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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第13巻(子の巻)
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総説
第1篇 勝利光栄
第1章 言霊開
第2章 波斯の海
第3章 波の音
第4章 夢の幕
第5章 同志打
第6章 逆転
第2篇 洗礼旅行
第7章 布留野原
第8章 醜の窟
第9章 火の鼠
第3篇 探険奇聞
第10章 巌窟
第11章 怪しの女
第12章 陥穽
第13章 上天丸
第4篇 奇窟怪巌
第14章 蛙船
第15章 蓮花開
第16章 玉遊
第17章 臥竜姫
第18章 石門開
第19章 馳走の幕
第20章 宣替
第21章 本霊
第5篇 膝栗毛
第22章 高加索詣
第23章 和解
第24章 大活躍
信天翁(三)
余白歌
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霊界物語
>
如意宝珠(第13~24巻)
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第13巻(子の巻)
> 第1篇 勝利光栄 > 第5章 同志打
<<< 夢の幕
(B)
(N)
逆転 >>>
第五章
同志打
(
どうしうち
)
〔五三一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻
篇:
第1篇 勝利光栄
よみ(新仮名遣い):
しょうりこうえい
章:
第5章 同志打
よみ(新仮名遣い):
どうしうち
通し章番号:
531
口述日:
1922(大正11)年03月16日(旧02月18日)
口述場所:
筆録者:
谷村真友
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年10月30日
概要:
舞台:
シヅの森
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
どうも奇妙なことが続くので、岩彦を中心にウラル教の宣伝使たちは会議を開いた。そして、すぐ側に寝ている日の出別宣伝使をチャンスとばかりに襲おうとする。
しかし鷹彦は反対し、三五教に降参するべきだ、と異論を唱える。一同は、先ほどみなが同じ夢を見て、その中に三五教の回し者が一人潜伏していると出ていた、と口々に怪しみ出す。
鷹彦は自ら、自分がその宣伝使だとほのめかす。一同は鷹彦に詰め寄るが、鷹彦は今まで気がつかなかった仲間たちを笑っている。
ウラル教の宣伝使たちは鷹彦に殴りかかるが、鷹彦はひらりと身をかわし、同士討ちになってしまう。いきり立ったウラル教徒たちは、暗闇の中でますます同士討ちをしたり、木にぶつかったりしている。
鷹彦は姿を現して、自分の背中に羽が生えているのを見せ、羽ばたきして見せた。ウラル教の宣伝使たちは恐れおののいて、ついに三五教への降伏と改心を誓うに至った。
このとき闇の中より、傍らの茂みのなかから涼しい声で宣伝歌が聞こえてくる。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-11-26 16:50:25
OBC :
rm1305
愛善世界社版:
66頁
八幡書店版:
第3輯 56頁
修補版:
校定版:
67頁
普及版:
28頁
初版:
ページ備考:
001
天
(
あま
)
の
戸
(
と
)
押
(
お
)
し
開
(
ひら
)
いて
半
(
はん
)
円
(
ゑん
)
の
月
(
つき
)
は
稍
(
やや
)
西天
(
せいてん
)
にかすかに
輝
(
かがや
)
き
初
(
はじ
)
めた。
002
一同
(
いちどう
)
の
顔
(
かほ
)
は
誰彼
(
たれかれ
)
の
区別
(
くべつ
)
のつくまで
判明
(
はつきり
)
して
来
(
き
)
た。
003
岩彦
(
いはひこ
)
『オー、
004
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りでお
月様
(
つきさま
)
のお
顔
(
かほ
)
を
拝観
(
はいくわん
)
することが
出来
(
でき
)
た。
005
是
(
こ
)
れだから
時節
(
じせつ
)
は
待
(
ま
)
たねばならぬものだと
何時
(
いつ
)
も
云
(
い
)
ふのだよ』
006
梅彦
(
うめひこ
)
『
今日
(
けふ
)
は
妙
(
めう
)
な
日
(
ひ
)
だ、
007
鶴山丸
(
つるやままる
)
で
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
に
逢
(
あ
)
ふ。
008
今晩
(
こんばん
)
はまた
月
(
つき
)
の
顔
(
かほ
)
を
久
(
ひさ
)
しぶりで
見
(
み
)
る。
009
竜宮
(
りうぐう
)
の
