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~出口王仁三郎 大図書館~
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一六 不思議な道づれ
インフォメーション
題名:
16 不思議な道づれ
著者:
出口澄子
ページ:
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
B124900c18
001
八木
(
やぎ
)
の虎之助さんから──ひさが大病になりたゆえ、
002
すぐにお越し下され──という手紙が綾部の教祖さまのところへ参りたのは、
003
明治二十三年七月十八日でありましたので、
004
明けて十九日、
005
暁立
(
あさだ
)
ちで教祖さまは
八木
(
やぎ
)
へ急がれました。
006
手紙では大病とあるだけで詳しいことは分からず、
007
教祖さまは人の子の母として
産着
(
うぶぎ
)
も届けてやれなかったこと、
008
産後の病いの恐いことを想われながら、
009
心を痛めつつ道を急がれたそうです。
010
八木
(
やぎ
)
も間近くなり、
011
八木
(
やぎ
)
の
島
(
しま
)
の手前にこられると、
012
男の声がして、
013
014
「あんた、
015
えろう急いで、
016
どこへ行きなさる」と声をかける人があるので、
017
後をふりむかれると、
018
四十七、
019
八と思われる、
020
どことなく品のある男の方が追いついてこられるので、
021
022
「私は
八木
(
やぎ
)
にいる娘が病気じゃという手紙がきましたので急いどりますじゃ」と教祖さまが答えられますと、
023
024
「それはお気の毒な!ワシも急ぎますので、
025
道伴
(
みちづ
)
れになりましょうかい」と言いながら、
026
その品のよい男の方がズット教祖様のそばにより、
027
教祖さまの顔をジイッと見ていましたが、
028
驚いたように、
029
030
「何とソナタは不思議な
女人
(
かた
)
でござるのう……目は
男性
(
おとこしょう
)
の目なり、
031
今は
婦人
(
おんな
)
であるがソナタは本来男でござるがのう。
032
めずらしき
女人
(
かた
)
ざ。
033
そなたは七人の女でござるのう」と言うので教祖さまは、
034
これはまた、
035
妙なお方と
道伴
(
みちづ
)
れになったものだと思いながら、
036
037
「あなたは
易
(
えき
)
でもみられる方ですか」と聞かれると、
038
039
「ワシは易は見ぬ」とぽっつりと言うので、
040
それにしても不思議な方と、
041
042
「あなたにちょっと
伺
(
うかが
)
いますが、
043
私には八人の子供がありますが、
044
そのうち長男が家出をして、
045
未だに行方が判らず、
046
心配しております。
047
その子もいつかは戻ってきましょうか。
048
私はそのことが心配で、
049
その子は大変酒の好きな子供ですので、
050
戻ってきたらタントタント酒を呑ましてやりたいと思っています。
051
それで私のおりょうという女の子に今から酒屋をさして長男が戻ってきたら、
052
好きな酒を飲ましてやりたいと思っています」
053
と言われると、
054
その男の方は無雑作に、
055
056
「その男の子は、
057
そんなことは嫌いじゃわい。
058
それから言うておくが、
059
ソナタは嫁の世話にはならぬ女じゃわい、
060
茶
一
(
いっ
)
ぱい嫁からは汲んでもらえん
女子
(
おなご
)
じゃ」
061
とこんな風に言われ、
062
教祖さまは、
063
その頃まだ自分の因縁
性来
(
しょうらい
)
については何もご存知ないころで、
064
「自分はなぜにそのような
業
(
ごう
)
の深い女なのだろう」とつくづく自分が恥ずかしく、
065
肩身のせまい思いをしたということを、
066
私に話されたことがあります。
067
それから、
068
しばらく行かれると、
069
その男は
070
「今日はこれで失礼するが、
071
ソナタにはまだゆっくりと話したいことが、
072
山ほどある」
073
と別の広い道に一人でスタスタと進んで別れたかと思うと見えなくなったと言うことです。
074
後年
(
こうねん
)
、
075
教祖さまが、
076
その男の方の進んでゆかれた道はどこであったかと探されましたが、
077
そのような道はその辺りにはどこにもなく、
078
全く不思議な
道伴
(
みちづ
)
れであったと申されていました。
