霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第五章 (こころ)(みそぎ)〔二〇三二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第81巻 天祥地瑞 申の巻 篇:第1篇 伊佐子の島 よみ:いさごのしま
章:第5章 心の禊 よみ:こころのみそぎ 通し章番号:2032
口述日:1934(昭和9)年08月04日(旧06月24日) 口述場所:伊豆別院 筆録者:森良仁 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
アヅミ王以下重臣たちは、高鉾の神・神鉾の神の御宣旨に感激し、百日の修祓に取り掛かろうと、今度は山麓を流れる駒井川に集った。
駒井川の水はとうとうとして壮観な勢いを見せていた。一同は川中の巌に陣取り、日夜心力を尽くして禊の神事に仕えていた。
国津神たちは禊の祈念に余念なく取り組んでいる折しも、突如、上流から半死半生となって助けを求めながら流れ落ちてくる、一人の男があった。
国津神たちがよく見ると、それはかねてから敵と狙う、サール国王エールスに他ならなかった。アヅミ王はとっさにわが身の危険も忘れて激流に飛び込むと、エールス王を川州に助け上げ、介抱を始めた。
王以外の神々はこのときばかり恨みを晴らそうと、おのおの石を掴んでエールスを打ち殺そうと集まってきた。アヅミ王は右手を差し上げ、罪はわれわれの心にあったのであり、エールスといえども神の子、乱暴してはならないと一同を制した。
エールス王はアヅミ王の介抱により正気を取り戻すと、回りを見回して、助けてくれたお礼を言うどころか、自分の禊を邪魔したと言って、アヅミ王一同を非難した。
王妃、大臣以下の神々は怒ってエールス王に襲いかかろうとした。アヅミ王は一人必死に一同をなだめて回ったが制しきれず、王以外の神々はいっせいにエールス王に石を投げつけた。
すると不思議なことに、エールス王の姿は煙となって水中に消えてしまった。一同が茫然としていると、水中から大きな蛟竜が現ると、神鉾の神の化身であると自らの正体を明かした。
そして、アヅミ王の心は禊を終わり、大神の大御心にかなったことを告げた。また王妃以下大臣たちはまだ心の修行が足りず、改めて百日の修祓に仕えるべきことを宣言した。そして、山の神殿には神鉾の神が御霊を止めることを託宣した。
ここにアヅミ王は三日の禊によって許され、月光山の神殿に奉仕し、国政を司ることを得た。王妃以下大臣たちは改めて百日の荒行を命じられ、その後月光山の神殿に仕えることを許された。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版: 八幡書店版:第14輯 447頁 修補版: 校定版:99頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 アヅミ(わう)以下(いか)国津神等(くにつかみたち)高鉾(たかほこ)(かみ)002神鉾(かみほこ)(かみ)御宣示(みことのり)により感激(かんげき)し、003七日七夜(なぬかななよ)(みそぎ)(しう)(ふたた)百日(ひやくにち)修祓(しうばつ)()りかからむと、004今回(こんくわい)月見ケ池(つきみがいけ)聖場(せいぢやう)()けて、005山麓(さんろく)(なが)るる駒井川(こまゐがは)清流(せいりう)修祓式(しうばつしき)(おこな)ひにける。006駒井川(こまゐがは)(みづ)滔々(たうたう)として(あを)(なが)れ、007川中(かはなか)(いはほ)()みて()(あが)飛沫(しぶき)(きり)(ごと)日光(につくわう)(えい)じ、008宛然(さながら)白銀(はくぎん)(にしき)()らせし(ごと)く、009その壮観(さうくわん)()(くら)むばかりなりける。010一同(いちどう)川中(かはなか)大巌(おほいは)(うへ)起立(きりつ)し、011(あるひ)端坐(たんざ)し、012日夜(にちや)心力(しんりよく)(つく)し、013(みそぎ)神事(みわざ)(つか)(まつ)りける。
