霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第43巻(午の巻)
序文
総説
第1篇 狂風怪猿
01 烈風
〔1152〕
02 懐谷
〔1153〕
03 失明
〔1154〕
04 玉眼開
〔1155〕
05 感謝歌
〔1156〕
第2篇 月下の古祠
06 祠前
〔1157〕
07 森議
〔1158〕
08 噴飯
〔1159〕
09 輸入品
〔1160〕
第3篇 河鹿の霊嵐
10 夜の昼
〔1161〕
11 帰馬
〔1162〕
12 双遇
〔1163〕
第4篇 愛縁義情
13 軍談
〔1164〕
14 忍び涙
〔1165〕
15 温愛
〔1166〕
第5篇 清松懐春
16 鰌鍋
〔1167〕
17 反歌
〔1168〕
18 石室
〔1169〕
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サブスクのお知らせ
霊界物語
>
第43巻
> 第3篇 河鹿の霊嵐 > 第10章 夜の昼
<<< 輸入品
(B)
(N)
帰馬 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第一〇章
夜
(
よる
)
の
昼
(
ひる
)
〔一一六一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第43巻 舎身活躍 午の巻
篇:
第3篇 河鹿の霊嵐
よみ(新仮名遣い):
かじかのれいらん
章:
第10章 夜の昼
よみ(新仮名遣い):
よるのひる
通し章番号:
1161
口述日:
1922(大正11)年11月27日(旧10月9日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年7月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
宣伝使亀彦は治国別と名を改めて、万公、晴公、五三公の三人の供を従え、河鹿峠の頂上に着き、あたりの岩に腰を掛けて四方の原野を見晴らし、これまでの来し方行く末を語り合っていた。
治国別は、バラモン軍が峠を渡って斎苑館に攻めてくるという神素盞嗚大神の言を三人に伝えた。そして、宣伝使の組を四つも五つも派遣したのは攻めてくるバラモン軍に対して言霊戦を開始するためであろうと述べた。
万公、晴公、五三公は滑稽なやり取りをしながら腹ごしらえをした。そのうちに人馬の物音が騒々しく聞こえてきた。治国別と晴公は宣伝歌を歌いながら道を下って行った。一行はバラモン軍を待ち受けるのに適切な急坂の上に陣取った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-01-07 20:02:20
OBC :
rm4310
愛善世界社版:
147頁
八幡書店版:
第8輯 82頁
修補版:
校定版:
155頁
普及版:
63頁
初版:
ページ備考:
001
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
に
現
(
あ
)
れませる
002
瑞
(
みづ
)
の
御魂
(
みたま
)
の
救主
(
すくひぬし
)
003
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
004
神言
(
みこと
)
畏
(
かしこ
)
み
亀彦
(
かめひこ
)
は
005
治国別
(
はるくにわけ
)
と
改
(
あらた
)
めて
006
万公
(
まんこう
)
晴公
(
はるこう
)
五三公
(
いそこう
)
の
007
三人
(
みたり
)
の
御供
(
みとも
)
を
従
(
したが
)
へつ
008
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
菊子姫
(
きくこひめ
)
009
妻
(
つま
)
の
命
(
みこと
)
に
相別
(
あひわか
)
れ
010
凩
(
こがらし
)
荒
(
すさ
)
ぶ
秋
(
あき
)
の
野
(
の
)
を
011
足
(
あし
)
に
任
(
まか
)
せてテクテクと
012
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
の
山麓
(
さんろく
)
に
013
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
れる
折
(
をり
)
もあれ
014
千引
(
ちびき
)
の
岩
(
いは
)
も
飛
(
と
)
び
散
(
ち
)
れと
015
いはぬ
計
(
ばか
)
りに
吹
(
ふ
)
きつける
016
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
に
面
(
おもて
)
をば
017
さらして
漸
(
やうや
)
く
頂上
(
ちやうじやう
)
に
018
息
(
いき
)
をはづませ
登
(
のぼ
)
りつき
019
あたりの
厳
(
いはほ
)
に
腰
(
こし
)
をかけ
020
四方
(
よも
)
の
原野
(
げんや
)
を
見
(
み
)
はらして
021
吾
(
わが
)
身
(
み
)
のこし
方
(
かた
)
行末
(
ゆくすゑ
)
を
022
思
(
おも
)
ひまはすぞ
床
(
ゆか
)
しけれ。
023
万公
(
まんこう
)
『
先生
(
せんせい
)
様
(
さま
)
、
024
何
(
なん
)
と
佳
(
よ
)
い
風景
(
ふうけい
)
ぢやありませぬか。
025
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
の
頂上
(
ちやうじやう
)
から
四方
(
しはう
)
を
見
(
み
)
はらす
光景
(
くわうけい
)
は
何時
(
いつ
)
も
素的
(
すてき
)
ですが、
026
あれを
御覧
(
ごらん
)
なさいませ。
027
広大
(
くわうだい
)
なる
原野
(
げんや
)
の
果
(
はて
)
に、
028
白雲
(
しらくも
)
の
衣
(
きぬ
)
を
被
(
かぶ
)
つて、
029
頭
(
あたま
)
をチヨツクリと
出
(
だ
)
してる
彼
(
あ
)
の
高山
(
かうざん
)
は、
030
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
へぬ
正
(
ただ
)
しい
姿
(
すがた
)
ぢやありませぬか。
031
八合目
(
はちがふめ
)
以下
(
いか
)
は
綿
(
わた
)
の
衣
(
ころも
)
に
包
(
つつ
)
まれ、
032
頭
(
あたま
)
の
上
(
うへ
)
は
常磐木
(
ときはぎ
)
が
鬱蒼
(
うつさう
)
と
生
(
は
)
え
茂
(
しげ
)
り、
033
腰
(
こし
)
あたりに
白雲
(
しらくも
)
の
帯
(
おび
)
を
引締
(
ひきし
)
めてゐる
光景
(
くわうけい
)
と
言
(
い
)
つたら、
034
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
へない
床
(
ゆか
)
しさ
否
(
いな
)
、
035
眺
(
なが
)
めですなア。
036
斯
(
か
)
う
四方
(
しはう
)
を
見
(
み
)
はらした
山
(
やま
)
の
上
(
うへ
)
に
立
(
た
)
つてゐると、
037
何
(
なん
)
だか
第一
(
だいいち
)
天国
(
てんごく
)
へでも
登
(
のぼ
)
りつめたやうな
気分
(
きぶん
)
が
漂
(
ただよ
)
ふぢやありませぬか。
038
願
(
ねが
)
はくはいつ
迄
(
まで
)
も
斯様
(
かやう
)
な
崇高
(
すうかう
)
な
景色
(
けしき
)
を
眺
(
なが
)
めて、
039
ここに
千
(
せん
)
年
(
ねん
)
も
万
(
まん
)
年
(
ねん
)
も
粘着
(
ねんちやく
)
して
居
(
を
)
りたいものですなア』
040
治国別
(
はるくにわけ
)
『さうだ、
041
お
前
(
まへ
)
の
言
