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第13巻(子の巻)
モノログ
凡例
総説
第1篇 勝利光栄
01 言霊開
〔527〕
02 波斯の海
〔528〕
03 波の音
〔529〕
04 夢の幕
〔530〕
05 同志打
〔531〕
06 逆転
〔532〕
第2篇 洗礼旅行
07 布留野原
〔533〕
08 醜の窟
〔534〕
09 火の鼠
〔535〕
第3篇 探険奇聞
10 巌窟
〔536〕
11 怪しの女
〔537〕
12 陥穽
〔538〕
13 上天丸
〔539〕
第4篇 奇窟怪巌
14 蛙船
〔540〕
15 蓮花開
〔541〕
16 玉遊
〔542〕
17 臥竜姫
〔543〕
18 石門開
〔544〕
19 馳走の幕
〔545〕
20 宣替
〔546〕
21 本霊
〔547〕
第5篇 膝栗毛
22 高加索詣
〔548〕
23 和解
〔549〕
24 大活躍
〔550〕
信天翁(三)
余白歌
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第13巻
> 第1篇 勝利光栄 > 第2章 波斯の海
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(B)
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第二章
波斯
(
フサ
)
の
海
(
うみ
)
〔五二八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻
篇:
第1篇 勝利光栄
よみ(新仮名遣い):
しょうりこうえい
章:
第2章 波斯の海
よみ(新仮名遣い):
ふさのうみ
通し章番号:
528
口述日:
1922(大正11)年03月16日(旧02月18日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年10月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
黄泉島の沈没により、波斯の海面は水かさが増し、低地は冠水してしまった。波斯の港に向かう鶴山丸には、日の出別命をはじめ、ほかにウラル教の宣伝使らが数名乗り込んでいた。
ウラル教の宣伝使たちは、竜宮島に渡って三年間宣教を行ったが、竜宮島の司である三五教の飯依彦の堅固さに打ち破れず、すごすごと帰ってきたのであった。
一同は、この失敗をどうアーメニヤに復命したものかと、思い悩んでいる。
突然、鶴山丸は暴風怒涛に襲われ、船は沈没するかと見えた。しかし三五教の日の出別命は、ウラル教の宣伝使たちに、正しい道に立ち返るように呼びかける宣伝歌を歌った。すると、暴風はたちまち鎮まった。
ウラル教宣伝使のリーダー・岩彦は、仲間の梅彦、音彦、亀彦、駒彦、鷹彦に、なんとか三五教の宣伝使を打ち負かそうと案を募るが、亀彦や梅彦は、三五教の神力に降伏して向こうの弟子になろう、と言い出す。
三五教の宣伝使とあくまで戦うのか、降伏するのか、一同が思案しているところへ、またしても暴風雨がやってきた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-08-07 18:47:10
OBC :
rm1302
愛善世界社版:
33頁
八幡書店版:
第3輯 43頁
修補版:
校定版:
33頁
普及版:
12頁
初版:
ページ備考:
001
世
(
よ
)
は
常暗
(
とこやみ
)
となり
果
(
は
)
てて
002
山川
(
やまかは
)
どよみ
草木
(
くさき
)
枯
(
か
)
れ
003
叢雲
(
むらくも
)
四方
(
よも
)
に
塞
(
ふさ
)
がりて
004
黒白
(
あやめ
)
も
分
(
わ
)
かぬ
暗
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
を
005
隈
(
くま
)
なく
照
(
てら
)
す
朝日子
(
あさひこ
)
の
006
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
別
(
わけ
)
の
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
007
天教山
(
てんけうざん
)
に
現
(
あ
)
れませる
008
木花姫
(
このはなひめ
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
009
曲津
(
まがつ
)
の
猛
(
たけ
)
ぶ
小
(
せう
)
亜細亜
(
アジア
)
010
噂
(
うはさ
)
に
高
(
たか
)
きアーメニヤの
011
醜
(
しこ
)
の
魔神
(
まがみ
)
の
巣
(
す
)
くひたる
012
都
(
みやこ
)
の
空
(
そら
)
を
照
(
てら
)
さむと
013
神
(
かみ
)
の
御言
(
みこと
)
を
畏
(
かしこ
)
みて
014
天
(
あめ
)
に
坐
(
ま
)
す
神
(
かみ
)
地
(
くに
)
にます
015
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
真名井
(
まなゐ
)
河
(
がは
)
016
目無
(
めなし
)
堅間
(
かたま
)
の
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
り
017
西
(
にし
)
へ
西
(
にし
)
へと
印度洋
(
いんどやう
)
018
浪
(
なみ
)
を
渡
(
わた
)
りて
鶴
(
つる
)
の
島
(
しま
)
019
鶴
(
つる
)
の
港
(
みなと
)
を
後
(
あと
)
にして
020
波斯
(
ペルシヤ
)
の
海
(
うみ
)
にぞ
着
(
つ
)
きにける。
021
鶴
(
つる
)
の
湊
(
みなと
)
よりは、
022
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
乗客
(
じやうきやく
)
が
加
(
くは
)
