察(けいさつ)召集(せうしふ)
047(みづ)()らさぬ用心(ようじん)
048流石(さすが)不平(ふへい)連中(れんちう)
049(いち)()(かげ)をひそめけり
050カラピン(わう)重病(ぢうびやう)
051(くるし)(たま)ひて国政(こくせい)
052見玉(みたま)(すべ)(さら)になく
053太子(たいし)(きみ)騒動(さうだう)
054(まぎ)れて(かげ)(かく)しまし
055左守(さもり)(かみ)のガンヂーは
056(こころ)(ばか)りは(いら)(ども)
057よる年波(としなみ)(ちから)()
058勇気(ゆうき)(とみ)阻喪(そさう)して
059(たん)無用(むよう)長物(ちやうぶつ)
060(そしら)(なが)()がつかず
061(しほ)()つたる両腕(りやううで)
062ウンと(たた)いて雄健(をたけ)びし
063敦圉(いきま)(さま)螳螂(かまきり)
064(をの)(ふる)うて()てる(ごと)
065(その)スタイルの可笑(をか)しさよ
066(こころ)(きたな)きサクレンス
067(この)有様(ありさま)()るよりも
068国家(こくか)前途(ぜんと)風前(ふうぜん)
069灯火(ともしび)(ごと)しと(わが)(つま)
070サクラン(ひめ)(かしら)をば
071(かたむ)前後(ぜんご)策略(さくりやく)
072めぐらしゐるこそうたてけれ。
073サクレンス『サクラン(ひめ)よ、074()(なか)追々(おひおひ)と、075()物騒(ぶつそう)になつて()ては、076(おれ)もウツカリはして()れない。077(いま)(まで)とは()(なか)が、078(なに)()一変(いつぺん)し、079吾々(われわれ)(ごと)特権(とくけん)階級(かいきふ)資本(しほん)階級(かいきふ)滅亡(めつぼう)する時期(じき)(せま)つて()たやうだ。080(この)(まま)放任(はうにん)しておけば、081タラハンの国家(こくか)()ふに(およ)ばず、082王家(わうけ)吾々(われわれ)階級(かいきふ)(とほ)からぬ(うち)地獄(ぢごく)憂目(うきめ)()(やう)(こと)出来(でき)はせまいかと(あん)じて()られないのだ。083(まへ)一体(いつたい)084今日(こんにち)世態(せたい)()成行(なりゆ)くと(かんが)へてるか』
085サクラン『(おほせ)(とほ)り、086()はだんだんと行詰(ゆきつま)つて(まゐ)りました。087経済界(けいざいかい)088政治界(せいぢかい)089宗教界(しうけうかい)(まを)すに(およ)ばず、090実業(じつげふ)方面(はうめん)(おい)ても一切(いつさい)万事(ばんじ)(ゆき)(づま)り、091(じつ)(みぢ)めな状態(じやうたい)となりました。092(しか)(なが)(きう)すれば(つう)ずとか(まを)しまして、093(わざはひ)極端(きよくたん)(たつ)した(とき)は、094キツト(さいはひ)()()くもので(ござ)います。095()五日(いつか)大火災(だいくわさい)にも、096城内(じやうない)茶寮(ちやれう)()()ちて、097所在(あらゆる)国宝(こくほう)全部(ぜんぶ)灰燼(くわいじん)()し、098左守(さもり)邸宅(ていたく)(まで)099あんな(みじ)めな(こと)になりました。100それにも(かかは)らず、101右守(うもり)邸宅(ていたく)一部分(いちぶぶん)暴徒(ばうと)破壊(はくわい)された(ばか)りで(この)(とほ)安全(あんぜん)(のこ)りましたのも102右守家(うもりけ)に、1021(たい)盤古(ばんこ)神王(しんのう)(さま)が、103(だい)なる使命(しめい)のある(こと)暗示(あんじ)されたものと(かんが)へられます。104斯様(かやう)混乱(こんらん)状態(じやうたい)(おちい)つた社会(しやくわい)では、105(よわ)いと()られたならば(たちま)(たた)(つぶ)され、106(ほろ)ぼされて(しま)ふものです。107それ(ゆゑ)(この)(さい)国家(こくか)(ため)満身(まんしん)(ちから)発揮(はつき)し、108空前(くうぜん)絶後(ぜつご)大計画(だいけいくわく)遂行(すゐかう)して、109国民(こくみん)上下(じやうか)(たん)(うば)ひ、110右守(うもり)威力(ゐりよく)(あら)はし、111威圧(ゐあつ)権威(けんゐ)とを(しめ)して、112国民(こくみん)驕慢心(けうまんしん)(おさ)()けねばなりますまい』
