霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三章 グロスの(しま)〔一九五九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第78巻 天祥地瑞 巳の巻 篇:第1篇 波濤の神光 よみ:はとうのしんこう
章:第3章 第78巻 よみ:ぐろすのしま 通し章番号:1959
口述日:1933(昭和8)年12月20日(旧11月4日) 口述場所:大阪分院蒼雲閣 筆録者:谷前清子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年5月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
紫微天界はまだ国土が稚く、国の形も完全には定まっていなかったので、あちこちに妖邪の気が凝り固まって、種々の異様の動植物を生み、それがまた妖邪の気を四方に飛散させていた。
主の大神は、完全無欠の神の国を開設しようと、天之道立の神、太元顕津男の神の二柱に、霊界現界の神業を委任した。
天之道立の神は惟神の大道を宣布し、顕津男の神は国土を治める司神を造ろうと国土を巡った。
邪神の中には、数個の頭を持った竜や大蛇がおり、翼の生えた虎、狼、熊などが水陸両面に住んでいるものもおり、容易に正しい神の経綸を許さなかった。
そこで、主の大神は、これらの妖魔を根底的に言向け和し征服全滅しようと、英雄的な資質を持った神々を、紫微天界の四方に派遣していた。
御樋代神はすべて女神であったが、みな優美な姿とはうらはらに、勇猛剛直で神代の英雄神のみが選ばれていたので、その行動が雄々しいことは何も不思議なことでないのである。
朝香比女の神の乗った磐楠船は、日のたそがれるころ、曲津神が集まるというグロスの島に近づいた。曲神の島は、突然黒煙を四方に吹き散らし、海面を闇に包んで船さえも見えないほどになってしまった。
このグロスの島には、ゴロス、グロノスという二大曲津神があり、数多の醜神を使役して、隙あらば他の島を侵そうとかまえていた。
御樋代神の船が島に近づいてきたので、ゴロス、グロノスはあらゆる曲神を呼び集め、必死に船が近づくのを妨害しようと猛り狂っていた。
朝香比女の神は、いかに曲神が抵抗しようとも、真火と言霊により、征服しよう、と歌った。そして、闇が近づく黄昏時を避けて、明日の朝を待った。
すると、グロスの島から沸き立つ黒雲は次第次第に雲の峰が湧くように膨れ広がり、あたりの海面を真の闇と包んでしまった。そして、青白い火団が、船の周囲を蛍合戦のように飛び狂い、凄惨の気が漂ってきた。
朝香比女は少しも驚かず、平然として曲神の業を眺めながら、歌を歌った。最後に天晴比女の神が天の数歌を歌い、大空の月をあらわして曲神を照らし現そう、と歌うと、黒雲は風に吹き散らされ、天空に明るく清い月影が浮かび照らした。
グロノス、ゴロスは夜が明けるまでに船を滅ぼそうと死力を尽くし、長大な竜蛇の姿を現し、剣のような角をかざしながら、船に向かって火焔を吐いた。
朝香比女の神は平然として微笑みながら、暁まではこの船に休み安らう、と歌った。
各神々は、グロスの島に向かって明日の征途を楽しみながら歌を歌い、眠らずに船の上に安座して、さまざまなことを面白おかしく語り合い、夜明けを待っていた。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm7803
愛善世界社版: 八幡書店版:第14輯 41頁 修補版: 校定版:48頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 紫微天界(しびてんかい)(いま)国土(くに)(わか)く、002国形(くにがた)完全(くわんぜん)には端々(はしばし)(いた)りては(さだ)まらざりければ、003あちこちの稚国原(わかくにはら)には妖邪(えうじや)()()(かた)まりて種々(しゆじゆ)動植物(どうしよくぶつ)()み、004(とく)異様(いやう)動物(どうぶつ)数多(あまた)棲息(せいそく)して妖邪(えうじや)()四方(よも)飛散(ひさん)せしめ、005森羅万象(しんらばんしやう)発育(はついく)(さまた)ぐるも是非(ぜひ)なき次第(しだい)なりける。
