霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一章 信人権(しんじんけん)〔一七六八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第70巻 山河草木 酉の巻 篇:第1篇 花鳥山月 よみ(新仮名遣い):かちょうさんげつ
章:第1章 信人権 よみ(新仮名遣い):しんじんけん 通し章番号:1768
口述日:1925(大正14)年02月13日(旧01月21日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年10月16日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
物語の背景
バラモン教の根源地たるインドは、七千余国を一団となす地であり、浄行(僧侶階級?)、刹帝利(クシャトリア=武士)、首陀(シュードラ=隷属民)、毘舎(ヴァイシャ=商人)、その他の階級が設けられていた。
一方、ウラル教がデカタン高原の一角に勢力を築き、バラモン教の本拠ハルナの都に向かって教線を拡大しつつあった。
この状況に、バラモン教の大黒主は「宣伝将軍」を各地に遣わし、とくに大足別将軍に数千の兵を与え、討伐を主目的として出発せしめていた。
舞台となるトルマン国は、デカタン高原の最も土地の肥えた所にあり、国土は広くはないが、かなりの人口を持っている。そして、地理上、代々ウラル教を報じていた。
大黒主は、トルマン国にもバラモンの勢力を広めるため、寵臣キューバーに命じて、スコブツエン宗という、名前は違うが内容は同じ一派を立てさせ、トルマン国にて布教させた。しかし、王家・有力者の人々はスコブツエン宗に入信することはなかった。
キューバーは、大黒主の寵臣として、また密命を受けた身として、特殊の権利と地位を与えられていた。バラモン軍の将軍たちでさえも、キューバーに従わざるを得なかった。
キューバーのスコブツエン宗は、バラモン教に輪をかけて難行・苦行を重んじる残酷な宗旨である。
ある小さな山里の古ぼけた祠の前で、二人の三五教徒の首陀、レールとマークが、バラモンの批判をしている。その現世的なやり方、差別をあげつらい、首陀向上運動の進展、信仰の独立を目指している。
そこへ、スコブツエン宗のキューバーが現れた。首陀たちはにわかに話題を転じ、さっさと逃げてしまう。
キューバーは、耳さとく大黒主への反逆を聞き取って姿をあらわしたが、レールとマークもいち早く山林に姿を隠してしまった。レール、マークは再びキューバーの悪口に花を咲かせるが、またもやキューバーが追ってくるのを認めて、山林の奥へ逃げてしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm7001
愛善世界社版:7頁 八幡書店版:第12輯 391頁 修補版: 校定版:7頁 普及版:2頁 初版: ページ備考:
001 往古(わうこ)文化(ぶんくわ)中心(ちうしん)002仏祖(ぶつそ)出現地(しゆつげんち)なる七千(しちせん)()(こく)をかためて一団(いちだん)となしたる印度(いんど)003浄行(じやうぎやう)004刹帝利(せつていり)005首陀(しゆだ)006毘舎(びしや)(その)()各種(かくしゆ)階級(かいきふ)(まう)けられて()た。007(こと)印度(いんど)はバラモン(けう)根元地(こんげんち)とも()ふべき(くに)である。008さうしてウラル(けう)はデカタン高原(かうげん)一角(いつかく)に、009相当(さうたう)勢力(せいりよく)(たも)ち、010バラモン(けう)本城(ほんじやう)ハルナの(みやこ)(むか)つて、011ややもすれば教線(けうせん)拡張(くわくちやう)し、012大黒主(おほくろぬし)根底(こんてい)(くつが)へさむとするの(がい)があつた。013(ここ)大黒主(おほくろぬし)宣伝(せんでん)将軍(しやうぐん)四方(しはう)(つかは)し、014(こと)にこの方面(はうめん)大足別(おほだるわけ)将軍(しやうぐん)数千(すうせん)(へい)(あた)へて015討伐(たうばつ)のみを(しゆ)たる目的(もくてき)にて出発(しゆつぱつ)せしめたのである。016()てデカタン高原内(かうげんない)(もつと)土地(とち)(こえ)たるトルマン(ごく)(あま)(だい)なる区域(くゐき)ではないが、017相当(さうたう)沢山(たくさん)(ひと)()んで()る。018さうして地理(ちり)(じやう)関係(くわんけい)からウラル(けう)(ほう)じて()た。019トルマン(ごく)(わう)()はガーデンと()ふ。