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霊界物語
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第8巻(未の巻)
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第13巻(子の巻)
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第61巻(子の巻)
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第66巻(巳の巻)
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特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
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第23巻(戌の巻)
序文
総説
第1篇 南海の山
01 玉の露
〔713〕
02 副守囁
〔714〕
03 松上の苦悶
〔715〕
04 長高説
〔716〕
第2篇 恩愛の涙
05 親子奇遇
〔717〕
06 神異
〔718〕
07 知らぬが仏
〔719〕
08 縺れ髪
〔720〕
第3篇 有耶無耶
09 高姫騒
〔721〕
10 家宅侵入
〔722〕
11 難破船
〔723〕
12 家島探
〔724〕
13 捨小舟
〔725〕
14 籠抜
〔726〕
第4篇 混線状態
15 婆と婆
〔727〕
16 蜈蚣の涙
〔728〕
17 黄竜姫
〔729〕
18 波濤万里
〔730〕
霊の礎(八)
余白歌
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第一八章
波濤
(
はたう
)
万里
(
ばんり
)
〔七三〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第23巻 如意宝珠 戌の巻
篇:
第4篇 混線状態
よみ(新仮名遣い):
こんせんじょうたい
章:
第18章 波濤万里
よみ(新仮名遣い):
はとうばんり
通し章番号:
730
口述日:
1922(大正11)年06月13日(旧05月18日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年4月19日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
岩窟の中のバラモン教の祭典が済んで、老若男女が礼拝所から出てきた。信者の中の一人の老いた男・久助は、友彦を見るなり、六ケ月前に自宅に忍び入って強盗を働いた男だと認めて食ってかかる。
その様子を見て蜈蚣姫を始め一同はあきれてしまう。そこへ、鶴公、清公、武公が東助の使いとしてやってきて、友彦の後を追ってやって来たが、この岩窟に逃げ込んだはずだから、召捕りに来たという。蜈蚣姫は三人に対して、友彦はここにいるから縛って連れて行くようにと申し渡す。
高姫はかつての部下だった三人が、東助の家来になっていることに皮肉を言う。高姫と三人が言い合っている間に、友彦は這って逃げ出そうとしていた。しかし清・鶴・武が連れて来た犬に噛り付かれてしまう。
鶴公、清公、武公は友彦を縛って引っ立てていった。一方蜈蚣姫は、高姫、貫州、久助を連れてオーストラリヤの一つ島に渡ることになった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
竜宮島・オーストラリヤ(オースタリヤ)
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-10-15 02:02:36
OBC :
rm2318
愛善世界社版:
282頁
八幡書店版:
第4輯 599頁
修補版:
校定版:
287頁
普及版:
133頁
初版:
ページ備考:
001
世界
(
せかい
)
の
楽土
(
らくど
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
002
メソポタミヤの
瑞穂国
(
みづほくに
)
003
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
に
現
(
あら
)
はれし
004
バラモン
教
(
けう
)
の
棟梁神
(
とうりやうしん
)
005
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
が
懐中
(
ふところ
)
の
006
刀
(
かたな
)
と
恃
(
たの
)
む
副棟梁
(
ふくとうりやう
)
007
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
や
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
008
中
(
なか
)
に
生
(
うま
)
れた
一粒
(