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
に
渡
(
わた
)
つてから、
010
日月
(
ひつき
)
揃
(
そろ
)
うて
見
(
み
)
たのは
珍
(
めづ
)
らしいことだ』
011
岩彦
(
いはひこ
)
『オイ、
012
何
(
なん
)
だか
俺
(
おれ
)
は
胸騒
(
むなさわ
)
ぎがする
様
(
やう
)
だ。
013
皆
(
みな
)
起
(
お
)
きて
坐
(
すわ
)
らぬかい。
014
一
(
ひと
)
つ
臨時
(
りんじ
)
議会
(
ぎくわい
)
を
開会
(
かいくわい
)
するから』
015
音彦
(
おとひこ
)
『ナニ、
016
岩彦
(
いはひこ
)
議長
(
ぎちやう
)
の
提案
(
ていあん
)
は
一体
(
いつたい
)
何
(
なん
)
だい。
017
吾々
(
われわれ
)
はあまり
長
(
なが
)
い
間
(
あひだ
)
海
(
うみ
)
に
浮
(
うか
)
んで
居
(
ゐ
)
た
揚句
(
あげく
)
、
018
大陸
(
たいりく
)
を
強行
(
きやうかう
)
的
(
てき
)
にテクツて
来
(
き
)
たものだから、
019
足
(
あし
)
は
棒
(
ぼう
)
の
如
(
やう
)
になつてしまつた。
020
横
(
よこ
)
になつたまま
開会
(
かいくわい
)
をしてもらへないかな』
021
岩彦
(
いはひこ
)
『
横
(
よこ
)
でもかまはないが、
022
然
(
しか
)
し
是
(
こ
)
れには
一寸
(
ちよつと
)
曰
(
いは
)
く
因縁
(
いんねん
)
があるのだ。
023
まさかの
時
(
とき
)
になつたら、
024
貴様
(
きさま
)
の
不利益
(
ふりえき
)
だらう。
025
只今
(
ただいま
)
より
愈
(
いよいよ
)
月
(
つき
)
の
出
(
で
)
たのを
幸
(
さいは
)
い、
026
マラソン
競走
(
きやうそう
)
の
選手
(
せんしゆ
)
となつて、
027
フサの
都
(
みやこ
)
まで
速力
(
そくりよく
)
倍加
(
ばいか
)
で
突貫
(
とつくわん
)
するのだよ』
028
亀彦
(
かめひこ
)
『ソラ
何
(
なん
)
だ、
029
余
(
あま
)
りの
緊急
(
きんきふ
)
動議
(
どうぎ
)
ぢやないか』
030
岩彦
(
いはひこ
)
『
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で
云
(
い
)
ふない、
031
その
向
(
むか
)
ふの
木
(
き
)
の
株
(
かぶ
)
をそつと
覗
(
のぞ
)
いて
見
(
み
)
よ。
032
居
(
ゐ
)
るぞ
居
(
ゐ
)
るぞ。
033
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で
咆哮
(
ほうこう
)
すると
覚醒
(
かくせい
)
状態
(
じやうたい
)
になられては
大変
(
たいへん
)
だ。
034
それ
今
(
いま
)
そこに
居
(
ゐ
)
る
奴
(
やつ
)
は
船
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
で
見
(
み
)
た
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
だ。
035
此奴
(
こいつ
)
が
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
まさぬ
間
(
うち
)
に
尻
(
しり
)
に
帆
(
ほ
)
をかけて、
036
急速力
(
きふそくりよく
)
で
進行
(
しんかう
)
するか、
037
但
(
ただ
)
しは
停船
(
ていせん
)
のまま
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
より
包囲
(
はうゐ
)
攻撃
(
こうげき
)
をやるか、
038
二
(
ふた
)
つに
一
(
ひと
)
つの
議案
(
ぎあん
)
だ。
039
サア
即決
(
そくけつ
)
だ』
040
鷹彦
(
たかひこ
)
『マア、
041
ソンナ
事
(
こと
)
は
即時
(
そくじ
)
否決
(
ひけつ
)
だ。
042
否決
(
ひけつ
)
の
序
(
ついで
)
に
本当
(
ほんたう
)
の
敵
(
てき
)
に
対
(
たい
)
する
秘訣
(
ひけつ
)
を
吾輩
(
わがはい
)
が
提出
(
ていしゆつ
)
するから、
043
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
夫
(
そ
)
れ
審議
(
しんぎ
)
を
鄭重
(
ていちよう
)
にするのだ。
044
とても
吾々
(
われわれ
)
半
(
はん
)
ダースの
人間
