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第61巻(子の巻)
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第66巻(巳の巻)
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第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
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第9巻(申の巻)
序歌
凡例
総説歌
第1篇 長途の旅
01 都落
〔394〕
02 エデンの渡
〔395〕
03 三笠丸
〔396〕
04 大足彦
〔397〕
05 海上の神姿
〔398〕
06 刹那信心
〔399〕
07 地獄の沙汰
〔400〕
第2篇 一陽来復
08 再生の思
〔401〕
09 鴛鴦の衾
〔402〕
10 言葉の車
〔403〕
11 蓬莱山
〔404〕
第3篇 天涯万里
12 鹿島立
〔405〕
13 訣別の歌
〔406〕
14 闇の谷底
〔407〕
15 団子理屈
〔408〕
16 蛸釣られ
〔409〕
17 甦生
〔410〕
第4篇 千山万水
18 初陣
〔411〕
19 悔悟の涙
〔412〕
20 心の鏡
〔413〕
21 志芸山祇
〔414〕
22 晩夏の風
〔415〕
23 高照山
〔416〕
24 玉川の滝
〔417〕
25 窟の宿替
〔418〕
26 巴の舞
〔419〕
第5篇 百花爛漫
27 月光照梅
〔420〕
28 窟の邂逅
〔421〕
29 九人娘
〔422〕
30 救の神
〔423〕
31 七人の女
〔424〕
32 一絃琴
〔425〕
33 栗毛の駒
〔426〕
34 森林の囁
〔427〕
35 秋の月
〔428〕
36 偽神憑
〔429〕
37 凱歌
〔430〕
附録 第三回高熊山参拝紀行歌(二)
余白歌
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第三七章
凱歌
(
がいか
)
〔四三〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
篇:
第5篇 百花爛漫
よみ(新仮名遣い):
ひゃっからんまん
章:
第37章 凱歌
よみ(新仮名遣い):
がいか
通し章番号:
430
口述日:
1922(大正11)年02月17日(旧01月21日)
口述場所:
筆録者:
河津雄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年7月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
一同が来て見れば、護送されていったはずの照彦が高笑いをしている。
その場にやってきた一同に対して、照彦は自分の素性を明かした。照彦は、月照彦(大八洲彦命の後身)の再来であった。月照彦の照彦は、木花姫命の御心により、桃上彦の部下となって、三姉妹を守護していたのだ、と明かした。
一同は霊妙な神の仕組みに言葉もなかった。
そこへ、鷹取別の部下・遠山別が部下を率いて訪ねて来た。春山彦の三姉妹を常世神王の側に出仕させるように、という鷹取別の命令を伝えて、月・雪・花の三姉妹を迎えに来たのであった。
親子三姉妹は常世神王の命令を受諾し、別れを告げ、三姉妹は駕籠に乗せられて常世城へと出立して行った。
しかしまたしても不思議にも、連れて行かれたはずの三姉妹は、無事に春山彦の館に居るのであった。春山彦は、またもや鬼武彦に救われたことに気づき、一同はオリオン星座に現れた救いの神への感謝の宣伝歌を歌った。
この後、宣伝使一行は、月・雪・花の三姉妹を伴い、春山彦夫婦に別れを告げて、目の国指して進んで行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-12-24 01:44:16
OBC :
rm0937
愛善世界社版:
288頁
八幡書店版:
第2輯 377頁
修補版:
校定版:
299頁
普及版:
122頁
初版:
ページ備考:
001
朝日
(
あさひ
)
は
空
(
そら
)
に
照彦
(
てるひこ
)
の、
002
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
003
戸山
(
とやま
)
津見
(
づみ
)
と
改
(
あらた
)
めて、
004
情
(
なさけ
)
も
深
(
ふか
)
き
春山彦
(
はるやまひこ
)
の、
005
館
(
やかた
)
に
着
(
つ
)
くや、
006
一息
(
ひといき
)
つく
間
(
ま
)
もあらず、
007
中依別
(
なかよりわけ
)
の
捕手
(
とりて
)
の
駕籠
(