020ガーデンはウラル(けう)(しん)ずるでもなく、021(また)排斥(はいせき)するでもなく、022祖先(そせん)伝来(でんらい)宗教(しうけう)として、023(とむら)ひの儀式(ぎしき)にのみ(もち)ふる(くらゐ)観念(くわんねん)()つて()た。024(しか)るに国民(こくみん)過半数(くわはんすう)はウラル(けう)(ほう)じ、025一部分(いちぶぶん)はバラモン(けう)()り、026二三分(にさんぶ)(どほ)りはスコブツエン(しう)(あらた)入信(にふしん)する(こと)となり、027(その)(いきほ)ひは燎原(れうげん)()()(ごと)くであつた。028ハルナの(みやこ)大黒主(おほくろぬし)はバラモン(けう)宣伝使(せんでんし)(つか)はして、029トルマン(ごく)全部(ぜんぶ)バラモンの勢力(せいりよく)範囲(はんゐ)になさむものと、030いろいろ苦心(くしん)結果(けつくわ)031到底(たうてい)バラモンの()にてはこの(くに)人心(じんしん)(とう)じない(こと)(さと)り、032狡猾(かうくわつ)にして万事(ばんじ)抜目(ぬけめ)のない大黒主(おほくろぬし)は、033日頃(ひごろ)手慣(てなづ)けおいた、034寵臣(ちようしん)のキユーバーに(めい)じ、035バラモン(けう)()()けて、036スコブツエン(しう)()ふ、037変名(へんめい)同主義(どうしゆぎ)宗教(しうけう)(きづ)かせ、038()第一(だいいち)にトルマン(わう)帰順(きじゆん)せしめむと百方(ひやくぱう)尽力(じんりよく)して()たのである。039トルマン(わう)のガーデンには千草姫(ちぐさひめ)()王妃(わうひ)があり、040太子(たいし)はチウイン、041王女(わうぢよ)はチンレイと()つた。042左守(さもり)(かみ)をフーランと()ひ、043(つま)モクレンとの(なか)にテイラと()一人娘(ひとりむすめ)があつた。044右守(うもり)(かみ)はスマンヂーと()(つま)(すで)(この)()()り、045ハリスと()一人(ひとり)(むすめ)をもつて()た。046(しか)るに(わう)(はじ)め、047左守(さもり)右守(うもり)はバラモン(けう)はもとより、048スコブツエン(しう)には(なに)(ほど)(すす)められても入信(にふしん)せず、049体的(たいてき)方面(はうめん)政治(せいぢ)のみに没頭(ぼつとう)して()たのである。050(ここ)にバラモン(ぐん)大足別(おほだるわけ)が、051(にはか)にトルマン(じやう)攻撃(こうげき)開始(かいし)した経緯(いきさつ)について、052(その)大略(たいりやく)()べて()ようと(おも)ふ。
053 トルマン(じやう)()十数(じふすう)()(へだ)てた、054(ある)(ちひ)さき山里(やまざと)(ふる)ぼけた(ほこら)(まへ)で、055二人(ふたり)首陀(しゆだ)何事(なにごと)(しきり)(ささや)()つて()た。056(はる)(はじめ)とは()へど、057()(かぜ)(さむ)青草(あをぐさ)()去年(きよねん)記念物(きねんぶつ)たる(なが)枯草(かれぐさ)(あひだ)から細長(ほそなが)(そら)(のぞ)いて()る。
058レール『信仰(しんかう)(てき)自覚(じかく)した吾々(われわれ)擡頭(たいとう)()て、059バラモン階級(かいきふ)鬼畜(きちく)どもは周章(しうしやう)狼狽(らうばい)し、060(すくな)からず戦慄(せんりつ)恐怖(きようふ)(かん)じたものと()える。061彼奴(あいつ)()自分(じぶん)()占有(せんいう)せる支配(しはい)地位(ちゐ)たる宗教(しうけう)(じやう)062経済(けいざい)(じやう)より顛覆(てんぷく)しつつある(おの)自身(じしん)(かい)し、063(あは)至極(しごく)にも()(づら)をかわき、064勃興(ぼつこう)せる三五(あななひ)運動(うんどう)大征伐(だいせいばつ)(むか)つて(いま)死物狂(しにものぐる)ひになつて()る。065(おぼ)れむとするものは毒蛇(どくじや)尻尾(しつぽ)でも生命(いのち)(かぎ)りに(つか)まむとするものである、066(ことわざ)(どほ)りの彼奴(あいつ)()狂態(きやうたい)は、067噴飯(ふんぱん)価値(かち)以外(いぐわい)には(まつた)くゼロだ』
