霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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はしがき

インフォメーション
題名:はしがき 著者:浅野和三郎
ページ:3
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2025-01-24 22:22:00 OBC :B142400c01
 自分が神霊の世界に目覚めかけてから今日に至るまで満五年に(なんな)んとする。此(あひだ)の境遇の変化、思想の推移、(さと)れる時の歓天喜地、迷へる時の煩悶苦慮、又共鳴者を得たる喜び、誤解者に遇へる痛心落胆、さては何物にも換へ難き胸底(きようてい)の覚悟、生死を超越せる国家の大事──此等一伍(いちぶ)一什(しじふ)の体験をそのままに葬り去つて了ふのは余りに貴重であり、実質があり過ぎる。縦令(たとひ)千万人が声を揃へて(きやう)と呼び、()と嘲り、パラノイアと(そし)り、誇大妄想と(なづ)けうとて、一里半(がう)も自分の信念を(きずつ)けることは出来ない。
 実をいふと現在の自分は五年以前の自分とは異なり、何等文筆上の野心もなければ、又他の同情に縋らんとする女々しさもない。従つて筆を執るなどは(いささ)か億劫な感じもする、が折角神から授けられたる破天荒の経験──(すくな)くとも最近二千年(らい)地上の人類の大多数に許されざりし特殊の経験閲歴(えつれき)をそのままに黙殺し去るも、決して神慮に(かな)へる(わざ)ではないと信ずるから、大正日日の再刊を機とし、百忙(ひやくばう)中に一閑(いつかん)を割き、思ひ出のまにまに、筆を走らさんと決心した次第である。万一途中に故障起りて執筆の(いとま)なく、編集者と読者とに迷惑を及ぼす(おそれ)がありては(あひ)済まぬ次第であるから、成るべく、一挿話一事件(ごと)に標題を改めて個々独立せしめようと思ふ。しかしその実は連続せる自己五年間の閲歴の続き物である。
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