かご
)
に
乗
(
の
)
せられて、
008
怯
(
お
)
めず
臆
(
おく
)
せず、
009
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひながら、
010
数多
(
あまた
)
の
人
(
ひと
)
に
送
(
おく
)
られつ、
011
駕籠
(
かご
)
にぶらぶら
揺
(
ゆす
)
られ
行
(
ゆ
)
く。
012
後
(
あと
)
に
照彦
(
てるひこ
)
は、
013
窓
(
まど
)
の
戸
(
と
)
押
(
お
)
し
開
(
ひら
)
き、
014
大口
(
おほぐち
)
開
(
ひら
)
いて
高笑
(
たかわら
)
ひ。
015
照彦
『ワアハヽヽヽヽヽ、
016
よくも
化
(
ばか
)
されよつたなア。
017
それにつけても
雄々
(
をを
)
しきは、
018
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
が
白狐
(
びやくこ
)
の
働
(
はたら
)
き、
019
アヽ
面白
(
おもしろ
)
し
面白
(
おもしろ
)
し。
020
ヤアヤア
駒山彦
(
こまやまひこ
)
、
021
松
(
まつ
)
、
022
竹
(
たけ
)
、
023
梅
(
うめ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
殿
(
どの
)
、
024
春山彦
(
はるやまひこ
)
御
(
ご
)
一家
(
いつか
)
の
方々
(
かたがた
)
、
025
これへお
越
(
こ
)
し
遊
(
あそ
)
ばされよ』
026
と
声
(
こゑ
)
高々
(
たかだか
)
と
呼
(
よ
)
ばはれば、
027
心
(
こころ
)
轟
(
とどろ
)
く
駒山彦
(
こまやまひこ
)
、
028
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
胸
(
むね
)
も
春山彦
(
はるやまひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
、
029
親子
(
おやこ
)
は
一
(
いち
)
時
(
じ
)
にこの
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ、
030
松代姫
(
まつよひめ
)
は
言葉
(
ことば
)
しとやかに、
031
(駒山彦?)
『ヤア、
032
そなたは
照彦
(
てるひこ
)
殿
(
どの
)
、
033
何
(
ど
)
うしてマア
無事
(
ぶじ
)
に
免
(
のが
)
れましたか。
034
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふ
間
(
うち
)
にも
心
(
こころ
)
が
急
(
せ
)
く。
035
またもや
鷹取別
(
たかとりわけ
)
の
手下
(
てした
)
の
者
(
もの
)
共
(
ども
)
、
036
そなたの
所在
(
ありか
)
を
探
(
たづ
)
ね、
037
引返
(
ひきかへ
)
し
来
(
きた
)
るも
計
(
はか
)
り
難
(
がた
)
し。
038
早
(
はや
)
くこの
場
(
ば
)
を
落
(
お
)
ち
行
(
ゆ
)
けよ』
039
照彦
『ワアハヽヽヽヽヽ、
040
何
(
なに
)
さ
何
(
なに
)
さ、
041
たとへ
鷹取別
(
たかとりわけ
)
、
042
鬼神
(
きじん
)
を
挫
(
くじ
)
く
勇
(
ゆう
)
ありとも、
043
吾
(
われ
)
また
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
神術
(
かむわざ
)
を
以
(
もつ
)
て、
044
幾百万
(
いくひやくまん
)
の
曲津見
(
まがつみ
)
を、
045
千変
(
せんぺん
)
万化
(
ばんくわ
)
に
駆
(
か
)
け
悩
(
なや
)
まし、
046
言向和
(
ことむけやは
)
し
麻柱
(
あななひ
)
の、
047
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
帰順
(
きじゆん
)
せしめむは
案
(
あん
)
の
内
(
うち
)
、
048
必
(
かなら
)
ず
心配
(
しんぱい
)
あらせられな。
049
吾
(
われ
)
は
今
(
いま
)
まで
照彦
(
てるひこ
)
となつて、
050
ヱルサレムの
桃上彦
(
ももがみひこの
)
命
(
みこと
)
が
僕
(
しもべ
)
となり、
051
日
(
ひ
)
に
夜
(
よ
)
に
汝
(
なんぢ
)
ら
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