068マーク『さうだねー、069浪速節(なにはぶし)(がたり)屁放爺(へひりぢい)……………に奏任(そうにん)待遇(たいぐう)(あた)へたり、070若衆(わかしう)僧服(そうふく)(まと)はせたり、071老衆(らうしう)民風(みんぷう)作興(さくこう)卸売(おろしう)りしたり、072糞造機(ふんざうき)似而非(えせ)宗教家(しうけうか)思想(しさう)善導(ぜんだう)元売捌(もとうりさば)きを(ゆる)したのを()ても、073(いよいよ)彼奴(あいつ)()境遇(きやうぐう)暴露(ばくろ)せるもので、074(おも)へば(じつ)(あは)れな次第(しだい)ではないか。075(これ)()ても(いま)(まで)(しひた)げられた吾々(われわれ)三五(あななひ)教徒(けうと)()つては溜飲(りういん)()がる(やう)だ、076痛快(つうくわい)千万(せんばん)だアハヽヽヽ。077(しか)(なが)今日(こんにち)場合(ばあひ)078吾々(われわれ)(がう)油断(ゆだん)出来(でき)ない。079()層一層(そういつそう)この運動(うんどう)大努力(だいどりよく)(えう)する天下(てんか)別目(わけめ)時期(じき)だ。080バラモン教徒(けうと)滅亡(めつぼう)自業(じごふ)自得(じとく)結果(けつくわ)として拱手(きようしゆ)傍観(ばうくわん)すべきでは()い。081自業(じごふ)自得(じとく)必然性(ひつぜんせい)(みと)むればこそ、082()(いたち)最期屁(さいごぺ)害毒(がいどく)甚大(じんだい)なるを(さと)ればこそ、083吾々(われわれ)最善(さいぜん)戦法(せんぱふ)(えら)んで一刻(いつこく)(はや)宗教戦(しうけうせん)勝利(しようり)()るやうに、084奮闘(ふんとう)努力(どりよく)せなければならぬ。085彼奴(あいつ)()のこの自業(じごふ)自得(じとく)収獲(しうくわく)こそ人類(じんるゐし)(じやう)「人類史上」の誤字?086最大(さいだい)罪悪(ざいあく)裁判(さいばん)結果(けつくわ)で、087一点(いつてん)(じよ)すべき(ところ)はないのだ。088(ただ)吾々(われわれ)彼奴(あいつ)らの滅亡(めつぼう)(いち)(にち)(はや)断行(だんかう)し、089促進(そくしん)することが(むし)彼奴(あいつ)()(たい)してせめてもの優遇(いうぐう)だ、090(とむら)ひだ、091ハナムケともなるべき慈善(じぜん)だ。092アハヽヽヽ』
093レ『(おれ)(たち)仲間(なかま)第一(だいいち)(しやく)(さわ)(こと)暴利(ばうり)権化(ごんげ)とも()ふべきブル(てき)宗教家(しうけうか)今日(こんにち)のやり(かた)だ。094好景気(かうけいき)時代(じだい)に、095(おの)()づシコタマ信徒(しんと)(あぶら)(しぼ)懐中(くわいちう)をふくらせやがつて、096最後(さいご)にお義理(ぎり)(てき)申訳(まうしわけ)(てき)に、097渋々(しぶしぶ)吾々(われわれ)三五教(あななひけう)信者(しんじや)へホンの鼻糞(はなくそ)ほどのお(まも)(ふだ)()れよつて、098恩情(おんじやう)主義(しゆぎ)だの(なん)のと臆面(おくめん)もなく誤託(ごたく)ママ(ほざ)き、099(おれ)(たち)(あせ)(あぶら)(しぼ)つて妾宅(せふたく)(つく)り、100栄華(えいぐわ)(ゆめ)()(つぶ)れ、101一朝(いつてう)不景気(ふけいき)(かぜ)()(はじ)めると、102(なに)()()きイの一番(いちばん)にお(ふだ)値下(ねさ)げだの、103(はら)(ばこ)だのと大鉈(おほなた)()()げ、104人間(にんげん)生命(せいめい)(せい)し、105ミイラを製造(せいざう)しておき(なが)ら、106(おの)れは依然(いぜん)として(あま)(しる)をシコタマ吸収(きふしう)し、107そして(ぬか)すことを()けば………宗教界(しうけうかい)不景気(ふけいき)(かぜ)()(すさ)み、108真価(しんか)()()ふて暴落(ばうらく)として()た。109こんな悪現象(あくげんしやう)招来(せうらい)した原因(げんいん)信仰律(しんかうりつ)低下(ていか)と、110教義(けうぎ)(あま)りに高尚(かうしやう)()ぐるからだ………と(ほざ)きやがるのだ。111そして洒々(しやしや)として()まし()んで()やがる。112ブル宗教家(しうけうか)連中(れんぢう)矢張(やは)吾々(われわれ)同様(どうやう)(しろ)(こめ)()つて黄色(きいろ)(くそ)()れる人間(にんげん)片割(かたわ)れだ。113こんな(やつ)覇張(はば)つて()宗教界(しうけうかい)何時(いつ)になつても駄目(だめ)だないか』
