霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第七章 (つゆ)宿(やど)〔四七四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻 篇:第1篇 長駆進撃 よみ(新仮名遣い):ちょうくしんげき
章:第7章 露の宿 よみ(新仮名遣い):つゆのやど 通し章番号:474
口述日:1922(大正11)年02月28日(旧02月02日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
一行は新玉原を湖に向かって進んでいった。日も暮れてきたので、森の中で一夜の宿を取ることになった。
一行は神言を奏上し、宣伝歌を歌って眠りについた。そこへ付近の村人がやってきて、宣伝使たちの様子を伺っている。三五教の宣伝使を見つけたら捕えようと、待ち構えていたのであった。
男たちがどうやって捕えようか相談をしているときに、梅ケ香姫は目を覚まし、幽霊の振りをして男たちを追い払った。梅ケ香姫を一同を起こした。
すると向こうのほうから数十の松明がやってくるのが見える。群集は遠巻きに恐々と宣伝使たちの方にやってきた。群衆の中から、酒に酔った風の男が一人、宣伝使の前に現れた。
この男、鴨公は最初は威勢のいいことを言っていたが、やがて恐れをなして腰が抜けてへたってしまった。群集の中からさらに、鉄棒を携えた男が現れ、高彦、東彦に打ってかかった。
高彦、東彦は鉄棒をよけながら霊をかけると、鉄棒は葱のようにやわらかくなってしまった。逃げようとする男・勝公に対して、東彦の宣伝使は霊縛をかけた。村人たちは驚いて、てんでに逃げてしまった。
宣伝使たちはゆうゆうと西へ進んでいった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-08-11 19:37:38 OBC :rm1107
愛善世界社版:60頁 八幡書店版:第2輯 535頁 修補版: 校定版:60頁 普及版:25頁 初版: ページ備考:
001 東彦(あづまひこの)(かみ)石凝姥神の旧名002高彦(たかひこの)(かみ)宣伝使(せんでんし)は、003梅ケ香姫(うめがかひめ)004(つき)005(ゆき)006(はな)宣伝使(せんでんし)(とも)一行(いつかう)(ろく)(にん)新玉原(あらたまはら)枯野(かれの)()けつつ宣伝歌(せんでんか)口々(くちぐち)(うた)つて、007明志(あかし)(うみ)方面(はうめん)()して(すす)()く。
008 ()(やうや)西(にし)(うすづ)いて夕暮(ゆふぐれ)()ぐる(かね)()(ほの)かに(ひび)いて()た。
009東彦(あづまひこ)『ヤア(ひさ)()りで(かね)()()きました。010最早(もはや)人里(ひとざと)間近(まぢか)くなつたと()えます。011(しか)(なが)()(やうや)(くれ)かかりましたから、012(さいは)彼方(むかう)()える森蔭(もりかげ)一夜(いちや)(あか)しませうか』
013一同(いちどう)『さう(いた)しませう』
014(もり)目当(めあて)(つか)れた(あし)(はや)めて(すす)()く。015千年(ちとせ)老樹(らうじゆ)016(こずゑ)(さき)まで(こけ)()して(ひる)(なほ)(くら)き、017こんもりとした森蔭(もりかげ)である。
018東彦(あづまひこ)『ヤア月影(つきかげ)も、019星影(ほしかげ)()えぬ天然(てんねん)(いへ)(うち)020今宵(こよひ)(ひさ)()りで悠乎(ゆつくり)(やす)みませう』
021()(なが)ら、022(れい)(ごと)神言(かみごと)奏上(そうじやう)し、023宣伝歌(せんでんか)(うた)(はじ)めた。
024東彦(かみ)(おもて)(あら)はれて
025(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける
026(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
