霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一章 富士山(ふじさん)〔一〇一三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第37巻 舎身活躍 子の巻 篇:第1篇 安閑喜楽 よみ(新仮名遣い):あんかんきらく
章:第1章 富士山 よみ(新仮名遣い):ふじさん 通し章番号:1013
口述日:1922(大正11)年10月08日(旧08月18日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年3月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
わが富士山は古来数多の歌人によってその崇高雄大にして日本国土に冠絶し、日本一の名高山と称され、天神地祇・八百万の神の集まりたまう聖場となり、特に木花咲耶姫命の御神霊と崇敬されている。
現在の富士山は、高千穂の峰がわずかに残っているだけである。十万年以前の富士山は昔天教山といった。そのころは西は現代の滋賀県・福井県まで、北は富山県・新潟県、東は栃木・茨城・千葉、南は神奈川・静岡・愛知・三重の諸県より、百四五十里もすそ野がひいていた。
大地震のために南方が陥落し、今は太平洋の一部となっている。
富士山のすそ野があった地域が高天原と称され、その土地に住んでいた神人が高天原人種または天孫民族ととなえられた。
周囲ほとんど一千三百里の富士地帯は青木ケ原と総称し、世界最大の高地であった。五穀や果実に恵まれ、真に世界の楽土ととなえられて生存競争もなく、神の選民として天与の恩恵を楽しみつつあった。
現代の富士山の頂上の高さあたりが、古代の富士山地帯の三合目あたりにあたっている。天孫民族は古代の富士山の四合目以上の地帯に安住していた。ほかの国々から見れば、雲を隔ててそのうえに住居していたのである。
皇孫瓊瓊杵尊が葦原の中津国に天下りたまひき、という古言は、古代の富士山の富士地帯より低地の国々へ降ってこられたことをいうのである。
現代のヒマラヤも古代の富士山の二分の一にも及ばなかった。仏者の須弥仙山も天教山をさしていた。現代の清水湾および遠州灘の一部は、富士山の八合目に展開してた大湖水であって、筑紫の湖と称えられていた。
また同じ富士山地帯の信州諏訪の湖は、須佐の湖といった。
筑紫の湖には金竜が数多棲息して大神に仕え、世界の気候が順調になるよう守護していたのである。そして素盞嗚尊の神霊がこれを保護し給い、富士地帯の二合目あたりに位置を占めていた。
太古の大地震によって中心点ほど陥没し、周囲は比較的陥没の度が少なかった。現代の山城・丹波などは地球の傾斜の影響で少しく上昇したほどであった。
丹波は元田場と書き、天照大御神が青人草が食べて活きるべき稲種を作り給うたところである。ゆえに、五穀を守る豊受姫神は丹波国丹波郡丹波村比沼の真名井に鎮座ましまし、雄略天皇の御代に伊勢の国山田に御遷宮になられたのである。
また小アジアのアーメニヤおよびコーカス山、エルサレム、メソポタミヤおよびペルシャ、インドの一部は、古代は富士山地帯のごとく雲上に突出していた。富士山の陥没とともにこれらの地も今の高度に陥落したのである。
エルサレムは現今の位置ではなく、アーメニヤの南方に当たるエルセルムであった。現今のペルシャ湾が死海であった。この物語は古代の地理によって口述しているから、今日とは非常に位置や名称が変わっていることをあらかじめ承知してもらいたい。
『舎身活躍』の最初に当たって富士山を述べたのは、瑞月が入道の最初、富士の天使松岡神に霊魂を導かれて太古の状況を見せてもらった因縁による。
『舎身活躍』は瑞月が明治三十一年の五月、再び高熊山に神勅を奉じて二週間の修行を試み、霊眼に映じさせていただいたことや、過去・現在・未来、現・幽・神の三界を探検して神々の御活動を目撃した大略を口述する考えである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ:ヱルセルム(エルズルム) データ凡例: データ最終更新日:2022-10-15 15:37:13 文字数:3827 OBC :rm3701