114マ『そりや()(とほ)りだ、115(おれ)同感(どうかん)だ。116(しか)今日(こんにち)僧侶(そうりよ)(ども)(じつ)()しからぬ代物(しろもの)ではないか。117(おれ)(たち)仲間(なかま)(たい)して(ぬか)すことには、118「お(まへ)(たち)()うな悪信仰(あくしんかう)没分暁漢(わからずや)(れん)八釜敷(やかましく)()つて()(まは)るものだから、119宗教(しうけう)()(つき)悪化(あくくわ)混乱(こんらん)状態(じやうたい)(おちい)るのだ」と(ほざ)きやがる。120こんな僧侶(そうりよ)盲目(めくら)(ども)は、121梵鐘(ぼんしよう)()らしたから火事(くわじ)(おこ)つたと()かす没分暁漢(わからずや)だ。122(さら)(また)人間(にんげん)社会(しやくわい)貧乏(びんばふ)()怪物(くわいぶつ)(あら)はれるのは、123食物(しよくもつ)生産力(せいさんりよく)()して人口(じんこう)加増率(かぞうりつ)一層(いつそう)(おほ)(ため)だから、124(これ)救済(きうさい)する唯一(ゆゐいつ)良法(りやうはふ)貧乏人(びんばふにん)(たち)節制(せつせい)して、125(あま)沢山(たくさん)()()まない(やう)にするのが、126社会(しやくわい)救治策(きうぢさく)最善(さいぜん)なる方法(はうはふ)手段(しゆだん)だ」と主張(しゆちやう)する馬鹿(ばか)学者(がくしや)(あら)はれて()た。127さて(いづ)れも理窟(りくつ)()きにして、128(かく)(ごと)坊主(ばうず)社会(しやくわい)公然(こうぜん)として生存(せいぞん)()るのも、129畢竟(ひつきやう)宗教家(しうけうか)第一(だいいち)主義(しゆぎ)社会(しやくわい)なればこそだ、130(おも)へば(なみだ)(こぼ)れる(ほど)有難(ありがた)きお目出度(めでた)次第(しだい)だ。
131 バラモン主義(しゆぎ)現代(げんだい)社会(しやくわい)(おい)横綱(よこづな)たる、132ブル宗教家(しうけうか)力士(りきし)土俵入(どへうい)りに(したが)雑僧(ざつそう)太刀持(たちもち)や、133露払(つゆばら)ひを(つと)むる御用(ごよう)学者(がくしや)出場(しゆつぢやう)なぞは、134(じつ)見物人(けんぶつにん)吾々(われわれ)()つては立派(りつぱ)見事(みごと)である。135(この)土俵入(どへうい)りを拝見(はいけん)する(ため)には、136随分(ずいぶん)種々(しゆじゆ)(うる)はしい名目(めいもく)で、137過重(くわぢう)見料(けんれう)否応(いなおう)なしに徴集(ちようしふ)されるのだから、138吾々(われわれ)貧弱(ひんじやく)(ほね)(かは)との痩肉(やせにく)には139錦上(きんじやう)(さら)(はな)(かざ)ると()ふお目出度(めでた)状態(じやうたい)だ。140アヽ吾々(われわれ)信徒(しんと)はこのお目出度(めでた)(たい)して祝福(しゆくふく)(げん)()べねばならぬ。141一層(いつそう)(こゑ)(おほ)きくして、142横綱(よこづな)力士(りきし)(いま)土俵(どへう)(そと)(ころ)()て、143手足(てあし)(くじ)吠面(ほえづら)()らす幕切(まくぎ)りを()たいものだ、144アハヽヽヽ』
145レ『(いち)(にち)(はや)くその土俵入(どへうい)りの盛観(せいくわん)幕切(まくぎ)りを拝見(はいけん)したいものだ。146(うで)()固唾(かたず)()拳骨(げんこつ)でも(かた)めて………』
147マ『それはさうとして、148(ぼく)友人(いうじん)なる首陀(しゆだ)のバリー(くん)149大喇嘛(だいらま)が「貴様(きさま)首陀(しゆだ)分際(ぶんざい)であり(なが)ら、150浄行(じやうぎやう)言語(げんご)使用(しよう)し、151頭髪(とうはつ)(なが)くしやがつて()しからぬ(やつ)だ」と()罵詈(ばり)雑言(ざふごん)(すゑ)152如意棒(によいぼう)をブラ()げた(ひげ)のある立派(りつぱ)番僧(ばんそう)散々(さんざん)つぱら毒付(どくつ)かれたのだ、153首陀(しゆだ)のくせに浄行(じやうぎやう)()使(つか)ひくさる」とは、154首陀(しゆだ)浄行(じやうぎやう)とは別国人(べつこくじん)だ。155印度人(いんどじん)では()いと()以上(いじやう)軽蔑(けいべつ)意味(いみ)充分(じゆうぶん)(ふく)まれて()るのだ。156(この)番僧(ばんそう)大喇嘛(だいらま)から「浄行語(じやうぎやうご)使(つか)首陀(しゆだ)用捨(ようしや)なく()(たふ)せ、157(なぐ)()けよ」との命令(めいれい)()けて()たか(いな)かは別問題(べつもんだい)として、158首陀(しゆだ)向上(かうじやう)運動(うんどう)煽動者(せんどうしや)であることだけは(きみ)()つて()るだらう。