霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二一章 怪体(けたい)(しま)〔一九七七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第78巻 天祥地瑞 巳の巻 篇:第4篇 神戦妖敗 よみ:しんせんようはい
章:第21章 怪体の島 よみ:けたいのしま 通し章番号:1977
口述日:1933(昭和8)年12月25日(旧11月9日) 口述場所:大阪分院蒼雲閣 筆録者:森良仁 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年5月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
朝香比女の神一行は、葦原比女の神一行に送られ、常磐の浜辺で名残を惜しみつつ、万里の海へとふたたび船出をした。
朝香比女の神一行が舟を南へと進ませていくと、鷹巣の山の頂から黒煙がもうもうと噴出して天に立ち上り、海を指して迫ってきた。黒雲は、グロノス・ゴロスの竜蛇心の形を現して進んできた。
朝香比女の神、初頭比古の神がこの様子に警戒の歌を歌うおりしも、海上に旋風が起こり、一行の乗った磐楠舟は荒波に翻弄され、一進一退どうしようもない羽目に陥った。
しかし、朝香比女の神は平然として微笑しながらこの光景を静かに見つつ、心中に深い成算があるかのようであった。一行の神々は、おのおの少しも恐れずに勇気と祓いの歌を歌い、しばらく望見し落ち着きはらっていた。
すすと、百雷が一時にとどろくようなウーウーウーの唸り声が響き渡り、たちまちに波風は和らいで、あたりを包んでいた魔神の黒雲は薄らいで飛び散り、平静な天地と変わってしまった。
朝香比女の神は、ひそかに祈った言霊によって、鋭敏鳴出の神が現れ、その神力によって曲津神たちを追い払ってしまったことを歌った。従者神たちも、この出来事に述懐の歌をそれぞれ歌った。
しばらくして舟は、海路に横たわる巨大な巌島に近づいた。よくよく見れば、赤・黒さまざまの大蛇が何匹も巌から首を差し出し、大口から火焔の下を吐いて舟を襲おうとするごとくであった。
朝香比女の神はこのありさまに、心穏やかに微笑みながら、この巌島を火の島とするよう、言霊歌を歌った。
すると、高く切り立った周囲約三里の巌島は、たちまち一面が火焔に包まれ、海水は熱湯のように煮えたぎり、大蛇は焼かれ傷つき、あるいは雲を起こして鷹巣の山に逃げ去った。
従者神たちは、この様子を見て驚き感激し、朝香比女の神の言霊の働きを称える歌を歌った。そして、舟は東南に向けて進んでいった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版: 八幡書店版:第14輯 131頁 修補版: 校定版:387頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 朝香比女(あさかひめ)(かみ)は、002葦原比女(あしはらひめ)(かみ)一行(いつかう)常磐(ときは)浜辺(はまべ)まで(おく)られ、003(たがひ)名残(なごり)りを()しみつつ、004朝日(あさひ)()らふ万里(まで)海原(うなばら)順風(じゆんぷう)(じやう)じ、005(みなみ)(みなみ)へと(ふね)(すす)ませ(たま)(をり)しもあれ、006()(わた)りたる大空(おほぞら)彼方(かなた)屹立(きつりつ)したる鷹巣(たかし)(やま)(いただき)より、007黒煙(こくえん)濛々(もうもう)噴火(ふんくわ)(ごと)くに()()して(てん)(ちう)し、008次第々々(しだいしだい)(ふく)(ひろ)ごり、009万里(まで)海原(うなばら)さして()()(きた)(さま)010もの(すご)きばかりなりける。011黒雲(くろくも)はグロノス、012ゴロスの竜蛇神(りうだしん)(かたち)(あら)はし、013()(さき)海原(うなばら)さして(すす)(きた)(ごと)()えにける。
014 朝香比女(あさかひめ)(かみ)(この)光景(くわうけい)打仰(うちあふ)ぎながら、
015鷹巣山(たかしやま)尾根(をね)黒雲(くろくも)()()ちて
016大空(おほぞら)(たか)(ひろ)ごれるがに()
