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第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
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第69巻(申の巻)
巻頭言
第1篇 清風涼雨
01 大評定
〔1746〕
02 老断
〔1747〕
03 喬育
〔1748〕
04 国の光
〔1749〕
05 性明
〔1750〕
06 背水会
〔1751〕
第2篇 愛国の至情
07 聖子
〔1752〕
08 春乃愛
〔1753〕
09 迎酒
〔1754〕
10 宣両
〔1755〕
11 気転使
〔1756〕
12 悪原眠衆
〔1757〕
第3篇 神柱国礎
13 国別
〔1758〕
14 暗枕
〔1759〕
15 四天王
〔1760〕
16 波動
〔1761〕
第4篇 新政復興
17 琴玉
〔1762〕
18 老狽
〔1763〕
19 老水
〔1764〕
20 声援
〔1765〕
21 貴遇
〔1766〕
22 有終
〔1767〕
余白歌
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第二〇章
声援
(
せいゑん
)
〔一七六五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第69巻 山河草木 申の巻
篇:
第4篇 新政復興
よみ(新仮名遣い):
しんせいふっこう
章:
第20章 声援
よみ(新仮名遣い):
せいえん
通し章番号:
1765
口述日:
1924(大正13)年01月25日(旧12月20日)
口述場所:
伊予 山口氏邸
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1927(昭和2)年10月26日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
一方、清香姫と春子姫は高照山の山麓にたどり着いた。
二人はヒルの国の現状を嘆き、下に下って身魂を磨き立て直しをなさんとの意思を表し、歌に歌っている。
そこへ、山賊・源九郎一党が現れ、二人を取り囲んでしまう。
春子姫は啖呵を切り、あくまで賊に屈しない意気を見せるが、多勢に無勢、危機に陥ってしまう。しかし、今まさに捉えられようとするとき、宣伝歌の声が聞こえてくる。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2018-11-23 16:47:32
OBC :
rm6920
愛善世界社版:
276頁
八幡書店版:
第12輯 374頁
修補版:
校定版:
291頁
普及版:
66頁
初版:
ページ備考:
001
清香姫
(
きよかひめ
)
、
002
春子姫
(
はるこひめ
)
は
夜
(
よ
)
を
日
(
ひ
)
についで、
003
高照山
(
たかてるやま
)
の
山麓
(
さんろく
)
迄
(
まで
)
辿
(
たど
)
りついた。
004
本街道
(
ほんかいだう
)
を
行
(
ゆ
)
くと、
005
追手
(
おつて
)
の
虞
(
おそれ
)
があるので、
006
本街道
(
ほんかいだう
)
に
添
(
そ
)
うた
山林
(
さんりん
)
や
野原
(
のはら
)
を
忍
(
しの
)
び
忍
(
しの
)
び
進
(
すす
)
んで
行
(
ゆ
)
くので、
007
比較
(
ひかく
)
的
(
てき
)
道
(
みち
)
に
暇
(
ひま
)
がとれる。
008
谷川
(
たにがは
)
の
涼
(
すず
)
しき
木蔭
(
こかげ
)
に
二人
(
ふたり
)
は
腰
(
こし
)
打
(
うち
)
かけ
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
め
述懐
(
じゆつくわい
)
を
歌
(
うた
)
つてゐる。
009
清香
(
きよか
)
『
久方
(
ひさかた
)
の
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
を
伝
(
つた
)
ひ
行
(
ゆ
)
く
010
旭
(
あさひ
)
も
清
(
きよ
)
きヒルの
国
(
くに
)
011
高倉山
(
たかくらやま
)
の
下津
(
したつ
)
岩根
(
いはね
)
に
宮柱
(
みやばしら
)
012
太
(
ふと
)
しく
立
(
た
)
てて
三五
(
あななひ
)
の
013
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
を
斎
(
いつき
)
つつ
014
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
015
伝
(
つた
)
へ
伝
(
つた
)
へて
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
016
インカの
流
(
なが
)
れ
清
(
きよ
)
くして
017
四方