113サクレ『お(まへ)のいふ(こと)一応(いちおう)(もつと)もの(やう)だが、114人心(じんしん)極端(きよくたん)悪化(あくくわ)し、115吾々(われわれ)階級(かいきふ)殲滅(せんめつ)せむと国民(こくみん)(ほと)んど一致(いつち)して時期(じき)()つて()ると()時代(じだい)(さい)し、116なまじひ小刀(こがたな)細工(ざいく)(ほどこ)してみた(ところ)が、117(かへつ)万民(ばんみん)(いか)りを()ひ、118滅亡(めつぼう)(はや)める(やう)なものだ。119ぢやと()つて(この)難関(なんくわん)(うち)ぬけ、120民心(みんしん)収攬(しうらん)し、121太平(たいへい)無事(ぶじ)国家(こくか)復興(ふくこう)する(こと)難事中(なんじちう)難事(なんじ)だ。122如何(いか)なる聖人(せいじん)賢人(けんじん)(いへど)123(この)(さい)かかる世態(せたい)(たい)し、124メスを(ふる)余地(よち)はあるまい。125あゝ(こま)つた(こと)だワイ。126大王(だいわう)殿下(でんか)()重病(ぢうびやう)127何時(いつ)国替(くにがへ)(あそ)ばすやら(はか)()られぬ今日(こんにち)有様(ありさま)128太子(たいし)(きみ)はお行衛(ゆくへ)(わか)らず、129左守司(さもりのかみ)老齢(らうれい)激務(げきむ)()へず、130(また)(かれ)(せがれ)のアリナは踪跡(そうせき)(くら)まし、131タラハン(ごく)はすべての重鎮(ぢうちん)(うしな)はむとしてゐる。132(かなめ)のぬけた(あふぎ)(ごと)到底(たうてい)収拾(しうしふ)(べか)らざる内情(ないじやう)となつてゐる。133今後(こんご)(また)()五日(いつか)(ごと)騒乱(さうらん)勃発(ぼつぱつ)せうものなら、134(それ)こそ王家(わうけ)(はじ)貴族(きぞく)階級(かいきふ)断滅期(だんめつき)だ。135(なん)とかして(この)頽勢(たいせい)挽回(ばんくわい)する(こと)出来(でき)よまいかなア』
136サクラ『(わたし)意見(いけん)としては(この)(さい)(おも)()つて大鉈(おほなた)(ふる)ひ、137大改革(だいかいかく)断行(だんかう)せねば、138到底(たうてい)駄目(だめ)(ござ)いませう。139(おい)()ちて(まさ)(たふ)れむとする老木(らうぼく)140根元(ねもと)より(みき)()(はな)たば、1401(あたら)しき()()き、141(その)(ため)(ふたた)生命(せいめい)持続(ぢぞく)する(こと)出来(でき)るものです。142(わが)夫様(つまさま)143(この)(さい)貴方(あなた)(だい)勇猛心(ゆうまうしん)発揮(はつき)し、144国体(こくたい)根本(こんぽん)(てき)改革(かいかく)(あそ)ばす()所存(しよぞん)(ござ)いませぬか』
145サクレ『イヤ、146(おれ)にも考案(かうあん)はない(こと)はないが、147さりとて(あま)りの叛逆(はんぎやく)だからなア』
148サクラ『ホヽヽヽ、149叛逆(はんぎやく)無道(ぶだう)()(なか)立替(たてかへ)立直(たてなほ)すのが何故(なにゆゑ)叛逆(はんぎやく)御座(ござ)いますか、150()(かんが)へて御覧(ごらん)なさいませ。151大王(だいわう)(さま)はあの(とほ)り、152太子(たいし)殿下(でんか)(おん)行衛(ゆくへ)(わか)らず、153左守(さもり)老衰(らうすゐ)154(かく)(ごと)国家(こくか)重鎮(ぢうちん)大損傷(だいそんしやう)(きた)した(うへ)は、155最早(もはや)タラハン(ごく)()ける最大(さいだい)権力者(けんりよくしや)右守家(うもりけ)()いて(ほか)にはないぢやありませぬか。156民心(みんしん)(あらた)にする(ため)157(おも)()つて王女(わうぢよ)バンナ(ひめ)(さま)(おもて)()て、158(おとうと)のエールを王位(わうゐ)()かせ、159国民(こくみん)上下(じやうか)人心(じんしん)収攬(しうらん)し、160貴方(あなた)国務(こくむ)総監(そうかん)となつて、161無限(むげん)絶大(ぜつだい)なる権威(けんゐ)(ふる)ひ、162政治(せいぢ)改革(かいかく)断行(だんかう)なさるより(ほか)に、163国家(こくか)(すく)(みち)(ござ)いますまい』
