[#適宜、句読点と送り仮名を補った。]
龍門の霊夢
大正元年九月二十一日、
夢中に
一の童子
来りて言ふ。我れ
善如龍王なり。
師国の為に如意
宝幢建立地を
志求す。大和国中心の
高鉾山の
懐、相応の
勝地なり。我はこれまで
室生山に鎮まり、
居処、愚痴の者
池を
汚し
淵を濁し名を
痴し、
己に
法水の
湿なければ、我れこの地に移り、汝が
来るを待つ。
速に
来て
相承の本尊を
安供し、
正嫡の
真教を興せよと語ると見て覚悟し、記憶すること
目前に
対在するが如し。
仍ち二十二日、
大蔵を経て
牧に至り
龍門寺を見る。ふと
龍門岳の頂きに
攀づ。絶頂に小社あり。
高鉾神社と祭神
天の
高皇産霊神と
書す。故に
高鉾山と云ふは
龍門嶽なるを知る。
またこの地、老神職あり。我がこの地を開くを喜び賛して云ふ。
古は
高鉾山龍門寺と号すと
依て更に高鉾山の名義を
委うす。山中の写真、
前紙七枚を見て、
勝地経説に叶ふ事を知るべし。初めてこの山に登りし日は九月十七日なり。同日東京へ行く。また十月十七日、
一月目なり。同年十二月三日、之を記す。
丸山法僮