006 ここに()大神(おほかみ)完全無欠(くわんぜんむけつ)(かみ)(くに)開設(かいせつ)(たま)はむとして、007天之道立(あめのみちたつ)(かみ)008太元顕津男(おほもとあきつを)(かみ)二柱(ふたはしら)霊界(れいかい)現界(げんかい)神業(みわざ)委任(ゐにん)(たま)ひければ、009天之道立(あめのみちたつ)(かみ)惟神(かむながら)大道(だいだう)宣布(せんぷ)し、010日夜(にちや)()ませ(たま)はず、011顕津男(あきつを)(かみ)国土(くに)(をさ)むべき司神(つかさがみ)(つく)らむとして、012国土(くに)のあちこちを経廻(へめぐ)(たま)ひ、013()(かみ)()ませ(くば)()(たま)ひし御樋代神(みひしろがみ)見合(みあ)ひまして、014国魂神生(くにたまがみう)みの神業(みわざ)にいそしみ(たま)神定(かむさだ)めとはなりける。
015 邪神(じやしん)(なか)には数箇(すうこ)(かしら)をもてる(りう)あり、016大蛇(をろち)あり、017(また)(つばさ)()えし(とら)あり、018(おほかみ)019(くま)(など)ありて(しま)(なか)棲息(せいそく)し、020水陸(すゐりく)両方面(りやうはうめん)()ねて()まへるなどありて、021容易(ようい)(ただ)しき(かみ)日々(にちにち)経綸(けいりん)(ゆる)さざりける。022(ゆゑ)()大神(おほかみ)はこの妖魔(えうま)根底的(こんていてき)言向(ことむ)けやはし、023征服(せいふく)し、024全滅(ぜんめつ)せしめむとして英雄的(えいゆうてき)素質(そしつ)()たせる神々(かみがみ)紫微天界(しびてんかい)四方(しはう)派遣(はけん)(たま)へるなりける。
025 御樋代(みひしろ)(かみ)(すべ)女神(めがみ)にましませども、026いづれも優美(いうび)なる容姿(ようし)()ず、027勇猛剛直(ゆうまうがうちよく)にして神代(じんだい)英雄神(えいゆうしん)のみを(えら)まし(たま)ひければ、028その御行動(ごかうどう)雄々(をを)しくましますことは自然(しぜん)道理(だうり)におはしましけるぞ(かしこ)けれ。
029万里(まで)島根(しまね)永久(とこしへ)
030基礎(きそ)(かた)むる御樋代(みひしろ)
031八柱神(やはしらがみ)()れませる
032朝香比女神(あさかひめがみ)雄々(をを)しくも
033(なが)旅路(たびぢ)()(たま)
034(もも)(なや)みをしのびつつ
035あなたこなたの国形(くにがた)
036〓(うまら)委曲(つばら)(かた)めつつ
037狭野(さぬ)島ケ根(しまがね)()()へて
038天中比古(あめなかひこ)(つかさ)とし
039いよいよ(すす)んで万里(まで)(しま)
040この稚国土(わかぐに)(かた)めむと
041御樋代神(みひしろがみ)(むか)へられ
042万里ケ丘(までがをか)なる聖所(すがどこ)
043生言霊(いくことたま)をとり(かは)
044国土(くに)(たから)燧石(ひうちいし)
045田族(たから)比女(ひめ)(おく)らせつ
046七日七夜(なぬかななよ)逗留(とうりう)
047(やうや)()へて御来矢(みくりや)
048(はま)より(ふね)()らせつつ
049永久(とは)(わか)れを()しみまし
050万里(まで)海原(うなばら)静々(しづしづ)
051波路(なみぢ)()けて(すす)みます
052ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
053(かみ)言霊(ことたま)(さち)はひて
054朝香(あさか)比女(ひめ)(つつが)なく
055(みづ)御霊(みたま)()れませる
056雲霧(くもきり)(ふか)西方(にしかた)
057国土(くに)()でます物語(ものがたり)
058〓(うまら)委曲(つばら)()ちもなく
059()べさせ(たま)へと瑞月(ずゐげつ)
060蒼雲閣(さううんかく)端坐(たんざ)して
061生言霊(いくことたま)(さち)はひを
062大本皇大神(おほもとすめらおほかみ)
063御前(みまへ)(かしこ)()(まつ)
064うすき冬陽(ふゆび)(かがや)ける
065蒼雲閣(さううんかく)清庭(すがには)
066(われ)()()れば大空(おほぞら)
067(とどろ)かせつつ三台(さんだい)
068飛行機(ひかうき)(きた)りて()(くる)
069非常時(ひじやうじ)日本(につぽん)光景(くわうけい)
070しみじみ(われ)(おも)はせり
071ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
072わが()べてゆく物語(ものがたり)
073生言霊(いくことたま)(さち)はひて
074非常時(ひじやうじ)日本(につぽん)(すく)ふべき
075よすがとなれば(みち)(ため)
076御国(みくに)(ため)(さち)はひと
077(つつし)(ゐやま)()べてゆく
078(わが)言霊(ことたま)(さち)あれよ
079(わが)言霊(ことたま)生命(いのち)あれ。
080 朝香比女(あさかひめ)(かみ)()らせ(たま)へる磐楠舟(いはくすぶね)は、081大小(たいせう)島々(しまじま)(みぎ)(ひだり)()ひながら()黄昏(たそが)るる(ころ)082曲神(まがかみ)(あつ)まると(きこ)えたるグロスの(しま)(ちか)より(たま)へば、083()にし()曲神(まがかみ)(しま)(にはか)黒烟(こくえん)四方(よも)()()らし、084海面(うみのも)(やみ)(つつ)みて御舟(みふね)さへ()えずなりにける。
085 このグロスの(しま)には、086ゴロスと()猛悪(まうあく)なる大蛇(をろち)(かみ)棲息(せいそく)して、087数多(あまた)醜神(しこがみ)使役(しえき)し、088(すき)あらば(すべ)ての島々(しまじま)(をか)さむとしつつ()ちかまへ()たるに、089(いま)御樋代神(みひしろがみ)御舟(みふね)090この(しま)(ちか)づきければ、091グロスの(しま)曲津神(まがつかみ)グロノス、092ゴロスの二巨頭(にきよとう)は、093あらゆる曲神(まがかみ)()(あつ)め、094必死(ひつし)となりて御舟(みふね)(ちか)づくを妨害(ばうがい)せむと伊猛(いたけ)(くる)ひける。
095 朝香比女(あさかひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
096二百浬(にひやくカイリ)(われ)(わた)()黄昏(たそが)れつ
097グロスの(しま)(ちか)づきしはや
098(この)(しま)にグロノス、ゴロスの曲津神(まがつかみ)
099(ひそ)むと()きて(ふね)よせにける
100曲津見(まがつみ)はここを先途(せんど)黒烟(こくえん)
101()()らしつつ四方(よも)(つつ)めり
102言霊(ことたま)水火(いき)(ひか)りと鋭敏鳴出(うなりづ)
103(かみ)のたまひし燧石(ひうち)にかためむ
104曲神(まがかみ)(いきほひ)如何(いか)(たけ)くとも
105()をもて()かば容易(ようい)(ほろ)びむ
106曲神(まがかみ)如何(いか)(いきほひ)(つよ)くとも
107真言(まこと)(ちから)なきものぞかし
108黄昏(たそがれ)(やみ)(たたか)不便(ふべん)さに
109(なみ)にうかびて(あした)()たばや』
110 初頭比古(うぶがみひこ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
111比女神(ひめがみ)神言(みこと)(かしこ)曲神(まがかみ)
112朝日(あさひ)()ちて(ほろぼ)すぞよき
113天界(かみくに)にさやる曲津(まがつ)(たね)をたやし
114(やす)神国(みくに)(さだ)(まつ)らむ
115黄昏(たそがれ)(やみ)海原(うなばら)(ことごと)
116(つつ)めど(われ)には()をもてりけり
117御舟(おんふね)真火(まひ)()らして明方(あけがた)
118(しづか)()たむ()(しま)(ちか)
119面白(おもしろ)海路(うなぢ)(たび)曲神(まがかみ)
120(もも)のいたづら()つつ(すす)むも』
121 起立比古(おきたつひこ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
122狭野(さぬ)(しま)魔神(まがみ)もここに(あつ)まりて
123行手(ゆくて)にさやると伊猛(いたけ)るならむ
124黒雲(くろくも)(まく)(つつ)めど(わが)(ふね)
125真火(まひ)(ひか)りに(やす)かりにけり
126()(がた)()ちていよいよ()(しま)
127()(ほろぼ)すと(おも)へば(たの)しき
128曲神(まがかみ)(わが)上陸(じやうりく)()()ちて
129服従(まつろ)(きた)れしからば(ゆる)さむ
130比女神(ひめがみ)汝等(なれら)生命(いのち)()ひうけて
