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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第79巻(午の巻)
序文
総説
第1篇 竜の島根
第1章 湖中の怪
第2章 愛の追跡
第3章 離れ島
第4章 救ひの船
第5章 湖畔の遊び
第6章 再会
第2篇 竜宮風景
第7章 相聞(一)
第8章 相聞(二)
第9章 祝賀の宴(一)
第10章 祝賀の宴(二)
第11章 瀑下の乙女
第12章 樹下の夢
第13章 鰐の背
第14章 再生の歓び
第15章 宴遊会
第3篇 伊吹の山颪
第16章 共鳴の庭
第17章 還元竜神
第18章 言霊の幸
第19章 大井の淵
第20章 産の悩み
第21章 汀の歎き
第22章 天変地妖
第23章 二名の島
余白歌
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> 第2篇 竜宮風景 > 第14章 再生の歓び
<<< 鰐の背
(B)
(N)
宴遊会 >>>
第一四章
再生
(
さいせい
)
の
歓
(
よろこ
)
び〔一九九五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第79巻 天祥地瑞 午の巻
篇:
第2篇 竜宮風景
よみ(新仮名遣い):
りゅうぐうふうけい
章:
第14章 再生の歓び
よみ(新仮名遣い):
さいせいのよろこび
通し章番号:
1995
口述日:
1934(昭和9)年07月18日(旧06月7日)
口述場所:
関東別院南風閣
筆録者:
林弥生
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年10月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
水上山を中心として約二十里四方の土地を治める国津神の御祖の神、山神彦・川神姫は、二人の兄妹が姿を消してしまったので、夜昼となく慟哭し、見る影もなくやつれた姿になってしまっていた。国津神たちは二人を捜し求めたが、一ケ月を経ても何の便りもないままであった。
二柱は玉耶湖の汀辺をさまよいながら、兄妹を捜し求める歌を歌っていた。そこへ館に仕える従者神の真砂がやってきて、昨日の夢に、艶男はまもなく帰り着て、麗子は竜宮島の王になっていることを見た、と伝えた。
川神姫は夢の話に希望を託して、ひとまず今日は帰り、また次の機会をまとうと答えた。次の朝、山神彦・川神姫は、真砂に導かれて、栄居の浜辺に出て行った。すると、はるか前方から一艘の舟が漕ぎ来るのが見えた。
次第に舟が岸に近づくにつれて、水火土の神が先導をし、艶男と見慣れない女神が乗っているのが見えた。やがて舟が岸に着くと、両親は天に向かって感謝の言葉を奏上し、喜び勇んで水上山の館へと帰って行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7914
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 237頁
修補版:
校定版:
278頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
葭原
(
よしはら
)
の
国
(
くに
)
の
一部
(
いちぶ
)
、
002
水上山
(
みなかみやま
)
を
中心
(
ちうしん
)
として
約
(
やく
)
二十
(
にじふ
)
里
(
り
)
四方
(
しはう
)
の
土地
(
とち
)
を
領有
(
うしは
)
ぎ、
003
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
頭人
(
おびと
)
となりて
父祖
(
ふそ
)
の
代
(
だい
)
よりここに
君臨
(
くんりん
)
したる
御祖
(
みおや
)
の
神
(
かみ
)
、
004
山神彦
(
やまがみひこ
)
、
005
川神姫
(
かはかみひめ
)
の
翁
(
おきな
)
と
姥
(
おうな
)
は、
006
天
(
てん
)
にも
地
(
ち
)
にもかけがへなき
二人
(
ふたり
)
の
兄妹
(
きやうだい
)
が、
007
ゆくりなくも
其
(
その
)
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
せしより、
008
夜昼
(
よるひる
)
の
区別
(
くべつ
)
なく
慟哭
(
どうこく
)
して
身体
(
からだ
)
は
日
(
ひ
)
に
日
