霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一〇章 奇々(きき)怪々(くわいくわい)〔二一〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻 篇:第2篇 中軸移動 よみ(新仮名遣い):ちゅうじくいどう
章:第10章 奇々怪々 よみ(新仮名遣い):ききかいかい 通し章番号:210
口述日:1922(大正11)年01月06日(旧12月09日) 口述場所: 筆録者:松村仙造 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年4月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
常世彦は驚いて宮殿の奥にのがれ、国祖に祈った。すると大江山の鬼武彦が現れて、角のある常治彦の姿と代わってしまった。
同時に三人の常治彦が現れて、牛のように常世彦に突きかかってきた。すると奥殿から大爆音が聞こえて、瞬く間に宮殿は燃え尽きてしまった。
竜宮城の金殿はにわかに鳴動し、天に向かって延長して雲に達した。金殿は際限なく延長し、巨大な浮橋を形作った。浮橋から白煙がもうもうと現れ、聖地に雪を降らせた。常世彦は聖地を捨て、アーメニヤに向かって逃げ出した。
一方、エデンの宮殿も轟然と打ち倒れ火に包まれた。盤古大神は雪を掻き分けながらアーメニヤに向かって命からがら逃げていった。
途中、急に太陽が熱を増して雪が溶け、そこらじゅうが泥海になってしまった。常世彦、常世姫、盤古大神らは樹の上に逃れたが、そこに多数の蛇が逃げてきて巻きつき、苦しめた。
八頭八尾の大蛇が現れて暴れまわると水が引き、常世彦、常世姫、盤古大神らはアーメニヤにたどり着くことができた。
盤古大神がアーメニヤに着くと、不思議にもそこにはすでに立派な宮殿が建てられており、妻の塩長姫、長子の塩光彦が多くの従者らとともに出迎えた。このように奇怪なことが続発する世界となってしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0510
愛善世界社版:63頁 八幡書店版:第1輯 540頁 修補版: 校定版:65頁 普及版:30頁 初版: ページ備考:
001 八王(やつわう)大神(だいじん)常世彦(とこよひこ)は、002この不思議(ふしぎ)光景(くわうけい)()て、003二人(ふたり)(ともな)ひ、004奥殿(おくでん)(いそ)()りて、005(こころ)(ひそ)かに国祖(こくそ)神霊(しんれい)祈願(きぐわん)し、006怪事(くわいじ)続出(ぞくしゆつ)(なん)(すく)はれむことを祈願(きぐわん)した。
007 (おく)一間(ひとま)よりサヤサヤと、008衣摺(きぬずれ)(おと)(きこ)えて(あら)はれ()でたる巨大(きよだい)(かみ)は、009大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)であつた。010常世彦(とこよひこ)(ゆめ)夢見(ゆめみ)心地(ここち)して、011(もの)をも()はずジツとその(かほ)見上(みあ)げた。012大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)()えしは、013大江山(たいかうざん)鬼武彦(おにたけひこ)であつた。014常世彦(とこよひこ)二度(にど)驚愕(びつくり)して、015(きつね)(つま)まれしごとき顔付(かほつき)しながら、016(また)もやその(かほ)熟視(じゆくし)した。017()るみる(かみ)(ひたい)(つの)(あら)はれた。018そしてその容貌(ようばう)身長(しんちやう)は、019わが()常治彦(とこはるひこ)分厘(ふんりん)()なきまでに(かは)つてしまつた。020(おもて)門前(もんぜん)(あた)つては神人(かみがみ)らの(さわ)ぎの(こゑ)ますます(しき)りに(きこ)える。021八王(やつわう)大神(だいじん)五里(ごり)霧中(むちゆう)彷徨(さまよ)ひながら、022この()()てて表玄関(おもてげんくわん)立現(たちあらは)れた。