はつた。
023
黄泉島
(
よもつじま
)
の
沈没
(
ちんぼつ
)
に
依
(
よ
)
りて、
024
波斯
(
ペルシヤ
)
の
海面
(
かいめん
)
は、
025
俄
(
にはか
)
に
水量
(
みづかさ
)
まさり、
026
海辺
(
かいへん
)
の
低地
(
ていち
)
は
殆
(
ほとん
)
ど
沈没
(
ちんぼつ
)
の
厄
(
やく
)
に
会
(
あ
)
ひたりと
云
(
い
)
ふ。
027
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
丸
(
まる
)
より
乗替
(
のりか
)
へたる
鶴山丸
(
つるやままる
)
の
船中
(
せんちう
)
には
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけの
)
命
(
みこと
)
を
初
(
はじ
)
め、
028
ウラル
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
数名
(
すうめい
)
これに
乗込
(
のりこ
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
029
昼
(
ひる
)
とも
夜
(
よる
)
とも
区別
(
くべつ
)
の
付
(
つ
)
かぬ
薄暗
(
うすぐら
)
い
海面
(
かいめん
)
を、
030
船脚
(
ふなあし
)
遅
(
おそ
)
く
なめくぢ
の
如
(
ごと
)
く
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
031
甲
(
かふ
)
(岩彦)
『
吾々
(
われわれ
)
は
斯
(
こ
)
うやつて、
032
ウラル
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
として
竜宮
(
りうぐう
)
の
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
に
渡
(
わた
)
り、
033
殆
(
ほとん
)
ど
三
(
さん
)
年
(
ねん
)
になつた。
034
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
なる
飯依彦
(
いひよりひこ
)
は、
035
中々
(
なかなか
)
信神
(
しんじん
)
堅固
(
けんご
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
であるから、
036
吾々
(
われわれ
)
の
折角
(
せつかく
)
の
目的
(
もくてき
)
も、
037
殆
(
ほとん
)
ど
黄泉島
(
よもつじま
)
のやうに
水
(
みづ
)
の
泡
(
あわ
)
と
消
(
き
)
えて
了
(
しま
)
つた。
038
アーメニヤへ
帰
(
かへ
)
つて、
039
どう
復命
(
ふくめい
)
したら
宜
(
よ
)
からうか、
040
それ
計
(
ばか
)
りが
心配
(
しんぱい
)
になつて、
041
乾
(
いぬゐ
)
を
指
(
さ
)
して
帰
(
かへ
)
るのも、
042
何
(
なん
)
とはなしに
影
(
かげ
)
の
薄
(
うす
)
い
様
(
やう
)
な
気分
(
きぶん
)
がするではないか』
043
乙
(
おつ
)
『
吾々
(
われわれ
)
はウラル
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
としての
力限
(
ちからかぎ
)
りベストを
尽
(
つく
)
したのだから、
044
この
上
(
うへ
)
何
(
なん
)
と
言
(
い
)
つたつて
仕方
(
しかた
)
がないではないか』
045
甲
(
かふ
)
(岩彦)
『
仕方
(
しかた
)
がないと
云
(
い
)
つた
所
(
ところ
)
で、
046
敵国
(
てきこく
)
に
使
(
つかひ
)
して、
047
君命
(
くんめい
)
を
辱
(
はづかしめ
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は、
048
人
(
ひと
)
としてのあまり
名誉
(
めいよ
)
でもあるまい。
049
况
(
いは
)
んや
特命
(
とくめい
)
を
受
(
う
)
けて、
050
しかも
吾々
(
われわれ
)
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
、
051
東西
(
とうざい
)
南北
(
なんぽく
)
より
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
を
包囲
(
はうゐ
)
攻撃
(
こうげき
)
して、
052
唯
(
ただ
)
一
(
いち
)
人
(
にん
)
の
飯依彦
(
いひよりひこ
)
に、
053
旗
(
はた
)
を
捲
(
ま
)
いて、
054
予定
(
よてい
)
の
退却
(
たいきやく
)
をすると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は、
055
あまり
立派
(
りつぱ
)
な
成功
(
せいこう
)
でもあるまい。
056
こりや、
057
何
(
なん
)
とかして
一
(
ひと
)
つの
土産
(
みやげ
)
を
持
(
も
)
つて
帰
(
かへ
)
らなくては、
058
ウラル
彦
(
ひこ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
して
申訳
(
まをしわけ
)
がないぢやないか』
059
丙
(
へい
)
『オイ
岩彦
(
いはひこ
)
、
060
お
前
(
まへ
)
はアーメニヤを
出立
(
しゆつたつ
)
する
時
(
とき
)
には、
061
どうだつたい。
062
岩
(
いは
)
より
堅
(
かた
)
い
岩彦
(
いはひこ
)
が、
063
言霊
(
ことたま
)
を
以
(
もつ
)
て
黄泉島
(
よもつじま
)
を