ひとつぶ
)
の
009
蕾
(
つぼみ
)
の
花
(
はな
)
の
小糸姫
(
こいとひめ
)
010
年
(
とし
)
は
二八
(
にはち
)
か
二九
(
にく
)
からぬ
011
仇
(
あだ
)
な
姿
(
すがた
)
に
憧憬
(
あこが
)
れて
012
教
(
をしへ
)
の
道
(
みち
)
の
友彦
(
ともひこ
)
が
013
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
付
(
つ
)
き
纏
(
まと
)
ひ
014
言葉
(
ことば
)
尽
(
つく
)
して
説
(
と
)
き
落
(
おと
)
し
015
二人
(
ふたり
)
の
親
(
おや
)
や
人
(
ひと
)
の
目
(
め
)
の
016
関所
(
せきしよ
)
を
越
(
こ
)
えて
波斯
(
フサ
)
の
国
(
くに
)
017
荒野
(
あらの
)
ケ
原
(
はら
)
を
打渡
(
うちわた
)
り
018
高山
(
かうざん
)
数々
(
かずかず
)
乗
(
の
)
り
越
(
こ
)
えて
019
釈迦
(
しやか
)
の
生
(
うま
)
れし
月氏国
(
つきのくに
)
020
錫蘭島
(
セイロンたう
)
に
身
(
み
)
を
忍
(
しの
)
び
021
夫婦
(
ふうふ
)
仲良
(
なかよ
)
く
暮
(
くら
)
す
内
(
うち
)
022
恋
(
こひ
)
の
魔風
(
まかぜ
)
に
煽
(
あふら
)
れて
023
力
(
ちから
)
と
恃
(
たの
)
む
小糸姫
(
こいとひめ
)
は
024
只
(
ただ
)
一通
(
いつつう
)
の
遺書
(
かきおき
)
を
025
残
(
のこ
)
して
浪路
(
なみぢ
)
を
打渉
(
うちわた
)
り
026
何処
(
いづく
)
の
果
(
は
)
てや
白波
(
しらなみ
)
の
027
船
(
ふね
)
に
姿
(
すがた
)
は
消
(
き
)
えにけり
028
とり
残
(
のこ
)
されし
友彦
(
ともひこ
)
は
029
夜食
(
やしよく
)
に
外
(
はづ
)
れた
梟鳥
(
ふくろどり
)
030
つまらぬ
顔
(
かほ
)
を
曝
(
さら
)
しつつ
031
執念深
(
しふねんぶか
)
くも
蛇
(
くちなは
)
の
032
魅
(
みい
)
れし
如
(
ごと
)
く
気
(
き
)
も
狂
(
くる
)
ひ
033
胸
(
むね
)
を
焦
(
こが
)
して
自転倒
(
おのころ
)
の
034
神島
(
かみしま
)
さして
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る。
035
尋
(
たづ
)
ねる
由
(
よし
)
も
夏
(
なつ
)
の
夜
(
よ
)
の
036
虫
(
むし
)
に
脛
(
すね
)
をば
刺
(
さ
)
されつつ
037
山川
(
やまかは
)
渉
(
わた
)
り
蓑笠
(
みのかさ
)
の
038
軽
(
かる
)
き
扮装
(
いでたち
)
此処
(
ここ
)
彼処
(
かしこ
)
039
彷徨
(
さまよ
)
ひ
巡
(
めぐ
)
りて
宇都山
(
うづやま
)
の
040
里
(
さと
)
に
輿
(
みこし
)
を
据
(
す
)
ゑ
乍
(
なが
)
ら
041
支離
(
しり
)
滅裂
(
めつれつ
)
の
説法
(
せつぱふ
)
を
042
説
(
と
)
き
広
(
ひろ
)
め
居
(
ゐ
)
る
折柄
(
をりから
)
に
043
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
044
天
(
あめ
)
の
真浦
(
まうら
)
の
神人
(
かみびと
)
が
045
其
(
その
)
神力
(
しんりき
)
に
恐怖
(
きようふ
)
して
046
又
(
また
)
もや
此処
(
ここ
)
を
駆
(
か
)
け
出
(
いだ
)
し
047
流
(
なが
)
れ
流
(
なが
)
れて
淡路島
(
あはぢしま
)
048
隈
(
くま
)
なく
廻
(
めぐ
)
り
北
(
きた
)
の
果
(
はて
)
049
洲本
(
すもと
)
の
里
(
さと
)
の
酋長
(
しうちやう
)
が
050
館
(
やかた
)
の
内
(
うち
)
の
失敗
(
しつぱい
)
に
051
廁
(
かはや
)
の
穴
(
あな
)
より
籠脱
(
かごぬ
)
けし
052
着衣
(
ちやくい
)
を
黄色
(
きいろ
)
に
染
(
そ
)
め
乍
(
なが
)
ら
053
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
瀬戸
(
せと
)
の
浪
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
054
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
に
浮
(
う
)
かびたる
055
小豆
(
せうど
)
ケ
島
(
しま
)
