霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第六章 夜鷹姫(よたかひめ)〔一八一五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第72巻 山河草木 亥の巻 篇:第1篇 水波洋妖 よみ(新仮名遣い):すいはようよう
章:第6章 夜鷹姫 よみ(新仮名遣い):よたかひめ 通し章番号:1815
口述日:1926(大正15)年06月29日(旧05月20日) 口述場所:天之橋立なかや別館 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1929(昭和4)年4月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
妖幻坊と高姫が湖上を進んでいくと、一艘の小船とすれ違った。高姫はその船に乗っている男を見て顔を赤くする。
妖幻坊はそれを見て、高姫が他の男に恋慕していると嫉妬し、小船を追いかける。
小船は、もと来た離れ小島に横付けとなっていた。妖幻坊は船に乗っていた男を追いかけていく。それは梅公別であった。
梅公別は高姫に「まんざら他人でもない」と挨拶して、妖幻坊の嫉妬をあおる。
妖幻坊は高姫に、梅公別を蟻の竹やぶに誘い込むように命令する。高姫は、竹やぶで蟻に責められている男女を救うように梅公別をそそのかす。
実は梅公別は、二人の男女が高姫にだまされて蟻に責められていることは、常磐丸の船内で透視して知っていた。そして二人を助けに小船でやってきたのであった。
すでに蟻の魔の森に鎮魂を修し、神霊を送って蟻を退けておいてあった。
また、高姫が自分を蟻の餌食にしようとしていることを知っていたが、だまされた振りをして、森に飛び込む。
妖幻坊と高姫はそれを見て満足し、船に乗って島を去っていく。
一方梅公別はフクエと岸子を救い出し、スガの港を指して進み行く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2017-12-08 22:49:41 OBC :rm7206
愛善世界社版:68頁 八幡書店版:第12輯 630頁 修補版: 校定版:71頁 普及版:27頁 初版: ページ備考:
001 妖幻坊(えうげんばう)002高姫(たかひめ)二人(ふたり)太魔(たま)(しま)(つな)いであつた小船(こぶね)失敬(しつけい)し、003四五町(しごちやう)(ばか)湖上(こじやう)(すす)んだ(をり)しも、004()()(ごと)一艘(いつさう)小船(こぶね)此方(こなた)()して()(きた)るに出会(でくは)した。005高姫(たかひめ)目敏(めざと)くも(その)(ふね)()てハツと(むね)(とどろ)かせながら006顔色(がんしよく)(くれなゐ)()めた。007妖幻坊(えうげんばう)(この)(てい)()るより(やや)不審(ふしん)(いだ)き、
008(えう)(あらた)めて千草(ちぐさ)高姫(たかひめ)(さま)009いや女帝(によてい)(さま)010(すご)(おん)腕前(うでまへ)にはこの杢助(もくすけ)011驚愕(きやうがく)(いな)感激(かんげき)(つかまつ)りました。012帰命(きめう)頂礼(ちやうらい)謹請(ごんじやう)再拝(さいはい)謹請(ごんじやう)再拝(さいはい)
013(たか)『これはしたり、014杢助(もくすけ)(さま)015(めう)(こと)(おつ)しやいますね、016(なに)をそれ(ほど)感激(かんげき)なさつたのですか。017他人(たにん)行儀(ぎやうぎ)(あらた)まつて謹請(ごんじやう)再拝(さいはい)だなんて、018よい加減(かげん)揶揄(からか)つておいて(くだ)さいな』
019(えう)(しの)ぶれど(いろ)()にけり(わが)(こひ)
020(もの)(おも)ふと(ひと)()(まで)
021()百人(ひやくにん)一首(いつしゆ)(うた)022(まへ)()つて()るのだらう』