027(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
028(ただ)何事(なにごと)(ひと)()
029直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
030()(あやまち)()(なほ)
031()出神(でのかみ)()(はな)
032(かみ)()さしの宣伝使(せんでんし)
033クス野ケ原(のがはら)()()ぎて
034(やうや)此処(ここ)きた(もり)
035(かみ)稜威(みいづ)高彦(たかひこ)
036梅ケ香(うめがか)(にほ)(かみ)(みち)
037(そら)(かがや)秋月(あきづき)
038(こころ)(きよ)()(わた)
039五六七(みろく)御代(みよ)深雪姫(みゆきひめ)
040(かみ)(をしへ)(ひら)かむと
041天教山(てんけうざん)(たちばな)
042(ひめ)(みこと)東彦(あづまひこ)
043()常闇(とこやみ)となるとても
044(かみ)(まも)りは(あきら)けく
045(そら)()(わた)東彦(あづまひこ)
046(あづま)(そら)(いろ)どりて
047豊栄(とよさか)(のぼ)朝日子(あさひこ)
048(かみ)(をしへ)まつぶさ
049明志(あかし)(うみ)(そこ)(ふか)
050コーカス(ざん)(みね)(たか)
051しこかうべ(てら)しつつ
052(いさを)(たか)きアーメニヤ
053荒振(あらぶ)(しこ)のウラル(ひこ)
054ウラルの(ひめ)荒魂(あらみたま)
055三五教(あななひけう)言霊(ことたま)
056言向(ことむ)(やは)和魂(にぎみたま)
057(かみ)(をしへ)幸魂(さちみたま)
058(さとり)(みち)奇魂(くしみたま)
059(まが)直日(なほひ)神魂(かむみたま)
060直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
061(しこ)(さけ)びを()(なほ)
062(そら)(かがや)月照(つきてる)
063(ひこ)(みこと)(しら)()
064大足彦(おほだるひこ)真澄姫(ますみひめ)
065(めぐみ)四方(よも)弘子(ひろやす)
066(かみ)(ちから)(あら)はれて
067この()(まが)少名彦(すくなひこ)
068かたき(をしへ)竜世姫(たつよひめ)
069(そら)()(わた)言霊(ことたま)
070(ひめ)(みこと)御恵(みめぐみ)
071(もも)民草(たみくさ)純世姫(すみよひめ)
072豊国姫(とよくにひめ)(さちは)ひて
073一度(いちど)(ひら)()(はな)
074(ひめ)(みこと)奇魂(くしみたま)
075()出神(でのかみ)(あら)はれて
076浦安国(うらやすくに)(をさ)()
077ウラルの(やま)曲神(まがかみ)
078八十(やそ)曲津(まがつ)(ことごと)
079(かみ)息吹(いぶ)きに吹祓(ふきはら)
080(はら)(きよ)むる(かみ)(みち)
081朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
082(つき)()つとも()くるとも
083たとへ大地(だいち)(しづ)むとも
084ウラルの(ひこ)曲業(まがわざ)
085矯直(ためなほ)さずに()くべきや
086()(なほ)させで()くべきや
087(おく)のわからぬ(かみ)(みち)
088(そこ)ひも()れぬ(かみ)(おん)
089(そこ)ひも()れぬ(かみ)(おん)
090天地(てんち)(ひび)琵琶(びは)(うみ)
091琵琶(びは)言霊(ことたま)(いさ)ましく
092(すす)(われ)こそ(たふと)けれ
093(かみ)(はしら)(たふと)けれ』
094異口(いく)同音(どうおん)(うた)(をは)つて、095(みの)()二男(になん)四女(しぢよ)宣伝使(せんでんし)は、096やすやすと(ねむり)()きぬ。
