第一二章 水火の活動〔一八四三〕
001 大宇宙間に鳴り鳴りて、002鳴り止まず、003鳴りあまれる厳の生言霊ス声によりて、004七十五声の神現れ給ひしことは、005既に前述の如し。
006 スの言霊は鳴り鳴りて、007遂に大宇宙間に火と水との物質を生み給ふ。008抑々一切の霊魂物質は何れもスの言霊の生むところなり。009而して火の性質は横に流れ、010水の性質は縦に流るるものなり。011故に火は水の力によりて縦にのぼり、012又水は火の横の力によりて横に流る。013昔の言霊学者は火は縦にして、014水は横なりと言へれども、015其の根元に至りては然らず、016火も水なければ燃ゆる能はず光る能はず、017水も亦火の力添はざれば流動する能はず、018遂に凝り固まりて氷柱となるものなり。019冬の日の氷は火の気の去りし水の本質なり、020此の理によりて水は縦に活用をなし、021火は横に動くものなる事を知るべし。
022 天界に於ける光彩炎熱も内包せる水気の力なり。023紫微天界には大太陽現れ給ひて左旋運動を起し、024東より西にコースを取るのみにして、025西より東に廻る太陰なし。026炎熱猛烈にして神人を絶対的に安住せしむる機関とはならざりしかば、027茲に太元顕津男の神は高地秀の峯にのぼらせ給ひ、028幾多の年月の間、029生言霊を奏上し給へば、030大神の言霊宇宙に凝りて茲に大太陰は顕現されたるなり。031而して大太陰は水気多く火の力をもつて輝き給へば、032右旋運動を起して西より東にコースをとり、033天界の神人を守らせ給ふ。034天之道立の神は大太陽を機関として、035凡百の経綸を行ひ給ひ、036太元顕津男の神は大太陰を機関として宇宙天界を守らせ給へば、037茲に天界はいよいよ火水の調節なりて以前に勝る万有の栄を見るに至れり。
038 太元顕津男の神は大太陰界に鎮まり給ひて至仁至愛の神と現じ給ひ、039数百億年の末の世迄も永久に鎮まり給ふぞ畏けれ。040至仁至愛の大神は数百億年を経て今日に至るも、041若返り若返りつつ今に宇宙一切の天地を守らせ給ひ、042今や地上の覆滅せむとするに際し、043瑞の御霊の神霊を世に降して更生の神業を依さし給ふべく、044肉の宮居に降りて神代に於ける御活動そのままに、045迫害と嘲笑との中に終始一貫尽し給ふこそ畏けれ。
046 大太陽に鎮まり給ふ大神を厳の御霊と称へ奉り、047大太陰界に鎮まりて宇宙の守護に任じ給ふ神霊を瑞の御霊と称へ奉る。048厳の御霊、049瑞の御霊二神の接合して至仁至愛神政を樹立し給ふ神の御名を伊都能売神と申す。050即ち伊都は厳にして火なり、051能売は水力、052水の力なり、053水は又瑞の活用を起して茲に瑞の御霊となり給ふ。054紫微天界の開闢より数億万年の今日に至りていよいよ伊都能売神と顕現し、055大宇宙の中心たる現代の地球(仮に地球といふ)の真秀良場に現れ、056現身をもちて、057宇宙更生の神業に尽し給ふ世とはなれり。
058厳御霊瑞の御霊の接合を
059伊都能売御霊と称へまつらふ
060厳の御霊太陽界に在しまして
061火の活動を行ひたまふ
062瑞の御霊太陰界にましまして
063水の活動を行はせたまふ
064いづいづし厳の御霊の活用に
065宇宙を包む火は光るなり
066みづみづし瑞の御霊は幸ひて
067宇宙に水の力を与ふ
068ここに説く太陽太陰両神は
069我が地より見る陰陽に非ず
070火は水の力に動き水は火の
071力によりて流動するなり
072何事も水のみにしては成らざらむ
073火の助けこそ水を生かすも
074火のみにていかで燃ゆべき光るべき
075水の力をかりて動くも
076火と水の言霊これを火水といひ
077又火水と言ふ宇宙の大道
078水と火の言霊合して水火となり
079宇宙万有の水火となるなり
080火と水は即ち火水なり水と火は
081即ち水火なり陰陽の活動
082水と火の活用によりてフの霊
084雨も風も雪霜霰も水と火の
085交はる度合によりてなるなり
086大空に輝く日月星辰も
087雷電も水火の力よ
088火の系統ばかり処を得顔なる
089世は曇るより外に道なし
090猛烈なる力をもちて万有を
091焼尽するは火の行為なり
092火の力のみ活動ける世の中は
093乱れ曇りて治まることなし
094地の上の百の国々日に月に
095禍起るは火のみの世なり
096乱れ果てし世を正さむと瑞御霊
097厳の御霊と共に出でませり
098瑞御霊の力のみにて万有は
099如何で栄えむ火のあらざれば
100火と水を塩梅なして世に出づる
101伊都能売神の活動尊し
102伊都能売の神は地上に降りまし
103宇宙更生に着手したまへり
104厳御霊陽気を守り瑞御霊
105陰を守りて国は治まる
106瑞御霊至仁至愛の神と現れて
107天の御柱たつる神代なり
108伊都能売の神の功のなかりせば
109世の行先は亡び行くべし
110万有を育て助くる神業は
111瑞の御霊の力なりけり
112火と水の二つの神業ありてこそ
113天地活動次ぎ次ぎ起る
114われは今伊都能売の神の功もて
115曇れる神代を光さむと思ふ
116(昭和八・一〇・一一 旧八・二二 於水明閣 加藤明子謹録)