愛善世界社版:9頁 八幡書店版:第7輯 33頁 修補版: 校定版:9頁 普及版:3頁 初版: ページ備考:
001  ◎万葉集(まんえふしふ)三(さん)の巻(まき) 山部(やまべの)赤人(あかひと)望不尽山(ふじのやまをのぞむ)歌(うた)[※底本では「望」の直後に返り点の二点の記号が、「隙行く駒」に一点の記号が入る。]に
002天地(あめつち)の分(わか)れし時(とき)ゆ神(かみ)佐備(さび)て、003高(たか)く貴(たふと)き、004駿河(するが)なる布士(ふじ)の高嶺(たかね)を、005天原(あまのはら)、006振放(ふりさけ)見(み)れば度(わた)る日(ひ)の、007蔭(かげ)も隠(かく)ろひ、008照月(てるつき)の、009光(ひかり)も見(み)えず、010白雲(しらくも)も伊去(いゆき)はばかり、011時自久(ときじく)ぞ、012雪(ゆき)は落(ふり)ける、013語(かたり)つぎ、014言継(いひつぎ)ゆかむ、015不尽(ふじ)の高嶺(たかね)は。
016   ◎反歌(はんか)
017 田児(たご)の浦(うら)ゆ、018打出(うちい)で見(み)れば真白(ましろ)にぞ、
019  不尽(ふじ)の高嶺(たかね)に雪(ゆき)は零(ふり)ける。
020   ◎万葉集(まんえうしふ)、021隆弁(りうべん)の歌(うた)に
022 めに懸(か)けて、023いくかに成(なり)ぬ東道(あづまぢ)や、
024  三国(みくに)をさかふ、025ふじの芝山(しばやま)。
026   ◎夫木集(ふぼくしふ)、027光俊(みつとし)朝臣(あそん)の歌(うた)に
028 こころ高(たか)き、029かふひするがの中(なか)に出(い)で、
030  四方(よも)に見(み)えたる山(やま)は布士(ふじ)の根(ね)。[※鎌倉時代に成立した『夫木和歌抄』巻二十(雑二)に収録されている歌。「かふひ」は「甲斐」、「するが」は「駿河」のこと。/『国歌大系 第21巻』(1930年)https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1884175/334 「こゝら高きかふひ駿河の中に出でて四方にみえたる山はふじのね」/日文研DB https://lapis.nichibun.ac.jp/waka/waka_i070.html 「ここらたかき かふひするかの なかにいてて よもにみえたる やまはふしのね」]
031   ◎よみ人(びと)知(し)らず
032 布士(ふじ)の山(やま)一(ひと)つある物(もの)と思(おも)ひしに
033  かひにも有(あ)りてふ、034駿河(するが)にもありてふ
035   ◎
036 天雲(あまぐも)も伊去(いゆき)はばかり飛(と)ぶ鳥(とり)も翔(とび)も上(のぼ)らず燎火(もゆるひ)を雪(ゆき)もて減(けち)、037落雪(ふるゆき)を火(ひ)もて消(けち)つつ言(い)ひも得(え)ず、038名(な)も知(し)らに霊(あやし)くも座神(いますかみ)かも。
039   ◎源光行(みなもとみつゆき)の歌(うた)に
040 富士(ふじ)の嶺(ね)の風(かぜ)に漂(ただよ)ふ白雲(しらくも)を
041  天(あま)つ少女(おとめ)の袖(そで)かとぞ見(み)る
042   ◎万葉(まんえふ)十四(じふし)の駿河歌(するがうた)に
043 佐奴良久波(さぬらくは)多麻乃緒婆可里(たまのをばかり)、044古布良久波(こふらくは)
045  布自能(ふじの)多可禰乃(たかねの)、046奈流佐波(なるさは)能其登(のごと)[※万葉集14 歌番号3358 「さ寝らくは 玉の緒ばかり 恋(こ)ふらくは 富士の高嶺の 鳴沢のごと」〔ウィキソース〕]
047   ◎
048 麻(ま)可(が)奈(な)思(し)美(み)、049奴良久波思家良久(ぬらくはしげらく)、050奈(こう)良久波(らくは)