に
漂着
(
へうちやく
)
し
056
狐狸
(
きつねたぬき
)
に
魅
(
み
)
せられし
057
如
(
ごと
)
き
怪訝
(
けげん
)
な
顔
(
かほ
)
をして
058
国城山
(
くにしろやま
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
に
059
当途
(
あてど
)
もなしに
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
060
胸
(
むね
)
の
動悸
(
どうき
)
も
高姫
(
たかひめ
)
が
061
差俯向
(
さしうつむ
)
いて
独語
(
ひとりごと
)
062
聞
(
き
)
くより
誰
(
たれ
)
かと
尋
(
たづ
)
ぬれば
063
口
(
くち
)
から
先
(
さき
)
に
生
(
うま
)
れたる
064
布留那
(
ふるな
)
の
弁
(
べん
)
の
高姫
(
たかひめ
)
は
065
口
(
くち
)
を
極
(
きは
)
めて
喋
(
しやべ
)
り
出
(
だ
)
す
066
鼻持
(
はなもち
)
ならぬ
屁理屈
(
へりくつ
)
に
067
忽
(
たちま
)
ち
据
(
す
)
わる
糞度胸
(
くそどきよう
)
068
臭
(
くさ
)
い
婆
(
ばば
)
アと
知
(
し
)
り
乍
(
なが
)
ら
069
鼻
(
はな
)
を
抓
(
つま
)
んで
岩窟
(
いはやど
)
に
070
伴
(
ともな
)
ひ
進
(
すす
)
み
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
071
思
(
おも
)
ひがけなき
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
072
般若
(
はんにや
)
の
様
(
やう
)
な
面
(
つら
)
をして
073
鼻先
(
はなさき
)
赤
(
あか
)
い
出歯
(
でば
)
男
(
をとこ
)
074
出歯亀
(
でばがめ
)
式
(
しき
)
の
友彦
(
ともひこ
)
を
075
見
(
み
)
るより
早
(
はや
)
く
仏頂面
(
ぶつちやうづら
)
076
蟹
(
かに
)
の
様
(
やう
)
なる
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふ
)
き
077
怨
(
うら
)
みの
数々
(
かずかず
)
繰返
(
くりかへ
)
す
078
その
権幕
(
けんまく
)
の
恐
(
おそ
)
ろしさ
079
流石
(
さすが
)
の
友彦
(
ともひこ
)
肝
(
きも
)
潰
(
つぶ
)
し
080
小糸
(
こいと
)
の
姫
(
ひめ
)
が
残
(
のこ
)
したる
081
皺苦茶
(
しわくちや
)
だらけの
遺書
(
かきおき
)
を
082
怖々
(
おづおづ
)
前
(
まへ
)
に
差
(
さ
)
し
出
(
いだ
)
し
083
蜈蚣
(
むかで
)
の
姫
(
ひめ
)
の
手
(
て
)
に
渡
(
わた
)
す
084
婆
(
ばば
)
アは
手早
(
てばや
)
く
我
(
わが
)
顔
(
かほ
)
の
085
皺
(
しわ
)
と
同時
(
いつしよ
)
に
伸
(
の
)
べ
乍
(
なが
)
ら
086
潤
(
うる
)
んだ
眼
(
まなこ
)
を
光
(
ひか
)
らせて
087
覗
(
のぞ
)
いて
見
(
み
)
れば
此
(
こ
)
は
如何
(
いか
)
に
088
スパルタ
文字
(
もじ
)
にて
記
(
しる
)
したる
089
恋
(
こひ
)
しき
娘
(
むすめ
)
が
筆
(
ふで
)
の
蹟
(
あと
)
090
愛想
(
あいそ
)
づかしの
数々
(
かずかず
)
を
091
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
てたる
可笑
(
をか
)
しさに
092
流石
(
さすが
)
の
婆
(
ばば
)
も
吹
(
ふ
)
き
出
(
いだ
)
し
093
音
(
おと
)
に
名高
(
なだか
)
きオセアニヤ
094
竜宮島
(
りうぐうじま
)
に
名
(
な
)
も
高
(
たか
)
き
095
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
は
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
ぞと
096
初
(
はじ
)
めて
悟
(
さと
)
る
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
097
嬉
(
うれ
)
し
悲
(
かな
)
しの
泣
(
な
)
き
笑
(
わら
)
ひ
098
一座
(
いちざ
)
白
(
しら
)
けた
最中
(
さいちう
)
に
099
岩窟
(
いはや
)
の
口
(
くち
)
を
押開
(
おしひら
)
き
100
ドヤドヤ