079
福島の家のそばまで来られると、
080
ひさ子姉さんの大声で叫ぶ声がきこえてきたと言うことです。
081
私はその時の教祖さまの驚きと深い悲しみはどのようであったかと、
082
母の胸のうちを想わずにはおれません。
083
教祖さまが福島虎之助の家にたどりつかれると、
084
発狂した姉は、
085
座敷牢
(
ざしきろう
)
に入れてありました。
086
姉はその時のことを私に言ってくれたところでは、
087
088
「あの時、
089
ワタシの耳のそばで神様同志が話される声が聞こえ、
090
また目には立派な装束をつけた神様やら、
091
髪の長い
気高
(
けだか
)
い神様が見えて、
092
そこへ王子からこと
子
(
こ
)
(註=教祖さまの第二女
栗山
(
くりやま
)
こと子)が亀岡の金光教の先生を
伴
(
つ
)
れてきて、
093
その先生が
天照皇大神
(
あまてらすすめおおかみ
)
、
094
日の大神、
095
月の大神などとご神名を唱えだしたのを聞いて、
096
ああ自分が見ていた神様がそう言う方であったのかと感じた」
097
ということでした。
098
八木
(
やぎ
)
のひさ子姉の
神憑
(
かんがか
)
りは教祖さまとしても初めての体験で、
099
非常に驚かれたようであります。
100
明治三十三年
閏
(
うるう
)
八月二日の教祖様の直筆に、
101
102
「出口の因縁は中々
六
(
むつ
)
カ
敷
(
しき
)
なれど、
103
元からの因縁は昔からなり、
104
この世の因縁も元は八人の血筋で手分け致して
間配
(
まくば
)
りて、
105
仕組
(
しぐみ
)
が
為
(
し
)
て有るぞよ。
106
明治二十三年の七月十九日に
八木
(
やぎ
)
の福島のひさが大病で、
107
暁立
(
あさだち
)
でなおが参りて
八木
(
やぎ
)
の
島
(
しま
)
の手前で出口に追付いて、
108
お前は珍しき
婦人
(
おんな
)
じゃと申したのは人民では無かりたぞよ。
109
お前は
婦人
(
おんな
)
に
生
(
な
)
りて来ては居れど
婦人
(
おんな
)
ではない
男子
(
おとこ
)
じゃと申してあろうがな。
110
七人の女じゃと申してあろうがな。
111
その因縁も分かりてくるぞよ」
112
とありますが、
113
この不思議な
道伴
(
みちづ
)
れは教祖さまのこころによほど深いものをのこしましたようです。
114
その後、
115
西町のおよね姉さんが
神憑
(
かんがか
)
りになったというので、
116
教祖さまが見舞いにゆかれた時、
117
教祖さまご自身の腹の中から、
118
119
「オーこの女、
120
この女、
121
八木
(
やぎ
)
の
島
(
しま
)
であったのはソナタであったわい」
122
という声がでてきて、
123
教祖さまは何じゃ判らず心配されて、
124
125
「アナタは一体どなたですか」
126
と尋ねられると、
127
128
「この
方
(
ほう
)
は三千年世に落ちていた艮の金神じゃワイ」と、
129
また腹の中から声が出て来たので、
130
教祖さまは、
131
これはいよいよ自分も大変なことになった、
132
困ったことになったものじゃ、
133
艮の金神さんと言えば
悪神
(
あくがみ
)
の
崇
(
たた
)
り
神
(
がみ
)
と言われているどえらい神さんじゃが、
134
どうしてこう言うことになったのだろうか、
135
どうしたらよいのであろうか、
136
と途方にくれたと言うことであります。
137
そうしてこの時も、
138
八木
(
やぎ
)
の
島
(
しま
)
で会われた上品な男の言葉がハッキリと頭に浮かんできたと言われました。
139
ズッと
後
(
のち
)
になって信者さんに、
140
「ワタシの目は七人の女の目じゃと神様がおっしゃるが、
141
どんな目をしとりますかい」と話されながらホンヤリ笑われて、
142
非常に
懐
(
なつ
)
っこい
慕
(
した
)
わしい目をされました。
143
教祖さまの眼は優しい眼でありましたが、
144
またある人には、
145
ジッと見つめられると恐い眼であったそうです。
146
ひさ子姉さんの
神憑
(
かんがか
)
りも、
147
教祖さまがゆかれて二三日するとすっかり鎮まりましたので、
148
教祖さまも安心して綾部に帰られました。
149
その後、
150
虎之助さんは大病をされ難儀されたということですが、
151
丁度百日目におかげを頂かれて治られました。
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