097 森蔭(もりかげ)より(あら)はれた四五(しご)(にん)(をとこ)098差足(さしあし)抜足(ぬきあし)宣伝使(せんでんし)(まへ)近寄(ちかよ)(きた)り、099寝息(ねいき)(かんが)へ、
100(かふ)『オイ、101何奴(どいつ)此奴(こいつ)も、102よく草臥(くたびれ)()てて(つぶ)れたやうになつてゐやがるワイ。103どうぢや(いま)(うち)にソツと頸首(くびたま)(つな)をかけて引張(ひつぱ)つて酋長(しうちやう)さんの(ところ)()れて()つたら()うだ』
104(おつ)()()て、105()(あわて)てウラル(けう)宣伝使(せんでんし)だつたら、106ドテライ()目玉(めだま)(くら)はにやならぬ、107それより()(おち)つけて調(しら)べた(うへ)(こと)にしようかい』
108(かふ)『それでも最前(さいぜん)宣伝歌(せんでんか)(きこ)えて()つたが、109()うやら(ふし)(まは)しが三五教(あななひけう)らしかつたぞ。110(つき)()るとか、111(くも)るとか()つてゐたぢやないか』
112(へい)(きま)つたことだ。113今夜(こんや)(つき)()い。114()つたり(くも)つたりしてゐるぢやないか。115三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)でなくても、116(おれ)()(つき)()たら、117()るとか、118(くも)(くらゐ)()つとるワイ、119貴様(きさま)そんなことで三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)なぞと(おも)つて下手(へた)をやつたら(つま)らぬぞ』
120(てい)『マア、121八釜敷(やかまし)()ふことはない。122先方(むかふ)(ろく)(にん)だ。123此方(こつち)()(にん)124一人(ひとり)(づつ)(つか)()ひしてもモー一人(ひとり)(のこ)つて()る。125ようマア(かんが)へて()よ。126衆寡(しうくわ)(てき)せずと()ふことがある』
127(かふ)(なに)(ぬか)すんだい。128此方(こちら)荒男(あらをとこ)()(にん)129先方(むかふ)(をとこ)二人(ふたり)(をんな)()(にん)だ。130(おれ)一人(ひとり)でも(をんな)だけは………』
131(てい)貴様(きさま)(ちから)はそんなものだ。132(しか)(なが)貴様(きさま)(うち)のお(ふく)のやうな(をんな)だと(おも)つたら、133(あて)(はづ)れるぞ。134(をとこ)一人(ひとり)二人(ふたり)(つま)んで(ほか)すやうな(ちから)がなくて、135どうして天下(てんか)(まは)ることが出来(でき)やうぞ。136たとへ一人(ひとり)(たい)一人(ひとり)()()うて()(ところ)で、137先方(むかう)には一人(ひとり)空手(あきて)があるのだ。138其奴(そいつ)一人(ひとり)(のこ)りやがつて()()うとる(おれ)()(あたま)をコンコンとやりやがつたら、139それこそ(いぬ)()まれた(やう)なものだ。140それだから多勢(たぜい)無勢(ぶぜい)141衆寡(しうくわ)(てき)せずと()ふのだ』
142(かふ)『アヽ(しう)か』
143(てい)莫迦(ばか)にすない。144愚図(ぐづ)々々(ぐづ)()うて()ると、145()をさましやがつたら大変(たいへん)だ。146(いま)(うち)杢兵衛(もくべゑ)八公(やつこう)吉公(きちこう)源公(げんこう)も、147村中(むらぢう)脛腰(すねこし)()(やつ)は、148(みな)()つて()遠捲(とほまき)取捲(とりま)いて無理(むり)往生(わうじやう)往生(わうじやう)さしてやらう』
149一同(いちどう)『さうだ、150それもよからう。151オイ八公(やつこう)152貴様(きさま)一人(ひとり)ここに見張(みは)りをするのだ。153(おれ)()()(にん)手分(てわけ)をして(みんな)(やつ)非常(ひじやう)召集(せうしふ)だ』