159(ゆゑ)吾々(われわれ)不逞(ふてい)首陀団(しゆだだん)(もく)されて()(あは)れな運動者(うんどうしや)よりも、160()所謂(いはゆる)番僧(ばんそう)(れん)を、161信徒(しんと)安定(あんてい)(うへ)から()厳粛(げんしゆく)取締(とりしま)らねば()るまいと(おも)ふのだ。162(じつ)(おも)ふても馬鹿(ばか)々々(ばか)しい問題(もんだい)だが、163番僧(ばんそう)(れん)片手(かたて)浄首(じやうしゆ)融和会(ゆうわくわい)()魔酔薬(ますゐやく)(つき)()し、164片手(かたて)では「浄行語(じやうぎやうご)をエラソウに使(つか)ひくさるから」とて拳骨(げんこつ)(つき)()して()るのだ。165(しか)首陀(しゆだ)向上団(かうじやうだん)連中(れんぢう)から()いて()ると、166(かう)不幸(ふかう)魔酔薬(ますゐやく)拳骨(げんこつ)(あま)好感(かうかん)(もつ)(むか)へられて()ないさうだ』
167レ『(ぼく)はそれだから、168近頃(ちかごろ)途上(とじやう)では()るべく浄行(じやうぎやう)番僧(ばんそう)には()はない(やう)にと注意(ちうい)してゐるのだ。169貴様(きさま)首陀(しゆだ)階級(かいきふ)(くせ)(おれ)(かほ)()るとは生意気(なまいき)千万(せんばん)(やつ)だ」と()ぐに(なぐ)られるのが(いや)だからだ。170ホントに馬鹿(ばか)々々(ばか)しいぢや()いか』
171マ『馬鹿(ばか)らしい(こと)()つたら、172一夕(いつせき)(おれ)亡妻(ばうさい)追悼会(つゐたうゑ)(もよほ)した(こと)があつたが、173数日(すうじつ)(のち)婆羅門(ばらもん)総本山(そうほんざん)から、1731番僧(ばんそう)()出張(しゆつちやう)(あそ)ばされて174「お(たく)追悼会(つゐたうゑ)(すこ)しも()らなかつた(ところ)175今日(こんにち)本山(ほんざん)から散々(さんざん)小言(こごと)()はれ、176(おほい)目玉(めだま)()()(ほど)(しか)られた。177それでお宅様(たくさま)追悼会(つゐたうゑ)には誰々(だれだれ)(あつ)まつたか、178どんな弔辞(てうじ)があつたか()かして()れろ」との(おほ)せだ。179(ぼく)葬婚(さうこん)礼儀(れいぎ)さへ(わきま)()らぬ番僧(ばんそう)(れん)にはホトホト(あき)(かへ)つて、180()いた(くち)早速(さつそく)(すぼ)まらなかつた。181そこで(あま)業腹(ごふばら)()つので182(いく)番僧(ばんそう)だつて葬式(さうしき)婚儀(こんぎ)にまで干渉(かんせう)する権利(けんり)はありますまい。183宗権(しうけん)蹂躙(じうりん)するものだから、184そんな(こと)答弁(たふべん)(かぎ)りでは御座(ござ)らぬ」とキツパリ温順(をんじゆん)()つて退()けてやつた。185さうすると()頓馬(とんま)番僧(ばんそう)186(その)翌朝(よくてう)から毎日(まいにち)六ケ敷(むつかしき)()面相(めんさう)(あそ)ばして187(たく)(おもて)如意棒(によいぼう)をブラ()(なが)頑張(ぐわんば)つて御座(ござ)るが、188(いづ)れの目的(もくてき)がお()(あそ)ばすのか(おれ)には合点(がつてん)()かない。189(また)その番僧(ばんそう)非常識(ひじやうしき)なやり(かた)(あそ)ばすのは、190(なん)理由(りいう)だか()(よし)もないが、191大喇嘛(だいらま)から(しか)られた(とき)()ほ「一層(いつそう)(きび)しく首陀(しゆだ)向上会(かうじやうくわい)をヤツつけろ」と()約束(やくそく)番僧間(ばんそうかん)金科(きんくわ)玉条(ぎよくでう)とされて()るのか、192()にも(かく)にも不都合(ふつがふ)(はなし)だ。193(じつ)吾々(われわれ)には迷惑(めいわく)(いた)りだ。194ウラナイバラニズムの()見本(みほん)だ。195キヽヽヽだ』
196レ『()(かく)(いち)(にち)(はや)吾々(われわれ)向上(かうじやう)運動(うんどう)(すす)めて、197根本(こんぽん)(てき)大運動(だいうんどう)198(いな)荒料理(あられうり)のメスを(ふる)はなくては駄目(だめ)だ。199吾々(われわれ)首陀(しゆだ)信徒(しんと)自滅(じめつ)するより(ほか)(すす)むべき(みち)()いのだ。200(なん)()つても黴菌(ばいきん)(おそ)れ、201難病(なんびやう)()ける医学(いがく)博士(はかせ)202毒蛇(どくじや)毒草(どくさう)()けて(とほ)博物(はくぶつ)学者(がくしや)203テンデ貧乏人(びんばふにん)には接近(せつきん)しない活仏(くわつぶつ)や、204(よわ)(もの)(いぢ)める牧師(ぼくし)公々然(こうこうぜん)として(あたま)(もた)げる暗黒(あんこく)世界(せかい)だもの、205(いは)んや(ぞく)(ぞく)たる婆羅門(ばらもん)僧侶(そうりよ)(おい)てをやだ。206吾々(われわれ)()くまでも婆羅門(ばらもん)どもの根城(ねじろ)根本(こんぽん)土台(どだい)から転覆(てんぷく)させん(こと)には、207信仰(しんかう)独立権(どくりつけん)保持(ほぢ)することさへ六ケ(むつか)しからうよ』