051  伊豆能(いづの)多可禰能(たかねの)、052奈流佐波(なるさは)奈須与(なすよ)[※万葉集14 歌番号3358S1 「ま愛(かな)しみ 寝(ぬ)らくはしけらく さ鳴(な)らくは 伊豆の高嶺の 鳴沢なすよ」〔ウィキソース〕 「奈良久波」の「奈(こう)」は間違っている。]
053   ◎続(ぞく)古今集(こきんしふ)、054後鳥羽(ごとば)院(ゐん)の歌(うた)
055 けぶり立(たつ)、056思(おも)ひも下(した)や氷(こほ)るらむ、
057  ふじの鳴沢(なるさは)、058音(おと)むせぶ也(なり)
059   ◎新(しん)拾遺集(しふゐしふ)、060慈円(じゑん)の歌(うた)、
061 さみだるる、062ふじのなる沢(さは)、063水(みづ)越(こえ)て
064  音(おと)や煙(けぶり)に立(たち)まがふらむ
065   ◎同(どう)権(ごん)中納言(ちうなごん)公雅(こうが)の歌(うた)
066 飛螢(とぶほたる)思(おも)ひはふじと鳴沢(なるさは)に
067  うつる影(かげ)こそ、068もえばもゆらむ
069   ◎伊勢(いせ)家集(かしふ)に
070 人(ひと)しれず思(おも)ひするがの富士(ふじ)のねは
071  我(わ)がごとやかく絶(た)えず燃(も)ゆらむ
072   ◎
073 はては身(み)の富士(ふじ)の山(やま)とも成(な)りぬるか
074  燃(も)ゆるなげきの煙(けぶり)たえねば
075   ◎古今集(こきんしふ)に
076 人(ひと)知(し)れず思(おも)ひを常(つね)にするがなる
077  富士(ふじ)の山(やま)こそわがみなりけれ
078   ◎同集(どうしふ)に
079 君(きみ)と云(い)へばみまれ見(み)ずまれ富士(ふじ)のねの
080  めづらしげなく燃(も)ゆるわが恋(こひ)
081   ◎同集(どうしふ)に
082 富士(ふじ)のねのならぬ思(おも)ひにもえばもえ
083  神(かみ)だにけたぬむなし煙(けぶり)を[※古今集1028紀全子(きのぜんし)の歌 「富士の嶺の ならぬ思ひに 燃えば燃え 神だに消(け)たぬ 空(むな)し煙を」]
084   ◎能宣集(のうせんしふ)に
085 草(くさ)深(ふか)みまだきつけたる蚊遣火(かやりび)と
086  見(み)ゆるは不尽(ふじ)の烟(けぶり)なりけり
087   ◎重之(しげゆき)の集(しふ)に
088 焼(や)く人(ひと)も有(あ)らじと思(おも)ふ富士(ふじ)の山(やま)
089  雪(ゆき)の中(なか)より烟(けぶり)こそたて
090   ◎拾遺集(しふゐしふ)に
091 千早(ちはや)ぶる神(かみ)も思(おも)ひの有(あ)ればこそ
092  年(とし)経(へ)てふじの山(やま)も燃(も)ゆらめ
093   ◎大和(やまと)物語(ものがたり)に
094 ふじのねの絶(た)えぬ思(おも)ひも有(あ)る物(もの)を
095  くゆるはつらき心(こころ)なりけり
096   ◎
097 誰(た)が於(ため)に靡(なび)き果(は)ててか富士(ふじ)の根(ね)の
098  煙(けぶり)の末(すゑ)の見(み)えず成(な)るらむ
099   ◎
100 朽果(くちは)てし名柄(ながら)の橋(はし)を造(つく)らばや
101  富士(ふじ)の煙(けむり)の立(た)たずなりなば
102   ◎十六夜(いざよひ)日記(につき)に
103 立別(たちわか)れ富士(ふじ)の煙(けむり)を見(み)ても尚(なほ)
104  心(こころ)ぼそさのいかにそひけむ
105   ◎其返(そのかへ)し
106 かりそめに立(た)ち別(わか)れても子(こ)を思(おも)ふ
107  おもひを富士(ふじ)の烟(けぶり)とぞ見(み)し
108   ◎
109 問(とひ)きつる富士(ふじ)の煙(けむり)は空(そら)に消(き)えて
110  雲(くも)になごりの面蔭(おもかげ)ぞ立(た)つ
111   ◎西行(さいぎやう)の歌(うた)
112 風(かぜ)に靡(なび)く富士(ふじ)の煙(けむり)の空(そら)に消(き)えて
113  行(ゆ)く方(へ)も知(し)らぬ我(わ)が心(こころ)かな
114   ◎源頼朝(みなもとよりとも)卿(きやう)の歌(うた)