154(てい)『オイ()()て、155(おれ)一緒(いつしよ)()れて()かぬかい。156()(にん)でさへも(あぶな)いのに、157一人(ひとり)()つて、158万一(もし)中途(ちうと)()でもさましやがつたら、159()うするか』
160(かふ)()うするも、161()うするも、162そんな(こと)()らぬワイ。163八公(やつこう)八裂(やつざ)きに()(まで)のことだ』
164 ()(ささや)(こゑ)に、165梅ケ香姫(うめがかひめ)はフツト()をさまし、166むくむくと起上(おきあ)がり、
167梅ケ香姫(うめがかひめ)『アヽ、168(いづ)れの(かた)()りませぬが、169(みづ)がありましたら一杯(いつぱい)(あた)えて頂戴(ちやうだい)な』
170(かふ)『ナニツ、171(みづ)くれつて。172みずしらずの(おれ)(むか)つて(みづ)一杯(いつぱい)頂戴(ちやうだい)なぞと、173幽霊(いうれい)か、174餓鬼(がき)のやうに此奴(こいつ)一寸(ちよつと)可笑(をか)しいぞ。175ヤイコラ、176幽々(いういう)霊々(れいれい)()が』
177梅ケ香姫(うめがかひめ)『イーエ、178()でなくても、179(みづ)結構(けつこう)でございます。180れい(あと)で』
181(おつ)『オイオイ、182矢張(やつぱ)(いう)(れい)とぢや、183(みづ)くれと()かす(はず)ぢや。184()げろ()げろ。185キヤアー』
186 バラバラと足音(あしおと)をさせ(なが)ら、187()けつ(まろ)びつ()げて()く。
188梅ケ香姫(うめがかひめ)『モシモシ、189(みな)さま、190折角(せつかく)()(やす)みになつてる(ところ)()()をさまして()みませぬが、191(めう)なものが(まゐ)りまして、192(なん)だか吾々(われわれ)(くび)(なは)をかけて引張(ひつぱ)るとか、193(さげ)るとか()うてゐました。194チツト()をつけねばなりませぬ』
195東彦(あづまひこ)『ナニツ、196(くび)(なは)をかける。197莫迦(ばか)にして()る。198我々(われわれ)徳利(とつくり)間違(まちが)へやがるな』
199高彦(たかひこ)『アハヽヽヽ、200とつくり()ないから間違(まちが)ふのだ。201そんなことは()うでもよい。202大分(だいぶ)(つか)れた。203吾々(われわれ)今晩(こんばん)は、204とつくり()ようかい』
205梅ケ香姫(うめがかひめ)『それでも(あや)しいことを()つてゐました。206(なん)でも酋長(しうちやう)いふとか、207れい(もら)はうとか()うてゐましたぜ』
208東彦(あづまひこ)『そら大変(たいへん)だ。209彼奴(あいつ)はウラル(ひこ)目付(めつけ)かも()れぬ。210油断(ゆだん)大敵(たいてき)だ。211サア、212(つき)213(ゆき)214(はな)(さん)(にん)さまも(おき)なさい(おき)なさい。215(これ)から戦闘(せんとう)準備(じゆんび)だ』
216 一同(いちどう)(ねむ)りをさまし、217身仕度(みじたく)()し、218(かす)かに宣伝歌(せんでんか)(うた)つてゐる。219前方(ぜんぱう)()れば、220ワイワイと人声(ひとごゑ)(きこ)えて()た。221数十(すうじふ)松明(たいまつ)朧夜(おぼろよ)(てら)して皎々(かうかう)(かがや)(なが)此方(こちら)(むか)つて(はし)つて()る。
222東彦(あづまひこ)『ヤア、223捕手(とりて)だ。224(みな)さま、225一人(ひとり)々々(ひとり)面倒(めんだう)だ。226()()(やつ)(のこ)らず言向(ことむ)(やは)さう。227宣伝使(せんでんし)一人旅(ひとりたび)(きま)つてゐるのに、228(めう)拍子(ひやうし)六人(ろくにん)()れになつて、229(かみ)(さま)()(しか)りを()けねばよいがと心配(しんぱい)して()(ところ)だ。230これ(だけ)沢山(たくさん)やつて()れば、231六人前(ろくにんまへ)仕事(しごと)には沢山(たくさん)だ。232(かは)(がは)言向(ことむ)(やは)すことにしませうかねー。233(しか)(なが)(なに)()つて()るか(わか)らぬから、234()をつけねばなりませぬ。235(をんな)(かた)宣伝使(せんでんし)さまは、236吾々(われわれ)(うしろ)(はう)(かが)んで宣伝歌(せんでんか)(うた)ひなさい。237二人(ふたり)(ちから)一杯(いつぱい)大声(おほごゑ)呶鳴(どな)つてやりませう』