(
よも
)
の
民草
(
たみぐさ
)
勇
(
いさ
)
みつつ
018
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
に
霑
(
うるほ
)
へる
019
其
(
その
)
神国
(
かみくに
)
もいつしかに
020
黄泉国
(
よもつくに
)
より
荒
(
あら
)
び
来
(
く
)
る
021
醜
(
しこ
)
の
魔神
(
まがみ
)
に
犯
(
をか
)
されて
022
払
(
はら
)
ふすべなき
暗
(
やみ
)
の
世
(
よ
)
の
023
ヒルの
御国
(
みくに
)
も
夜
(
よる
)
の
如
(
ごと
)
024
暗
(
やみ
)
の
帳
(
とばり
)
に
包
(
つつ
)
まれて
025
黒白
(
あやめ
)
も
分
(
わ
)
かぬ
人心
(
ひとごころ
)
026
あが
足乳根
(
たらちね
)
の
父母
(
ちちはは
)
は
027
赤
(
あか
)
き
心
(
こころ
)
の
紅葉彦
(
もみぢひこ
)
028
楓
(
かへで
)
の
別
(
わけ
)
と
次々
(
つぎつぎ
)
に
029
赤
(
あか
)
き
心
(
こころ
)
を
大前
(
おほまへ
)
に
030
捧
(
ささ
)
げまつりて
仕
(
つか
)
へまし
031
世人
(
よびと
)
を
導
(
みちび
)
き
給
(
たま
)
へども
032
時世
(
じせい
)
に
暗
(
くら
)
き
老臣
(
らうしん
)
が
033
心
(
こころ
)
の
暗
(
やみ
)
は
晴
(
は
)
れやらず
034
ヒルの
天地
(
てんち
)
は
日
(
ひ
)
に
月
(
つき
)
に
035
常夜
(
とこよ
)
の
暗
(
やみ
)
となりはてて
036
阿鼻
(
あび
)
叫喚
(
けうくわん
)
の
鬨
(
とき
)
の
声
(
こゑ
)
037
春野
(
はるの
)
に
咲
(
さ
)
ける
花
(
はな
)
の
香
(
か
)
も
038
梢
(
こずゑ
)
に
囀
(
さへづ
)
る
鳥
(
とり
)
の
声
(
こゑ
)
も
039
秋野
(
あきの
)
にすだく
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
も
040
皆
(
みな
)
亡国
(
ばうこく
)
の
気配
(
けはい
)
あり
041
此
(
この
)
世
(
よ
)
此
(
この
)
儘
(
まま
)
すごしなば
042
インカの
国
(
くに
)
は
忽
(
たちま
)
ちに
043
修羅
(
しゆら
)
の
巷
(
ちまた
)
と
成果
(
なりは
)
てて
044
わが
衆生
(
しゆじやう
)
は
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
や
045
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
なる
苦
(
くるし
)
みを
046
うけて
亡
(
ほろ
)
ぶは
目
(
ま
)
のあたり
047
時代
(
じだい
)
に
目覚
(
めざ
)
めし
兄
(
あに
)
の
君
(
きみ
)
は
048
われと
語
(
かた
)
らひ
逸早
(
いちはや
)
く
049
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
国
(
くに
)
の
為
(
ため
)
050
世人
(
よびと
)
の
為
(
ため
)
に
高倉
(
たかくら
)
の
051
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
の
堅城
(
けんじやう
)
を
052
あとに
見捨
(
みす
)
てて
天
(
あま
)
さかる
053
鄙
(
ひな
)
に
下
(
くだ
)
りて
身
(
み
)
と
魂
(
たま
)
を
054
練
(
ね
)
り
鍛
(
きた
)
へつつ
新
(
あたら
)
しく
055
生
(
うま
)
れ
来
(
きた
)
らむ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
056
柱
(
はしら
)
とならむと
雄健
(
をたけ
)
びし
057
神
(
かみ
)
に
誓約
(
うけひ
)
を
奉
(
たてまつ
)
り
058
生
(
い
)
でさせ
給
(
たま
)
ひし
健気
(
けなげ
)
さよ
059
妾
(
わらは
)
は
元
(
もと
)
よりなよ
竹
(
だけ
)
の
060
力
(
ちから
)
も
弱
(
よわ
)
き
身
(
み
)
なれども
061
御国
(
みくに
)
を
思
(
おも
)
ひ
道
(
みち
)
思
(
おも
)
ふ
062
雄々
(
をを
)
しき
心
(
こころ
)
に
変
(
かは
)
りなし
063
すき
間
(
ま
)
の
風
(
かぜ
)
も
厭
(
いと
)
ひたる
064
床
(
とこ
)
に
飾
(
かざ
)
りし
姫百合
(
ひめゆり
)
の
065
仮令
(
たとへ
)
萎
(
しほ
)
るる
世
(