023 ここにも常治彦(とこはるひこ)神人(かみがみ)らを相手(あひて)(たたか)つてゐる。024同時(どうじ)三柱(みはしら)常治彦(とこはるひこ)(あら)はれて、025(つの)(もつ)(うし)(やう)(いづ)れも四這(よつばひ)になり、026()(あひ)(はじ)めた。027つひには常世彦(とこよひこ)()がけて三方(さんぱう)より()(せま)つた。
028 このとき竜宮城(りうぐうじやう)(はう)にあたりて、029一大(いちだい)爆発(ばくはつ)(こゑ)(きこ)ゆるとともに、030黒烟(こくえん)濛々(もうもう)立上(たちあが)り、031大火災(だいくわさい)となつた。032常世姫(とこよひめ)は、033(いのち)カラガラ火中(くわちう)よりのがれ()で、034ヱルサレムに(はし)りきたりて、035常世彦(とこよひこ)救援(きうゑん)()はむとした。036このとき常世彦(とこよひこ)は、037(うし)のごとく変化(へんげ)したる三柱(みはしら)(かみ)三方(さんぱう)より()(まく)られ、038逃路(にげみち)(まよ)(くる)しむ最中(さいちう)であつた。
039 奥殿(おくでん)(はう)にあたりて、040またもや大爆音(だいばくおん)(きこ)えた。041()れば殿内(でんない)全部(ぜんぶ)黒煙(こくえん)につつまれ、042宮殿(きうでん)四方(しはう)より(いち)()火焔(くわえん)立昇(たちのぼ)り、043(またた)くうちに各種(かくしゆ)建物(たてもの)全部(ぜんぶ)烏有(ういう)()した。
044 竜宮城(りうぐうじやう)三重(みへ)金殿(きんでん)(にはか)鳴動(めいどう)し、045(てん)(むか)つて際限(さいげん)もなく延長(えんちやう)(くも)(たつ)し、046その尖端(せんたん)左右(さいう)(わか)れ、047黄金色(わうごんしよく)(ふと)(はしら)東西(とうざい)際限(さいげん)もなく延長(えんちやう)し、048満天(まんてん)黄金(わうごん)(はし)()(わた)したかのごとくに(かは)つてしまつた。049あたかも三重(みへ)金殿(きんでん)丁字形(ていじがた)変化(へんくわ)してしまつた。050その丁字形(ていじがた)黄金橋(わうごんけう)(あま)浮橋(うきはし)といふ。051この(はし)より(にはか)白雲(はくうん)濛々(もうもう)として顕現(あらは)れ、052満天(まんてん)(しろ)くつつんだ。053たちまち牡丹(ぼたん)のごとき(ゆき)は、054(しき)りに()りきたり、055()るまに聖地(せいち)(ゆき)(つつ)まれてしまつた。056常世彦(とこよひこ)()(ゆき)とに()められ、057あまたの神人(かみがみ)らと(とも)に、058(から)うじてアーメニヤの()にむかつて遁走(とんそう)しはじめた。
059 一方(いつぱう)エデンの宮殿(きうでん)は、060轟然(がうぜん)たる音響(おんきやう)とともに、061大地(だいち)震動(しんどう)して巨城(きよじやう)滅茶(めちや)々々(めちや)打倒(うちたふ)し、062樹木(じゆもく)根本(ねもと)より(たふ)れ、063火災(くわさい)四方(しはう)より()こり、064黒煙(こくえん)(つつ)まれ、065咫尺(しせき)(べん)ぜざるの惨状(さんじやう)(おちい)つた。066(とき)しも(ゆき)はにはかに()りきたり、067(みち)(ふさ)ぎ、068神人(しんじん)自由(じいう)行動(かうどう)することができなくなつた。
069 盤古(ばんこ)大神(だいじん)はいち(はや)くエデンの大河(たいが)(ふね)(うか)べ、070南岸(なんがん)(わた)り、071(ゆき)掻分(かきわ)けながら些少(すこし)従者(じうしや)とともに、072()せずして、073アーメニヤの()にむかつて(いのち)カラガラ遁走(とんそう)した。074降雪(かうせつ)ますます(はげ)しく、075つひに一行(いつかう)(ゆき)(うづ)もれてしまつた。
