霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。実験用サイトサブスク
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第八章 放棄(はうき)〔一四一六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第55巻 真善美愛 午の巻 篇:第2篇 縁三寵望 よみ(新仮名遣い):えんさんちょうぼう
章:第8章 放棄 よみ(新仮名遣い):ほうき 通し章番号:1416
口述日:1923(大正12)年03月03日(旧01月16日) 口述場所:竜宮館 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年3月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
アヅモスは炊事場に戻ると、お民に小言を言い始めた。アヅモスとお民は口げんかになった。お民はフエルにも矛先を向け、柄杓を水に汲んで二人にぶっかけた。アヅモスとフエルは鉄拳を振るってお民を叩きつけた。
お民の悲鳴を聞いて、番頭の一人・アーシスが走り来たり、お民からアヅモスを引き離した。フエルは逃げてしまった。アヅモスはアーシスを箒で叩きつけて、逃げてしまった。
アーシスは、お民の態度をたしなめて注意を与えた。アーシスはふと、お民に素性を尋ねた。お民は自分の母がビクトリヤ城に奉公に行っていた間に刹帝利のお手がかかって生まれたのだ、と明かした。一方アーシスも、自分は左守キュービットの落とし子だと明かした。
二人は出生の秘密を明かしたからには夫婦となろうと言いあった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-05-18 17:36:08 OBC :rm5508
愛善世界社版:99頁 八幡書店版:第10輯 69頁 修補版: 校定版:101頁 普及版:42頁 初版: ページ備考:
001 アヅモスはフエルと(とも)炊事場(すゐじば)(かへ)り、002下女(げぢよ)のお(たみ)(つか)まへてそろそろ小言(こごと)()(はじ)めた。
003アヅモス『オイ、004(たみ)005貴様(きさま)(しつか)りしないものだから大変(たいへん)(はぢ)()いたぢやないか。006(なん)(ため)炊事(すゐじ)御用(ごよう)をして()るのだ。007(をんな)()ふものは飯焚(めした)きが肝腎(かんじん)だ。008折角(せつかく)珍客(ちんかく)さまに(はひ)まぶれの(めし)()はさうとしたぢやないか、009ちと心得(こころえ)ないと当家(ここ)には()(こと)出来(でき)ぬぞ』
010(たみ)『アヅモスの番頭(ばんとう)さま、011さう注文通(ちうもんどほり)御飯(ごはん)()けるものぢやありませぬよ、012今日(こんにち)日天(につてん)(さま)でも()つたり(くも)つたり(あそ)ばすぢやありませぬか、013…………
014朝夕(あさゆふ)(めし)さへこわし(やはら)かし
015兎角(とかく)ままにはならぬ()(なか)……
016()(うた)さへあるぢやありませぬか。017さう小言(こごと)仰有(おつしや)ると此方(こちら)(はう)から(しり)をからげて「左様(さやう)なら」と()かけませうか。018(この)(ごろ)彼方(あちら)此方(こちら)沢山(たくさん)工場(こうぢやう)出来(でき)(をんな)払底(ふつてい)ですよ。019こんな月給(げつきふ)(やす)下女(げぢよ)になるものは滅多(めつた)にありませぬよ。020(わたし)此家(ここ)下女(げぢよ)()()げたのは、021恩恵(おんけい)(てき)社会(しやくわい)奉仕(ほうし)一端(いつたん)だと(おも)うて()()るのですよ。022万公別(まんこうわけ)()ひ、023(まへ)さまと()全然(まるきり)(をんな)(くさ)つた(やう)(をとこ)だな。024(をんな)(こと)(かま)腰抜(こしぬ)けは()なつと()んで()んだがよろしいわいなア、025これでも家政(かせい)学校(がくかう)卒業(そつげふ)したシヤンですからねえ、026ヘン(あま)(かま)うて(もら)ひますまいかい』