208 二人(ふたり)三五(あななひ)信者(しんじや)なる首陀(しゆだ)209(さかん)森蔭(もりかげ)(こし)()ろして(だん)じて()(ところ)へ、210錫杖(しやくぢやう)をガチヤつかせて悠然(いうぜん)(あら)はれたのは、211婆羅門(ばらもん)(けう)宣伝使(せんでんし)キユーバーであつた。212二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)姿(すがた)()るより(また)もやバラスパイが()よつたなーと、213(にはか)話頭(わとう)(てん)じて、
214レール『この(あひだ)()んだ(おれ)(せがれ)から幽冥(いうめい)通信(つうしん)があつたが、215その音信(おとづれ)に「地獄界(ぢごくかい)僧侶(そうりよ)牧師(ぼくし)ばかりで満員(まんゐん)だ。216普通(ふつう)人間(にんげん)では殺人(さつじん)217放火(はうくわ)ぐらいなもので、218(あま)(つみ)(かる)すぎて滅多(めつた)地獄(ぢごく)()れては()れない。219(しか)坊主(ばうず)牧師(ぼくし)なら(その)名称(めいしよう)だけでも幾人(いくにん)でも()()(こと)出来(でき)る」とのことだつたよ』
220キユーバー『(きみ)たちは(いま)(なに)(はな)して()ましたか、221(おだや)かならぬ(こと)(しやべ)つて()(やう)だなア。222(まへ)姓名(せいめい)(なん)()ふか、223()かして(もら)ひたいものだ』
224レール『(おれ)()(おれ)だ、225友人(いうじん)()友人(いうじん)だ。226坊主(ばうず)何処(どこ)までも坊主(ばうず)だ。227オイ兄弟(きやうだい)228サア()かう』
229(しり)()かけて一目散(いちもくさん)()()した。230キユーバー(急場(きふば))に(せま)つた(とき)三十六(さんじふろく)(けい)(おく)()だと、231(あたま)(かか)へてトントントンと畔路(あぜみち)()けつ(まろ)びつ(はし)()く。
232 ()婆羅門(ばらもん)(けう)宣伝使(せんでんし)233スコブツエンと()一派(いつぱ)宗旨(しうし)(ひら)いた(しん)婆羅門(ばらもん)教祖(けうそ)であつて、234婆羅門(ばらもん)大棟梁(だいとうりやう)大黒主(おほくろぬし)()()け、235(ひそか)第二(だいに)準備(じゆんび)()りかかつたのである。236大黒主(おほくろぬし)万々一(まんまんいち)婆羅門(ばらもん)(けう)が、237ウラル(けう)(また)三五教(あななひけう)(つぶ)された(とき)は、238スコブツエン(けう)()(たく)すべく、239()れキユーバーに数多(あまた)機密費(きみつひ)(あた)へ、240()特殊(とくしゆ)権利(けんり)地位(ちゐ)(あた)へて、241隠密(おんみつ)役目(やくめ)申付(まをしつ)けて()たのである。242(ゆゑ)()れキユーバーは(なん)不自由(ふじゆう)(かん)ぜず、243傲然(がうぜん)として(たか)()まり、244官民(くわんみん)睥睨(へいげい)しつつ天下(てんか)横行(わうかう)濶歩(くわつぽ)して()たのである。245大足別(おほだるわけ)将軍(しやうぐん)も、246()れが特殊(とくしゆ)地位(ちゐ)()ることと、247絶大(ぜつだい)なる権威(けんゐ)大黒主(おほくろぬし)授与(じゆよ)されて()(こと)()つて()るので、248抜目(ぬけめ)()大足別(おほだるわけ)249キユーバーに(たい)しては色々(いろいろ)()びを(てい)し、250()(かれ)(まへ)()でては、251(ほとん)従僕(じゆうぼく)(ごと)態度(たいど)(もつ)(のぞ)み、252()(めい)()(したが)ふのみであつた。