238 群衆(ぐんしう)はチクチクと(こは)さうに松明(たいまつ)()(かざ)して、239(もり)目蒐(めが)けて(すす)んで()た。240群衆(ぐんしう)(なか)より一人(ひとり)(をとこ)241片肌(かたはだ)()ぎ、242(やや)酒気(しゆき)()(なが)彼方(あちら)へヒヨロヒヨロ、243此方(こちら)へヒヨロヒヨロ、244千鳥足(ちどりあし)(あやふ)(つゑ)をつき(なが)ら、245つかつかと宣伝使(せんでんし)(まへ)(あら)はれた。
246(をとこ)(鴨公)『ヤイ貴様(きさま)何処(どこ)(やつ)だい。247セヽヽ宣伝使(せんでんし)だろ。248ここはウラル(ひこ)(かみ)(さま)()領分(りやうぶん)だぞ。249三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)とか()ひやがつて、250生命(いのち)()らず()が』
251東彦(あづまひこ)『ヤア貴方(あなた)(この)(さと)()(かた)()えますが、252我々(われわれ)()推量(すゐりやう)(とほ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)です』
253(をとこ)(鴨公)『コラ、254(おれ)()()えても年寄(としよ)りぢやないぞ。255貴様(きさま)のやうな(つよ)さうな(つら)をしよつても、256いつかないつかな(おどろ)くやうな(ぢい)さまドツコイ(にい)さまだないわ。257サア、258れいか、259(いう)か、260正体(しやうまつ)白状(はくじやう)せい』
261東彦(あづまひこ)吾々(われわれ)現界(げんかい)262神界(しんかい)263幽界(いうかい)(れい)(たい)して』
264(をとこ)(鴨公)『ナニツ、265幽界(いうかい)の、266(れい)のつて矢張(やつぱ)怪体(けたい)(やつ)だ。267オイオイ(みな)(やつ)268幽界(いうかい)霊界(れいかい)だ。269(なに)(こは)さうにしてやがるのだい。270(はや)松明(たいまつ)()つて()んかい。271化物(ばけもの)()つき()したら()えると()ふことだ』
272 群衆(ぐんしう)(なか)より二三(にさん)(にん)(をとこ)273松明(たいまつ)()つた(まま)274バタバタと(をとこ)(まへ)(あら)はれ(きた)り、
275二三人の男『オイ、276(かも)277(なに)愚図(ぐづ)々々(ぐづ)()つてゐやがるのだ。278幽霊(いうれい)でも(なん)でもないわ。279(まが)(かた)なき三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)だ。280貴様(きさま)日頃(ひごろ)業託(ごふたく)()ず、281()腰付(こしつき)(なん)だ。282()(ごし)になりやがつて(しり)一町(いつちやう)(ほど)も、283後方(こうはう)突出(つきだ)しやがつて、284()のざまつたら、285ないぢやないか。286ヤアヤア三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)287何人(なんにん)()るか()らねども、288どうせ(ろく)(にん)(やつ)ぢやあるまい。289尋常(じんじやう)()(まは)せ』
290 ()(にん)宣伝使(せんでんし)一度(いちど)に、
291四人『ホヽヽ、292可笑(をか)しいわ』
293鴨公(かもこう)『ヤアツ、294ソヽヽそれ()い。295ホヽヽほうぢや。296オイオイ貴様(きさま)()ばかり()げて年寄(としより)一人(ひとり)ほつとくのか』