よ
)
なりとも
066
赤
(
あか
)
き
心
(
こころ
)
の
実
(
み
)
を
結
(
むす
)
ぶ
067
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
ちつつ
霜
(
しも
)
をふみ
068
慣
(
な
)
れぬ
旅路
(
たびぢ
)
をやうやうに
069
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
りし
嬉
(
うれ
)
しさよ
070
あゝ
天地
(
あめつち
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
071
妾
(
わらは
)
兄妹
(
おとどい
)
両人
(
りやうにん
)
が
072
清
(
きよ
)
けき
赤
(
あか
)
き
真直
(
ますぐ
)
なる
073
心
(
こころ
)
を
諾
(
うべ
)
なひ
給
(
たま
)
ひつつ
074
今日
(
けふ
)
の
首途
(
かどで
)
をどこ
迄
(
まで
)
も
075
意義
(
いぎ
)
あらしめよ
幸
(
さち
)
あらしめよ
076
ヒルの
御国
(
みくに
)
の
空
(
そら
)
打
(
うち
)
仰
(
あふ
)
ぎ
077
高倉山
(
たかくらやま
)
に
斎
(
いつ
)
きたる
078
国魂神
(
くにたまがみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
079
空
(
そら
)
行
(
ゆ
)
く
雲
(
くも
)
に
吾
(
わが
)
心
(
こころ
)
080
のせて
通
(
かよ
)
ひつ
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る
081
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
082
御霊
(
みたま
)
のふゆを
願
(
ね
)
ぎまつる
083
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
084
御霊
(
みたま
)
の
恩頼
(
ふゆ
)
を
願
(
ね
)
ぎまつる』
085
春子姫
(
はるこひめ
)
も
亦
(
また
)
歌
(
うた
)
ふ。
086
『
故里
(
ふるさと
)
の
空
(
そら
)
打
(
うち
)
仰
(
あふ
)
ぎ
思
(
おも
)
ふかな
087
わが
大君
(
おほぎみ
)
はいかにますかと。
088
ヒルの
空
(
そら
)
打
(
うち
)
仰
(
あふ
)
ぎつつ
思
(
おも
)
ふかな
089
モリス
秋山別
(
あきやまわけ
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
。
090
あの
雲
(
くも
)
は
灰色
(
はひいろ
)
だ
091
さうしてヒルの
空
(
そら
)
から
092
走
(
はし
)
つて
来
(
く
)
る
093
痛
(
いた
)
ましや
094
秋山別
(
あきやまわけ
)
モリスの
神柱
(
かむばしら
)
の
095
青息
(
あをいき
)
吐息
(
といき
)
の
096
余煙
(
よえん
)
だらう
097
あゝ
痛
(
いた
)
ましや
灰色
(
はひいろ
)
の
098
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まれて
099
ヒルの
国
(
くに
)
の
衆生
(
しゆじやう
)
は
100
さぞ
苦
(
くる
)
しき
雰囲気
(
ふんゐき
)
の
中
(
うち
)
に
101
世
(
よ
)
を
喞
(
かこ
)
ちて
102
悩
(
なや
)
んでゐるだらう
103
春
(
はる
)
の
野
(
の
)
の
104
百花
(
ももばな
)
千花
(
ちばな
)
も
105
牡丹
(
ぼたん
)
の
花
(
はな
)
の
清香姫
(
きよかひめ
)
も
106
あの
灰色
(
はひいろ
)
の
107
雲
(
くも
)
も
否
(
いな
)
みて
108
こき
紫
(
むらさき
)
の
109
雲
(
くも
)
の
漂
(
ただよ
)
ふ
珍
(
うづ
)
の
空
(
そら
)
へ
110
逃
(
にげ
)
て
行
(
ゆ
)
く
気
(
き
)
になつたのだもの
111
あゝ
天津風
(
あまつかぜ
)
時津風
(
ときつかぜ
)
112
南
(
みなみ
)
から
北
(
きた
)
へ
吹
(
ふ
)
けよ
113
さうして
114
紫
(
むらさき
)
の
雲
(
くも
)
をヒルの
空
(
そら
)
に
送
(
おく
)
れ
115
あの
灰色
(
はひいろ
)
の
雲
(
くも
)
は
116
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
に
吹
(
ふき
)
散
(
ち
)
らせよ
117
国愛別
(
くにちかわけ
)
の
世子
(
せいし
)
の
君
(
きみ
)
は
118
早
(
はや
)
くも
珍
(
うづ
)
に