253 ()てキユーバーが東地(ハルナ)(みやこ)大黒主(おほくろぬし)内命(ないめい)()けて(ひら)いて()婆羅門(ばらもん)(けう)別派(べつぱ)254スコブツエン(しう)255由来(ゆらい)難行(なんぎやう)苦行(くぎやう)(もつ)(かみ)奉仕(ほうし)(まこと)(ささ)ぐるものと()し、256()くだに(おそ)ろしき苦行(くぎやう)教団(けうだん)である。257百千(ひやくせん)苦行(くぎやう)信徒(しんと)(むか)つて(しひ)(てん)は、258婆羅門(ばらもん)(けう)(すこ)しも(ことな)りはないが、259(こと)(はなは)だしき苦行(くぎやう)260婦人(ふじん)がヱマスキユレート(すなは)男性化(だんせいくわ)修業(しうげふ)で、261変性(へんじやう)男子(なんし)(ぐわん)()てて女性(ぢよせい)たることを(だつ)せむとする(こと)が、262(もつと)重要(ぢうえう)とされて()る。263(その)方法(はうはふ)には卵巣(らんさう)除去法(ぢよきよはふ)乳房(ちぶさ)除却法(ぢよきやくはふ)とがあつて、264卵巣(らんさう)除去法(ぢよきよはふ)修業(しうげふ)になると、265(ひやく)(にん)(うち)九十九(くじふく)(にん)(まで)生命(いのち)(おと)すに(いた)る、266(じつ)惨酷(ざんこく)なる修業(しうげふ)であり、267乳房(ちぶさ)除却法(ぢよきやくはふ)(いた)つては、268白熱(はくねつ)せる火箸(ひばし)(もつ)婦人(ふじん)乳房(ちぶさ)()()るのである。269()くした(もの)(たい)して270教主(けうしゆ)(およ)重役人(ぢうやくにん)婆羅門(ばらもん)大神(おほかみ)奉仕(ほうし)標章(へうしやう)するため焼印(やきいん)()す。271(これ)熱火(ねつくわ)洗礼(せんれい)(とな)へて()る。272()くして()(おと)された乳房(ちぶさ)聖壇(せいだん)(そな)へられ、273(これ)(ささ)げたる犠牲者(ぎせいしや)聖座(せいざ)安置(あんち)されて、274(かみ)(ごと)くに崇敬(すうけい)されるのである。275そして聖晩餐(せいばんさん)食物中(しよくもつちう)には、276乳房(ちぶさ)断片(だんぺん)()ぜられ、277会衆(くわいしう)一同(いちどう)(これ)(きつ)(をは)るや、278犠牲者(ぎせいしや)周囲(しうゐ)熱狂(ねつきやう)せる舞踏(ぶたう)(えん)ぜられるのである。279その光景(くわうけい)(じつ)凄惨(せいさん)(きは)まるもので、280(ただ)しき神々(かみがみ)所為(しよゐ)でないことは(これ)()ても(わか)るのである。281(そもそ)乳房(ちぶさ)女性(ぢよせい)のシンボルであり、282()のシンボルであり、283(また)婦人(ふじん)生殖器(せいしよくき)一部(いちぶ)とさへ(かんが)へられて()た。284畢竟(つまり)285婦人(ふじん)代表(だいへう)さるものは乳房(ちぶさ)だと()観念(くわんねん)(もと)()てられた邪教(じやけう)なのである。286印度(いんど)(おこ)つた宗教(しうけう)(せつ)(がい)して、287自我(じが)世界(せかい)纒綿(てんめん)世界(せかい)であるとか、288出纒(しゆつてん)(ぎやう)()ひ、289無我(むが)()ひ、290(くう)()ひ、291解脱(げだつ)()ひ、292涅槃(ねはん)()つて293所謂(いはゆる)転迷(てんめい)開悟(かいご)(もつぱ)らなる諸々(もろもろ)宗教(しうけう)発生(はつせい)するだけあつて、294土地(とち)気温(きをん)関係(くわんけい)(しか)らしむる(ため)か、295印度(いんど)()(くに)(おそ)ろしく(うつく)しい、296()物凄(ものすご)壮大(さうだい)自然(しぜん)(つつ)まれた、297何百種(なんびやくしゆ)かの人間(にんげん)幾百種(いくひやくしゆ)階級(かいきふ)(つく)り、298幾百種(いくひやくしゆ)言語(げんご)使(つか)つて()(くに)だけあつて、299樹上(じゆじやう)(さん)(ねん)300(いし)(うへ)(じふ)(ねん)()つたり(すわ)つたりして()たり、301(あな)(なか)逆立(さかだち)(さん)月間(げつかん)(つづ)けて修行(しうぎやう)するとか、302(みづ)ばかり()んで()きるだけ()きるとか、303木乃伊(みゐら)となるために氷雪(ひようせつ)(うち)304岩角(いはかど)(うへ)飲食物(いんしよくぶつ)()つて(すわ)つて修行(しうぎやう)すると()ふやうな迷信(めいしん)305妄信(ばうしん)306愚信(ぐしん)307悪邪信(あくじやしん)醗酵地(はつかうち)であり、308持戒(ぢかい)309精進(しやうじん)310禅定(ぜんぢやう)311忍辱(にんにく)などと八釜敷(やかまし)(さけ)(なが)らも、312淫靡(いんび)313不浄(ふじやう)314惰弱(だじやく)始末(しまつ)()へない国民性(こくみんせい)である。315それ(ゆゑ)自然(しぜん)結果(けつくわ)としてスコブツエン(しう)(ごと)きものが発生(はつせい)()たのである。