115 道(みち)すがら富士(ふじ)の煙(けむり)もわかざりき
116  晴(は)るるまもなき空(そら)のけしきに
117   ◎
118 時(とき)知(し)らぬ富士(ふじ)の煙(けむり)も秋(あき)の夜(よ)の
119  月(つき)の為(ため)にや立(た)たずなりけむ
120   ◎
121 北(きた)になし南(みなみ)になして今日(けふ)いくか
122  富士(ふじ)の麓(ふもと)を巡(めぐ)りきぬらむ
123   ◎
124 みせばやな語(かた)らば更(さら)に言(こと)のはも
125  及(およ)ばぬふじの高(たか)ね成(な)りけり
126   ◎
127 富士(ふじ)のねの烟(けぶり)の末(すゑ)は絶(た)えにしを
128  ふりける雪(ゆき)や消(き)えせざるらむ
129   ◎
130 きさらぎや今宵(こよひ)の月(つき)の影(かげ)ながら
131  富士(ふじ)も霞(かすみ)に雲隠(くもかく)れして
132   ◎尋常(じんじやう)小学(せうがく)国語(こくご)読本(とくほん)にも
133  ふじの山(やま)
134 あたまを雲(くも)の上(うへ)に出(だ)し
135  四方(しはう)の山(やま)を見(み)おろして
136 かみなりさまを下(した)にきく
137  ふじは日本一(につぽんいち)の山(やま)
138 青空(あをぞら)高(たか)くそびえたち
139  からだに雪(ゆき)の着物(きもの)着(き)て
140 霞(かすみ)のすそを遠(とほ)くひく
141  ふじは日本一(につぽんいち)の山(やま)
142 以上(いじやう)の如(ごと)く我(わが)富士山(ふじさん)は古来(こらい)各種(かくしゆ)の歌人(かじん)に依(よ)つて其(その)崇高(すうかう)雄大(ゆうだい)にして、143日本(にほん)国土(こくど)に冠絶(くわんぜつ)し、144日本一(につぽんいち)の名高山(めいかうざん)と称(しよう)され、145天神(てんしん)地祇(ちぎ)八百万(やほよろづ)の神(かみ)の集(あつま)り玉(たま)ふ聖場(せいぢやう)となり、146特(とく)に木花(このはな)咲耶姫(さくやひめの)命(みこと)の御(ご)神霊(しんれい)と崇敬(すうけい)されて居(ゐ)る。147三国一(さんごくいち)の富士(ふじ)の山(やま)と称(とな)へ、148日本(やまと)、149唐土(もろこし)、150天竺(てんぢく)の三ケ国(さんかこく)に於(お)ける第一位(だいいちゐ)の名山(めいざん)となつて居(ゐ)た。151併(しか)し乍(なが)ら其(その)富士山(ふじさん)と云(い)ふは、152十数万(じふすうまん)年(ねん)以前(いぜん)の富士山(ふじさん)とは其(その)高(たか)さに於(おい)て、153又(また)広(ひろ)さに於(おい)ても、154非常(ひじやう)な相違(さうゐ)がある。155現在(げんざい)の富士山(ふじさん)は皇典(くわうてん)に所謂(いはゆる)高千穂(たかちほ)の峰(みね)が僅(わづか)に残(のこ)つてゐるのである。156昔(むかし)天教山(てんけうざん)と云(い)ひ、157又(また)天橋山(てんけうざん)と云(い)つた頃(ころ)は、158西(にし)は現代(げんだい)の滋賀県(しがけん)、159福井県(ふくゐけん)に長(なが)く其(その)裾(すそ)を垂(た)れ、160北(きた)は富山県(とやまけん)、161新潟県(にひがたけん)、162東(ひがし)は栃木(とちぎ)、163茨城(いばらぎ)、164千葉(ちば)、165南(みなみ)は神奈川(かながは)、166静岡(しづをか)、167愛知(あいち)、168三重(みへ)の諸県(しよけん)より、169ズツと南方(なんぱう)百(ひやく)四五十(しごじふ)里(り)も裾野(すその)が曳(ひ)いて居(ゐ)た。170大地震(だいぢしん)の為(ため)に南方(なんぱう)は陥落(かんらく)し、171今(いま)や太平洋(たいへいやう)の一部(いちぶ)となつて居(ゐ)る。