023(たか)『ヘン、024馬鹿(ばか)にして(くだ)さいますな、025そんな(うた)(ぐらゐ)よう()つて()ますよ、026それが一体(いつたい)(なん)だと仰有(おつしや)るのです、027怪体(けつたい)(こと)()ふぢやありませぬか』
028(えう)『お(まへ)(いま)彼処(あすこ)へやつて()一艘(いつそう)(ふね)若者(わかもの)()て、029(かほ)紅葉(もみぢ)()めたぢやないか、030(まへ)()ても()めても(わす)れる(こと)出来(でき)ない恋人(こひびと)相違(さうゐ)あるまいがな、031さうだから(すご)いお腕前(うでまへ)だと()つたのだ』
032(たか)(なん)(こと)かと(おも)へば(また)()いて()るのですか、033(みづ)(うへ)()くのも(あま)()()かぬぢやありませぬか。034サ、035そんな()()かぬ(こと)()はないで()(あやつ)つて(くだ)さいな』
036(えう)()(あやつ)るより(じつ)はあの(をとこ)艶福家(えんぷくか)あやかり()いのだ。037トルマン(じやう)王妃(わうひ)(きみ)038千草(ちぐさ)高姫(たかひめ)さまに(おも)はれた天下(てんか)唯一(ゆゐいつ)美男子(びだんし)だからなア。039(おれ)のやうな(とら)とも獅子(しし)とも(わけ)(わか)らぬ()(ふか)(をとこ)一緒(いつしよ)(くら)すよりも、040縮緬(ちりめん)のやうな(はだ)をした(わか)(をとこ)同棲(どうせい)した(はう)が、041どの(くらゐ)()(なか)(たの)しいか(わか)らないからのう。042いや醜男(ぶをとこ)には(うま)れて()たくないものだ』
043(たか)『それや(なに)仰有(おつしや)います、044よい加減(かげん)(わたし)(いぢ)めて()いて(くだ)さいませ』
045(えう)本当(ほんたう)046(まへ)はあの(をとこ)()らぬと()ふのか』
047(たか)絶対(ぜつたい)()らない(こと)()らないと()ふより(ほか)(みち)はありませぬもの』
048(えう)日出(ひのでの)(かみ)生宮(いきみや)049(そこ)岩根(いはね)(おほ)ミロク(さま)身魂(みたま)は、050(けつ)して(うそ)()はないでせうね』
051(たか)勿論(もちろん)(こと)です』
052(えう)『そんなら此処(ここ)(ひと)つお(まへ)約束(やくそく)しよう、053(まへ)()つて()るか()ないか、054あの(ふね)()つかけてあの若者(わかもの)()はして()よう。055もし、056(むかふ)(はう)からお(まへ)(かほ)()(なん)とか()つたら(けつ)して()らぬとは()はさないからな、057関係(くわんけい)のない男女(だんぢよ)には言葉(ことば)(かは)さないのがこの(くに)規則(きそく)だ。058(また)(ただ)一度(いちど)でも関係(くわんけい)したら、059内証(ないしよう)でも言葉(ことば)をかけなければならぬ規則(きそく)だから、060どうだ高姫(たかひめ)061()らぬと()ふなら調(しら)べて()ようか』
062(たか)『なんとマア嫉妬心(しつとしん)(ふか)執念深(しふねんぶか)(ひと)だこと、063もうそんな(こと)(みづ)(なが)して(いち)()(はや)うスガの(みなと)()かうぢやありませぬか』
064(えう)『お(まへ)がさう()へば()(ほど)(わし)(うたがひ)()して()(ばか)りだ。065()しお(まへ)関係(くわんけい)があつたとすれや如何(どう)して()れる。066サアそれから()めておこう』
067(たか)『さう(うたが)はれちや()()れませぬから、068貴方(あなた)()勝手(かつて)調(しら)べて(くだ)さい、069さうしたら屹度(きつと)(うたがひ)()れるでせう。070(わたし)()晴天(せいてん)白日(はくじつ)ですからなア』
071(えう)『よし、072おい()た。073サアこれからが(ばけ)(かは)(あら)はれ(とき)ぢや、074高姫(たかひめ)さま、075(しつか)りなさいませや』