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る
男
(
をとこ
)
あり
101
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
102
霊
(
みたま
)
も
腰
(
こし
)
もスツカリと
103
抜
(
ぬ
)
かした
馬鹿
(
ばか
)
の
友彦
(
ともひこ
)
が
104
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
こそは
哀
(
あは
)
れなる
105
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
の
祭典
(
さいてん
)
は
済
(
す
)
んだと
見
(
み
)
えて、
106
数多
(
あまた
)
の
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
は
此
(
この
)
場
(
ば
)
にドヤドヤと
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
107
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
に
祭典
(
さいてん
)
無事
(
ぶじ
)
終了
(
しうれう
)
の
報告
(
はうこく
)
をして
居
(
ゐ
)
る。
108
頭
(
あたま
)
の
頂辺
(
てつぺん
)
が
饅頭
(
まんぢう
)
の
様
(
やう
)
に
禿
(
は
)
げた
男
(
をとこ
)
、
109
友彦
(
ともひこ
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
るなり、
110
男
(
をとこ
)
『ヤア、
111
貴様
(
きさま
)
は
六
(
ろく
)
ケ
月
(
げつ
)
以前
(
いぜん
)
に
我
(
わが
)
家
(
や
)
に
忍
(
しの
)
び
入
(
い
)
り、
112
我
(
わが
)
留守宅
(
るすたく
)
を
幸
(
さいはひ
)
に
女房
(
にようばう
)
を○○し、
113
額
(
ひたい
)
に
負傷
(
てきず
)
を
負
(
お
)
はせ
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
つたる
友彦
(
ともひこ
)
と
言
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
であらう。
114
俺
(
おれ
)
が
門口
(
かどぐち
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
る
途端
(
とたん
)
、
115
我
(
わが
)
家
(
や
)
より
血刀
(
ちがたな
)
提
(
ひつさ
)
げ
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
した
奴
(
やつ
)
の
顔
(
かほ
)
そつくりだ。
116
貴様
(
きさま
)
は
留守
(
るす
)
の
家
(
いへ
)
に
巧言
(
こうげん
)
を
以
(
もつ
)
て
入
(
い
)
り
込
(
こ
)
み、
117
友彦
(
ともひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
だと
申
(
まを
)
し、
118
女房
(
にようばう
)
の
隙
(
すき
)
を
覗
(
うかが
)
ひ
大
(
だい
)
それた
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
して
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せた
奴
(
やつ
)
、
119
最早
(
もはや
)
天命
(
てんめい
)
の
尽
(
つき
)
、
120
覚悟
(
かくご
)
をせい』
121
此
(
この
)
男
(
をとこ
)
の
言葉
(
ことば
)
に
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
始
(
はじ
)
め
一同
(
いちどう
)
は、
122
呆
(
あき
)
れて
二人
(
ふたり
)
の
顔
(
かほ
)
を
穴
(
あな
)
もあけよと
許
(
ばか
)
り
睨
(
にら
)
みつけて
居
(
ゐ
)
る。
123
友彦
(
ともひこ
)
『
滅相
(
めつさう
)
な
事
(
こと
)
を
仰
(
あふ
)
せられては
困
(
こま
)
ります。
124
他人
(
たにん
)
の
空似
(
そらに
)
と
申
(
まを
)
しまして、
125
世界
(
せかい
)
には、
126
二人
(
ふたり
)
や
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
同
(
おな
)
じスタイルの
者
(
もの
)
はある
相
(
さう
)
です。
127
貴方