164サクレ『成程(なるほど)165(おれ)(その)(こと)(いま)(まで)幾度(いくど)(かんが)へてみた(こと)もあるが166(あま)りの陰謀(いんぼう)で、167女房(にようばう)其方(そなた)にも()()ねてゐたのだ。168(まへ)(その)(こころ)なら、169(おれ)強力(きやうりよく)なる味方(みかた)()たも同然(どうぜん)170(おも)()つて断行(だんかう)(こころ)みやう。171(しか)(なが)ら、172ここ(しばら)くは秘密(ひみつ)厳守(げんしゆ)せなくてはならうまい。173万々一(まんまんいち)(この)計画(けいくわく)夫婦(ふうふ)以外(いぐわい)()()るやうな(こと)があれば、174それこそ右守家(うもりけ)一大事(いちだいじ)だ』
175サクラ『(すべ)大業(たいげふ)()さむと(おも)へば、176秘密(ひみつ)(まも)るのが肝心(かんじん)(ござ)います。177(しばら)人心(じんしん)(をさ)まつた潮時(しほどき)(かんが)へ、178公々然(こうこうぜん)天下(てんか)(むか)つて国政(こくせい)改革(かいかく)標榜(へうばう)し、179エールを王位(わうゐ)(のぼら)せ、180バンナ(ひめ)王妃(わうひ)()(こと)発表(はつぺう)(あそ)ばせば、181(ここ)(はじ)めて維新(ゐしん)改革(かいかく)謀主(ぼうしゆ)として貴方(あなた)国民(こくみん)欣慕(きんぼ)憧憬(どうけい)する(やう)になるで(ござ)いませう。182それより(ほか)適当(てきたう)方法(はうはふ)手段(しゆだん)(ござ)いますまい』
183サクレ『それに(つい)ては、184第一(だいいち)()(かか)るのは太子(たいし)(きみ)だ。185折角(せつかく)エールとバンナ王女(わうぢよ)()て、186国家(こくか)改造(かいざう)標榜(へうばう)してゐる最中(さいちう)へ、187ヒヨツコリ太子(たいし)(かへ)つて()て、188異議(いぎ)(とな)(たま)ふやうな(こと)()れば、189吾々(われわれ)折角(せつかく)計画(けいくわく)水泡(すゐはう)()するのみならず、190右守(うもり)叛逆者(はんぎやくしや)として大罪(だいざい)()はるるかも()れぬ。191(それ)(ゆゑ)(おれ)(おも)ふには、192まづ太子(たいし)()(うへ)から片付(かたづ)けて(かか)らねば()るまい』
193サクラ『成程(なるほど)194それが先決(せんけつ)問題(もんだい)(ござ)います。195(しか)(さいは)ひに太子(たいし)(さま)(うま)片付(かたづ)けた(ところ)で、196左守(さもり)(せがれ)アリナが()()()(かぎ)りは、197(ふたた)折角(せつかく)計画(けいくわく)(くつが)へさるる(おそれ)御座(ござ)います。198(これ)(ついで)(なん)とか(いた)さねばなりますまい』
199サクレ『ウン、200それもさうだ。201(しか)(なが)(この)両人(りやうにん)処置(しよち)するに()いては、202(いし)(のぞ)むか、203真綿(まわた)(のぞ)むか、204(いづ)れかの方法(はうはふ)()らねば()るまい、205どちらが()からうかなア』
206サクラ『天下(てんか)混乱(こんらん)(さい)207生温(なまぬる)方法(はうはふ)手段(しゆだん)では駄目(だめ)御座(ござ)いますよ。208疾風(しつぷう)迅雷(じんらい)(みみ)(おほ)ふに(いとま)なき早業(はやわざ)(もつ)209キツパリと、2091(みき)()()()()()らし、210新生面(しんせいめん)(ひら)かねば腐敗(ふはい)()つたる現代(げんだい)(すく)(こと)到底(たうてい)出来(でき)ますまい。211(ただ)(その)方法(はうはふ)手段(しゆだん)は……斯様(かやう)々々(かやう)
212とサクレンスの(みみ)(くち)をよせ、213奸侫(かんねい)邪智(じやち)のサクラン(ひめ)何事(なにごと)右守(うもり)教唆(けうさ)した。214サクレンスは幾度(いくたび)となくうなづき(なが)ら、