297(さん)(にん)(をとこ)『エイ八釜敷(やかまし)いワイ。298貴様(きさま)(こと)どころか、299()てとけ、300(ほつ)とけだ』
301鴨公(かもこう)『ヤイ、302()たぬか()たぬか』
303 (ろく)(にん)宣伝使(せんでんし)悠々(いういう)として鴨公(かもこう)(まへ)(あら)はれた。
304鴨公(かもこう)『コヽヽこら幽霊(いうれい)のバヽ化物(ばけもの)()が、305(おれ)かもう(おも)つても、306さうは()かぬぞ。307(おれ)()(かも)さまだ。308かもうてくれるな。309ソヽヽそれより()みたければ、310彼方(あつち)(うま)(やつ)が、311何程(なんぼ)でも()るワイ』
312高彦(たかひこ)『ヤア(かも)さまとやら、313()心配(しんぱい)(くだ)さるな。314我々(われわれ)化物(ばけもの)でも、315(なん)でもない。316三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)だ。317(みな)(かた)此処(ここ)()んで()(くだ)さい。318我々(われわれ)たちが結構(けつこう)(はなし)()かして()げよう、319(めくら)()()き、320(つんぼ)(みみ)(きこ)え、321(こし)()けた(もの)(こし)()ち、322(ゐざり)(ある)く、323それはそれは結構(けつこう)(をしへ)だ』
324鴨公(かもこう)『ヤイヤイ(みな)(やつ)325此奴(こいつ)はヤヽヽ矢張(やつぱ)化物(ばけもの)だ。326(めくら)()()くといひ、327(ゐざり)()つと()ひくさる。328(ゐざり)()つても(おれ)(こし)()たぬ。329ヤイヤイ()まれぬうちに(たす)けぬかい(たす)けぬかい』
330宣伝使(せんでんし)一同(いちどう)『アハヽヽヽ、331オホヽヽヽ』
332 (また)もや群衆(ぐんしう)(なか)より頑丈(ぐわんぢやう)一人(ひとり)(をとこ)333鉄棒(かなぼう)(たづさ)(あら)はれ()たり、
334(をとこ)(勝公)(なん)だ、335宣伝使(せんでんし)とやら、336アヽヽホヽヽと(わら)ひやがつて貴様(きさま)こそ余程(よつぽど)()阿呆(あほう)だ。337()んで()()(なつ)(むし)338これ(ほど)ウラル(ひこ)目付(めつけ)沢山(たくさん)()(ところ)へ、339ウカウカと()()やがつて、340(なに)(えら)さうに()ふのだ。341これでも(くら)へ』
342()ふより(はや)く、343高彦(たかひこ)肩先(かたさき)()がけてウンと()つた。344高彦(たかひこ)はひらりと(たい)(かは)した。345(また)もや鉄棒(かなぼう)前後(ぜんご)左右(さいう)水車(みづぐるま)(ごと)()(まは)してやつて()る。
346 東彦(あづまひこ)347高彦(たかひこ)(みぎ)(ひだり)鉄棒(かなぼう)()(なが)ら、348ウンと一声(いつせい)(れい)をかけた。349(たちま)鉄棒(かなぼう)(ねぎ)(ごと)くになつた。350()(をとこ)無我(むが)夢中(むちう)になつて、351(やはら)かになつた鉄棒(かなぼう)()(まは)してゐる。352高彦(たかひこ)地上(ちじやう)安坐(あんざ)した。353(をとこ)一生(いつしやう)懸命(けんめい)頭上(づじやう)より()(おろ)す。
354(をとこ)(勝公)『ヤア、355(おれ)はこの界隈(かいわい)()(ひび)いた(かつ)さまだ。356何時(いつ)でも(まけ)たことの()い、357()(ばか)りだから(かつ)さまと()はれてゐるのだ。358それに此奴(こいつ)はこの鉄棒(かなぼう)をこれだけ(くら)はしても素知(そし)らぬ(かほ)をしてゐやがる。359矢張(やつぱ)()()だ。360(なん)ぢや鉄棒(かなぼう)(ねぎ)のやうになりやがつた』
361()ひながら一目散(いちもくさん)()()さうとする。362東彦(あづまひこ)はウンと霊縛(れいばく)(ほどこ)した。363勝公(かつこう)(あし)踏張(ふんば)つた()化石(くわせき)のやうになつて(しま)つた。