(
ひ
)
に
衰
(
おとろ
)
へ、
009
見
(
み
)
るかげもなき
憐
(
あは
)
れな
姿
(
すがた
)
となりゐたりける。
010
水上山
(
みなかみやま
)
に
仕
(
つか
)
ふる
数多
(
あまた
)
の
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
ら
)
は、
011
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
に
馳
(
か
)
け
廻
(
まは
)
り、
012
兄妹
(
きやうだい
)
の
所在
(
ありか
)
をさがし
求
(
もと
)
むれども、
013
約
(
やく
)
一
(
いつ
)
ケ
月
(
げつ
)
を
経
(
へ
)
たる
今日
(
こんにち
)
、
014
何
(
なん
)
の
便
(
たよ
)
りも
荒波
(
あらなみ
)
の
磯
(
いそ
)
に
打寄
(
うちよ
)
すばかりなりける。
015
山神彦
(
やまがみひこ
)
、
016
川神姫
(
かはかみひめ
)
の
二柱
(
ふたはしら
)
は、
017
玉耶湖
(
たまやこ
)
の
汀辺
(
みぎはべ
)
をさまよひながら、
018
声
(
こゑ
)
を
細々
(
ほそぼそ
)
と
歌
(
うた
)
ふ。
019
『あな
悲
(
かな
)
しや
020
かかる
歎
(
なげ
)
きにあはむとは
021
思
(
おも
)
はざりしよ
022
いとし
子
(
ご
)
の
023
行方
(
ゆくへ
)
は
何処
(
いづこ
)
024
今日
(
けふ
)
が
日
(
ひ
)
まで
025
三十日
(
みそか
)
三十夜
(
みそや
)
を
探
(
たづ
)
ぬれど
026
何
(
なん
)
の
便
(
たよ
)
りも
波
(
なみ
)
の
音
(
おと
)
027
磯
(
いそ
)
打
(
う
)
ち
寄
(
よ
)
するばかりなり
028
万斛
(
ばんこく
)
の
029
涙
(
なみだ
)
はすでに
涸
(
か
)
れ
果
(
は
)
てぬ
030
わが
声
(
こゑ
)
さへもしをれけり
031
わが
身体
(
からたま
)
は
日
(
ひ
)
に
夜
(
よる
)
に
032
痩
(
や
)
せ
衰
(
おとろ
)
へて
力
(
ちから
)
なく
033
この
世
(
よ
)
に
生
(
い
)
きてたよりなし
034
夢
(
ゆめ
)
になりとも
兄妹
(
おとどい
)
の
035
所在
(
ありか
)
知
(
し
)
りたや
036
顔
(
かほ
)
見
(
み
)
たや
037
思
(
おも
)
へど
詮
(
せん
)
なき
今日
(
けふ
)
のわれは
038
泣
(
な
)
くより
外
(
ほか
)
に
術
(
すべ
)
もなし
039
この
世
(
よ
)
に
神
(
かみ
)
のいますならば
040
わがいとし
子
(
ご
)
の
所在
(
ありか
)
をば
041
一言
(
ひとこと
)
われに
知
(
し
)
らさせ
給
(
たま
)
へ
042
月日
(
つきひ
)
は
空
(
そら
)
に
照
(
て
)
れれども
043
星
(
ほし
)
は
隈
(
くま
)
なくきらめけど
044
大地
(
だいち
)
に
草
(
くさ
)
は
茂
(
しげ
)
れども
045
湖水
(
こすゐ
)
の
波
(
なみ
)
は
騒
(
さわ
)
げども
046
わがいとし
子
(
ご
)
の
消息
(
せうそく
)
は
047
なしのつぶてや
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
048
飛
(
と
)
び
交
(
か
)
ふ
千鳥
(
ちどり
)
の
声
(
こゑ
)
ばかり
049
ああ
悲
(
かな
)
しもよ
恨
(
うら
)
めしよ
050
生
(
い
)
きて
甲斐
(
かひ
)
なきわが
生命
(
いのち
)
051
捨
(
す
)
つるもやすしいとし
子
(
ご
)
の
052
生命
(
いのち
)
保
(
たも
)
ちて
地
(
ち
)
の
上
(
うへ
)
に
053
ありとし
聞
(
き
)
けばさぞやさぞ
054
蘇
(
よみがへ
)
るらむわが
心
(
こころ
)
055
あはれみ
給
(
たま
)
へ
厳御霊
(
いづみたま
)
056
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
057
老
(
お
)
いのやつれの
身
(
み
)
を
捧
(
ささ
)
げ
058
偏
(
ひとへ
)
に