(
にんげん
)
が
一斉
(
いつせい
)
射撃
(
しやげき
)
をやつた
処
(
ところ
)
で、
045
クルップ
砲
(
はう
)
に
火縄銃
(
ひなはづつ
)
を
以
(
もつ
)
て
対
(
むか
)
ふ
様
(
やう
)
なものだ。
046
勝敗
(
しようはい
)
の
数
(
すう
)
既
(
すで
)
に
決
(
けつ
)
す、
047
寧
(
むし
)
ろ
白旗
(
はくき
)
を
掲
(
かか
)
げて
降伏
(
かうふく
)
と
出掛
(
でか
)
ける
方
(
はう
)
が
安全
(
あんぜん
)
で
好
(
よ
)
からう。
048
くだらぬ
事
(
こと
)
に
貴重
(
きちよう
)
な
生命
(
せいめい
)
を
落
(
おと
)
すのは
馬鹿
(
ばか
)
の
骨頂
(
こつちやう
)
だ。
049
誰
(
たれ
)
も
夫
(
そ
)
れ
丈
(
だ
)
け
戦
(
たたか
)
つた
所
(
ところ
)
で
彼奴
(
あいつ
)
は
職務
(
しよくむ
)
に
忠実
(
ちうじつ
)
な
奴
(
やつ
)
感心
(
かんしん
)
だと
云
(
い
)
うて
共鳴
(
きようめい
)
するものは、
050
この
暗
(
くら
)
がりの
時節
(
じせつ
)
に
一人
(
ひとり
)
も
半人
(
はんにん
)
もあるものぢやない。
051
共鳴
(
きようめい
)
するのは
墓
(
はか
)
の
団子
(
だんご
)
でも
泥棒
(
どろばう
)
しようと
思
(
おも
)
つて
烏
(
からす
)
が
鳴
(
な
)
く
位
(
くらゐ
)
だ。
052
それも
哀悼
(
あいたう
)
の
意味
(
いみ
)
でなくて
自分
(
じぶん
)
の
食料
(
しよくれう
)
を
得
(
え
)
た
嬉
(
うれ
)
し
鳴
(
な
)
きだから、
053
ホントウにつまらないぢやないか』
054
岩彦
(
いはひこ
)
『
不相変
(
あひかはらず
)
弱音
(
よわね
)
を
吹
(
ふ
)
く
奴
(
やつ
)
だなア。
055
人間
(
にんげん
)
と
云
(
い
)
ふものは
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
模型
(
もけい
)
ぢやないか、
056
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
はソンナ
決
(
けつ
)
して
弱音
(
よわね
)
を
吹
(
ふ
)
くものぢやないよ』
057
鷹彦
(
たかひこ
)
『
又
(
また
)
もや
月
(
つき
)
が
隠
(
かく
)
れたぢやないか。
058
遁
(
にげ
)
ようと
言
(
い
)
つたつて
此
(
この
)
曇天
(
どんてん
)
に
足許
(
あしもと
)
の
泥溝
(
どぶ
)
もはつきりと
判
(
わか
)
らず、
059
丁度
(
ちやうど
)
灰色
(
はいいろ
)
の
茅
(
かや
)
の
中
(
なか
)
を
道中
(
だうちう
)
するやうな
有様
(
ありさま
)
だから、
060
何時
(
いつ
)
足
(
あし
)
をさらはれるか
分
(
わか
)
つたものぢやない。
061
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
りの
悪
(
わる
)
い
奴
(
やつ
)
だナア。
062
アーメニヤヘ
一体
(
いつたい
)
帰
(
かへ
)
つた
所
(
ところ
)
で、
063
盤古
(
ばんこ
)
神王
(
しんわう
)
のウラル
彦
(
ひこ
)
が
居
(
を
)
られるか
居
(
を
)
られぬか
心許
(
こころもと
)
ないではないか』
064
亀彦
(
かめひこ
)
『ウン、
065
俺
(
おれ
)
もソンナ
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たよ、
066
心配
(
しんぱい
)
だ。
067
然
(
しか
)
し
岩彦
(
いはひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
長
(
ちやう
)
は、
068
お
化物
(
ばけ
)
の
舌
(
した
)
の
上
(
うへ
)
に
乗
(
の
)
せられて
居
(
を
)
つて、
069
噛
(
か
)
んだり、
070
吐
(
は
)
いたり、
071
イヤもう
目茶
(
めちや
)
苦茶
(
くちや
)
な
目
(
め
)
に
逢
(
あ
)
はされて
居
(
ゐ
)
よつた。
072
夢
(
ゆめ
)
にも
色々
(
いろいろ
)
あつて
神夢
(
しんむ
)
、
073
霊夢
(
れいむ
)
、
074
正夢
(
せいむ
)
、
075
凶夢
(
きようむ
)
、
076
雑夢
(
ざつむ
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があるから