131真言(まこと)(みち)(すく)(たす)けむ
132一夜(ひとよさ)生命(いのち)()へば曲神(まがかみ)
133()こそあはれになりにけるかな』
134 グロスの(しま)より()()黒雲(くろくも)は、135次第々々(しだいしだい)(くも)(みね)()(ごと)くふくれ(あが)り、136(ひろ)ごり、137四辺(あたり)海面(うみのも)(しん)(やみ)(つつ)み、138青白(あをじろ)火団(くわだん)御舟(みふね)周囲(しうゐ)螢合戦(ほたるがつせん)(ごと)()()(くる)ひめぐり、139凄惨(せいさん)()(やみ)(とも)(ただよ)ひにける。
140 朝香比女(あさかひめ)(かみ)(すこ)しも(おどろ)(たま)はず、141平然(へいぜん)として曲神(まがかみ)種々(くさぐさ)(わざ)御覧(みそなは)しながら、142御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
143面白(おもしろ)曲神(まがみ)なるかも(やみ)(うみ)
144青白(あをじろ)()となりて()べるも
145曲神(まがかみ)()青白(あをじろ)(ひか)りなし
146鬼火(おにび)陰火(いんくわ)(あつ)からぬかな
147()(たま)()れども(ひか)らず(あつ)からず
148海月(くらげ)(ごと)くただよへるかも
149明日(あす)さらばグロノス、ゴロスを言向(ことむ)けて
150この()(しま)(きよ)めむと(おも)
151八潮路(やしほぢ)(なが)旅路(たびぢ)(つか)れはてて
152曲津(まが)のすさびを()るは(たの)しき
153百千万(ひやくせんまん)火団(くわだん)となりて(たけ)(くる)
154(さま)面白(おもしろ)(ふね)()()
155()(ふね)(なみ)(うか)べど(うご)かざり
156生言霊(いくことたま)(いかり)につなげば』
157 立世比女(たつよひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
158炎々(えんえん)御空(みそら)(つき)をかくしつつ
159()島ケ根(しまがね)黒雲(くろくも)()ちたつ
160曲神(まがかみ)黒雲(くろくも)(おこ)しおく(ふか)
161しのびつ()ぢつ(くる)ふなるらむ
162曲神(まがかみ)数多(あまた)(つど)へるグロスの(しま)
163今日(けふ)(めづら)しく黄昏(たそが)れて()
164黄昏(たそがれ)(うみ)にうつらぬ()(たま)
165(まさ)しく陰火(いんくわ)のしるしなりけり
166真火(まひ)なれば(なみ)(そこ)まで(かがや)かむを
167青白(あをじろ)きのみ(ひか)りだになし
168言霊(ことたま)()ける(ひかり)()らされて
169グロノス、ゴロスも(ほろ)()すべし
170御樋代(みひしろ)(かみ)()でましに()(しま)
171(きよ)きすがしき国土(くに)(うま)れむ』
172 天晴比女(あめはれひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
173(われ)こそは御供(みとも)(つか)ふる天晴(あめはれ)
174比女神(ひめがみ)なるよ御空(みそら)()らさむ
175(ひと)(ふた)()()(いつ)(むゆ)(なな)()(ここの)(たり)
176百千万(ももちよろづ)(かみ)(つど)ひませ
177大空(おほぞら)(つき)()らして()(しま)
178曲津見(まがつみ)(かしら)(あら)はさむかも』
179 ()(うた)(たま)ふや、180()(しま)上空(じやうくう)(つつ)みし黒雲(くろくも)次第々々(しだいしだい)科戸(しなど)(かぜ)()()らされて、181天空(てんくう)(あか)(きよ)円満清朗(ゑんまんせいらう)月影(つきかげ)(うか)ばせ(たま)ひ、182(なみ)(そこ)(ふか)(かがや)(たま)ひける。
183 ここにグロノス、184ゴロスの曲津神(まがつかみ)()()くるまでに御舟(みふね)神等(かみたち)(ほろぼ)しくれむと死力(しりよく)(つく)一百有余旬(いつぴやくいうよじゆん)竜蛇(りうだ)姿(すがた)(あらは)し、185数頭(すうとう)(かしら)には各自(おのもおのも)太刀(たち)(ごと)(つの)をかざしながら、186(しき)りに御舟(みふね)(むか)つて火焔(くわえん)()光景(くわうけい)はもの(すご)きまでに()えにける。