172 此(この)地点(ちてん)を高天原(たかあまはら)と称(しよう)され、173其(その)土地(とち)に住(す)める神人(しんじん)を、174高天原(たかあまはら)人種(じんしゆ)又(また)は天孫(てんそん)民族(みんぞく)と称(とな)へられた。175現在(げんざい)の富士山(ふじさん)は古来(こらい)の富士(ふじ)地帯(ちたい)の八合目(はちがふめ)以上(いじやう)が残(のこ)つて居(ゐ)るのである。176周囲(しうゐ)殆(ほとん)ど一千(いつせん)三百(さんびやく)里(り)の富士(ふじ)地帯(ちたい)は青木(あをき)ケ原(はら)と総称(そうしよう)し、177世界(せかい)最大(さいだい)の高地(かうち)であつて、178五風(ごふう)十雨(じふう)の順序(じゆんじよ)よく、179五穀(ごこく)豊穣(ほうじやう)し、180果実(くわじつ)稔(みの)り、181真(しん)に世界(せかい)の楽土(らくど)と称(とな)へられて居(ゐ)た。182其(その)為(た)め、183生存(せいぞん)競争(きやうそう)の弊害(へいがい)もなく、184神(かみ)の選民(せんみん)として天与(てんよ)の恩恵(おんけい)を楽(たのし)みつつあつたのである。
185 近江(あふみ)の琵琶湖(びはこ)は富士(ふじ)地帯(ちたい)の陥落(かんらく)せし時(とき)、186其(その)亀裂(きれつ)より生(しやう)じたものである。187そして古代(こだい)の富士山(ふじさん)地帯(ちたい)は殆(ほとん)ど三合目(さんがふめ)四辺(あたり)に現代(げんだい)の富士(ふじ)の頂上(ちやうじやう)の如(ごと)き高(たか)さを保(たも)ち雲(くも)が取巻(とりま)いて居(ゐ)た。188故(ゆゑ)に天孫(てんそん)民族(みんぞく)は四合目(よんがふめ)以上(いじやう)の地帯(ちたい)に安住(あんぢう)して居(ゐ)た。189外(ほか)の国々(くにぐに)より見(み)れば、190殆(ほとん)ど雲(くも)を隔(へだ)てて其(その)上(うへ)に住居(ぢうきよ)して居(ゐ)たのである。191皇孫(くわうそん)瓊々杵(ににぎの)命(みこと)が天(あめ)の八重雲(やへくも)を伊都(いづ)の千別(ちわき)に千別(ちわき)て葦原(あしはら)の中津国(なかつくに)に天降(あまくだ)り玉(たま)ひきといふ古言(こげん)は、192即(すなは)ち此(この)世界(せかい)最高(さいかう)の富士(ふじ)地帯(ちたい)より、193低地(ていち)の国々(くにぐに)へ降(くだ)つて来(こ)られた事(こと)を云(い)ふのである。194決(けつ)して太陽(たいやう)の世界(せかい)とか、195金星(きんせい)の世界(せかい)から御(お)降(くだ)りになつたのでない事(こと)は勿論(もちろん)である。
196 顕国(うつしくに)の御玉(みたま)延長(えんちやう)して金(きん)銀(ぎん)銅(どう)の救(すくひ)の橋(はし)の架(か)けられし時(とき)も、197最高(さいかう)の金橋(きんけう)は富士山(ふじさん)上(じやう)に高(たか)さを等(ひと)しうしてゐた。198又(また)ヒマラヤ山(さん)は今日(こんにち)では世界(せかい)最高(さいかう)の山(やま)と謂(い)はれてゐるが、199其(その)時代(じだい)は地教山(ちけうざん)と言(い)ひ又(また)銀橋山(ぎんけうざん)とも云(い)つて、200古代(こだい)の富士(ふじ)の高(たか)さに比(くら)ぶれば、201二分(にぶん)の一(いち)にも及(およ)ばなかつたのである。202現代(げんだい)の富士山(ふじさん)は一万(いちまん)三千(さんぜん)尺(しやく)なれ共(ども)、203古代(こだい)の富士(ふじ)は六万(ろくまん)尺(しやく)も高(たか)さがあつたのである。204仏者(ぶつしや)の所謂(いはゆる)須弥仙(しゆみせん)山(ざん)も此(この)天教山(てんけうざん)を指(さ)したものである。