(
あなた
)
のお
見違
(
みちが
)
ひで
御座
(
ござ
)
いませう。
128
何卒
(
どうぞ
)
とつくり
調
(
しら
)
べて
下
(
くだ
)
さいませ』
129
男
(
をとこ
)
『
私
(
わし
)
は
明石
(
あかし
)
の
里
(
さと
)
の
久助
(
きうすけ
)
と
言
(
い
)
ふ
者
(
もの
)
だが、
130
日
(
ひ
)
の
暮
(
くれ
)
まぎれに
顔
(
かほ
)
はよく
分
(
わか
)
らねど、
131
鼻
(
はな
)
の
頭
(
あたま
)
の
赤
(
あか
)
い
特徴
(
しるし
)
が
何
(
なに
)
よりの
証拠
(
しようこ
)
だ。
132
も
一
(
ひと
)
つ
確
(
たしか
)
める
為
(
た
)
めに
女房
(
にようばう
)
が
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
にお
籠
(
こも
)
りをして
居
(
ゐ
)
るから、
133
呼
(
よ
)
んで
来
(
き
)
て
調
(
しら
)
べさして
見
(
み
)
る。
134
……これこれお
民
(
たみ
)
、
135
一寸
(
ちよつと
)
来
(
き
)
てお
呉
(
く
)
れ』
136
友彦
(
ともひこ
)
『メヽヽ
滅相
(
めつさう
)
な。
137
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
共
(
とも
)
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
を
掛
(
か
)
けて
済
(
す
)
みませぬ。
138
過
(
す
)
ぎ
去
(
さ
)
つた
事
(
こと
)
は
水
(
みづ
)
に
流
(
なが
)
したが
却
(
かへつ
)
て
御
(
ご
)
都合
(
つがふ
)
が
宜
(
よろ
)
しからう。
139
過越
(
すぎこ
)
し
苦労
(
くらう
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
道
(
みち
)
に
大禁物
(
だいきんもつ
)
だ』
140
久助
(
きうすけ
)
『お
前
(
まへ
)
の
方
(
はう
)
は
御
(
ご
)
都合
(
つがふ
)
が
宜
(
よ
)
からうが、
141
久助
(
きうすけ
)
にとつては、
142
無理
(
むり
)
難題
(
なんだい
)
を
掛
(
か
)
けた
様
(
やう
)
に
皆
(
みな
)
の
人々
(
ひとびと
)
に
思
(
おも
)
はれては
誠
(
まこと
)
に
御
(
ご
)
都合
(
つがふ
)
が
悪
(
わる
)
い』
143
と
言
(
い
)
つて
居
(
を
)
る
所
(
ところ
)
へ
女房
(
にようばう
)
お
民
(
たみ
)
はシトシトと
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
り、
144
友彦
(
ともひこ
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
るや
否
(
いな
)
や、
145
お
民
(
たみ
)
『アツ
泥棒
(
どろばう
)
』
146
と
言
(
い
)
つたきりビツクリ
腰
(
ごし
)
を
抜
(
ぬ
)
かして
仕舞
(
しま
)
つた。
147
久助
(
きうすけ
)
は
驚
(
おどろ
)
いて、
148
久助
(
きうすけ
)
『こりやこりや
女房
(
にようばう
)
、
149
是
(
これ
)
丈
(
だ
)
け
沢山
(
たくさん
)
の
人
(
ひと
)
が
居
(
を
)
るのだから、
150
泥棒
(
どろばう
)
の
一人
(
ひとり
)
位
(
くらゐ
)
は
恐
(
おそ
)
るるには
足
(
た
)
らぬ。
151
まア
気
(
き
)
をしつかりと
持
(
も
)
つて
呉
(
く
)
れ』
152
と
背
(
せな
)
を
無理
(
むり
)
に
叩
(
たた
)
く。
153
貫州
(
くわんしう
)
は
両手
(
もろて
)
を
組
(
く
)
んで『ウン』と
霊
(
れい
)
を
送
(
おく
)
る。
154
お
民
(
たみ
)
は
漸
(
やうや
)
う
気
(
き
)
を
取
(
と
)
り
直
(
なほ
)
し、
155
お
民
(
たみ
)
『お
前
(
まへ
)
は
此
(
この
)
春
(
はる
)
吾
(
わが
)
家
(
や
)
に
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り
妾
(
わたし
)
に
無礼
(
ぶれい
)
を
加
(
くは
)
へた
上
(
うへ
)
、
156
金
(
かね
)
を
浚
(
さら
)
つて
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
つた
悪党者
(
あくたうもの
)
、
157
妾
(
わたし
)
が
額
(
ひたい
)
の
疵
(
きず
)
