霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一六章 諒解(りやうかい)〔一六二三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第63巻 山河草木 寅の巻 篇:第4篇 四鳥の別 よみ(新仮名遣い):しちょうのわかれ
章:第16章 諒解 よみ(新仮名遣い):りょうかい 通し章番号:1623
口述日:1923(大正12)年05月25日(旧04月10日) 口述場所:天声社 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年2月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
玉国別は船から上がると一行とともに初稚姫の前に来て一礼し、感謝の歌を述べた。
デビス姫とブラヷーダは、船中の伊太彦と玉国別のやり取りから、宣伝使として夫婦が別の道を行くべきではないかと初稚姫に相談した。
初稚姫は、大神の任によって進む身は人を力としてはいけない、ただ一人道を伝えて行くのが務めだと答えた。初稚姫は、玉国別が一人真純彦を供とすることは許した。
伊太彦は、自分は神界の御用を務める役目があるからと、ブラヷーダに離縁を申し出た。初稚姫は歌に示して、二人がいったん別々の道を進み、神業成就の上で改めて夫婦の契りを結ぶのがよいと歌った。
ブラヷーダは一人で行く覚悟を示した。玉国別は、ブラヷーダが一人でエルサレムに参拝し、それからフサの国を通ってハルナの都に進むよう道を示した。
伊太彦は別路、夜光の玉をエルサレムに納めてから、フサの国を横断してハルナの都に進むよう諭した。そして三千彦とデビス姫にも各々一人で進むように示した。
一同は承諾した。デビス姫はさっそく別れの歌を歌うと、一同に黙礼して早くもエルの街の中に姿を隠してしまった。
アスマガルダは家に戻り、ブラヷーダとデビス姫はそれぞれエルサレムに進んだ。伊太彦と三千彦もそれぞれ玉を奉持して、一人でエルサレムを目指した。
初稚姫はスマートとともにどこともなく姿を隠した。治道居士はバット、ベル、カークス、ベースをしたがえ、比丘となってエルサレムに詣でることになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-10-15 20:08:44 OBC :rm6316
愛善世界社版:223頁 八幡書店版:第11輯 343頁 修補版: 校定版:231頁 普及版:64頁 初版: ページ備考:
001 初稚姫(はつわかひめ)は、002(はや)くもエルの(みなと)につきたまひ、003アスマガルダ、004ブラヷーダ、005カークス、006ベース、007スマートと(とも)008阜頭(ふとう)()つて玉国別(たまくにわけ)(ふね)(すす)(きた)るを()ちつつあつた。009(ふね)(やうや)くにしてエルの(みなと)についた。010玉国別(たまくにわけ)(うれ)しげに(ふね)より一行(いつかう)(とも)(のぼ)(きた)り、011初稚姫(はつわかひめ)(まへ)()つて一礼(いちれい)(をは)り、
012玉国別(たまくにわけ)『スーラヤの(きよ)(みづうみ)(やうや)くに
013(かみ)(めぐみ)(わた)()にけり。
014初稚姫(はつわかひめ)(うづ)(みこと)逸早(いちはや)
015()きたまひたる(こと)(たふと)さ』
016初稚姫(はつわかひめ)(みづうみ)(おも)(なが)めて幾度(いくたび)
017()ちあぐみけり(きみ)御船(みふね)を』
018真純彦(ますみひこ)金銀(きんぎん)(なみ)(ただよ)ひし(この)(うみ)
019初稚姫(はつわかひめ)(かがや)きにしかず。