027アヅモス『(えら)さうに()うて()るが、028今朝(けさ)料理(れうり)仕方(しかた)一体(いつたい)(なん)だ。029あんな加減(かげん)(わる)いものが()へると(おも)ふか、030(えら)さうに()ふない』
031(たみ)()へなけりや()はいでもよいぢやないか。032(まへ)(たち)料理法(れうりはふ)()らないものだからゴテゴテ()ふのだらう、033下司口(げすぐち)だからなア。034松魚節(かつを)煮汁(だし)か、035昆布(こぶ)煮汁(だし)か、036雑魚(ざこ)煮汁(だし)か、037(あぢ)(もと)使(つか)つたか弁別(べんべつ)のつかないやうな下司口(げすぐち)が、038料理(れうり)小言(こごと)()資格(しかく)がありますか』
039アヅモス『(えら)さうに()ふない、040(なん)だその(ふう)は、041のめのめと売女(ばいた)出来損(できぞこな)()たやうな(ふう)をしやがつて、042そんな(こと)立派(りつぱ)料理(れうり)出来(でき)ると(おも)ふか。043(そもそも)料理(れうり)()りかかるには(たすき)をかけるか、044エプロンを()けるかして身仕度(みじたく)をきちんとして(かみ)()もバラバラせぬやうに、045そして(こけ)()えたやうな()を、046曹達(さうだ)ででも(あら)つて清潔(せいけつ)にしなければ、047折角(せつかく)()馳走(ちそう)黴菌(ばいきん)伝染(うつ)るぢやないか。048そして(こめ)()ぐにも(すな)注意(ちうい)して()るのだ、049クレクレと(ゆす)つて()ると(すな)(そこ)にイサルから容易(ようい)なものだ。050今朝(けさ)のやうに(はひ)(すな)(まじ)つた(めし)(たれ)だつて()はれぬぢやないか。051さうして(あら)ふにもお(こめ)(くだ)かないやうにして、052(みづ)()みきり白水(しろみづ)がないとこ(まで)(あら)ふのだぞ』
053(たみ)『エエ八釜(やかま)しい番頭(ばんとう)ぢやな。054(まへ)さまは何処(どこか)でボーイでもやつて()たのかな、055()うこせこせと(かま)(した)までゴテづく吝嗇坊(けちんばう)だなア』
056アヅモス『(べつ)(かま)ひたい(こと)()いけれど、057(あま)貴様(きさま)(わか)らぬから、058一応(いちおう)料理法(れうりはふ)(をし)へて()くのだ。059(すべ)小鳥(ことり)(さかな)(くし)にさして()(とき)()(とほ)くし、060そして強火(つよび)にした(はう)が、061美味(おい)しう()けるものだ。062(さかな)()(はう)から、063小鳥(ことり)(かは)(はう)から()くのだよ。064(むかし)から魚身(ぎよしん)鳥皮(てうひ)といふからなア、065充分(じゆうぶん)()いてから(うら)がへさないと不味(まづく)なる。066さうして(あみ)(くし)()けた(あと)(にく)()せるのだ。067それから()(とき)には醤油(しやうゆ)(みづ)十分(じふぶん)煮立(にた)たして()いて、068(その)(あと)()れないと(うま)(しる)()仕舞(しま)ふのだ。069野菜(やさい)真青(まつさを)(ゆで)るには()(しほ)(すこ)()れて(ふた)をせずに(ゆで)ると(その)(まま)(いろ)(たも)つて()る。070さうして(ゆだ)つたら(すぐ)(つめ)たい(みづ)()れるのだ。071牛蒡(ごばう)や、072(ふき)や、073(たけのこ)や、074百合根(ゆりね)(など)灰汁(あく)(つよ)いものは(いつ)たん湯掻(ゆが)いてから()くのだ。