当
(
あて
)
にはならないが、
077
どうせ
頑固
(
ぐわんこ
)
一片
(
いつぺん
)
の
男
(
をとこ
)
だからあの
夢
(
ゆめ
)
が
霊夢
(
れいむ
)
になるかも
知
(
し
)
れぬ。
078
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
なものだワイ』
079
一同
(
いちどう
)
『ウン
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
もその
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たのだ。
080
斯
(
か
)
うして
四
(
よ
)
人
(
にん
)
が
同
(
おな
)
じ
夢
(
ゆめ
)
を
一度
(
いちど
)
に
見
(
み
)
ると
云
(
い
)
ふのは、
081
屹度
(
きつと
)
霊夢
(
れいむ
)
だよ。
082
オイオイ
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
して
居
(
ゐ
)
ると
内裏
(
うちうら
)
に
敵
(
てき
)
が
侵入
(
しんにふ
)
潜伏
(
せんぷく
)
して
居
(
を
)
るかも
知
(
し
)
れないぞ』
083
岩彦
(
いはひこ
)
『
吾々
(
われわれ
)
一行
(
いつかう
)
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
の
中
(
なか
)
に
三五教
(
あななひけう
)
の
奴
(
やつ
)
が
交
(
まじ
)
つて
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふのか。
084
ソンナ
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
があるものかい』
085
音彦
(
おとひこ
)
『ヤー
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
はれぬよ』
086
鷹彦
(
たかひこ
)
『オツト
高
(
たか
)
い
声
(
こゑ
)
では
言
(
い
)
はれぬが、
087
ナンデも
羽
(
はね
)
が
生
(
は
)
えて
宙
(
ちう
)
を
飛
(
と
)
ぶ
様
(
やう
)
な
名
(
な
)
の
男
(
をとこ
)
が、
088
三五教
(
あななひけう
)
の
間諜
(
まはしもの
)
で
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
仲間
(
なかま
)
に
這入
(
はい
)
つて
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だよ。
089
現
(
げん
)
に
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
に「
俺
(
おれ
)
はかうして
貴様
(
きさま
)
と
一緒
(
いつしよ
)
にウラル
教
(
けう
)
に
入
(
はい
)
つて、
090
その
実
(
じつ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
だ。
091
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
の
宣伝
(
せんでん
)
が
不成功
(
ふせいこう
)
に
終
(
をは
)
つたのも
飯依彦
(
いひよりひこ
)
と
気脈
(
きみやく
)
を
通
(
つう
)
じて
遣
(
や
)
つたからだ」と、
092
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
に
自白
(
じはく
)
し
居
(
を
)
つた
奴
(
やつ
)
があるのだもの』
093
三人『
俺
(
おれ
)
等
(
たち
)
も
夢
(
ゆめ
)
でその
通
(
とほ
)
り
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
094
サア
行掛
(
ゆきがけ
)
の
駄賃
(
だちん
)
に
此奴
(
こいつ
)
をやつつけておいて、
095
それからマラソン
競走
(
きやうそう
)
だ』
096
音彦
(
おとひこ
)
『コラ
鷹公
(
たかこう
)
、
097
白々
(
しらじら
)
しい、
098
貴様
(
きさま
)
は
何
(
なん
)
だ。
099
悪
(
あく
)
の
企
(
たくみ
)
の
露顕
(
あらは
)
れ
口
(
くち
)
、
100
のつ
引
(
ぴき
)
ならぬ
夢
(
ゆめ
)
の
告
(
つげ
)
、
101
どうぢや
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