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る
059
わが
子
(
こ
)
は
何処
(
いづこ
)
聞
(
き
)
かまほし
060
娘
(
むすめ
)
は
何処
(
いづこ
)
と
朝夕
(
あさゆふ
)
に
061
探
(
たづ
)
ぬる
甲斐
(
かひ
)
も
荒風
(
あらかぜ
)
の
062
野路
(
のぢ
)
吹
(
ふ
)
く
音
(
おと
)
の
聞
(
きこ
)
ゆのみ。
063
空
(
そら
)
見
(
み
)
れば
心
(
こころ
)
悲
(
かな
)
しも
湖
(
うみ
)
見
(
み
)
れば
064
ひたに
淋
(
さび
)
しも
子
(
こ
)
なきわれには
065
天地
(
あめつち
)
の
恵
(
めぐ
)
みに
満
(
み
)
つる
国
(
くに
)
ながら
066
死
(
し
)
なまく
思
(
おも
)
ふわが
子
(
こ
)
なければ
067
いとし
子
(
ご
)
の
行方
(
ゆくへ
)
探
(
たづ
)
ねてわが
魂
(
たま
)
は
068
衰
(
おとろ
)
へにけり
糸
(
いと
)
の
如
(
ごと
)
くに
069
身体
(
からたま
)
は
骨
(
ほね
)
ばかりなるみじめさに
070
力
(
ちから
)
弱
(
よわ
)
りて
淋
(
さび
)
しきわれなり』
071
川神姫
(
かはかみひめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
072
『
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
に
生
(
うま
)
れてわれは
年
(
とし
)
老
(
お
)
いぬ
073
夫
(
つま
)
の
命
(
みこと
)
も
衰
(
おとろ
)
へぬ
074
力
(
ちから
)
と
頼
(
たの
)
むいとし
子
(
ご
)
は
075
如何
(
いか
)
なる
曲
(
まが
)
の
荒
(
すさ
)
びにや
076
行方
(
ゆくへ
)
しら
波
(
なみ
)
立
(
た
)
ち
騒
(
さわ
)
ぐ
077
水泡
(
みなわ
)
と
消
(
き
)
えしか
浅
(
あさ
)
ましや
078
玉耶
(
たまや
)
の
湖
(
うみ
)
に
浮
(
うか
)
びたる
079
竜神
(
たつがみ
)
棲
(
す
)
める
魔
(
ま
)
の
島
(
しま
)
に
080
若
(
も
)
しも
迷
(
まよ
)
ひて
渡
(
わた
)
りしか
081
何
(
なん
)
の
便
(
たよ
)
りもあら
波
(
なみ
)
の
082
磯
(
いそ
)
打
(
う
)
つ
音
(
おと
)
の
淋
(
さび
)
しさよ
083
われらは
朝夕
(
あさゆふ
)
子
(
こ
)
を
慕
(
した
)
ひ
084
姫
(
ひめ
)
を
慕
(
した
)
ひてなく
涙
(
なみだ
)
085
早
(
は
)
や
涸
(
か
)
れ
果
(
は
)
てて
斯
(
か
)
くの
如
(
ごと
)
086
痩
(
や
)
せ
衰
(
おとろ
)
へぬ
087
言葉
(
ことば
)
さへ
088
思
(
おも
)
ふにまかせぬ
苦
(
くる
)
しさよ
089
百神
(
ももがみ
)
たちは
二人
(
ふたり
)
の
子
(
こ
)
の
090
行方
(
ゆくへ
)
探
(
たづ
)
ぬと
山川
(
やまかは
)
を
091
騒
(
さわ
)
ぎ
廻
(
まは
)
れど
今
(
いま
)
にして
092
風
(
かぜ
)
の
便
(
たよ
)
りも
泣
(
な
)
く
涙
(
なみだ
)
093
乾
(
かわ
)
く
暇
(
ひま
)
なき
袖袂
(
そでたもと
)
094
恵
(
めぐ
)
ませ
給
(
たま
)
へ
憐
(
あは
)
れみ
給
(
たま
)
へ
095
厳
(
いづ
)
の
御霊
(
みたま
)
や
瑞御霊
(
みづみたま
)
096
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
願
(
ね
)
ぎまつる
097
草葉
(
くさば
)
にすだく
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
や
098
梢
(
こずゑ
)
に
囀
(
さへづ
)
る
百鳥
(
ももとり
)
の
099
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
きつつ
若
(
も
)
しや
若
(
も
)
し
100
わが
子
(
こ
)
の
声