014 アヅミ(わう)(うた)ふ。
015月見池(つきみいけ)七日七夜(なぬかななよ)(みそぎ)さへ
016(わが)(たましひ)(あか)()れなく
017大神(おほかみ)大御言葉(おほみことば)(かへり)みれば
018身体(からたま)霊魂(みたま)()(きよ)まらず
019速川(はやかは)滝津瀬(たきつせ)()けば物凄(ものすご)
020高鉾神(たかほこがみ)御声(みこゑ)にも()
021(たましひ)()(たた)かるる心地(ここち)かな
022駒井(こまゐ)(かは)滝津瀬(たきつせ)()
023速川(はやかは)(なか)(そばだ)巌ケ根(いはがね)
024(われ)()()れば水煙(みづけむり)()つも
025駒井川(こまゐがは)速瀬(はやせ)()ちて身体(からたま)
026(あら)(みそぎ)(いさ)ましきかも
027川底(かはそこ)真砂(まさご)(しろ)()えぬまで
028(みづ)(あを)みたる(ふか)(なが)れよ
029駒井川(こまゐがは)(ふか)(なが)れの(そこ)よりも
030なほまさるらむ(わが)()(けが)れは
031月光山(つきみつやま)聖所(すがど)(しろ)(かま)へつつ
032(わが)(くも)りたる(こころ)(なげ)かふ
033(なげ)くべき(とき)にはあらじ(わが)(たま)
034(きよ)めてイドムの(しろ)をかへさむ
035(かたち)ある(たから)(こころ)()かれつつ
036(わが)(たましひ)(くも)りを(おそ)るる
037さはいへど(おや)(たま)ひしイドム(じやう)
038やみやみ人手(ひとで)(わた)すべきかは
039(つき)()(なが)るる駒井(こまゐ)川水(かはみづ)
040(わが)(たましひ)(あか)(あら)はむ
041(いさ)ましき駒井(こまゐ)(かは)水音(みなおと)
042(わが)(たましひ)(よみがへ)らすも
043(やま)(やま)(つつ)まれ(なが)るる駒井川(こまゐがは)
044(みづ)()()りて()(わた)るなり
045大魚小魚(おほなをな)あまた(つど)へる谷川(たにがは)
046(みそぎ)()れば(あし)こそばゆき
047(わが)(あし)魚族(うろくづ)(きた)りつつくらし
048()身体(からたま)(あか)()れずや』
049 ムラジ(ひめ)(みぎは)浅瀬(あさせ)()ちながら、050半身(はんしん)(ひた)(しづ)かに(うた)ふ。
051心地(ここち)よき(なが)れなるかな(わが)(たま)
052この水音(みなおと)(あら)はれにける
053(あら)へども身体(からたま)霊魂(みたま)(けが)れをば
054完全(うまら)委曲(つばら)()とす(すべ)なし
055(わが)(きみ)速瀬(はやせ)()ちて巌ケ根(いはがね)
056(みそぎ)(たま)へる御姿(みすがた)雄々(をを)しも
057駒井川(こまゐがは)速瀬(はやせ)()れば村肝(むらきも)
058(こころ)(いさ)みて身体(からたま)(をのの)
059()(かみ)御旨(みむね)(かな)(まつ)らむと
060百日(ももか)百夜(ももよ)(みそぎ)()つも
061百木々(ももきぎ)(しげ)みの(つゆ)のかたまりて
062この速川(はやかは)となりにけるかも
063川幅(かははば)(ひろ)水底(みなそこ)(ふか)くして
064(なが)(せは)しき駒井(こまゐ)滝津瀬(たきつせ)
065(きし)()木々(きぎ)(こずゑ)(うぐひす)
066(はる)(うた)へど(わが)(たま)(さむ)