瞬
(
またた
)
く
間
(
うち
)
に、
064
言向和
(
ことむけやは
)
すと、
065
傍若
(
ばうじやく
)
無人
(
ぶじん
)
に
言挙
(
ことあげ
)
し、
066
非常
(
ひじやう
)
にメートルを
上
(
あ
)
げて
居
(
を
)
つたぢやないか、
067
その
時
(
とき
)
に
吾輩
(
わがはい
)
が、
068
貴様
(
きさま
)
の
不成功
(
ふせいこう
)
は
俺
(
おれ
)
の
天眼通
(
てんがんつう
)
で
明
(
あきら
)
かにメートルと
云
(
い
)
つたのを
覚
(
おぼ
)
えてるだろう』
069
岩彦
(
いはひこ
)
『ソンナ
死
(
し
)
んだ
子
(
こ
)
の
年
(
とし
)
を
算
(
く
)
る
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
つて、
070
愚痴
(
ぐち
)
るない。
071
過越
(
すぎこし
)
苦労
(
くらう
)
は、
072
三五教
(
あななひけう
)
ぢやないが、
073
大々
(
だいだい
)
的
(
てき
)
禁物
(
きんもつ
)
だ。
074
よく
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
よ、
075
数百
(
すうひやく
)
日
(
にち
)
の
間
(
あひだ
)
、
076
天
(
あま
)
の
戸
(
と
)
はビシヤツと
閉
(
しま
)
つて、
077
昼夜
(
ちうや
)
暗黒
(
あんこく
)
と
云
(
い
)
つてもよい
位
(
くらゐ
)
だ。
078
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
、
079
日
(
ひ
)
の
入
(
いり
)
の
区別
(
くべつ
)
も
分
(
わか
)
らず、
080
吾々
(
われわれ
)
がアーメニヤを
出発
(
しゆつぱつ
)
した
時
(
とき
)
は、
081
朝
(
あさ
)
は
清鮮
(
せいせん
)
の
気
(
き
)
漂
(
ただよ
)
ひ、
082
東天
(
とうてん
)
には
五色
(
ごしき
)
の
幔幕
(
まんまく
)
が
飾
(
かざ
)
られて、
083
そこから
金覆輪
(
きんぷくりん
)
の
太陽
(
たいやう
)
が
現
(
あら
)
はれ、
084
夕方
(
ゆふがた
)
になれば、
085
瑪瑙
(
めなう
)
の
様
(
やう
)
な
雲
(
くも
)
の
連峯
(
れんぽう
)
が
西天
(
せいてん
)
に
輝
(
かがや
)
き、
086
昼夜
(
ちうや
)
の
区別
(
くべつ
)
も
実
(
じつ
)
に
判然
(
はんぜん
)
したものであつた。
087
然
(
しか
)
るに
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
に
上陸
(
じやうりく
)
した
頃
(
ころ
)
から、
088
日々
(
ひび
)
雲
(
くも
)
とも
霧
(
きり
)
とも
靄
(
もや
)
ともたとへ
方
(
がた
)
なき
陰鬱
(
いんうつ
)
なものが、
089
天地
(
てんち
)
を
閉塞
(
へいそく
)
して、
090
時
(
とき
)
を
構
(
かま
)
はず
地
(
ち
)
は
震
(
ふる
)
ひ、
091
悪魔
(
あくま
)
は
出没
(
しゆつぼつ
)
し、
092
如何
(
いか
)
にウラル
教
(
けう
)
の
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
でも、
093
一歩
(
いつぽ
)
否
(
いな
)
百歩
(
ひやつぽ
)
を
譲
(
ゆづ
)
らねばならないと
言
(
い
)
ふ
惨酷
(
みぢめ
)
な
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に、
094
どうして
完全
(
くわんぜん
)
な
宣伝
(
せんでん
)
が
出来
(
でき
)
るものか、
095
如何
(
いか
)
に
智仁勇
(
ちじんゆう
)
兼備
(
けんび
)
の
勇将
(
ゆうしやう
)
でも
時節
(
じせつ
)
の
力
(
ちから
)
には
到底
(
たうてい
)
叶
(
かな
)
はない、
096
ナア
梅彦
(
うめひこ
)
………』
097
斯
(
か
)
く
話
(
はな
)
す
折
(
をり
)
しも、
098
俄
(
にはか
)
に
吹
(
ふ
)
き
来
(
きた
)
る
颶風
(
ぐふう
)
の
響
(
ひびき
)
、
099
虎
(
とら
)
吟
(
ぎん
)
じ
竜
(
りう
)
躍
(
をど
)
るが
如
(
ごと
)
く、
100
激浪
(
げきらう
)
怒濤
(
どたう
)
は
白
(
しろ
)
き
鬘
(
たてがみ
)
を
揮
(
ふる
)
つて、
101
船体
(
せんたい
)
に
噛
(
か
)
みつき
始
(
はじ
)
めた、
102
船
(
ふね
)
は
上下
(
じやうげ
)
左右
(
さいう
)
に
怪
(
あや
)
しき
物音
(
ものおと
)
を
立
(
た
)
て、
103
動揺
(
どうえう
)
烈
(
はげ
)
しく、
104
浪
(
なみ
)
と
波
(
なみ
)
との
山岳
(
さんがく
)
の
谷間
(
たにま
)
を、
105
浮
(
うき
)
つ
沈
(
しづ
)
みつ、
106
漂
(
ただよ
)
ひながら
西北
(
せいほく
)
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
107
暗
(
やみ
)
の
帳
(
とばり
)
は
下
(
おろ
)
されて、
108
黒白
(
あやめ
)
も
分
(
わ
)
かぬ
真
(
しん
)
の
暗
(
やみ
)
、
109
忽
(
たちま
)
ち
暗中
(
あんちう
)
より
暴風
(
ばうふう
)
怒濤
(
どたう
)
の
声
(
こゑ
)
を
圧
(
あつ
)
して、
110
宣伝歌
(
せんでんか
)
が
聞
(
きこ
)
え
来
(
き
)
たりぬ。
111