075さうして使(つか)うた道具(だうぐ)はいつも(きま)つた場所(ばしよ)へキチンと()いて()くのだ、076清潔(きれい)(みが)いて(もと)(ところ)へちやんと(もど)して()かぬとまさかの(とき)()()はぬぞ。077(たな)(うへ)(ちり)(たま)つて()るか()らぬかそれも(かんが)へて(あみ)(くし)や、078薄鍋(うすなべ)()いて()くのだ。079そして(あま)つた食物(たべもの)蠅不入(はいいらず)()れるか、080布巾(ふきん)をかけて()くのだぞ』
081(たみ)『エエ矢釜(やかま)しい、082(まへ)さまは土方(どかた)飯焚(めした)きでも()()たのだらう。083(あま)(しやべ)るとお(さと)()えますぞや』
084アヅモス『これやお(たみ)085土方(どかた)飯焚(めした)きとは(なん)だ。086(をんな)(おも)うて容赦(ようしや)をすれば(なに)(ぬか)すか(わか)つたものぢやない、087不調法(ぶてうはふ)しておきやがつて(なに)口答(くちごた)へをするのぢや、088これでも一家(いつか)総理(そうり)大臣(だいじん)だぞ』
089(たみ)『ホホホホ。090総理(そうり)大臣(だいじん)なんて(けつ)(あき)れますわい。091当家(たうけ)総理(そうり)大臣(だいじん)はシーナさまぢやありませぬか、092(まへ)さまは()番頭(ばんとう)だ。093そこらの(すみ)くたを掃除(さうぢ)大臣(だいじん)だ。094ごたごた()はずと(はうき)なともつて(つぎ)()()いて()なさい。095万公山(まんこうやま)破裂(はれつ)して大変(たいへん)(はひ)()つて()ますぞよ。096(はうき)使(つか)つたらチヤンと(くぎ)にかけて()くのですよ。097其処辺(そこら)()てて()くと(はうき)(さき)がサツパリ薙刀(なぎなた)のやうになつて仕舞(しま)ひますぞや。098そしてハタキは手首(てくび)()げて、099天井裏(てんじやううら)から障子(しやうじ)(さん)(うへ)から(した)へパタパタとはたくのですよ。100どうしても(うご)かせない道具(だうぐ)被物(おほひ)をしておいて(すみ)から()いて()るのです。101そして(たたみ)()(さか)らうと、102塵埃(ほこり)(みんな)(たたみ)()(にじ)んで仕舞(しま)ひますよ。103(はうき)(さき)()ねんやうにしてソツソツと()くのですよ、104それが()んだら椽側(えんがは)掃除(さうぢ)をしなさい。105雑巾(ざふきん)(ゆる)(かた)(しぼ)つて、106(いた)()なりに(ちから)()れて()くのだよ。107(すみ)(ところ)雑巾(ざふきん)三角(さんかく)にして()けば綺麗(きれい)になりますわ。108(それ)からニス、109(うるし)や、110(ひのき)(はしら)乾布巾(からぶきん)念入(ねんい)れに()くのですよ。111きつと()れた雑巾(ざふきん)()いてはなりませぬぞえ』
112アヅモス『これお(たみ)113(なん)下女(げぢよ)(くせ)番頭(ばんとう)指揮(さしづ)すると()(こと)があるか』
114(たみ)『ヘン(わたし)下女(げぢよ)なら、115(まへ)下男(げなん)ぢや、116(あま)(えら)さうに()うて(もら)ひますまいか。117これこれフエルさま お(まへ)灰撒(はひまき)発頭人(ほつとうにん)だ。118(なに)をグヅグヅして()るのだ、119(はや)くアヅモスの下男(げなん)一緒(いつしよ)掃除(さうぢ)をしなさらぬかいなア』
120フエル『さう矢釜(やかま)しゆ()ふない。121(おれ)だつて今朝(けさ)(まで)(くら)(なか)罪人(ざいにん)同様(どうやう)突込(つつこ)まれて()たのだから、122(ちつ)とは休養(きうやう)しなければやりきれぬぢやないか』
123 お(たみ)は、
