第四章 ⦿の神声〔一八三五〕
001 此の至大天球の未だ成立せざる⦿の神時代の天の世は、002唯至大浩々而氤氳ぎたる極微點の神霊分子が撒霧に撒散而、003至大浩々霊々湛々たる極微點分子が玄々漠々妙々たり。004漂々點々烈々兮、005恒々極々鋳々兮、006平々運々洞々兮、007几々白々渺々兮、008剛々神々寂々兮、009照々電々精々兮、010満々既々着々兮、011汎々膨々凝々兮、012登々軟々挿々兮、013進々酸々黒々兮、014降々責々臨々兮、015赤々炭々止々兮焉して万性を含有し極乎として純々たり。016神代神楽翁三番叟の謡に、
025と言ふは、026此の神秘の転化したる語にして、027天の世開設の形容を顕示したるなり。028故に此の霊声を総て一言に⦿と謂ふ。029此の⦿声の神霊を明細に説き明かす時は、030世界一切の太極本元の真体及び其の成立の秩序も、031億兆万々劫々年度劫大約恒々兮大造化の真象も、032逐一明かに資り得らるるなり。
033 蓋し⦿の言たるや⦿にして⦿なるが故に、034既に七十五声の精霊を完備して、035純乎として各自皆その真位を保ちつつあり。036然して其の真位と謂ふは、037皆両々相向ひて遠近皆悉く返対力が純一に密合の色を保ちて実相しつつ、038至大極乎として恒々兮、039活気臨々として点々たり、040所謂至大氤氳の気が声と鳴り起むと欲して、041湛々の中に神機を含蔵するの時なり。042故に世に人たる者は先づ第一に此の⦿の謂れを明かに知るべきものとす。043何故なれば⦿は皇の極元なればなり。
044(昭和八・一〇・五 旧八・一六 於天恩郷千歳庵 加藤明子謹録)