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第11巻(戌の巻)
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第13巻(子の巻)
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第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
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第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
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第58巻(酉の巻)
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第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
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第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
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第9巻(申の巻)
序歌
凡例
総説歌
第1篇 長途の旅
01 都落
〔394〕
02 エデンの渡
〔395〕
03 三笠丸
〔396〕
04 大足彦
〔397〕
05 海上の神姿
〔398〕
06 刹那信心
〔399〕
07 地獄の沙汰
〔400〕
第2篇 一陽来復
08 再生の思
〔401〕
09 鴛鴦の衾
〔402〕
10 言葉の車
〔403〕
11 蓬莱山
〔404〕
第3篇 天涯万里
12 鹿島立
〔405〕
13 訣別の歌
〔406〕
14 闇の谷底
〔407〕
15 団子理屈
〔408〕
16 蛸釣られ
〔409〕
17 甦生
〔410〕
第4篇 千山万水
18 初陣
〔411〕
19 悔悟の涙
〔412〕
20 心の鏡
〔413〕
21 志芸山祇
〔414〕
22 晩夏の風
〔415〕
23 高照山
〔416〕
24 玉川の滝
〔417〕
25 窟の宿替
〔418〕
26 巴の舞
〔419〕
第5篇 百花爛漫
27 月光照梅
〔420〕
28 窟の邂逅
〔421〕
29 九人娘
〔422〕
30 救の神
〔423〕
31 七人の女
〔424〕
32 一絃琴
〔425〕
33 栗毛の駒
〔426〕
34 森林の囁
〔427〕
35 秋の月
〔428〕
36 偽神憑
〔429〕
37 凱歌
〔430〕
附録 第三回高熊山参拝紀行歌(二)
余白歌
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第八章
再生
(
さいせい
)
の
思
(
おもひ
)
〔四〇一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
篇:
第2篇 一陽来復
よみ(新仮名遣い):
いちようらいふく
章:
第8章 再生の思
よみ(新仮名遣い):
さいせいのおもい
通し章番号:
401
口述日:
1922(大正11)年02月12日(旧01月16日)
口述場所:
筆録者:
河津雄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年7月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
松代姫、竹野姫、梅ケ香姫は、智利の港で男に、父・桃上彦が巴留の国で命を落としたと聞かされて、泣いていた。
従者の照彦は、三人の姫たちを励ましていた。そこへ船中から大蛇彦と名乗る色の黒い男が現れて、桃上彦は珍の国で正鹿山津見という立派な神となって無事であることを告げた。一同は大蛇彦の話に勇気付けられた。
大蛇彦は珍の国まで道案内をしようと申し出た。大蛇彦は、高砂洲での桃上彦の遍歴を歌に歌いこみながら一行を案内した。
大蛇彦が歌を歌い終わると、不思議にも大蛇彦の姿は煙のように消えうせていた。そして一行はいつの間にか珍の国の正鹿山津見(桃上彦)の館の門前にたどり着いていた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-06-23 21:16:38
OBC :
rm0908
愛善世界社版:
61頁
八幡書店版:
第2輯 297頁
修補版:
校定版:
65頁
普及版:
26頁
初版:
ページ備考:
001
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
の
桃上彦
(
ももがみひこ
)
命
(
みこと
)
は、
002
巴留
(
はる
)
の
都
(
みやこ
)
に
出
(
い
)
でまして、
003
敵
(
てき
)
の
鋭
(
するど
)
き
槍
(
やり
)
に
突
(
つ
)
き
刺
(
さ
)
され、
004
沙漠
(
さばく
)
の
露
(
つゆ
)
と
消
(
き
)
え
給
(
たま
)
ひしと、
005
聞
(
き
)
くに
驚
(
おどろ
)
く
三柱
(
みはしら
)
の
姫
(
ひめ
)
はワツと
絶
(
た
)
え
入
(
い
)
るばかり、
006
船底
(
ふなぞこ
)
に
喰
(
く
)
ひついて、
007
声
(
こゑ
)
を
忍
(
しの
)
びに
泣
(
な
)
き
入
(
い
)
るにぞ、
008
照彦
(
てるひこ
)
は
当惑
(
たうわく
)
の
息
(
いき
)
を
漏
(
も
)
らしながら、
009
照彦
『これはしたりお