215サクレ『ウンウン()からう。216中々(なかなか)(まへ)(すみ)にはおけぬ悪人(あくにん)だ。217(あく)にかけては抜目(ぬけめ)のない逸物(いつぶつ)だ、218ハヽヽヽ』
219小声(こごゑ)(わら)ふ。
220 サクランは()(いか)らせ(くち)(とが)らせ(なが)ら、221サクレンスの(ひざ)(たた)いて小声(こごゑ)になり、
222サクラ『国家(こくか)大改革(だいかいかく)断行(だんかう)し、223国民(こくみん)塗炭(とたん)(くるし)みを(すく)ひ、224国家(こくか)(まん)(ねん)(さく)()つるのがそれ(ほど)(あく)(ござ)いますか。225どうも()におちぬ(こと)仰有(おつしや)るぢや(ござ)いませぬか。226()てば官軍(くわんぐん)()くれば賊子(ぞくし)227兎角(とかく)()(なか)勢力(せいりよく)最後(さいご)勝利(しようり)()めますよ。228一切(いつさい)万事(ばんじ)躊躇(ちうちよ)逡巡(しゆんじゆん)せず、229ドンドンとやつて(くだ)さい。230(わらは)貴方(あなた)(ため)231いな国家(こくか)(ため)内々(ないない)奮闘(ふんとう)努力(どりよく)(いた)しませう』
232サクレ『ヤ、233頼母(たのも)しい。234(まへ)()かけによらぬ偉女夫(ゐぢようぶ)だ。235(この)(をつと)にして(この)(つま)ありだ。236(おれ)(はじ)めてお(まへ)(こころ)(そこ)(わか)り、237安心(あんしん)をしたよ』
238サクラ『二十(にじふ)(ねん)夫婦(ふうふ)となつてゐ(なが)ら、239まだ(わらは)本心(ほんしん)(わか)らなかつたのですか。240(そば)(ちか)寝食(しんしよく)(とも)にする(つま)(こころ)が、241二十(にじふ)年目(ねんめ)(はじ)めて(わか)(やう)(こと)で、242()くマア今日(こんにち)(まで)右守(うもり)職掌(しよくしやう)(つと)まつて()たものですなア。243本当(ほんたう)(これ)こそ天下(てんか)奇蹟(きせき)ですワ』
244サクレ『オイ、245サクラン(ひめ)246馬鹿(ばか)にするない。247政治家(せいぢか)政治家(せいぢか)としての方法(はうはふ)があるのだ。248天下(てんか)国家(こくか)憂慮(いうりよ)する(あま)り、249(ちひ)さい家庭(かてい)などの(こと)()()けてゐられうか』
250サクラ『家庭(かてい)(をさ)まらず、251二十(にじふ)(ねん)()うた(つま)(こころ)(わか)らぬやうな(こと)で、252()うして(だい)政治家(せいぢか)(つと)まりませう。253まして多数(たすう)国民(こくみん)(こころ)収攬(しうらん)する(こと)出来(でき)ませうか』
254サクレ『ヤ、255さう追撃(つゐげき)するものでない。256(いま)(だい)政治家(せいぢか)()よ。257一家(いつか)(をさ)める(こと)()らいでも、258堂々(だうだう)として政治(せいぢ)枢機(すうき)参与(さんよ)してゐるぢやないか。259左守(さもり)だつて、260(けつ)して家庭(かてい)円満(ゑんまん)でない。261(また)左守(さもり)(こころ)(かれ)(せがれ)アリナの(こころ)とは正反対(せいはんたい)だ、262(いぬ)(さる)との間柄(あひだがら)だ。263それさへあるに国家(こくか)元老(げんらう)264最大(さいだい)権力者(けんりよくしや)として左守(さもり)立派(りつぱ)今日(こんにち)(まで)地位(ちゐ)(たも)つて()たではないか』
265サクラ『自分(じぶん)地位(ちゐ)(たも)()たのみで(だい)政治家(せいぢか)とは()へませぬよ。266今日(こんにち)国家(こくか)不安(ふあん)状態(じやうたい)(おちい)つたのは、267輔弼(ほひつ)重臣(ぢうしん)たる左守(さもり)(さま)本当(ほんたう)技倆(ぎれう)()けてゐる(ため)ではありませぬか。268現代(げんだい)政治家(せいぢか)(いづ)れも(みな)袞竜(こんりう)(そで)(かく)れて、269(わづ)かに(その)地位(ちゐ)(たも)ち、270国民(こくみん)威圧(ゐあつ)して()るのです。271(とら)()()(きつね)(やから)です。272貴方(あなた)だつて、273ヤツパリさうでしよう。274真裸(まつぱだか)にして市井(しせい)(ちまた)()()してみたならば、275履物(はきもの)(なほ)しにもなれないぢやありませぬか』