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り、
042
雄大
(
ゆうだい
)
な
景色
(
けしき
)
だなア。
043
佐保姫
(
さほひめ
)
もこれ
丈
(
だけ
)
の
錦
(
にしき
)
を、
044
広大
(
くわうだい
)
無辺
(
むへん
)
の
原野
(
げんや
)
に
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
織
(
おり
)
なすといふのは、
045
余程
(
よほど
)
骨
(
ほね
)
の
折
(
を
)
れる
事
(
こと
)
だらう。
046
これを
思
(
おも
)
へば
天然力
(
てんねんりよく
)
否
(
いな
)
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
は
偉大
(
ゐだい
)
なものだ。
047
造化
(
ざうくわ
)
の
妙機
(
めうき
)
活動
(
くわつどう
)
に
比
(
くら
)
ぶれば、
048
実
(
じつ
)
に
吾々
(
われわれ
)
の
活動
(
くわつどう
)
は
九牛
(
きうぎう
)
の
一毛
(
いちまう
)
にも
足
(
た
)
らないやうな
感
(
かん
)
じがして、
049
実
(
まこと
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
へ
対
(
たい
)
しお
恥
(
はづ
)
かしいやうだ。
050
アヽかかる
美
(
うる
)
はしき
地上
(
ちじやう
)
の
天国
(
てんごく
)
に
晏如
(
あんじよ
)
として
生
(
せい
)
を
送
(
おく
)
らして
頂
(
いただ
)
く
吾々
(
われわれ
)
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
は
何
(
なん
)
たる
幸福
(
かうふく
)
なことであらう。
051
神
(
かみ
)
の
造
(
つく
)
られし
山河
(
さんか
)
原野
(
げんや
)
は
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
のやうに
別
(
べつ
)
に
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで
喧
(
やかま
)
しく
言問
(
ことと
)
ひせなくても、
052
花
(
はな
)
の
咲
(
さ
)
く
時分
(
じぶん
)
には
一切
(
いつさい
)
平等
(
べうどう
)
に
花
(
はな
)
を
咲
(
さ
)
かし、
053
実
(
み
)
を
結
(
むす
)
ぶ
時
(
とき
)
には
統一
(
とういつ
)
的
(
てき
)
に
実
(
み
)
を
結
(
むす
)
ぶ。
054
実
(
じつ
)
に
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
は
絶大
(
ぜつだい
)
なものだ』
055
晴公
(
はるこう
)
『
実
(
じつ
)
に
晴々
(
はればれ
)
とした
光景
(
くわうけい
)
ですなア。
056
天
(
てん
)
か
地
(
ち
)
か
地
(
ち
)
か
天
(
てん
)
か、
057
殆
(
ほとん
)
ど
判別
(
はんべつ
)
がつかないやうな
極楽
(
ごくらく
)
の
光景
(
くわうけい
)
ぢやありませぬか。
058
此
(
この
)
無限
(
むげん
)
絶大
(
ぜつだい
)
なる
世界
(
せかい
)
に
生
(
せい
)
を
禀
(
う
)
け、
059
自然
(
しぜん
)
の
天恵
(
てんけい
)
を
十二分
(
じふにぶん
)
に
楽
(
たのし
)
み、
060
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
一切
(
いつさい
)
万物
(
ばんぶつ
)
を
左右
(
さいう
)
し
得
(
う
)
る
権能
(
けんのう
)
を
与
(
あた
)
へられ
乍
(
なが
)
ら、
061
小
(
ちひ
)
さい
欲
(
よく
)
に
捉
(
とら
)
はれて
屋敷
(
やしき
)
の
堺
(
さかひ
)
を
争
(
あらそ
)
うたり、
062
田畑
(
たはた
)
の
畦
(
くろ
)
を
取合
(
とりあ
)
ひしたりしてゐる
人間
(
にんげん
)
の
心
(
こころ
)
が
分
(
わか
)
らぬぢやありませぬか。
063
私
(
わたし
)
は
今
(
いま
)
となつて
此
(
この
)
景色
(
けしき
)
を
見
(
み
)
るに
付
(
つ
)
け、
064
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
力
(
ちから
)
の
偉大
(
ゐだい
)
なるに
驚
(
おどろ
)
きました。
065
ヤツパリ
人間
(
にんげん
)
は
低
(
ひく
)
い
所
(
ところ
)
に
齷齪
(
あくせく
)
して
世間
(
せけん
)
を
見
(
み
)
ずに
暮
(
くら
)
してると、
066
自然
(
しぜん
)
気
(
き
)
が
小
(
ちひ
)
さくなり、
067
小利
(
せうり
)
小欲
(
せうよく
)
に
捉
(
とら
)
はれて、
068
自
(
みづか
)
ら
苦悩
(
くなう
)
の
種
(
たね
)
を
蒔
(
ま
)
くやうになるものですなア。
069
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
070
治国別
(
はるくにわけ
)
『
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
に
承
(
うけたま
)
はれば、
071
バラモン
教
(
けう
)
の
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
が
此
(
この
)
峠
(
たうげ
)
を
渉
(
わた
)
りて
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
へ
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
るとの
事
(
こと
)
だ。
072
吾々
(
われわれ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
を
四組
(
よくみ
)
も
五組
(
いつくみ
)
も
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
へ
御
(
ご
)
派遣
(
はけん
)
遊
(
あそ
)
ばしたのも、
073
深
(
ふか
)
き
思召
(
おぼしめし
)
のあることだらう。
074
ハルナの
都
(
みやこ
)
などは
黄金姫
(
わうごんひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
一行
(
いつかう
)
がお
出
(
い
)
でになれば
十分
(
じふぶん
)
だ。
075
要
(
えう
)
するに
吾々
(
われわれ
)
は
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
に
向
(
むか
)
つて
言霊戦
(
ことたません
)
を
開始
(
かいし
)
すべく
派遣
(
はけん
)
されたのであらう。
076
さうでなくては、
077
何程
(
なにほど
)
勢力
(
せいりよく
)
無限
(
むげん
)
の
大黒主
(
おほくろぬし
)
だとて
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
078
殆
(
ほとん
)
ど
総出
(
そうで
)
といふやうな
大袈裟
(
おほげさ
)
なことは
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
遊
(
あそ
)
ばす
筈
(
はず
)
がない。
079