守護
(
まも
)
り
居
(
ゐ
)
たるは、
052
天教山
(
てんけうざん
)
に
現
(
あ
)
れませる
木
(
こ
)
の
花姫
(
はなひめ
)
の
御心
(
みこころ
)
にて
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
先駆
(
さきがけ
)
をなし、
053
黄泉
(
よもつ
)
比良坂
(
ひらさか
)
の
戦闘
(
たたかひ
)
を
治
(
をさ
)
め、
054
常世国
(
とこよのくに
)
に
塞
(
ふさ
)
がれる
八重
(
やへ
)
棚雲
(
たなぐも
)
を
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ひ、
055
隈
(
くま
)
なく
照
(
て
)
らす
月照彦
(
つきてるひこ
)
の
神
(
かみ
)
の
再来
(
さいらい
)
、
056
照彦
(
てるひこ
)
とは
仮
(
かり
)
の
名
(
な
)
、
057
今
(
いま
)
は
尊
(
たふと
)
き
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
、
058
一
(
ひと
)
、
059
二
(
ふた
)
、
060
三
(
み
)
、
061
四
(
よ
)
、
062
五
(
いつ
)
、
063
六
(
むゆ
)
、
064
七
(
なな
)
、
065
八
(
や
)
、
066
九
(
ここの
)
、
067
十
(
たり
)
。
068
十
(
たり
)
の
名
(
な
)
に
負
(
お
)
ふ
戸山
(
とやま
)
津見
(
づみ
)
の
神
(
かみ
)
、
069
如何
(
いか
)
なる
曲霊
(
まがひ
)
の
来
(
きた
)
るとも、
070
吾
(
わが
)
身
(
み
)
のこの
世
(
よ
)
に
在
(
あ
)
らむ
限
(
かぎ
)
りは、
071
案
(
あん
)
じ
煩
(
わづら
)
ひ
給
(
たま
)
ふ
事
(
こと
)
勿
(
なか
)
れ』
072
と
初
(
はじ
)
めて
明
(
あ
)
かす
身
(
み
)
の
素性
(
すじやう
)
。
073
春山彦
(
はるやまひこ
)
を
始
(
はじ
)
めとし、
074
松竹梅
(
しようちくばい
)
や
雪月花
(
せつげつくわ
)
、
075
駒山彦
(
こまやまひこ
)
や
夏姫
(
なつひめ
)
も、
076
思
(
おも
)
はず
顔
(
かほ
)
を
看守
(
みまも
)
つて、
077
何
(
なん
)
の
辞
(
ことば
)
もなかりける。
078
またも
聞
(
きこ
)
ゆる
人馬
(
じんば
)
の
物音
(
ものおと
)
、
079
はて
訝
(
いぶ
)
かしやと、
080
窓
(
まど
)
押
(
お
)
し
開
(
あ
)
けて
眺
(
なが
)
むれば、
081
黄昏
(
たそがれ
)
の
暗
(
やみ
)
を
照
(
てら
)
して、
082
こなたに
向
(
む
)
かつて
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
る
高張
(
たかはり
)
提燈
(
ちやうちん
)
旗差物
(
はたさしもの
)
、
083
遠山別
(
とほやまわけ
)
が
紋所
(
もんどころ
)
、
084
白地
(
しろぢ
)
に
葵
(
あふひ
)
の
著
(
いちじる
)
く、
085
風
(
かぜ
)
に
揺
(
ゆ
)
られて
瞬
(
またた
)
きゐる。
086
春山彦
『あの
旗印
(
はたじるし
)
は
擬
(
まが
)
ふ
方
(
かた
)
なき
遠山別
(
とほやまわけ
)
、
087
この
場
(
ば
)
の
秘密
(
ひみつ
)
を
窺
(
うかが
)
ひ
知
(
し
)
つて、
088
又
(
また
)
もや
捕手
(
とりて
)
を
向
(
む
)
けたるならむ。
089
ヤア、
090
方々
(
かたがた
)
、
091
片時
(
へんじ
)
も
早
(
はや
)
く
裏庭
(
うらには
)
を
越
(
こ
)
え、
092
巌室
(
いはむろ
)
に
忍
(
しの
)
ばせ
給
(
たま
)
へ。
093
春山彦
(
はるやまひこ
)
の
神力
(
しんりき
)
に
依
(
よつ
)
て、
094
如何
(
いか
)
なる
敵
(
てき
)
をも
引受
(
ひきう
)
け
申
(
まを
)
さむ。
095
早
(
はや
)
く
早
(
はや
)
く』
096
と
急
(
せ
)
き
立
(
た
)
つれば、
097
『アイ』
098
と
答
(
こた
)
へて
七
(
しち
)
人
(
にん
)
の
女
(
をんな
)
達
(
たち
)
、
099
裏庭
(
うらには
)
指
(
さ
)
して