276サクレ『馬鹿(ばか)()ふな、277(おれ)だつて曲人官(きよくにんくわん)(ぐらゐ)にはなれるよ』
278サクラ『自惚(うぬぼれ)()加減(かげん)になさいませ。279貴方(あなた)大王(だいわう)殿下(でんか)のお引立(ひきた)てがなく裸一貫(はだかいつくわん)(をとこ)として、280自分(じぶん)運命(うんめい)開拓(かいたく)(あそ)ばす勇者(ゆうしや)とすれば、281精々(せいぜい)小学校(せうがくかう)のヘボ教員(けうゐん)かポリス(ぐらゐ)(せき)(やま)(ござ)いませう。282それだから国民(こくみん)貴方(あなた)(しよう)して死人官(しにんくわん)だと()つてゐるのですよ』
283サクレ『エー、284モウそんな小言(こごと)(きき)たくない。285主人(しゆじん)馬鹿(ばか)にしてゐるぢやないか』
286サクラ『ホヽヽヽ、287馬鹿(ばか)にしたくても、288貴方(あなた)本当(ほんたう)馬鹿(ばか)になれない(かた)だから(こま)りますワ。289()(なか)才子(さいし)だとか智者(ちしや)だとか()はれる(ひと)何時(いつ)失敗(しつぱい)(ばか)りするものです。290それに引替(ひきか)馬鹿(ばか)とならば、291何事(なにごと)にかけても無頓着(むとんちやく)292如何(いか)なる難関(なんくわん)出会(であ)つても、2921(すこ)しも(おそ)れず(また)後悔(こうくわい)する(こと)もなく、293(もの)(あわ)てて(こと)(おどろ)()をもんで、294無駄骨(むだぼね)(をり)(そん)をせない。295そして(わざはひ)(くわ)して自然(しぜん)(さいはひ)になす(てい)馬鹿(ばか)になつて(いただ)きたいものです』
296サクレ『あゝあ、297(なに)(なん)だか(わけ)(わか)らなくなつて()たワイ。298さうすると(おれ)もまだ馬鹿(ばか)修業(しうげふ)()らぬのかなア。299オイ、300(なん)だか胸騒(むなさわ)ぎがしてならない。301一杯(いつぱい)つけてくれ、302熱燗(あつかん)でグツとやるから』
303サクラ『お(さけ)をおあがり(あそ)ばすのも結構(けつこう)(ござ)いますが、304大事(だいじ)(まへ)小時(せうじ)305(ここ)少時(しばらく)はお(たしな)みなさるが(よろ)しからう。306貴方(あなた)はお(さけ)をおあがり(あそ)ばすと、307精神(せいしん)錯乱(さくらん)して、308どんな秘密(ひみつ)でも(ひと)(まへ)(しやべ)()てるといふ、309つまらぬ(くせ)がおありなさるから、310(この)大望(たいまう)成就(じやうじゆ)する(まで)盤古(ばんこ)神王(しんのう)(さま)(まへ)にお(さけ)()つて(くだ)さい』
311サクレ『ヤ、312此奴(こいつ)(たま)らぬ。313(めし)よりも女房(にようばう)よりも国家(こくか)よりも大切(たいせつ)(さけ)()つて、314おまけに暗雲(やみくも)飛乗(とびの)りの(あやふ)芸当(げいたう)(この)老人(としより)にやらさうとするのは、315随分(ずいぶん)ひどいぢやないか』
316サクラ『少時(しばらく)()辛抱(しんばう)(ござ)います。317()深更(しんかう)(およ)びました。318サア(やす)みませう』
319()()つて(おく)一間(ひとま)(みちび)()く。320二人(ふたり)(これ)より()(てつ)して細々(こまごま)寝物語(ねものがたり)(まく)をつづけた。321(はた)して(なん)秘事(ひじ)画策(くわくさく)されたであらうか。
322大正一四・一・七 新一・三〇 於月光閣 松村真澄録)

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5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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