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
も
其
(
その
)
考
(
かんが
)
へで
居
(
を
)
らなくてはならないぞ。
080
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
は
名
(
な
)
に
負
(
お
)
ふ
大国
(
たいこく
)
五天竺
(
ごてんじく
)
といつて
五州
(
ごしう
)
に
大別
(
たいべつ
)
され、
081
七千
(
しちせん
)
余
(
よ
)
ケ
国
(
こく
)
の
刹帝利
(
せつていり
)
族
(
ぞく
)
が
国王
(
こくわう
)
となつて、
082
互
(
たがひ
)
に
鎬
(
しのぎ
)
を
削
(
けづ
)
り、
083
此
(
この
)
美
(
うる
)
はしき
地上
(
ちじやう
)
の
天国
(
てんごく
)
に
修羅道
(
しゆらだう
)
を
現出
(
げんしゆつ
)
してゐるのだから、
084
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
心
(
こころ
)
を
奉戴
(
ほうたい
)
し、
085
吾々
(
われわれ
)
一行
(
いつかう
)
は
如何
(
どう
)
しても
五六七
(
みろく
)
神政
(
しんせい
)
出現
(
しゆつげん
)
の
為
(
た
)
めに
粉骨
(
ふんこつ
)
砕身
(
さいしん
)
的
(
てき
)
の
活動
(
くわつどう
)
を
励
(
はげ
)
まねばなるまい、
086
実
(
じつ
)
に
重大
(
ぢゆうだい
)
なる
使命
(
しめい
)
を
与
(
あた
)
へられたものだ。
087
天地
(
てんち
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
に
十分
(
じふぶん
)
に
感謝
(
かんしや
)
をせなくてはならない。
088
あゝ
有難
(
ありがた
)
し
有難
(
ありがた
)
し、
089
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
090
と
合掌
(
がつしやう
)
し
瞑目
(
めいもく
)
傾首
(
けいしゆ
)
してゐる。
091
五三公
(
いそこう
)
『モシ
先生
(
せんせい
)
様
(
さま
)
、
092
お
話
(
はなし
)
の
通
(
とほ
)
りならば、
093
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
はキツと
途中
(
とちう
)
で
吾々
(
われわれ
)
と
遭遇
(
でくわ
)
すでせうなア』
094
治国別
(
はるくにわけ
)
『ウン、
095
最早
(
もはや
)
間
(
ま
)
もあるまい。
096
各自
(
かくじ
)
に
腹帯
(
はらおび
)
を
確
(
しつか
)
り
締
(
し
)
めておかねばなるまいぞ』
097
五三公
(
いそこう
)
『ハイ、
098
それは
斎苑
(
いそ
)
館
(
やかた
)
出立
(
しゆつたつ
)
の
時
(
とき
)
から、
099
腹
(
はら
)
が
瓢箪
(
へうたん
)
になる
程
(
ほど
)
細帯
(
ほそおび
)
でしめて
来
(
き
)
ました。
100
赤
(
あか
)
い
筋
(
すぢ
)
がついて
痛
(
いた
)
い
位
(
くらゐ
)
ですもの、
101
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
ですワ。
102
併
(
しか
)
し
少
(
すこ
)
しく
腹
(
はら
)
が
減
(
へ
)
りましたから、
103
ここでパンでも
頂
(
いただ
)
きますか。
104
さうでなくては、
105
マ
一度
(
いちど
)
締
(
し
)
め
直
(
なほ
)
さなくちやズリさうになつて
来
(
き
)
ました』
106
治国別
(
はるくにわけ
)
『アハヽヽヽ』
107
万公
(
まんこう
)
『オイ
五三
(
いそ
)
、
108
分
(
わか
)
らぬ
男
(
をとこ
)
だなア。
109
そんな
腹帯
(
はらおび
)
ぢやないワイ。
110
心
(
こころ
)
の
腹帯
(
はらおび
)
をしめ……と
仰有
(
おつしや
)
るのだ』
111
五三公
(
いそこう
)
『
心
(
こころ
)
の
腹帯
(
はらおび
)
て、
112
どんなものだい。
113
無形
(
むけい
)
の
腹帯
(
はらおび
)
を
如何
(
どう
)
して
締
(
し
)
めるのだ。
114
そんな
荒唐
(
くわうたう
)
無稽
(
むけい
)
のことをいふと、
115
人心
(
じんしん
)
惑乱
(
わくらん
)
の
罪
(
つみ
)
で、
116
バラモン
署
(
しよ
)
へ
拘引
(
こういん
)
されるぞ』
117
万公
(
まんこう
)
『アツハヽヽヽ
徹底
(
てつてい
)
的
(
てき
)
に
没分暁漢
(
わからずや
)
だなア。
118
天
(
てん
)
の
配剤
(
はいざい
)
宜
(
よろ
)
しきを
得
(
え
)
たりといふべしだ。
119
至聖
(
しせい
)
大賢
(
たいけん
)
計
(
ばか
)
りが
斯
(
か
)
う
揃
(
そろ
)
つてゐると、
120
道中
(
だうちう
)
は
固苦
(
かたくる
)
しくて
根
(
ね
)
つから
興味
(
きようみ
)
がないと
思
(
おも
)
つてゐたが、
121
五三公
(
いそこう
)
のやうなゴサゴサ
人足
(
にんそく
)
が
混入
(
こんにふ
)
してゐるとは、
122
面白
(
おもしろ
)
いものだ。
123
悪
(
わる
)
く
言
(
い
)
へば
天
(
てん
)
の
悪戯
(
いたづら
)
、
124
よく
言
(
い
)
へば
天
(
てん
)
の
配剤
(
はいざい
)
だ。
125
チツとばかり
貴様
(
きさま
)
がゐると
虫
(
むし
)
の
薬
(
くすり
)
になるかも
知
(
し
)
れない。
126
アハヽヽヽ』
127
五三公
(
いそこう
)
『コリヤ
余
(
あま
)
り
口
(
くち
)
が
過
(
す
)
ぎるぢやないか。
128
何
(
なん
)
だ、
129
結構
(
けつこう
)
な
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
さまを
掴
(
つか
)
まへて
竹
(
たけ
)
の
子
(
こ
)
医者
(
いしや
)
か
何
(
なん
)
ぞのやうに、
130
天
(
てん
)
の
配剤
(
はいざい
)
だとは、
131
余
(
あま
)
りバカにするぢやないか』
132
万公
(
まんこう
)
『クス クス クス』
133
五三公
(
いそこう
)
『コリヤ、
134
狸
(
たぬき
)
を
青松葉
(
あをまつば
)
で
燻
(
くす
)
べた
時
(
とき
)
のやうに、
135
何
(
なに
)
をクスクス
吐
(
ぬか
)
すのだ。
136
チツと
俺
(
おれ
)
のいふことも
能
(
よ
)
く
せんやく
(
煎薬
(
せんやく
)
)して
聞
(
き
)
け、
137
こうやく
(
膏薬
(
かうやく
)
)の
為
(
ため
)
になるから、
138
ヤクザ
人足
(
にんそく
)
奴
(
め
)
、
139
そんな
事
(
こと
)
でマサカの
時
(
とき
)
のお
やく
に
立
(
た
)
つかい、
140
エヽー』
141
万公
(
まんこう
)
『そんなこた、
142
如何
(
どう
)
でもいゝワ。
143
早
(
はや
)
くパンでも
頂
(
いただ
)
いて
腹
(
はら
)
をドツシリと
拵
(
こしら
)
へ、
144
敵
(
てき
)
の
襲来
(
しふらい
)
に
備
(
そな
)
へるのだ。
145
グヅグヅしてはゐられないぞ』
146
五三公
(
いそこう
)
『
敵
(
てき
)
に
供
(
そな
)
へてやる
丈
(
だけ
)
のパンがあるかい。
147
自分
(
じぶん
)
の
生宮
(
いきみや
)
に
鎮座
(
ちんざ
)
まします