364東彦(あづまひこ)『オイ(かつ)さまとやら、365マア一時(ひととき)ほど(こら)して(しば)つて()かう、366()苦労(くらう)だが此処(ここ)にさうして()つて(くだ)さい。367我々(われわれ)はこんな八釜敷(やかまし)(ところ)安眠(あんみん)出来(でき)ないから、368宿換(やどがへ)をする。369(まへ)()ると面倒(めんだう)だから(かた)めて()く。370マア()ゆるりと、371左様(さやう)なら』
372()(なが)ら、373一行(いつかう)(ろく)(にん)宣伝歌(せんでんか)(うた)ひつつ(また)もや西(にし)西(にし)へと(すす)()く。374数多(あまた)村人(むらびと)勝公(かつこう)霊縛(れいばく)されしに(おどろ)いて、375各自(てんで)()()(かた)()(とざ)家々(いへいへ)()()(ちひ)さくなつて(ふる)ひゐたり。
376六人(きた)(もり)にと()けついて
377一行(いつかう)ここに(ねむ)(とき)
378ひそびそ(きこ)ゆる人声(ひとごゑ)
379梅ケ香姫(うめがかひめ)()をさまし
380(みづ)をくれよとおとなへ
381(おぢ)けきつたる里人(さとびと)
382(いう)ぢや(れい)ぢやと口々(くちぐち)
383(はし)つて何処(どこ)へか()(かく)
384(しばら)くありて(ひと)(こゑ)
385(まなこ)をあげて(なが)むれば
386提燈(ちやうちん)松明(たいまつ)ここ彼処(かしこ)
387(こし)(まが)つた老爺(おやぢ)さま
388(さけ)機嫌(きげん)(わが)(まへ)
389(あら)はれ(きた)(あわ)()
390(また)もや一人(ひとり)荒男(あらをとこ)
391()けぬ(きら)ひの(かつ)さまが
392鉄棒(かなぼう)打振(うちふ)(せま)()
393鎮魂(みたましづめ)神術(かむわざ)
394(おこな)()れば鉄棒(かなぼう)
395(ねぎ)(ごと)くに(やはら)かく
396()てど()てども(こた)へぬに
397(きも)(つぶ)して吾々(われわれ)
398魔性(ましやう)(もの)見誤(みあやま)
399(おそ)れて()げむとする(とき)
400一寸(ちよつと)(れい)をばかけてやる
401(たちま)化石(くわせき)のやうになり
402(あし)またげたその(まま)
403()つて(ふた)つの()(たま)
404きよろきよろ見廻(みまは)面白(おもしろ)
405あゝ(かつ)さまよ(かつ)さまよ
406月日(つきひ)(ごと)(あきら)かな
407(かみ)(をしへ)()をさませ
408(かた)(こころ)打解(うちと)けて
409(こころ)(やはら)()(なご)
410世人(よびと)(きよ)(まじ)はれよ
411(なんぢ)(こころ)(やはら)がば
412(からだ)(とも)(もと)(ごと)
413自由(じいう)自在(じざい)かへるらむ
414あゝ(かつ)さまよ(かつ)さまよ
415三五教(あななひけう)(かみ)(みち)
416(ゆめ)にも(わす)(たま)ふまじ
417(われ)(これ)より海山(うみやま)
418()えて闇夜(やみよ)明志湖(あかしうみ)
419(あか)(くら)しを立別(たてわ)ける
420(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
421(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
422(うた)(なが)ら、423悠々(いういう)として(この)()()()りにける。
424大正一一・二・二八 旧二・二 外山豊二録)

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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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