076(たか)(なん)なと仰有(おつしや)いませ、077その(かは)りあの(をとこ)(わたし)関係(くわんけい)()かつたと()(こと)(わか)つたら、078どうして()れますか』
079(えう)『ハヽヽ如何(どう)するも()うするもない、080(わか)つたらお(まへ)(うたがひ)()れて結構(けつこう)だらうし、081(おれ)嫉妬心(しつとしん)がとれて大慶(たいけい)だ。082万々一(まんまんいち)(おれ)()(こと)(ちが)つたら083今後(こんご)どんな(こと)でもお(まへ)()(こと)絶対(ぜつたい)服従(ふくじう)(ちか)つておく。084しかし(おれ)()つたら085どんな(こと)でもお(まへ)(おれ)無理(むり)難題(なんだい)()くだらうなア』
086(たか)あもや喧嘩(けんくわ)087餅論(もちろん)ですワ』
088 「よし面白(おもしろ)い」と()(なが)妖幻坊(えうげんばう)船首(せんしゆ)(まは)089一艘(いつそう)(ふね)目当(めあて)(おつ)かけて()く。090一艘(いつそう)(ふね)自分(じぶん)現在(げんざい)()つて()(ふね)(つな)いであつた場所(ばしよ)へと(よこ)づけとなつた。091妖幻坊(えうげんばう)はオーイ オーイと熊谷(くまがひ)もどきに(よば)はり(なが)(はや)くも岸辺(きしべ)についた。092梅公別(うめこうわけ)二人(ふたり)姿(すがた)をつくづく(なが)めながら、
093『ヤア、094(たれ)かと(おも)へば千草(ちぐさ)高姫(たかひめ)さまで御座(ござ)つたか、095(その)()()(たえ)()無沙汰(ぶさた)(いた)しました。096貴女(あなた)のお居間(ゐま)でグツスリと()さして(もら)ひ、097いかい失礼(しつれい)(いた)しましたが、098ますますお達者(たつしや)でお目出(めで)とう、099()れば立派(りつぱ)なお婿(むこ)さまをお(もら)ひなさつたやうですね。100(わたくし)とても万更(まんざら)他人(たにん)ではありますまい。101(しか)(をんな)()ふものはよう()(かは)るものですね。102どうか(わたくし)(とき)のやうに、103()(かは)らないやうに、104今度(こんど)婿(むこ)さまを大切(たいせつ)にして()げて(くだ)さいや。105()()ふても(わたし)貴女(あなた)再縁(さいえん)(せま)るやうな(こと)もありませぬから()安心(あんしん)(くだ)さいませや。106さうしてお二人(ふたり)(そろ)ひで(この)(しま)(なん)御用(ごよう)でお(いで)ですか』
107高姫(たかひめ)『これはこれは何処(どこ)(かた)かは()りませぬが、108人違(ひとちが)ひをなさるも(ほど)がある。109成程(なるほど)(わたし)千草(ちぐさ)高姫(たかひめ)間違(まちがひ)はありませぬが、110(ひろ)世界(せかい)には(おな)(かほ)をした(をんな)もあり、111(おな)()(をんな)もあるでせう、112そんな(こと)()ふて(もら)うと(をつと)ある(わたし)113大変(たいへん)迷惑(めいわく)(いた)します』
114梅公(うめこう)高姫(たかひめ)さま呆惚(とぼ)けちやいけませぬよ、115人違(ひとちが)ひするやうな老眼(らうがん)でもなし、116昼夜(ちうや)間断(かんだん)なく(ゆめ)にまで貴女(あなた)姿(すがた)()(さが)して()(わたし)117どうして間違(まちが)へる気遣(きづか)ひがありませうか』
118 妖幻坊(えうげんばう)面色(めんしよく)(しゆ)(そそ)身体(しんたい)一面(いちめん)1181(ふる)はせ(なが)119高姫(たかひめ)梅公(うめこう)をグツと()めつけ、
120(えう)『これや、121そこな青二才(あをにさい)()122(たれ)(こと)わつて(おれ)大切(だいじ)女房(にようばう)何々(なになに)しやがつたか、123サ、124その(わけ)()かせ、125返答(へんたふ)次第(しだい)によつては容赦(ようしや)(まか)りならぬぞ。126これや女帝(によてい)127いや阿魔奴(あまつちよ)128夜鷹(よたか)129辻君(つじぎみ)130惣嫁(そうか)131十銭(じつせん)132下等(かとう)内侍(ないじ)133蓆敷(むしろしき)()が、134(はつ)(しやく)男子(だんし)(いま)(まで)馬鹿(ばか)にしよつたな、135サアこの(さば)きを(しつか)りと()けて(もら)ひませうかい』