して
降参
(
かうさん
)
するか、
102
逃
(
に
)
げようと
言
(
い
)
つたつて、
103
もう
駄目
(
だめ
)
だぞ。
104
吾々
(
われわれ
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
閉塞隊
(
へいそくたい
)
が
港口
(
こうこう
)
を
固
(
かた
)
く
封鎖
(
ふうさ
)
した
以上
(
いじやう
)
は、
105
潜水隊
(
せんすゐたい
)
だつて
無事
(
ぶじ
)
に
脱出
(
だつしゆつ
)
する
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
やしないぞ。
106
サア
白状
(
はくじやう
)
せないか』
107
鷹彦
(
たかひこ
)
『アハヽヽヽ、
108
オホヽヽヽ、
109
エヘヽヽヽ』
110
一同
(
いちどう
)
『
何
(
なん
)
だ、
111
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
の
化物
(
ばけもの
)
の
如
(
や
)
うな
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
しよつて』
112
鷹彦
(
たかひこ
)
『
盲
(
めくら
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
113
馬鹿
(
ばか
)
と
云
(
い
)
つても
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
の
様
(
やう
)
な
奴
(
やつ
)
は
珍
(
めづら
)
しい。
114
天下
(
てんか
)
一品
(
いつぴん
)
、
115
秀逸
(
しういつ
)
の
馬鹿
(
ばか
)
だ。
116
俺
(
おれ
)
は
貴様
(
きさま
)
の
云
(
い
)
ふごとく
実
(
じつ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
だ。
117
瀬戸
(
せと
)
の
海
(
うみ
)
の
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
に
永
(
なが
)
らく
居
(
を
)
つたものだが、
118
手段
(
てだて
)
を
以
(
もつ
)
て
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
の
仲間
(
なかま
)
に
藻繰込
(
もぐりこ
)
み、
119
総
(
すべ
)
ての
計画
(
けいくわく
)
を
熟知
(
じゆくち
)
し
居
(
を
)
るこの
方
(
はう
)
、
120
俺
(
おれ
)
位
(
くらゐ
)
のものが
看破
(
かんぱ
)
出来
(
でき
)
ぬ
様
(
やう
)
なものではウラル
教
(
けう
)
も
駄目
(
だめ
)
だ。
121
アハヽヽヽ、
122
オホヽヽヽ、
123
イヒヽヽヽ、
124
イヽ
面
(
つら
)
の
皮
(
かは
)
だ、
125
いぢらしいものだナア』
126
岩彦
(
いはひこ
)
『
言
(
い
)
はして
置
(
お
)
けば
悪言
(
あくげん
)
暴語
(
ばうご
)
の
乱射
(
らんしや
)
、
127
もう
此
(
この
)
上
(
うへ
)
は
不言
(
ふげん
)
実行
(
じつかう
)
だ。
128
オイ
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
129
打
(
う
)
ちのめせ、
130
大将軍
(
たいしやうぐん
)
の
命令
(
めいれい
)
だ』
131
一同
『ヨシ』
132
と
答
(
こた
)
へて
一同
(
いちどう
)
は
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
め
鷹彦
(
たかひこ
)
の
面上
(
めんじやう
)
目
(
め
)
がけて
力限
(
ちからかぎ
)
りに
打下
(
うちおろ
)
せば、
133
鷹彦
(
たかひこ
)
はヒラリと
体
(
たい
)
をかはした。
134
梅彦
(
うめひこ
)
『アイタタ アイタタ、
135
コラコラ
鷹彦
(
たかひこ
)
、
136
おれをどうするのだ。
137
此奴
(
こいつ
)
中々
(
なかなか
)
ひどい
事
(
こと
)
をしよるぞ。
138
アイタタ アイタタ』
139
暗
(
くら
)
がりまぎれに
鉄拳
(
てつけん
)
の
雨
(
あめ
)
を
降
(
ふ
)
らして
居
(
ゐ
)
る。
140
鷹彦
(
たかひこ
)
は
二三間
(
にさんげん
)
はなれた
所
(
ところ
)
より、
141
鷹彦
(
たかひこ
)
『アハヽヽヽ、
142
盲
(
めくら
)
同志
(
