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第一四章 洮南(たうなん)(くも)

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 特別篇 山河草木 入蒙記 篇:第2篇 奉天より洮南へ よみ(新仮名遣い):ほうてんよりとうなんへ
章:第14章 洮南の雲 よみ(新仮名遣い):とうなんのくも 通し章番号:
口述日:1925(大正14)年08月 口述場所: 筆録者: 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年2月14日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
当地の家屋は馬賊の襲来に備えて、塀高く壁厚い構造になっている。オンドルで昼夜暖かいが、屋外の寒気は厳しく、うっかりするとすぐに喉を痛めてしまう。城内の兵士や巡警にも馬賊上がりの者が多く、治安は良いとはいえない。
東蒙古地方の宗教的権威であるラマ教の活仏の名望は地に落ちている。支那人に麻雀で負けて十万余の借金が出来て広大な土地を奪われ、自身梅毒に苦しむ身であるという。
岡崎は日出雄から運動費を受け取ると、それを元手に当地の支那官吏に取り入って、彼らの歓心を買って便宜を図ろうとしていた。そのうち、洮南府の将校である某連長を懇意になり、兄弟分となってしまった。
気が緩んだ岡崎は大言壮語し、あたりかまわず洮南府を○○しようなどと主張し始めるものだから、ある日四平街の奥村氏がやってきて、ついに岡崎の言動が日本・支那の官憲の耳に入って疑いを受けつつあることを知らせて来た。しかし岡崎は、洮南府の将校連を買収しておいたから大丈夫だと、平気の様子である。
一行はいよいよ奥蒙古に入るに当たって、便宜のために家屋を借り、軍器や食料の中継場とした。
平馬氏宅に日本領事館員の月川左門氏がやってきて、猪野敏夫氏を長い間談義を交換していた。結局日本と支那との関係を円滑にするためには、日本の実力を示すより仕様がないと、満蒙経営談にふけっていた。
満鉄の山崎某という社員が、日出雄一行が洮南府へ来ていることを、四平街の日本憲兵隊へ密告したので、支那側の官憲が活動を始め出したという噂が耳に入った。日本領事館の月川書記生や満鉄の佐藤某が、平馬氏宅を窺うようになった。
日出雄は天下万民のために正々堂々と天地にはじない行動をとっているにもかかわらず、身を忍ばせて秘密の行動を採らなければならないというのは、要するに上に卑怯な為政者がいるからである。
警戒線を破って神界の経綸を行うべくはるばるやってきたのを、上下狼狽して懸賞付で捜索を始めたという。実に気の毒なものだ。世界平和の共栄の大理想を実行実現するために、日出雄はやってきたのだ。不義と罪悪の淵源である官憲・為政者たちから目を覚ましてくれなければ、到底東洋に国を安全に建てていくことは不可能である。
張作霖については、自分は金を出さずに人に苦労させて甘い汁を吸おうというとんでもない男だ。しかし、果たして盧占魁が張の思い通りに動くだろうか、という感想を持っている。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考:2024/1/14出口王仁三郎全集第6巻を底本として校正。 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-01-14 02:16:07 OBC :rmnm14