136(たか)『これ杢助(もくすけ)さま、137辻君(つじぎみ)だの、138十銭(じつせん)だの、139蓆敷(むしろしき)だの、140(あま)(なさけ)ないお言葉(ことば)ぢやありませぬか、141(わたし)こそ(まつた)()らないのですもの。142(この)(ひと)(わたし)美貌(びばう)()精神(せいしん)錯乱(さくらん)したのでせう、143さうでなければ()()らずの(わたし)()て、144こんな(こと)()道理(だうり)がありませぬもの』
145(えう)『マアこの青二才(あをにさい)はこの(しま)()いておきや()げる気遣(きづか)ひはない、146その(かは)()借船(かりぶね)(あづ)かつて()く』
147(しつか)りと自分(じぶん)船尻(ふなじり)(くく)りつけ148二三町(にさんちやう)(ばか)(おき)()()し、
149『サア、150夜鷹(よたか)さま、151()うなつちや此方(こつち)のものだ。152本当(ほんたう)(こと)()ふて(もら)ひませうかい』
153 高姫(たかひめ)進退(しんたい)これ(きは)まり154(かく)すにも(かく)されず虚実(きよじつ)取混(とりま)ぜて覚束(おぼつか)なくも白状(はくじやう)をする。
155(ぜん)斎苑(いそ)(やかた)救世主(きうせいしゆ)156(かむ)素盞嗚(すさのをの)(みこと)三羽烏(さんばがらす)()一人(いちにん)157第一(だいいち)霊国(れいごく)()天人(てんにん)(さま)158曲輪(まがわ)(じゆつ)(めう)()たる天下(てんか)無双(むさう)英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)159(たて)から()ても(よこ)から()ても、160(あたま)から()ても、161(しり)から()ても、162何処(どこ)一所(ひととこ)(あな)のない(わが)夫様(つまさま)163(その)()慧眼(けいがん)には(さすが)千草(ちぐさ)高姫(たかひめ)感嘆(かんたん)(した)()かざるを()ませぬワ』
164(えう)(なん)だ、165(なが)たらしい(おれ)()(なら)べやがつて、166機嫌(きげん)()らうと(おも)つたつて()()()るものか、167善言(ぜんげん)美詞(びし)(とき)場所(ばしよ)によるぞ。168阿婆摺(あばず)阿魔奴(あまつちよ)169そんな追従(つゐしよう)()きたくない。170貴様(きさま)恋人(こひびと)間違(まちが)ひはなからうがな、171(をんな)なら(をんな)らしくあつさりと白状(はくじやう)しろ』
172(たか)『エヽもう()うなれや(やぶ)れかぶれだ。173サア(わたし)をどうなとして(くだ)さいませ、174(まへ)さまに()てられちや、175最早(もはや)(この)()(いき)甲斐(がひ)もありませぬから、176覚悟(かくご)()めました。177サア、178(はや)(ころ)しなさい』
179糞度胸(くそどきやう)()ゑて、180もたれかかる。
181(えう)『それ(ほど)(ころ)して()しけれや、182(あへ)遠慮(ゑんりよ)はしない覚悟(かくご)だが、183(しか)しお(まへ)(ころ)すと(たちま)(こま)るのは(おれ)だ。184(まへ)美貌(びばう)(たね)一芝居(ひとしばゐ)()たにやならぬからのう』
185(たか)『ホヽヽヽヽ、186それやさうでせうとも、187ねえ貴方(あなた)188どうして()可愛(かはい)女房(にようばう)(やいば)()てられませう、189そこが人情(にんじやう)(うつく)しいところ、190見上(みあ)げたるお(こころざし)191益々(ますます)(すき)になつて()ましたワ』