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く。
100
照彦
(
てるひこ
)
、
101
駒山彦
(
こまやまひこ
)
は
突
(
つ
)
つ
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
102
照彦
(
てるひこ
)
『ヤア、
103
面白
(
おもしろ
)
し
面白
(
おもしろ
)
し、
104
曲津
(
まがつ
)
の
張本
(
ちやうほん
)
遠山別
(
とほやまわけ
)
、
105
たとへ
幾百万
(
いくひやくまん
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
を
引連
(
ひきつ
)
れ
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
るとも、
106
この
照彦
(
てるひこ
)
が
言霊
(
ことたま
)
の、
107
伊吹
(
いぶき
)
の
狭霧
(
さぎり
)
に
吹
(
ふ
)
き
散
(
ち
)
らし、
108
言向和
(
ことむけやは
)
すは
目
(
ま
)
のあたり。
109
春山彦
(
はるやまひこ
)
殿
(
どの
)
、
110
必
(
かなら
)
ず
懸念
(
きづか
)
ひなされますな』
111
春山彦
『
実
(
げ
)
に
有難
(
ありがた
)
き
戸山
(
とやま
)
津見
(
づみ
)
[
※
照彦のこと
]
の
御
(
おん
)
仰
(
あふ
)
せ。
112
さりながら、
113
吾
(
われ
)
らも
間
(
はざま
)
の
郷
(
さと
)
の
司神
(
つかさがみ
)
、
114
女々
(
めめ
)
しくも、
115
助太刀
(
すけだち
)
を
受
(
う
)
け、
116
敵
(
てき
)
を
悩
(
なや
)
まし、
117
卑怯
(
ひけふ
)
未練
(
みれん
)
と
笑
(
わら
)
はれむより、
118
吾
(
われ
)
は
心
(
こころ
)
を
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せ
奉
(
たてまつ
)
り、
119
生命
(
いのち
)
の
続
(
つづ
)
く
限
(
かぎ
)
り、
120
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
の
有
(
あ
)
らむ
限
(
かぎ
)
り
言向和
(
ことむけやは
)
し、
121
それも
叶
(
かな
)
はぬその
時
(
とき
)
は、
122
この
細腕
(
ほそうで
)
の
動
(
うご
)
く
限
(
かぎ
)
り、
123
剣
(
つるぎ
)
の
目釘
(
めくぎ
)
の
続
(
つづ
)
くだけ、
124
縦横
(
じうわう
)
無尽
(
むじん
)
に
斬
(
き
)
り
捲
(
まく
)
り、
125
潔
(
いさぎよ
)
く
討死
(
うちじに
)
仕
(
つかまつ
)
らむ。
126
貴神
(
きしん
)
は
暫
(
しばら
)
く
控
(
ひか
)
へさせ
給
(
たま
)
へ』
127
照彦
『ヤア、
128
勇
(
いさ
)
ましし
勇
(
いさ
)
ましし、
129
照彦
(
てるひこ
)
は
奥庭
(
おくには
)
に
身
(
み
)
をしのび、
130
貴神
(
きしん
)
が
働
(
はたら
)
き
見物
(
けんぶつ
)
仕
(
つかまつ
)
らむ。
131
羽山津見
(
はやまづみ
)
[
※
駒山彦のこと
]
来
(
きた
)
れ』
132
と
徐々
(
しづしづ
)
と
裏口
(
うらぐち
)
開
(
あ
)
けて
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く。
133
門
(
もん
)
の
戸
(
と
)
打破
(
うちやぶ
)
り、
134
乱
(
みだ
)
れ
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
る
遠山別
(
とほやまわけ
)
、
135
家来
(
けらい
)
の
面々
(
めんめん
)
引連
(
ひきつ
)
れて、
136
遠慮
(
ゑんりよ
)
会釈
(
ゑしやく
)
もなく
座敷
(
ざしき
)
に
駆
(
か
)
け
上
(
あが
)
り、
137
遠山別
『ヤア、
138
春山彦
(
はるやまひこ
)
、
139
松
(
まつ
)
竹
(
たけ
)
梅
(
うめ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
鷹取別
(
たかとりわけ
)
に
送
(
おく
)
られしは
天晴
(
あつぱれ
)
あつぱれ、
140
さりながら、
141
汝
(
なんぢ
)
には、
142
月