124お民『エエこの女郎(めらう)(をとこ)腰抜(こしぬけ)()
125()ふより(はや)柄杓(ひしやく)(みづ)()んで二人(ふたり)にぶツかけた。126アヅモス、127フエルは真赤(まつか)になつて、
128アヅモス、フエル『これやお(たみ)129馬鹿(ばか)にしやがるな、130これを(くら)へ』
131双方(さうはう)から鉄拳(てつけん)(ふる)つて一人(ひとり)(をんな)(たた)()けて()る。132(たみ)荒男(あらをとこ)二人(ふたり)(たた)きつけられ、133悲鳴(ひめい)()げて『人殺(ひとごろし)人殺(ひとごろし)ー』と(さけ)()した。134(この)(こゑ)(おどろ)いてアーシスは(はし)(きた)り、135いきなりアヅモスの(くび)手拭(てぬぐ)ひを(うしろ)からパツと()つかけグツと()(たふ)した。136フエルはこの権幕(けんまく)(おどろ)いて裏口(うらぐち)から(ほそ)くなつて()()しけり。
137(たみ)『アーシスさま()()(くだ)さいました。138此奴(こいつ)(えら)さうに()やがつて仕方(しかた)がないので(みづ)をかけてやりましたら、139(をとこ)らしうもない、140(をんな)一人(ひとり)二人(ふたり)荒男(あらをとこ)鉄拳(てつけん)(ふる)つて喧嘩(けんくわ)()ひに()よつたのですよ』
141アーシス『本当(ほんたう)無茶(むちや)(こと)をする(をとこ)ですね。142オイ、143アヅモス(なん)だ、144下女(げぢよ)(つか)まへて(あま)大人気(おとなげ)ないぢやないか』
145アヅモス『エーチヨツ、146横合(よこあひ)から()んで()やがつてちよつかい()しやがるものだから、147折角(せつかく)折檻(せつかん)がワヤになつて仕舞(しま)つた。148コリヤ、149アーシス、150(おれ)(のど)()めてどうするのだ、151これ()よ、152(かた)がついて()るぢやないか』
153アーシス『喧嘩(けんくわ)結末(かた)がついたらそれでよいぢやないか。154アー(えら)畳中(たたみぢう)(はひ)だらけだ。155ちと(はうき)なと()つて其処辺(そこら)(ぢう)掃除(さうぢ)して()い。156これだけお(きやく)さまで(いそが)しいのに、157(をんな)相手(あひて)にして()(どころ)かい』
158アヅモス『此奴(こいつ)もお(たみ)感染(かんせん)したと()えて(はうき)()(はうき)()てと(ぬか)しやがるな。159(はうき)(はばか)りさまだ』
160アーシス『貴様(きさま)何時(いつ)ほうき(かみ)だといつて威張(ゐば)つて()たぢやないか。161(はうき)()つのは貴様(きさま)(しやう)()うて()るわ。162サア(はや)()いたり()いたり』
163 アヅモスは庭箒(にははうき)()るより(はや)く、164アーシスの(かしら)目蒐(めが)けて、
165アヅモス『コリヤ、166伯耆(はうき)(かみ)さまが、167貴様(きさま)(かしら)播磨(はりま)(かみ)さまだ』
168()(なが)らピシヤピシヤと(なぐ)りつけ(しり)()をかけて(この)()()()つた。169アーシスは(いか)つてアヅモスの(あと)()()けようとするのを、170(たみ)はグツと()()(こゑ)(ふる)はして、
171(たみ)『もしもし貴方(あなた)172一寸(ちよつと)()つて(くだ)さいませ、173これだけ沢山(たくさん)のお(きやく)さまでお()()みでもあり、174病人(びやうにん)さまもあるのに、175番頭(ばんとう)同士(どうし)喧嘩(けんくわ)なさつては(うち)親方(おやかた)()みませぬ。176(また)スガールさまやスミエルさまの病気(びやうき)(さは)るといけませぬからなア』
177アーシス『さうだと()つて(この)(まま)にする(わけ)には()かぬぢやないか、178(のち)(ため)にならぬからなア』