は
汝
(
なんぢ
)
が
残
(
のこ
)
せし
罪
(
つみ
)
の
痕
(
あと
)
、
158
之
(
これ
)
でも
言
(
い
)
ひ
分
(
ぶん
)
あるか』
159
と
歯
(
は
)
を
食
(
く
)
ひ
縛
(
しば
)
り
目
(
め
)
を
睜
(
いか
)
らし
睨
(
にら
)
みつける。
160
友彦
(
ともひこ
)
は、
161
友彦
(
ともひこ
)
『ハイ、
162
誠
(
まこと
)
に……』
163
と
僅
(
わづ
)
かに
言
(
い
)
つたきり、
164
床
(
ゆか
)
に
頭
(
かしら
)
をすりつけて
地震
(
ぢしん
)
の
神
(
かみ
)
の
神懸
(
かんがか
)
り
[
※
三版・御校正本・愛世版では「神懸り」、校定版では「神憑り」。
]
をやつて
居
(
ゐ
)
る。
165
岩戸
(
いはと
)
を
開
(
ひら
)
いて
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
る
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
、
166
男
(
をとこ
)
『ヘイ、
167
御免
(
ごめん
)
なさい、
168
私
(
わたし
)
は
淡路島
(
あはぢしま
)
の
洲本
(
すもと
)
の
酋長
(
しうちやう
)
、
169
今
(
いま
)
は
東助
(
とうすけ
)
様
(
さま
)
の
家来
(
けらい
)
となつた
清公
(
きよこう
)
、
170
武公
(
たけこう
)
、
171
鶴公
(
つるこう
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
で
御座
(
ござ
)
る。
172
極悪
(
ごくあく
)
無道
(
ぶだう
)
のバラモン
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
と
名告
(
なの
)
る
大盗賊
(
だいたうぞく
)
、
173
雪隠
(
せつちん
)
の
跨
(
また
)
げ
穴
(
あな
)
より
脱
(
ぬ
)
け
出
(
だ
)
し、
174
浜辺
(
はまべ
)
に
繋
(
つな
)
ぎし
酋長
(
しうちやう
)
の
所有船
(
もちぶね
)
を
盗
(
ぬす
)
み、
175
艪
(
ろ
)
を
操
(
あやつ
)
り
海原
(
うなばら
)
に
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
りしと
訴
(
うつた
)
ふる
者
(
もの
)
あり。
176
我々
(
われわれ
)
酋長
(
しうちやう
)
の
命令
(
めいれい
)
に
依
(
よ
)
り
直
(
ただち
)
に
船
(
ふね
)
を
用意
(
ようい
)
し
友彦
(
ともひこ
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひ
来
(
く
)
る
折
(
をり
)
しも
暴風
(
ばうふう
)
に
出会
(
であ
)
ひ、
177
艪
(
ろ
)
は
折
(
を
)
れ
進退
(
しんたい
)
の
自由
(
じいう
)
を
失
(
うしな
)
ひ
漸
(
やうや
)
く
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
漂着
(
へうちやく
)
し、
178
見
(
み
)
れば
泥棒
(
どろばう
)
が
乗
(
の
)
つて
来
(
き
)
た
東助
(
とうすけ
)
と
刻印
(
しるし
)
のついた
釣船
(
つりぶね
)
、
179
てつきり
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
逃
(
に
)
げ
忍
(
しの
)
び
居
(
を
)
るならむと、
180
吾々
(
われわれ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
つ
駆来
(
かけき
)
て
見
(
み
)
れば、
181
嗅覚
(
しうかく
)
鋭利
(
えいり
)
な
此
(
この
)
犬
(
いぬ
)
の
力
(
ちから
)
によつて、
182
此処
(
ここ
)
まで
尋
(
たづ
)
ねて
参
(
まゐ
)
つた
捕手
(
とりて
)
の
役人
(
やくにん
)
で
御座
(
ござ
)
る。
183
もう
斯
(
こ
)
うなつてはお
隠
(
かく
)
しになつても
駄目
(
だめ
)
で
御座
(
ござ
)
る。
184
糞
(
くそ
)
の
臭
(
にほひ
)
が
此
(
この
)
岩窟
(
いはや
)
の
中
(
なか
)
まで
続
(
つな
)
がつて
居
(
ゐ
)
る
以上
(
いじやう
)
は、
185
てつきり
泥棒
(
どろばう
)
は
当岩窟
(
たういはや
)
に
居
(
を
)
るに
相違
(
さうゐ
)
御座
(
ござ
)
るまい、
186
さア
速
(
すみや
)
かにお
渡
(
わた
)
し
召
(
め
)
され』