017鷹巣山(たかしやま)()黒雲(くろくも)醜神(しこがみ)
018(われ)(あだ)せむ下心(したごころ)かも
019()みきらふ御空(みそら)(あを)醜神(しこがみ)
020(しこ)黒雲(くろくも)ぬりつぶさむとす
021よしやよし万里(まで)海原(うなばら)(つつ)むとも
022(わが)言霊(ことたま)伊吹(いぶ)(はら)はむ
023曲神(まがかみ)棲処(すみか)()かれて鷹巣山(たかしやま)
024(しの)びて(くも)となりて(すさ)ぶも
025(わが)(ふね)魔神(まがみ)黒雲(くろくも)(つつ)まれて
026行手(ゆくて)()えずなりにけらしな
027()(かみ)御水火(みいき)()れし(われ)にして
028如何(いか)でひるまむ曲津(まが)(すさ)びに
029曲津神(まがつかみ)(すさ)べば(すさ)千万(ちよろづ)
030(わざはひ)(きた)るも(われ)はひるまじ』
031 初頭比古(うぶがみひこ)(かみ)(この)光景(くわうけい)()御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
032『グロノスもゴロスも(ちから)のありたけを
033(つく)して御舟(みふね)にさやらむとすも
034大空(おほぞら)蒼海原(あをうなばら)をぬりつぶし
035万里(まで)(うみ)まで(くも)(つつ)める
036よしやよし黒雲(くろくも)如何(いか)(つつ)むとも
037海原(うなばら)()けていや(すす)()かむ
038曲神(まがかみ)(しこ)水火(いき)にや海風(うなかぜ)
039()(みだ)れつつ御舟(みふね)ゆするも』
040 ()(うた)(たま)(をり)しも、041海上(かいじやう)(にはか)旋風(せんぷう)(おこ)り、042(くも)(だい)なる()(ゑが)きて前後(ぜんご)左右(さいう)()(くる)ひ、043磐楠舟(いはくすぶね)荒浪(あらなみ)翻弄(ほんろう)され、044一進一退(いつしんいつたい)如何(いかん)ともすべからざる羽目(はめ)(おちい)りぬ。045朝香比女(あさかひめ)(かみ)平然(へいぜん)として微笑(びせう)しながら(この)光景(くわうけい)(しづか)見給(みたま)ひつつ、046心中(しんちう)(ふか)成算(せいさん)あるものの(ごと)くに(おは)()しける。
047 起立比古(おきたつひこ)(かみ)咫尺(しせき)(べん)ぜぬ暴風(ばうふう)海原(うなばら)(なが)めながら、048儼然(げんぜん)として御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
049曲神(まがかみ)はあらむ(かぎ)りの暴力(ばうりよく)
050ふるひて御舟(みふね)顛覆(くつがへ)さむとす
051(かぜ)()(なみ)()()(くも)()きよ
052如何(いか)(おそ)れむ(かみ)なる(われ)
053面白(おもしろ)(かぜ)海原(うなばら)御舟(おんふね)
054()きつ(しづ)みつ(あが)りつ(くだ)りつ
055荒浪(あらなみ)(たてがみ)(ふる)御舟(おんふね)
056(ふなばた)きびしく()みつき(きた)るも
057()(かみ)朝香(あさか)比女(ひめ)(まか)せたる
058吾身(わがみ)(てん)(まか)すのみなる
059グロノスやゴロスも(ちから)(たね)つきて
060やがて(ほろ)ばむ(おも)へば(かな)しも
061葦原(あしはら)国土(くに)永遠(とことは)(をさ)むべく
062(この)曲津見(まがつみ)(きた)めで()まむや』
063 立世比女(たつよひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
064奴婆玉(ぬばたま)(やみ)海原(うなばら)荒浪(あらなみ)
065()ちたつ今日(けふ)(たび)(いさ)まし
066曲津見(まがつみ)(すさ)(かぎ)りを(すさ)ばせて
067(われ)面白(おもしろ)(なが)めむと(おも)
068荒風(あらかぜ)(ひびき)(たか)(なみ)(おと)
069(なに)(おそ)れむ(かみ)なる(われ)
070グロノスもゴロスもここを(たま)()
071(いのち)かぎりに(すさ)ぶと()えたり