187 朝香比女(あさかひめ)(かみ)平然(へいぜん)として微笑(ほほゑ)みながら御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
188(いさ)ましやグロノス、ゴロスの雄猛(をたけ)びは
189(わが)()(たび)をなぐさめにける
190()()けど(つの)はふれども()()れど
191(われ)には(なん)(なや)(おぼ)えず
192(ちから)(かぎ)雄猛(をたけ)(くる)曲神(まがかみ)
193(こころ)(おも)へばあはれなるかも
194()(かく)(あかつき)まではこの(ふね)
195(われ)(やす)らはむ(こころ)(やす)けく』
196 初頭比古(うぶがみひこ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
197一夜(ひとよさ)生命(いのち)(おも)へば曲神(まがかみ)
198最後(いまは)(すさ)びあはれなるかな
199常闇(とこやみ)をうすら()らして曲神(まがかみ)
200あまたの(くち)より(ほのほ)()くも
201(ひかり)にぶき松明(たいまつ)()へば面白(おもしろ)
202(つき)御空(みそら)(かがや)(たま)へど
203月読(つきよみ)(ひか)りますますさやかにて
204()島ケ根(しまがね)(くも)はあせたり
205ところどころ魔神(まがみ)()()黒雲(くろくも)
206次第々々(しだいしだい)にうすらぎしはや
207()くの(ごと)(あさ)奸計(たくみ)曲神(まがかみ)
208雄猛(をたけ)()れば雄心(をごころ)わくも
209明日(あす)さればこの島ケ根(しまがね)(ことごと)
210()(きよ)むべし曲神(まがみ)退(しりぞ)け』
211 起立比古(おきたつひこ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
212海中(わだなか)永久(とは)(うか)べる()(しま)
213(くも)()れけり(つき)(ひか)りに
214(つき)()ゆる万里(まで)海原(うなばら)(うか)びたる
215グロスの(しま)(また)()れけり
216この(しま)(おも)ひしよりは(ひろ)くして
217あまたの曲神(まがみ)(さわ)(まは)れり
218この(しま)()大神(おほかみ)()みませる
219生島(いくしま)なれば(きよ)(まつ)らむ
220日並(けなら)べて(かみ)神業(みわざ)(つか)へつつ
221(また)(たの)しき明日(あす)(むか)へつ』
222 立世比女(たつよひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
223黒雲(くろくも)(しま)のあちこちに(ふと)(たか)
224()てども明日(あす)跡形(あとかた)もなけむ
225黒雲(くろくも)(とき)じく(おこ)して天地(あめつち)
226水火(いき)(にご)せる曲神(まがみ)(しま)かも
227この(しま)曲神(まがみ)ことごと言向(ことむ)けて
228(わか)国原(くにはら)()むは(たの)しも
229この(しま)御樋代神(みひしろがみ)(こも)らすと
230()きしは(ゆめ)黒雲(くろくも)()ちたつ
231御樋代(みひしろ)(かみ)悪魔(あくま)雄猛(をたけ)びに
232(しば)御姿(みかげ)をかくし(たま)ふか』
233 天晴比女(あめはれひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
234(あめ)(つち)生言霊(いくことたま)御光(みひか)りに
235()らして(わか)国土(くに)()まばや
236天晴比女(あめはれひめ)(かみ)御供(みとも)(つか)へつつ
237この島ケ根(しまがね)(くも)()らさむ』
238 (かく)神々(かみがみ)はグロスの(しま)(むか)つて明日(あす)征途(きため)(たの)しみながら御歌(みうた)()ませつつ、239一目(ひとめ)(ねむ)らせ(たま)はず磐楠舟(いはくすぶね)(うへ)安坐(あんざ)して、240種々(くさぐさ)のことを面白(おもしろ)可笑(をか)しく(かた)()ひつつ()明方(あけがた)(しづか)()たせ(たま)ひけるぞ(かしこ)けれ。
241昭和八・一二・二〇 旧一一・四 於大阪分院蒼雲閣 谷前清子謹録)