(
つき
)
、
143
雪
(
ゆき
)
、
144
花
(
はな
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
娘
(
むすめ
)
ありと
聞
(
き
)
く。
145
万々一
(
まんまんいち
)
替玉
(
かへだま
)
にあらずやとの
鷹取別
(
たかとりわけ
)
の
御
(
おん
)
疑
(
うたが
)
ひ、
146
照山彦
(
てるやまひこ
)
、
147
竹山彦
(
たけやまひこ
)
の
証言
(
しようげん
)
もあれど、
148
念
(
ねん
)
のため、
149
汝
(
なんぢ
)
が
娘
(
むすめ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
一度
(
いちど
)
常世
(
とこよ
)
へ
伴
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
り、
150
真偽
(
しんぎ
)
を
糺
(
ただ
)
せよとの
思召
(
おぼしめし
)
、
151
君命
(
くんめい
)
拒
(
こば
)
むに
由
(
よし
)
なく、
152
遠山別
(
とほやまわけ
)
、
153
使者
(
ししや
)
として
罷
(
まか
)
り
越
(
こ
)
したり、
154
速
(
すみや
)
かに
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
娘
(
むすめ
)
を
渡
(
わた
)
されよ
[
※
遠山別が偽常世神王(広国別)に、月雪花の三姉妹を捕まえて来いと命じられるシーンは第10巻第5章「狐々怪々」にある。
]
』
155
と
言葉
(
ことば
)
鋭
(
するど
)
く
居丈高
(
ゐたけだか
)
、
156
肩臂
(
かたひぢ
)
怒
(
いか
)
らし
睨
(
にら
)
み
入
(
い
)
る。
157
春山彦
(
はるやまひこ
)
は、
158
ハツと
胸
(
むね
)
を
衝
(
つ
)
きながら、
159
決心
(
けつしん
)
の
色
(
いろ
)
を
浮
(
うか
)
べ、
160
春山彦
『
天
(
てん
)
にも
地
(
ち
)
にも
掛替
(
かけがへ
)
なき
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
娘
(
むすめ
)
なれど、
161
誰
(
たれ
)
あらう
鷹取別
(
たかとりわけ
)
の
御
(
おん
)
仰
(
あふ
)
せ、
162
否
(
いな
)
むに
由
(
よし
)
なし、
163
謹
(
つつ
)
しんで
御旨
(
みむね
)
を
奉戴
(
ほうたい
)
し、
164
娘
(
むすめ
)
をお
渡
(
わた
)
し
申
(
まを
)
さむ。
165
暫
(
しばら
)
く
待
(
ま
)
たれよ』
166
と
語
(
かた
)
る
折
(
をり
)
しも、
167
月
(
つき
)
雪
(
ゆき
)
花
(
はな
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は、
168
美々
(
びび
)
しき
みなり
の
扮装
(
いでたち
)
にてこの
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ、
169
三
(
さん
)
人
(
にん
)
一度
(
いちど
)
に
両手
(
りやうて
)
をつき、
170
月、雪、花
『これはこれは
遠山別
(
とほやまわけ
)
様
(
さま
)
、
171
この
見苦
(
みぐる
)
しき
荒屋
(
あばらや
)
へ、
172
よくこそ
入来
(
いら
)
せられました。
173
妾
(
わらは
)
は
仰
(
あふ
)
せに
従
(
したが
)
ひ、
174
唯今
(
ただいま
)
より
参
(
まゐ
)
りますれば、
175
何分
(
なにぶん
)
宜敷
(
よろし
)
く
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
します。
176
アヽ、
177
父母
(
ちちはは
)
様
(
さま
)
、
178
妾
(
わらは
)
は
往
(
い
)
つて
参
(
まゐ
)
ります。
179
人間
(
にんげん
)
は
老少
(
らうせう
)
不定
(
ふぢやう
)
、
180
これが
長
(
なが
)
のお
別
(
わか
)
れにならうも
知
(
し
)
れませぬ、
181
随分
(
ずゐぶん
)
無事
(
ぶじ
)
で、
182
夫婦
(
ふうふ
)
仲
(
なか
)
よく
暮
(
くら
)
して
下
(
くだ
)
されませ』
183
と、
184
三
(
さん
)
人
(
にん
)
一度
(
いちど
)
に
声
(
こゑ
)
を
曇
(
くも
)
らせ
泣
(