愛善世界社版:121頁 八幡書店版:第14輯 592頁 修補版: 校定版:121頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 当地(たうち)家屋(かをく)内地(ないち)()して非常(ひじやう)(かは)つてゐる。002(いづ)れの民家(みんか)(みな)(いへ)周囲(しうゐ)(たか)土塀(どべい)をめぐらし、003馬賊(ばぞく)襲来(しふらい)(そな)へ、004屋内(をくない)(へや)(ごと)入口(いりぐち)のみあつて一方口(いつぱうぐち)である。005(なか)から(かぎ)をかけて()構造(こうざう)となつてゐる。006(いつ)(しやく)以上(いじやう)もある(やう)(あつ)(かべ)()仕切(しき)り、007そして(うなぎ)寝所(ねどこ)のやうな細長(ほそなが)間取(まどり)になつてゐる。008冬季(とうき)昼夜(ちうや)温突(をんどる)()()れてあるから室内(しつない)(あたた)かい。009(これ)(はん)一歩(いつぽ)屋外(をくぐわい)()づれば寒気(かんき)(きび)しく()(せま)り、010うつかりしてゐると、011()ぐに咽喉(いんこう)(がい)して(しま)ふ。012それから(みち)()車馬(ばしや)()ると、013(れい)支那(しな)(しき)(とこ)(ひく)梶棒(かぢぼう)篦棒(べらぼう)(なが)人力車(じんりきしや)()られないが、014不恰好(ぶかつかう)牛車(ぎうしや)馬車(ばしや)(はひ)(やう)道路(だうろ)()(めぐ)り、015防砂(ばうしや)眼鏡(めがね)をかけねば一歩(いつぽ)(さき)通行(つうかう)することが出来(でき)ない。016(いづ)れの(いへ)入口(いりぐち)(あか)(かみ)()り、017富貴(ふうき)だとか幸福(かうふく)だとか、018瑞祥(ずゐしやう)だとか、019目出度(めでた)さうな文字(もじ)(しる)してゐる。020そして夕方(ゆふがた)から城門(じやうもん)(かた)(とざ)し、021夜分(やぶん)()地方(ちはう)()られない(こと)になつてゐる。022当城内(たうじやうない)()数千(すうせん)兵士(へいし)数多(あまた)巡警(じゆんけい)大部分(だいぶぶん)馬賊(ばぞく)(あが)りだから、023()(とばり)がおりると同時(どうじ)に、024平気(へいき)平左(へいざ)で、025軍服(ぐんぷく)(まま)泥棒(どろばう)をやると()ふのだから、026生命(せいめい)財産(ざいさん)保証(ほしよう)などは到底(たうてい)駄目(だめ)である。027そして城内(じやうない)三分(さんぶん)(いち)(まで)馬賊(ばぞく)頭目(たうもく)(せう)盗児(トル)(れん)大小(だいせう)各店(かくてん)(ひら)いてそ()らぬ(かほ)してゐるのだからこれ(ほど)危険(きけん)(きは)まる(はなし)はない。028(この)附近(ふきん)馬賊(ばぞく)団体(だんたい)三十(さんじふ)(にん)(あるひ)五十(ごじふ)(にん)小勢(せうぜい)村落(そんらく)()(きた)り、029三日間(みつかかん)(ぐらゐ)(その)(むら)逗留(とうりう)して、030()()ひ、031()()み、032(をんな)()れば老若(らうにやく)(べつ)なく強姦(がうかん)をなし、033飲食物(いんしよくぶつ)がなくなると、034悠々(いういう)として(また)(つぎ)(むら)()つて(おな)(こと)繰返(くりかへ)すといふ呑気(のんき)千万(せんばん)泥棒団(どろばうだん)横行(わうかう)し、035蒙古(もうこ)住民(ぢうみん)(じつ)(まくら)(たか)くする(こと)出来(でき)ないと()有様(ありさま)である。036それから(ひがし)蒙古(もうこ)地方(ちはう)俗称(ぞくしよう)活仏(くわつぶつ)名望(めいばう)信用(しんよう)全然(ぜんぜん)()()ち、037蒙古人(もうこじん)信仰(しんかう)(うご)()したといふ。038(げん)にパインタラの活仏(くわつぶつ)麻雀(マージヤン)()けて039十万(じふまん)()負債(ふさい)出来(でき)040広大(くわうだい)土地(とち)支那人(しなじん)にボツたくられ、041()婦女子(ふぢよし)小口(こぐち)から()つかけて、042(いま)梅毒(ばいどく)(かか)(くる)しんでゐるといふ有様(ありさま)だ。