坐
(
ま
)
しますか
119
あの
珍
(
うづ
)
の
空
(
そら
)
の
雲
(
くも
)
の
色
(
いろ
)
のめでたさよ
120
高照山
(
たかてるやま
)
の
空
(
そら
)
には
121
まだ
灰色
(
はひいろ
)
がかつた
122
淡
(
あは
)
い
雲
(
くも
)
が
往来
(
ゆきき
)
してゐる
123
之
(
これ
)
を
思
(
おも
)
へば
124
われ
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
は
125
まだハツキリと
晴
(
は
)
れて
居
(
ゐ
)
ないだらう
126
あゝ
味気
(
あぢき
)
なき
127
浮世
(
うきよ
)
の
雲
(
くも
)
よ
128
灰色
(
はひいろ
)
の
空
(
そら
)
よ
129
天
(
てん
)
も
地
(
ち
)
も
130
山
(
やま
)
も
河
(
かは
)
も
131
皆
(
みな
)
灰色
(
はひいろ
)
に
包
(
つつ
)
まれた
132
今日
(
けふ
)
の
景色
(
けしき
)
133
国魂
(
くにたま
)
の
神
(
かみ
)
の
134
怒
(
いか
)
りに
触
(
ふ
)
れてや
135
四方
(
よも
)
に
怪
(
あや
)
しき
雲
(
くも
)
の
竜世姫
(
たつよひめ
)
136
恵
(
めぐ
)
ませ
給
(
たま
)
へ
137
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
を
138
起
(
おこ
)
させ
給
(
たま
)
へ
139
清
(
きよ
)
めの
風
(
かぜ
)
を』
140
清香姫
(
きよかひめ
)
は
又
(
また
)
歌
(
うた
)
ふ。
141
『
久方
(
ひさかた
)
の
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
を
打
(
うち
)
仰
(
あふ
)
ぎ
142
世
(
よ
)
の
行先
(
ゆくさき
)
を
歎
(
なげ
)
くわれかな。
143
天
(
てん
)
も
地
(
ち
)
も
皆
(
みな
)
灰色
(
はひいろ
)
に
包
(
つつ
)
まれて
144
世
(
よ
)
は
常暗
(
とこやみ
)
とならむとぞする。
145
いかにせば
此
(
この
)
灰雲
(
はひくも
)
の
晴
(
は
)
れぬらむ
146
わが
言霊
(
ことたま
)
の
力
(
ちから
)
なければ。
147
時津風
(
ときつかぜ
)
吹
(
ふ
)
けよ
大空
(
おほぞら
)
に
148
又
(
また
)
地
(
ち
)
の
上
(
うへ
)
に
149
われ
等
(
ら
)
が
上
(
うへ
)
に
150
陰鬱
(
いんうつ
)
な
151
此
(
この
)
雰囲気
(
ふんゐき
)
の
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
152
かからむ
限
(
かぎ
)
り
人草
(
ひとぐさ
)
は
153
次第
(
しだい
)
に
次第
(
しだい
)
に
亡
(
ほろ
)
びなむ
154
頑迷
(
ぐわんめい
)
固陋
(
ころう
)
の
獅子
(
しし
)
の
声
(
こゑ
)
155
新進
(
しんしん
)
気鋭
(
きえい
)
の
馬
(
うま
)
の
声
(
こゑ
)
156
北
(
きた
)
と
南
(
みなみ
)
に
響
(
ひび
)
きつつ
157
地震
(
なゐふる
)
となり
雷
(
いかづち
)
となり
158
やがては
割
(
わ
)
るるヒルの
国
(
くに
)
159
之
(
これ
)
を
思
(
おも
)
へば
片時
(
かたとき
)
も
160
身
(
み
)
を
安
(
やす
)
んじて
高倉
(
たかくら
)
の
161
山
(
やま
)
に
月
(
つき
)
をば
楽
(
たの
)
しまむや
162
花
(
はな
)
は
匂
(
にほ
)
へど
163
月
(
つき
)
は
照
(
て
)
れど
164
鳥
(
とり
)
は
唄
(
うた
)
へど
165
わが
目
(
め
)
には
166
わが
耳
(
みみ
)
には
167
皆
(
みな
)
亡国
(
ばうこく
)
の
色
(
いろ
)
と
見
(
み
)
え
168
地獄
(
ぢごく
)
の
声
(
こゑ
)
と
聞
(
きこ
)
ゆ
169
あゝ
痛
(
いた
)
ましき
今
(
いま
)
の
世
(
よ
)
を
170
清
(
きよ
)
め
澄
(
す
)
まして
古
(
いにしへ
)
の
171
インカの
御代
(
みよ
)
に
立直
(
たてなほ
)
し
172
四民
(
しみん
)
平等
(
べうどう
)
鳥
(
とり
)
唄
(
うた
)
ひ
173
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ふ
天国
(
てんごく
)
の
174
ヒルの
都
(
みやこ
)
を
来
(
き
)
たせたい
175
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