020(なみ)(うへ)ゆエルの(みなと)(なが)むれば
021()(かがや)きぬ(うづ)御姿(みすがた)
022三千彦(みちひこ)(つき)()(しほ)みち(ふね)(ひと)()
023(こころ)みちつつ浪路(なみぢ)(わた)()ぬ。
024(つつが)なく(かみ)(めぐみ)(わた)()
025(この)(みづうみ)(わか)れむとぞする。
026(わか)()のつらさは浪路(なみぢ)にあるものを
027(ともな)ひたまへ初稚姫(はつわかひめ)(きみ)
028初稚姫(はつわかひめ)皇神(すめかみ)御言(みこと)(かしこ)(すす)()
029(かみ)としあれば(とも)(たの)まじ』
030デビス(ひめ)惟神(かむながら)(みち)()(ひと)(ただ)一人(ひとり)
031(すす)(おきて)()らずありけり。
032如何(いか)にせば(かみ)御心(みむね)(かな)ふらむ
033(わが)()(きみ)(とも)にある()は』
034ブラヷーダ『(わらは)とて(かみ)としあれば草枕(くさまくら)
035一人(ひとり)(たび)如何(いか)(おそ)れむ。
036さりながら(かみ)(ゆる)せし()(きみ)
037(わか)れて如何(いか)(すす)()ざらめ』
038初稚姫(はつわかひめ)大神(おほかみ)のまけのまにまに(すす)()
039如何(いか)でか(ひと)(ちから)とやせむ。
040三五(あななひ)(かみ)御規(みのり)(ただ)一人(ひとり)
041(みち)つたへ()くぞ(つと)めなりけり』
042治道(ちだう)『あら(たふと)初稚姫(はつわかひめ)(おん)言葉(ことば)
043(わが)(たましひ)(やみ)()らしぬ』
044玉国別(たまくにわけ)大神(おほかみ)御言(みこと)(かしこ)(すす)(われ)
045一人(ひとり)はゆるせ初稚(はつわか)(きみ)
046初稚姫(はつわかひめ)(なれ)こそは(かみ)()さしの神司(かむつかさ)
047やすくましませ真純彦(ますみひこ)(とも)に』
048伊太彦(いたひこ)『これはしたり三千彦(みちひこ)さまの真似(まね)をして
049(おも)はず()らず(やみ)(まよ)ひぬ』
050 伊太彦(いたひこ)埠頭(ふとう)(いし)(こし)()ちかけ、051双手(もろて)()んで何事(なにごと)思案(しあん)()れて()る。052(その)両眼(りやうがん)には(なみだ)さへ(したた)り、053さも懺悔(ざんげ)(じやう)()へざるものの(ごと)くであつた。054ブラヷーダは(こころ)(こころ)ならず055伊太彦(いたひこ)(まへ)(にじ)()り、
056『もし(わが)()君様(きみさま)057貴方(あなた)(にはか)(すぐ)れさせられぬ()心持(こころもち)058(なに)心配(しんぱい)(こと)出来(でき)(まゐ)りましたか、059差支(さしつかへ)()くば(わたし)仰有(おつしや)つて(くだ)さいませ。060夫婦(ふうふ)となれば何処(どこ)(まで)苦楽(くらく)(とも)にするのが天地(てんち)(みち)(ござ)います』
061 伊太彦(いたひこ)(くび)左右(さいう)()り、062(こゑ)までかすめて、
063『ブラヷーダ、064どうか(いま)(まで)(えん)ぢやと(あきら)めて、065(この)伊太彦(いたひこ)(ゆる)して()れ。066一生(いつしやう)()(ねが)ひだ』
067ブラヷーダ『(なに)がお()(さは)つたか()りませぬが、068つい初稚姫(はつわかひめ)(さま)()言葉(ことば)(したが)つて貴郎(あなた)()(ふね)(はな)069(さき)(まゐ)つたのが御意(ぎよい)(さは)つたので(ござ)いませう。070(まこと)()まない(こと)(いた)しました。071(この)()はきつと貴方(あなた)身辺(しんぺん)()保護(ほご)(いた)しますからお(ゆる)(くだ)さいませ』