187
と
肩臂
(
かたひぢ
)
怒
(
いか
)
らし
仁王立
(
にわうだ
)
ちになつて
力味
(
りきみ
)
かへり
居
(
ゐ
)
る。
188
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
『
皆
(
みな
)
さま、
189
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
で
御座
(
ござ
)
つた。
190
此処
(
ここ
)
に
犬
(
いぬ
)
が
一匹
(
いつぴき
)
居
(
を
)
りまする。
191
何卒
(
どうぞ
)
早
(
はや
)
く
縛
(
しば
)
つて
御
(
お
)
帰
(
かへ
)
り
下
(
くだ
)
さい。
192
どうも
斯
(
こ
)
うもならぬ
友彦
(
ともひこ
)
と
言
(
い
)
ふ
野良犬
(
のらいぬ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
193
オホヽヽヽ』
194
と
歯
(
は
)
の
脱
(
ぬ
)
けた
口
(
くち
)
から
零
(
こぼ
)
れた
様
(
やう
)
な
笑
(
わら
)
ひをする。
195
高姫
(
たかひめ
)
は
目敏
(
めざと
)
く
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て、
196
高姫
(
たかひめ
)
『
誰
(
たれ
)
かと
思
(
おも
)
へば
清
(
きよ
)
に
武
(
たけ
)
、
197
鶴
(
つる
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
ぢやないか。
198
東助
(
とうすけ
)
船頭
(
せんどう
)
と
共謀
(
ぐる
)
になつてようこの
高姫
(
たかひめ
)
を
馬鹿
(
ばか
)
にした。
199
さア
良
(
よ
)
い
処
(
ところ
)
へうせた。
200
もう
量見
(
りやうけん
)
ならぬぞ。
201
……モシモシ
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
さま、
202
貴女
(
あなた
)
の
部下
(
ぶか
)
を
十
(
じふ
)
人
(
にん
)
ばかりお
貸
(
かし
)
下
(
くだ
)
され。
203
如何
(
どう
)
も
斯
(
こ
)
うもならぬ
反逆者
(
うらがへりもの
)
、
204
懲戒
(
みせしめ
)
の
為
(
た
)
め
縛
(
しば
)
りつけて、
205
チツと
許
(
ばか
)
り
膏
(
あぶら
)
をとつてやらねばなりませぬ』
206
三
(
さん
)
人
(
にん
)
『アハヽヽヽ、
207
オイ
高
(
たか
)
……
婆
(
ばば
)
ア
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬ
)
かすのだ。
208
勿体
(
もつたい
)
なくも
淡路島
(
あはぢしま
)
の
洲本
(
すもと
)
に
於
(
おい
)
て
雷名
(
らいめい
)
隠
(
かく
)
れなき
人子
(
ひとご
)
の
司
(
つかさ
)
、
209
東助
(
とうすけ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
家来
(
けらい
)
だぞ。
210
今迄
(
いままで
)
は
貴様
(
きさま
)
に
清
(
きよ
)
だの、
211
武
(
たけ
)
だの、
212
鶴
(
つる
)
だのと
頤
(
あご
)
の
先
(
さき
)
で
使
(
つか
)
はれて
来
(
き
)
たが、
213
もう
今日
(
こんにち
)
の
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
はチツと
相場
(
さうば
)
が
違
(
ちが
)
ふのだから
其
(
その
)
心組
(
つもり
)
で
謹
(
つつし
)
んで
返答
(
へんたふ
)
をせい。
214
無礼
(
ぶれい
)
な
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
すと
貴様
(
きさま
)
も
一緒
(
いつしよ
)
に
召捕
(
めしと
)
つて
帰
(
かへ
)
らうか』
215
高姫
(
たかひめ
)
は
泰然
(
たいぜん
)
自若
(
じじやく
)
として、
216
高姫
(
たかひめ
)
『オホヽヽヽ、
217
鉛製
(
なまりせい
)
の
閻魔
(
えんま
)
の
様
(
やう
)
な
其
(
その
)
態
(
ざま
)
は
何
(
なん
)
だ。
218
見
(
み
)
つともない。
219
玩具
(
おもちや
)
の
九寸
(
くすん
)
五分
(
ごぶ
)
を
以
(
もつ
)
て
嚇
(
おど
)
かす
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
をしたつて