(
こゑ
)
にあらぬかと
101
子
(
こ
)
を
恋
(
こ
)
ふる
身
(
み
)
の
浅
(
あさ
)
ましや
102
まよひにまよふ
老
(
おい
)
の
身
(
み
)
の
103
今日
(
けふ
)
は
悲
(
かな
)
しき
汀辺
(
みぎはべ
)
に
104
あらぬ
望
(
のぞ
)
みを
抱
(
かか
)
へつつ
105
佇
(
たたず
)
み
居
(
を
)
れば
夕津陽
(
ゆふつひ
)
は
106
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まれ
遠山
(
とほやま
)
の
107
尾
(
を
)
の
上
(
へ
)
に
消
(
き
)
えてあともなし。
108
いとし
子
(
ご
)
に
離
(
はな
)
れしわれらは
天地
(
あめつち
)
の
109
神
(
かみ
)
を
頼
(
たの
)
むの
外
(
ほか
)
なかるらむ
110
神
(
かみ
)
よ
神
(
かみ
)
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
憐
(
あは
)
れみ
給
(
たま
)
ひまして
111
二人
(
ふたり
)
の
御子
(
みこ
)
を
返
(
かへ
)
させ
給
(
たま
)
へ
112
眉目形
(
みめかたち
)
勝
(
すぐ
)
れて
清
(
きよ
)
きいとし
子
(
こ
)
の
113
かげなき
今日
(
けふ
)
はひたに
悲
(
かな
)
しも
114
わが
子
(
こ
)
かと
近
(
ちか
)
より
見
(
み
)
れば
叢
(
くさむら
)
に
115
夕
(
ゆふ
)
べを
鳴
(
な
)
ける
虫
(
むし
)
の
声々
(
こゑごゑ
)
116
陽
(
ひ
)
は
照
(
て
)
れど
月
(
つき
)
は
冴
(
さ
)
ゆれど
村肝
(
むらきも
)
の
117
心
(
こころ
)
曇
(
くも
)
りてあやめも
分
(
わ
)
かず
118
汀辺
(
みぎはべ
)
に
匂
(
にほ
)
ふ
菖蒲
(
あやめ
)
の
清
(
すが
)
しさも
119
われには
何
(
なん
)
の
趣
(
おもむき
)
もなし
120
果
(
は
)
てしなき
大湖原
(
おほうなばら
)
を
打見
(
うちみ
)
やり
121
御子
(
みこ
)
と
思
(
おも
)
へば
浮寝鳥
(
うきねどり
)
なる
122
鳥
(
とり
)
うたひ
百花
(
ももばな
)
匂
(
にほ
)
ひ
虫
(
むし
)
鳴
(
な
)
けど
123
われには
淋
(
さび
)
しき
春
(
はる
)
なりにけり』
124
山神彦
(
やまがみひこ
)
は
又
(
また
)
歌
(
うた
)
ふ。
125
『
草
(
くさ
)
を
別
(
わ
)
け
土
(
つち
)
を
潜
(
くぐ
)
るもいとはまじ
126
わが
子
(
こ
)
の
行方
(
ゆくへ
)
突
(
つ
)
きとむるまで
127
夢
(
ゆめ
)
の
世
(
よ
)
に
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
ながら
夢
(
ゆめ
)
の
如
(
ごと
)
128
あてなきわが
子
(
こ
)
を
探
(
たづ
)
ねぬるかな
129
わが
御子
(
みこ
)
は
湖
(
うみ
)
の
藻屑
(
もくづ
)
となりしかと
130
わがいとし
子
(
ご
)
は
彼
(
か
)
れならずやと
131
わが
御子
(
みこ
)
と
名告
(
なの
)
るものさへあるなれば
132
鳥
(
とり
)
も
獣
(
けもの
)
もいとはざるべし
133
わが
御子
(
みこ
)
は
鳥
(
とり
)
となりしか
湖原
(
うなばら
)
の
134
魚
(
うを
)
となりしか
心許
(
こころもと
)
なや
135
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
ある
間
(
うち
)
只一度
(
ただいちど
)
136
見
(
み
)
まく
思
(
おも
)
ふもいとし
子
(
ご
)
の
面
(
おも
)
』
137
かく
夫婦
(
ふうふ
)
は
湖辺
(
こへん
)
をさまよひ、
138
歎
(
なげ
)
きの
歌
(
うた
)
をうたふ
折
(
をり
)
しも、
139
館
(
やかた
)
に
仕
(
つか
)
ふる
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
真砂
(
まさご
)
は、
140
あとを
探
(
たづ
)