072(すさ)ぶだけ(すさ)ばせ(くる)はせ(つか)らせて
073さて()(のち)言霊(ことたま)()らむか』
074 天晴比女(あめはれひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
075久方(ひさかた)(あめ)()らしの(われ)なれば
076御空(みそら)黒雲(くろくも)(ただ)(はら)はむ
077(ひと)(ふた)()()(いつ)(むゆ)(なな)()(ここの)(たり)
078(もも)()(よろづ)八千万(やちよろづ)
079(かみ)(あつ)まりましまして
080今日(けふ)御舟(みふね)にさやりたる
081(しこ)黒雲(くろくも)(はら)はせ(たま)
082ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
083吾等(われら)となふる言霊(ことたま)
084(いのち)あれかし(ひかり)あれかし』
085 朝香比女(あさかひめ)(かみ)(ふたた)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
086面白(おもしろ)(しこ)(たけ)びを()るものか
087万里(まで)海原(うなばら)()()(たび)
088曲神(まがかみ)もやがて(つか)れむ()くの(ごと)
089黒雲(くろくも)()けば(ちから)()きなむ
090黒雲(くろくも)(おこ)荒風(あらかぜ)()かせつつ
091(わが)旅立(たびだち)(おびや)かさむとするも
092()くの(ごと)(しこ)(わざはひ)(なに)かあらむ
093(しばら)()ちて(われ)(きた)めむ』
094 ()神々(かみがみ)各自(おのもおのも)御歌(みうた)()ませつつ、095(やみ)(うみ)暴風怒濤(ばうふうどたう)(ふね)翻弄(ほんろう)されながら、096神色自若(しんしよくじじやく)として(すこ)しも(おそ)れず、097(しば)しを望見(ばうけん)落着(おちつ)居給(ゐたま)ひける。
098 ()かる(ところ)百雷(ひやくらい)一時(いちじ)(とどろ)(ごと)きウーウーウーの(うな)(ごゑ)(ひび)(わた)り、099(たちま)ちにして荒風(あらかぜ)鉾先(ほこさき)(ゆる)め、100(なみ)(やは)らぎ(わた)り、101四辺(あたり)(つつ)みし魔神(まがみ)黒雲(くろくも)次第々々(しだいしだい)(うす)らぎつつ四辺(しへん)()()り、102(つひ)には跡形(あとかた)(とど)めず、103(なみ)(たひら)かに天津(あまつ)()晃々(くわうくわう)(かがや)(たま)平静(へいせい)なる天地(てんち)(かは)りけるぞ不思議(ふしぎ)なれ。
104 朝香比女(あさかひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
105『ひそやかにわが(いの)りたる言霊(ことたま)
106鋭敏鳴出(うなりづ)(かみ)()れましにけり
107鋭敏鳴出(うなりづ)(かみ)言霊(ことたま)(やぶ)られて
108曲津見(まがつみ)奸計(たくみ)()()せにけり
109荒風(あらかぜ)(おこ)荒浪(あらなみ)(ふる)はせし
110曲津(まが)(ほろ)びむ(あは)れなるかも
111()(かみ)(あつ)(まも)りと鋭敏鳴出(うなりづ)
112(かみ)(いさを)曲津(まが)()げたり
113黒雲(くろくも)次第々々(しだいしだい)(うす)らぎて
114(その)(かげ)さへも()えずなりけり
115千重(ちへ)(なみ)()らして御空(みそら)()(かみ)
116わが()(ふね)(まも)らせ(たま)
117曲神(まがかみ)(いきほひ)(つよ)()ぬれども
118真言(まこと)(かみ)には(もろ)きものかな
119葦原比女(あしはらひめ)(かみ)神言(みこと)曲津見(まがつみ)
120(おそ)はれ(たま)はむ(おも)へば(いと)しき
121さりながら鋭敏鳴出(うなりづ)(かみ)わが(たま)
122いつかひあれば国土(くに)(やす)からむ
123海原(うなばら)(はる)陽気(やうき)(ただ)よひて
124水面(みのも)(をど)魚鱗(うろくづ)(ひか)れり』