192(えう)『エヽ馬鹿(ばか)(さら)すない、193すべた阿女(あま)()194それよりも約束(やくそく)履行(りかう)して(なん)でも(おれ)()(こと)()いて(もら)はうかい』
195(たか)『ハイ(なん)なりと()きませう、196(まへ)さまが()ねと仰有(おつしや)つても(いや)とは()ひませぬ、197(ひく)(こゑ))ことはないけど、198マアマア(なん)でも()きますから仰有(おつしや)つて(くだ)さい』
199(えう)『そんなら(おれ)誠意(せいい)(あら)はす()め、200あの(をとこ)(うま)くちよろまかして()(もり)(うま)(はう)()んでくれ。201さうすれや彼奴(あいつ)(あり)蜘蛛(くも)(いのち)()られて仕舞(しま)ふから、202(おれ)もお(まへ)(しり)()られる心配(しんぱい)もなし、203()()(らく)()られると()ふものだ。204どうだ得心(とくしん)か…(だま)つて返事(へんじ)をせぬのは(いや)(ぬか)すのか』
205(たか)『イエイエ、206(けつ)して(けつ)して(いや)とは(まをし)ませぬ、207(をつと)(ため)になる(こと)なら、208如何(どん)(こと)でも(いのち)(まと)決行(けつかう)して御覧(ごらん)()れませう、209サア(はや)(ふね)をつけて(くだ)さい』
210 妖幻坊(えうげんばう)は「お手並(てなみ)拝見(はいけん)」と()(なが)211梅公別(うめこうわけ)上陸(じやうりく)した地点(ちてん)()(かへ)()れば、212梅公(うめこう)二人(ふたり)様子(やうす)(ただ)ならぬに()()み、213万々一(まんまんいち)大喧嘩(おほげんくわ)でも湖上(こじやう)でおつ(ぱじ)めよつたら、214(たちま)湖中(こちう)()()二人(ふたり)危急(ききふ)(すく)はむと、215じつと様子(やうす)()()たのである。216(くも)()(ばか)りの妖幻坊(えうげんばう)高姫(たかひめ)(とも)上陸(じやうりく)し、
217(えう)其処(そこ)()青二才(あをにさい)()218(この)(はう)()(こと)をよつく(うけたま)はれ、219(われ)こそは斎苑(いそ)(やかた)総務(そうむ)(つと)むる時置師(ときおかし)杢助(もくすけ)だ。220(その)(はう)照国別(てるくにわけ)のヘボ宣伝使(せんでんし)草履持(ぞうりもち)(いた)木端(こつぱ)野郎(やらう)だらうがな。221(おれ)女房(にようばう)慇懃(いんぎん)(つう)じたとか()(はなし)だが、222今日(けふ)大目(おほめ)()ておくから、223以後(いご)(かなら)(つつし)んだが()からうぞ』
224(うめ)『ヤ、225貴方(あなた)(うはさ)(たか)時置師(ときおかし)(かみ)226杢助(もくすけ)(さま)御座(ござ)いましたか、227(ぞん)ぜぬ(こと)とて(えら)失礼(しつれい)(いた)しました。228高姫(たかひめ)さまと(わたくし)との(なか)双方(さうはう)(とも)一度(いちど)恋慕(れんぼ)(いた)しましたが、229()要領(えうりやう)()()りませぬ。230それ(ゆゑ)(あか)他人(たにん)同様(どうやう)ですから、231(あま)貴方(あなた)からお(とが)めを(かうむ)(わけ)御座(ござ)いますまい』
232(えう)『ハヽヽヽヽ、233(くち)調法(てうはふ)なものだのう、234ゴテゴテ()ふにや(およ)ばない、235(まへ)良心(りやうしん)()うたら(わか)るだらう。
236(ひと)()はば(おに)()ぬとも(こた)ふべし
237(こころ)()はば如何(いかが)こたへむ。
238()道歌(だうか)()つて()るだらう、239(おれ)(をとこ)だ、240(あへ)追及(つゐきふ)はしない。241(たか)青二才(あをにさい)一匹(いつぴき)二匹(にひき)つかまへてゴテゴテ()ふのは242時置師(ときおかし)沽券(こけん)にも(くわん)するから、243寛大(くわんだい)処置(しよち)()つて不問(ふもん)()しておく、244有難(ありがた)(おも)へ』