316 ()教祖(けうそ)のキユーバーは(すご)()をギヨロつかしながら、317レール、318マークの二人(ふたり)談話(だんわ)耳敏(みみざと)くも()()つて、319大黒主(おほくろぬし)国家(こくか)(くつが)へすものと憂慮(いうりよ)し、320二人(ふたり)()()姿(すがた)追跡(つゐせき)せむと金剛杖(こんがうづゑ)(ちから)に、321一生(いつしやう)懸命(けんめい)焦慮(あせり)()したのである。322(しか)るに()二人(ふたり)逸早(いちはや)くも山林(さんりん)姿(すがた)(かく)し、323谷川(たにがは)(みづ)(すく)つて咽喉(のど)(うるほ)しながら、
324レール『オイ、325マーク大変(たいへん)(やつ)出会(でくは)したものだないか。326彼奴(あいつ)大黒主(おほくろぬし)邸内(ていない)数年前(すうねんぜん)まで出入(でいり)して、327大黒主(おほくろぬし)(おん)(おぼ)目出度(めでた)かつたと()ふスコブツエン(しう)親玉(おやだま)ぢやないか、328下手(へた)魔誤(まご)()いて()たら大黒主(おほくろぬし)より重罰(ぢうばつ)(しよ)せられる(あぶ)ない(ところ)だつた。329()んな坊主(ばうず)何故(なぜ)あれほど威張(ゐば)()らしよるのだらう。330何故(なぜ)あんな不完全(ふくわんぜん)(きは)まる宗教(しうけう)(ほろ)びないのだらうか』
331マーク『印度(いんど)七千(しちせん)余国(よこく)には幾百(いくひやく)(ちひ)さい宗教(しうけう)があるが、332(いづ)れの宗教(しうけう)完全(くわんぜん)なものは(ひと)つも()いにきまつて()るよ。333(こと)()宗教(しうけう)殊更(ことさら)不完全(ふくわんぜん)(きは)まる未成品(みせいひん)(しう)だから、334命脈(めいみやく)(たも)つて()るのだ。335(すべ)不完全(ふくわんぜん)なものには将来(しやうらい)発達(はつたつ)すべき余地(よち)があり、336未来(みらい)があるのだ。337完全(くわんぜん)行詰(ゆきづま)りを意味(いみ)し、338結局(けつきよく)滅亡(めつぼう)代名詞(だいめいし)(ほか)ならないのだ、339アハヽヽヽ』
340レ『さうすると吾々(われわれ)運動(うんどう)成功(せいこう)せない未完成(みくわんせい)(あひだ)が、341(はな)もあり、342(にほひ)もあり、343()もあり、344世人(せじん)からも注目(ちうもく)されるのだな。345アハヽヽヽ』
346マ『ナアニ(おれ)(たち)はブルジョア宗教(しうけう)やラマ階級(かいきふ)圧迫(あつぱく)され(くる)しめられ、347明敏(めいびん)頭脳(づなう)滅茶(めちや)苦茶(くちや)になつたので、348チツト(ばか)小理窟(こりくつ)(おぼ)えて()るのを利用(りよう)して、349(じつ)滅茶(めつちや)苦茶(くちや)革正(かくせい)運動(うんどう)をやるやうに()つたのだ。350(しか)()()頭悩(づなう)でなければ、351創意(さうい)創見(さうけん)(うま)れて()ないのだ。352復古(ふくこ)(さけ)人間(にんげん)(かなら)覚明家(かくめいか)だ。353石火(せきくわ)坊子団(ばうしだん)(すなは)石下(せきか)坊主団(ばうずだん)だ。354日露(にちろ)協約(けふやく)結果(けつくわ)白雪(はくせつ)までも赤化(せきくわ)したぢやないか、355アハヽヽヽ。356それだから吾々(われわれ)(てん)表示(へうじ)確信(かくしん)して驀地(まつしぐら)(すす)まむとするのだ。357アヽ(いち)(にち)(はや)吾々(われわれ)目的(もくてき)達成(たつせい)せなくては、358到底(たうてい)吾々(われわれ)三五(あななひ)信者(しんじや)(けん)首陀(しゆだ)向上(かうじやう)会員(くわいゐん)()()(どころ)がなくなつて(しま)ふわ。359白雪(はくせつ)日露(にちろ)協約(けふやく)(あか)(くわ)し」』
360 かくて両人(りやうにん)(また)もやキユーバーの悪口(あくこう)(はな)()かせ、361不平(ふへい)(ほのほ)()やす(をり)しも、362執念(しふねん)(ぶか)いキユーバーの(うかが)()姿(すがた)()()()かしてチラチラと()()したのに(きも)(つぶ)し、363(しり)はし()つて山林(さんりん)(ふか)()()して(しま)つた。
364大正一四・二・一三 旧一・二一 加藤明子録)

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