179(たみ)『まアまア今日(けふ)辛抱(しんばう)して(くだ)さいませ、180親方(おやかた)(むすめ)さまが心配(しんぱい)なさいますからな』
181アーシス『ウンそれもさうだ。182そんならお(まへ)意見(いけん)(したが)つて今日(けふ)(わす)れる(こと)にせう。183(しか)しお(まへ)(この)(うち)()たらチツと言葉(ことば)(あらた)めて()れぬと(こま)るよ。184()主人(しゆじん)(さま)親方(おやかた)()つたり、185嬢様(ぢやうさま)()()んだりすると()(こと)があるか』
186(たみ)『そんなら(なん)()つたらよいのですか』
187アーシス『お(かみ)(かた)をお()びするには()主人(しゆじん)(さま)旦那(だんな)(さま)()ふのだ。188奥様(おくさま)はお部屋(へや)(さま)とか奥様(おくさま)とか()つてよい。189さうして()老人(らうじん)()隠居(いんきよ)(さま)とか、190大旦那(おほだんな)(さま)とか申上(まをしあげ)るのだよ。191(をとこ)のお子様(こさま)なれば(ばう)(さま)192(をんな)のお()はお嬢様(ぢやうさま)193(あるひ)(ばう)ちやま、194(ぢやう)さまなど()つたらよい。195二人(ふたり)以上(いじやう)(とき)(おほ)きな(ばう)ちやま、196(ちひ)さいお嬢様(ぢやうさま)()ふのだ。197そして自分(じぶん)(こと)(わたくし)()ひ、198ウチだとか、199アテだとか、200ワタシなどは()つともないから()はぬがいい。201さうして()(ごた)へはヘエなんと()つてはいけない、202ハイ()ふのだよ。203(あさ)()きたらお(かみ)()挨拶(あいさつ)をするのに「お(はや)(ござ)います」と()ひ、204(ばん)は「お(やす)(あそ)ばせ」、205外出(ぐわいしゆつ)(とき)には「()つて(まゐ)ります」、206自分(じぶん)用事(ようじ)外出(ぐわいしゆつ)する(とき)は「一寸(ちよつと)やつて(いただ)きます」と()ふのだ。207帰宅(きたく)(とき)は「唯今(ただいま)(かへ)りました」、208御飯(ごはん)(とき)は「(いただ)きます」とか、209頂戴(ちやうだい)(いた)します」とか()ふのだ。210そして旦那(だんな)(さま)外出(ぐわいしゆつ)(とき)は「()つていらつしやいませ」、211(かへ)りになつた(とき)には「お(かへ)(あそ)ばしませ」と、212かう叮嚀(ていねい)()ふのだよ。213(すべ)言葉使(ことばづかひ)はハツキリと叮嚀(ていねい)にさうして(やさ)しみのあるやうに注意(ちゆうい)するのだ。214使(つかひ)()つて()たら、215(かなら)直様(すぐさま)復命(ふくめい)しなくてはならない。216(あと)から(ついで)申上(まをしあげ)ますと()ふやうな懶惰事(ずるいこと)をやつて()ると何時(いつ)()にか肝腎(かんじん)(よう)(わす)れて仕舞(しま)ふからなア』
217(たみ)(なん)とまア此処(ここ)(うち)男衆(をとこしう)(にはか)旦那(だんな)(さま)(はじ)め、218誰人(たれ)()れも(をんな)みたやうな(こと)()(ひと)()つたものだ、219オホホホホ、220これで(わたし)大分(だいぶん)勉強(べんきやう)(いた)しました』
221アーシス『お(たみ)さま、222(まへ)はどこともなしに下女(げぢよ)似合(にあ)はぬ垢抜(あかぬけ)がして()るが、223実際(じつさい)何処(どこ)から()たのだ。224一寸(ちよつと)()かして(もら)()いものだな』
225(たみ)(わたし)はビクの城下(じやうか)(うま)れた(もの)(ござ)いますが、226一寸(ちよつと)様子(やうす)があつて(おや)()名乗(なの)(こと)出来(でき)ないのですよ』
227アーシス『ウンさうすると(てて)なし()だな』