245(たか)『もし梅公別(うめこうわけ)(さま)246時置師(ときおかし)(かみ)(さま)はあゝ仰有(おつしや)つても247(けつ)してお(まへ)さまを(にく)むやうな(かた)ぢやないから248(わる)(おも)はないやうにして(くだ)さい。249(しか)あたい恋慕(れんぼ)したつて駄目(だめ)ですから250(その)(てん)(かた)(かた)注意(ちうい)しておきますよ。251(まへ)さまも宣伝使(せんでんし)(たまご)ださうだから、252(ひと)手柄(てがら)(はじ)めにこの()(もり)()()んで(くるし)んで()男女(だんぢよ)(いのち)(たす)けておやりなさい。253さうすれや杢助(もくすけ)さまの(いかり)もとけ、254(まへ)さまの手柄(てがら)()つと()ふもの、255どうです256(ひと)侠気(をとこぎ)()して決行(けつかう)する()はありませぬかな』
257 梅公別(うめこうわけ)言霊別(ことたまわけ)化身(けしん)258高姫(たかひめ)妖幻坊(えうげんばう)正体(しやうたい)感知(かんち)しない(はず)はない。259さうして()(もり)高姫(たかひめ)(たぶら)かされ、260二人(ふたり)(わか)男女(だんぢよ)(あり)()められ蜘蛛(くも)(いと)にまかれ(くるし)んで()(こと)は、261(すで)(すで)常磐丸(ときはまる)船中(せんちう)(おい)透視(とうし)して()るのである。262(それ)(ゆゑ)梅公別(うめこうわけ)両人(りやうにん)(すく)ふべく263小舟(こぶね)(あやつ)つて一人(ひとり)此所(ここ)上陸(じやうりく)したのである。264梅公別(うめこうわけ)早速(さつそく)鎮魂(ちんこん)神業(かむわざ)()(もり)(しう)し、265(つよ)神霊(しんれい)(おく)つて()たから266蜘蛛(くも)(あり)如何(どう)する(こと)出来(でき)ないのを()つて()た。267それ(ゆゑ)泰然(たいぜん)自若(じじやく)として妖幻坊(えうげんばう)268高姫(たかひめ)船中(せんちう)(あらそひ)見物(けんぶつ)して()たのである。269(いま)高姫(たかひめ)侠気(をとこぎ)()して二人(ふたり)男女(だんぢよ)(すく)へと()つた(こころ)奥底(おくそこ)は、270梅公別(うめこうわけ)をあの(あり)()(もり)()()ましめ、271()(ころ)さしめむと(たく)んで()(こと)もよく承知(しようち)して()た。272それ(ゆゑ)梅公別(うめこうわけ)(ふた)返事(へんじ)承諾(しようだく)273妖幻坊(えうげんばう)274高姫(たかひめ)()(まへ)泰然(たいぜん)自若(じじやく)()(もり)()()んで仕舞(しま)つた。275妖幻坊(えうげんばう)276高姫(たかひめ)両手(りやうて)()つて高笑(たかわら)ひ、277竹藪(たけやぶ)入口(いりぐち)(すす)みよつて(あご)突出(つきだ)(しり)(たた)278所在(あらゆる)罵詈(ばり)嘲笑(てうせう)(たくまし)うし「ゆつくりお(くは)れなされ」と捨台詞(すてぜりふ)(のこ)し、279(ふたた)(ふね)()(まか)せ、280何処(いづく)ともなく(うか)()く。281梅公別(うめこうわけ)無事(ぶじ)二人(ふたり)(すく)()し、282(しば)大銀杏(おほいてふ)根下(ねもと)(こし)()ちかけ、283種々(いろいろ)成行(なりゆ)(ばなし)二人(ふたり)より()()(なが)(さん)(にん)(ひと)つの小船(こぶね)()(まか)せ、284スガの(みなと)をさして(すす)()く。285あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
286大正一五・六・二九 旧五・二〇 於天之橋立なかや旅館 加藤明子録)

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5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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