125 初頭比古(うぶがみひこ)(かみ)莞爾(くわんじ)として御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
126神々(かみがみ)稜威(いづ)(まも)りに曲津見(まがつみ)
127()るも(あは)れに(ほろ)()せける
128葦原(あしはら)鷹巣(たかし)(やま)(たに)(ふか)
129(ひそ)める(まが)悪戯(いたづら)可笑(をか)しも
130黒雲(くろくも)(かたち)はさながらグロノスと
131ゴロスの(はし)姿(すがた)なりける
132(かく)(ごと)御空(みそら)()れて(なみ)()ぎて
133(きみ)御舟(みふね)(やす)(うれ)しさ
134目路(めぢ)(とほ)()()(うか)島影(しまかげ)
135しかと()えねど巌山(いはやま)なるらし
136()(かみ)鋭敏鳴出(うなりづ)(かみ)わが(きみ)
137御稜威(みいづ)(やす)磐楠舟(いはくすぶね)かも』
138 起立比古(おきたつひこ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
139面白(おもしろ)曲津(まが)芝居(しばゐ)一幕(ひとまく)
140今日(けふ)浪路(なみぢ)(たび)()しかな
141一時(ひととき)如何(いかが)ならむかと村肝(むらきも)
142(われ)(こころ)(なや)ませにける
143(つよ)(こと)()ひつつありしが村肝(むらきも)
144(こころ)(おく)(ふる)()たりき
145鋭敏鳴出(うなりづ)(かみ)言霊(ことたま)なかりせば
146()黒雲(くろくも)はさやり()にけむ
147上下(うへした)(きみ)()します御舟(おんふね)
148翻弄(ほんろう)したる曲浪(まがなみ)()ぎしよ
149()くならば最早(もはや)(やす)けし西方(にしかた)
150曲津(まがつ)国土(くに)にひたに(すす)まむ』
151 立世比女(たつよひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
152朝香比女(あさかひめ)(かみ)(おどろ)きましまさず
153微笑(ほほゑ)みいませし雄々(をを)しさ健気(けなげ)
154海原(うなばら)(やみ)(つつ)みて御舟(おんふね)
155(なみ)(なぶ)りし曲津見(まがつ)悪戯(いたづら)
156如何(いか)ならむ曲津(まが)(わざはひ)(かさ)ぬとも
157(かみ)御稜威(みいづ)にひたに(すす)まむ
158鷹巣山(たかしやま)(しの)びてグロノス、ゴロスの曲津(まが)
159黒雲(くろくも)となりて御舟(みふね)(なや)めぬ』
160 天晴比女(あめはれひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
161久方(ひさかた)天晴(あめは)(わた)(つき)()
162水面(みのも)(うか)びて湯気(ゆげ)()(うみ)なり
163御舟(おんふね)()春風(はるかぜ)にすくすくと
164(すす)みましけり万里(まで)海原(うなばら)
165朝香比女(あさかひめ)(かみ)(つか)へて種々(くさぐさ)
166曲津(まが)悪戯(いたづら)面白(おもしろ)()
167(やみ)(うみ)荒風(あらかぜ)(なみ)駿馬(はやこま)
168(おそ)れず(しづ)かに(いなな)きて()
169(われ)(いま)無心(むしん)(こま)(さち)はひを
170つくづく(さと)りぬ荒浪(あらし)(うみ)
171幾度(いくたび)御舟(みふね)あやふき(なみ)()
172無心(むしん)(こま)(いなな)(ゑら)ぎつ
173海路(うなぢ)(はし)るその(くる)しさに引替(ひきか)へて
174(こま)御舟(みふね)(よろこ)びけるにや
175(やうや)くに島影(しまかげ)(ちか)くなりにけり
176魔神(まがみ)永遠(とは)(ひそ)めるらしも』
177 (ふね)(やうや)くにして海路(うなぢ)(よこた)はる巨大(きよだい)なる巌島(いはしま)(ちか)づきぬ。178よくよく()れば、179赤黒(あかくろ)さまざまの大蛇(をろち)幾筋(いくすぢ)となく(いは)より(くび)をさし()で、180長大(ちやうだい)なる身体(からだ)をうねらせながら、181大口(おほぐち)(ひら)火焔(くわえん)(した)()き、182御舟(みふね)(むか)つて(おそ)はむとする(いきほひ)全力(ぜんりよく)(つく)()()たりければ、183朝香比女(あさかひめ)(かみ)はこの(さま)御覧(みそなは)して、184(こころ)(おだ)ひに微笑(ほほゑ)みつつ御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