067庭躑躅(にはつつじ)岸辺(きしべ)(にほ)ひて水底(みなそこ)
068(あか)(しろ)(むらさき)(はな)(うつ)せり
069滝津瀬(たきつせ)(おと)高々(たかだか)()もすがら
070(ひび)かひながら(つき)(なが)せり
071(あさ)されば天津(あまつ)()(なが)(ゆふ)されば
072(つき)(なが)れる駒井(こまゐ)川水(かはみづ)
073 シウランは(うた)ふ。
074七日七夜(なぬかななよ)(みそぎ)(わざ)甲斐(かひ)なくて
075百日(ももか)(みそぎ)此処(ここ)にするかも
076(わが)(たま)十重(とへ)二十重(はたへ)(けが)れしか
077月見(つきみ)(いけ)(みづ)にも(あら)へず
078速川(はやかは)(なが)れをあびて(わが)(たま)
079(いくさ)(つかさ)(つか)()べけむ
080今日(けふ)よりは(たけ)(こころ)(あら)()
081言霊軍(ことたまいくさ)(つかさ)とならばや
082(きし)()(すが)しく()ける河鹿(かはしか)
083(こゑ)水面(みのも)(ふる)へて(なが)るる
084夜昼(よるひる)差別(けぢめ)もあらず(すが)しかる
085言霊(ことたま)()れる天晴(あは)河鹿(かじか)
086河鹿(かじか)にも(おと)れる(しこ)言霊(ことたま)
087()てる(わが)()(はづ)かしき(かな)
088夜昼(よるひる)河鹿(かじか)駒井(こまゐ)川水(かはみづ)
089(あら)ひて言霊(ことたま)()みたりにけむ
090(もも)(さくら)(にほ)へる(はな)のあかあかと
091(みづ)にうつろふ(はる)長閑(のど)けし
092速川(はやかは)瀬筋(せすぢ)(なが)るる桜花(さくらばな)
093何処(いづく)(うみ)息所(やすど)(さだ)めむ
094(わが)(こころ)瀬筋(せすぢ)(なが)るる(はな)(ごと)
095(はて)しも()らずなりにけりしな
096(みづ)()ゆる()谷川(たにがは)(みそぎ)して
097(よみがへ)らさむ(わが)(たましひ)
098月光山(つきみつやま)(あらた)()てし宮内(みやうち)
099(かみ)天降(あも)らすを()(みそぎ)なり
100一度(ひとたび)天降(あも)りましたる()(かみ)
101(けが)れを()みて(かへ)りましける
102()(なか)(かみ)(まも)りのなかりせば
103片時(かたとき)だにも生命(いのち)(たも)てじ
104谷々(たにだに)()ひて(なが)るる速川(はやかは)
105水瀬(みなせ)(みづ)()(わた)りけり
106川水(かはみづ)はよし()ゆるとも百日日(ももかひ)
107この川中(かはなか)()ちて(そそ)がむ
108(たま)()生命(いのち)()ゆると(おも)ふまで
109()(わた)るなり駒井(こまゐ)(なが)れは』
110 左守(さもり)のナーマンは(うた)ふ。
111(わが)(きみ)御後(みあと)(したが)()()れば
112駒井(こまゐ)(みそぎ)()(わた)るなり
113()ゆるとも(なに)(おそ)れむ(きみ)のため
114御国(みくに)(ため)(おも)へば(やす)
115(きみ)(ため)(くに)(ため)にはあらずして
116(わが)(たましひ)(きよ)むる(ため)なり
117(わが)(たま)(けが)(まつた)(きよ)まらば
118(くに)(きみ)との(ため)となるべし
119(わが)(たま)(くも)りし(ゆゑ)(わが)(きみ)
120月光山(つきみつやま)(しの)ばせ(まつ)るも
121(おも)()ればさも(おそ)ろしき(われ)なるよ
122(きみ)(なや)ませ(くに)(うしな)ひて
123祭政一致(さいせいいつち)この大道(だいだう)(わす)れしゆ
124イドムの(くに)(くつが)へりたり