日の出別命
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
112
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
113
ウラルの
彦
(
ひこ
)
やウラル
姫
(
ひめ
)
114
コーカス
山
(
ざん
)
に
現
(
あら
)
はれて
115
この
世
(
よ
)
を
欺
(
あざむ
)
く
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
116
太敷
(
ふとしき
)
立
(
た
)
てて
三柱
(
みはしら
)
の
117
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
を
斎
(
いつ
)
きしは
118
昔
(
むかし
)
の
夢
(
ゆめ
)
となりはてて
119
今
(
いま
)
は
僅
(
わづか
)
に
美山彦
(
みやまひこ
)
120
国照姫
(
くにてるひめ
)
の
曲神
(
まがかみ
)
を
121
守護
(
まもり
)
の
神
(
かみ
)
となぞらへ
122
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
に
打渡
(
うちわた
)
り
123
随従
(
みとも
)
の
神
(
かみ
)
を
海原
(
うなばら
)
の
124
浪
(
なみ
)
に
漂
(
ただよ
)
ふ
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
125
宝
(
たから
)
の
島
(
しま
)
に
出立
(
いでた
)
たせ
126
山
(
やま
)
の
尾上
(
をのへ
)
や
川
(
かは
)
の
瀬
(
せ
)
を
127
隈
(
くま
)
なくあさりてウラル
教
(
けう
)
128
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
悉
(
ことごと
)
く
129
敷
(
し
)
き
弘
(
ひろ
)
めむと
村肝
(
むらきも
)
の
130
心
(
こころ
)
をつくしの
甲斐
(
かひ
)
もなく
131
黄泉
(
よもつ
)
の
島
(
しま
)
のその
如
(
ごと
)
く
132
泡
(
あわ
)
と
消
(
き
)
えたる
憐
(
あは
)
れさよ
133
高天原
(
たかあまはら
)
に
現
(
あ
)
れませる
134
神
(
かむ
)
伊弉諾
(
いざなぎ
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
135
神言
(
みこと
)
のままに
花蓮草
(
はなはちす
)
136
教
(
をしへ
)
を
開
(
ひら
)
く
天教山
(
てんけうざん
)
の
137
神
(
かみ
)
の
聖地
(
せいち
)
を
後
(
あと
)
にして
138
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
御船
(
みふね
)
に
身
(
み
)
を
任
(
まか
)
せ
139
津軽
(
つがる
)
海峡
(
かいけふ
)
後
(
あと
)
にして
140
天
(
あめ
)
の
真名井
(
まなゐ
)
の
波
(
なみ
)
を
分
(
わ
)
け
141
やうやう
茲
(
ここ
)
に
印度
(
つき
)
の
海
(
うみ
)
142
深
(
ふか
)
き
恵
(
めぐみ
)
をかかぶりつ
143
名
(
な
)
さへ
芽出度
(
めでた
)
き
鶴
(
つる
)
の
島
(
しま
)
144
松
(
まつ
)
の
神代
(
かみよ
)
に
因
(
ちな
)
みたる
145
鶴
(
つる
)
の
港
(
みなと
)
を
船出
(
ふなで
)
して
146
いよいよここに
波斯湾
(
ペルシヤわん
)
147
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
れる
折柄
(
をりから
)
に
148
思
(
おも
)
ひもかけぬウラル
彦
(
ひこ
)
149
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
150
岩彦
(
いはひこ
)
梅彦
(
うめひこ
)
あと
四人
(
よたり
)
151
如何
(
いか
)
なる
神
(
かみ
)
の
経綸
(
けいりん
)
か
152
鶴山丸
(
つるやままる
)
の
客
(
きやく
)
となり
153
一蓮
(
いちれん
)
托生
(
たくしやう
)
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
154
なみなみならぬ
大神
(
おほかみ
)
の
155
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
は
掻
(
か
)
き
曇
(
くも
)
る
156
あゝ
岩彦
(
いはひこ
)
よ
梅彦
(
うめひこ
)
よ
157
天教山
(
てんけうざん
)
に
現
(
あ
)
れませる
158
木花姫
(
このはなひめ
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
159
四方
(
よも
)
に
伝
(
つた
)
ふる
宣伝使
(
せんでんし
)
160
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
分霊
(
わけみたま
)
161
豊栄
(
とよさか
)
昇
(
のぼ
)
る
朝日子
(
あさひこ
)
の
162
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
別
(
わけ
)
の
神司
(
かむつかさ
)
163
愈
(
いよいよ
)
フサの
国
(
くに
)
指
(
さ
)
して
164
進
(
すす
)
むもしらに
退
(
しりぞ
)
くも
165
はや
白波
(
しらなみ
)
のこの
首途
(
かどで
)
166