043王爺廟(ワンエメウ)活仏(くわつぶつ)(また)いろいろ面白(おもしろ)からぬ評判(ひやうばん)()つてゐる。044昨年(さくねん)(さん)(ぐわつ)十四(じふよつ)()満鉄(まんてつ)上村(かみむら)(ぼう)当地(たうち)にて馬賊(ばぞく)(なぐ)(ころ)された一周忌(いつしうき)(あた)るといふので、045(その)追悼会(つゐたうゑ)日本人(につぽんじん)(かん)(おこな)はれた。046上村(かみむら)剣道(けんだう)達人(たつじん)であつたが、047暗夜(やみよ)(うしろ)から棍棒(こんぼう)脳天(のうてん)(なぐ)りつけられて一堪(ひとたま)りもなく(たほ)れたとの(こと)である。
048 寒風(かんぷう)(はげ)しく()きまくり、049黄塵(くわうぢん)万丈(ばんじやう)(ちまた)をいろいろの鳴物(なりもの)()りで葬式(さうしき)行列(ぎやうれつ)(とほ)つて()く、050窓内(さうない)より(なが)むれば喇嘛僧(らまそう)二十(にじふ)(にん)(ばか)り、051()(あか)(ころも)()け、052面白(おもしろ)(はた)沢山(たくさん)押立(おした)て、053死骸(しがい)輿(こし)()せ、054五六間(ごろくけん)もあるやうな(なが)(ぼう)でかついで、055チワチワさせ(なが)ら、056馬車(ばしや)数台(すうだい)(ぶた)(ひつじ)などを(しば)りつけて(なが)行列(ぎやうれつ)(つく)つて(とほ)る。057(あだか)氏神(うぢがみ)祭礼(さいれい)神輿(みこし)渡御(とぎよ)(やう)光景(くわうけい)である。058(かか)立派(りつぱ)葬式(さうしき)(この)土地(とち)でも余程(よほど)()()れた人士(じんし)だと()ふことだ。
059 岡崎(をかざき)日出雄(ひでを)()から運動費(うんどうひ)受取(うけと)りニコニコし(なが)ら、060洮南(たうなん)()知事(ちじ)縁類(えんるゐ)なる将校(しやうかう)(とも)五六(ごろく)(にん)支那(しな)官吏(くわんり)(まね)底抜(そこぬけ)散財(さんざい)をやり、061()小遣(こづかひ)(あた)へて(かれ)()歓心(くわんしん)()ひ、062まさかの(とき)用意(ようい)にと極力(きよくりよく)運動(うんどう)をやつてゐた。063日出雄(ひでを)宿泊(しゆくはく)してゐる平馬(へいま)()ここの「平馬」のフリガナは底本(全集)では「ひらま」。以降「平馬」が3つあるがいずれもフリガナは「へいま」なので、ここも「へいま」に直した。(おな)邸内(ていない)洮南(たうなん)()将校(しやうかう)(ぼう)連長(れんちやう)()んでゐる。064岡崎(をかざき)(この)連長(れんちやう)懇意(こんい)になり、065(たがひ)往復(わうふく)してゐた。066連長(れんちやう)夫婦(ふうふ)大喧嘩(おほけんくわ)をおつ(ぱじ)め、067()ぬの(はし)るの、068(ひま)くれの、069(ころ)すの(ころ)せのと、070悋気(りんき)喧嘩(げんくわ)(おこ)(たび)(ごと)に、071下女(げじよ)(おどろ)いて岡崎(をかざき)()びに()るといふ(ふか)(なか)になり、072(つひ)には兄弟分(きやうだいぶん)となつて(しま)つた。073岡崎(をかざき)得意然(とくいぜん)として(おほ)きな(こゑ)(あた)(かま)はず、074(つひ)には洮南(たうなん)()を○○しようと()ふやうな(こと)まで主張(しゆちやう)()し、075それが支那(しな)官憲(くわんけん)(みみ)這入(はひ)つたとか、076日本(につぽん)官憲(くわんけん)(みみ)這入(はひ)つたとか()ふので、077日本人(につぽんじん)(がは)非常(ひじやう)()()んだ。