205 現代(げんだい)の清水湾(しみづわん)及(および)遠州灘(ゑんしうなだ)の一部(いちぶ)の如(ごと)きは、206富士山(ふじさん)の八合目(はちがふめ)に広(ひろ)く展開(てんかい)せる大湖水(だいこすゐ)であつて、207筑紫(つくし)の湖(うみ)と称(とな)へられてゐた。208又(また)同(おな)じ富士山(ふじさん)地帯(ちたい)の信州(しんしう)諏訪(すは)の湖(うみ)は須佐(すさ)の湖(うみ)と云(い)つたのである。209筑紫(つくし)の湖(うみ)には金竜(きんりゆう)数多(あまた)棲息(せいそく)して、210大神(おほかみ)に仕(つか)へ、211風雨(ふうう)雷電(らいでん)を守護(しゆご)してゐた。212又(また)玉(たま)の湖(うみ)には白竜(はくりう)数多(あまた)棲息(せいそく)して、213葦原(あしはら)の瑞穂国(みづほのくに)(全世界(ぜんせかい))の気候(きこう)を順調(じゆんてう)ならしむべく守護(しゆご)してゐたのである。214そして素盞嗚(すさのをの)尊(みこと)の神霊(しんれい)がこれを保護(ほご)し玉(たま)ひ、215富士(ふじ)地帯(ちたい)の二合目(にがふめ)あたりに位地(ゐち)を占(し)めてゐた。216太古(たいこ)の大地震(だいぢしん)に依(よ)つて、217此(この)地帯(ちたい)は中心点(ちうしんてん)程(ほど)多(おほ)く陥没(かんぼつ)し、218周囲(しうゐ)は比較(ひかく)的(てき)陥没(かんぼつ)の度(ど)が少(すくな)かつた。219其(その)為(ため)現代(げんだい)の如(ごと)く、220高千穂(たかちほ)の峰(みね)たる現(げん)富士(ふじ)を除(のぞ)く外(ほか)、221海抜(かいばつ)の程度(ていど)が殆(ほとん)ど平均(へいきん)を保(たも)つ事(こと)になつたのである。222現代(げんだい)の山城(やましろ)、223丹波(たんば)などは、224どちらかと云(い)へば地球(ちきう)の傾斜(けいしや)の影響(えいきやう)に依(よ)つて少(すこ)しく上(あが)つた位(くらゐ)である。
225 丹波(たんば)は元(もと)田場(たば)と書(か)き、226天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)が青人草(あをひとぐさ)の食(く)いて活(い)くべき稲種(いなだね)を作(つく)り玉(たま)うた所(ところ)である。227故(ゆゑ)に五穀(ごこく)を守(まも)ると云(い)ふ豊受姫(とようけひめの)神(かみ)は、228丹波国(たんばのくに)丹波郡(たんばごほり)丹波村(たんばむら)比沼(ひぬ)の真名井(まなゐ)に鎮座(ちんざ)ましまし、229雄略(ゆうりやく)天皇(てんわう)の御代(みよ)に至(いた)りて、230伊勢国(いせのくに)山田(やまだ)に御(ご)遷宮(せんぐう)になつたのである。231御(ご)即位式(そくゐしき)の時(とき)、232由紀田(ゆきでん)、233主基田(すきでん)をお選(えら)みになるのも、234現今(げんこん)の琵琶湖(びはこ)以西(いせい)が五穀(ごこく)を作(つく)られた神代(かみよ)の因縁(いんねん)に基(もとづ)くからである。235由紀(ゆき)といふ言霊(ことたま)は安国(やすくに)の霊反(たまかへ)しであり、236主基(すき)といふ言霊(ことたま)は知(し)ろし召(め)す国(くに)の霊反(たまかへ)しである。237之(これ)を見(み)ても丹波(たんば)の国(くに)には神代(かみよ)より深(ふか)き因縁(いんねん)のある事(こと)が分(わか)るのである。
238 又(また)小(せう)亜細亜(アジア)のアーメニヤ及(およ)びコーカス山(ざん)、239エルサレム、240メソポタミヤ及(およ)びペルシヤ、241印度(いんど)の一部(いちぶ)は、242富士(ふじ)地帯(ちたい)の如(ごと)く高(たか)く雲上(うんじやう)に突出(とつしゆつ)してゐた。243印度(いんど)の如(ごと)きも天竺(てんぢく)と称(とな)へられて、244其(その)地方(ちはう)での最高(さいかう)地点(ちてん)であつたが、245富士山(ふじさん)の陥没(かんぼつ)と同時(どうじ)に、246此(この)地(ち)も亦(また)今(いま)の如(ごと)く陥落(かんらく)したのである。247アーメニヤといふ事(こと)は天(あめ)の意味(いみ)又(また)は高天原(たかあまはら)の意味(いみ)である。248エルサレムといふ神代(かみよ)の意義(いぎ)はウズの都(みやこ)、249天国(てんごく)楽土(らくど)の意味(いみ)がある。