喉
(
のど
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
や
仏
(
ほとけ
)
様
(
さま
)
に
供
(
そな
)
へる
丈
(
だけ
)
より
持
(
も
)
つてゐないのだから、
148
余計
(
よけい
)
な
敵
(
てき
)
の
世話
(
せわ
)
迄
(
まで
)
やく
必要
(
ひつえう
)
があるか。
149
敵
(
てき
)
に
兵糧
(
ひやうらう
)
を
与
(
あた
)
へる
奴
(
やつ
)
ア、
150
馬鹿
(
ばか
)
の
骨頂
(
こつちやう
)
だ』
151
万公
(
まんこう
)
『
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
道
(
みち
)
からいへば、
152
敵
(
てき
)
も
味方
(
みかた
)
も
決
(
けつ
)
してあるものでない。
153
三十万
(
さんじふまん
)
年
(
ねん
)
未来
(
みらい
)
に、
154
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
に
謙信
(
けんしん
)
、
155
信玄
(
しんげん
)
といふ
大名
(
だいみやう
)
があつて、
156
戦争
(
せんそう
)
をやつた
時
(
とき
)
に、
157
一方
(
いつぱう
)
の
敵
(
てき
)
へ
向
(
む
)
けて
塩
(
しほ
)
を
贈
(
おく
)
つたといふ
美談
(
びだん
)
があるさうだから、
158
敵
(
てき
)
を
仁慈
(
じんじ
)
を
以
(
もつ
)
て
言向和
(
ことむけやは
)
すのには、
159
恩威
(
おんゐ
)
並
(
なら
)
び
行
(
おこな
)
はねば
到底
(
たうてい
)
駄目
(
だめ
)
だ。
160
貴様
(
きさま
)
の
筆法
(
ひつぱふ
)
で
言
(
い
)
へば
丸切
(
まるき
)
りウラル
教
(
けう
)
式
(
しき
)
だ。
161
自分
(
じぶん
)
さへよければ
人
(
ひと
)
はどうでもいいといふ
邪神
(
じやしん
)
的
(
てき
)
主義
(
しゆぎ
)
精神
(
せいしん
)
だから、
162
そんなことでは
大任
(
たいにん
)
を
双肩
(
さうけん
)
に
担
(
にな
)
ひ
玉
(
たま
)
ふ
治国別
(
はるくにわけ
)
先生
(
せんせい
)
のお
供
(
とも
)
は
叶
(
かな
)
はぬぞ。
163
アーン』
164
治国別
(
はるくにわけ
)
『オイ
万公
(
まんこう
)
、
165
五三公
(
いそこう
)
、
166
いらざる
兄弟
(
けうだい
)
喧嘩
(
げんくわ
)
はやめたがよからうぞ。
167
サア
是
(
これ
)
からがお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
の
活動
(
くわつどう
)
舞台
(
ぶたい
)
だ』
168
万公
(
まんこう
)
『
敵
(
てき
)
の
片影
(
へんえい
)
を
見
(
み
)
ず、
169
今
(
いま
)
から
捻鉢巻
(
ねぢはちまき
)
をして
気張
(
きば
)
つた
所
(
ところ
)
で、
170
マサカの
時
(
とき
)
になつたら
待
(
ま
)
ち
草臥
(
くたび
)
れて
力
(
ちから
)
が
脱
(
ぬ
)
けて
了
(
しま
)
ふぢやありませぬか』
171
治国別
(
はるくにわけ
)
『イヤイヤ
半時
(
はんとき
)
許
(
ばか
)
り
経
(
た
)
てばキツと
敵軍
(
てきぐん
)
に
出会
(
しゆつくわい
)
するにきまつてゐる。
172
玉国別
(
たまくにわけ
)
と
吾々
(
われわれ
)
とが
坂
(
さか
)
の
上下
(
うへした
)
から
言霊
(
ことたま
)
を
打出
(
うちだ
)
して、
173
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
帰順
(
きじゆん
)
せしむべき
段取
(
だんどり
)
がチヤンとついてゐるのだ。
174
能
(
よ
)
く
心
(
こころ
)
を
落着
(
おちつ
)
けて、
175
騒
(
さわ
)
がない
様
(
やう
)
にせなくちやならぬぞ。
176
千載
(
せんざい
)
一遇
(
いちぐう
)
の
好機
(
かうき
)
だ、
177
之
(
これ
)
を
逸
(
いつ
)
しては、
178
神
(
かみ
)
の
大前
(
おほまへ
)
に
勲功
(
くんこう
)
を
現
(
あら
)
はす
時期
(
じき
)
はないぞ』
179
万公
(
まんこう
)
『それ
程
(
ほど
)
敵
(
てき
)
は
間近
(
まぢか
)
に
押寄
(
おしよ
)
せて
居
(
を
)
りますか。
180
さう
承
(
うけたま
)
はらば
吾々
(
われわれ
)
もウカウカしては
居
(
を
)
られませぬ。
181
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
黄金姫
(
わうごんひめ
)
様
(
さま
)
や
照国別
(
てるくにわけ
)
様
(
さま
)
の
一行
(
いつかう
)
は
大衝突
(
だいしようとつ
)
をやられたでせうなア』
182
治国別
(
はるくにわけ
)
『
多少
(
たせう
)
の
衝突
(
しようとつ
)
はあつたであらう。
183
併
(
しか
)
し
何
(
いづ
)
れも
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
だ。
184
あの
方々
(
かたがた
)
と
吾々
(
われわれ
)
とは
使命
(
しめい
)
が
違
(
ちが
)
ふのだから……
丁度
(
ちやうど
)
此
(
この
)
下
(
くだ
)
り
坂
(
ざか
)
を
楯
(
たて
)
にとつて、
185
言霊戦
(
ことたません
)
を
開始
(
かいし
)
すれば
屈竟
(
くつきやう
)
の
地点
(
ちてん
)
だ』
186
五三公
(
いそこう
)
は、
187
五三公
『ヤアそれは
大変
(
たいへん
)
、
188
時
(
とき
)
こそ
到
(
いた
)
れり、
189
敵
(
てき
)
は
間近
(
まぢか
)
に
押
(
おし
)
よせたり。
190
吾
(
われ
)
こそは
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
治国別
(
はるくにわけ
)
の
幕下
(
ばくか
)
五三公
(
いそこうの
)
命
(
みこと
)
だ。
191
バラモン
教
(
けう
)
の
奴原
(
やつばら
)
、
192
サア
来
(
こ
)
い
来
(
きた
)
れ。
193
一人
(
ひとり
)
二人
(
ふたり
)
は
邪魔
(
じやま
)
臭
(
くさ
)
いイヤ
面倒
(
めんだう
)
だ。
194
百
(
ひやく
)
人
(
にん
)
千
(
せん
)
人
(
にん
)
束
(
そく
)
に
結
(
ゆ
)
うて
束
(
たば
)
ねて
一度
(
いちど
)
にかかれ。
195
ウンウンウン』
196
と
左右
(
さいう
)
の
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
め、
197
稍
(
やや
)
反
(
そ
)
り
気味
(
ぎみ
)
になつて、
198
胸
(
むね
)
の
辺
(
あた
)
りをトントントンとなぐつてゐる。
199
治国別
(
はるくにわけ
)
『アツハヽヽ
五三公
(
いそこう
)
の
武者
(
むしや
)
振
(
ぶ
)
りは
今
(
いま
)
始
(
はじ
)
めて
拝見
(
はいけん
)
した。
200
何時迄
(
いつまで
)
も
其
(
その
)
勢
(
いきほひ
)
を
続
(
つづ
)
けて
貰
(
もら
)
ひたいものだなア』
201
万公
(
まんこう
)
『コリヤ
五三
(
いそ
)
の
蔭弁慶
(
かげべんけい
)
、
202
何
(
なん
)
だ
今
(
いま
)
からさうはしやぐと、
203