078それでなくても排日(はいにち)思想(しさう)(はげ)しい洮南(たうなん)()潜伏(せんぷく)してゐるのだから、079こんな(こと)仮令(たとへ)冗談(じようだん)にもせよ、080日本人(につぽんじん)(くち)から()たと()(こと)支那(しな)官憲(くわんけん)(きこ)えようものなら、081()んな(こと)になるかも()れないと、082岡崎(をかざき)失言(しつげん)奉天(ほうてん)同志(どうし)(つた)はつたので、083唐国別(からくにわけ)084佐々木(ささき)085大倉(おほくら)顔色(かほいろ)()へ、086狼狽(らうばい)し、087岡崎(をかざき)(くん)奉天(ほうてん)(かへ)さないやうにして(もら)ひたい。088そして一日(いちにち)(はや)日出雄(ひでを)先生(せんせい)岡崎(をかざき)引張(ひつぱ)つて公爺府(こんえふ)()つて(もら)ひたいなどと()手紙(てがみ)坂本(さかもと)広一(くわういち)()たせて依頼(いらい)して()た。089岡崎(をかざき)はそんな(こと)には(すこ)しも頓着(とんちやく)なく……国家(こくか)(ため)090社会(しやくわい)(ため)吾々(われわれ)最善(さいぜん)方法(はうはふ)(かう)じてゐるのだ。091大体(だいたい)佐々木(ささき)092大倉(おほくら)(やつ)肝玉(きもたま)(ちひ)さい腰抜(こしぬ)けだから、093(なん)でもない(こと)心配(しんぱい)しよつて、094そんな(こと)で、095こんな大事(だいじ)成就(じやうじゆ)するものか、096ヘン、097馬鹿(ばか)馬鹿(ばか)しい……と(はな)(さき)()()らしてゐる。098日出雄(ひでを)岡崎(をかざき)(むか)つて……『(いま)場合(ばあひ)可成(なるべく)秘密(ひみつ)(まも)り、099(あま)大事(だいじ)なことは口外(こうぐわい)せないよう』……と注意(ちうい)すると、100(たれ)のいふことも()かない岡崎(をかざき)二三(にさん)日間(にちかん)神妙(しんめう)沈黙(ちんもく)(まも)つてゐた。101すると一日(いちにち)四平街(しへいがい)奥村(おくむら)幹造(かんざう)()倉皇(さうくわう)としてやつて()た。102岡崎(をかざき)大言(たいげん)壮語(さうご)(たた)り、103日支(につし)官憲(くわんけん)(みみ)這入(はひ)つた(やう)なので日出雄(ひでを)一行(いつかう)()(うへ)(あん)じ、104親切(しんせつ)見舞(みまひ)()たのである。105其処(そこ)岡崎(をかざき)這入(はひ)つて()て、106支那(しな)(かく)将校(しやうかう)前夜(ぜんや)青楼(せいろう)(あが)一緒(いつしよ)麻雀(マージヤン)散財(さんざい)をして(かれ)()(まつた)買収(ばいしう)しておいたからモウ安心(あんしん)だと、107意気(いき)揚々(やうやう)として(かた)る。108奥村(おくむら)岡崎(をかざき)平気(へいき)(かほ)()意外(いぐわい)(かん)()たれてゐた。
109 日出雄(ひでを)一行(いつかう)(いよいよ)蒙古(もうこ)奥地(おくち)()るに(つい)て、110万事(ばんじ)便宜(べんぎ)(ため)支那(しな)家屋(かをく)(わう)元祺(げんき)名義(めいぎ)にて(いつ)(ねん)百五十(ひやくごじふ)(ゑん)家賃(やちん)借入(かりい)るることとなつた。111温突(をんどる)(つき)四間(よんま)家屋(かをく)で、112長栄号(ちやうえいがう)命名(めいめい)表面(へうめん)貿易商(ぼうえきしやう)といふことになし、113軍器(ぐんき)糧食(りやうしよく)中継場(ちうけいぢやう)とした。
114 日出雄(ひでを)守高(もりたか)(とも)平馬(へいま)()(たく)書見(しよけん)をしてゐると、115日本(につぽん)領事館(りやうじくわん)(ゐん)月川(つきかは)左門(さもん)()がやつて()た。116そして猪野(ゐの)敏夫(としを)(なが)(あひだ)種々(しゆじゆ)談話(だんわ)交換(かうくわん)し、117結局(けつきよく)日本(につぽん)支那(しな)との関係(くわんけい)円滑(ゑんくわつ)ならしむるには日本(につぽん)実力(じつりよく)(しめ)すより仕様(しやう)がないと、118満蒙(まんもう)経営談(けいえいだん)(ふけ)つてゐた。