125政治(まつりごと)なさむと(おも)へば身体(からたま)
126霊魂(みたま)(とも)(きよ)むべきなり
127()(かみ)()ませ(たま)ひし国原(くにはら)
128(みそぎ)なくして生命(いのち)(たも)たむ
129(たま)()生命(いのち)(かみ)賜物(たまもの)
130(おも)ひて(みそぎ)(わざ)にいそしむ
131政治(まつりごと)なさむと(おも)へば真先(まつさき)
132(みそぎ)(はら)(つと)むべきなり
133()(かみ)(めぐ)みを(わす)(わが)(ちから)
134(くに)(をさ)むると(あやま)りてゐし
135(あやま)てる(こころ)(いだ)きて政治(まつりごと)
136如何(いか)になすとも(をさ)まるべしやは
137政治(まつりごと)第一(だいいち)(かみ)(まつ)ることよ
138(かみ)御国(みくに)(かみ)任意(まま)なり
139百日(ひやくにち)(みそぎ)(をは)れば村肝(むらきも)
140(こころ)(あらた)めて王事(わうじ)(つか)へむ
141言霊(ことたま)(つるぎ)右手(めて)()りかざし
142(きみ)政治(まつり)(たす)(まつ)らむ
143滔々(たうたう)(なが)るる(みづ)()をはやみ
144行方(ゆくへ)()らぬ駒井(こまゐ)(かは)かな
145月光山(つきみつやま)(みね)より()つる木々(きぎ)()
146(つゆ)(つど)ひて(かは)となりしか
147一人(いちにん)(つゆ)(ちから)(かさ)なれば
148(すゑ)(まこと)(かは)となるべし』
149 ターマンは(うた)ふ。
150春霞(はるがすみ)棚引(たなび)きそむる谷間(たにあひ)
151(われ)(つつし)(みそぎ)するかも
152(いは)()(なが)るる(みづ)(おと)(たか)
153生言霊(いくことたま)非時(ときじく)(うた)
154(いは)()速瀬(はやせ)(みづ)(ひびき)さへ
155(こころ)にかかる(くに)行末(ゆくすゑ)
156(きみ)(おも)(くに)(おも)ひて月光(つきみつ)
157(やま)朝夕(あさゆふ)(まう)でけるかな
158(けが)れたる(わが)身体(からたま)()(かみ)
159御前(みまへ)(はこ)ぶと(おも)へば(おそ)ろし
160(やま)()(うみ)はあせなむ()ありとも
161(まこと)(みち)()(はづ)すまじ
162速川(はやかは)(みづ)(ひた)れば(おのづか)
163(わが)(たましひ)(きよ)まる心地(ここち)
164()(かみ)(まこと)(みち)をあゆめども
165(みそぎ)(わざ)(はじ)めなりけり
166天地(あめつち)雲霧(くもきり)(けが)れも(はら)ふべし
167(みそぎ)(みち)(いさを)ありせば』
168 かく神々等(かみがみたち)(みそぎ)余念(よねん)なき(をり)もあれ、169上流(じやうりう)より生命(いのち)(たす)けて()れいと死物狂(しにものぐる)ひに(さけ)びつつ半死半生(はんしはんしやう)(てい)となり、170彼方此方(あちらこちら)(いは)(あたま)()ちつけながら、171全身(ぜんしん)(あけ)()みつつ(なが)(きた)一人(ひとり)(をとこ)あり。172(みそぎ)余念(よねん)なかりしアヅミ(わう)()ざとくも()()やれば、173豈計(あにはか)らむや、174日頃(ひごろ)(てき)とねらひしエールス(わう)無残(むざん)なる姿(すがた)なりけるにぞ、175アヅミ(わう)(わが)()危険(きけん)(わす)れて激流(げきりう)()()み、176半死半生(はんしはんしやう)のエールス(わう)(わき)(かか)下流(かりう)(やや)水瀬(みなせ)(よわ)(ところ)(すく)(きた)り、177(かは)()(すく)()げ、178(みづ)()かせ種々様々(しゆじゆさまざま)介抱(かいはう)なしける。179シウランを(はじ)めナーマン、180ターマン、181ムラジ(ひめ)も、182何人(なんびと)ならむと速瀬(はやせ)横切(よこぎ)近付(ちかづ)()れば、183(わが)本城(ほんじやう)()(おと)したるエールスなりければ、184(うら)みを()らし、185(しろ)取返(とりかへ)さむは()(とき)なりと(あつま)(きた)り、186荒石(あらいし)(つか)んで()(ころ)さむといきまき()る。