185此処(ここ)(また)魔神(まがみ)()ぐふ巌島(いはしま)
186(しこ)大蛇(をろち)はさやらむとすも
187醜神(しこがみ)如何(いか)にさやぐも(たけ)ぶとも
188(かみ)なる(われ)(おそ)るべきやも
189曲神(まがかみ)言向(ことむ)けまたは(きた)めつつ
190(かみ)のまにまに(すす)(われ)なり
191千丈(せんぢやう)(いは)(うへ)より長々(ながなが)
192大口(おほぐち)()けて大蛇(をろち)()()けり
193千百(せんひやく)大蛇(をろち)一度(いちど)()(いだ)
194(ほのほ)(あを)真火(まひ)にはあらず
195(わが)伊行(いゆ)(みち)にさやらむ曲津見(まがつみ)
196生言霊(いくことたま)(はふ)りて()かむ
197草木(くさき)(ひと)()巌山(いはやま)真火(まひ)()けて
198ここを先途(せんど)曲津見(まがつみ)(ひそ)める
199さりながら生言霊(いくことたま)御功(みいさを)
200この巌山(いはやま)()(しま)とせむ。
201いろはにほへとちりぬるを
202わかよたれそつねならむ
203うゐのおくやまけふこえて
204あさきゆめみしゑひもせす
205きやうの浪路(なみぢ)旅立(たびだ)ちに
206さやらむ曲津(まが)(ことごと)
207生言霊(いくことたま)御功(みいさを)
208伊吹(いぶ)(はら)ひて()ひそけつ
209(かみ)()さしの神業(かむわざ)
210(つか)(まつ)らむ惟神(かむながら)
211(かみ)御前(みまへ)生言霊(いくことたま)
212(ささ)げて(いの)(たてまつ)
213もしも曲神(まがかみ)(わが)言霊(ことたま)
214(まつろ)はずしてさやりなば
215この巌島(いはしま)(ことごと)
216真火(まひ)(おこ)して灼熱(しやくねつ)
217(ほのほ)(のこ)らず()(つく)
218曲津(まが)在処(ありか)(たや)すべし
219カコクケキ
220カの言霊(ことたま)真火(まひ)()でて
221さしもに(かた)巌山(いはやま)
222()(うみ)とならむ惟神(かむながら)
223曲津見(まがつみ)(こころ)(あらた)めて
224弥永久(いやとこしへ)(この)(しま)
225(まも)りの(かみ)となれよかし
226ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
227生言霊(いくことたま)(ひかり)あれ
228(わが)言霊(ことたま)(いのち)あれよ。
229海中(わだなか)(そそ)()ちたる巌島(いはしま)
230(ひそ)大蛇(をろち)()きて(すす)まむ
231巌島(いはしま)はカの言霊(ことたま)(かがや)きに
232(のこ)らず()となれ(ほのほ)となれよ』
233 ()(うた)(たま)ふや、234千尋(ちひろ)海底(かいてい)より御空(みそら)(たか)屹立(きつりつ)したる周囲(しうゐ)(やく)三里(さんり)巌島(いはしま)も、235(たちま)一面(いちめん)火焔(くわえん)(つつ)まれ、236海水(かいすゐ)熱湯(ねつたう)(ごと)()えくり(かへ)り、237湯気(ゆげ)(けむり)四辺(しへん)(つつ)みて(その)壮観(さうくわん)(たと)ふるに(もの)なく、238大蛇(をろち)(あるひ)()かれ(あるひ)(きずつ)(あるひ)(いのち)からがら(くも)()()し、239(から)うじて(これ)(じやう)じ、240鷹巣(たかし)(やま)(そら)()して()()きにける。241巌島(いはしま)(またた)(うち)根底(こんてい)より()(つく)され、242海水(かいすゐ)熱湯(ねつたう)(ごと)沸騰(ふつとう)湯気(ゆげ)()(のぼ)りぬ。243(この)光景(くわうけい)()初頭比古(うぶがみひこ)(かみ)感激(かんげき)()へず、244御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