119日出雄(ひでを)(つぎ)()から両人(りやうにん)談話(だんわ)()いてゐた。120暫時(しばらく)すると支那(しな)将校(しやうかう)がやつて()て、121(ひと)つの卓子(テーブル)(かこ)み、122(うれ)(さう)(わら)(なが)ら、123麻雀(マージヤン)()博奕(ばくち)深更(しんかう)(まで)やつてゐる。124平馬(へいま)()夫人(ふじん)二葉子(ふたばこ)一緒(いつしよ)麻雀(マージヤン)(ふけ)つてゐた。125文学(ぶんがく)趣味(しゆみ)()つた日出雄(ひでを)(いく)日間(にちかん)一室(いつしつ)閉籠(とじこも)つてゐても(すこ)しも苦痛(くつう)(かん)じないのみならず、126いろいろな思想(しさう)(いづみ)()いて()ると()つて、127面白(おもしろ)(たの)しく()(おく)詩歌(しいか)などに(ふけ)つてゐる。128(その)(なか)数首(すうしゆ)()に、
 
129 十二夜(じふにや)(つき)()(たび)(おも)ふかな(わが)(うま)れたる夜半(よは)はいかにと
130 ()(もと)立出(たちい)(ふたた)十二夜(じふにや)(つき)蒙古(もうこ)(そら)()るかな
131 大空(おほぞら)(つき)(ふる)ひて(かぜ)(さむ)しされど(わが)()(かみの)(ふところ)2ヶ所「我」があるが校定版や愛善世界社版では「吾」に直している。
132 (すず)(おと)いと(にぎ)はしく(きこ)えけり(また)もや馬車(ばしや)(みち)()くらむ
133 潜竜(せんりう)(ひそ)(この)()神界(しんかい)(ふか)仕組(しぐみ)(やかた)なるらむ
 
134 (さん)(ぐわつ)十六(じふろく)(にち)(きう)()(ぐわつ)十三(じふさん)(にち)満鉄(まんてつ)社員(しやゐん)山崎(やまざき)(ぼう)四平街(しへいがい)日本(につぽん)憲兵隊(けんぺいたい)へ、135日出雄(ひでを)一行(いつかう)洮南(たうなん)()()(こと)密告(みつこく)したので、136支那(しな)(がは)官憲(くわんけん)活動(くわつどう)(はじ)()したと()(うはさ)(みみ)()り、137一行(いつかう)薄氷(はくひやう)()むが(ごと)(おも)ひに(なや)んでゐた。138そして月川(つきかは)書記生(しよきせい)満鉄(まんてつ)佐藤(さとう)(ぼう)(かは)(がは)平馬(へいま)()(たく)(うかが)つてゐた。
 
139 洮南(たうなん)(きた)りて安心(あんしん)する()もなく(また)もや(ふか)(なや)みするかな
 
140 と日出雄(ひでを)口誦(くちずさ)んだ。141(しか)(かれ)は、142危険(きけん)なる(いへ)(とど)まり()るも(かへ)つて安全(あんぜん)なるべし、143窮鳥(きうてふ)(ふところ)()れば猟夫(れうふ)(これ)(ころ)さずとの金言(きんげん)神力(しんりよく)フリガナ「しんりよく」は底本(全集)通り。とを(たの)みとして()(おく)つて()たのである。144(その)当時(たうじ)日出雄(ひでを)述懐(じゆつくわい)()(ごと)一節(いつせつ)がある。
145(日出雄)日出雄(ひでを)天下(てんか)万民(ばんみん)(ため)正々(せいせい)堂々(だうだう)天地(てんち)()ぢざる行動(かうどう)()つて()ながらも、146()くの(ごと)()(しの)ばせ、147秘密(ひみつ)行動(かうどう)()らねばならないといふのは、148(えう)するに(うへ)卑怯(ひけふ)なる為政者(ゐせいしや)()るからである。149内強(ないきやう)外弱(ぐわいじやく)唯々(ゐゐ)諾々(だくだく)として外人(ぐわいじん)鼻息(はないき)のみを(うかが)つて()日本(につぽん)外交官(ぐわいかうくわん)(および)内閣員(ないかくゐん)(すこ)しでも心配(しんぱい)せない(やう)との(おもんぱか)りからである。150(その)(くせ)日本(につぽん)官憲(くわんけん)支那(しな)朝鮮(てうせん)151露国(ろこく)(たい)しては、152随分(ずゐぶん)鼻意気(はないき)(あら)(すべ)てが威圧(いあつ)(てき)であるに(かかは)らず、153英米(えいべい)(たい)しては、154(あたま)から青痰(あをたん)()きかけられても小言(こごと)(ひと)()()ない腰抜(こしぬ)けばかりだ。155皇道(くわうだう)大本(おほもと)勢力(せいりよく)(おほ)きいと()つて、156所在(あらゆる)圧迫(あつぱく)(くは)(つひ)には純忠(じゆんちう)無二(むに)(だい)思想家(しさうか)に、157無理槍(むりやり)冤罪(えんざい)(かむ)らせたり、158天地(てんち)大神(おほかみ)(みや)(こぼ)つたり、159色々(いろいろ)雑多(ざつた)悪政(あくせい)暴虐(ばうぎやく)(くは)へ、160正義(せいぎ)団体(だんたい)()るに悪逆(あくぎやく)無道(むだう)(もつ)てする、161(じつ)(あき)()てたるものである。162(しか)東洋(とうやう)君子国(くんしこく)163浦安国(うらやすくに)自惚(うぬぼ)れて()るのだから(たま)らない。164自分(じぶん)警戒線(けいかいせん)悠々(いういう)(やぶ)つて、165神界(しんかい)経綸(けいりん)(おこな)ふべく、1651遥々(はるばる)やつて()たのに(たい)して、166上下(しやうか)狼狽(らうばい)167一千(いつせん)(ゑん)懸賞附(けんしやうつき)捜索(そうさく)(はじ)めかけたと()ふ、168(じつ)()(どく)なものだ。169(しか)(けつ)して心配(しんぱい)(くだ)さるな、170滅多(めつた)諸君(しよくん)()(ため)にならない(やう)拙劣(へた)(こと)はせないから、171世界(せかい)平和(へいわ)共栄(きようえい)大理想(だいりさう)実行(じつかう)実現(じつげん)(ため)だ。172(きみ)()(やう)(しり)(あな)睾丸(かうぐわん)で、173一体(いつたい)今日(こんにち)()(なか)(おい)(なに)出来(でき)ると(おも)ふか、174どうして万世(ばんせい)一系(いつけい)国家(こくか)(まも)つて()けるか、175不義(ふぎ)罪悪(ざいあく)との淵源(えんげん)たる(きみ)()から、176(すこ)しは()()まして()れねば、177東洋(とうやう)(くに)安全(あんぜん)()てて()(こと)不可能(ふかのう)だ、178(げん)今日(こんにち)状態(じやうたい)()んだい……』
179 (また)(ちやう)作霖(さくりん)(くわん)しては()(ごと)(ひやう)してゐた。
180(日出雄)東三省(とうさんしやう)(ちやう)作霖(さくりん)随分(ずゐぶん)支那人(しなじん)としては(えら)(をとこ)だ、181コソコソと画策(くわくさく)(めぐ)らすのも中々(なかなか)上手(じやうず)だ。182そして自分(じぶん)肝心(かんじん)(かね)()さず、183(ひと)苦労(くらう)さして自分(じぶん)がそつと(あま)(しる)()はふといふのだから(たま)らぬ。184(しか)資本(しほん)なしの商売(しやうばい)結局(けつきよく)駄目(だめ)(をは)るだらう。185()(もと)にありだ。186資本主(しほんぬし)最後(さいご)勝利(しようり)だ。187()()(はた)して永遠(えいゑん)(ちやう)頤使(いし)(あま)んずるで()らうか、188直奉間(ちよくほうかん)引掛合(ひきかけあひ)(ひさ)しいものだが、189(いづ)(とほ)からぬ(うち)(なん)とか一幕(ひとまく)芝居(しばゐ)()たれるだらう190云々(うんぬん)
191大正一四、八、筆録)

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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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