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
は、
220
いつかな いつかなビク
付
(
つ
)
く
様
(
やう
)
な
弱
(
よわ
)
い
女
(
をんな
)
で
御座
(
ござ
)
いませぬワイ。
221
之
(
これ
)
でも
猪食
(
ししく
)
つた
犬
(
いぬ
)
だ。
222
見事
(
みごと
)
召捕
(
めしと
)
るなら
召捕
(
めしと
)
つて
見
(
み
)
よ』
223
と
争
(
いさか
)
ふ
其
(
その
)
隙
(
すき
)
を
考
(
かんが
)
へ、
224
友彦
(
ともひこ
)
は
四
(
よ
)
つ
這
(
ば
)
ひになつて、
225
ノソリノソリと
黒
(
くろ
)
い
褌
(
まわし
)
を
尾
(
を
)
の
様
(
やう
)
に
垂
(
た
)
らし
乍
(
なが
)
ら、
226
表口
(
おもてぐち
)
さして
遁
(
に
)
げ
出
(
だ
)
さうとする。
227
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
引張
(
ひつぱ
)
つて
来
(
き
)
た
洋犬
(
かめ
)
はワンワンと
威喝
(
ゐかつ
)
し
乍
(
なが
)
ら
友彦
(
ともひこ
)
の
尻
(
しり
)
に
噛
(
か
)
じり
付
(
つ
)
いた。
228
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
何
(
なに
)
が
何
(
なに
)
やら、
229
二組
(
ふたくみ
)
も
三組
(
みくみ
)
も
混線
(
こんせん
)
した
此
(
この
)
争
(
いさか
)
ひに
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し、
230
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に、
231
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
『
南無
(
なむ
)
バラモン
教主
(
けうしゆ
)
大国別
(
おほくにわけの
)
命
(
みこと
)
、
232
守
(
まも
)
り
給
(
たま
)
へ
幸倍
(
さちはへ
)
給
(
たま
)
へ』
233
と
一心
(
いつしん
)
不乱
(
ふらん
)
に
汗
(
あせ
)
を
流
(
なが
)
して
祈願
(
きぐわん
)
して
居
(
ゐ
)
る。
234
清
(
きよ
)
、
235
武
(
たけ
)
、
236
鶴
(
つる
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
友彦
(
ともひこ
)
を
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
に
縛
(
いまし
)
め、
237
岩窟
(
いはや
)
の
外
(
そと
)
に
引
(
ひ
)
き
出
(
だ
)
し、
238
茨
(
いばら
)
の
苔
(
むち
)
を
携
(
たづさ
)
へ、
239
三人
『さあ、
240
泥棒
(
どろばう
)
、
241
キリキリ
歩
(
あゆ
)
めツ』
242
と
引張
(
ひつぱ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
243
是
(
これ
)
より
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は、
244
高姫
(
たかひめ
)
、
245
貫州
(
くわんしう
)
、
246
久助
(
きうすけ
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
247
宝
(
たから
)
の
所在
(
ありか
)
の
探索
(
たんさく
)
を
兼
(
か
)
ね、
248
オースタリヤの
女王
(
ぢよわう
)
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
に
面会
(
めんくわい
)
せむと、
249
一艘
(
いつそう
)
の
船
(
ふね
)
に
身
(
み
)
を
託
(
たく
)
し
果物
(
くだもの
)
を
数多
(
あまた
)
積込
(
つみこ
)
み、
250
小豆
(
せうど
)
ケ
島
(
しま
)
を
後
(
あと
)
に、
251
瀬戸
(
せと
)
の
海
(
うみ
)
を
乗
(
の
)
り
切
(
き
)
り
馬関
(
ばくわん
)
海峡
(
かいけふ
)
を
越
(
こ
)
え、
252
西
(
にし
)
へ
西
(
にし
)
へと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
253
(
大正一一・六・一三
旧五・一八
北村隆光
録)
254
(昭和一〇・六・五 旧五・五 王仁校正)
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