176
花
(
はな
)
のうてなの
清香姫
(
きよかひめ
)
177
木
(
き
)
の
芽
(
め
)
もめぐむ
春子姫
(
はるこひめ
)
178
踏
(
ふ
)
みもならはぬ
高砂
(
たかさご
)
の
179
足
(
あし
)
を
痛
(
いた
)
むる
初旅
(
はつたび
)
を
180
恵
(
めぐ
)
ませ
給
(
たま
)
へ
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
181
国魂神
(
くにたまがみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
182
谷
(
たに
)
の
戸
(
と
)
出
(
い
)
づる
鶯
(
うぐひす
)
の
183
かよわき
声
(
こゑ
)
を
張上
(
はりあ
)
げて
184
偏
(
ひとへ
)
に
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る
185
偏
(
ひとへ
)
に
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る』
186
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
覆面
(
ふくめん
)
頭巾
(
づきん
)
の
山賊
(
さんぞく
)
の
群
(
むれ
)
十数
(
じふすう
)
人
(
にん
)
、
187
バラバラと
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
188
二人
(
ふたり
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て
泥棒
(
どろばう
)
の
親分
(
おやぶん
)
らしき
奴
(
やつ
)
、
189
巨眼
(
きよがん
)
を
開
(
ひら
)
き、
190
二人
(
ふたり
)
を
包囲
(
はうゐ
)
し
乍
(
なが
)
ら、
191
長刀
(
ちやうたう
)
をズラリと
引抜
(
ひきぬ
)
き、
192
親分
(
おやぶん
)
『オイ、
193
女
(
あま
)
つちよ、
194
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
何処
(
どこ
)
の
何者
(
なにもの
)
だ。
195
一寸
(
ちよつと
)
見
(
み
)
た
所
(
ところ
)
、
196
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
容貌
(
きりよう
)
といひ、
197
持物
(
もちもの
)
といひ、
198
衣服
(
いふく
)
といひ、
199
普通
(
ふつう
)
の
民家
(
みんか
)
に
生
(
うま
)
れた
女
(
をんな
)
ではあるまい。
200
一伍
(
いちぶ
)
一什
(
しじふ
)
、
201
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
素性
(
すじやう
)
を
源九郎
(
げんくらう
)
の
前
(
まへ
)
に
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
せ。
202
違背
(
ゐはい
)
に
及
(
およ
)
ばば、
203
此
(
この
)
方
(
はう
)
にも
覚悟
(
かくご
)
があるぞ』
204
清香姫
(
きよかひめ
)
は
始
(
はじ
)
めて
泥棒
(
どろばう
)
に
出会
(
であ
)
つた
恐
(
おそ
)
ろしさに、
205
顔
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
迄
(
まで
)
かへて
慄
(
ふる
)
うてゐる。
206
春子姫
(
はるこひめ
)
は
姫
(
ひめ
)
の
身
(
み
)
を
庇護
(
かば
)
ひ
乍
(
なが
)
ら……
仮令
(
たとへ
)
泥棒
(
どろばう
)
の
二十
(
にじふ
)
人
(
にん
)
や
三十
(
さんじふ
)
人
(
にん
)
押寄
(
おしよ
)
せ
来
(
きた
)
り、
207
兇器
(
きようき
)
を
持
(
も
)
つて
向
(
むか
)
ふとも、
208
日頃
(
ひごろ
)
鍛
(
きた
)
へた
柔術
(
やはら
)
の
奥
(
おく
)
の
手
(
て
)
をあらはし、
209
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず、
210
谷川
(
たにがは
)
に
投込
(
なげこ
)
み、
211
懲
(
こ
)
らしめて
呉
(
く
)
れむ……と
覚悟
(
かくご
)
をきはめ
乍
(
なが
)
ら、
212
そ
知
(
し
)
らぬ
体
(
てい
)
にて、
213
ワザとおとなしく、
214
両手
(
りやうて
)
をつき、
215
春子
(
はるこ
)
『ハイ、
216
妾
(
わらは
)
は
高倉山