250茲(ここ)に国祖(こくそ)国治立(くにはるたちの)尊(みこと)は始(はじ)めて出現(しゆつげん)され、251大八洲彦(おほやしまひこの)命(みこと)の敵軍(てきぐん)に囲(かこ)まれ玉(たま)ひし時(とき)、252国治立(くにはるたちの)尊(みこと)が蓮華台(れんげだい)上(じやう)より神力(しんりき)を発揮(はつき)して、253悪魔(あくま)の拠(よ)れる天保山(てんぱうざん)を陥落(かんらく)せしむると同時(どうじ)に天教山(てんけうざん)を現出(げんしゆつ)せしめ玉(たま)うたことは、254霊界(れいかい)物語(ものがたり)第一(だいいつ)巻(くわん)に述(の)ぶる通(とほ)りである。255又(また)エルサレムは現今(げんこん)のエルサレムではない。256アーメニヤの南方(なんぱう)に当(あた)るヱルセルムであつた。257そしてヨルダン河(がは)も、258現今(げんこん)のヨルダン河(がは)とは違(ちが)つてゐることは勿論(もちろん)である。259死海(しかい)の位置(ゐち)もメソポタミヤの東西(とうざい)を挟(はさ)んで流(なが)れ落(お)つる現今(げんこん)の波斯湾(ペルシヤわん)がそれであつた。
260 又(また)現今(げんこん)の地中海(ちちうかい)は此(この)物語(ものがたり)に於(おい)て、261古代(こだい)の名(な)を用(もち)ゐ、262瀬戸(せと)の海(うみ)と称(とな)へられてゐる。263此(この)瀬戸(せと)の海(うみ)はアーメニヤの附近(ふきん)迄(まで)展開(てんかい)してゐた。264併(しか)し乍(なが)らこれも震災(しんさい)の為(ため)に瀬戸(せと)の海(うみ)の東部(とうぶ)は陸地(りくち)となつて了(しま)つたのである。265故(ゆゑ)に此(この)物語(ものがたり)は地球(ちきう)最初(さいしよ)の地理(ちり)に依(よ)つて口述(こうじゆつ)するものであるから、266今日(こんにち)の地理学(ちりがく)の上(うへ)から見(み)れば、267非常(ひじやう)に位置(ゐち)又(また)は名義(めいぎ)が変(かは)つてゐることを予(あらかじ)め承知(しようち)して読(よ)んで貰(もら)ひたいのである。
268 『舎身(しやしん)活躍(くわつやく)』の最初(さいしよ)に当(あた)りて、269此(この)富士山(ふじさん)(太古(たいこ)の天教山(てんけうざん))を述(の)べたのは瑞月(ずゐげつ)が入道(にふだう)の最初(さいしよ)、270富士(ふじ)の天使(てんし)松岡神(まつをかしん)に霊魂(れいこん)を導(みちび)かれ、271此(この)太古(たいこ)の状況(じやうきやう)を見(み)せて貰(もら)ひ、272其(その)肉体(にくたい)は高熊山(たかくまやま)の岩窟(がんくつ)に守(まも)られて居(を)つた因縁(いんねん)に依(よ)つて、273物語(ものがたり)の始(はじ)めに、274富士山(ふじさん)の大略(たいりやく)を口述(こうじゆつ)するのが順序(じゆんじよ)だと思(おも)ふからである。
275 『舎身(しやしん)活躍(くわつやく)』は瑞月(ずゐげつ)が明治(めいぢ)卅一(さんじふいち)年(ねん)の五(ご)月(ぐわつ)、276再(ふたた)び高熊山(たかくまやま)に神勅(しんちよく)を奉(ほう)じて二(に)週間(しうかん)の修業(しうげふ)を試(こころ)み、277霊眼(れいがん)に映(えい)じさせて頂(いただ)きし事(こと)や、278過(くわ)、279現(げん)、280未(み)の現幽神(げんいうしん)の三界(さんがい)を探険(たんけん)して、281神々(かみがみ)の御(ご)活動(くわつどう)を目撃(もくげき)したる大略(たいりやく)を口述(こうじゆつ)する考(かんが)へである。
282 あゝ惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)。
283(大正一一・一〇・八 旧八・一八 松村真澄録)
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