どうし
)
の
同志
(
どうし
)
打
(
う
)
ち、
143
ドシドシと
喧嘩
(
けんくわ
)
をやれ、
144
この
方
(
はう
)
は
高処
(
たかみ
)
で
見物
(
けんぶつ
)
だ』
145
梅彦
(
うめひこ
)
『オイオイ
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
146
俺
(
おれ
)
の
頭
(
あたま
)
を
惨
(
ひど
)
い
目
(
め
)
になぐりよつて、
147
チツト
心得
(
こころえ
)
ぬかい。
148
味方
(
みかた
)
を
打
(
う
)
つと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があるものかい』
149
音彦
(
おとひこ
)
『
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
戦場
(
せんぢやう
)
に
向
(
むか
)
つて
鎬
(
しのぎ
)
を
削
(
けづ
)
るに、
150
誰彼
(
たれかれ
)
の
用捨
(
ようしや
)
があらうか。
151
当
(
あた
)
るを
幸
(
さいは
)
ひ、
152
なぐり、
153
張倒
(
はりたふ
)
し、
154
勝鬨
(
かちどき
)
あぐるは
瞬
(
またた
)
く
間
(
うち
)
』
155
鷹彦
(
たかひこ
)
『アハヽヽヽ、
156
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い、
157
悪神
(
あくがみ
)
のする
事
(
こと
)
は
皆
(
みな
)
ソンナものだよ。
158
もつとやれもつとやれ』
159
音彦
(
おとひこ
)
『エーかもふない、
160
今
(
いま
)
に
仇
(
かたき
)
を
打
(
う
)
つてやる。
161
オイ
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
、
162
何
(
なん
)
でも
後
(
うしろ
)
の
方
(
はう
)
に
声
(
こゑ
)
がしたぞ。
163
突喊
(
とつかん
)
々々
(
とつかん
)
』
164
ワーツと
鬨
(
とき
)
を
作
(
つく
)
つて
声
(
こゑ
)
する
方
(
はう
)
に
進撃
(
しんげき
)
する。
165
茂
(
しげ
)
みの
森
(
もり
)
の
木
(
き
)
の
幹
(
みき
)
に
前額部
(
ぜんがくぶ
)
を
衝突
(
しようとつ
)
させパチン、
166
音彦
『アイタタ、
167
イヽヽイータイ、
168
ヤー
鷹彦
(
たかひこ
)
の
奴
(
やつ
)
、
169
中々
(
なかなか
)
固
(
かた
)
い
体
(
からだ
)
をしてゐよる。
170
何だ
此奴
(
こいつ
)
は
木
(
き
)
の
幹
(
みき
)
だ、
171
大木
(
たいぼく
)
だ』
172
鷹彦
(
たかひこ
)
は
体
(
からだ
)
をすくめながら、
173
暗
(
やみ
)
にすかして
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
蠢動
(
しゆんどう
)
するのを
見済
(
みす
)
まし
杖
(
つゑ
)
を
以
(
もつ
)
て
頭
(
あたま
)
と
思
(
おも
)
ふ
処
(
ところ
)
を
目
(
め
)
がけてそつと
叩
(
たた
)
く。
174
音彦
(
おとひこ
)
『ヤア
居
(
を
)
る
居
(
を
)
るオイ、
175
此処
(
ここ
)
だ
此処
(
ここ
)
だ』
176
一同
『ヤアさうか』
177
と
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
声
(
こゑ
)
する
方
(
はう
)
を
目
(
め
)
あてに
鉄拳
(
てつけん
)
を
乱下
(
らんか
)
した。
178
音公
(
おとこう
)
は
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
荒男
(
あらをとこ
)
に
身体
(
からだ
)
一面
(
いちめん
)
乱打
(
らんだ
)
されて、
179
音彦
『アイタタアイタタ、
180
アヤマツタ、
181
待
(
ま
)
て
待
(
ま
)
て、
182
違
(
ちが
)
ふぞ
違
(
ちが
)
ふぞ』
183
一同
(
いちどう
)
『
違
(
ちが
)
ふも
糞
(
くそ
)
もあつたものか。
184
この
期
(
ご
)
に
及
(
およ
)
んで
卑怯
(
ひけふ
)
未練
(
みれん
)
な
逃
(
に
)
げ
口上
(
こうじやう
)
、
185
放
(
はな
)
すな
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
186
のばせのばせ』
187
音彦
(
おとひこ
)
『