072(なみだ)ぐむ。
073伊太(いた)『いやいや074(けつ)してそんな(こと)(かれ)(これ)(おも)ふのではない。075(まへ)初稚姫(はつわかひめ)(さま)のお(とも)をして大変(たいへん)結構(けつこう)であつた。076天晴(あつばれ)ハルナの(みやこ)(まゐ)つて神命(しんめい)(はた)077(その)(うへ)(かみ)(さま)のお(ゆる)しを()てお(まへ)夫婦(ふうふ)になれるものならなりませう。078(この)伊太彦(いたひこ)はお(まへ)(わか)れたならば079一生(いつしやう)独身(どくしん)生活(せいくわつ)をして神界(しんかい)(つか)へる(つも)りだ。080(まへ)(これ)から(わたし)(はな)れて(いへ)(かへ)り、081両親(りやうしん)孝行(かうかう)(つく)し、082適当(てきたう)(をつと)(えら)んで安楽(あんらく)(くら)してくれ。083(しか)(いつ)たん(わか)れても(えん)さへあれば(また)()(こと)出来(でき)るだらう。084初稚姫(はつわかひめ)(さま)のお言葉(ことば)()ひ、085ウバナンダ竜王(りうわう)言葉(ことば)()ひ、086もはや(この)伊太彦(いたひこ)()つても()てもおられなくなつて仕舞(しま)つたのだ』
087ブラヷーダ『()玉国別(たまくにわけ)(さま)088初稚姫(はつわかひめ)(さま)089如何(いかが)(いた)しませうか。090何卒(どうぞ)吾々(われわれ)夫婦(ふうふ)(たい)してお指揮(さしづ)(くだ)さいませ』
091 玉国別(たまくにわけ)は、092アヽと()つたきり(なみだ)(ぬぐ)(なが)黙然(もくねん)として(うつむ)093(ふか)吐息(といき)をついて()る。
094初稚姫(はつわかひめ)(わか)れてはまた()(うみ)(すゑ)(ひろ)
095男浪(をなみ)女浪(めなみ)(うか)月影(つきかげ)
096玉国別(たまくにわけ)初稚姫(はつわかひめ)(さま)(いま)のお(うた)によれば、097伊太彦(いたひこ)098可愛(かあい)さうだがお(まへ)此所(ここ)からブラヷーダ(ひめ)(たもと)(わか)099天晴(あつぱれ)神業(しんげふ)成就(じやうじゆ)(うへ)100(あらた)めて夫婦(ふうふ)(ちぎり)(むす)んだがよからう。101ブラヷーダ(ひめ)()承知(しようち)(ござ)いませうな』
102ブラヷーダ『如何(いか)にもお(なさけ)()もつたお言葉(ことば)103左様(さやう)ならば大切(たいせつ)なる(をつと)()神業(しんげふ)(さまた)げてはなりませぬから、104此処(ここ)(いさぎよ)(わか)れませう。105(しか)(なが)(この)まま(いへ)(かへ)(わけ)には(まゐ)りませぬから、106(わたし)もどうぞハルナの(みやこ)御用(ごよう)()てて(くだ)さいませ。107伊太彦(いたひこ)(さま)108左様(さやう)ならばこれでお(わか)(いた)します。109どうぞ()無事(ぶじ)天晴(あつぱれ)()神業(しんげふ)(はた)し、110(すめ)大神(おほかみ)御前(みまへ)復命(ふくめい)(あそ)ばすやうお(いの)(いた)します』
111 玉国別(たまくにわけ)莞爾(くわんじ)として()愉快気(ゆくわいげ)に、