な
)
き
沈
(
しづ
)
む。
185
遠山別
『ヤア、
186
天晴
(
あつぱれ
)
々々
(
あつぱれ
)
、
187
さても
美
(
うつく
)
しいものだ。
188
春山彦
(
はるやまひこ
)
殿
(
どの
)
、
189
遠山別
(
とほやまわけ
)
が
良
(
よ
)
きに
計
(
はか
)
らはむ。
190
そなたは
好
(
よ
)
い
子
(
こ
)
を
有
(
も
)
たれたものだ。
191
この
娘
(
むすめ
)
を
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
の
小間使
(
こまづかひ
)
に
奉
(
たてまつ
)
らば、
192
汝
(
なんぢ
)
夫婦
(
ふうふ
)
が
身
(
み
)
の
出世
(
しゆつせ
)
、
193
お
祝
(
いは
)
ひ
申
(
まを
)
す。
194
アハヽヽヽ、
195
ヤア、
196
家来
(
けらい
)
の
者
(
もの
)
ども、
197
この
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
娘
(
むすめ
)
を
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
駕籠
(
かご
)
にお
乗
(
の
)
せ
申
(
まを
)
せ』
198
家来
『ホーイ』
199
と
答
(
こた
)
へて
家来
(
けらい
)
の
大勢
(
おほぜい
)
、
200
三挺
(
さんちやう
)
の
駕籠
(
かご
)
を
担
(
かつ
)
ぎ
来
(
きた
)
り、
201
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
娘
(
むすめ
)
を
乗
(
の
)
せて
後白浪
(
あとしらなみ
)
と
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
[
※
遠山別が月雪花の宣伝使を連れて常世城に帰城するシーンは第10巻第8章「善悪不可解」にある。
]
202
春山彦
(
はるやまひこ
)
は
娘
(
むすめ
)
の
駕籠
(
かご
)
を、
203
月
(
つき
)
に
透
(
す
)
かして
打眺
(
うちなが
)
め
打
(
うち
)
ながめ、
204
青息
(
あをいき
)
吐息
(
といき
)
つく
折
(
をり
)
しも、
205
照彦
(
てるひこ
)
を
先頭
(
せんとう
)
に
妻
(
つま
)
の
夏姫
(
なつひめ
)
、
206
松竹梅
(
まつたけうめ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
207
月
(
つき
)
雪
(
ゆき
)
花
(
はな
)
のわが
娘
(
むすめ
)
、
208
駒山彦
(
こまやまひこ
)
も
諸共
(
もろとも
)
に、
209
一度
(
いちど
)
にこの
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
るぞ
不思議
(
ふしぎ
)
なる。
210
春山彦
『ヤア、
211
そなたは
秋月姫
(
あきづきひめ
)
、
212
深雪姫
(
みゆきひめ
)
、
213
橘姫
(
たちばなひめ
)
か、
214
どうして
此処
(
ここ
)
へ
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
りしぞ。
215
警護
(
けいご
)
厳
(
きび
)
しき
駕籠
(
かご
)
の
中
(
なか
)
、
216
ハテ
合点
(
がてん
)
がいかぬ』
217
と
両手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
み、
218
頭
(
かしら
)
を
垂
(
た
)
れて
思案顔
(
しあんがほ
)
。
219
照彦
『ヤア、
220
春山彦
(
はるやまひこ
)
殿
(
どの
)
、
221
千変
(
せんぺん
)
万化
(
ばんくわ
)
の
白狐
(
びやくこ
)
が
働
(
はたら
)
き、
222
最早
(
もはや
)
この
上
(
うへ
)
は
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
、
223
心
(
こころ
)
を
落付
(
おちつ
)
けられよ』
224
と、
225
言
(
い
)
はれて
驚
(
おどろ
)
く
春山彦
(
はるやまひこ
)
。
226
春山彦
『アヽ、
227
有難
(
ありがた
)
や、
228
又
(
また
)
もや
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
の
御
(
おん
)
身代
(
みがは
)
り』