音
(
おと
)
ぢや
音
(
おと
)
ぢや』
188
一同
(
いちどう
)
『
音
(
おと
)
がする
程
(
ほど
)
叩
(
たた
)
けとぬかすのか、
189
ヨシ
御
(
ご
)
註文
(
ちゆうもん
)
通
(
どほ
)
りなぐつてやらう』
190
鉄拳
(
てつけん
)
の
音
(
おと
)
は
一層
(
いつそう
)
激烈
(
げきれつ
)
となつて
来
(
き
)
た。
191
鷹彦
(
たかひこ
)
は
二三間
(
にさんげん
)
傍
(
そば
)
にヌツと
立
(
た
)
つて、
192
鷹彦
(
たかひこ
)
『アハヽヽ、
193
オホヽヽ、
194
イヒヽヽ、
195
鷹
(
たか
)
チヤンは
此処
(
ここ
)
だよ。
196
同志打
(
どうしう
)
ちの
先生
(
せんせい
)
、
197
盲
(
めくら
)
先生
(
せんせい
)
、
198
今
(
いま
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
丁度
(
ちやうど
)
ソンナものだよ。
199
互
(
たがひ
)
に
味方
(
みかた
)
同士
(
どうし
)
、
200
兄弟
(
きやうだい
)
同士
(
どうし
)
、
201
親類
(
しんるゐ
)
同士
(
どうし
)
、
202
同士打
(
どうしう
)
ちをやつて
居
(
を
)
る。
203
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
もウラル
教
(
けう
)
の
精神
(
せいしん
)
を
遺憾
(
ゐかん
)
なく
発揮
(
はつき
)
して
満足
(
まんぞく
)
だらう。
204
昔
(
むかし
)
の
常世
(
とこよ
)
会議
(
くわいぎ
)
で
武装
(
ぶさう
)
制限
(
せいげん
)
が
行
(
おこな
)
はれて、
205
羽翼
(
うよく
)
を
取
(
と
)
られて
退化
(
たいくわ
)
した
人間
(
にんげん
)
が、
206
アベコベに
羽翼
(
うよく
)
が
無
(
な
)
くなつて
不自由
(
ふじゆう
)
の
身体
(
からだ
)
になつて、
207
それを
進化
(
しんくわ
)
したと
云
(
い
)
つて
喜
(
よろこ
)
ぶやうな
代物
(
しろもの
)
だから
不便
(
ふべん
)
なものだ。
208
オイこの
鷹
(
たか
)
チヤンはその
名
(
な
)
の
如
(
ごと
)
く
羽翼
(
うよく
)
が
在
(
あ
)
つて
鷹
(
たか
)
の
通
(
とほ
)
り
空中
(
くうちう
)
は
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
だ。
209
一
(
ひと
)
つ
飛
(
と
)
んで
見
(
み
)
せて
遣
(
や
)
らうかい』
210
と
云
(
い
)
ひながら、
211
一丈
(
いちぢやう
)
もある
翼
(
つばさ
)
を
拡
(
ひろ
)
げてバタバタと
羽
(
は
)
ばたきをして
見
(
み
)
せる。
212
一同
(
いちどう
)
『ヤア
此奴
(
こいつ
)
は
天狗
(
てんぐ
)
の
化物
(
ばけもの
)
だ。
213
モシモシ
天狗
(
てんぐ
)
様
(
さま
)
、
214
偉
(
えら
)
い
見損
(
みそこな
)
ひを
致
(
いた
)
しましたが、
215
天狗
(
てんぐ
)
様
(
さま
)
、
216
どうぞ
生命
(
いのち
)
計
(
ばか
)
りはお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいませ』
217
鷹彦
(
たかひこ
)
『
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ふか』
218
一同
(
いちどう
)
『ハイハイ、
219
教
(
をし
)
へて
下
(
くだ
)
されば
歌
(
うた
)
ひます』
220
鷹彦
(
たかひこ
)
『ウラル
教
(
けう
)
は
止
(
や
)
めるか』
221
一同
(
いちどう
)
『やめますやめます』
222
この
時
(
とき
)
暗中
(
あんちう
)
より
何人
(
なにびと
)
とも
知
(
し
)
れず、
223
涼
(
すず
)
しき
宣伝歌
(
せんでんか
)
が
暗
(
やみ
)
を
縫
(
ぬ
)
うて、
224
傍
(
かたはら
)
の
木
(
き
)
の
茂
(
しげ
)
みより
聞
(
きこ
)
え
来
(
き
)
たりけり。
225
(
大正一一・三・一六
旧二・一八
谷村真友
録)
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【第5章 同志打|第13巻|如意宝珠|霊界物語|/rm1305】
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