(
たかくらやま
)
を
守護
(
しゆご
)
致
(
いた
)
す
天人
(
てんにん
)
で
厶
(
ござ
)
います。
217
大変
(
たいへん
)
な
偉
(
えら
)
い
権幕
(
けんまく
)
で、
218
妾
(
わらは
)
に
何
(
なに
)
かお
尋
(
たづ
)
ねの
様
(
やう
)
で
厶
(
ござ
)
いますが、
219
人間
(
にんげん
)
は、
220
仮令
(
たとへ
)
泥棒
(
どろばう
)
にもせよ、
221
礼儀
(
れいぎ
)
といふものが
厶
(
ござ
)
いませう。
222
孱弱
(
かよわ
)
き
女
(
をんな
)
だと
思召
(
おぼしめ
)
し、
223
頭
(
あたま
)
から
威喝
(
ゐかつ
)
せうとは、
224
チツト
男
(
をとこ
)
にも
似合
(
にあ
)
はぬ、
225
御
(
ご
)
卑怯
(
ひけふ
)
では
厶
(
ござ
)
いませぬか。
226
何
(
なん
)
の
御用
(
ごよう
)
か
存
(
ぞん
)
じませぬが、
227
天地
(
てんち
)
を
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
致
(
いた
)
す
天女
(
てんによ
)
で
厶
(
ござ
)
いますれば、
228
誠
(
まこと
)
のことならば
何
(
なん
)
でも
聞
(
き
)
いて
上
(
あ
)
げませう、
229
其
(
その
)
代
(
かは
)
り
道
(
みち
)
に
外
(
はづ
)
れたことならば、
230
少
(
すこ
)
しも
許
(
ゆる
)
しませぬぞ』
231
とキツパリ
言
(
い
)
つてのけた。
232
源九郎
(
げんくらう
)
は
度胸
(
どきよう
)
の
据
(
すわ
)
つた
春子姫
(
はるこひめ
)
の
言葉
(
ことば
)
に
稍
(
やや
)
ド
胆
(
ぎも
)
を
抜
(
ぬ
)
かれたが……タカが
知
(
し
)
れた
女
(
をんな
)
の
二人
(
ふたり
)
、
233
自分
(
じぶん
)
は
十数
(
じふすう
)
人
(
にん
)
の
命知
(
いのちし
)
らずの
荒武者
(
あらむしや
)
をつれてゐる。
234
天人
(
てんにん
)
か
天女
(
てんによ
)
か
知
(
し
)
らぬが、
235
こんな
女
(
をんな
)
に
尻込
(
しりご
)
みしては、
236
今後
(
こんご
)
乾児
(
こぶん
)
を
扱
(
あつか
)
ふ
上
(
うへ
)
に
於
(
おい
)
て、
237
信用
(
しんよう
)
を
失墜
(
しつつゐ
)
する。
238
飽迄
(
あくまで
)
も
強圧
(
きやうあつ
)
的
(
てき
)
に
出
(
で
)
たのだから、
239
無理
(
むり
)
押
(
お
)
しで
押
(
お
)
さへつけてやらむ……と
覚悟
(
かくご
)
をきはめ、
240
ワザと
居丈高
(
ゐたけだか
)
になり、
241
源
(
げん
)
『アツハヽヽヽ、
242
吐
(
ぬか
)
したりな、
243
すべた
女
(
をんな
)
、
244
天人
(
てんにん
)
とはまつかな
詐
(
いつは
)
り、
245
吾々
(
われわれ
)
が
恐
(
おそ
)
ろしさの
其
(
その
)
場
(
ば
)
遁
(
のが
)
れのテレ
隠
(
かく
)
し、
246
左様
(
さやう
)
なことに
誑
(
たば
)
かられる
源九郎
(
げんくらう
)
さまぢやないぞ。
247
高照山
(
たかてるやま
)
の
山寨
(
さんさい
)
に
数百
(
すうひやく
)
人
(
にん
)
の
手下
(
てした
)
を
引
(
ひき
)
つれ、
248
往来
(
ゆきき
)
の
男女
(
だんぢよ
)
を
脅
(
おびや
)
かす
悪魔
(
あくま
)
の
源九郎
(
げんくらう
)
たア
俺
(
おれ
)
のことだい。
249
四
(
し
)
の
五
(
ご
)
の
吐
(
ぬか
)
さず、
250
衣類
(
ゐるゐ
)
万端
(
ばんたん
)
脱
(
ぬ
)
いで
渡
(
わた
)
すか、
251
さもなくば、
252
源九郎
(
げんくらう
)
の
女房
(
にようばう
)
になるか、
253
サアどうだ。
254
速
(
すみやか
)
に
返答
(
へんたふ
)
を
承
(
うけたま
)
はらう』
255
春子姫
(
はるこひめ
)
は
益々
(
ますます
)
度胸
(
どきよう
)
がすわつて
来
(
き
)
た。
256
清香姫
(
きよかひめ
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
、
257
神
(
かみ
)
の
救
(
すく
)
ひを
心中
(
しんちう
)
に
祈
(
いの
)
つてゐる。
258
春子
(
はるこ
)
『ホツホヽヽヽヽ
259
悪魔
(
あくま
)
の
源九郎
(
げんくらう
)
とやら、
260
好
(
よ
)
い
所
(
ところ
)
へ
現
(
あら
)
はれて
来
(
き
)
た。
261
妾
(
わらは
)
は
其方
(
そち
)
の
出現
(
しゆつげん
)
を
待
(
ま
)
つてゐたのだ。
262
邪魔
(
じやま
)
臭
(
くさ
)
い、
263
木偶
(
でく
)
の
坊
(
ばう
)
を
二十
(
にじふ
)
や
三十
(
さんじふ
)
連
(
つ
)
れて
来
(
き
)
た
所
(
ところ
)
で、
264
歯
(
は
)
ごたへがせぬ。
265
乾児
(
こぶん
)
を
残
(
のこ
)
らず
引
(
ひき
)
つれ、
266
吾
(
わが
)
前
(
まへ
)
に
並
(
なら
)
べてみよ。
267
片
(
かた
)
つぱしから、
268
窘
(
たしな
)
めてくれむ。
269
悪魔
(
あくま
)
退治
(
たいぢ
)
に
出陣
(
しゆつぢん
)
の
途中
(
とちう
)
、
270
悪魔
(
あくま
)
の
張本
(
ちやうほん
)
源九郎
(
げんくらう
)
に
会
(
あ
)
ふとは、
271
何
(
なん
)
たる
幸先
(
さいさき
)
のよい
事
(
こと
)
だらう。
272
一人
(
ひとり
)
二人
(
ふたり
)
は
面倒
(
めんだう
)
だ。
273
源九郎
(
げんくらう
)
、
274
サア
一度
(
いちど
)
にかかれ、
275
天人
(
てんにん
)
の
神力
(
しんりき
)
を
現
(
あら
)
はして、
276
汝
(
なんぢ
)
が
肝
(
きも
)
を
冷
(
ひや
)
しくれむ』
277
といふより
早
(
はや
)
く、
278
襷十字
(
たすきじふじ
)
にあやどり、
279
優
(
やさ
)
しい
顔
(
かほ
)
に
後
(
うしろ
)
鉢巻
(
はちまき
)
を
締
(
し
)
め、
280
懐剣
(
くわいけん
)
の
柄
(
つか
)
に
手
(
て
)
をかけ
身構
(
みがま
)
へした。
281
此
(
この
)
勢
(
いきほひ
)
に
清香姫
(
きよかひめ
)
も
気
(
き
)
を
取直
(
とりなほ
)
し、
282
又
(
また
)
もや
赤襷
(
あかだすき
)
に
白鉢巻
(
しろはちまき
)
、
283
懐剣
(
くわいけん
)
の
鞘
(
さや
)
を
払
(
はら
)
つて
源九郎
(
げんくらう
)
目懸
(
めが
)
けて、
284
ヂリヂリとつめよせた。
285
春子姫
(
はるこひめ
)
は
十数
(
じふすう
)
人
(
にん
)
の
乾児
(
こぶん
)
に
目
(
め
)
を
配
(
くば
)
り、
286
寄
(
よ
)
らば
斬
(
き
)
らむと
身構
(
みがま
)
へしてゐる。
287
源九郎
(
げんくらう
)
が
一令
(
いちれい
)
の
下
(
もと
)
に、
288
乾児
(
こぶん
)
は
二人
(
ふたり
)
に
向
(
むか
)
つて、
289
切
(
き
)
りつくることとなつてゐた。
290
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
頭梁
(
とうりやう
)
の
源九郎
(
げんくらう
)
は
二人
(
ふたり
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て、
291
稍
(
やや
)
恋慕
(
れんぼ
)
の
念
(
ねん
)
を
起
(
おこ
)
し……
何
(
なに
)
程
(
ほど
)
強
(
つよ
)
いといつても、
292
女
(
をんな
)
の
二人
(
ふたり
)
、
293
片腕
(
かたうで
)
にも
足
(
た
)
らないが、
294
併
(
しか
)
し
斯様
(
かやう
)
な、
295
美人
(
びじん
)
をムザムザ
殺
(
ころ
)
すのは
惜
(
をし
)
いものだ、
296
何
(
なん
)
とかして
助
(
たす
)
けたい……と
早
(
はや
)
くも
恋
(
こひ
)
に
捉
(
とら
)
はれてゐる。
297
春子
(
はるこ
)
『
源九郎
(
げんくらう
)
とやら、
298
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
大言
(
だいげん
)
を
吐
(
は
)
き
乍
(
なが
)
ら、
299
なぜ
孱弱
(
かよわ
)
き
二人
(
ふたり
)
の
女
(
をんな
)
に
手出
(
てだ
)
しをせぬのか、
300
吾々
(
われわれ
)
の
威勢
(
ゐせい
)
に
恐
(
おそ
)
れてゐるのか、
301
返答
(
へんたふ
)
せい。
302
妾
(
わらは
)
は
天下
(
てんか
)
を
救
(
すく
)
ふ
宣伝使
(
せんでんし
)
だ。
303
汝
(
なんぢ
)
如
(
ごと
)
きに
怖
(
おそ
)
れを
抱
(
いだ
)
いて、
304
どうして
天人
(
てんにん
)
の
職
(
しよく
)
が
勤
(
つと
)
まらうぞ、
305
卑怯
(
ひけふ
)
未練
(
みれん
)
な
男
(
をとこ
)
だなア』
306
源
(
げん
)
『ナアニ、
307
タカが
女
(
をんな
)
の
一人
(
ひとり
)
や
二人
(
ふたり
)
、
308
片腕
(
かたうで
)
にも
足
(
た
)
らねども、
309
可惜
(
あたら
)
名花
(
めいくわ
)
を
散
(
ち
)
らすは
惜
(
をし
)
いものだ。
310
それ
故
(
ゆゑ
)
暫時
(
しばらく
)
、
311
根株
(
ねかぶ
)
を
切
(
き
)
つた
鉢植
(
はちうゑ
)
の
花
(
はな
)
だと
思
(
おも
)
つて
眺
(
なが
)
めてゐるのだ。
312
やがて
果敢
(
はか
)
ない
終
(
をは
)
りを
告
(
つ
)
げるだらうと
思
(
おも
)
へば、
313
聊
(
いささ
)
か
同情
(
どうじやう
)
の
涙
(
なみだ
)
にくれぬ
事
(
こと
)
もないわい。
314
テモ
偖
(
さて
)
も
見
(
み
)
れば
見
(
み
)
る
程
(
ほど
)
、
315
美
(
うつく
)
しい……イヤいぢらしい
者
(
もの
)
だワイ』
316
春子
(
はるこ
)
『エヽ
汚
(
けが
)
らはしい、
317
泥棒
(
どろばう
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として、
318
天人
(
てんにん
)
に
向
(
むか
)
ひ、
319
いぢらしいとか、
320
美
(
うつく
)
しいとか、
321
チツと
過言
(
くわごん
)
であらうぞ。
322
要
(
い
)
らざる
繰言
(
くりごと
)
申
(
まを
)
すよりも
323
旗
(
はた
)
をまき
尾
(
を
)
をふつて、
324
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
早
(
はや
)
く
立去
(
たちさ
)
れ、
325
エヽ
汚
(
けが
)
らはしい、
326
シーツ シーツ』
327
と
猫
(
ねこ
)
でも
逐
(
お
)
ふ
様
(
やう
)
な
大胆
(
だいたん
)
不敵
(
ふてき
)
の
挙動
(
きよどう
)
に、
328
源九郎
(
げんくらう
)
は
怒
(
いか
)
り
心頭
(
しんとう
)
に
達
(
たつ
)
し、
329
源
(
げん
)
『
要
(
い
)
らざる
殺生
(
せつしやう
)
はしたくなけれ
共
(
ども
)
、
330
モウ
斯
(
か
)
うなれば
後
(
あと
)
へは
退
(
ひ
)
かれぬ
男
(
をとこ
)
の
意地
(
いぢ
)
、
331
コリヤ
女
(
をんな
)
、
332
今
(
いま
)
に
吠面
(
ほえづら
)
かわかしてみせる、
333
覚悟
(
かくご
)
をいたせ……ヤアヤア
乾児
(
こぶん
)
共
(
ども
)
、
334
両人
(
りやうにん
)
に
向
(
むか
)
つて
斬
(
き
)
りつけよ』
335
と
下知
(
げち
)
すれば、
336
心得
(
こころえ
)
たりと、
337
十数
(
じふすう
)
人
(
にん
)
の
乾児
(
こぶん
)
は
二人
(
ふたり
)
の
女
(
をんな
)
に
向
(
むか
)
つて、
338
阿修羅
(
あしゆら
)
王
(
わう
)
の
如
(
ごと
)
くに
迫
(
せま
)
り
来
(
きた
)
る。
339
春子姫
(
はるこひめ
)
は
一方
(
いつぱう
)
の
手
(
て
)
で、
340
清香姫
(
きよかひめ
)
を
庇
(
かば
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
341
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
防
(
ふせ
)
ぎ
戦
(
たたか
)
へども、
342
剛力
(
がうりき
)
無双
(
むさう
)
の
敵
(
てき
)
の
襲撃
(
しふげき
)
、
343
早
(
はや
)
くも
力
(
ちから
)
尽
(
つ
)
きて、
344
彼
(
かれ
)
が
毒牙
(
どくが
)
にかからむとする
危機
(
きき
)
一髪
(
いつぱつ
)
の
場合
(
ばあひ
)
となつて
来
(
き
)
た。
345
源九郎
(
げんくらう
)
は
岩上
(
がんじやう
)
に
腰
(
こし
)
打
(
うち
)
かけ、
346
平然
(
へいぜん
)
として
煙草
(
たばこ
)
を
燻
(
くゆ
)
らし
乍
(
なが
)
ら、
347
此
(
この
)
光景
(
くわうけい
)
を
見下
(
みお
)
ろしてゐる。
348
清香姫
(
きよかひめ
)
は
今
(
いま
)
や
捉
(
とら
)
へられむとする
一刹那
(
いつせつな
)
、
349
あたりの
空気
(
くうき
)
を
振動
(
しんどう
)
させて
宣伝歌
(
せんでんか
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
350
あゝ
此
(
この
)
結果
(
けつくわ
)
は
何
(
ど
)
うなるであらうか。
351
(
大正一三・一・二五
旧一二・一二・二〇
伊予 於山口氏邸、
松村真澄
録)
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