229
と、
230
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ、
231
神前
(
しんぜん
)
に
向
(
むか
)
つて
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
ち
声
(
こゑ
)
も
静
(
しづ
)
かに
神言
(
かみごと
)
を
宣
(
の
)
る。
232
神
(
かみ
)
の
仕組
(
しぐみ
)
の
引合
(
ひきあは
)
せ、
233
三男
(
さんなん
)
七女
(
しちぢよ
)
の
水晶
(
すゐしやう
)
の
御魂
(
みたま
)
も
揃
(
そろ
)
ふ
十曜
(
とえう
)
の
神紋
(
しんもん
)
、
234
一
(
ひと
)
、
235
二
(
ふた
)
、
236
三
(
み
)
、
237
四
(
よ
)
、
238
五
(
いつ
)
、
239
六
(
むゆ
)
、
240
七
(
なな
)
、
241
八
(
や
)
、
242
九
(
ここの
)
、
243
十
(
たり
)
と、
244
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
うたひながら、
245
男女
(
だんぢよ
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
246
親子
(
おやこ
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
一斉
(
いつせい
)
に、
247
心
(
こころ
)
いそいそ
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ふ。
248
一同
『
厳
(
いづ
)
の
御魂
(
みたま
)
や
瑞御魂
(
みづみたま
)
249
十曜
(
とえう
)
の
紋
(
もん
)
の
現
(
あら
)
はれて
250
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
はまだおろか
251
高砂島
(
たかさごじま
)
や
筑紫島
(
つくしじま
)
252
豊葦原
(
とよあしはら
)
の
瑞穂国
(
みづほくに
)
253
島
(
しま
)
の
八十島
(
やそしま
)
八十国
(
やそくに
)
に
254
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
255
残
(
のこ
)
る
隈
(
くま
)
なく
宣
(
の
)
べ
伝
(
つた
)
へ
256
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
の
神業
(
かむわざ
)
に
257
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
らむ
吾
(
われ
)
らの
天職
(
つとめ
)
258
あゝ
面白
(
おもしろ
)
し
潔
(
いさぎよ
)
し
259
間
(
はざま
)
の
国
(
くに
)
を
立出
(
たちい
)
でて
260
青葉
(
あをば
)
も
茂
(
しげ
)
る
目
(
め
)
の
国
(
くに
)
や
261
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
の
常世城
(
とこよじやう
)
262
ロッキー
山
(
ざん
)
に
蟠
(
わだか
)
まる
263
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
や
醜神
(
しこがみ
)
を
264
言向和
(
ことむけやは
)
し
千早振
(
ちはやぶ
)
る
265
神
(
かみ
)
の
御国
(
みくに
)
に
復
(
かへ
)
し
見
(
み
)
む
266
かへす
常磐
(
ときは
)
の
松
(
まつ
)
の
世
(
よ
)
を
267
五六七
(
みろく
)
の
神
(
かみ
)
の
現
(
あら
)
はれて
268
千代
(
ちよ
)
も
八千代
(
やちよ
)
も
万代
(
よろづよ
)
も
269
天津
(
あまつ
)
日嗣
(
ひつぎ
)
の
動
(
ゆる
)
ぎなく
270
月日
(
つきひ
)
の
如
(
ごと
)
く
明
(
あきら
)
けく
271
輝
(
かがや
)
き
渡
(
わた
)
る
神
(
かみ
)
の
国
(
くに
)
272
輝
(
かがや
)
き
渡
(
わた
)
る
神
(
かみ
)
の
稜威
(
いづ
)
273
厳
(
いづ
)
の
御魂
(
みたま
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
274
瑞
(
みづ
)
の
御魂
(
みたま
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
275
月日
(
つきひ
)
を
添
(
そ
)
へて
十柱
(
とはしら
)
の
276
十曜
(
とえう
)
の
神旗
(
しんき
)
勇
(
いさ
)
ましく
277
天津
(
あまつ
)
御風
(
みかぜ
)
に
靡
(
なび
)
かせつ
278
曲
(
まが
)
の
砦
(
とりで
)
に
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せむ
279
この
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
280
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
281
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
し
282
七十五
(
しちじふご
)
声
(
せい
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
283
天地
(
あめつち
)
四方
(
よも
)
の
民草
(
たみぐさ
)
を
284
靡
(
なび
)
かせ
救
(
すく
)
ふ
勇
(
いさ
)
ましさ
285
日
(
ひ
)
は
照
(
て
)
る
光
(
ひか
)
る
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つ
286
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
は
中空
(
ちうくう
)
に
287
輝
(
かがや
)
き
渡
(
わた
)
り
天地
(
あめつち
)
を
288
支
(
ささ
)
へ
保
(
たも
)
てるその
如
(
ごと
)
く
289
太
(
ふと
)
き
功
(
いさを
)
を
三
(
み
)
ツ
星
(
ぼし
)
や
290
北極星
(
ほくきよくせい
)
を
基
(
もと
)
として
291
数多
(
あまた
)
の
星
(
ほし
)
の
廻転
(
めぐ
)
るごと
292
百
(
もも
)
の
御魂
(
みたま
)
を
言向
(
ことむ
)
け
照
(
てら
)
し
293
オリオン
星座
(
せいざ
)
に
現
(
あら
)
はれし
294
救
(
すく
)
ひの
神
(
かみ
)
に
復命
(
かへりごと
)
295
申
(
まを
)
さむためのこの
首途
(
かどで
)
296
曲津
(
まがつ
)
の
猛
(
たけ
)
ぶ
黄泉島
(
よもつじま
)
297
黄泉軍
(
よもついくさ
)
を
足曳
(
あしびき
)
の
298
山
(
やま
)
の
尾
(
を
)
の
上
(
へ
)
に
蹴
(
け
)
り
散
(
ち
)
らし
299
河
(
かは
)
の
瀬
(
せ
)
毎
(
ごと
)
に
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ひ
300
払
(
はら
)
ひ
清
(
きよ
)
むる
神
(
かみ
)
の
国
(
くに
)
301
千秋
(
せんしう
)
万歳
(
ばんざい
)
万々歳
(
ばんばんざい
)
302
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
の
松
(
まつ
)
の
世
(
よ
)
の
303
神
(
かみ
)
の
功
(
いさを
)
ぞ
尊
(
たふと
)
けれ』
304
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
り、
305
宣伝使
(
せんでんし
)
は
月
(
つき
)
雪
(
ゆき
)
花
(
はな
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
306
春山彦
(
はるやまひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
に
別
(
わか
)
れを
告
(
つ
)
げて、
307
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しく
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひながら、
308
メキシコ
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
309
(
大正一一・二・一七
旧一・二一
河津雄
録)
310
(昭和一〇・三・三〇 王仁校正)
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