112玉国別(たまくにわけ)『ブラヷーダ(ひめ)さま。113貴女(あなた)のお覚悟(かくご)(じつ)天晴(あつぱれ)なもので(ござ)います。114しからば(この)(うへ)貴女(あなた)(ただ)一人(ひとり)でエルサレムに参拝(さんぱい)し、115()れよりエデンの(かは)(わた)り、116フサの(くに)()でハルナの(みやこ)にお(すす)みなさい。117きつと(かみ)(さま)がお(たす)(くだ)さいますから。118あゝ(わたし)(たがひ)(たす)(たす)けられて此処(ここ)(まで)()(まゐ)りました弟子(でし)(たち)(わか)れるのは残念(ざんねん)ですが、119どうも(かみ)(さま)(おきて)(やぶ)(わけ)にも(まゐ)りませぬ。120(しか)し、121素盞嗚(すさのを)大神(おほかみ)(さま)から、122真純彦(ますみひこ)123三千彦(みちひこ)124伊太彦(いたひこ)(さん)(にん)(ともな)()(こと)(ゆる)されましたが、125(いま)となつて(かんが)へて()れば126大神(おほかみ)(さま)はさぞ「玉国別(たまくにわけ)腑甲斐(ふがひ)ない(やつ)だ」とお(こころ)(なか)でお(さげす)みなさつたらうと127今更(いまさら)懺愧(ざんき)()へませぬ。128(しか)(なが)129初稚姫(はつわかひめ)(さま)のお(ゆる)しで真純彦(ますみひこ)一人(ひとり)()れて(まゐ)(こと)(いた)します。130伊太彦(いたひこ)(ひと)(これ)からエルサレムに(たま)(をさ)め、131フサの(くに)横断(わうだん)してハルナの(みやこ)(すす)んだがよからう。132三千彦(みちひこ)133(まへ)一人(ひとり)でお(いで)なさい』
134 伊太彦(いたひこ)135三千彦(みちひこ)136ブラヷーダ、137一度(いちど)(あたま)()(なみだ)(したた)らしながら138承諾(しようだく)()(しめ)して()る。
139玉国(たまくに)『アヽそれで玉国別(たまくにわけ)安心(あんしん)(いた)しました。140初稚姫(はつわかひめ)(さま)神懸(かむがかり)してのお言葉(ことば)によりまして、141吾々(われわれ)(まよ)ひの(ゆめ)()めました。142有難(ありがた)(ござ)います』
143合掌(がつしやう)涕泣(ていきふ)してゐる。
144デビス(ひめ)『いざさらば(かみ)(をしへ)三千彦(みちひこ)
145(わか)れて()はむハルナの(みやこ)で。
146初稚姫(はつわかひめ)玉国別(たまくにわけ)神司(かむづかさ)
147やすくましませ(わらは)はこれにて(いとま)をつげむ』
148()ふより(はや)一同(いちどう)目礼(もくれい)し、149(はや)くもエルの(まち)(なか)姿(すがた)(かく)して仕舞(しま)つた。150これより初稚姫(はつわかひめの)(みこと)により、151アスマガルダは(わが)()(かへ)り、152ブラヷーダ、153デビス(ひめ)(おも)(おも)ひに人跡(じんせき)なき(やま)()(たに)(わた)り、154エルサレムに(すす)(こと)となつた。155伊太彦(いたひこ)156三千彦(みちひこ)(また)(たま)捧持(ほうぢ)一人旅(ひとりたび)となつてエルサレムに(すす)()く。157初稚姫(はつわかひめ)はスマートと(とも)何処(どこ)ともなく姿(すがた)(かく)したまうた。158治道(ちだう)居士(こじ)自分(じぶん)幕下(ばくか)なりし、1581バット、159ベル(ならび)にウラル(けう)より帰順(きじゆん)したる、1591カークス、160ベースの()(にん)(したが)161各自(かくじ)比丘(びく)姿(すがた)となつて、162エルの(みなと)にて法螺貝(ほらがひ)(あがな)ひ、163金剛杖(こんがうづゑ)をつき大道(だいだう)(すす)んでエルサレムに(まう)づる(こと)となつた。164今後(こんご)()ける(かく)宣伝使(せんでんし)行動(かうどう)(はた)して如何(いか)開展(かいてん)するであらうか。
165大正一二・五・二五 旧四・一〇 於天声社楼上 加藤明子録)
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