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
を
眺
(
なが
)
むれば
167
墨
(
すみ
)
を
流
(
なが
)
せる
如
(
ごと
)
くなり
168
大海原
(
おほうなばら
)
を
眺
(
なが
)
むれば
169
泥
(
どろ
)
を
流
(
なが
)
せる
如
(
ごと
)
くなる
170
この
浪
(
なみ
)
の
上
(
へ
)
にめぐり
合
(
あ
)
ふ
171
厳
(
いづ
)
の
霊
(
みたま
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
172
岩彦
(
いはひこ
)
梅彦
(
うめひこ
)
初
(
はじ
)
めとし
173
此処
(
ここ
)
に
会
(
あ
)
うたは
優曇華
(
うどんげ
)
の
174
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
春
(
はる
)
の
引合
(
ひきあは
)
せ
175
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
神言
(
みこと
)
もて
176
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
別
(
わけ
)
が
詳細
(
まつぶさ
)
に
177
詔
(
の
)
る
言霊
(
ことたま
)
のその
呼吸
(
いき
)
に
178
汝
(
なれ
)
が
霊
(
みたま
)
を
洗
(
あら
)
へかし
179
天
(
あめの
)
真名井
(
まなゐ
)
に
五十鈴
(
いそすず
)
の
180
言霊
(
ことたま
)
洗
(
あら
)
ひ
都牟刈
(
つむがり
)
の
181
太刀
(
たち
)
を
清
(
きよ
)
めて
曲津見
(
まがつみ
)
を
182
蹶
(
く
)
え
放
(
はら
)
らかし
打
(
うち
)
きため
183
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
に
復
(
かへ
)
りなば
184
如何
(
いか
)
に
浪風
(
なみかぜ
)
猛
(
たけ
)
くとも
185
醜
(
しこ
)
の
猛
(
たけ
)
びの
荒
(
あら
)
くとも
186
何
(
なに
)
か
恐
(
おそ
)
れむ
神
(
かみ
)
の
国
(
くに
)
187
あゝ
岩彦
(
いはひこ
)
よ
梅彦
(
うめひこ
)
よ
188
心
(
こころ
)
の
雲霧
(
くもきり
)
吹払
(
ふきはら
)
ひ
189
天
(
あま
)
の
岩
(
いは
)
の
戸
(
と
)
押開
(
おしひら
)
き
190
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞直
(
ききなほ
)
せ
191
この
世
(
よ
)
を
紊
(
みだ
)
す
曲神
(
まがかみ
)
の
192
醜
(
しこ
)
の
言霊
(
ことたま
)
詔
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ
193
この
天地
(
あめつち
)
は
国
(
くに
)
の
祖
(
おや
)
194
国治立
(
くにはるたち
)
のしろしめす
195
珍
(
うづ
)
の
御国
(
みくに
)
ぞ
楽園
(
らくゑん
)
ぞ
196
神
(
かみ
)
の
御国
(
みくに
)
に
住
(
す
)
む
人
(
ひと
)
の
197
いかで
心
(
こころ
)
を
汚
(
けが
)
さむや
198
瀬織津
(
せおりつ
)
姫
(
ひめ
)
の
大神
(
おほかみ
)
に
199
汚穢
(
けがれ
)
も
曲事
(
まが
)
も
能
(
よ
)
く
清
(
きよ
)
め
200
塩
(
しほ
)
の
八百路
(
やほぢ
)
の
八潮路
(
やしほぢ
)
の
201
秋津
(
あきつ
)
の
姫
(
ひめ
)
に
許々多久
(
ここたく
)
の
202
罪
(
つみ
)
や
穢
(
けがれ
)
を
可々
(
かか
)
呑
(
の
)
みて
203
曇
(
くも
)
りを
晴
(
は
)
らせ
天地
(
あめつち
)
の
204
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
に
叶
(
かな
)
へかし
205
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
206
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
坐世
(
ましませ
)
よ
207
嗚呼
(
ああ
)
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
208
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
坐世
(
ましませ
)
よ』
209
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
るや、
210
さしもに
猛
(
たけ
)
き
暴風
(
ばうふう
)
激浪
(
げきらう
)
も、
211
拭
(
ぬぐ
)
ふが
如
(
ごと
)
くに
静
(
しづ
)
まり、
212
海面
(
かいめん
)
は
畳
(
たたみ
)
の
如
(
ごと
)
く、
213
魚鱗
(
ぎよりん
)
の
波
(
なみ
)
を
浮
(
うか
)
ぶるに
至
(
いた
)
りけり。
214
船中
(
せんちう
)
の
人々
(
ひとびと
)
は、
215
この
声
(
こゑ
)
に
驚
(
おどろ
)
いて
一言
(
いちごん
)
も
発
(
はつ
)
し
得
(
え
)
ず、
216
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけの
)
命
(
みこと
)
の
神徳
(
しんとく
)
に
驚嘆
(
きやうたん
)
の
目
(
め
)
を
眸
(
みは
)
るのみ。
217
岩彦
(
いはひこ
)
は
小声
(
こごゑ
)
にて、
218
岩彦
『オイ
梅彦
(
うめひこ
)
、
219
音彦
(
おとひこ
)
、
220
亀彦
(
かめひこ
)
、
221
大変
(
たいへん
)
ぢやないか、
222
エライ
奴
(
やつ
)
が
乗
(
の
)
つて
居
(
ゐ
)
て、
223
吾々
(
われわれ
)
に
非常
(
ひじやう
)
な
鉄槌
(
てつつい
)
を
喰
(
く
)
はしよつたぢやないか、
224
向
(
むか
)
ふは
一人
(
ひとり
)
、
225
此方
(
こつち
)
は
宣伝使
(
せんでんし
)
の
半打
(
はんダース
)
も
居
(
を
)
つて、
226
衆人
(
しうじん
)
環視
(
くわんし
)
の
前
(
まへ
)
でコンナ
神力
(
しんりき
)
を
見
(
み
)
せられては、
227
ウラル
教
(
けう
)
も
薩張
(
さつぱ
)
り
顔色
(
がんしよく
)
なしだよ。
228
ナントか
一
(
ひと
)
つ、
229
復讐
(
ふくしう
)
を
行
(
や
)
らなくては、
230
失敗
(
しつぱい
)
の
上
(
うへ
)
の
失敗
(
しつぱい
)
ぢやないか。
231
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
とか
云
(
い
)
ふ
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が、
232
フサの
国
(
くに
)
へでも
上
(
あが
)
つたが
最後
(
さいご
)
、
233
あの
勢
(
いきほひ
)
でアーメニヤの
神都
(
しんと
)
へ
進撃
(
しんげき
)
されようものなら
大変
(
たいへん
)
だぞ』
234
亀彦
(
かめひこ
)
『さうだなア、
235
コラこの
儘
(
まま
)
に
放任
(
はうにん
)
して
置
(
お
)
く
訳
(
わけ
)
には
行
(
い
)
かない。
236
お
前
(
まへ
)
は
吾々
(
われわれ
)
一行
(
いつかう
)
の
中
(
うち
)
での、
237
チャーチャー(
教師
(
けうし
)
先生
(
せんせい
)
の
意
(
い
)
)だから、
238
何
(
なん
)
とか
良
(
い
)
い
御
(
ご
)
託宣
(
たくせん
)
でも
宣示
(
せんじ
)
して
呉
(
く
)
れさうなものだ』
239
岩彦
(
いはひこ
)
『
訳
(
わけ
)
も
知
(
し
)
らずに、
240
燕
(
つばめ
)
の
親方
(
おやかた
)
のやうにチャーチャ
言
(
い
)
ふものじやないワ。
241
マアこの
先生
(
せんせい
)
の
妙案
(
めうあん
)
奇策
(
きさく
)
を
聴聞
(
ちやうもん
)
しろ』
242
亀彦
(
かめひこ
)
『ヘン、
243
えらさうに
仰有
(
おつしや
)
りますワイ、
244
目玉
(
めだま
)
を
白黒
(
しろくろ
)
さしてその
容子
(
ようす
)
は
何
(
なん
)
だ。
245
蟹
(
かに
)
の
様
(
やう
)
な
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふ
)
いて、
246
大苦悶
(
だいくもん
)
のていたらく、
247
身魂
(
みたま
)
の
基礎
(
どだい
)
がグラついて
居
(
ゐ
)
るから、
248
どうして
妙案
(
めうあん
)
奇策
(
きさく
)
が
出
(
で
)
るものかい。
249
何分
(
なにぶん
)
に
戦
(
たたか
)
ひは、
250
将
(
しやう
)
を
選
(
えら
)
ぶと
云
(
い
)
つて、
251
吾々
(
われわれ
)
万卒
(
ばんそつ
)
が
骨
(
ほね
)
を
枯
(
か
)
らしても、
252
一将
(
いつしやう
)
功
(
こう
)
成
(
な
)
れば
未
(
ま
)
だしもだが、
253
貴様
(
きさま
)
の
大将
(
たいしやう
)
は
魂
(
たましひ
)
に
白蟻
(
しろあり
)
が
這入
(
はい
)
つてゐるから、
254
統率
(
とうそつ
)
その
宜
(
よろ
)
しきを
得
(
え
)
ず、
255
万卒
(
ばんそつ
)
骨
(
ほね
)
を
枯
(
か
)
らし、
256
一将
(
いつしやう
)
功
(
こう
)
ならず、
257
一
(
いつ
)
しよう
の
恥
(
はぢ
)
を
曝
(
さら
)
して
帰
(
かへ
)
らねばならぬのだ。
258
コンナ
大将
(
たいしやう
)
に
統率
(
とうそつ
)
されて、
259
どうして
神業
(
しんげふ
)
の
完成
(
くわんせい
)
が
望
(
のぞ
)
まれよう、
260
バベルの
塔
(
たふ
)
ぢやないが
何時
(
いつ
)
までかかりても、
261
成功
(
せいこう
)
する
気遣
(
きづか
)
ひはない。
262
ピサの
塔
(
たふ
)
のやうに
斜
(
はすかい
)
になつて、
263
何時
(
いつ
)
ピサリと
倒
(
たふ
)
れるか
分
(
わか
)
つたものぢやない。
264
猫
(
ねこ
)
に
逐
(
お
)
はれた
鼠
(
ねずみ
)
のやうな
面
(
つら
)
をして、
265
アーメニヤに
帰
(
かへ
)
つた
所
(
ところ
)
でウラル
彦
(
ひこ
)
さまに「
貴様
(
きさま
)
何
(
なに
)
をして
居
(
を
)
つた」と、
266
いきなり
横
(
よこ
)
つ
面
(
つら
)
をピサの
塔
(
たふ
)
とお
見舞
(
みまひ
)
申
(
まを
)
され、
267
これはこれは
誠
(
まこと
)
にハヤ
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りバベルの
塔
(
たふ
)
と、
268
たう
惑
(
わく
)
顔
(
がほ
)
するのは
目
(
め
)
に
見
(
み
)
るやうだ。
269
引
(
ひ
)
かれ
者
(
もの
)
の
小唄
(
こうた
)
の
様
(
やう
)
な、
270
負惜
(
まけをし
)
みは
止
(
や
)
めて、
271
どうだ
一層
(
いつそう
)
のこと、
272
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
の
部下
(
ぶか
)
となつて
三五教
(
あななひけう
)
に
急転
(
きふてん
)
直下
(
ちよくか
)
、
273
沈没
(
ちんぼつ
)
したらどうだらう』
274
岩彦
(
いはひこ
)
『チト
言霊
(
ことたま
)
を
慎
(
つつし
)
まぬか、
275
船
(
ふね
)
の
上
(
うへ
)
は
縁起
(
えんぎ
)
を
祝
(
いは
)
ふものだ、
276
沈没
(
ちんぼつ
)
なぞと、
277
気分
(
きぶん
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
うな。
278
黄泉島
(
よもつじま
)
ぢやあるまいし………』
279
梅彦
(
うめひこ
)
『さうだ、
280
亀彦
(
かめひこ
)
の
言
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り、
281
あまりウラル
教
(
けう
)
の
神力
(
しんりき
)
がないのか、
282
大将
(
たいしやう
)
の
画策
(
くわくさく
)
宜
(
よろ
)
しきを
得
(
え
)
ないのか
知
(
し
)
らんが、
283
コンナ
馬鹿
(
ばか
)
な
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
つた
事
(
こと
)
はない。
284
二
(
ふた
)
つ
目
(
め
)
には
時世
(
ときよ
)
時節
(
じせつ
)
ぢやと、
285
岩彦
(
いはひこ
)
は
いは
んすけれど、
286
ソンナ
事
(
こと
)
はアーメニヤヘ
帰
(
かへ
)
つては
通用
(
つうよう
)
しない。
287
どうだ、
288
梅彦
(
うめひこ
)
の
外交
(
ぐわいかう
)
的
(
てき
)
手腕
(
しゆわん
)
を
揮
(
ふる
)
つて、
289
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
に、
290
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
で
交渉
(
かうせふ
)
して
見
(
み
)
ようかい。
291
交渉
(
かうせふ
)
委員長
(
ゐゐんちやう
)
になつて、
292
どうしよう
交渉
(
かうせふ
)
と
談判
(
だんぱん
)
をやるのだナア』
293
岩彦
(
いはひこ
)
『
喧
(
やかま
)
しいワイ』
294
梅彦
(
うめひこ
)
『やかましからう、
295
イヤ
耳
(
みみ
)
が
痛
(
いた
)
からう、
296
良
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
に
言霊
(
ことたま
)
の
停電
(
ていでん
)
がして
欲
(
ほ
)
しからう。
297
アハヽヽヽヽ』
298
岩彦
(
いはひこ
)
『
鮨
(
すし
)
に
糞蝿
(
くそばい
)
が
集
(
たか
)
つたやうに、
299
本当
(
ほんたう
)
に
五月蝿
(
うるさ
)
い
奴
(
やつ
)
だ。
300
さう
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
喋
(
しやべ
)
くると、
301
ウラル
教
(
けう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
立腹
(
りつぷく
)
して、
302
又
(
また
)
もや
暴風雨
(
ばうふうう
)
の
御
(
ご
)
襲来
(
しふらい
)
だ。
303
さういふ
事
(
こと
)
は、
304
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
忌憚
(
きたん
)
に
触
(
ふ
)
れる、
305
貴様
(
きさま
)
の
言行
(
げんかう
)
に
対
(
たい
)
しては、
306
飽
(
あ
)
くまで
吾々
(
われわれ
)
は
忌避
(
きひ
)
的
(
てき
)
行動
(
かうどう
)
を
取
(
と
)
るのだ。
307
何
(
なに
)
ほど
貴様
(
きさま
)
が
挑戦
(
てうせん
)
的
(
てき
)
態度
(
たいど
)
を
執
(
と
)
つても、
308
寛仁
(
くわんじん
)
大度
(
たいど
)
の
権化
(
ごんげ
)
とも
言
(
い
)
ふべき
岩彦
(
いはひこ
)
は、
309
岩石
(
がん
)
として
応
(
おう
)
ぜないから、
310
さう
思
(
おも
)
つて
幾許
(
いくら
)
でも
喋舌
(
しやべ
)
つたが
宜
(
よ
)
からうよ。
311
……ナンだその
面
(
つら
)
は、
312
最前
(
さいぜん
)
からの
時化
(
しけ
)
で、
313
半泣
(
はんな
)
きになつて
居
(
ゐ
)
るぢやないか、
314
見
(
み
)
つともない』
315
梅彦
(
うめひこ
)
『
半泣
(
はんな
)
きになつて
居
(
を
)
るとは
誰
(
たれ
)
の
事
(
こと
)
だい。
316
貴様
(
きさま
)
こそ
率先
(
そつせん
)
して
泣
(
な
)
いて
居
(
ゐ
)
るぢやないか。
317
涙
(
なみだ
)
こそ
澪
(
こぼ
)
して
居
(
を
)
らぬが、
318
俺
(
おれ
)
の
天眼通
(
てんがんつう
)
から
見
(
み
)
れば
唯々
(
ただただ
)
泣
(
な
)
き
面
(
づら
)
をソツト
保留
(
ほりう
)
してる
丈
(
だけ
)
のものだよ、
319
貴様
(
きさま
)
に
共鳴
(
きようめい
)
する
者
(
もの
)
は、
320
烏
(
からす
)
か、
321
千鳥
(
ちどり
)
位
(
くらゐ
)
なものだらう』
322
岩彦
(
いはひこ
)
『
馬鹿
(
ばか
)
ツ、
323
いは
しておけば
傍若
(
ばうじやく
)
無人
(
ぶじん
)
の
雑言
(
ざふごん
)
無礼
(
ぶれい
)
、
324
了見
(
れうけん
)
せぬぞ』
325
亀彦
(
かめひこ
)
『オイ
梅公
(
うめこう
)
、
326
行
(
や
)
つた
行
(
や
)
つた。
327
ヲツシ ヲツシ………』
328
岩彦
(
いはひこ
)
『オイ、
329
犬
(
いぬ
)
と
間違
(
まちが
)
つちや
困
(
こま
)
るよ』
330
梅彦
(
うめひこ
)
『
犬
(
いぬ
)
ぢやないか、
331
ウラル
教
(
けう
)
の
番犬
(
ばんいぬ
)
だ』
332
岩彦
(
いはひこ
)
『
いぬ
も
帰
(
い
)
なぬもあつたものかい、
333
吾々
(
われわれ
)
はアーメニヤへ
いぬ
より
往
(
い
)
く
所
(
ところ
)
はないのぢや』
334
亀彦
(
かめひこ
)
『
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
、
335
ここで
一
(
ひと
)
つ
思案
(
しあん
)
せなくてはならぬ。
336
三五教
(
あななひけう
)
は
唯
(
ただ
)
一
(
いち
)
人
(
にん
)
、
337
此方
(
こつち
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
半打
(
はんダース
)
も
居
(
ゐ
)
るのだから、
338
強行
(
きやうかう
)
的
(
てき
)
態度
(
たいど
)
に
出
(
い
)
でて、
339
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
降服
(
かうふく
)
させるか、
340
但
(
ただし
)
は
吾々
(
われわれ
)
が
柔
(
やはら
)
かに
出
(
で
)
て、
341
ウラル
教
(
けう
)
を
開城
(
かいじやう
)
するか、
342
二
(
ふた
)
つに
一
(
ひと
)
つの
決定
(
けつてい
)
を
与
(
あた
)
へねばなるまい』
343
岩彦
(
いはひこ
)
『
岩
(
いは
)
より
堅
(
かた
)
い
岩彦
(
いはひこ
)
は、
344
如何
(
いか
)
なる
難局
(
なんきよく
)
に
処
(
しよ
)
しても、
345
初心
(
しよしん
)
を
曲
(
ま
)
げない。
346
善悪
(
ぜんあく
)
共
(
とも
)
に、
347
初心
(
しよしん
)
を
貫徹
(
くわんてつ
)
するが、
348
男子
(
だんし
)
の
本分
(
ほんぶん
)
だ。
349
貴様
(
きさま
)
、
350
ソンナ
女々
(
めめ
)
しい
弱音
(
よわね
)
を
吹
(
ふ
)
くならば、
351
アーメニヤへ
帰
(
かへ
)
つて、
352
逐一
(
ちくいち
)
盤古
(
ばんこ
)
神王
(
しんわう
)
に
奏聞
(
そうもん
)
するから、
353
さう
覚悟
(
かくご
)
をせい』
354
亀彦
(
かめひこ
)
『
敗軍
(
はいぐん
)
の
将
(
しやう
)
は
兵
(
へい
)
を
語
(
かた
)
らずだ、
355
何
(
なん
)
の
顔容
(
かんばせ
)
あつて
盤古
(
ばんこ
)
神王
(
しんわう
)
に
大失敗
(
だいしつぱい
)
の
一伍
(
いちぶ
)
一什
(
しじふ
)
を
奏聞
(
そうもん
)
することが
出来
(
でき
)
ようか、
356
貴様
(
きさま
)
は
統率者
(
とうそつしや
)
を
笠
(
かさ
)
に
着
(
き
)
て、
357
吾々
(
われわれ
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
者
(
もの
)
を
威喝
(
ゐかつ
)
するのだな、
358
今
(
いま
)
になつて
何
(
ど
)
れほど
威張
(
ゐば
)
つたところで、
359
アルコールの
脱
(
ぬ
)
けた
甘酒
(
あまざけ
)
の
腐
(
くさ
)
つたやうなものだ、
360
鑑定人
(
ききて
)
もなければ、
361
飲手
(
のみて
)
もなし、
362
ソンナ
嚇
(
おど
)
しを
喰
(
く
)
ふ
奴
(
やつ
)
が、
363
何処
(
どこ
)
にあるかい、
364
あまり
馬鹿
(
ばか
)
にするなよ。
365
それそれ
向
(
むか
)
ふに
見
(
み
)
えるはフサの
国
(
くに
)
だ。
366
船
(
ふね
)
が
着
(
つ
)
くのには、
367
モウ
間
(
ま
)
もあるまい、
368
この
船
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
で、
369
一
(
ひと
)
つ
交渉
(
かうせふ
)
を
始
(
はじ
)
めなくては、
370
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
が
上陸
(
じやうりく
)
したが
最後
(
さいご
)
、
371
どうすることも
出来
(
でき
)
やしない。
372
問題
(
もんだい
)
を
一括
(
いつくわつ
)
して、
373
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
で
秘密
(
ひみつ
)
会議
(
くわいぎ
)
を
開
(
ひら
)
いて、
374
和戦
(
わせん
)
何
(
いづ
)
れにか
決
(
けつ
)
せねばなるまいぞ』
375
又
(
また
)
もや
以前
(
いぜん
)
の
如
(
ごと
)
き
暴風
(
ばうふう
)
忽然
(
こつぜん
)
として
吹
(
ふ
)
き
来
(
きた
)
り、
376
鶴山丸
(
つるやままる
)
の
運命
(
うんめい
)
は
旦夕
(
たんせき
)
に
迫
(
せま
)
り
来
(
き
)
たる。
377
嗚呼
(
ああ
)
この
結果
(
けつくわ
)
は
如何
(
いかん
)
。
378
(
大正一一・三・一六
旧二・一八
松村真澄
録)
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