ねて
追
(
お
)
ひ
来
(
きた
)
り、
141
『わが
君
(
きみ
)
はここにいませりわが
君
(
きみ
)
は
142
ここに
立
(
た
)
たせり
嬉
(
うれ
)
しきろかも
143
あちこちと
君
(
きみ
)
の
行方
(
ゆくへ
)
を
探
(
たづ
)
ねつつ
144
真砂
(
まさご
)
の
磯辺
(
いそべ
)
にあひにけりしな
145
ありがたし
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みに
守
(
まも
)
られて
146
君
(
きみ
)
二柱
(
ふたはしら
)
生
(
い
)
きていませり
147
艶男
(
あでやか
)
の
君
(
きみ
)
は
何処
(
いづこ
)
ぞ
麗子
(
うららか
)
の
148
姫
(
ひめ
)
の
行方
(
ゆくへ
)
は
未
(
いま
)
だ
知
(
し
)
れずや』
149
山神彦
(
やまがみひこ
)
はこれに
応
(
こた
)
へて、
150
『
人草
(
ひとぐさ
)
の
行
(
ゆ
)
くべき
所
(
ところ
)
はことごとに
151
探
(
たづ
)
ね
廻
(
まは
)
れど
影
(
かげ
)
だにもなし
152
この
上
(
うへ
)
は
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せて
帰
(
かへ
)
るべし
153
わが
子
(
こ
)
は
此
(
この
)
世
(
よ
)
のものならなくに』
154
真砂
(
まさご
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
155
『わが
君
(
きみ
)
よ
淋
(
さび
)
しきことを
宣
(
の
)
らすまじ
156
必
(
かなら
)
ず
生
(
い
)
きて
帰
(
かへ
)
らせ
給
(
たま
)
はむ
157
わが
見
(
み
)
たる
昨夜
(
ゆふべ
)
の
夢
(
ゆめ
)
をうかがへば
158
艶男
(
あでやか
)
の
君
(
きみ
)
は
帰
(
かへ
)
りますべし
159
麗子
(
うららか
)
の
君
(
きみ
)
の
行方
(
ゆくへ
)
は
竜宮
(
りうぐう
)
の
160
島
(
しま
)
に
渡
(
わた
)
りて
王
(
こきし
)
とならせり
161
さりながら
確
(
たしか
)
にそれと
宣
(
の
)
りがたし
162
ただ
朧気
(
おぼろげ
)
の
夢
(
ゆめ
)
にありせば』
163
川神姫
(
かはかみひめ
)
は
稍
(
やや
)
力得顔
(
ちからえがほ
)
に
微笑
(
びせう
)
を
浮
(
うか
)
べて、
164
『
汝
(
な
)
が
言葉
(
ことば
)
まことならずも
生
(
い
)
くるてふ
165
夢
(
ゆめ
)
の
話
(
はなし
)
に
心
(
こころ
)
ときめくも
166
ともかくも
館
(
やかた
)
に
帰
(
かへ
)
り
時
(
とき
)
待
(
ま
)
たむ
167
日
(
ひ
)
は
黄昏
(
たそが
)
れて
黒白
(
あやめ
)
もわかねば』
168
山神彦
(
やまがみひこ
)
、
169
川神姫
(
かはかみひめ
)
は、
170
従神
(
じうしん
)
の
真砂
(
まさご
)
に
夜
(
よ
)
の
道
(
みち
)
を
護
(
まも
)
られ、
171
一先
(
ひとま
)
づ
館
(
やかた
)
に
立帰
(
たちかへ
)
り、
172
其
(
その
)
夜
(
よ
)
はとつおひつあらぬ
事
(
こと
)
のみ
繰返
(
くりかへ
)
しつつ、
173
淋
(
さび
)
しき
眠
(
ねむ
)
りに
就
(
つ
)
きにける。
174
暁
(
あかつき
)
告
(
つ
)
ぐる
鶏
(
にはとり
)
の
声
(
こゑ
)
、
175
鵲
(
かささぎ
)
の
声
(
こゑ
)
に
呼
(
よ
)
び
覚
(
さま
)
されて、
176
二人
(
ふたり
)
は
寝間
(
ねま
)
を
起
(
お
)
き
出
(
い
)
で、
177
再
(
ふたた
)
び
真砂
(
まさご
)
に
導
(
みちび
)
かれて
栄居
(
さかゐ
)
の
浜辺
(
はまべ
)
に
出
(
い
)
でてゆく。
178
遥
(
はる
)
か
前方
(
ぜんぱう
)
を
見渡
(
みわた
)
せば、
179
一艘
(
いつそう
)
の
舟
(
ふね
)
、
180
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
艫
(
ろ
)
を
漕
(