三方
(
さんかた
)
様
(
さま
)
、
010
御
(
お
)
父上
(
ちちうへ
)
の
亡
(
な
)
くなられたといふことは、
011
決
(
けつ
)
して
確
(
たしか
)
なものではありませぬ。
012
察
(
さつ
)
する
処
(
ところ
)
、
013
吾々
(
われわれ
)
に
酒代
(
さかて
)
が
欲
(
ほ
)
しさに、
014
斯様
(
かやう
)
なことを
申
(
まを
)
して
吾
(
われ
)
らの
心
(
こころ
)
を
動
(
うご
)
かせ、
015
目的
(
もくてき
)
を
達
(
たつ
)
せむとした
悪者
(
わるもの
)
の
悪企
(
わるだく
)
みにかかつたのでせう。
016
必
(
かなら
)
ず
必
(
かなら
)
ず
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
下
(
くだ
)
さいますな。
017
行
(
ゆ
)
く
処
(
ところ
)
へ
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
なくては
実否
(
じつぴ
)
は
判
(
わか
)
るものではありませぬ。
018
道聴
(
だうちやう
)
途説
(
とせつ
)
に
誤
(
あやま
)
られて、
019
肝腎
(
かんじん
)
な
時
(
とき
)
になり、
020
小
(
ちひ
)
さき
女
(
をんな
)
の
胸
(
むね
)
を
痛
(
いた
)
め、
021
若
(
も
)
しも
御
(
おん
)
身
(
み
)
に
ささはり
でも
出来
(
でき
)
たならば、
022
この
家来
(
けらい
)
の
照彦
(
てるひこ
)
は、
023
どうして
御
(
おん
)
父上
(
ちちうへ
)
様
(
さま
)
に
申訳
(
まをしわけ
)
が
立
(
た
)
ちませうか。
024
冥途
(
めいど
)
にござる
母
(
はは
)
の
君
(
きみ
)
へも
済
(
す
)
みませぬ。
025
どうかお
三人
(
さんにん
)
様
(
さん
)
、
026
気
(
き
)
を
確
(
たしか
)
に
持
(
も
)
つて
下
(
くだ
)
さい、
027
屹度
(
きつと
)
この
照彦
(
てるひこ
)
が
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
にお
会
(
あ
)
はせ
申
(
まを
)
しませう』
028
松代姫
(
まつよひめ
)
は
涙
(
なみだ
)
を
拭
(
ぬぐ
)
ひながら、
029
松代姫
『あゝ
照彦
(
てるひこ
)
、
030
よく
言
(
い
)
うて
呉
(
く
)
れました。
031
お
前
(
まへ
)
の
親切
(
しんせつ
)
は
身
(
み
)
に
沁
(
し
)
み
渡
(
わた
)
つて
嬉
(
うれ
)
しいが、
032
嘘
(
うそ
)
とは
思
(
おも
)
へぬ
客人
(
きやくじん
)
の
咄
(
はなし
)
、
033
まさかの
時
(
とき
)
には
妾
(
わらは
)
は
何
(
ど
)
うしようぞ。
034
折角
(
せつかく
)
長
(
なが
)
の
海山
(
うみやま
)
を
越
(
こ
)
え、
035
孱弱
(
かよわ
)
き
妹
(
いもうと
)
を
伴
(
つ
)
れて、
036
やうやうここに
着
(
つ
)
きは
着
(
つ
)
いたものの、
037
お
父上
(
ちちうへ
)
の
訃音
(
ふいん
)
を
聞
(
き
)
いて、
038
天
(
てん
)
にも
地
(
ち
)
にもない
一人
(
ひとり
)
の
親
(
おや
)
、
039
妾
(
わらは
)
はどうして
忍
(
しの
)
ばれませうぞ』
040
竹野姫
(
たけのひめ
)
『
姉様
(
ねえさま
)
、
041
どうなり
行
(
ゆ
)
くも
因縁
(
いんねん
)
づく、
042
万々一
(
まんまんいち
)
お
父
(
とう
)
さまがお
隠
(
かく
)
れになつたとすれば、
043
力
(
ちから
)
と
頼
(
たの
)
むは
姉
(
ねえ
)
さまばかり、
044
何卒
(
どうぞ
)
しつかりして
下
(
くだ
)
されませ。
045
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
はやうやう
十六
(
じふろく
)
歳
(
さい
)
、
046
花
(
はな
)
の
蕾
(
つぼみ
)
の
開
(
ひら
)
かぬうちから、
047
こんな
憂
(
う
)
き
目
(
め
)
に
出会
(
であ
)
ふとは、
048
何
(
なん
)
たる
因果
(
いんぐわ
)
のことでありませう』
049
照彦
『モシモシお
三人
(
さんにん
)
様
(
さま
)
、
050
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
下
(
くだ
)
さいますな、
051
ここは
名
(
な
)
に
負
(
お
)
ふ
智利
(
てる
)
の
国
(
くに
)
、
052
あれ
御覧
(
ごらん
)
なさいませ、
053
今日
(
けふ
)
の
日輪
(
にちりん
)
様
(
さま
)
は
殊更
(
ことさら
)
麗
(
うるは
)
しい、
054
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
のよい
顔
(
かほ
)
をしてにこにこと
笑
(
わら
)
つてゐられます。
055
若
(
も
)
しもお
父
(
とう
)
さまが
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
御座
(
ござ
)
らぬやうな
事
(
こと
)
なれば、
056
どうして
日天
(
につてん
)
様
(
さま
)
があのやうな
麗
(
うるは
)
しいお
顔
(
かほ
)
で
吾々
(
われわれ
)
を
照
(
てら
)
して
下
(
くだ
)
されませうぞ。
057
要
(
い
)
らざる
取越
(
とりこし
)
苦労
(
くらう
)
を
止
(
や
)
めて、
058
先
(
さき
)
を
楽
(
たの
)
しんで
参
(
まゐ
)
りませう。
059
一歩
(
いつぽ
)
々々
(
いつぽ
)
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
へ
近寄
(
ちかよ
)
るのですから、
060
サアサア
上陸
(
じやうりく
)
致
(
いた
)
しませう』
061
此
(
この
)
時
(
とき
)
船
(
ふね
)
の
一隅
(
いちぐう
)
より、
062
中肉
(
ちうにく
)
中背
(
ちうぜい
)
の
色
(
いろ
)
浅黒
(
あさぐろ
)
き
男
(
をとこ
)
、
063
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
064
男(大蛇彦)
『
私
(
わたくし
)
は
恐
(
おそ
)
ろしい
名
(
な
)
のついた、
065
大蛇彦
(
をろちひこ
)
といふ
男
(
をとこ
)
でございます。
066
これから
珍
(
うづ
)
の
国
(
くに
)
へ
帰
(
かへ
)
りますから
丁度
(
ちやうど
)
よい
道伴
(
みちづれ
)
、
067
都
(
みやこ
)
近
(
ちか
)
くまで
御
(
お
)
供
(
とも
)
いたしませう、
068
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なされませ。
069
今
(
いま
)
承
(
うけたま
)
はれば、
070
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
は
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
に
其
(
その
)
御
(
おん
)
名
(
な
)
も
高
(
たか
)
き
桃上彦
(
ももがみひこの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
娘子
(
むすめご
)
とやら、
071
今
(
いま
)
は
正鹿
(
まさか
)
山津見
(
やまづみの
)
神
(
かみ
)
といふ
立派
(
りつぱ
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
になつて、
072
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
でゐらつしやいます。
073
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なく、
074
私
(
わたくし
)
と
共
(
とも
)
にまゐりませう』
075
松代姫
(
まつよひめ
)
は
飛
(
と
)
び
立
(
た
)
つばかり
嬉
(
うれ
)
しげに、
076
松代姫
『それはそれはよい
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
ひました。
077
有難
(
ありがた
)
うございます』
078
竹野姫
(
たけのひめ
)
、
079
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
は
俄
(
にはか
)
に
顔色
(
がんしよく
)
麗
(
うるは
)
しく、
080
冴
(
さ
)
え
渡
(
わた
)
りし
声
(
こゑ
)
にて、
081
竹野姫
『お
姉
(
あね
)
さま、
082
嬉
(
うれ
)
しいワ』
083
松代姫
『アヽ
嬉
(
うれ
)
しかろ
嬉
(
うれ
)
しかろ、
084
姉
(
ねえ
)
さまも
嬉
(
うれ
)
しい、
085
心
(
こころ
)
が
冴
(
さ
)
え
冴
(
ざ
)
えして
来
(
き
)
ました』
086
照彦
(
てるひこ
)
『ヤア、
087
大蛇彦
(
をろちひこ
)
さま、
088
あなたは
珍
(
うづ
)
の
国
(
くに
)
の
御
(
お
)
方
(
かた
)
、
089
イヤモウ、
090
よいことを
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
さりました。
091
吾々
(
われわれ
)
もこれで
安心
(
あんしん
)
いたします。
092
足
(
あし
)
も
何
(
なん
)
となく
軽
(
かる
)
いやうな
気分
(
きぶん
)
になつて
来
(
き
)
ました。
093
どうかお
頼
(
たの
)
みですから、
094
ひとつ
道伴
(
みちづ
)
れになつて
下
(
くだ
)
さいませ』
095
大蛇彦
『ハイ、
096
宜
(
よろ
)
しう
御座
(
ござ
)
います。
097
私
(
わたくし
)
が
道案内
(
みちあんない
)
を
致
(
いた
)
しませう』
098
三笠丸
(
みかさまる
)
を
乗
(
の
)
り
棄
(
す
)
て、
099
ここに
一同
(
いちどう
)
は
智利
(
てる
)
の
港
(
みなと
)
の
町
(
まち
)
をあとに、
100
南
(
みなみ
)
を
指
(
さ
)
して
心
(
こころ
)
もいそいそと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
101
大蛇彦
(
をろちひこ
)
は
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ち、
102
大蛇彦
『ここは
高砂
(
たかさご
)
智利
(
てる
)
の
国
(
くに
)
103
竜世
(
たつよ
)
の
姫
(
ひめ
)
の
鎮
(
しづ
)
まりて
104
守
(
まも
)
り
給
(
たま
)
へる
神
(
かみ
)
の
島
(
しま
)
105
御空
(
みそら
)
に
高
(
たか
)
く
月照彦
(
つきてるひこ
)
の
106
貴
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
の
神魂
(
かむみたま
)
107
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
に
現
(
あ
)
れまして
108
日
(
ひ
)
に
夜
(
よ
)
に
詔
(
の
)
らす
言霊
(
ことたま
)
の
109
恵
(
めぐみ
)
も
深
(
ふか
)
き
智利
(
てる
)
の
国
(
くに
)
110
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
に
現
(
あ
)
れませる
111
桃上彦
(
ももがみひこ
)
の
神司
(
みつかさ
)
は
112
名
(
な
)
さへ
目出度
(
めでた
)
き
宣伝使
(
せんでんし
)
113
正鹿
(
まさか
)
山津見
(
やまづみの
)
神
(
かみ
)
となり
114
珍山峠
(
うづやまたうげ
)
を
乗
(
の
)
り
越
(
こ
)
えて
115
巴留
(
はる
)
の
都
(
みやこ
)
を
救
(
すく
)
はむと
116
出
(
い
)
でます
折
(
をり
)
しも
曲神
(
まがかみ
)
の
117
鷹取別
(
たかとりわけ
)
の
僕人
(
しもびと
)
に
118
とり
囲
(
かこ
)
まれて
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
119
一度
(
いちど
)
は
息
(
いき
)
も
切
(
き
)
れたれど
120
木
(
こ
)
の
花姫
(
はなひめ
)
に
救
(
すく
)
はれて
121
再
(
ふたた
)
びここに
蘇
(
よみがへ
)
り
122
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
に
帰
(
かへ
)
りまし
123
花
(
はな
)
を
欺
(
あざむ
)
く
手弱女
(
たをやめ
)
の
124
心
(
こころ
)
も
清
(
きよ
)
き
宣伝使
(
せんでんし
)
125
五月
(
さつき
)
の
姫
(
ひめ
)
を
妻
(
つま
)
となし
126
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
や
駒山彦
(
こまやまひこ
)
の
127
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
128
珍山彦
(
うづやまひこ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
129
千歳
(
ちとせ
)
を
契
(
ちぎ
)
る
妹
(
いも
)
と
背
(
せ
)
の
130
今日
(
けふ
)
は
祝
(
いは
)
ひの
宴
(
うたげ
)
の
庭
(
には
)
131
喜
(
よろこ
)
びたまへ
三柱
(
みはしら
)
の
132
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
よ
千代
(
ちよ
)
八千代
(
やちよ
)
133
変
(
かは
)
らぬ
松
(
まつ
)
の
色
(
いろ
)
深
(
ふか
)
く
134
心
(
こころ
)
の
たけの
すくすくと
135
開
(
ひら
)
く
梅ケ香
(
うめがか
)
芳
(
かん
)
ばしも
136
月日
(
つきひ
)
は
空
(
そら
)
に
照彦
(
てるひこ
)
の
137
御
(
お
)
供
(
とも
)
の
神
(
かみ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
138
大蛇
(
をろち
)
の
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
せられて
139
はやくもここに
着
(
つ
)
きにけり
140
はやくもここに
着
(
つ
)
きにけり』
141
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
るよと
見
(
み
)
れば、
142
大蛇彦
(
をろちひこ
)
の
姿
(
すがた
)
は
煙
(
けむり
)
と
消
(
き
)
えて、
143
呼
(
よ
)
べど
叫
(
さけ
)
べど
何
(
なん
)
の
応
(
いら
)
へもなく、
144
樹々
(
きぎ
)
の
梢
(
こづゑ
)
を
渡
(
わた
)
る
松風
(
まつかぜ
)
の
音
(
おと
)
、
145
颯々
(
さつさつ
)
と
耳
(
みみ
)
に
響
(
ひび
)
くばかりなり。
146
さしもに
嶮
(
けは
)
しき
遠
(
とほ
)
き
山路
(
やまみち
)
も
瞬間
(
またたくひま
)
に
送
(
おく
)
られて、
147
ここに
主従
(
しうじう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
正鹿
(
まさか
)
山津見
(
やまづみの
)
神
(
かみ
)
の
門前
(
もんぜん
)
近
(
ちか
)
くに
現
(
あら
)
はれける。
148
(
大正一一・二・一二
旧一・一六
河津雄
録)
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