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
時
(
とき
)
になつて、
204
精力
(
せいりよく
)
消耗
(
せうもう
)
し、
205
弱腰
(
よわごし
)
を
抜
(
ぬ
)
かし、
206
泣面
(
なきづら
)
を
天日
(
てんぴ
)
に
曝
(
さら
)
さねばならぬやうになるぞ。
207
モウ
少
(
すこ
)
し
沈着
(
ちんちやく
)
に
構
(
かま
)
へぬかい。
208
狼狽者
(
あわてもの
)
だなア』
209
五三公
(
いそこう
)
『
敵
(
てき
)
の
間近
(
まぢか
)
き
襲来
(
しふらい
)
と
聞
(
き
)
いて、
210
如何
(
どう
)
してこれが
騒
(
さわ
)
がずに
居
(
を
)
られようか。
211
弓腹
(
ゆはら
)
ふり
立
(
た
)
て
堅庭
(
かたには
)
に
向股
(
むかもも
)
ふみなづみ、
212
淡雪
(
あはゆき
)
なせる
蹴
(
く
)
えちらし、
213
厳
(
いづ
)
の
雄健
(
をたけ
)
びふみ
健
(
たけ
)
び、
214
厳
(
いづ
)
の
嘖譲
(
ころび
)
を
起
(
おこ
)
して、
215
海
(
うみ
)
往
(
ゆ
)
かば
水潜屍
(
みづくかばね
)
、
216
山
(
やま
)
往
(
ゆ
)
かば
草生屍
(
くさむすかばね
)
大神
(
おほかみ
)
の
辺
(
へ
)
にこそ
死
(
し
)
なめ、
217
閑
(
のど
)
には
死
(
し
)
なじ、
218
額
(
ひたひ
)
に
矢
(
や
)
は
立
(
た
)
つ
共
(
とも
)
背中
(
そびら
)
に
矢
(
や
)
は
立
(
た
)
てじ、
219
顧
(
かへり
)
みは
為
(
せ
)
じと、
220
弥進
(
いやすす
)
みに
進
(
すす
)
み、
221
弥逼
(
いやせま
)
りに
逼
(
せま
)
り、
222
山
(
やま
)
の
尾毎
(
をごと
)
に
追
(
お
)
ひ
伏
(
ふ
)
せ、
223
河
(
かは
)
の
瀬毎
(
せごと
)
に
追
(
お
)
ひ
散
(
ち
)
らし、
224
服
(
まつろ
)
へ
和
(
やは
)
し
言向和
(
ことむけやは
)
す
五三公
(
いそこう
)
さまの
獅子
(
しし
)
奮迅
(
ふんじん
)
の
武者振
(
むしやぶり
)
だ。
225
此
(
この
)
位
(
くらゐ
)
の
勢
(
いきほひ
)
がなくて、
226
如何
(
どう
)
して
大敵
(
たいてき
)
に
当
(
あた
)
られるものかい』
227
万公
(
まんこう
)
『
貴様
(
きさま
)
は
頻
(
しき
)
りに
愚問
(
ぐもん
)
を
発
(
はつ
)
するから、
228
此奴
(
こいつ
)
ア、
229
チト
低能児
(
ていのうじ
)
だと
思
(
おも
)
つてゐたが、
230
比較
(
ひかく
)
的
(
てき
)
悧巧
(
りかう
)
なことを
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
てるぢやないか』
231
五三公
(
いそこう
)
『きまつたことだい。
232
三五教
(
あななひけう
)
の
祝詞
(
のりと
)
仕込
(
じこみ
)
だ。
233
祝詞
(
のりと
)
其
(
その
)
ままだ。
234
群
(
むらが
)
りよせ
来
(
く
)
る
敵
(
てき
)
を
払
(
はら
)
ひ
玉
(
たま
)
へ
清
(
きよ
)
め
玉
(
たま
)
へと
申
(
まを
)
すことの
由
(
よし
)
を、
235
平
(
たひ
)
らけく
安
(
やす
)
らけく
聞
(
きこ
)
し
召
(
め
)
せと
申
(
まを
)
す。
236
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
237
万公
(
まんこう
)
『アツハヽヽヽ
此奴
(
こいつ
)
ア
又
(
また
)
偉
(
えら
)
い
空威張
(
からゐば
)
りだなア、
238
のう
晴公
(
はるこう
)
、
239
余程
(
よほど
)
いゝ
掘出
(
ほりだ
)
し
物
(
もの
)
ぢやないか。
240
マサカの
時
(
とき
)
になつたら、
241
尻
(
しり
)
に
帆
(
ほ
)
かけてスタコラヨイサと
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
す
代物
(
しろもの
)
だぜ』
242
晴公
(
はるこう
)
『ウツフヽヽヽ』
243
万公
(
まんこう
)
『
一
(
ひと
)
つ
此処
(
ここ
)
で
風流
(
ふうりう
)
気分
(
きぶん
)
を
養
(
やしな
)
つて
参
(
まゐ
)
りませうか。
244
大敵
(
たいてき
)
を
前
(
まへ
)
に
控
(
ひか
)
へ
悠々
(
いういう
)
として
余裕
(
よゆう
)
綽々
(
しやくしやく
)
たりといふ
益良男
(
ますらを
)
の
一団
(
いちだん
)
ですからなア』
245
治国別
(
はるくにわけ
)
『ウン、
246
一
(
ひと
)
つやつて
見
(
み
)
よ』
247
万公
(
まんこう
)
『
見
(
み
)
わたせば
四方
(
よも
)
の
山野
(
やまの
)
は
錦
(
にしき
)
着
(
き
)
て
248
吾
(
わが
)
一行
(
いつかう
)
を
迎
(
むか
)
へゐる
哉
(
かな
)
』
249
五三公
(
いそこう
)
『なあんだ、
250
そんな
怪体
(
けたい
)
な
歌
(
うた
)
があるかい、
251
かう
歌
(
うた
)
ふのだ、
252
エヽー……
253
見
(
み
)
わたせば、
山野
(
やまの
)
の
木々
(
きぎ
)
は
枯
(
か
)
れはてて
254
錦
(
にしき
)
のやうに
見
(
み
)
えにける
哉
(
かな
)
』
255
万公
(
まんこう
)
『ハツハヽヽヽ
何
(
なん
)
と
名歌
(
めいか
)
だなア、
256
柿本
(
かきのもと
)
人麿
(
ひとまろ
)
が
運上取
(
うんじやうと
)
りに
来
(
く
)
るぞ』
257
五三公
(
いそこう
)
『
柿
(
かき
)
の
本
(
もと
)
ぢやないワ、
258
山上
(
やまのうへの
)
赤人
(
あかひと
)
だ。
259
一
(
ひと
)
つ
足曳
(
あしびき
)
の
山鳥
(
やまどり
)
の
尾
(
を
)
をやつてみようかな、
260
エヽー』
261
万公
(
まんこう
)
『そりや
面白
(
おもしろ
)
からう。
262
サアサア
詠
(
よ
)
んだり
詠
(
よ
)
んだり
三十一
(
みそひと
)
文字
(
もじ
)
を……』
263
五三公
(
いそこう
)
『
山
(
やま
)
の
上
(
へ
)
にあかん
人
(
ひと
)
こそ
立
(
た
)
ちにけり
264
万更
(
まんざら
)
馬鹿
(
ばか
)
とは
見
(
み
)
えぬ
万公
(
まんこう
)
』
265
万公
(
まんこう
)
『コリヤ
五三
(
いそ
)
、
266
チツと
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
ぢやないか。
267
礼儀
(
れいぎ
)
といふことを
弁
(
わきま
)
へてゐるか』
268
五三公
(
いそこう
)
『
礼儀
(
れいぎ
)
を
知
(
し
)
らぬ
奴
(
やつ
)
がどこにあるかい。
269
擂鉢
(
すりばち
)
の
中
(
なか
)
へ
味噌
(
みそ
)
を
入
(
い
)
れてする
奴
(
やつ
)
ぢやないか、
270
エヽー。
271
それが
違
(
ちが
)
うたら、
272
売僧
(
まいす
)
坊主
(
ばうず
)
が
失敗
(
しつぱい
)
の
言訳
(
いひわけ
)
に
腹
(
はら
)
を
切
(
き
)
る
真似
(
まね
)
する
道具
(
だうぐ
)
だ。
273
エヽー』
274
万公
(
まんこう
)
『アハヽヽヽ
此奴
(
こいつ
)
アいよいよ
馬鹿
(
ばか
)
だ。
275
レンギと
礼儀
(
れいぎ
)
と
間違
(
まちが
)
へてゐやがる』
276
五三公
(
いそこう
)
『
其
(
その
)
位
(
くらゐ
)
な
間違
(
まちがひ
)
は
当然
(
たうぜん
)
だよ、
277
間違
(
まちがひ
)
だらけの
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だ。
278
石屋
(
いしや
)
と
医者
(
いしや
)
と
間違
(
まちが
)
へたり、
279
役者
(
やくしや
)
と
学者
(
がくしや
)
と
混同
(
こんどう
)
したり、
280
大鼓
(
たいこ
)
と
大根
(
だいこ
)
とを
一
(
ひと
)
つにしたりする
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だもの、
281
当然
(
たうぜん
)
だ。
282
エヽー』
283
万公
(
まんこう
)
『ウツフヽヽヽだ、
284
イツヒヽヽヽだ、
285
アツハヽヽヽ
阿呆
(
あはう
)
らしいワイ。
286
そんな
馬鹿
(
ばか
)
なことをいつてゐると、
287
それ
見
(
み
)
ろ、
288
鳶
(
とび
)
の
奴
(
やつ
)
、
289
大
(
おほ
)
きな
口
(
くち
)
をあけて
笑
(
わら
)
つてゐやがるワ』
290
五三公
(
いそこう
)
『きまつたことだよ。
291
飛
(
と
)
び
放
(
はな
)
れた
脱線
(
だつせん
)
振
(
ぶ
)
りを
発揮
(
はつき
)
してるのだもの。
292
鳶
(
とび
)
だつて、
293
笑
(
わら
)
つたり
呆
(
あき
)
れたり
舌
(
した
)
を
巻
(
ま
)
いたりするだらうかい』
294
治国別
(
はるくにわけ
)
『
三
(
さん
)
人
(
にん
)
ともパンを
食
(
く
)
つたかなア、
295
まだなら
早
(
はや
)
く
食
(
く
)
つておかないと、
296
時期
(
じき
)
が
切迫
(
せつぱく
)
したやうだ』
297
五三公
(
いそこう
)
『ハイ
時機
(
じき
)
切迫
(
せつぱく
)
と
仰有
(
おつしや
)
いましたが、
298
畏
(
かしこ
)
まりました。
299
ジキに
切迫
(
せつぱく
)
とパクついて
腹
(
はら
)
でも
拵
(
こしら
)
へませう。
300
ハラヒ
玉
(
たま
)
へ
清
(
きよ
)
め
玉
(
たま
)
へだ』
301
と
無駄口
(
むだぐち
)
を
叩
(
たた
)
き
乍
(
なが
)
ら、
302
パンを
取出
(
とりだ
)
し、
303
パクつき
始
(
はじ
)
めた。
304
風
(
かぜ
)
がもて
来
(
く
)
る
人馬
(
じんば
)
の
物音
(
ものおと
)
騒々
(
さうざう
)
しく
手
(
て
)
に
取
(
と
)
る
如
(
ごと
)
く
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
る。
305
万公
(
まんこう
)
『ヤアお
出
(
いで
)
たなア。
306
コリヤア
面白
(
おもしろ
)
い。
307
先生
(
せんせい
)
、
308
一
(
ひと
)
つ
万公
(
まんこう
)
の
活躍
(
くわつやく
)
ぶりを
御覧
(
ごらん
)
下
(
くだ
)
さい、
309
花々
(
はなばな
)
しき
大飛躍
(
だいひやく
)
を
演
(
えん
)
じて
見
(
み
)
ませう』
310
治国別
(
はるくにわけ
)
『
心
(
こころ
)
を
落
(
おち
)
つけて
三五教
(
あななひけう
)
の
精神
(
せいしん
)
を
落
(
おと
)
さない
様
(
やう
)
に
一番槍
(
いちばんやり
)
の
功名
(
こうみやう
)
をやつて
見
(
み
)
たがよからう。
311
サア
行
(
ゆ
)
かう』
312
と
蓑笠
(
みのかさ
)
をつけ、
313
杖
(
つゑ
)
を
左手
(
ゆんで
)
に
握
(
にぎ
)
り、
314
登
(
のぼ
)
り
来
(
く
)
る
敵
(
てき
)
に
向
(
むか
)
つて
悠々
(
いういう
)
迫
(
せま
)
らざる
態度
(
たいど
)
を
持
(
ぢ
)
し、
315
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
降
(
くだ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
316
治国別
(
はるくにわけ
)
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
317
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
318
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
国
(
くに
)
の
祖
(
おや
)
319
国治立
(
くにはるたち
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
320
守
(
まも
)
り
玉
(
たま
)
へる
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
321
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
身
(
み
)
を
尽
(
つく
)
し
322
心
(
こころ
)
を
尽
(
つく
)
す
三五
(
あななひ
)
の
323
神
(
かみ
)
の
柱
(
はしら
)
と
現
(
あ
)
れませる
324
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
325
吾
(
わ
)
れこそ
珍
(
うづ
)
の
神司
(
かむつかさ
)
326
治国別
(
はるくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
327
万世
(
よろづよ
)
祝
(
いは
)
ふ
亀彦
(
かめひこ
)
が
328
名
(
な
)
さへ
目出
(
めで
)
たき
万公
(
まんこう
)
や
329
暗夜
(
やみよ
)
を
晴
(
はら
)
す
晴公
(
はるこう
)
さま
330
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
の
御教
(
みをしへ
)
に
331
ゆかりの
深
(
ふか
)
き
五三公
(
いそこう
)
の
332
三人
(
みたり
)
の
司
(
つかさ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
333
七千
(
しちせん
)
余国
(
よこく
)
の
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
334
天地
(
てんち
)
を
塞
(
ふさ
)
ぐ
曲神
(
まがかみ
)
を
335
神
(
かみ
)
の
賜
(
たま
)
ひし
言霊
(
ことたま
)
に
336
服
(
まつろ
)
ひ
和
(
やは
)
し
天国
(
てんごく
)
を
337
地上
(
ちじやう
)
に
立
(
た
)
てむ
御
(
ご
)
神策
(
しんさく
)
338
岩石
(
がんせき
)
崎嶇
(
きく
)
たる
河鹿山
(
かじかやま
)
339
烈
(
はげ
)
しき
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれつつ
340
苦
(
く
)
もなく
越
(
こ
)
えて
来
(
きた
)
りけり
341
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
342
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
343
ハルナの
都
(
みやこ
)
に
蟠
(
わだか
)
まる
344
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
の
化身
(
けしん
)
なる
345
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
を
346
これの
難所
(
なんしよ
)
に
待
(
ま
)
ち
受
(
う
)
けて
347
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
さず
言霊
(
ことたま
)
に
348
打平
(
うちたひら
)
げて
斎苑
(
いそ
)
館
(
やかた
)
349
珍
(
うづ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
復
(
かへ
)
り
言
(
ごと
)
350
申
(
まを
)
さむ
時
(
とき
)
こそ
来
(
きた
)
りけり
351
あゝ
勇
(
いさ
)
ましし
勇
(
いさ
)
ましし
352
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
353
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
354
嵐
(
あらし
)
は
如何
(
いか
)
に
強
(
つよ
)
くとも
355
敵
(
てき
)
は
幾万
(
いくまん
)
攻
(
せ
)
め
来
(
く
)
とも
356
いかでか
恐
(
おそ
)
れむ
生神
(
いきがみ
)
の
357
教
(
をしへ
)
を
守
(
まも
)
る
吾
(
わが
)
一行
(
いつかう
)
358
朝日
(
あさひ
)
に
露
(
つゆ
)
か
春
(
はる
)
の
雪
(
ゆき
)
359
脆
(
もろ
)
くも
消
(
き
)
ゆる
曲津日
(
まがつひ
)
の
360
魂
(
みたま
)
の
行方
(
ゆくへ
)
ぞ
憐
(
あは
)
れ
也
(
なり
)
361
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
り
玉
(
たま
)
ひたる
362
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
は
363
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
一行
(
いつかう
)
の
信徒
(
まめひと
)
に
364
広大
(
くわうだい
)
無辺
(
むへん
)
の
神徳
(
しんとく
)
を
365
下
(
くだ
)
し
玉
(
たま
)
ひて
此
(
この
)
度
(
たび
)
の
366
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
征途
(
せいと
)
を
照
(
て
)
らしまし
367
紅葉
(
もみぢ
)
あやなす
秋
(
あき
)
の
野
(
の
)
の
368
木々
(
きぎ
)
の
梢
(
こずゑ
)
に
吹
(
ふ
)
き
当
(
あた
)
る
369
醜
(
しこ
)
の
嵐
(
あらし
)
に
会
(
あ
)
ひし
如
(
ごと
)
370
曲
(
まが
)
を
千
(
せん
)
里
(
り
)
に
追
(
お
)
ひ
散
(
ち
)
らし
371
敵
(
てき
)
を
誠
(
まこと
)
に
言向
(
ことむ
)
けて
372
救
(
すく
)
ひやらむは
目
(
ま
)
のあたり
373
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
一行
(
いつかう
)
は
374
神
(
かみ
)
の
御言
(
みこと
)
を
畏
(
かしこ
)
みて
375
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
の
木下蔭
(
こしたかげ
)
376
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
を
浴
(
あ
)
び
乍
(
なが
)
ら
377
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
の
一行
(
いつかう
)
を
待
(
ま
)
つならむ
378
上
(
うへ
)
と
下
(
した
)
より
挟
(
はさ
)
み
打
(
うち
)
379
神算
(
しんさん
)
鬼謀
(
きぼう
)
の
此
(
この
)
仕組
(
しぐみ
)
380
暗黒
(
あんこく
)
無明
(
むみやう
)
の
魂
(
みたま
)
持
(
も
)
つ
381
片彦
(
かたひこ
)
久米彦
(
くめひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
は
382
飛
(
と
)
んで
火
(
ひ
)
に
入
(
い
)
る
夏
(
なつ
)
の
虫
(
むし
)
383
袋
(
ふくろ
)
の
鼠
(
ねづみ
)
も
同
(
おな
)
じこと
384
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
や
385
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
386
詔直
(
のりなほ
)
しつつ
天地
(
あめつち
)
の
387
教
(
をしへ
)
の
道
(
みち
)
に
救
(
すく
)
ひ
行
(
ゆ
)
く
388
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
ぞ
楽
(
たの
)
しけれ
389
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
390
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
391
万公
(
まんこう
)
は
足
(
あし
)
の
爪先
(
つまさき
)
に
力
(
ちから
)
を
入
(
い
)
れ、
392
再
(
ふたた
)
び
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
夜嵐
(
よあらし
)
に
面
(
おもて
)
を
向
(
む
)
け
乍
(
なが
)
ら、
393
月
(
つき
)
照
(
て
)
る
道
(
みち
)
を
歌
(
うた
)
ひつつ
下
(
くだ
)
りゆく。
394
万公
『
今宵
(
こよひ
)
の
月
(
つき
)
は
望
(
もち
)
の
月
(
つき
)
395
昼
(
ひる
)
の
白昼
(
はくちう
)
の
如
(
ごと
)
くなり
396
河鹿
(
かじか
)
の
山
(
やま
)
の
頂上
(
ちやうじやう
)
に
397
立
(
た
)
ちて
四方
(
しはう
)
を
見
(
み
)
はらせば
398
大野
(
おほの
)
ケ
原
(
はら
)
は
綾錦
(
あやにしき
)
399
紅葉
(
もみぢ
)
の
園
(
その
)
となり
果
(
は
)
てぬ
400
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
一行
(
いつかう
)
四人
(
よにん
)
連
(
づれ
)
401
昼
(
ひる
)
と
夜
(
よる
)
とを
間違
(
まちが
)
へて
402
峠
(
たうげ
)
の
上
(
うへ
)
に
佇立
(
ちよりつ
)
して
403
四方
(
しはう
)
を
見
(
み
)
はらす
時
(
とき
)
もあれ
404
目下
(
ました
)
に
聞
(
きこ
)
ゆる
鬨
(
とき
)
の
声
(
こゑ
)
405
風
(
かぜ
)
がもて
来
(
く
)
る
足音
(
あしおと
)
に
406
つつ
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
りウントコシヨ
407
バラモン
教
(
けう
)
の
魔軍
(
まいくさ
)
の
408
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
りしと
覚
(
おぼ
)
えたり
409
いざいざさらば いざさらば
410
千変
(
せんぺん
)
万化
(
ばんくわ
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
411
打出
(
うちだ
)
し
敵
(
てき
)
を
悉
(
ことごと
)
く
412
天
(
あめ
)
と
地
(
つち
)
との
正道
(
まさみち
)
に
413
服
(
まつろ
)
ひ
和
(
やは
)
し
天国
(
てんごく
)
の
414
其
(
その
)
楽
(
たの
)
しみを
地
(
ち
)
の
上
(
うへ
)
に
415
常磐
(
ときは
)
堅磐
(
かきは
)
に
立
(
た
)
てむとて
416
さしもに
嶮
(
けは
)
しき
坂路
(
さかみち
)
を
417
勢
(
いきほひ
)
込
(
こ
)
んで
下
(
くだ
)
りゆく
418
あゝ
面白
(
おもしろ
)
し
面白
(
おもしろ
)
し
419
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せし
吾々
(
われわれ
)
は
420
仮令
(
たとへ
)
数万
(
すまん
)
の
敵軍
(
てきぐん
)
も
421
如何
(
いか
)
でか
恐
(
おそ
)
れひるまむや
422
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
423
神
(
かみ
)
の
守
(
まも
)
りを
蒙
(
かうむ
)
りて
424
晴公
(
はるこう
)
五三公
(
いそこう
)
二人
(
ふたり
)
とも
425
シツカリ
致
(
いた
)
せよ
今
(
いま
)
や
時
(
とき
)
426
敵
(
てき
)
は
間近
(
まぢか
)
に
押
(
おし
)
よせた
427
あれあれあの
声
(
こゑ
)
聞
(
き
)
いたかい
428
半死
(
はんし
)
半生
(
はんしやう
)
の
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
429
兵児
(
へこ
)
垂
(
た
)
れよつた
塩梅
(
あんばい
)
だ
430
駒
(
こま
)
に
跨
(
またが
)
りハイハイと
431
登
(
のぼ
)
つて
来
(
きた
)
る
声
(
こゑ
)
がする
432
俺
(
おれ
)
等
(
ら
)
は
坂
(
さか
)
のてつぺから
433
生言霊
(
いくことたま
)
を
打出
(
うちだ
)
せば
434
不意
(
ふい
)
を
打
(
う
)
たれし
敵軍
(
てきぐん
)
は
435
面
(
めん
)
を
喰
(
くら
)
つて
忽
(
たちま
)
ちに
436
潰走
(
くわいそう
)
するは
目
(
ま
)
のあたり
437
面白
(
おもしろ
)
うなつてお
出
(
い
)
でたな
438
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
439
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
440
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
441
三五教
(
あななひけう
)
はやめられぬ
442
お
道
(
みち
)
を
守
(
まも
)
つてゐたおかげ
443
こんな
勇壮
(
ゆうさう
)
活溌
(
くわつぱつ
)
な
444
実地
(
じつち
)
の
戦
(
いくさ
)
が
出来
(
でき
)
るのだ
445
向
(
むか
)
ふは
兇器
(
きようき
)
数多
(
かずおほ
)
く
446
槍
(
やり
)
の
切先
(
きつさき
)
揃
(
そろ
)
へ
立
(
た
)
て
447
林
(
はやし
)
の
如
(
ごと
)
く
抜
(
ぬ
)
き
翳
(
かざ
)
し
448
迫
(
せま
)
り
来
(
きた
)
るに
引
(
ひ
)
きかへて
449
此方
(
こちら
)
は
神変
(
しんぺん
)
不可思議
(
ふかしぎ
)
の
450
無形
(
むけい
)
の
言霊
(
ことたま
)
潔
(
いさぎよ
)
く
451
ドンドンドンと
打
(
う
)
ち
出
(
いだ
)
し
452
上
(
うへ
)
を
下
(
した
)
への
大戦
(
おほいくさ
)
453
力
(
ちから
)
を
試
(
ため
)
す
時
(
とき
)
は
来
(
き
)
ぬ
454
ウントコドツコイ ドツコイシヨ
455
今
(
いま
)
こそ
大事
(
だいじ
)
の
体
(
からだ
)
ぞや
456
一人
(
ひとり
)
を
以
(
もつ
)
て
幾百
(
いくひやく
)
の
457
魔神
(
まがみ
)
に
当
(
あた
)
る
貴重
(
きちよう
)
の
身
(
み
)
458
指
(
ゆび
)
一
(
ひと
)
つでも
怪我
(
けが
)
したら
459
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
に
済
(
す
)
まないぞ
460
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
461
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
を
目
(
ま
)
のあたり
462
輝
(
かがや
)
かし
照
(
て
)
らす
時
(
とき
)
は
来
(
き
)
ぬ
463
進
(
すす
)
めよ
進
(
すす
)
めいざ
進
(
すす
)
め
464
神
(
かみ
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
と
共
(
とも
)
にあり
465
アイタヽタツタ
夜
(
よる
)
の
道
(
みち
)
466
目玉
(
めだま
)
が
狂
(
くる
)
うてしくじつた
467
これこれモウシ
宣伝使
(
せんでんし
)
468
ここが
適当
(
てきたう
)
の
場所
(
ばしよ
)
でせう
469
敵
(
てき
)
の
登
(
のぼ
)
るを
待
(
ま
)
ち
伏
(
ぶ
)
せて
470
不意
(
ふい
)
に
打出
(
うちだ
)
す
言霊
(
ことたま
)
の
471
大接戦
(
だいせつせん
)
をやりませうか』
472
治国別
(
はるくにわけ
)
『
余
(
あま
)
り
慌
(
あわ
)
てて
下
(
くだ
)
るにも
及
(
およ
)
ぶまい。
473
ここが
屈竟
(
くつきやう
)
の
場所
(
ばしよ
)
だ。
474
先
(
ま
)
づ
歌
(
うた
)
でも
歌
(
うた
)
つて、
475
敵
(
てき
)
の
近付
(
ちかづ
)
くのを
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
にしよう。
476
名
(
な
)
に
負
(
お
)
ふ
急坂
(
きふはん
)
だから、
477
近
(
ちか
)
くに
見
(
み
)
えてゐても
容易
(
ようい
)
に
登
(
のぼ
)
つては
来
(
こ
)
られまい』
478
万公
(
まんこう
)
『ハアさうですなア。
479
先
(
ま
)
づ
先
(
ま
)
づ
敵
(
てき
)
の
行列
(
ぎやうれつ
)
を
拝見
(
はいけん
)
して
徐
(
おもむろ
)
に
不意打
(
ふいうち
)
を
喰
(
く
)
はしてやりませうかい。
480
アハヽヽヽ』
481
(
大正一一・一一・二七
旧一〇・九
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 輸入品
(B)
(N)
帰馬 >>>
霊界物語
>
第43巻
> 第3篇 河鹿の霊嵐 > 第10章 夜の昼
Tweet
文芸社文庫『あらすじで読む霊界物語』絶賛発売中!
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【10 夜の昼|第43巻(午の巻)|霊界物語/rm4310】
合言葉「みろく」を入力して下さい→