228(たみ)『まアそんなものでせう。229(しか)父親(てておや)なしに出来(でき)()(ひろ)世界(せかい)一人(ひとり)もありますまいから何処(どこ)かにあるでせう』
230アーシス『お(まへ)父親(てておや)()ふのは一体(いつたい)(たれ)だ』
231(たみ)(わたし)血沼(ちぬ)(むら)卓助(たくすけ)()(ひと)(そだ)てられた(もの)ですが、232(わたし)のお(とう)さまは立派(りつぱ)(かた)だと()(こと)です。233(わたし)(はは)奉公(ほうこう)()つて()つて(おなか)(ふく)れ、234奥様(おくさま)八釜(やかま)しいので(ちち)(かね)をつけて卓助(たくすけ)(うち)にやつたのださうですが、235養家(やうか)両親(りやうしん)(すで)()くなつて仕舞(しま)ひ、236(ただ)一人(ひとり)ぼつちで仕方(しかた)がないので其処辺(そこら)(ぢう)奉公(ほうこう)(ある)き、237二三(にさん)日前(にちまへ)此処(ここ)(やと)はれたのです』
238アーシス『(じつ)(こと)(おれ)もビクトリヤ城下(じやうか)(うま)れだが、239そいつは(めう)だなア』
240(たみ)『ヘエ貴方(あなた)もビクトリヤ城下(じやうか)ですか、241さうしてお(とう)さまは(なん)()(かた)です』
242アーシス『これは秘密(ひみつ)だから()はれないのだが、243(ひと)()はなければ()らしてやらう。244(おれ)(じつ)はこの(むら)へ、245そつと里子(さとご)にやられたのだ。246(おれ)(ちち)といふのは左守(さもり)(かみ)のキユービツトと()ふお(かた)だ。247(なん)でも下女(げぢよ)との(なか)(おれ)(うま)れたので、248(わら)(うへ)から(この)(むら)首陀(しゆだ)(うち)へやつて仕舞(しま)つたと()(こと)だ。249どうかして一遍(いつぺん)()ひたいのだけれど、250名乗(なの)(わけ)にもゆかず(こま)つたものだよ。251さうして一体(いつたい)(まへ)(たれ)()だい』
252(たみ)(わたし)のお(かあ)さまは皐月(さつき)()ひました。253ビクトリヤ城内(じやうない)()奉公(ほうこう)(あが)つて()(とき)254刹帝利(せつていり)(さま)のお()()かつて(おなか)(ふく)れ、255それが(ため)にそつと卓助(たくすけ)(うち)(くだ)されたのださうです。256こんな(こと)()つて(もら)うと(わたし)(いのち)()くなりますから、257どうぞ秘密(ひみつ)(たの)みますよ』
258アーシス『成程(なるほど)道理(だうり)でどこともなしに気品(きひん)(たか)(ところ)がある。259ヤア(おそ)()りました』
260(たみ)()双方(さうはう)から何事(なにごと)()()けた以上(いじやう)は、261一層(いつそ)(こと)貴方(あなた)夫婦(ふうふ)になつたらどうでせう、262さうすれば(たがひ)秘密(ひみつ)(まも)れますからなア』
263アーシス『そりや有難(ありがた)いが(なん)だか勿体(もつたい)()いやうな()がしてならないわ、264()()ならお(まへ)立派(りつぱ)王女(わうぢよ)(さま)だ。265(わたし)(けらい)身分(みぶん)だからなア』
266(たみ)『そんな斟酌(しんしやく)()りますか、267サア()()(ばや)相談(さうだん)()めやうぢやありませぬか』
268 ()二人(ふたり)(はな)して()(つぎ)()何人(なにびと)とも()れず足音(あしおと)がスウスウと次第(しだい)(ほそ)()えてゆく。269これはアヅモスが二人(ふたり)(はなし)()()きして()たのである。
270大正一二・三・三 旧一・一六 於竜宮館 加藤明子録)
ロシアのプーチン大統領が霊界物語に予言されていた!?<絶賛発売中>
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki