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第七章 妻生(さいせい)〔一七七四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第70巻 山河草木 酉の巻 篇:第1篇 花鳥山月 よみ(新仮名遣い):かちょうさんげつ
章:第7章 妻生 よみ(新仮名遣い):さいせい 通し章番号:1774
口述日:1925(大正14)年08月23日(旧07月4日) 口述場所:丹後由良 秋田別荘 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年10月16日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
汚く醜いあばら家も、御霊の相応によって、高姫とキューバーには美しい御殿のように見えるのであった。
そして、いつのまにかキューバーの目には高姫が千草姫のように見えてきた。一方、高姫にはキューバーが時置師の杢助に見えてきた。お互いに思う人の幻影を見つつ、二人は辻褄の合わない勝手な応答をしながら、抱擁して眠ってしまった。
外にいたトンボは石を拾って手当たり次第に投げつける。キューバーと高姫は怒ってトンボを追いかける。トンボは八衢の関所の門につきあたって倒れ、つかまってしまう。
トンボは自棄になって二人の悪行をののしりたてる。その声に、八衢の門の守衛が出てきて、三人が居るのは冥土であることを諭す。そして、高姫の宿るべき肉体は千草姫であることを告げる。
途端に、キューバー・高姫ははっと気づくと、トルマン城の千草姫の部屋に倒れていた。こうして千草姫の肉体に高姫の精霊が入り込んだのである。これより姫の言行は一変する。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2018-11-30 15:11:07 OBC :rm7007
愛善世界社版:86頁 八幡書店版:第12輯 421頁 修補版: 校定版:88頁 普及版:45頁 初版: ページ備考:
001 (のき)(かたむ)屋根(やね)(やぶ)れ、002(てふ)蜻蛉(とんぼ)(はち)(すずめ)(あめ)も、003屋根(やね)から()つて()(ところ)(まで)茅葺(かやぶき)屋根(やね)煤竹(すすだけ)(ほね)()して()る。004雨戸(あまど)七分(しちぶ)三分(さんぶ)(しり)からげたやうに(かぜ)()()られ、005障子(しやうじ)はづづ(ぐろ)(さん)(ごと)瓔珞(ようらく)()げ、006(かぜ)()(たび)自由(じいう)舞踏(ぶたふ)をやつて()る。007湿(しめ)つぽい(たたみ)は、008(おもて)はすつかり(やぶ)れ、009(あか)ずんだ(とこ)(ばか)りが(わづか)命脈(めいみやく)(たも)010(あし)()()るるも()()のよだつやうに見苦(みぐる)しい。011さうして(なん)とも仮令(たとへ)やうのない異様(いやう)臭気(しうき)(はな)()く。012されど、013高姫(たかひめ)やキユーバーの()には(この)茅屋(ばうをく)金殿(きんでん)玉楼(ぎよくろう)(ごと)くに()え、014異様(いやう)臭気(しうき)麝香(じやかう)(ごと)くに、015想念(さうねん)情動(じやうどう)によつて(かん)()らるるのも(めう)である。016牛糞(うしぐそ)(あぢ)牡丹餅(ぼたもち)(ごと)(かん)じ、017馬糞(うまぐそ)(にほひ)もお(はぎ)(ごと)く、018いと満足(まんぞく)(のど)()らしてしやぶるのだから(たま)らない。019(くち)()けた(くす)ぼつた土瓶(どびん)(とう)(つる)()をつけ、020屋根(やね)から()るした(すす)だらけのてんどり()つかけ、021牛糞(うしぐそ)()いて(ちや)(あたた)(なが)ら、022二人(ふたり)嬉々(きき)として他愛(たあい)もなくふざけて()る。023御霊(みたま)相応(さうおう)()ふものは(じつ)不思議(ふしぎ)なものである。
024 (この)高姫(たかひめ)さまは、025キユーバーの()には、026一寸(ちよつと)()(とき)には(ばあ)さまのやうに()えたが、027何時(いつ)()にか、028トルマン(ごく)王妃(わうひ)千草姫(ちぐさひめ)のやうな美人(びじん)()えて()た。029(また)高姫(たかひめ)()では団栗眼(どんぐりまなこ)烏天狗(からすてんぐ)のやうな、030(くち)(とが)つた不細工(ぶさいく)なキユーバーの(かほ)(なん)とも()れぬ凛々(りり)しい、031時置師(ときおかし)杢助(もくすけ)()えて(たま)らない。032高姫(たかひめ)鼠髯(ねずみひげ)のやうに(しわ)のよつた(くち)をつぼめ(なが)ら、033しよな しよなと(からだ)をゆすり、
034(たか)『これ杢助(もくすけ)さん、035(いや)高宮彦(たかみやひこ)殿(どの)036ようまあ()けたものですなあ。037あの()(つじ)()つた(とき)は、038左程(さほど)でもない遍路(へんろ)だと(おも)ふて()たに、039かうさし(むか)うて(とつ)くりとお(かほ)をみると、040まぎれもない高宮彦(たかみやひこ)(さま)だわ。041もし(わたし)高宮姫(たかみやひめ)御座(ござ)いますよ。042(なん)ですか他々(よそよそ)しい。043他人(たにん)らしい(その)振舞(ふるまひ)()いて(くだ)さい。044何程(なにほど)貴方(あなた)出世(しゆつせ)して(えら)くなつたつてやつぱり(わたし)(をつと)ですよ』
045キユ『お(まへ)高宮姫(たかみやひめ)改名(かいめい)したのか、046(なん)でも千草姫(ちぐさひめ)()()だつたと(おも)ふがな』
047(たか)『あのまあ(もく)チヤンの白々(しらじら)しい(こと)048それ貴方(あなた)とあの御殿(ごてん)でお約束(やくそく)して高宮姫(たかみやひめ)改名(かいめい)したぢやありませぬか。049貴方(あなた)だつて(その)(とき)高宮彦(たかみやひこ)改名(かいめい)されたでせう』
050キユ『ハテナ、051(まへ)はどうしても千草姫(ちぐさひめ)(ちが)ひない。052(めう)(こと)()ふぢやないか。053(しか)(なが)ら、054()はどうでもよい。055(こころ)(こころ)さへぴつたり()うて()ればそれで十分(じふぶん)だ』
056二人(ふたり)(たが)(ちが)ひに(ぬし)をかへ、057嬉々(きき)として意茶(いちや)つき(はじ)めた。
058(たか)『もし貴方(あなた)059あれから(わたし)(わか)れて何処(どこ)(ある)いてゐらしたの。060(わたし)どれ(ほど)(たづ)ねて()たか()れませぬわ』
061キユ『(わし)はな、062デカタン高原(かうげん)のトルマン(ごく)根拠(こんきよ)(かま)へ、063(まへ)一目(ひとめ)()てから()にちらついて(たま)らず、064(なん)とかして()ひたい()ひたいと(こころ)(こが)して()矢先(やさき)065(まへ)がトルマン(わう)(きさき)になつて()るものだから()(つけ)やうがなく、066百方(ひやくぱう)手段(しゆだん)をもつてたうとうお(まへ)(ちか)よる(こと)出来(でき)067(なが)らくの(こひ)(やみ)()らす(こと)()たのだ。068サアこれからお(まへ)(わし)(こころ)(あは)せ、069トルマン(ごく)()()れ、070七千(しちせん)余国(よこく)(つき)(くに)蹂躙(じうりん)して()ようぢやないか。071到底(たうてい)科学(くわがく)(てき)文明(ぶんめい)極点(きよくてん)とも()ふべき現代(げんだい)(すく)ふのには、072(たん)なる説教(せつけう)演説(えんぜつ)祈祷(きたう)のみにては(こう)(そう)しにくい。073(みづか)王者(わうじや)位置(ゐち)()軍隊(ぐんたい)片手(かたて)(にぎ)り、074一方(いつぱう)には(つるぎ)075一方(いつぱう)にはコーランをもつて人心(じんしん)(をさ)めなくては宗教(しうけう)政治(せいぢ)(うそ)だ』
076(たか)成程(なるほど)077貴方(あなた)のやうな智勇(ちゆう)兼備(けんび)神人(しんじん)世界(せかい)御座(ござ)いますまい。078あゝ(さん)(ねん)(あひだ)079()(やま)ほてら苦労(くらう)したのも貴方(あなた)()ひたい(ばか)り、080いよいよ時節(じせつ)()たのかなあ』
081(たがひ)辻褄(つじつま)()はぬ勝手(かつて)応答(おうたふ)をし(なが)ら、082八味(やみ)(まく)(おろ)して抱擁(はうよう)したまま(ねむ)りについて(しま)つた。083(そと)()つて()たトンボはやけて(たま)らず、084小石(こいし)(ひろ)つて()(やぶ)れから(いく)つともなくボイボイと()()んだ。085小石(こいし)()()げてある土瓶(どびん)(はら)()つて、086二人(ふたり)()()(あし)(うへ)にパツと小便(せうべん)()れた。087高姫(たかひめ)(おどろ)跳起(はねお)(なが)(こゑ)(ふる)はせて、
088『これや、089天下(てんか)救世主(きうせいしゆ)(たね)()きよるのに(なに)をするか。090何者(なにもの)だ、091()名乗(なの)れ』
092呶鳴(どな)()てる。093トンボは(そと)から、
094『ワハヽヽヽヽヽ(いし)()げたのは(この)トンボさまだ。095これや婆々(ばば)096(いま)にこの(いへ)(たた)(こは)してやるからさう(おも)へ。097(おれ)(ひと)つは性念(しやうねん)()るぞ』
098(また)もや(あめ)(ごと)両手(りやうて)小石(こいし)(つか)んで()()(あや)ふさ。099(いし)戸棚(とだな)水屋(みづや)にぶつかつて、100カチヤカチヤ パチパチ ガランガランと瀬戸物(せともの)(まで)滅茶(めちや)々々(めちや)になる。101高姫(たかひめ)102キユーバーの二人(ふたり)(あぶな)くて()らず、103表戸(おもてど)()きあけ『コレヤー』と呶鳴(どな)(いきほひ)に、104トンボは(ほね)(かは)との(からだ)を、105(しり)をまくりながら、106ドンドンドンと()()す。107高姫(たかひめ)とキユーバーは(おひ)ついて素首(そつくび)引掴(ひつつか)(こら)して(くれ)むと真裸(まつぱだか)(まま)108トンボの(あと)(いき)をはづませ、109(あを)()(たま)となつて()つかけ()く。
110 トンボは八衢(やちまた)関所(せきしよ)門口(もんぐち)(きた)り、111(あわ)てて黒門(くろもん)どんとつきあたり、112アツと()つた(まま)(その)()(たふ)れた。113キユーバー、114高姫(たかひめ)二人(ふたり)皺枯声(しわがれごゑ)張上(はりあ)(なが)ら、115ホーイホーイ、116ホイホイホイとド拍子(びやうし)もない(こゑ)張上(はりあ)げて(おつ)かけ(きた)り、117トンボの(たふ)れて()姿(すがた)()痛快(つうくわい)がり、
118(たか)『ホヽヽヽヽヽこれ(もく)チヤン、119天罰(てんばつ)()ふものは(おそ)ろしいものでは御座(ござ)いませぬか、120ねえ貴方(あなた)121(わたし)貴方(あなた)神代(かみよ)から(つた)はつた、122青人草(あをひとぐさ)種蒔(たねまき)()神楽(かぐら)(つと)めて()るのを岡焼(をかやき)して、123(いし)()()んだトンマ野郎(やらう)ぢや御座(ござ)いませぬか。124これやトンマ、125(しつか)りせぬかい、126生宮(いきみや)さまの()神力(しんりき)には(おそ)()つたか』
127 トンボは(やうや)()がつき、
128『お(まへ)さまは生宮(いきみや)さまぢやないか。129こんな役所(やくしよ)門前(もんぜん)(まで)()(ひと)(はぢ)をさらすものぢやありませぬぞや。130何卒(どうぞ)悪口(わるくち)だけは(こら)へて(くだ)さい。131(わたし)だつてまだ(すゑ)(なが)人間(にんげん)132これからまた()()つて一働(ひとはたら)きせなくてはなりませぬ。133役人(やくにん)(みみ)(わたし)悪口(あくこう)()つたら最後(さいご)134何処(どこ)()つても(あたま)(あが)りませぬからねえ』
135(たか)『ヘン、136これや なーにをぬかして()るのだい。137自業(じごふ)自得(じとく)ぢやないか。138(まへ)のやうなものを(この)()(なか)(あたま)()げさせておこうものなら、139世界(せかい)暗雲(やみくも)になつて(しま)ふぢやないか。140それだからお役人(やくにん)(きこ)えるやう、141一入(ひとしほ)(おほ)きな(こゑ)()つたのだよ。142(なん)とまあ(なさけ)なささうな(かほ)わいのう』
143ト『これや婆々(ばば)144もう(おれ)(やぶ)れかぶれだ、145(なん)なりと悪口(わるくち)をつけ。146その(かは)貴様(きさま)秘密(ひみつ)をお役人(やくにん)(みみ)()るやう大声(おほごゑ)()()ぬいてやる』
147キユ『これやこれやトンボとやら滅多(めつた)(こと)()ふまいぞ。148貴様(きさま)のやうな三文(さんもん)やつこなら、149仮令(たとへ)よく()はれても(わる)()はれても(あま)影響(えいきやう)はない(はず)だ。150(しか)(なが)吾々(われわれ)(ごと)救世主(きうせいしゆ)の、151仮令(たとへ)(うそ)にもせよ悪口(わるくち)(まを)すと、152世界(せかい)救済(きうさい)事業(じげふ)妨害(ばうがい)になるのみならず、153(その)(つみ)(たちま)(まは)(きた)つて吊釣(てうきん)地獄(ぢごく)()ちるぞや』
154ト『ヘン()つといて(くだ)さい。155(まへ)さまは(この)婆々(ばば)(いろり)(はた)で、156とんでもない種蒔(たねまき)行事(ぎやうじ)(えん)じて()たぢやないか。157それあの醜体(しうたい)を……もしもしお役人(やくにん)(さま)158此奴(こいつ)()二人(ふたり)天則(てんそく)違反(ゐはん)大罪人(だいざいにん)御座(ござ)います。159何卒(どう)()規則(きそく)(てら)し、160地獄(ぢごく)()()んで(くだ)さい。161さうしてウラナイ(けう)とか、162スコ(けう)とか()つて悪神(わるがみ)(をしへ)天下(てんか)(ひろ)めようとする餓鬼(がき)畜生(ちくしやう)御座(ござ)います。163(わたし)証拠人(しようこにん)になります。164何卒(どうぞ)此奴(こいつ)()二人(ふたり)(きび)しく調(しら)べて(くだ)さい』
165(ちから)(いつ)ぱい呶鳴(どな)()てる。
166キユ『これやこれやトンボとやら、167教主(けうしゆ)生宮(いきみや)(ののし)(つみ)(かる)けれど、168(をしへ)(みち)(ののし)(つみ)万劫(まんご)末代(まつだい)(ゆる)されないぞ。169謗法(ばうほふ)(つみ)(おも)(こと)()つて()るか』
170ト『ヘン(えら)さうに()ふない。171謗法(ばうほふ)(つみ)なんて(おれ)やどこでもやつた(こと)()いわ。172貴様(きさま)()両人(りやうにん)こそ方々(はうばう)(わる)(こと)をやつて()代物(しろもの)だ。173もしお役人(やくにん)(さま)174大罪人(だいざいにん)二人(ふたり)(ここ)引張(ひつぱ)つて()ました。175(はや)()(くだ)さらないととんぼう遁亡(とんばう)(いた)します。176(はや)(はや)く』
177呶鳴(どな)つて()る。178赤白(あかしろ)両人(りやうにん)守衛(しゆゑい)(この)(こゑ)(いぶか)(なが)ら、179(もん)左右(さいう)(ひら)(そと)()()るとこの体裁(ていさい)
180(あか)『これやこれや今日(けふ)公休日(こうきうび)だ。181なぜ矢釜(やかま)しく(まを)すか。182(うつた)(ごと)があるなら明日(みやうにち)()()い、183()いてやらう』
184ト『もしお役人(やくにん)さまに(まを)()げます。185天下(てんか)(みだ)彼様(かやう)大悪人(だいあくにん)現在(げんざい)()(まへ)(なが)(なが)ら、186公休日(こうきうび)だから調(しら)べないなぞと、187そんなナマクラな(こと)()うてお役人(やくにん)(つと)まりますか。188日曜(にちえう)(まで)月給(げつきふ)(いただ)いて()られませう。189一寸(ちよつと)でよいからお調(しら)(くだ)さいませ』
190(あか)『や、191(まへ)はバラモンのリユーチナントではないか。192()修養(しうやう)(いた)さず、193八衢(やちまた)(まよ)ふて()るのか、194(こま)つた(やつ)だなあ』
195ト『もしお役人(やくにん)さま、196面白(おもしろ)(こと)仰有(おつしや)いますなあ。197冥途(めいど)かなんかのやうに現界(げんかい)八衢(やちまた)御座(ござ)いますか』
198(あか)『ここは冥途(めいど)八衢(やちまた)だ。199(その)(はう)鬼春別(おにはるわけ)将軍(しやうぐん)一旦(いつたん)部下(ぶか)となり、200軍隊(ぐんたい)解散(かいさん)(のち)201泥棒(どろばう)となつて四方(しはう)徘徊(はいくわい)(いた)し、202(ある)勇士(ゆうし)(ため)(ころ)され、203精霊(せいれい)となつて此所(ここ)()()るのだ。204それが()()()かぬのか』
205ト『ヘン、206(あま)馬鹿(ばか)にしなさるな。207(ちつ)真面目(まじめ)になつて(くだ)さい。208(わたし)狂者(きちがひ)ぢや御座(ござ)いませぬよ。209()んだ(もの)がこの()うにものを()ひますか。210()()えず(みみ)(きこ)えず、211(くち)もたたけず、212手足(てあし)(うご)けなくなつてこそ()んだのでせう。213ヘン馬鹿(ばか)にして()る。214こんな(さけ)(くら)つて顔色(かほいろ)(まで)まつ()にした(やつ)(さけ)(さかな)になつて()てもつまらない。215今日(けふ)(かへ)つてやらう。216その(かは)明日(あす)()ておれ、217貴様(きさま)上官(じやうくわん)今日(けふ)(こと)一伍(いちぶ)一什(しじふ)(うつた)へるぞ。218さうすると貴様(きさま)(たちま)足袋屋(たびや)看板(かんばん)(あし)あがり、219妻子(さいし)のミイラが出来(でき)るぞや、220ハヽヽヽヽヽ』
221捨台詞(すてぜりふ)(のこ)し、222道端(みちばた)(いし)(つか)んでキユーバー、223高姫(たかひめ)目当(めあて)(うち)かけ(なが)ら、224入陽(いりひ)影坊師(かげばうし)()たやうな細長(ほそなが)骸骨(がいこつ)(ちう)()かせ、225(きた)(きた)へと()げて()く。
226(あか)『ヤ、227そこに()るのは高姫(たかひめ)ぢやないか。228(まへ)時置師(ときおかし)杢助(もくすけ)さまに(たの)まれ、229(さん)年間(ねんかん)この八衢(やちまた)放養(はうやう)して()いたが、230()数十(すうじふ)(ねん)寿命(じゆみやう)現界(げんかい)(のこ)つて()る。231到底(たうてい)霊界(れいかい)生活(せいくわつ)(ゆる)されない。232(まへ)宿(やど)肉体(にくたい)はトルマン(わう)(きさき)千草姫(ちぐさひめ)肉体(にくたい)だ。233(いち)()(はや)()()れ。234(また)キユーバー、235(なんぢ)天下(てんか)無比(むひ)悪党(あくたう)であるが、236まだ生死簿(せいしぼ)には寿命(じゆみやう)がのこつて()る。237(いち)()(はや)現界(げんかい)()(かへ)れ。238グヅグヅ(いた)して()ると肉体(にくたい)()()はなくなるぞ』
239(きび)しく()(わた)した。240二人(ふたり)はハツと(おも)途端(とたん)()がつけばトルマン城内(じやうない)241千草姫(ちぐさひめ)一室(いつしつ)錠前(ぢやうまへ)(おろ)して(たふ)れて()た。242どことも()騒々(さうざう)しい人馬(じんば)物音(ものおと)243矢叫(やさけ)びの(こゑ)244大砲(おほづつ)小銃(こづつ)(おと)()()(ごと)(きこ)()る。245(これ)より千草姫(ちぐさひめ)言行(げんかう)一変(いつぺん)し、246(また)もや脱線(だつせん)だらけの行動(かうどう)()(こと)となつた。247八衢(やちまた)()高姫(たかひめ)精霊(せいれい)(おの)(をさ)まるべき肉体(にくたい)()(よみがへ)つたのである。
248大正一四・八・二三 旧七・四 於由良海岸秋田別荘 加藤明子録)

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