187 ムラジ(ひめ)(こゑ)(たか)らかに(うた)ふ。
188我国(わがくに)(あだ)()したるエールスの
189(つかさ)知死期(ちしご)心地(ここち)よきかな』
190 ナーマンは(うた)ふ。
191(わが)(きみ)(なや)まし(まつ)りし(あだ)なれば
192(かみ)(きため)にあひしなるらむ
193(いま)こそは(てん)(あた)へよ(くび)()ちて
194イドムの(しろ)(うば)(かへ)さむ』
195 ターマンは(うた)ふ。
196荒川(あらかは)(みそぎ)なしたる(むく)いにて
197(あだ)吾手(わがて)()りにけるかも
198(かは)()(いし)(ひろ)ひて()(あだ)
199()ちて(ころ)さむ面白(おもしろ)きかな』
200 アヅミ(わう)右手(みぎて)()()げ、201空中(くうちう)(おさ)へる(ごと)(てい)をしながら、
202()(しば)しエールス(わう)()(かみ)
203(うづ)御子(みこ)なりただに(ゆる)せよ
204(わが)御霊(みたま)(かみ)(はな)れし(つみ)なれば
205エールス(わう)(うら)むに(およ)ばじ』
206 エールス(わう)(やや)正気付(しやうきづ)き、207四辺(あたり)をキヨロキヨロ見廻(みまは)しながら、208アヅミ(わう)(わが)(まへ)()介抱(かいはう)せるを()て、209(こゑ)(たか)らかに(わら)(うた)ふ。
210(わが)生命(いのち)何故(なにゆゑ)ならば(たす)けしぞ
211(わが)荒行(あらぎやう)をよぎらむとするか
212(われ)こそはエールス(わう)(こし)(よわ)
213(なれ)(すく)はれ(かほ)()つべき』
214 ムラジ(ひめ)()()()げて(うた)ふ。
215(こころ)(よわ)(わが)(きみ)なるかもイドム(じやう)
216(うば)ひし(あだ)(ゆる)(たま)ふか
217生命(いのち)をば(すく)はれ(かれ)(さか)しまに
218(そし)()らせり(ゆる)(たま)ふな』
219 アヅミ(わう)(うた)ふ。
220(にく)らしと日頃(ひごろ)(おも)ひし(あだ)ながら
221(なや)める()れば(たす)けたくなりぬ
222とに(かく)(あだ)(なや)みにつけ()りて
223(むく)ゆる(こころ)()づべきものぞや
224堂々(だうだう)(おもて)()ちて(たたか)はむ
225されど吾等(われら)弓矢(ゆみや)(えう)なし
226()(かみ)生言霊(いくことたま)()りかざし
227(あだ)言向(ことむ)(やは)さむと(おも)ふ』
228 ナーマンは(うた)ふ。
229(わが)(きみ)(おほ)(うべ)よと(おも)へども
230(にく)(あだ)をば(ゆる)すべきやは
231(たま)()生命(いのち)(すく)はれ(そし)(ごと)
232()くこの(あだ)如何(いか)(ゆる)さむ』
233 ターマンは(うた)ふ。
234()(かみ)(にく)しみに()りて(たま)()
235生命(いのち)(あやふ)(なれ)にあらずや
236(すく)はれて(あら)言葉(ことば)()()らす
237(なれ)(まこと)曲津神(まがつかみ)なり
238いざさらば(いし)もて()たむエールスの
239(たま)生命(いのち)()ゆる(とこ)まで』