245今更(いまさら)(われ)(おどろ)きぬ御樋代神(みひしろがみ)
246生言霊(いくことたま)(しま)(ほろ)びぬ
247八千尋(やちひろ)(そこ)巌根(いはね)()となりて
248焼滅(せうめつ)しにけり(きみ)御稜威(みいづ)
249いつまでもグロノス、ゴロスの執拗(しつえう)
250(おも)へば(われ)(あは)れを(もよほ)
251永遠(とことは)(うご)かぬ巌根(いはね)(わが)(きみ)
252生言霊(いくことたま)にかなはざりしよ
253巌ケ根(いはがね)(のこ)らず()となり湯気(ゆげ)となり
254(けむり)となりし(とき)見事(みごと)
255面白(おもしろ)(きみ)神業(かむわざ)()(をが)
256この天地(あめつち)不思議(ふしぎ)(さと)りぬ
257(わが)(きみ)功績(いさをし)()れば初頭比古(うぶがみひこ)
258(われ)(ちひ)さき(かみ)にぞありける
259曲津見(まがつみ)(いはほ)(やま)(へん)じつつ
260(きみ)海路(うなぢ)(たび)にさやりし
261心地(ここち)よく(まが)化身(けしん)巌島(いはしま)
262生言霊(いくことたま)(ほろ)びぬるかな
263カコクケキ生言霊(いくことたま)(さち)はひに
264堅磐常磐(かきはときは)(いはほ)()けたり』
265 起立比古(おきたつひこ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
266(たふと)さに(われ)言葉(ことば)口籠(くちごも)
267あきれ(をのの)くばかりなりけり
268今更(いまさら)生言霊(いくことたま)(たふと)さを
269(おも)ひけるかな海路(うなぢ)(たび)
270炎々(えんえん)巌島(いはしま)()ゆる(さま)()つつ
271今更(いまさら)(ごと)(おどろ)()まずも
272(いは)()千万(ちよろづ)大蛇(をろち)()れかかり
273大口(おほぐち)()けて(ほのほ)()きける
274(かく)(ごと)曲津(まが)(たけ)びも平然(へいぜん)
275(きみ)微笑(ほほゑ)御覧(みそなは)しける
276曲津見(まがつみ)四度(よたび)(やぶ)れて同輩(ともがら)
277数多(あまた)(うしな)()()りにける
278いや(ひろ)(かみ)御稜威(みいづ)(さち)はひて
279この天地(あめつち)(ひら)()くらむ』
280 立世比女(たつよひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
281今更(いまさら)朝香(あさか)比女(ひめ)(わが)(きみ)
282いみじき(いさを)(おどろ)きにけり
283(かく)(ごと)(ひかり)(いさを)(わが)(きみ)
284(つか)へて(すす)まむ(おも)へば(うれ)しき
285(こころ)(よわ)女神(めがみ)(われ)(たま)(ふと)
286いみじき(ちから)(たま)はりにける』
287 天晴比女(あめはれひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
288跡形(あとかた)もなく(ほろ)びたる曲津見(まがつみ)
289化身(けしん)(いは)(あと)湯気(ゆげ)()
290曲津見(まがつみ)万里(まで)海原(うなばら)(なみ)()
291(くも)(おこ)して雄猛(をたけ)びにける
292曲津見(まがつみ)雄猛(をたけ)(けむり)となりにけり
293御樋代神(みひしろがみ)生言霊(いくことたま)
294浪路(なみぢ)はるけき万里(まで)海原(うなばら)安々(やすやす)
295(きみ)(つか)へて(わた)らふ(たの)しさ
296カコクケキ生言霊(いくことたま)御光(みひかり)
297千引(ちびき)巌ケ根(いはがね)さへも()きたり
298巌島(いはしま)()ゆる火影(ひかげ)はあかあかと
299海底(うなぞこ)までも(かがや)きしはや』
300 ()各自(おのもおのも)御歌(みうた)()ませつつ、301順風(じゆんぷう)()(ふね)(へさき)東南(とうなん)()(すす)ませ(たま)ふ。
302昭和八・一二・二五 旧一一・九 於大阪分院蒼雲閣 森良仁謹録)