こ
)
ぎながら
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
る。
181
山神彦
(
やまがみひこ
)
はこの
光景
(
くわうけい
)
を
眺
(
なが
)
め、
182
若
(
も
)
しやわが
子
(
こ
)
にあらずやと
脇目
(
わきめ
)
もふらず
湖上
(
こじやう
)
を
打
(
う
)
ちまもり、
183
『
若
(
も
)
しや
若
(
も
)
しわが
子
(
こ
)
に
非
(
あら
)
ずや
浜辺
(
はまべ
)
近
(
ちか
)
く
184
漕
(
こ
)
ぎ
来
(
く
)
る
舟
(
ふね
)
のあしの
早
(
はや
)
きも
185
若
(
も
)
しや
若
(
も
)
しわが
子
(
こ
)
の
舟
(
ふね
)
と
知
(
し
)
るならば
186
百神
(
ももがみ
)
集
(
つど
)
へて
出
(
い
)
で
迎
(
むか
)
へむを』
187
真砂
(
まさご
)
は、
188
『
正
(
まさ
)
しくや
兄妹
(
おとどい
)
の
舟
(
ふね
)
とおぼえたり
189
水火土
(
しほつち
)
の
神
(
かみ
)
艫
(
ろ
)
を
操
(
あやつ
)
れば』
190
かく
歌
(
うた
)
ふ
折
(
をり
)
しも、
191
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
舟
(
ふね
)
は
浜辺
(
はまべ
)
に
近
(
ちか
)
づき
来
(
きた
)
る。
192
よくよく
見
(
み
)
れば
舟
(
ふね
)
を
操
(
あやつ
)
るは
水火土
(
しほつち
)
の
神
(
かみ
)
、
193
舷頭
(
げんとう
)
に
立
(
た
)
つは
確
(
たしか
)
に
艶男
(
あでやか
)
と
見
(
み
)
ゆれども、
194
いぶかしきは
一人
(
ひとり
)
の
女神
(
めがみ
)
なりと、
195
脇目
(
わきめ
)
もふらず
眺
(
なが
)
め
居
(
ゐ
)
たり。
196
川神姫
(
かはかみひめ
)
は、
197
『
水先
(
みづさき
)
に
立
(
た
)
つは
確
(
たしか
)
に
艶男
(
あでやか
)
よ
198
されどをみなの
姿
(
すがた
)
はあやしき
199
見
(
み
)
なれざる
女
(
をんな
)
を
乗
(
の
)
せて
艶男
(
あでやか
)
は
200
心
(
こころ
)
いそいそ
帰
(
かへ
)
り
来
(
く
)
るらし
201
神々
(
かみがみ
)
の
厚
(
あつ
)
き
恵
(
めぐ
)
みに
護
(
まも
)
られて
202
わが
子
(
こ
)
は
正
(
まさ
)
しく
生
(
い
)
きてありしよ』
203
かく
歌
(
うた
)
ふ
折
(
をり
)
しも、
204
漸
(
やうや
)
くにして
水火土
(
しほつち
)
の
神
(
かみ
)
のあやつる
御舟
(
みふね
)
は、
205
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
立
(
た
)
てる
湖辺
(
こへん
)
に
安々
(
やすやす
)
着
(
つ
)
きにける。
206
老
(
お
)
いたる
両親
(
りやうしん
)
は、
207
手
(
て
)
の
舞
(
ま
)
ひ
足
(
あし
)
の
踏
(
ふ
)
む
所
(
ところ
)
を
知
(
し
)
らず、
208
忽
(
たちま
)
ち
天
(
てん
)
に
向
(
むか
)
つて
感謝言
(
ゐやひごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
209
勇
(
いさ
)
み
進
(
すす
)
んで
水上山
(
みなかみやま
)
の
館
(
やかた
)
をさして
帰
(
かへ
)
りゆく。
210
(
昭和九・七・一八
旧六・七
於関東別院南風閣
林弥生
謹録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
宴遊会 >>>
霊界物語
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天祥地瑞(第73~81巻)
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【第14章 再生の歓び|第79巻|天祥地瑞|霊界物語|/rm7914】
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