076 このとき太陽(たいやう)はにはかに光熱(くわうねつ)()し、077四方山(よもやま)積雪(せきせつ)(いち)()氷解(ひようかい)し、078地上(ちじやう)はあたかも(どろ)(うみ)となつてしまつた。079盤古(ばんこ)大神(だいじん)はじめその()神人(かみがみ)らは、080(かたはら)()(から)うじて攀上(よぢのぼ)つた。081あまたの(へび)その()虫族(ちうぞく)(さき)(あらそ)うて()(のぼ)(なん)()けた。082前方(ぜんぱう)()(えだ)にあたつて()(さけ)(こゑ)(きこ)えた。083()れば、084竜宮城(りうぐうじやう)司宰神(しさいじん)なる常世姫(とこよひめ)が、085()(うへ)であまたの毒蛇(どくじや)全身(ぜんしん)()かれて(くる)しむ(こゑ)であつた。086八王(やつわう)大神(だいじん)はその()中腹(ちうふく)にまたもやあまたの(へび)全身(ぜんしん)巻付(まきつ)けられ、087顔色(がんしよく)蒼白(さうはく)となり、088(いき)()()えの光景(くわうけい)である。
089 このとき東南(とうなん)(はう)より、090天地(てんち)六合(りくがふ)一度(いちど)崩壊(ほうくわい)せむばかりの大音響(だいおんきやう)をたて、091黒雲(こくうん)(おこ)し、092驀地(まつしぐら)(すす)みきたる大蛇(をろち)があつた。093これは天足彦(あだるひこ)094胞場姫(えばひめ)(れい)より(あら)はれた八頭(やつがしら)八尾(やつを)大蛇(をろち)であつた。095大蛇(をろち)巨大(きよだい)なる()前後(ぜんご)左右(さいう)打振(うちふ)打振(うちふ)(あば)(まは)つた。096この震動(しんどう)(みづ)追々(おひおひ)(げん)じ、097大地(だいち)表面(へうめん)(あら)はすやうになつた。098すべての(へび)(さき)(あらそ)うて樹上(じゆじやう)より落下(らくか)し、099各自(かくじ)土中(どちう)にその(かげ)(ひそ)めた。100このため常世彦(とこよひこ)101常世姫(とこよひめ)をはじめ、102塩長彦(しほながひこ)(やうや)くにして危難(きなん)(まぬが)れ、103神人(かみがみ)らと(とも)に、104アーメニヤに無事(ぶじ)到着(たうちやく)することを()た。
105 塩長彦(しほながひこ)は、106エデンの宮殿(きうでん)()てて遁走(とんそう)するとき、107驚愕(おどろき)のあまり、108(つま)塩長姫(しほながひめ)(ともな)ふことを(わす)れてゐた。109しかるに(あに)はからむや、110アーメニヤの()には立派(りつぱ)なる宮殿(きうでん)()てられ、111そのうちにわが(つま)塩長姫(しほながひめ)および塩光彦(しほみつひこ)欣然(きんぜん)として、112あまたの神人(かみがみ)らと(とも)に、113塩長彦(しほながひこ)一行(いつかう)(むか)へたのは、114奇中(きちう)()とも()ふべきである。115(あゝ)116かくの(ごと)(いた)るところに異変(いへん)怪事(くわいじ)続発(ぞくはつ)するは、117大地(だいち)主宰神(しゆさいじん)たる国祖(こくそ)退隠(たいいん)せしめ、118地上(ちじやう)重鎮(ぢゆうちん)(うしな)ひたるがために、119たとへ日月(じつげつ)天上(てんじやう)(かがや)くといへども、120霊界(れいかい)はあたかも常暗(とこやみ)惨状(さんじやう)誘起(いうき)し、121邪神(じやしん)悪鬼(あくき)跋扈(ばつこ)跳梁(てうりやう)便(べん)ならしめたためである。122これより地上(ちじやう)神界(しんかい)は、123()(つき)妖怪(えうくわい)五月蠅(さばへ)のごとく(むら)がり(おこ)り、124収拾(しうしふ)すべからざる常暗(とこやみ)()現出(げんしゆつ)した。
125大正一一・一・六 旧大正一〇・一二・九 松村仙造録)
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