240 (ここ)にアヅミ(わう)はエールス(わう)生命(いのち)(すく)へよと(しき)りに厳命(げんめい)すれども、241(うら)骨髄(こつずい)(てつ)したる()司等(つかさたち)は、242この機会(きくわい)打殺(うちころ)さむと四方(しはう)八方(はつぱう)より(いし)(ひろ)つて()げつけければ、243不思議(ふしぎ)やエールスの姿(すがた)水煙(みづけむり)となりて水中(すいちう)()えにける。244アヅミ(わう)(はじ)一行(いつかう)(みそぎ)面々(めんめん)()(てい)()不思議(ふしぎ)(ねん)()へやらず、245茫然(ばうぜん)として水中(すいちう)見詰(みつ)めけるが、246(どう)(まは)七八丈(しちはちぢやう)もあらむかと(おも)はるる蛟竜(かうりう)247大口(おほぐち)(ひら)(あか)(した)()()しながら、248一行(いつかう)頭上(づじやう)鎌首(かまくび)()て、249一呑(ひとの)みにせむず(いきほひ)(しめ)しける。
250 (ここ)にアヅミ(わう)従容(しようよう)として(すこ)しも(さわ)がず、251四人(よにん)狼狽(らうばい)せる姿(すがた)(しづ)かに(なが)めながら、
 
252(ひと)(ふた)()()(いつ)(むゆ)(なな)()(ここの)(たり)(もも)()(よろづ)
 
253(うた)()くにつれ、254蛟竜(かうりう)姿(すがた)次第々々(しだいしだい)(ほそ)()きて、255(つひ)には(ちひ)さき蠑螈(いもり)となり、256アヅミ(わう)足許(あしもと)()()(きた)る。257アヅミ(わう)蠑螈(いもり)(てのひら)()せ、258(ふたた)(あま)数歌(かずうた)()りければ、259(てのひら)よりシユーシユーと(けむり)()(のぼ)り、260()()(てん)(ちう)し、261(けむり)(なか)より(ほの)かに()ゆる(りう)姿(すがた)以前(いぜん)(まさ)巨体(きよたい)なりける。262何処(いづく)ともなく(かみ)(こゑ)あり、263(いかづち)(ごと)(ひび)(きた)る。
264(うつく)しきアヅミの(きみ)(たましひ)
265()大神(おほかみ)(うべな)(たま)へり
266()(こころ)(きよ)まりぬれば百日(ひやくにち)
267(みそぎ)()みぬはや(かへ)りませよ
268(われ)こそは高日(たかひ)(みや)より天降(あも)りたる
269神鉾神(かみほこがみ)(こころ)(やす)かれ』
270 アヅミ(わう)(うやうや)しく(うた)ふ。
271有難(ありがた)(わが)(たましひ)をみそなはす
272(かみ)言葉(ことば)(よみがへ)りたり』
273 空中(くうちう)より(ふたた)(かみ)の声あり。
274高光(たかみつ)(やま)()()神苑(かみぞの)
275神鉾(かみほこ)(かみ)御霊(みたま)とどめむ
276アヅミ(わう)(かみ)御殿(みとの)(つか)へつつ
277イドムの(くに)(もとゐ)(さだ)めよ
278ムラジ(ひめ)(こころ)(いま)(けが)れたり
279百日(ももか)(みそぎ)(いさを)()えたり
280シウランやナーマン、ターマン三柱(みはしら)
281(みそぎ)(みづ)(あわ)となりけり
282(あらた)めて百日(ももか)(みそぎ)(つか)ふべし
283月光山(つきみつやま)聖所(すがど)なりせば』
284 (ここ)にアヅミ(わう)三日(みつか)(みそぎ)にて(ゆる)され、285月光山(つきみつやま)神殿(しんでん)奉仕(ほうし)し、286国政(こくせい)()(こと)となり、287ムラジ(ひめ)以下(いか)(あらた)めて百日(ももか)百夜(ももよ)荒行(あらぎやう)(めい)ぜられ、288月光山(つきみつやま)神殿(しんでん)(およ)政務(せいむ)(つか)ふることを(ゆる)されにける。
289昭和九・八・四 旧六・二四 於伊豆別院 森良仁謹録)